オススメ度 | A- |
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原作 | アニメオリジナル |
ジャンル | ファンタジー、恋愛 |
放送情報 | TVアニメ(2011年春)/全11話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
アニメオリジナル作品。
DVDにて鑑賞。一気見。
小学生の頃、仲良しだった幼なじみ男女6人組。
ある事故がきっかけでバラバラになる・・・
数年後──
高校生になった主人公「じんたん」は”いなくなったはずのメンマ“に出会う。
「願いを叶えて欲しい」と言うメンマ。
止まっていた幼馴染みとの時間が、再び動き出す・・・
こんばんは。時文です。
今更ですが、TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の感想レビューです。
アニメ好きなら言わずと知れた『あの花』。
原作はなく、岡田麿里脚本の完全オリジナルアニメーション。
私が見る岡田麿里関連作品では最初の作品となりました。
岡田麿里さんは本作以前にも有名作品を手がけてますが、私のように『あの花』で知ったという方も多いのではないでしょうか。
それ位、この作品でメジャーになりましたよね。
今後、岡田麿里作品を当ブログでレビューするにあたり、本作に触れないわけにはいかず、今更ですが取り上げることにしました。
有名作品なので、視聴済みの方も多いでしょう。
見てない方は少ないでしょうが、念のため「はじめに」では核心に触れない程度で紹介するので参考にして下さい。
では、TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』感想レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
- 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
目次
はじめに
皆さんは、岡田麿里作品の特徴をどう捉えているでしょうか?
私は「鬱屈した内面をトコトン追い込み、爆発or解放させる」ことにかけては天下一品だと思ってます。
その瞬間がなければ、私は岡田麿里作品と思ってないほど(笑)。
さて『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』略して『あの花』は、岡田麿里作品の真骨頂。
小学生の頃にやっちまった、女の子への不用意な態度や言葉。
健全な男子なら思い当たる節があるはず。(あるよね!)
『あの花』では、やっちまった後に大変な事態になります。
取り返しがつかないことに・・・
その出来事を機に、仲の良かった幼馴染みがバラバラに。
時は過ぎ、高校になっても、その関係は疎遠に。
そこへ、いなくなったはずのメンマが主人公・じんたんの前に現れ、再び関係を取り戻していく物語。
アニメや映画を沢山見てる方は、数話見ると先のストーリーが想像できるでしょう。
大きなプロットはその予想通り。
だから、予想外の展開を期待をせず、ありのまま楽しめば良いと思います。
事前に言っておきます。
「めんま」の存在自体は、とても不思議なファンタジーです。
が、それ以外は、とても現実的に描かれます。
変な期待をすると、肩すかしを食らう。
ある結末に向かって行く物語を、一つ一つ噛みしめる作品。
鑑賞後は、きっと人にやさしくなれると思います。
感想レビュー (以降、ネタバレありです)
ファンタジーながら、とてもリアルな葛藤物語
普通の作品なら、岡田麿里作品でなければ・・・
本作の設定であれば、メンマを生き返らせる話か、事故の原因が明らかになり追求していく話か、逆に幽霊のまま楽しく過ごしたりするのだろう。
が、『あの花』は違う。
皆、メンマの死に対して、真正面からぶつかる。
皆が抱え込んだ悩みやトラウマをどのように捉え、乗り越えようとしているのか。
一人一人、丁寧に、真剣に描いていく。
だからか、キャラクターデザイン、OP・EDはアニメアニメしておらず、実写のように描きドラマを見せる。
そんな話を過剰な演出、展開で描けるはずもなく、途中、盛りあがりに欠けるのは仕方がない。
これが人間、リアルの高校生の反応であり、感情だと思う。
その描写が、話が、セリフが、グサグサ見ている側に突き刺さる。
実は私、ドロドロした話は苦手です。
アニメにどっぷりハマリ感情移入するタイプなので、この手の話はとても滅入ってしまうのです。
#だから引きずらないよう、一気見します。
特に『あの花』はずっと、ずっと、ずっと・・・
最終話に至るまで突き刺さる。
皆同じ想いだった・・・
幼なじみの誰もが、メンマに対して、謝りたい、想いを確かめたい、メンマとずっと一緒にいたい・・・
メンマのことを想いながら、時にはビクビクして生きてきたのだ。
話数が進むにつれ、そんな想いが段々見えてくる。
そんな中、メンマは一途に友達のこと、皆のことを考え、今も昔も誰も恨んだりはしていなかった。
最終話で、ようやく皆が自分の気持ちに正直になり、お互いぶつけ合う。
今までどこかチグハグだった関係が、ようやく修復される。
そして、皆でメンマの願いを叶えたいたいと一致団結。
が、その頃メンマには時間が迫っていた・・・
自然と感動が溢れる温かい最終話。
鑑賞後、人にやさしくなれる最終話。
最終話だけ評価すれば最高点。
けれど決して最終話だけでは成り立たない。
10話までがあって、それぞれの過去と現在の自分があっての最終話。
嫌な思い出、避けていた話題、逃げ出したい思い、消したい過去、忘れたい事実──
思いとは裏腹に、決して忘れることなどできない。
その人にとって、大事なこと、根幹を形成していることなのだから。
「乗り越える」ではなく「受け入れる」
通常のこの手の作品では、過去のトラウマを克服するのに、新たなより大きな障害を用意し、乗り越えさせる展開。
『あの花』は独特。
過去のトラウマを乗り越えるのではなく「受け入れる」のだ。
受け入れることにより、前に進む。
この手の展開で難しいのは、どうしても盛り上がりに欠けること。
新たなハードルに挑戦するという展開ができないからだ。
そこで、冒頭にあげた、岡田麿里作品の特徴。
「鬱屈した内面をトコトン追い込み、爆発or解放させる」
岡田麿里さんは、新たな障害を用意しなくても、過去の出来事を思い起こすことで盛り上げる展開ができてしまうのです。
それが最終話なわけですね。
おわりに (『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』とは)
楽しそうな子供の頃の映像がとても眩しい。
私の好みとしては、子供の時代の楽しいシーンをもっと見ていたかった。
が、描きたいのは過去ではなく現在。
それこそ過去にとらわれてはいけない、というメッセージか。
過去に拘りウジウジしているキャラクターが最初は見ていて辛かった。
が、それはここまで言い合える、ある意味ケンカできる仲間がいるのが羨ましくて見てられなかったのかも。
内面を描く物語で、見る者の内面をも振り返る作品なのかもしれない。
これだから、アニメはやめられない。
関連レビュー
劇場版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のレビューも書きました。
良かったらご覧下さい。
