こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第12話、鑑賞しました。
何とかして、がまがま水族館を継続させたいくくると、彼女の夢を応援してきた風花。
だが現実を覆すことはできなかった。
がまがま水族館、閉館──
幻はあっても、奇跡はない。
運命の出会いはあっても、それだけで物事は変えられない。
どこまでも現実的で等身大の物語。
辛い展開ですが、くくると風花、二人の姉妹のような友情が眩しい12話でした。
(リンクは該当箇所へ)
※私なりの解釈を含め考察
白い砂のアクアトープ(全24話)各話リスト
話数 | サブタイトル | レビュー(R) |
第1話 | 熱帯魚、逃げた | まとめR |
第2話 | 濡れるのも仕事のうち | |
第3話 | いのちは、海から | |
第4話 | 長靴をはいた熱帯魚 | |
第5話 | 母の来訪 | |
第6話 | スイーツラプソディ | |
第7話 | アイスで乾杯 | |
第8話 | crab crisis | |
第9話 | 刺客のシンデレラ | 各話R |
第10話 | 置き去りの幻 | 各話R |
第11話 | 籠城の果て | 各話R |
第12話 | 私たちの海は終わらない | 本レビュー |
13話以降はこちらからどうぞ |
※リンクは各話レビューへ
目次
感想レビュー 第12話 「私たちの海は終わらない」

8月31日、最終営業日。
がまがま水族館には大勢の人が訪れていた。
地域に愛された小さな水族館は、48年間の歴史に幕を閉じた。
閉館後、生き物たちを次の施設へ移送していく最中、風花は沖縄を発っていく──
がまがま水族館 最後の日
前話、くくるは子供じみた籠城をしてしまうが、台風直撃で設備の老朽化を思い知らされることになってしまった。
がまがま水族館の古びた設備では、生き物を危険にさらしてしまう。
生き物の命を守るためにも、がまがま水族館は閉館させなくてはならない。
諦めの悪いくくるも、ようやく閉館の事実を受け入れました──

やれることやったよね。
閉館なんだね。by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第11話
今話は、がまがま水族館、最後の日。
憑き物が落ちたかのように、くくるは素直になっていました(笑)。
来てくれるのは嬉しいけど、もっと早く来てよ~、もぉ~
by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
最終日だからと惜しんで来てくれたのか、”無料”だから来てくれたのか(笑)。
がまがま水族館は、近頃ない盛況ぶり。
伝説の飼育員、おじい館長の教え子たちも駆けつける。
準レギュラー陣はもちろん、真帆&類まで。
お客様が皆明るいのが意外でした。
あまり悲しんでないなと(苦笑)。
その中で唯一悲しむ様子を見せたのは、類──
最後なんで一ついいですか?
一緒に写真撮ってください・・・がまがまのこと・・・忘れません・・・。
by 知念類『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
類は、空也とセットでがまがま水族館を好きだったのでしょうね。
印象的なシーンでした。
余談
がまがま水族館は閉館しますが、生き物の多くはティンガーラへ引き取られ、空也もティンガーラで働きます。
小学生が簡単にいける距離ではなくなりますが、ティンガーラでの空也と類のやりとりを見たいですね。
寄せ書きコーナーには多くのメッセージが。
入院中の愛梨ちゃんは、外出はまだ無理なのか来館できず、夏凛にメッセージを預けていました。
最後の日は、意外と呆気なく・・・
いいえ、いつも通り静かに運営。
ここに、がまがま水族館は48年間の歴史を閉じたのです──

それぞれの夢

閉館後、それぞれの進路を語り合う。
ここで、これまでの伏線が一気に回収されました。
悩んでいた空也もティンガーラに就職。
うん、男連中はサクッと一言で終了(笑)。
本作は女子がメインなのです・・・
久高夏凛の夢
思い切って言うけど・・・
私、ティンガーラに転職したいと思ってます!by 久高夏凛『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
私は浅はかでした・・・反省します・・・
8話(カニ回)ラスト、夏凛はくくるにエレベーターでこんなことを言ってました──
飼育員の夢を諦めたあの日から、理由を付けて自分を納得させることが上手くなったって言うか・・・
だから、理想のために突っ走ってるくくるを見ると、すごく羨ましい。
強いなって思う。by 久高夏凛『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第8話
私はてっきり、夏凛は、くくるを羨ましく思い応援したいと考えたのだと解釈しました。
にもかかわらず、次に夏凛が出てきた10話──幻を使って集客しようとするくくるを真っ向否定。
否定するのは納得できます。
不確定な現象に頼るなんて非現実的、そもそも幻が見えるなんて水族館ではありません(苦笑)。
引っかかったのは──くくるが”幻に頼るほど”焦っているのに、応援したいと思っていた夏凛は手助けしないのか? 何か代替案を一緒に考えてあげないのか? ということ。
夏凛がくくるを「応援したい」と解釈した、私が間違いでした(笑)。
夏凛はこのとき(8話ラスト)、もう一度自分の夢である飼育員を目指したいと思い始めたのです。
だから、先のセリフの後、夏凛はこう言っていたのです──
くくる:強くないよ。私はただ、私が諦めたら、がまがまは終わりだから。だから・・・私は、絶対に諦めない。
夏凛:諦めない・・・か。
by 『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第8話
諦めない、くくるを見て、夏凛はもう一度自分の夢に挑戦しようと考えたのです。
うどんちゃんの夢
私、一回まじめに料理の勉強してみたいんだよね。
by 照屋月美『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
くくると夏凛がティンガーラで働くことになりそうな話を聞き、うどんちゃんも刺激を受ける。
6話(かき氷回)ラスト、うどんちゃんは自分の夢を語ってました──
私も頑張ろー
いつか自分の店を持ったときのために、もっと料理のこと勉強しなきゃって。by 照屋月美『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第6話
このセリフは本気だったのです。
『白い砂のアクアトープ』は、くくると風花をメインに描かれますが、決して二人だけの物語ではありません。
それぞれの夢を描いているのです。
特に女性陣が主ですが(笑)。
夏凛は子供の頃から夢だった飼育員に再挑戦。
うどんちゃんも刺激され自分の店を持つための修行をしようと考え出す。
そのきっかけを作ったのが、くくる。
くくるの夢に向かってまっすぐ進む姿が、周囲に影響を与えていく。
『白い砂のアクアトープ』1クール目はそういう物語だったのです。
くくるの一生のお願い
ウミやんと空也の就職先も決まり、夏凛とうどんちゃんも夢へ向かって動き出す。
残ったのは、くくると風花。
打ち上げ終了後からは、二人について描かれます。
風花に一生のお願い!
もう一度夢を追いかけて!私のためにも。私の夢は終わっちゃったけど風花が頑張ってる姿を見たら、きっと私も頑張れると思うんだ。
今度は私が風花の夢を応援する。by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
出ました、くくるの「一生のお願い」!
風花さん引っかかってはダメですよ(笑)
風花は映画の話をまだ悩んでました。
最後にくくるに背中を押されて、再び夢を追いかけるのか・・・
振り返れば──
アイドルの夢が終わった風花が、がまがま水族館存続の夢を持つくくるを、応援すると約束した2話ラスト──

風花
──私の夢は終わってしまったけど、誰かの夢を応援することはできるから。
館長は諦めて欲しくないです。くくる
──私の夢を手伝って、風花。by 『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第2話
自分の夢は破れたが、誰かの夢を応援することはできる。
人の夢を応援することで、自分が元気になるのを風花は経験済み。
それは他でもない、くくるに元気を分けてもらったのだから。
だから風花は受けてしまったのです──
それで、くくるが笑ってくれるなら。
by 宮沢風花『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
1クールを経て、逆の構図になったのです。
くくるが気になって仕方がない
くくるのためにとやる気になった、風花のアイドル復活。
では、なぜ風花は東京行きの飛行機に乗らず、戻ってきたのでしょうか?

夢に破れ、亡き姉の事を考え、落ち込むくくる。
そんなくくるを見て、心配になる風花──
私、知ってる。
夢をなくした人が思い切り泣けるのは、一人になってから。今頃、きっと泣いてる・・・
やっぱり・・・
放っておけない!by 宮沢風花『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
風花は思い直し、搭乗直前でキャンセル。
くくるの元へと走り出す。
経験したから知ってる夢破れた時の辛さ。
立ち直ったから分かる傍の人の有り難さ。
風花がアイドル復帰話を受けようと思ったのは、くくるに背中を押されて。
くくるが元気になるのならと、ある意味、くくるのため。
でも、くくるを元気付けるのに必要なのは、アイドルになることではない。
今、傍にいてあげること。
いつでも近くにいるよと伝えること・・・
風花は、そのことに気付いたのではないでしょうか。
つまり、風花はアイドルに復帰するよりも、くくるのことが気になって仕方なかった。
だから──
ようやく自分の本当の気持ちが分かってスッキリした。
私の夢は、ここに来たとき終わってたんだ。by 宮沢風花『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
と言ったのです。
何がなんでもアイドルになるという気持ちは今はなく。
沖縄に来たときに、すでにアイドルは夢でなくなっていた。
今の風花にとり、アイドルになることは”その程度”になっていたのです。
推測
アイドルで成功し続けるには、頑張るだけでは足りません。
他人を蹴落としてでも生き残る根性が必要。
風花は、悟ったのではないでしょうか。
くくるのことが気になって、映画話よりもくくるを優先してしまう。
その程度の覚悟では、アイドルなんて続けられない。
だから、もう今の自分には無理。
「ここに来たとき終わってたんだ」の「ここ」とは沖縄のこと。
沖縄に来たとき、風花の夢は終わっていた・・・
要するに、仕事が減り「潮時じゃないか」と言われて、”簡単に諦めてしまった”時に、既に”その程度”だったのです。
そのことに、風花は気付いたのではないでしょうか。
描かれたのは二人の関係
『白い砂のアクアトープ』は、それぞれの夢を描くと同時に、くくると風花の関係が描かれます。
──それは、くくると風花が姉妹となる物語。
一番大きな伏線だった、くくるの姉妹について──
もしかしたらそれは、くくるの姉ねかもしれないよ。
がまがまが無くなってしまう前に、一目だけでもって、会いに来てくれたのかねぇ。くくるが成人したら、話すつもりだったけどさ。
くくるには、双子の姉妹がいたさ。でも、二人のうち生まれてこれたのは、くくるだけだったってわけ。
by おばあ『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
ここまで引っ張った謎が、唐突に、しかもサラッと明かされて驚きました。
もう少し盛り上げて使うネタだと思ってました(笑)。
なぜ、このタイミングで明かされたのか?
私は、風花がくくるの姉になる締めを描くためだと解釈しました──
もう一人じゃないよ。
私が、くくるのお姉ちゃんになる。by 宮沢風花『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第12話
おばあが、亡くなった姉のことをこのタイミングで話したのは、風花のこのセリフに繋げるためですね。
くくるは自分に姉妹がいたのではないかと、なんとなく気付いてました。
双子の姉がいたことを、今話、おばあにはっきりと伝えられます。
その姉が、ずっとがまがま水族館で、くくるを見守っていたかもしれないことも知ります。
だけど、がまがま水族館が無くなると、その姉の幻とも会えなくなってしまう。
くくるは、がまがま水族館の閉館だけでも落ち込んでいたのに、もう姉にも会えなくなる追い打ちをかけられたのです。
だからこそ、風花の「姉」宣言。
だからこそ、このタイミングで姉がいたことが明かされたのです。
意味深に触れられてきた、くくるの姉妹。
最大の謎だと思ったのは私の勝手な想像。
『白い砂のアクアトープ』にとって、亡くなった姉のことは、最大の謎でもなんでもなく、くくるにとっての風花のポジションだったのです。
もっと踏み込むと、風花が、くくるの姉になること、これが──
日の沈む頃に現れる射手座を目指しなさい。
いい出会いが待ってるはず。by 照屋さつき『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第1話
1話で占い師(うどんちゃんの母親)に示された「いい出会い」というわけです。
『白い砂のアクアトープ』1クール目は、風花がくくるの双子の姉に代わる話だったのです。
おわりに (『白い砂のアクアトープ』12話)
いや~いい最終回でした(笑)。
と言ってもいいような、1クールの締め回でした。
本編で私は『白い砂のアクアトープ』は夢を追いかける物語と書きました。
でも、風花の行動を見ると、こう言い換えることもできそうです──
── 『白い砂のアクアトープ』は ──
── 自分の”本当の夢”を見つける物語 ──
叶いそうもない夢にがむしゃらな、くくるを見て──
夏凛は、昔からの夢を捨てきれず。
うどんちゃんは、二人を見て刺激を受け、自分の夢を追いかけたくなる。
そして風花は、くくると過ごしたことにより、自分にとってアイドルはもう”本当の夢ではない”と気付いたのです。
これでようやく、風花は次の夢を探せるのです。
くくるの真っ直ぐな思いは、周囲には眩しく写り、刺激を与え。
くくるの大人げない行動は、少し大人びた人たちの心を奮い立たせた。
夢は人に頼まれて決めるものではありません。
他人の夢を自分の夢にするのでもありません。
夢破れ立ち直った、くくると風花。
二人は新しい夢を見つけられるのでしょうか。
それが、きっと2クール目の物語。
胸を張って生きられるような夢を見つけ、眩しい姿を見せてくれるでしょう。
以上、TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第12話の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
13話のレビューも書いてます。
良かったらご覧ください。
ではでは。
がまがま水族館、利活用すればいいのに・・・
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