彼方のアストラ

原作コミック【彼方のアストラ】4巻 感想レビュー いよいよ明らかになる抹殺計画の真相?!「解明編」

彼方のアストラ
オススメ度 A
ジャンル SF、冒険
作者 篠原健太
出版社 集英社
ストーリー
設定
世界観
感情移入
これまでのあらすじ

時代は、宇宙への往来が当たり前になった西暦2063年。
5012光年先の彼方へ飛ばされたケアード高校惑星キャンプB5班は帰還を目指す。

── 遭難から74日後 ──

第4の惑星イクリスに辿り着くも、謎の生物の襲撃と突風のせいで、宇宙船アストラ号が航行不能に。
この惑星でずっと過ごしていくのかと諦めかけていたとき、もう1機のアストラ号を発見する。

こんばんは。時文です。
TVアニメ『彼方のアストラ』鑑賞後、原作コミックを読みました。
今回は4巻の感想レビューです。

コミック4巻はTVアニメの7話終盤~9話に相当。

TVアニメ
話数
サブタイトル 原作巻数
(リンク先はレビューへ)
1話 PLANET CAMP(1時間SP) 1巻
2話 WILDERNESS
3話 METEOR 2巻
4話 STAR OF HOPE
5話 PARADISE
3巻
6話 SECRET
7話 PAST
4巻(本レビュー)
8話 LOST AND FOUND
9話 REVELATION
10話 CULPRIT 5巻
11話 CONFESSION
12話 FRIEND-SHIP(1時間SP)

本レビューでは、原作コミック4巻を取り上げます。

ストーリー全般についてのレビューは、TVアニメ感想レビューへ記載。
良かったらご覧下さい。

彼方のアストラ
TVアニメ【彼方のアストラ】1~12話(最終話) 感想レビュー 困難が団結を!団結が絆を!絆が生き方までを変えた!TVアニメ『彼方のアストラ』感想レビュー。ギャグありミステリーありラブコメあり。絶妙なバランスと計算して作られた「近未来SFサバイバルミステリー」 前半の「はじめに」は【ネタバレなし】後半の「感想レビュー」は【ネタバレあり】で魅力を紹介します。...

はじめに

本レビューは「アニメ」⇒「原作コミック」の順で見た感想レビューです。

ここでは、原作コミックとアニメとの違い、原作を読み初めて分かった情報についてレビューします。

次巻以降のネタバレはしてませんが、伏線となる箇所については含みを持たせた表現をしているので、気になる方はご注意下さい。

見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。

  • ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
  • 原):アニメではカットされたシーンに言及

TVアニメ 第7話「PAST」

惑星イクリスでもう一機のアストラ号・アーク6号を見つけたところで、原作3巻は終了。
艦内に入るシーンから4巻です。

第7話は原作5巻に相当する箇所は短く、原作に忠実でほぼ同じです。

TVアニメ 第8話「LOST AND FOUND」

原) カナタはなぜポリ姉を起こしたのか?

アーク6号の冬眠装置に眠っていたポリ姉。
カナタはためらうことなく、スリープ状態の彼女を起こす。

アニメ鑑賞時、私は「カナタはなんてことするんだ!」と思いました

スリープ状態に入っているということは、助けを待っているということ。
#ザックがキトリーに言っているセリフから明らか

カナタ達のアストラ号は航行不能。
ポリ姉を起こしても、助けることはできないのです。

にも関わらず起こすなんて、とんでもない奴だと思ってました(苦笑)。
アストラ号の故障部分を交換して復旧できる可能性があると分かったのは、その後のこと。
結果論ですからね。

原作には、アニメではカットされたカナタのセリフがありました。

ポリ姉が話せるようになり、カナタ達のアストラ号も航行不能であることを告げ、ポリ姉が気を失ったとき。

ぬか喜びさせて申し訳なかった。
何かヒントが見つかればと思ったけど・・・

体力を回復させて本人が希望すれば、またスリープに入ってもらおう

by カナタ『彼方のアストラ』原作4巻

カナタは、自分勝手な都合でポリ姉を起こしたのではありませんでした。

これからこの惑星イクリスで生きていくに辺り、または助かるヒントを得る為に、何か情報を持っていないかポリ姉に確認をしたかったのです。

状況が変わらなければ、ポリ姉の希望を聞いて、再びスリープに入ってもらうつもりで。

ポリ姉がいた冬眠装置は、何度でも使える仕様なのか?
そうでなかったとしても、カナタ達のアストラ号の冬眠装置が1台使えたので、そちらの提供も視野に入れていたのでしょう。

カナタさん疑ってスイマセンでしたっ!

原) 船のドッキングはポリ姉がいたから成功した

2機の宇宙船の無事な部分を入れ替え復活したアストラ号。
アニメ鑑賞時、相変わらずとんでもないスキルを発揮する高校生達だと思ってました。

原作を読んで分かりました。
復旧がうまくいったのは、どうやらポリ姉の力が大きかったようです。

アニメではカットされてましたが、原作のセリフの端々にポリ姉の貢献度が伺えます。

ザック:(船体だけなら)どうにかつながった。(コントロール系統はまだだが。でも)何とかなりそうだぞ。(わからない事はポリーナさんに聞く。彼女は機関士だったそうだ。)

-中略-

ポリーナ:良かったわ。船のドッキングうまくいきそうなのね。

ユンファ:はい!(ポリーナさんに色々教えて頂いたおかげだとザックくんが言ってました。)

※()内がアニメではカット

by 『彼方のアストラ』原作4巻

だからシーンが変わって、成功の報告をするとき、カナタは・・・

諸君!

我らがザック君と新しい仲間ポリ姉の尽力により、ドッキングは無事成功だぜ!

by カナタ『彼方のアストラ』TVアニメ8話

ポリ姉は体力が回復してなくても、早々に役立っていたわけですね。

原) 植物に心臓?

自転周期と公転周期が一致している惑星イクリス。
太陽の位置が変わらず、太陽に向いた側は常に灼熱、向いてない側は常に極寒。

惑星イクリスの植物は心臓に似た器官を持っていて、ゆっくりだけど移動できる種類もあるという。
原作ではもっとガッツリ説明がされてます!

キトリー:それってまるっきり動物じゃない!

──アニメ化はここまで──

ところが光合成もしてる。その点は植物に近い。
つまり植物でもあり動物でもあるんだ。

太陽の位置が変わらない環境だからこそ、自らが動く必要性が出てきた

心臓や筋肉が進化し、その運動能力はやがて昆虫型生物の積極的補食にまで至った。

あくまでボクの推論だけど。

──後略──

by シャルス『彼方のアストラ』原作4巻

この惑星独特の設定を使い様々な出来事を創出してます。

太陽の位置が変わらない設定から創出されたコト

  • 植物が自ら動き太陽光を加減する
  • 極限の進化をし、食虫植物の進化形を作り出した。
    ⇒その食虫植物がアストラ号を襲い、故障のキッカケに
  • 大部分が灼熱と極寒のエリアになるので、人が着陸するエリアが限られ、アーク6号を見つけるのを自然な流れに

ロジカルな根拠と展開への取り組みが巧い!

原) ザックの父親

ザックとキトリーの会話。

ザックの父親の話になると、キトリーは「お父さんのことあんまり好きじゃないよね」と言い出しました。
アニメを見た時、キトリーはザックと幼馴染みで、お互い子供の頃から知っているので、そう言い切ったのだと思ってました。

原作では、この時、ザックはもう少し踏み込んだ発言をしています。
それに対して、キトリーは返したのです。

キトリー:けっこう有名だったでしょ。すごい研究してるって。

ザック:記憶移植だ。惜しいところまで行ったみたいだが、移植(を成功させる)には高いハードルがあって(実用には至らなかったんだ。若い頃はもてはやされていたらしいが、今は世間から忘れられた科学者だ。天才には変わりないがな)。

キトリー:ザックはお父さんの事、あんまり好きじゃないんだよね。

--中略--

ザック:研究が父さんを変えてしまったんだ。(若い頃に夢見た成果はいまだ得られず、医者と組んで今もすがりついている。)オレはああはなりたくない。

※()内がアニメではカット

by 『彼方のアストラ』原作4巻

「今や世間から忘れられた科学者だ」とまで言い切ったので、キトリーは「あんまり好きじゃないんだよね」と言ったのです。

そして、このやり取りの中には幾つかの伏線が張られています。
#原作4巻中盤、TVアニメ9話へ向けての伏線

  • 記憶移植をするには高いハードルがある
  • 今は世間から忘れられた科学者
  • 今も医者と組んで成果を出そうとしている

解説は後ほど。

ア) (構成変更)ポリ姉の願いが先に

キトリーとザックが結婚の約束をした後の構成がアニメと原作では大幅に違います

アニメ
  1. (8話)キトリーとザックが結婚の約束
  2. (8話)ポリ姉の仲間が消息を絶った場所へ
  3. (8話)惑星イクリスを出発
  4. (9話)(宇宙で)DNA検査
原作
  1. キトリーとザックが結婚の約束
  2. 外が吹雪、フニが低体温症に (アニメではカット)
    #このエピソードについては後述
  3. フニの介抱をしているときに、ポリ姉から「本当の姉妹」と言われる
  4. DNA検査
  5. キトリーとフニの関係が判明
  6. 自分たちの境遇を受け入れ、戻る決意をする
  7. ポリ姉の仲間が消息を絶った場所へ
  8. 惑星イクリスを出発

ポイントはDNA検査をどこでしているか

アニメでは惑星イクリスを出発した、宇宙。
原作では惑星イクリス滞在中。

原作では、皆の出自が分かってから、アーク6号のクルーが消息を絶った所へ探索に。
だからこそのポリ姉のセリフだったのです。

ごめんなさい。
補給も終わってすぐにでも出発したいでしょうに

by ポリーナ『彼方のアストラ』TVアニメ8話

DNA検査で「ある事実」は分かったものの、それ以上の事実は宇宙にいては分からない。
早く戻って、事の真相を確かめたいだろう子ども達の気持ちをおもんばかってのポリ姉のセリフだったのです。

とは言え、このセリフに違和感を感じたわけではないです。
原作を読んで、このセリフの本当の意味を理解できました、と言う意味です。

また、アニメ構成を変えたのは、8話ラストの引きを盛り上げ、本作一番の見せ場であるDNA検査結果を9話1回で一気に描くためだと思われます。

アニメ9話鑑賞時、真相解明シーンにポリ姉がいないのは何故だろうと思ってました。
#キトリーが「全員集めるなんて大げさじゃない?」とか言ってたし・・・

まあ、個人のアイデンティティに関わる超デリケートなことだから、ポリ姉が気を遣って席を外していたのだろうと解釈。

その割りには最初皆が集まったとき、カナタとザック以外は気楽な雰囲気だったので少し違和感あったのですが(苦笑)。
ポリ姉の仲間のIDを手に入れたり、パーティをやるとか全員で和気藹々していただけに・・・ね。

原作を読んで判明。

まだポリ姉は完全回復しておらず医務室だったのです。
アニメは構成を入れ替えたので、少ししっくりしなかったのですね。

それと原作では、彼ら彼女らの出自が分かった後、思いを巡らすシーンがアストラ号だけでなく、惑星イクリスのあちこちで描かれます。

このシーンが切なくも幻想的なので、ぜひ原作でご覧下さい。

原) 12年でスーツは進化した?

ポリ姉の体調も良くなり、宇宙服を着て、船外へ出られるように。

アニメでは全然説明されていませんが、明らかに皆のクラストスーツと、ポリ姉の宇宙服は違いますね。

アニメ鑑賞時、12年で随分進化したんだなーーと思ってました(笑)。

原作では、ポリ姉が驚いてます。

ポリ姉:あなた達の宇宙服はずいぶん薄くてカジュアルなのね。驚いたわ。

シャルス:クラストスーツ。薄くて柔らかくて丈夫で硬い。矛盾を可能にした素材なんです。

ポリ姉:私が寝てる間にずいぶん進歩したのね。

by 『彼方のアストラ』原作4巻

ここも、後の伏線になってます。

ア) 反重力シューズ復活

カナタの反重力シューズ。
壊れたのはアニメオリジナルです。

原作では壊れてません。
#詳しくは1巻のレビューをどうぞ。

アニメ8話終盤で、復活します。
「アーク6号の部品を使って」と、上手くストーリーに溶け込んでます。

原作では、スーツの上から無理に履くことにしました。

カナタ:お、なんとか履けた。スーツの上から反重力シューズ

ルカ:自動フィット機能の上限ギリでしょ。靴の上から靴履くとかイカレてんすか?新しいオシャレのつもりでしょうけど、クソダッセーすよ。

カナタ:言い方、荒いな!いざって時の備えだよ。ドラポンの時も今回もこのシューズ履いてりゃ、もっと楽だったなと思ってよ。

by 『彼方のアストラ』原作4巻

ルカの言い方が荒いのは、置いといて(笑)。

原作では反重力シューズは壊れていたのではなく、カナタが地上で愛用していたシューズと言う設定。

だからクラストスーツ(宇宙服)を着ていた各惑星での活動時、履けなかったのです。

それを備えのために、クラストスーツの上から履けないか試したわけですね。

原) フニが低体温症に

惑星イクリスで、外が吹雪になったエピソードはアニメでは丸々カット。

フニとカナタのスーツに変な植物が入り込み、スーツの温度調整が動かなくなった。
フニを連れて戻ったカナタ。

フニが経度の低体温症になっていたが、カナタはクルーに適切な指示を出す。
それを見ていたポリ姉は一言・・・

「お見事」

by 『彼方のアストラ』原作4巻

ポリ姉が使っていた医務室で、キトリーがフニの低体温症の処置をする。

そこで、クルーや家族の話になり、フニがポリ姉は自分の母親に似ていると言い出す。
「キレイで色が白くて」・・・

キトリーは、フニの母親が色が白い人だと初めて知る。

その会話を聞いて、アニメでもあった、ポリ姉のセリフなのです。

そうだったの。てっきり本当の妹かと思ってたわ。

だって・・・そっくりなんだもの

by ポリ姉『彼方のアストラ』TVアニメ8話

キトリーも考えてみれば、フニは自分の子供の頃にそっくりと気付く。

偶然にしては、肌だけではなく、髪の色、目の色も同じ・・・
だから調べることにしたのです。

アニメでは、ポリ姉に輸血するときに血液型を調べたのがキッカケ。
これはこれで説得力ありますね。

10歳児のフニから輸血をしていいのかは分かりませんが(笑)。

TVアニメ 第9話「REVELATION」

原) 記憶移植はクローンでなくはならない

アニメを見た時、引っかかっていたのが、なぜ移植対象がクローンなのか

この世界では、クローン人間は重罪。
それがバレそうになり、抹殺計画を実行した位、避けたい重罪。

それほどの重罪であるクローンを、なぜ移植対象としたのか。

気持ちは理解できますよ。
他人の体よりも、同じ遺伝子(体)の方が何かと都合良い。

だけど、中には、自分の体のここが気に入らないから、理想の体を求めるとかなかったのか。

全員とは言わないまでも一人位、本当の子供や、兄弟、他の子供を(養子をもらうようなイメージで)なぜ移植対象としてなかったのか

本作では、全員がクローンを移植対象として選択していたのです。

これが、アニメ鑑賞時に一番引っかかっていたことでした。

原作では、ザックの説明の中にしっかり理由が語られてました。

オレの父が研究しているのは記憶の移植だ。

──アニメ化はここまで──

-中略-

だが、オレが盗み見た研究資料では移植を成功させる為には、一つ厳しい条件があった。それは、同じ遺伝情報を持つ体同士のみ可能という事。

(補足)自然界で同じ遺伝子になるのは一卵性双生児のみ

双子の片方に記憶移植をする人間なんているはずがない。移植される側は人間としては死ぬからだ。

この大発明は、使い道がないと言う結論に至った

でも、移植目的のクローンを作ったとしたら?

by ザック『彼方のアストラ』原作4巻

ザックの父親が研究していた記憶移植は、同じ遺伝子を持つ体でないと成功しないのです。

だから、投獄レベルの重罪でも、記憶移植をして若返りをするためにはクローンが必要だったのです。

これが、B5班メンバー達であるクローンが作られ、一斉抹殺されることになった理由だったのです。

さらにこれは、先のザックのセリフにあった伏線の答えにもなってます。

再掲
  1. 記憶移植をするには高いハードルがある
  2. 今は世間から忘れられた科学者
  3. 今も医者と組んで成果を出そうとしている

①高いハードルは、同じ遺伝子情報を持つ体同士という条件。

②今は世間から忘れられた科学者だけど、③医者と組んで成果を出そうとしているのは、法に触れるので世間に公表せず、若返りをしたい同志を募り結果を出そうとしている。

それは、研究者として研究を成功させたいのか、それとも自ら若返りたい欲求からか──

いずれにせよ、この研究が今回の事件の発端なのです。

アニメでも、簡単で良いので説明欲しかったですね。

原) 全員クローンの証明になってない

原作では、自分たちがクローンだとは、そう簡単には信じません。

確かに、キトリーとフニ、二人はクローンと証明されました。
でも、それは義理の姉妹であるキトリーとフニがクローンだったと証明されただけ。

色々思い当たることはありますが、キトリー母とキトリーが同一遺伝子だと証明されたことにはなりません。

「全員がクローン」だと推測したのは、ザックの父親の記憶移植と、そう考えると色々辻褄が合うから。

原作では、他のメンバーもDNA検査をします

オリジナルと思われる親のDNAが残っている物を持っていたので、検査したのです。

  • ザックが見つけた父の携帯灰皿に残っていた吸い殻。
  • 母の旅行用歯ブラシを間違って持ってきてしまったユンファ。

#なんで、そんな物、持っているんだーーと思いましたが(笑)

二組のDNA検査をしても、結果は同じ。

9人の内、3人がクローンだと証明され、偶然集まったなどとは考えられない
故に、全員クローン説を信じるしかかなったのです・・・

原) 記憶移植の適齢年齢が設定されていた

これもアニメ鑑賞時引っかかっていたこと。

あれだけ若返りにこだわってたオリジナル達。

抹殺するより、高校生と若いが記憶移植をしてしまい、オリジナルの体を処分し、高校生として第二の人生を歩めば良かったのでは?

きっとこれまでに大金も費やしたことでしょう。
少なくとも一人位はそんな選択をする人がいても良いのでは?

その点についても原作では説明がありました。

全員がクローンだと分かったシーン後。
場面が変わり、親たちがVIPルームで密談中の時の会話。

カナタ父:もう一度聞くが、遺伝子採取前に記憶移植を済ませてしまう事は本当に不可能だったのか?

ザック父:ええ、無理でしたね。記憶移植が可能な肉体年齢は22歳から34歳がベスト。彼らの肉体ではまだ幼かった。仮に移植が失敗すれば、我々自身も死ぬ事になる。慎重を期すなら、やはり処分するしかなかったでしょう。

※アニメでは全文カット

by 『彼方のアストラ』原作4巻

なんと、記憶移植が可能な、移植先の肉体年齢に条件があったのです。

なかなかしっかりした設定ですねーー
でも、納得です。

原作を読んでスッキリしましたーー!

原) ルカの両性は遺伝子操作

9名はクローンであることが判明。
クローンとは遺伝子が全く同じ、つまりコピーですね。

では、ルカはどうして男女両性だったのか。

ルカのオリジナルである芸術家が「男女両性」に憧れていたことから、自身は「男女両性ではない」ことが読み取れる。

原作では説明がありました。

キトリー(オリジナル):相当こだわりがおありでしたものね。(アナタのリクエスト相当大変でしたのよ。)男女両性のクローンが欲しいだなんて。

(この天才医師の遺伝子操作でなんとかやってあげましたけどね。)

ルカ(オリジナル):そりゃどうも感謝してます。

※()内がアニメではカット

by 『彼方のアストラ』原作4巻

オリジナルから要望があって、キトリー母が遺伝子操作までして男女両性にしたのです。

そうまでして作ってくれたので、ルカのオリジナルはキトリー母に「感謝」したのです。

遺伝子操作したら、同じ遺伝子情報ではなくなる気もしますが・・・
まあ、その程度なら問題ないという判断なのでしょう(笑)。

原) クローン罪だけでなく殺人罪も

クローン技術が確立したこの世界では、クローンを作ることは重罪設定。

今回の場合は、更に罪が重なるようです。

クローンを生むだけでも重罪なのに、体の乗り換えが発覚したら殺人罪に問われるだろう。

オリジナル達にとっては、震え上がるほど危うい法律だったわけだ。

by シャルス『彼方のアストラ』原作4巻

記憶移植するということは、相手の「人間としての存在を殺す」と言うこと。
つまり、クローンを作っただけでなく、そのクローンを殺す意志があったということ。

殺人を計画した殺人未遂に問われるわけですね。

ア) 惑星イクリス無事出発おめでとう ポリ姉歓迎 & ザックとキトリー結婚おめでとうパーティー

9話終盤。

ザックとキトリーの結婚発表をするところまでは原作通り。
パーティーはアニメオリジナルです。

原作本編ではルカが絵を書くシーンはなく、器用だけど絵が上手いと言うのは描かれてません。
が、巻末のオマケでルカの絵の上手さも描写されてます。
その特技を活かすシーンになってますね。

特徴を捉えた絵は、上手いだけでなく微笑ましく、そして、彼ららしいし『彼方のアストラ』っぽいですね。

おまけ:GRAPHIC SHIP’S LOG 4コマ船内日誌

今回も巻末に四コマ漫画が収録。
本編は深刻な状況が多かったですが、船内での相変わらず楽しそうです♪

確かにスカート短い・・・

カナタの前で、キトリーが前屈みに。

キトリーはカナタに「パンツ見たでしょ!」と詰め寄る。
カナタは”珍しく”気を遣った返答をします

カナタがこんな気を遣うなんて・・・意外でした(笑)。

メンバーの攻めとツッコミが楽しい

今回もメンバーは色々攻めます♪

  • 「余ったオヤツを誰が食べるかの決め方」を決める。
    ⇒お互い容赦ない攻防が・・・
  • ポリ姉に質問攻め。
    ⇒まだポリ姉が知らない事実を使って・・・
  • ポリ姉に、アーク6号のことを聞くザックに、キトリーは攻める・・・
    ⇒ヤキモチ?でもその攻め方はどうかと思うよ・・・

ポリ姉への質問攻めでは、ルカが素性を知られる前に・・・誘うのが上手い!?

私の彼は理屈好き

はい、おザックさんのことです。

キトリーがザックに「私たちって「付き合ってるって事よね?」」と問う。

その答えは・・・
四コマ漫画史上、最も長いセリフでは!?

おわりに (原作コミック『彼方のアストラ』4巻とは)

『彼方のアストラ』原作は次の5巻で完結。

4巻では、序盤から投げかけられていた最大の謎、B5班の9名が狙われた理由が判明。

あとは地球を目指すだけだと思ったら・・・。
目的地は地球ではない!?

アストラ号が向かっているのは「惑星アストラ」。

今まで感情移入して見てきた9人のクルーが異質に見えた瞬間・・・。

私たちの知っている地球の近未来が舞台だと思っていたが、それはポリ姉だけ?
カナタ達は地球人ではない!?
それにしては、カナタ達は、あまりに地球ぽい会話、同じ価値観、同じ感覚・・・。

でもそう言えば・・・フラッシュバックする違和感──

銃は100年前に撤廃?、世界統一政府?

ポリ姉と一緒に行動することになってから更に顕著に。
ポリ姉の宇宙服との12年とは思えない程の技術進化。
ポリ姉がユンファに問いかけた「何も起きてないの?」。

まだ、『彼方のアストラ』は終わってません。
が、確実にラストに近づいている。

期待の最終巻。
楽しみです。

以上、『彼方のアストラ』原作4巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

原作5巻のレビューも書いているので良かったご覧下さい。
ではでは。

きょうのひとこと

人はペットやロボット、食用家畜にですら情が移るのに・・・
同じ遺伝子でもえらい違いだ。

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