オススメ度 | B+ |
---|---|
原作 | アニメオリジナル |
ジャンル | ファンタジー、恋愛 |
放送情報 | アニメーション映画(2013年夏)/99分 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
アニメオリジナル作品。
DVDにて鑑賞。
TVアニメ終了時点から1年後の話。
超平和バスターズの男女5人はめんまに向けた手紙を書きながら、めんまとの思い出を振り返る。
こんばんは。時文です。
アニメ映画『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』鑑賞しました。
2011年春アニメとしてTVアニメが放送された『あの花』。
その2年後に劇場版として公開。
副タイトルは『めんまへの手紙』。
総集編と後日談、後日談の中で子供時代の出来事が語られる構成。
総集編だからと、TVアニメを見ずに劇場版を見ると消化不良を起こすかも。
TVアニメを改めて復習して見る必要もありません。
一度TVアニメを見た人が時間を置いて見るのが、総集編部分も含め一番楽しめるかもしれません。
ただ、劇場版鑑賞後、TVアニメを再度見たくなるかもしれません♪
では、アニメ映画『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』感想レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
TVアニメ版のネタバレがあるのでご注意を! - 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
目次
はじめに
見事な最終話で、視聴者に感動を与えたTVアニメ版『あの花』。
劇場版は、単純な総集編ではなく「その後」を描く。
TVアニメがあまりにきれいな終わらせ方で、どう続けるのだ?と一抹の不安が・・・
かと言って新カットのない総集編は私は興味ありません。
#劇場で見るのではなくDVD鑑賞だったので
いずれにせよ、「TVアニメ版ほど感動しないだろうな」と思ってました・・・
ところが、そんな不安は杞憂に終わりました。
物語は、TVアニメ終了時点から1年後。
じんたん達、超平和バスターズは、めんまの手紙の「お焚き上げ」をやることに。
めんまへの返事として、思いを記した手紙を書くことに。
それぞれの思いが語られていく──
振り返りの形で語られるTVアニメのカットは、既に見ているので新鮮味がないのは仕方なし。
が、新シーンと構成、見せ方が上手いので、ただの総集編とは一味違う作品に仕上がってました。
特に子供時代の新エピソードが新鮮。
新エピソードが占める割合は少ないですが、『あの花』好きなら、短い時間でも楽しめるのではないでしょうか。
感想レビュー (以降、ネタバレありです)
3つの時間軸
劇場版『あの花』はTVアニメの後日談でありながら、メンマへの手紙を書く中で、アニメの名シーンを振り返り、子供時代の新エピソードを盛り込んでます。
時間軸は3つ。
- めんまがいた「6年前」
- めんまが現れた「1年前」
- めんまがいなくなった「現在」
TVアニメのその後を描く③は、書き下ろしエピソード。
①はTVアニメを再編集+新エピソード。
②はTVアニメを再編集+最終話、めんまを秘密基地へ連れて行く過程に新エピソード。
①②もただの再編集ではない。
③現在軸で、各人が過去を振り返りながら、登場人物単位で再編集し、単にTVアニメの映像を流すのではなく、モノローグ(独白)で振り返る演出に。
編集とモノローグによりキャラが浮き彫りに
ナレーションのようにモノローグ(独白)で過去を振り返ることにより、ただの総集編にはならず、登場人物の心情描写がより分かるように。
とは言え、TVアニメ版にそれほどの描写不足があったわけではないので、メチャクチャスッキリするほどではない。
「より深く理解できた」「誰々をより好きになった」と言う補足的な感じ。
ぽっぽ
そんな中、意外だったのは、ぽっぽ。
TVアニメ本編では、ぽっぽは早い段階から出てきて、常に明るかったが、時折見せる闇が気になっていた。
前面には出てこなかったぽっぽの心情が、劇場版ではっきりしました。
5年前からずっと罪悪感に苛まされていたのは、本編だけでも理解できました。
序盤、ぽっぽは、めんまがいると聞き、めんまに謝りたいと思った。
が、めんまがぽっぽに見えないことにより「許してもらえない」と思い、更に罪悪感が増した。
完全に「焦っていた」のですね。
最初から首にぶら下げていた、あの袋。
あの袋にそんな意味が込められていたとは・・・
なんだか、もう一度TVアニメを見直したくなりました(笑)。
ゆきあつ
この1年で一番成長?、立ち直り、前進したのは、ゆきあつだと言える。
まあ、一番落ちたのが、ゆきあつなので、当然と言えば当然なのだが。
自分の黒歴史を、完全に客観的に捕らえ、気にする様子もなく、前へ進んでいる。
それも清々しい程に!
(イケメン過ぎて、羨ましく)少しは罪の意識を感じろよ!と思いもしたが、それだけ、1年前に確認できためんまの気持ちが腑に落ちたのだろう。
めんま
最初は一人ぼっちだったのですね。
一人ぼっちの状況から救い出してくれてのが超平和バスターズの面々。
それで、めんまは、じんたんだけでなく皆のことを好きになった。
皆といる時間を大切にしたいと思っていた・・・
単に天使のような性格のいい子だと思ってましたが、子供らしい悩みを抱え込んでいた上での「皆が好き」だったのですね。
普通の子供らしい一面を見て改めて、めんまのことを好きになりました。
と同時に、その後の結末を知っているだけに、子供時代の楽しんでいるシーンを見れば見る程、切なくなってきましたね。
先が分かって見る、めんまの物語は、それはそれで美しくて涙を誘ってしまう。
いや、今いないから、めんまのやる事なす事、儚く美しいのだろう。
ああ、だから彼女はめんまに一生勝てないと思ったのかも知れない・・・
正に「後日談」
TVアニメ本編では、各キャラの闇の部分、ネガティブ言動、行動が見ていて嫌でした。
そんなシーンをそれぞれが「後ろ向きだった」と「前向き」に振り返る演出になっている。
ここが素晴らしい!
めんまは自分がこの世に来た事で、イヤな気持ちにさせたり、忘れようとしていたことを思い出させることを悔やんでいた。
が、決してそんなことはなかった。
皆、めんまと向き合うことで、受け入れ、乗り越えたのだ。
めんまの家族も昨年の夏を境によい関係になっている。
めんまは、じんたんの為になっただけでなく、皆の心のわだかまりを解消していったのです。
単に総集編としてTVアニメの名シーンを見せるのではなく、絵はTVアニメ版でありながら、新たな表現をしているのです。
正に後日談ですね!
願わくは、各キャラのセリフ(モノローグ)だけでなく、映像も各キャラ目線で構図を変えて描き直してもらえれば最高だったのですが。
それでは、費用対効果が悪くなってしまうのでしょうね(笑)。
感動の終盤
TVアニメ本編で泣かされた最終話。
じんたんが、自宅で倒れ込んでいるめんまを見つけるシーンからラストまで。
この部分に新カットを盛り込んで、振り返る。
前半のめんまの子供時代の話と各々の振り返りを見て、感情が高ぶり。
終盤は、新カットが効果的に差し込まれ、めんまの新たな想いを聞き、感動は最高潮に・・・
TVアニメ最終話で感動した人は、より満足度を上げて感動できる作りになっています。
基本は総集編なのに、なんか悔しい・・・
いや、完敗です。(←勝ち負け?!)
身近な人の死によって、変になる程の影響を受け、受け入れることで、大人に成長する。
TVアニメはきれいなラストを迎えたと思ってましたが、劇場版の後日談を見ると、これが最終話「完全版」と感じました。
再び繋がった超平和バスターズの5人。
もう誰にも引き裂かれることのないほど強い絆になったのが見て取れる。
TVアニメを見ている時は、めんまの存在感が大きかった。
が、「後日談」を見ている内に、いつの間にか5人の存在感が増している。
正に少年少女の成長を感じた人も多いのではないか。
願うなら、この5人の、もう少し先のその後も見てみたい。
そう思えるほどの劇場版でした。
おわりに (『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』とは)
TVアニメ本編を見た時に思ったのは、もっと子供時代の楽しいシーンを見たかった。
その願いが、劇場版で少し叶いました。
めんまが、超平和バスターズに誘われ、仲良くなっていくシーンは楽しい。
エピソードゼロとして、TVアニメでやっても良かったと思う程。
いや、別の角度から描け、もっと見たいと思うのは、それだけ作品に力があるということ。
子供時代や1年前の、TVアニメでは描写されなかったシーンや心情を表現。
TVアニメの利活用映像は、モノローグで新たな角度で語ることにより、既に見たシーンも違った風に見える。
各キャラの行動を違う観点で見せる事により、より深くキャラクターに感情移入させ、ラストへと繋げる。
本作を見て、私の総集編への考えが変わりました。
再構成された映像に、本編とは違うモノローグを付け、新たな表現、情報にする。
作品ファンへのサービスの一つの形なのかも。
TVアニメ『あの花』をより深く理解することができました。
総集編も見せ方でここまでできるのですね。
ではでは。
関連レビュー
TVアニメ本編の感想レビューも書いてます。
良かったらご覧下さい。
