こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第24話(最終回)、鑑賞しました。
『白い砂のアクアトープ』はP.A.WORKS制作のオリジナルアニメ。
沖縄の水族館を舞台に、2人の少女の絆や葛藤、成長を描く青春群像劇。
全24話の2クール放送。
2クール目は、舞台をアクアリウム・ティンガーラ水族館に移し、より本格的な「お仕事アニメ」になりました。
では、各話レビューをどうぞ。
(リンクは該当箇所へ)
※私なりの解釈を含め考察
白い砂のアクアトープ(全24話)各話リスト
話数 | サブタイトル | レビュー(R) |
12話以前はこちらからどうぞ | ||
第13話 | 海の遥かなティンガーラ | 各話R |
第14話 | ペンギンチェイサー | 各話R |
第15話 | ウミウシ大論戦 | 各話R |
第16話 | 傷だらけの君にエールを | 各話R |
第17話 | くつろぎ処 海月風 | 各話R |
第18話 | あかりの灯るとき | 各話R |
第19話 | さよならハイヒール | 各話R |
第20話 | 迷子のプランクトン | 各話R |
第21話 | ブルー・タートルの夢 | 各話R |
第22話 | 覚悟の帰還 | 各話R |
第23話 | 水族館の未来 | 各話R |
第24話 | 白い砂のアクアトープ | 本レビュー |
※リンクは各話レビューへ
感想レビュー 第24話 「白い砂のアクアトープ」

新エリアのオープン間近となり、忙しくなってきたアクアリウム・ティンガーラ。
くくるは、前日に開かれるティンガーラ・ウェディングの責任者として最終準備に取りかかっていた。
水族館を接点に、幻想空間を提供する。
その裏側を舞台にして喜怒哀楽が描かれる。
自分は何をしたいのか、藻掻いている内に見えてくる。
── 選んだ道を、自分の力で正解にしてあげなさい ──
理想と現実が相まみえ。
努力すれば全て思い通りになるわけではない。
一貫した問いかけに、各人が答えを出していく。
等身大の成長が、なんだか心地よい。
とても真っ当で、それでいて優しい。
働いている人、これから働こうとしている人に見て欲しい。
水族館ならではの仕事や生き物のこと。
もっと掘り下げて欲しい点はありましたが・・・
夢を叶える難しさと、それでも挑戦する意義。
好きが先か、身の丈が先か。
夢を仕事にするのが理想か、仕事の中から好きを見つけるのが現実か。
キャラクターを通して描かれる理想と現実。
本当の意味での、お仕事アニメでした。
新エリアオープンに向けた搬入
搬入は時間との勝負さぁ。
全力で作業に集中するよぉ。by 具殿轟介『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
夏アニメとして始まった『白い砂のアクアトープ』も24話、ついに最終回(涙)。
前話までで、くくるも風花も歩むべき道が決まったので、水族館らしい舞台裏をもっと見せて欲しいなあ、と思っていたら・・・来ました!
水族館の一大イベント、生き物たちのお引っ越し。
時間をかけると生き物たちにストレスがかかり、ミスをすると命に関わる。
念願の飼育員になった夏凛の手によって、最初の一匹と思われる魚が水槽へ放たれる。
そうです。
この搬入は、新しくオープンされる新エリアの生き物たちだったのです。
完成直後の水槽は一面青でキレイだが、生き物がいることでより輝いて見える。
やはり、水族館は生き物が主役。
生き物がいて初めて成り立つのです。
そしてそれは、幾人もの人の手によって作られている。
当たり前の事に気付かせてくれるシーンが、最終回を序盤から盛り上げてくれます。
飼育員ってホント体力勝負ね・・・。
by 久高夏凛『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
普段は、軽口叩いていた飼育部も、この時ばかりは真剣な顔。
1秒たりとも無駄にしないという気迫で、次々と生き物たちを搬入していく。
行きは壊れ物を扱うように、でもできるだけ早く、結果早足。
戻るときは、次の生き物を早く移すために、駆け足で。
クレーンを使った搬入、バケツを使った搬入、筒のような袋に入れて搬入。
どういう理由で、使い分けているのか知りたい程。
巨大なエイはどうやって運んだ?
全種類あのトレーラー1台に入ってたの!?
水族館はまだまだ知らないことが一杯!
生き物たち全て搬入できました。
お疲れさまでーす!by ティンガーラ館長 星野晃『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
皆の達成感ある表情、良きです!
余談
にしても、ウミやんが指揮を執っているのに驚きました(苦笑)。
部長はもちろん、チーフである薫を差し置いて・・・
ウミやんの経験を買われてか?
・・・私は閃きました!
ハワイでの研修生に選ばれた薫が飼育部を抜けるので、次のチーフ候補としてウミやんが先行して指揮を執っているのだと!
焼酎入りアイスを職場で作り、叱られていた頃が懐かしい(笑)。
管理者ではない唯一の大人として、ティンガーラに来てから、その存在が大きくなっていました。
そのウミやんが遂に昇級か~~
それとも、ウミやんは腰を痛めるので力仕事はできないから、指揮を任されている・・・なんてことはないですよね!?
ティンガーラ・ウェディング

裸足の結婚式ってこういうことだったんだ、面白い!
砂がサラサラで気持ちいいー。by 招待客『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
白い衣装で、白い砂浜のバージンロード。
親族、友達、愛しい娘と、生き物たちに囲まれて。
唯一無二の裸足の結婚式が始まった。
結婚式を水族館で挙げることでのサプライズ。
裸足で祝う意外性と、砂浜を裸足で歩く気持ちよさ。
完成したての「ホワイトサンドドーム」。
まだ誰もお客が入ったことのない新鮮味もあって、結婚式にはピッタリ。
生き物への影響を考え、装飾品は最小限。
記念撮影時には、餌を撒き、色とりどりの魚たちが背景に♪
ウェルカムボードに、メッセージカード、新郎新婦の子どもにはケープペンギンの着ぐるみ。
── 私、ウミウシだって。
── 後で見に行ってみようぜ。by 招待客『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
メッセージカードには、その人の特長を捉えた生き物が。
招待客に対して、生き物に興味を持ってもらう仕掛けだったのです。
しっかりしています(笑)。
最新鋭の水族館に、手作り感溢れるおもてなし。
「がまがま」と「ティンガーラ」が合わさったように感じたのは私だけ?
ティンガーラ・ウェディングのエピソードだけで1話できたのでは!?
水族館の未来

これが本当に生き物の為になっているのか?って時々悩むこともありますけど、心を込めて目の前のことを一つ一つやるしかないなって。
by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
くくるがやると決めたのは、営業を通して生き物のためになることをやる。(22話)
だけど、それが何かまだまだ分かってない。
ティンガーラ・ウェディングで関係者、参加者に喜んでもらっても──
新エリアオープンで、大勢のお客様に来てもらっても──
くくるは、自分がやってきたことが正解なのか自信がない。
これだけの成功を収めても、くくるが満足してないのは──これが”生き物のため”になっているのか分からないから。
だから久しぶりに会ったおじいに、素直に聞く。
今もまだ分かんない、営業に残って良かったのかどうか。
ねえ、おじい。
私・・・これから何をすればいいの?by 海咲野くくる『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
以前のくくるなら、飼育員一直線だったし、おじいにそんな質問はしない。
それにおじいだって、答えないでしょう。
なぜなら、やりたいことは自分で決めるもの。
ならば目指す道も自分が一番よく分かっているはず。
他人から気付きをもらうことはあっても、一から十まで教えてもらうことではない。
おじいが、くくるの問いにいつも生返事だったのも、そのためでしょう。
でも、今回は、はっきりと答える──
答えはもう、くくるの中にあるはずさ。
選んだ道を、自分の力で正解にしてあげなさい。by おじい『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
大きな括りで「生返事」とも言えますが(苦笑)。
でも、おじいがそう答えたのは、機が熟したから。
くくるの中に、自分がやるべきことを見出している、いや、やることを決めている決意を見たからに他ならない。
いつか誰かが水を怖がっていたペンギンにやったように、そっと背を押してやる──
自分がしている事が、本当にやりたい事なのか。
自分がしている事が、本当に正しいことなのか。
ティンガーラ・ウェディングを挙げた新郎新婦、ウェディングプランナー三浦の反応を見ても、新エリアオープンを迎えたお客様の長い列を見ても、くくるは満足してない。
くくるが目指すのは水族館の瞬間的な来場者数ではなく、その先。
1クール目でひたすら来場者数を上げるのにやっきになっていた館長代理時代とは大違いですね(笑)。
水族館の未来を頼んだよ。
by おじい『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
おじいは、くくるが何のために頑張っているのかを理解しているからこそ、水族館の未来を託した。
きっかけは何でもいいから、生き物に興味を持って欲しいと考えていたおじい。
生き物に興味を持ってくれた人が多くなれば、生き物のことを考えてくれる人が増える。
そのために一生を賭けたのが水族館。
水族館の飼育員が、おじいの思いを実現する場だったのです。
孫から子へ伝えられた、生き物への愛情。
果たして、くくるは水族館で何を目指すのか、何を成すのか。
今、この言葉で、おじいからくくるにバトンが渡されたのです。
余談
おじいは「伝説の飼育員」。
1クール目鑑賞時、私はてっきり、くくるは伝説の飼育員としての道を歩むのだと予想してました。
#浅はかですね(苦笑)
伝説の飼育員は、おじいが目指した、水族館、引いては生き物の未来を考え、貫いてきたスタイルの結果だったのです。
くくると風花
風花:でも今は違う。生き物も水もキラキラして見えるし、どこまでも遠くへ泳いでいけそう。
くくる:ここからまたスタートだね。風花:私、好きだなティンガーラ。
くくる:私も。この場所が、ここで働く人が、ここにいる全ての生き物たちが・・・水族館が好き。
by 『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
両親と共に居場所をなくしたくくるが、第二の居場所にしたのが「がまがま水族館」。

その水族館もなくし居場所が定まらなかった彼女が、ティンガーラに一年勤めてようやく自分の居場所を思えるように。
くくるが、がまがま水族館に代わる新たな居場所を見つけた。
キジムナー描写は、それを意味しているのではないでしょうか。
それは、決してくくると風花だけではなく、ティンガーラ自体が居心地の良い空間になったという証拠。
風花は、この後、ハワイへ2年間の研修へ旅立つ。
答えはきっと一つじゃない。
悩んでも立ち止まらない。同じ夢を見て、未来を探して、私たちにできることは、生き物のことを考え続けること。
by くくる&風花『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
場所は違えど、目的は同じ。
仕事は違えど、願いは同じ。
生き物のために歩き出す。
二人は自分がやるべきことを見つけたのです。
それは新たな夢。
正解は分からないし、回り道をしてしまうかもしれない。
でも、できることをやっていく。
それは「生き物のことを考え続けること」。
これが、くくると風花が出した答え。
くくる:でも風花って、ウチナー(沖縄)にピッタリの名前だよ。だって、この島は、風と花と珊瑚でできてる。
風花:風と花と珊瑚と・・・心。
by 『白い砂のアクアトープ』TVアニメ第24話
心とは・・・くくるのことですね。
「くくる」は沖縄の方言で「こころ」という意味です。
くくるが、風花の名は、風と花でできた沖縄にピッタリだと言ったので。
風花は、それにくくるの名を足したのです。
風花さん、最後まで粋でした♪
この二人の会話は、ずっと聞いていたいですね。
おわりに 総評

オススメ度 | B |
---|---|
原作 | アニメオリジナル |
ジャンル | 青春群像劇、お仕事アニメ |
放送情報 | TVアニメ(2021年夏)/全24話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
水族館という題材の珍しさから、仕事内容、心構え、経営の難しさ。
水族館で働く職員の心意気なんてものが楽しかった。
前半は、沖縄やがまがま水族館ののんびりとした空気感。
後半は、最新鋭の水族館で、少し今どきの職場での緊張感。
沖縄は海がキレイだから、わざわざ水族館に行かなくても良いと思ってました(失礼っ)。
が、海とは違う景色。
ダイビングとは違う、生き物たちとの出会い。
生き物の魅力を伝えようとする飼育員の苦労や努力が感じられ・・・
いや、それよりも生き物が好きという気持ちが伝わってきた本作。
一方、環境問題に興味を持たせておきながら、深掘りはせず。
水族館の役割としてどうしていくのかも提示せず。
水族館ド素人だったので、勉強になったし、興味を持った。
正解でなくても構わない。
2クールあったのだから、せめて水族館の意義をもう少し掘り下げて欲しかった。
そんな重い話にしなくても、折角水族館を舞台にしたのだから、もっと水族館の裏側を見たかったのが正直な感想。
◇◇◇◇◇
本作が主眼に置いたのは水族館ではなく、水族館を舞台にした少女達の成長。
私の汚れた心が、ついつい安易な盛り上げや、過激な展開を期待してしまい、勝手に肩透かしを食らってしまったと感じていたのも事実。
最初から”こういう作品”だと分かって見れば、もっと楽しめたのかも。
現実的だけど幻想的、儚くも美しい、優しくも力強い。
不安な展開でも最後は幸せな気持ちになれる作品でした。
描かれた内容は、水族館だけに特化したものではありません。
仕事や夢、やりたいことがある人に共通するメッセージ。
働いている人、これから働く人に見て欲しい。
本当の意味でのお仕事アニメ。
いや~~半年間、楽しませて頂きました。
以上、TVアニメ『白い砂のアクアトープ』第24話の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ではでは。
櫂よ・・・
パートナーがいない2年がチャンスだったのに(笑)