こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第10話、鑑賞しました。
がまがま水族館が存続さえすれば、全てが上手くいくはず・・・。
刻一刻と迫る8月31日、がまがま水族館閉館の日。
来館者数は一向に増えず。
生き物たちの行き先は決まり、閉館の準備が着々進む。
ついには、風花のアイドル復帰話まで。
がまがま水族館存続に全てを賭けてきた、くくる。
このままでは、自分一人を残して皆いなくなってしまう。
焦ったくくるは、幻を売りにすれば来館者数が増えるのでは?と言い出すが・・・
(リンクは該当箇所へ)
※私なりの解釈を含め考察
白い砂のアクアトープ(全24話)各話リスト
話数 | サブタイトル | レビュー |
第1話 | 熱帯魚、逃げた | まとめ |
第2話 | 濡れるのも仕事のうち | |
第3話 | いのちは、海から | |
第4話 | 長靴をはいた熱帯魚 | |
第5話 | 母の来訪 | |
第6話 | スイーツラプソディ | |
第7話 | アイスで乾杯 | |
第8話 | crab crisis | |
第9話 | 刺客のシンデレラ | 各話 |
第10話 | 置き去りの幻 |
本レビュー |
第11話 | 籠城の果て | 各話 |
第12話 | 私たちの海は終わらない | 各話 |
13話以降はこちらからどうぞ |
※リンクは各話レビューへ
感想レビュー 第10話 「置き去りの幻」

がまがま水族館閉館まで残り1週間。
一発形勢逆転を狙うくくるは、幻で来館者を増やそうと考える。
一方、風花は自身に映画主演オファーがあると聞き、悩んでいた。
ストーリー物であって連続してない
皆さん、お気づきでしょうか?
『白い砂のアクアトープ』には、幻以外にも不思議な現象があることを・・・
前話、知夢にフルボッコされた、くくる。
海の生き物知識でもマウント取れず、自身がやってきたことを”ごっこ”呼ばわりされ全否定。
だけど今話になると、くくるは落ち込むでも奮起するでもない。
それどころか、幻で集客なんて、”ごっこ”そのもの(苦笑)。
くくるはどんな神経の持ち主なのか・・・
いや、もしかして前話の出来事はなかったのか!?
そうです。
『白い砂のアクアトープ』では、過去に起きたことも幻のように消えてしまうのです(笑)。
まあ、冗談はさておき(笑)。
あっけらかんとしているのは、くくるの良さ。
今は、がまがま水族館を存続させることで頭がいっぱいなのでしょう(苦笑)。
でも、もう一つ。
前話ラスト、くくるは一人で建設中の「アクアリウム・ティンガーラ」へ行ったが、今話ではそんな事実はなかったかのような振る舞い。
引っかかるのは、他にもあります。(後述)
1回だけならいざ知らず、何回もあると、これは分かってやっているのでは?
と考えざるを得ません。
一体、何故でしょうか?
・・・ここまで見て分かったのですが。
『白い砂のアクアトープ』はストーリー物ですが、1話完結エピソード形式。
作品全体を通して主軸となる物語はありますが、各話内で物語の起点と結果、発端から始まり決着を付ける構成になっています。
なので、今話に限らず、引っかかるような違和感がありました。
- 風花とくくる、互いにもっと知りたい仲良くなりたいと言っておきながら・・・
次話になるとあっさり・・・できるだけ遠くに逃げろ!?短い時間だけど楽しかった!? (5話) - 空也の方が、ずっとがまがま水族館にこだわっているのに・・・ (7話)
その後、一向に行動も言動も変わらず
そして、今話。
夏凛は、8話ラスト(移動水族館エピソード)、絶対に諦めないくくるを羨ましく思い、応援する流れを見せておきながら・・・
「幻で集客案」を真っ向否定するのは仕方ないにしても、代替案すら出さない。
追い詰められて焦っているくくるを応援しないの!?
前話、くくるが建設中の「アクアリウム・ティンガーラ」へ行ったことも、知夢に正論を言われ悔しかったのも・・・今話になると、まるでなかったかのよう(苦笑)。
次のエピソードになると、まるで役者の感情がリセットされたかのよう。
これが『白い砂のアクアトープ』の作り方。
1話で物語が成立することに力を入れ。
どの話数から見ても、その1話内で何が起きているのか理解でき、1話内で感動、共感できる構成になっているのです。
補足
誤解なきよう補足しておきますと。
全体のストーリーが全然繋がっていない、と言っているのではありません。
描いたエピソードや変化した感情が、”時々”スルーされているように感じてしまうのです。
1話1話は、とても丁寧に描かれています。
各話の中できちんと起承転結が練り込まれ、良質の物語となっています。
“丁寧に描かれているだけに“、細かい所に引っかかってしまうのです。
引っかかってしまうと、キャラクターに感情移入できず。
せっかく良い話なのに、没入できない。
慎重に積み上げた物が取りこぼされているようで実に勿体ない、と思ったので書かせて頂きました。
神頼みならぬ幻頼み

がまがま水族館が閉館する8/31まで残り1週間。
くくるはこれまで思い付いたことをやってきたが、一向に来館者数が増える気配はなく、閉館の日は刻一刻と迫っていた。
ついに、くくるは神頼みならぬ、占い頼り(笑)。
占い師である、うどんちゃんの母親に、お客を増やす一発逆転の方法がないか占ってもらう。
えぇ~そんなぁ・・・そこをなんとかお願いします!
by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第10話
望んだ結果ではなかったので、もっと役立つ結果が欲しい頼み込む。
もはや占いではなく相談所(苦笑)。
今は迷いの時期だね。
焦って新しいことに手を出すと、全て裏目に出て失敗する。自分に今できることは何か。
見慣れた景色を見直してみると新しい道が開けるかもしれないよ。by 照屋さつき『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第10話
「焦って新しいことに手を出すと、全て裏目に出て失敗する」、当たってましたね(笑)。
幻にすがり、確証ないまま先走ってSNSで宣伝。
騒ぎにはならなかったものの、イベントは開催されることなく撤回・・・
「見慣れた景色を見直す」だけに着目し「新しいことに手を出すと失敗」は忘れてしまっていた。
恐らく、占いは「がまがまを存続させるにはどうすれば良いか」ではなく、くくるが「進むべき道」を占った結果ではないでしょうか。
今は新しいことに手を出すと失敗する。
今、くくるが置かれている状況を見直したら、”新しい”道が見つかるかもしれないと占いに出たのです。
これは、がまがま水族館の事を言っているのではありません。
くくるを占った結果です。
がまがま水族館はくくるにとって大切な場所。
閉館は、くくるにとって耐えがたいでしょう。
ただ、がまがま水族館がなくなっても、生き物が死んでしまうわけではありません。
海の生き物は全て他の水族館等へ引き取られ、飼育員の就職先も館長が準備。
くくるは自分一人を置いて、皆いなくなってしまうと嘆くが、友達は近くにいるし風花だって離れても連絡は取り合えるし、ずっと会えないわけではない。
占いはくくるに対し「がまがま水族館」以外の道を見つけなさい、と言っているのではないでしょうか。
櫂と幻 粋な計らい!
今回は、櫂と幻の回。
意外なことに、櫂はこれまで深掘りされてきませんでした。
主人公くくると近い距離にいるにも関わらず。
幻も1話で風花の前に現れてから、他の人にも時折見え印象付けておきながら、大きくは取り上げられていません。
その二つが、ここでクローズアップ。
櫂と幻のセットにするのは意外でしたが、これほど相性が良いとは!
くくると櫂の出会いを描き、幻を使って再現させる。
ただ、幻はあくまで「非現実的」な現象として扱い、存続に繋がるような奇跡は起こさせない。
だからと言って、幻を誰も信じずバカにするでもない。
見た人はいるが、公にするほどの現象ではないと常識を働かせる。
このさじ加減が絶妙で、『白い砂のアクアトープ』を地に足着けた作品に留めています。
そして、くくるに幻を諦めさせるのは、風花ではなく櫂。
幼い頃から傍にいた、櫂の役目にするのが憎らしい。
櫂の役目を、もっと深掘りしてみましょう。
櫂の役目は、くくるを支えること
もしかして、今、見えてた?
by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第10話
くくるを手伝い、幻が見える条件を探る櫂。
櫂は、ついに幻を見ることができたが、くくるには伝えませんでした。
なぜでしょうか?
櫂は分かっていたのではないでしょうか。
幻が見えたとしても、がまがま水族館はもう存続できない。
自分の役目は、くくるをいつまでも過去に縛り付けておくことではない。
前に目を向けさせること。
櫂が幻で見た幼き頃の自分──
いけ!
by 仲村櫂『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第10話
このシーンは、色んな解釈ができそうです。
過去の出来事を追体験、幼き頃の自分の背を押す過去修正?
私は、次のように解釈しました。
本作の幻は、現実でも過去でもなく幻に過ぎない。
今話(10話)冒頭シーン──

初めて会ったとき、くくるの小さな背中は震えていた。
あいつに、どんな言葉をかけてやればいいんだろう・・・
by 仲村櫂『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第10話
「どんな言葉をかけてやればいいんだろう」とは、かける言葉が分からない、ということ。
初めて出会った幼き頃。
泣いているくくるに、櫂は何もできなかったのではないでしょうか?
つまり櫂は、いまだ震えているくくるにかける言葉が分からない。
これが、櫂の悩みですね。
幻の中で、再び、くくるが背中を震わせ泣いているシーンに再会。
櫂は、幼き自分の背中を押す。
櫂が出した答えは──言葉なんていらない。
慰めの言葉なんて自分には分からない。
寂しがっているくくるに、一人ぼっちではないと伝えてあげる。
家を恋しがっているのなら、ここの新しい魅力を見せてあげる。
櫂の役目は幻を証明する事ではありません。
くくるを元気づけること。
幻に代わって彼女を勇気づけること。
これが櫂が出した結論だと、私は解釈しました。
おわりに (『白い砂のアクアトープ』10話)
10話にしてようやく描かれた、櫂と幻。
櫂以外の登場人物については既に描かれましたが、櫂だけは少ししか触れられてなかった。
くくるに好意を寄せる貴重な男子なのに(笑)。
もう一つ、存在感とインパクトがあるのに深掘りされなかった幻。
今回、その二つがようやくクローズアップ。
それも、真正面から取り上げました。
作品として幻に真っ直ぐ向かい合い、それを現実的な価値観と照らし合わせ対処する。
実に丁寧な使い方でした。
くくるにせよ作品にせよ、決して幻のような不確実なものに頼ることなく現実的な着地点を見据える。
現実的な展開を積み重ねていくとなると、がまがま水族館の閉館は免れないでしょう。
閉館した後、くくるがどうなるか。
いえ、そこからどう立ち直るか気になります。
今後も楽しみです。
以上、TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第10話の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
11話のレビューも書いてます。
良かったらご覧ください。
ではでは。
幻の検証
もし風花がやっていたら・・・
風花は幻が見えたことを伝えたのでしょうか?
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