オススメ度 | B+ |
---|---|
ジャンル | SF、冒険 |
作者 | 篠原健太 |
出版社 | 集英社 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
時代は、宇宙への往来が当たり前になった西暦2063年。
5012光年の彼方から帰還を目指すケアード高校惑星キャンプB5班。
── 遭難から44日後 ──
第2の惑星シャムーアで、ほぼ全員が毒に犯され危険な状況に追い込まれたが、なんとか脱し食料と水を確保したカナタ達は、第3の惑星アリスペードへ向かう。
一方、母国では生徒の捜索が打ち切られ、1ヶ月が経過していた・・・
こんばんは。時文です。
TVアニメ『彼方のアストラ』鑑賞後、原作コミックを読みました。
今回は3巻の感想レビューです。
コミック3巻はTVアニメの5話中盤~7話終盤に相当。
TVアニメ 話数 |
サブタイトル | 原作巻数 (リンク先はレビューへ) |
1話 | PLANET CAMP(1時間SP) | 1巻 |
2話 | WILDERNESS | |
3話 | METEOR | 2巻 |
4話 | STAR OF HOPE | |
5話 | PARADISE | |
3巻(本レビュー) | ||
6話 | SECRET | |
7話 | PAST | |
4巻 | ||
8話 | LOST AND FOUND | |
9話 | REVELATION | |
10話 | CULPRIT | 5巻 |
11話 | CONFESSION | |
12話 | FRIEND-SHIP(1時間SP) |
本レビューでは、原作コミック3巻を取り上げます。
ストーリー全般についてのレビューは、TVアニメ感想レビューへ記載。
良かったらご覧下さい。

目次
はじめに
「アニメ」⇒「原作コミック」の順で見た感想レビューです。
本レビューはここでは、原作コミックとアニメとの違い、原作を読み初めて分かった情報についてレビューします。
次巻以降のネタバレはしてませんが、伏線となる箇所については含みを持たせた表現をしているので、気になる方はご注意下さい。
見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。
- ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
- 原):アニメではカットされたシーンに言及
TVアニメ 第5話「PARADISE」
原) アリエスの母親は真実を話そうとしていた
B5班の親が集まり、「失踪宣言」の手続きをすることになったシーン。
アニメでは丸ごとカットされていますが、原作では、アリエスの親に関する重要な情報が語られます。
解散した後、アリエスの母・エマは、教頭先生を追いかけ、アリエスとの親子関係について話します。
エマ:編入手続きの時にご相談させて頂いた件ですが・・・
教頭:アリエスさんとアナタのDNAが採取されたら本当の親子でない事がバレてしまうという件ですか。
by 『彼方のアストラ』原作3巻
アリエスとエマは本当の親子ではないことが、読者にはここで判明。
メンバーの中で唯一、親子関係が良好に見えた、アリエスの親が本当の親子関係でない事が(読者には)分かります。
これで、B5班メンバーの共通点が、親との関係ではないかと(読者へ)ほのめかされます。
更に、ザックとキトリーの親も・・・
原) ザックとキトリーの親は独身!?
続いて、ザックの父・ジェド、キトリーの母・オリーヴの二人のシーン。
これもアニメでは丸ごとカットされてます。
オリーヴ:お互い結婚もしてないのに、仕事でしょっちゅう会っているし、家は近所で子ども達同士も仲良し。
-中略-
ジェド:うちのザックと、おたくのキトリーちゃんが結婚する未来ならあり得るんじゃないか?
オリーヴ:つまんない冗談やめて。それが絶対にない事はアナタもよくわかってるでしょう。
by 『彼方のアストラ』原作3巻
ザックとキトリーの親が独身なことが判明。
そして、あれほど仲の良い、ザックとキトリーが結婚することは「絶対にない」と言い切る二人・・・
「有り得ない」でもなく「許されない」でもないのです・・・
凄い伏線になってますが、アニメでは二人の会話は丸ごとカット。
原作では、アリエスのことと連続で描かれ、意味深なシーンになってます。
しかも、この時のザック父の表情と言ったら・・・
ぜひ原作コミックでご確認下さい。
それにしても、キトリー母の口調は、キトリーそっくり!
#反対ですね(笑)キトリーが母親そっくりなのです。
あまりに似ているので、真剣なシーンなのに、ニヤリとしてしまうシーンになってます。
ぜひ、ここも読んで欲しい!
宇宙で描かれるメンバーの素性が次々と判明。
これまでカナタ、アリエス、キトリー、フニシア、ザック、ユンファの6名の事情が判明。
この6名に刺客の可能性が低いと安心していたところに、親側から何かあると思わせる伏線。
巧みです!
その後原作では(アニメ化された)ルカの父であるマルコ・エスポジト議員が記者に詰め寄られるシーン。
ここまでずっとシリアス路線。
場面が変わり・・・
親たちの心配をよそに、水着で海を堪能しているアリエス達の水着シーンです(爆)。
この切り替わりと落差が『彼方のアストラ』!
落差については、食料や水に気を配る漂流生活なのに、まるで楽園の惑星アリスペード。
ここに到着するシーンは後で振り返り、いきなり海を満喫しているシーンを持ってきているのが構成の妙ですね♪
原) ウルガーも友達
ルカとウルガーが釣りをするシーン。
アニメではウルガーが、初めて自分自身の父親のことに踏み込んで話をしました。
原作では更に、兄のこともこの場面で話してます。
兄が死に、一人になったと感じているウルガー。
それに対してのルカの言葉が温かい。
(唯一の味方だった兄を失ったと説明後...)
ウルガー:これで俺は正真正銘の一人だ。ルカ:何言ってんだか。ウルガーさんだけっすよ、そんな事言ってんの。
ウルガー:あ?
ルカ:これだけ一緒に色んな目にあって仲間だと思ってない訳ないでしょ。ウルガーさんがどう思うとオイラたちは友達だと思ってますよ。
by 『彼方のアストラ』原作3巻
ルカの真っ直ぐで温かい言葉に、ウルガーは少し頬を弛めます。
このセリフがあるから、銃を突き付けられた時、ルカがウルガーに「友達だと思ってたのに!」と言うセリフにウルガーが怯む様子に繋がると思うのですが。
アニメでも見たかった!
ア) ルカの父親は政治家
ウルガーが、ルカの父親はエスポジト議員だと知るシーン。
ルカのセリフがアニメと原作では違います。
TVアニメウルガー:お前の父親の職業は何だ?
ルカ:政治家っすよ。あれ?前に言ってなかったっけ?
by 『彼方のアストラ』TVアニメ5話
原作ウルガー:お前の父親の職業は何だ?
ルカ:政治家っすよ。前に言ったでしょ。
by 『彼方のアストラ』原作3巻
これは、最初の自己紹介をTVアニメと原作では変更したから、その辻褄を合わせるために修正しています。
TVアニメでは1話終盤、皆で手を繋ぎながら自己紹介をします。
#これはアニメオリジナル。詳しくは1巻レビューのこちらをどうぞ。
ウルガーはいた ⇒ ルカはファーストネームしか名乗ってません
ウルガーの前での自己紹介では、「ルカ」としか言ってません。
ちゃんと辻褄を合わせてますね。
他のメンバーがフルネームを言ってて、ルカだけがファーストネームだけだと不自然。
が、ユンファもウルガーも、フルネームを名乗ってないので、不自然ではありませんでした。
ユンファが言わない理由はお分かりですよね?
ラストネームを言わないことで、ルーシー・ラムの娘だと分からないようにするため。
超有名歌手ルーシー・ラムの名前は1話の空港シーンで、なんども表示される広告の中に掲載されています。
アニメ鑑賞時、ルカの父親が政治家であることを「前に言ってなかったっけ?」と言うセリフがどうも引っかかっていたのですが、原作を読んでスッキリしました。
TVアニメ 第6話「SECRET」
原) 惑星アリスペードに陸上生物がいない理由
地震で津波が発生し、船へ逃げたカナタ達。
シャルスが惑星アリスペードの生態系について仮説を立てます。
津波地震。
規模の小さな揺れでも大きな津波が起きる場合がある。
ここは津波地震が頻発する惑星なのかもしれない。鳥と魚はいるけど、陸上生物がいないのは、陸地が波に襲われるせいで進化しないからだ。
by シャルス『彼方のアストラ』原作3巻
楽園かと思われた第3の惑星アリスペード。
少し前に、シャルスは惑星アリスペードの生物は「全て単為生殖」と言ってました。
単為生殖
遺伝子の組み合わせではなく、コピー。
いわゆるクローンを作っていく生物のこと。
コピーということは進化がないとも言えるので、そんな生物が生き残っているのは、生物にとっても楽園だと思っていた・・・
が、実態は、陸上生物が津波によりいないため、進化が止まっていた惑星なのでした。
これまた興味深い設定ですね。
ア) ルカが舌を出す
ルカの体の秘密、男女どちらの性も持っている事が明かされた後。
ウルガーがルカの胸ぐらを掴み、ルカが「あっ」と言ってウルガーが手を話すシーン。
その後、ルカの顔のアップになり、ルカが舌を出すシーン。
これはアニメオリジナルカットです。
原作では、シャルスが突っ込んでいるので、ルカがウルガーをいじっているのだろうと、分かるのですが・・・
アニメのこのカットで、ルカ自身もイタズラ心で、ウルガーをいじっているのが理解できますね。
上手い、オリジナルカットです。
TVアニメ 第7話「PAST」
6話も少なかったですが、7話はアニメオリジナルはほぼなし。
また、原作のセリフまで比較すると一部カットされていますが、展開を理解するのに支障がないレベル。
6話、7話はほぼ原作通りのアニメ化でした。
おまけ:GRAPHIC SHIP’S LOG 4コマ船内日誌
3巻も巻末に四コマ漫画が収録。
船内での楽しそうな様子が伝わってきます♪
ザックの趣味
本編には出てきませんが、四コマ漫画ではザックの趣味が出てきます。
どうやら、ザックはユンファの母であるルーシー・ラムのファンのようで・・・
珍しくグイグイいくザックが新鮮です♪
ユンファと言えば
船内で女子だけになると、最近流行っている?のは恋バナ。
恋バナの話題(餌食?)にされるのは、本編でもあったように、アリエスとキトリー・・・
対してユンファは話題になるネタがないので、アリエスは何かないかと彼女を攻めます。
はぐらかすユンファに、最終兵器「ビーゴ」が!!
ビーゴは、手にはめた人が、考えている事を、言葉にしてくれます。
その結果は・・・
仲の良い女子チームでした(笑)。
いじられウルガー
本編で、ウルガーがルカの胸ぐらを掴んで、ルカに「きゃっ」とか言われ怯むシーン。
本編では、いきなり胸ぐらを掴むシーンになりましたが、そこへ至るシーンが四コマ漫画で描かれます。
四コマ漫画に相応しいネタです(笑)。
おわりに (原作コミック『彼方のアストラ』3巻とは)
それにしても原作を読みながらアニメを確認していると、声優さんの演技が上手いこと上手いこと♪
『彼方のアストラ』のセリフは結構、変なセリフ(擬音)があります。
キトリーの激しい喜怒哀楽演技に、アリエス独特の返し。
変なセリフと言うと、3巻はアリエスの反応でしょうか。
- 水着をキトリーにいじられて、「ほえ?」
- カナタのことを尋ねられて「何です?」のアクセント!
- キトリーに、カナタに告白するのか突っ込まれ「ふぎゃあ」
確かに、原作からして、こういうセリフ(文字)なんですよねー
普段耳にしない言葉をとても自然に演じてらっしゃる。
もう、セリフがこの言い方、アクセントでしか聞こえません(笑)。
さすがです!
後は、シャルスのセリフや笑い声も面白く独特ですし、変態っぽさが出てますよねーー(褒めてます!)
他の声優さんもバッチリです。
声優さんのプロ技も相まって、メンバーの仲の良さ、底抜けの明るさ、一転して変わる緊張感と疑惑。
ホント上手くアニメ化されていますね~~
声優さんの演技がつくことがアニメ化の魅力の一つ。
絵でしか見れなかったキャラクターが、動き、声を出し、声優さんの演技で血が通う。
『彼方のアストラ』がアニメでも見れて良かったです♪
以上、『彼方のアストラ』原作3巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
原作4巻のレビューも書いているので良かったご覧下さい。
ではでは。
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