オススメ度 | A+ |
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原作 | コミック |
ジャンル | 美術、青春群像劇 |
放送情報 | TVアニメ(2021年秋)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
原作コミック未読。(アニメ最終話鑑賞後、読了)
TV放送録画にて鑑賞。
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『ブルーピリオド』最終話まで鑑賞しました。
原作は『月刊アフタヌーン』連載中の山口つばさ先生の漫画。
2020年には「マンガ大賞2020」と第44回「講談社漫画賞」を受賞。
コミックは11巻まで刊行。(アニメ放送時点)
今回、アニメ化されたのは1~6巻まで。
毎話鑑賞後、Twitterで感想ツイートを投稿。
本レビューでは、感想ツイートで書き切れなかったこと。
鑑賞後に原作を読み、気付いたことをレビューにまとめました。
では、TVアニメ『ブルーピリオド』感想ツイートまとめ(+α)レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
- 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
目次
はじめに
主人公・矢口八虎は夜な夜な悪友と遊び、昼間は成績優秀な高校生。
それなりに楽しい毎日を過ごしていたが、同時に虚しさも感じていた。
ある日、美術室で出会った1枚の絵に八虎は心を奪われ、無謀にも東京藝術大学を目指す──
学園ものかと思ったら、お気楽な要素は殆どなし。
部活ものかと思ったら、進路が主体のガチ路線。
受験ものかと思ったら、これまで見たことがないジャンル。
アニメ『ブルーピリオド』を一言で言うと──
東京藝術大学を目指す受験もの。
が、受験に賭ける意気込み、熱意、必至さが、予想を軽く超えていきます・・・
主人公・八虎は、何でもそつなくこなす優等生。
その八虎が、一枚の絵に心を動かされ、全く経験のない美術の世界へ飛び込んでいく。
美術の世界は、才能の巣窟。
才能を持った人が更に努力を重ねている。
でも才能って何?
才能がなければ絵を描いてはダメなの?美大を目指してはダメなの?
絵が好きならば描けばいい。
ただ、藝大を目指すなら好きなだけでは入れない。
惜しまぬ努力と、並外れた根性と、何よりも好きであること。
絵を描いているだけなのに、心を抉り、時には命すら削ってるよう。
そうです。
藝大受験を主軸にしながら、美術に取り組む人の本質。
好きなことを本気でやる人の苦悩と達成感を描こうとしています。
それがとてもリアルで生々しいから、美術に疎くても胸に刺さる。
何かに挑戦したことがある人なら、きっと心に響くものがあるはず。
あなたには、これほど熱中できるものがありますか?
アート系スポ根物語『ブルーピリオド』を、ぜひご覧ください。
DMM pictures
Twitter感想+α (以降、ネタバレ全開です)
1話「絵を描く悦びに目覚めてみた」
#ブルーピリオド 1話
原作未読、だけど面白いと噂は聞いていた
正直美術は分からない
でも言葉がいちいち胸に刺さる“好きな事をする努力家は最強”
頑張れないのは好きじゃない証拠セリフのやりとりに心が躍る
無駄なのに抑えられない衝動
初めて感じた満ち足りた感覚これがブルーピリオドか😆
— 時文@ここアニ (@toki23_a) October 3, 2021
俺の心臓は、今、動き出したみたいだ。
by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第1話
友達との会話でも、相手に合わせる主人公・八虎。
自分の感情に素直に従っていたら、今の世の中 生きていけないと考えていた。
だが、そうして上手く立ち回っていても八虎自身は生きている実感を持てないでいた。
逆に言うと、周囲を押しのけてでも貫き通す、熱中できるモノがなかったのだ。
八虎が美術室で見かけた一枚の絵──
森先輩の絵を見てから、八虎は自分が感じたことを素直に表現したくなる。
それは、これまでの生き方とは真逆。
言葉では恥ずかしくて伝えきれなかった、早朝の渋谷。
たった一枚の絵で、それが伝わる──
その時、生まれて初めて、ちゃんと人と会話できた気がした。
by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第1話
八虎が初めて”自分の言葉”で話せたと感じた瞬間。
悩んでいる時間はなかった。
絵など金にならない、役に立たないと思いながらも、手が止まらなかった。
美術経験皆無だけど、東京藝術大学一択。
八虎の無謀な挑戦が、始まったのです。
2話「全然焼けてねえ」
#ブルーピリオド 2話
順位が分からぬ美術の世界
信じるのは努力してきた事のみだが絵を描くようになって景色を見る目が変わる
何気なく過ごし、見過ごしていた感謝の気持ち絵は言葉だと伝わらないモノを伝える
絵で感情を表し、絵で人を感動させるヤバいッ
絵のこともっと知りたくなってきた😆— 時文@ここアニ (@toki23_a) October 9, 2021
高校2年生の春だと思っていたら、一気に時間が進み2年生が終わってしまいました。
1話で1年近く経過!?
てっきり原作をカットしたのかと思いきや・・・。
原作も起きたイベントは同じような感じでした(汗)。
ただ原作は、森先輩の合格決定直後、予備校(冬期講習)編が始まります。
佐伯先生が勧めたのは、予備校の冬期講習です。
#アニメでも佐伯先生が持っているパンフは冬期講習案内ですね
原作によると、母親の説得も、卒業式も、予備校冬期講習へ行った後の話です。
アニメは母親への了承と、森先輩のエピソードをまとめたのだと思われます。
補足
八虎が森先輩の武蔵野美術大学合格を聞いて、予備校へ行くと決めたのは・・・
森先輩ですら予備校で下から数えた方が早いと聞き、上手いと思っていた人でさえ井の中の蛙で、藝大へ受かる人なんてとんでもないのではないかと思い、踏ん切りが付かなかった。
が、森先輩が武蔵野美術大学へ合格したと聞き、先輩は井の中の蛙ではなく実力者だった。
ならば、自分も挑戦できるかも・・・
決して、八虎は森先輩くらいにならなれると驕っていたわけではなく。
合格する人のレベル、目標が明確になったので決心できたという感じですね。
3話「予備校デビュー・オブ・ザ・デッド」
#ブルーピリオド 3話
美術の世界で努力は才能に勝るのか
予備校通えば予備校一辺倒
前話といい時間経過が早い佐伯先生が出てこないのは残念だが
偏向した構成は八虎の集中の表れか
面白い!正確描写なら写真で十分
美術は内面の具現化が肝本当の自分を、自分の好きを見つけられるか、八虎😆
— 時文@ここアニ (@toki23_a) October 16, 2021
部活編をもっと見たかったのですが・・・
本気で藝大へ挑むからこその、予備校編スタート!
八虎は絵の才能は平凡だが、学ぶことに関しては非凡。
実は負けず嫌いか、特に好きな物に関しては負けたくない気持ちが強い。
でもそれは、本気で絵が好きな証拠で、大事な要素。
八虎にライバル登場!?
と同時に、龍二(ユカちゃん)が、思わぬサポートをしてくれる。
予備校行くには油絵の道具が必要。
原作では、八虎の道具を揃えに龍二が付き合ってくれたりしています。
お互い苦手なタイプだろうに、付き合ってもらう。
龍二が付き合ったのは、八虎が絵を好きになったキッカケを作り、美術部の先輩だからでしょう。
なにより、八虎が本気だと知り、放置はできなかったのでしょう。
奇妙な関係ですが、八虎は八虎で絵を学んで人を多面的に見れるようになり、龍二が変人には思えなくなってくる。
決して絵のことだけではなく、複雑な人間模様も描く様相になってきました。
◇◇◇◇◇
一方、今話も時間経過が早い!
実質、冬から夏前まで時間は進んでます。
#アニメは春から夏前という風に見せてますが・・・
先に書いたとおり、最初に行った予備校は、原作によると冬期講習。
#だから原作(上記引用)では、龍二(ユカちゃん)はコート
大葉先生に教えてもらうコースは、八虎が3年になって通った予備校夜間部。
アニメだとすぐ始まったように見えますが、冬期講習から3~4ヶ月経ってます。
世田介に会ったのも久しぶりだったので、八虎は思わず手を振ったのです。
4話「我々はどこへ行くのか」
#ブルーピリオド 4話
自由なだけに何でもあり
何でもできるだけに正解なし絵を描くのは、大学へ行くためか?
絵を描くのは、上手くなる為では?価値観と価値観がぶつかり合う
好きなこと目指して何が悪い
上手い絵が描けなくても自分の絵で勝負美術の世界での競争がこれほど熱いとは😆
— 時文@ここアニ (@toki23_a) October 23, 2021
夏期講習のコンクール、八虎は真ん中より上で、想定以上の結果。
なのに、なぜ八虎は落ち込んだのでしょうか?
推測
八虎は自分よりも世田介や橋田の方が上手いと思っているし、実際そうです。
でも、今回3人の中で八虎が一番順位が良かった。
順位が上になるのは、上手いからではない?という疑惑・・・
そこへ「予備校で1位になると受からない」というジンクス。
「受験絵画」というスラング。
八虎は、順位が上だからといって上手いわけではない、上手い人が受かるわけではない。
八虎は掴んだと思った答えが、また幻だったと思い込んでしまったのです。
ちなみに・・・
なぜ八虎の絵の順位が上だったかと言うと──
後に大葉先生が語ってますが、「上手い」のではなく「いい絵」だったから、ですね。
悩んでいる最中に行った藝大の文化祭。
藝大生の作品を凄いとは思わなかったが、刺激にはなった八虎。
だからこそ世田介の言葉が腹立たしい──
俺、苦手なんだ矢口さんのこと。
なんでも持ってる人が美術にくんなよ。
美術じゃなくてもよかったクセに・・・!by 高橋世田介『ブルーピリオド』TVアニメ第4話
後に大葉先生が言うように、世田介は八虎のことをかなり意識しているようです。
世田介の絵の才能は飛び抜けている。
が、世田介にとって、絵は唯一の表現手段。
彼は、絵以外の自己表現が、苦手というか興味なし。
もしかすると、絵以外の表現ができないのかもしれない。
となると、八虎のようにコミュニケーション能力が高い人間を疎ましく思うでしょう。
八虎が何でも吸収していく自分にはない前向きさにも腹立たしく思ったのでしょう。
意識してなければ無視すればいいだけ。
こんな事を言う必要もないのです。
同時に、八虎は世田介を、ライバル、目標として意識しているから、悔しいのです。
作品で黙らせたいのです。
すごいね。
目立つだろうねーコレは!何より”やってやろう”って迫力が・・・
by 高橋世田介『ブルーピリオド』TVアニメ第4話
でも、世田介に言われたその一言が、八虎の心に火を付け、感情を込めて描くことに繋がったのです。
5話「課題が見えてもどうしようもねぇ」
#ブルーピリオド 5話
絵は口ほどに物を言う
理屈知り技術身に付け
絵は内面を表現する物だと
グルッと回って原点に戻る絵は全く分からないが
森先輩の絵、八虎のF100号の絵
何か訴えかけているのは分かる美術は言語、右脳で読む言語
感動だけでなく知識と気付きを与えてくれる本作
お見事です😆— 時文@ここアニ (@toki23_a) October 30, 2021
原作によると、クラス分けした時期は11月。
冬が近づいてきて、段々と予備校に緊張感が増していく頃。
2月の試験まで残り約100日。
文章や文字を書いているわけでもないのに、絵で何かを伝える。
それも解析させるような形ではなく、絵から訴えかけるように・・・。
矢口さんの言いたいこと教えて下さい。
美術は文字じゃない言語なんですから。by 美術部顧問 佐伯昌子『ブルーピリオド』TVアニメ第5話
「美術は文字じゃない言語」。
これは、佐伯先生が1話で既に言っていた言葉──
美術は面白いですよ。
自分に素直な人ほど強い。文字じゃない言語だから。
by 美術部顧問 佐伯昌子『ブルーピリオド』TVアニメ第1話
一見簡単な言葉を1話で投げかけ、それを実現することの難しさを描き。
一つの結論として、八虎が絵に興味を持ったキッカケとなったF100号で再起する。
またもやキッカケは森先輩の絵。
原作では、武蔵美に行く前に、桑名さんや橋田に「縁」について聞きイメージを作っていきます。
決して森先輩だけではありません。
八虎は人に聞くことを躊躇せず、また他の意見を取捨選択して自分のモノにするのが上手いのです。
アニメではカットされてますが、橋田は世田介に──
予備校の課題以外にF100号描いてんねんて。
上手いタイプちゃうけど、あの行動力は気持ち悪いなあ。by 橋田悠『ブルーピリオド』コミック3巻
世田介の反応を確かめるように・・・いや楽しむように(笑)、橋田は八虎の事を話します。
ラストの世田介からの電話。
原作では、橋田のこのやりとりがあったから、余計に気になるのです。
6話「メンブレ半端ないって」
#ブルーピリオド 6話
上手くなりたい一心か負けたくない一心か
寝食忘れ没頭する、仲間、時間、正解なし孤独ではあるものの周囲の言葉には敏感で
天才凡人関係なく同じ受験を控えた人同士
切羽詰まった感ある会話が堪らなく面白く高まる緊張感にこっちまで胸が苦しくなる😆
残り1週間❗️
— 時文@ここアニ (@toki23_a) November 7, 2021
受験間近となり、ようやく面白くなってきました!
と書くと誤解を与えそうですが・・・事実だから仕方なし!?
いや、更に誤解されそうですね(笑)。
要は、ここまでは苦悩の道。
美術未経験の八虎が絵画の世界へ飛び込み、藝大一択で合格目指して努力する。
絵画は一日で上手くなるわけではない。
何枚も何枚も描いて上達するもの。
だから、技術習得の時期を早回ししてきたわけですね。
ベースができあがるまでの時期を。
受験直前と、受験当日は、ある意味精神面。
だからじっくりと描ける。
アニメで描かれる『ブルーピリオド』のエピソードは、受験を主軸に置いているので、後半に重点が来る構成になってしまうのです。
前半が駆け足だった理由が、よく分かりました。
絵を描くのは一筋縄ではいかない。
本気で絵に打ち込む人を、描くのも大変なんだと・・・。
7話「1次試験開始」
#ブルーピリオド 7話
芸術に必要なのは空気を読む力ではなく
課題解釈した上で相手の想定を越える力絵は内面の具現化
迷いがあっては絵もブレる
楽しみ喜び悲しみ怒り愛情どれでもいいから物にしろ
八虎の長短を的確指摘する周囲が頼もしい
美大受験は孤独だが、決して一人ではない一次開始❗️
— 時文@ここアニ (@toki23_a) November 14, 2021
一次試験まで残り1週間。
矢口はマジメねー。
by 大葉先生『ブルーピリオド』TVアニメ第7話
大葉先生の指摘が、八虎の最大の弱点をつまびらかにする。
八虎は言われたことを自分事として咀嚼し、一人で鍛錬できる努力家。
その姿勢は真面目な性格がベースにあるが、絵を描く場面に於いてはそれが足枷となる・・・
人より努力してきたのは、自信のなさの裏返し。
絵に限らず、八虎が口にしてきたのは、相手に合わせた言葉、どこかで得た知識。
自分の本音を見せたことはなかった。
それがいつの間にか、絵を描いててもそのスタイルが出ていたのです。
これが、八虎の「悪いクセ」。
絵の世界には正解はない。
だから受験は、正解の絵を描くのではなく、如何に相手に訴えるか。
八虎の空気を読む力は課題の意図を読む力にはなっても、表現するときには足を引っ張ってしまうのです。
そんな時こそ、役に立つんだろ?今までの話術が。
話術で本音を隠すんじゃなくて、本音を技術で武装したらいいんじゃないか?by 恋ケ窪『ブルーピリオド』TVアニメ第7話
一次試験二日前の夜。
『ブルーピリオド』では、ヒーローもののように突如新たな力を授かったりはしない。
八虎をよく知る恋ちゃんが、八虎がもともと持っている才能を使えと言う。
絵を描く技法として様々な画材を試してきた。
受験では禁止事項かもしれないので、使うなと言われるが。
その人が既に持っている経験とスキルは使い放題。
むしろ、絵以外の事については、八虎はそんじょそこらの高校生より持っている。
何より悪友が背を押している。
八虎は表面的な付き合いをしてきたのに。(と本人は思っている)
だけど、奴らは真剣に八虎の事を見ていた・・・
余談
1話を見た時、美術を選んだ八虎が付き合いが悪くなり、友達とぶつかるか疎遠になるのだと思ってました(苦笑)。
浅はかですね(笑)。
悪友は、努力する八虎を邪魔しないよう、絶対付き合いを強制したりはしない。
出番が少なかったのは、ワザと距離を置いていたから。
よく見る(読む)と、その心情が端々に描かれていて、ここにきて全て判明する展開が上手いですね!
今回は、恩師からではなく、ましてや森先輩でもない。
自分で気付くこともできず、泣きついたのは本音が言える、遊び友達。
その恋ちゃんから力強い言葉を得て、八虎は決意するのです。
本音で描いて、そして楽しもう、と──
8話「脳汁ブシャー」
#ブルーピリオド 8話
「内面」を1枚の絵で表現し「伝える」
自画像の狙いは、論文や面接試験と同じ⁉️
上手く描けば良いわけではない
藝大受験の集大成である受験の瞬間を切り取る
八虎の喜怒哀楽を描いてきただけに胸に染みる合否関係なく
描き上げたくなるほど狙いを絞り込む八虎の熱に圧倒😆
— 時文@ここアニ (@toki23_a) November 20, 2021
東京藝術大学 絵画科油画専攻 入学試験 第一次試験(素描) 開始。
試験課題は「自画像」。
ただ上手く描けばいいわけではない。
狙いすぎて奇をてらいすぎてもいけない。
それでいて、皆より頭一つ抜きん出なくてはならない・・・
悩んでいる最中に発生したトラブル──
確かに、見た目よりずっとナイーブな八虎。
もし、割れた鏡を見て気付きを得られなかったら、動揺が長引いて頭が回らなかったことでしょう。
落ち着いて考えると、鏡は藝大からの提供物。
事故で割れたのなら、新たに貸してくれるのは当たり前だし、そんなことで落とされるわけありません。
八虎はそれだけ動揺していたということですね。
ところが、災い転じて福と成す。
トラブルにめげるどころか、ヒントを得る八虎。
二面性ではなく多面性。
八虎、得意の構図で勝負です!
構図=描きたいモノが決まれば八虎は強し。
描き込みに自然と力が入る。
シンプルな構図なだけに、どれだけ描き込めるかがカギ。
時間との勝負だと明確にしたことにより、一層の緊張感が生まれる。
昼休みに、体育会系女子から思わぬ元気をもらい。
周囲を見渡すほどの余裕も出てきた。
頭も心もクリアで、最後の一瞬まで気を抜かない。
楽しんで、楽しんで、楽しむ。
合格なんてどうでもいい。
とにかく絵を描かせてくれ!

記念受験多しと言いながら、貴重には違いない藝大受験。
試験に挑む受験生を、八虎の思考を通して疑似体験。
アートなのにスポ根。
八虎の熱量を直に感じる、手に汗握る展開が最高でした♪
9話「さまようナイフ」
#ブルーピリオド 9話
八虎の強みは思い切りと情熱
心に迷いあっては集中できぬ課題山積、時間はなし
手を付けたのは色とデッサン
首突っ込んだのは未知の領域試験前に何をやってるのだと思うが
それだけ龍二に危うさを感じた証拠自身の心に素直に向き合う
その姿勢は龍二にこそ必要なのだが…— 時文@ここアニ (@toki23_a) November 28, 2021
美術は内面を描くだけに、心に迷いがあってはいい絵は描けぬ。
現役生は当日まで成長する。
残り2日で八虎は何を見出すか、経験全てが糧になる。
八虎の成長は周囲の支えがあってこそ。
八虎が縁を大切にしているのは分かります。
だからと言って気になったこと全てに首を突っ込んでいたら霧がない。
だけど、止められないのが八虎。
美術の世界を知るキッカケを作ってくれた龍二を、「オレ」から「アタシ」に変わった龍二を放ってはおけない・・・
優しすぎる八虎の、時間の使い方にドキドキしてしまう。
主人公に障害はつきもの、大事なときにトラブルは鉄板・・・とは言うものの、この展開はえげつないですね(苦笑)。
10話「俺たちの青い色」
#ブルーピリオド 10話
返す言葉は時折鋭いナイフのよう
見てるこっちが息苦しくなる空気💦好きな事をするのにどれだけ周囲を気にして
好きな事表現するのにどれだけ努力苦労して自由に生きる難しさ器用に生きる息苦しさ
美術と生き方が表裏一体❓いや一心同体⁉️徹底して内面描く展開に感服👏
— 時文@ここアニ (@toki23_a) December 5, 2021
人生には正解がない。
だからと言って自由でもない。
本当に好きなことをするのが憚られる。
遠回しに社会での生きにくさを吐露していく。
上手くやっていくには、八虎のように正面からぶつかっていくか、龍二のように強引にいくか・・・と思っていたが。
八虎より龍二の方が自由に見えて──
実は周囲を気遣い、好きではないもの(日本画)を選んでいた。
龍二より八虎の方がマジメに見えて──
やりたいことが決まれば、人の目を気にせず突き進んできた。
好きなモノがありながら、選択を間違えた龍二。
恋ちゃんに続き、ここにも八虎を見て気付かされた人が生まれたのです。
裸も、裸を飾ろうとする人間の自由も醜さも全て愛おしいじゃない?
by 鮎川龍二『ブルーピリオド』TVアニメ第10話
帰りの電車で龍二が言った一言──
何が解決したわけではないかもしれないが、八虎の腹をくくったような落ち着きを見ると、二次試験二日前の無茶な賭けが吉と出たのか。
精神状態は上々。
だけど、体は悲鳴を上げていた・・・
なんか更にエグくなってる気が・・・
まあいくら蕁麻疹が出たところで絵は描けるし・・・by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第10話
八虎が風呂で見ていたのは右手。
これまでは蕁麻疹が出ていたのは左手でした。
蕁麻疹が両手に及んできたのです。
11話「2次試験開始」
#ブルーピリオド 11話
帰宅できて助言OK⁉️
5H×3日美大特有の受験方法
他人の体調など気に留めない受験生ここは戦場、努力の集大成
体力メンタル運さえも実力の内
頼るは己のみ、自分の事に集中だがこれまでに得た経験は自分の物
周囲の応援やアドバイスは自分の糧1人なのに孤独ではないのが👍
— 時文@ここアニ (@toki23_a) December 11, 2021
藝大受験、一次に続いて二次の独特の雰囲気を疑似体験。
試験内容は「油絵を描く」。
動きがないのに、止まったシーンはまるでなし。
私語はないが皆頭の中で考え、悩み、戦っている。
必死さと緊張感がヒシヒシと伝わってくる──
試験内容だけでなく、八虎の思考も追体験できるのが面白い。
感覚ではなく、理論的に解説してくれるのがありがたい。
「裸=ありのまま」、テーマは平凡。
構図は大事であり、八虎の強み。
でも、テーマを決めずに八虎は構図を決めました。
その理由は、八虎が選んだ構図はバランス型。
テーマに柔軟に合わせられるので、後戻りできないリスクはあるが仕方なかった。
逆に構図がオーソドックスなので、テーマと描写で絵のクオリティが変わってくるというわけです。
そのテーマは、360度回って元に戻り、結論変わらず。
ただ、その結果には自信が満ちていた──
最初から答えは出てた。
俺にとって「裸」は情けなくて頼りないもの。
服を着るのは「裸」を隠そうとする後ろめたい行為で。この絵は、俺を通して見た、俺の世界なんだ。
by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第11話
裸はありのまま。
だけど、そこで表現するのは「一般的なありのまま」ではない。
自分自身のありのまま。
つまり、八虎自身の情けない姿を描くことこそが「ありのまま」だと確信したのです。
補足
大葉先生が言った飛び道具とは、冷却ジェルシート、メガネ、頭痛薬のこと(笑)。
デコピタと頭痛薬は分かりますが、メガネは?
オサレさんかと思いました(笑)。
八虎はコンタクトだったのです。
眼精疲労とストレスからくる症状なので、コンタクトからメガネに変えることで目の負担を軽くしたわけですね。
結果、2日目以降は痛くならなかったのです。
原作では、2日目終了後、八虎は「大葉センセーさまさまだな」と感謝してます。
12話「色づき始めた自分」
#ブルーピリオド 12話(終)
上手くないなら努力しろ
自信ないなら考え続けろ自分の才能、実力受け入れて
短所を長所と捉え売りにする逆境すらもバネにして
力を出し切る事に集中絵を通して伝える物事への取り組み姿勢
好きを貫き通すこと、その喜びと苦しみ最後まで心情が伝わり最高でした👍
— 時文@ここアニ (@toki23_a) December 18, 2021
八虎のテーマは平凡で弱い。
だから、スケッチブックで説明し、絵に説得力を与える戦法に出たのです。
藝大の合否は、一次試験の素描、二次試験の油絵、スケッチブックの3つで評価。
ならば、スケッチブックで説得力を持たせるのもアリだと考えたのです。
「本音を技術で武装」を実践したのです。
スケッチブックの1枚に油をかけて半透明にしたのは、スケッチブックでも自分がなにものでもない透明なのを表現するため。
美意識・価値観・哲学を問う課題に、ありのままを描くだけではなく。
テーマを分かりやすくして、戦略的に導いていく。
絵を見て分かることも分からないことも、徹底的に補完する。
絵が上手いのは事実だと言う世田介に対し、もはや次元が違いすぎて腹も立たない八虎。
八虎は絵に自信がないのも受け入れて、戦略持って挑むことを強みとする。
絵を描き始めたのが2年の春。
それから何枚描いたか分からない。
藝大二次試験、集大成のこの時に、八虎は遂に自分の武器を身につけたのです。
実は原作には、2日目の帰り道、世田介は何か言いかけたけど電車が来たので止めるのが描かれています。
推測
2日目の時点で、世田介は既に八虎の絵の意図が分かっていて、それを言いたかったが、電車が来て言えず。
3日目になると、どんどんその意図が明確になっていき上手かったのでムカついたのでしょうね(笑)。
大体「ちょっと見ない間に」とは、以前の絵をちゃんと覚えているということですね(笑)。
最初はどうなるのかと思いましたが。
ホント、この二人、いい関係になってきましたね。

『ブルーピリオド』終わってしまいました~~~(涙)
美大受験という特殊なジャンルを取り扱った本作。
美術に取り組む人の実情から、美大受験の現実と厳しさ。
頭の中の具現化、文字ではない言語なだけに伝わったときの喜び。
本作でしか得られない驚きと説得力がありました。
そして何より”好き”を貫くことの尊さ、そして苦しさ、難しさ。
それでも好きなことをやりたくなる・・・
あなたには、これほど熱中できるものがありますか?
いや・・・これだけ熱中できる事を見つけたくないですか?
八虎にとって幸運だったのは、良い教師、良い友達、良きライバル・・・と、いくつかあるでしょう。
でも一番ラッキーだったのは、好きなものを見つけられた事かもしれないですね。
おわりに (『ブルーピリオド』とは)
『ブルーピリオド』が描いているのは、絵か人か。
当然、人ですね。
ここまで散々書いてきたように、本作で訴えているのは、絵は描く人の内面を写す鏡。
自分の内側にある思想、考え、イメージ、印象を深く掘り下げ言語化(本作の場合、絵になるわけですが)。
それを、画材と技術を使って1枚の絵に収める。
『ブルーピリオド』は様々な美術に取り組む人を描くことで、人間そのものを描いていたのです。
今回、アニメ化されたのは原作コミック1~6巻まで。
区切りの良いところまでアニメ化されました。
7巻からは大学編。
藝大受験はゴールではなく、スタートなのです。
佐伯先生と大葉先生のW恩師に会えないのは残念ですが。
大学では八虎がどんな人と出会うのか、また何に挑戦するのか、見てみたいですね!
以上、TVアニメ『ブルーピリオド』の感想ツイート(+α)レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ではでは。
余談
私は、美術は全く分からず美的センスのない理系人間です(苦笑)。
が、ビシバシ胸に刺さる言葉が、まるでスポ根を見ているよう感覚でした。
各話レビューを書きたくなるほど心を動かされたのですが・・・
美術苦手人間なので手を出せず(苦笑)。
それでも、毎話ツイッター感想だけ続けていた所。
皆さんから多くのいいねを頂きました。
数十のいいねなんて大したことないと思われるかも知れませんが、私にとってはありがたい気持ちです。
時間と共に流れてしまうツイートをなんとか残しておきたいと考え、「感想ツイートまとめ」なるものを作ってみました。
ブログでレビューする程、書くネタがない作品を感想ツイートしていたのですが・・・
短文であるツイートも、1クール分あればそれなりの記事になるかと思い、書き切れなかった感想等も追記して描き上げました。
評判良かったら、他の作品もまとめていきますね。