ドラマ/青春

アニメ【ブルーピリオド】1~12話(終) 感想ツイートまとめ ここまで熱中できるものがありますか?

ブルーピリオド 8話
オススメ度 A+
原作 コミック
ジャンル 美術、青春群像劇
放送情報 TVアニメ(2021年秋)/全12話
ストーリー
設定
世界観
感情移入

原作コミック未読。(アニメ最終話鑑賞後、読了)
TV放送録画にて鑑賞。

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『ブルーピリオド』最終話まで鑑賞しました。

原作は『月刊アフタヌーン』連載中の山口つばさ先生の漫画
2020年には「マンガ大賞2020」と第44回「講談社漫画賞」を受賞

コミックは11巻まで刊行。(アニメ放送時点)
今回、アニメ化されたのは1~6巻まで。

毎話鑑賞後、Twitterで感想ツイートを投稿。

本レビューでは、感想ツイートで書き切れなかったこと。
鑑賞後に原作を読み、気付いたことをレビューにまとめました。

では、TVアニメ『ブルーピリオド』感想ツイートまとめ(+α)レビューをどうぞ。

  • 「はじめに」は【ネタバレなし】
  • 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】

はじめに

あらすじ

主人公・矢口八虎は夜な夜な悪友と遊び、昼間は成績優秀な高校生。
それなりに楽しい毎日を過ごしていたが、同時に虚しさも感じていた。

ある日、美術室で出会った1枚の絵に八虎は心を奪われ、無謀にも東京藝術大学を目指す──

学園ものかと思ったら、お気楽な要素は殆どなし
部活ものかと思ったら、進路が主体のガチ路線
受験ものかと思ったら、これまで見たことがないジャンル

アニメ『ブルーピリオド』を一言で言うと──
東京藝術大学を目指す受験もの。

が、受験に賭ける意気込み、熱意、必至さが、予想を軽く超えていきます・・・

主人公・八虎は、何でもそつなくこなす優等生。
その八虎が、一枚の絵に心を動かされ、全く経験のない美術の世界へ飛び込んでいく。

美術の世界は、才能の巣窟。
才能を持った人が更に努力を重ねている。

でも才能って何?

才能がなければ絵を描いてはダメなの?美大を目指してはダメなの?

絵が好きならば描けばいい。
ただ、藝大を目指すなら好きなだけでは入れない。

惜しまぬ努力と、並外れた根性と、何よりも好きであること。
絵を描いているだけ・・なのに、心をえぐり、時には命すら削ってるよう。

そうです。
藝大受験を主軸にしながら、美術に取り組む人の本質。
好きなことを本気でやる人の苦悩と達成感を描こうとしています。

それがとてもリアルで生々しいから、美術に疎くても胸に刺さる。
何かに挑戦したことがある人なら、きっと心に響くものがあるはず。

あなたには、これほど熱中できるものがありますか?

アート系スポ根物語『ブルーピリオド』を、ぜひご覧ください。

TVアニメ『ブルーピリオド』 第2弾PV
DMM pictures

Twitter感想+α (以降、ネタバレ全開です)

1話「絵を描く悦びに目覚めてみた」

俺の心臓は、今、動き出したみたいだ

by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第1話

友達との会話でも、相手に合わせる主人公・八虎。
自分の感情に素直に従っていたら、今の世の中 生きていけないと考えていた。

だが、そうして上手く立ち回っていても八虎自身は生きている実感を持てないでいた。
逆に言うと、周囲を押しのけてでも貫き通す、熱中できるモノがなかったのだ。

八虎が美術室で見かけた一枚の絵──

森先輩の絵を見てから、八虎は自分が感じたことを素直に表現したくなる
それは、これまでの生き方とは真逆

言葉では恥ずかしくて伝えきれなかった、早朝の渋谷。
たった一枚の絵で、それが伝わる──

その時、生まれて初めて、ちゃんと人と会話できた気がした

by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第1話

八虎が初めて”自分の言葉”で話せたと感じた瞬間

悩んでいる時間はなかった。
絵など金にならない、役に立たないと思いながらも、手が止まらなかった。

美術経験皆無だけど、東京藝術大学一択。
八虎の無謀な挑戦が、始まったのです。

(原作情報)原作では八虎がタバコを吸っているシーンの背景にあるピカソ展のポスターに「青の時代」と書かれています。ピカソの青の時代とは、青を基調にした地味な作風で売れなかった時期を指しています。『ブルーピリオド』と言うタイトルはピカソが苦悩した時期と重ねているのかもしれないですね。
(原作情報)八虎は、友人関係を円滑にするため相手が欲しい言葉を話しています。八虎が「早朝の渋谷ってさ、なんかいいよな」と言い出したのは、先生に「美術は自分に素直な人ほど強い」と言われたことを思い出し、素直な気持ちを話してしまったのです。
(原作情報)八虎が早朝の渋谷を描いてる時「なんでもっと早く描かなかったんだろう」と言ったのは、一面青で塗ってから鉛筆でビルの形を描こうとすると、紙がふやけていて上手くできなかったから。
この課題の制限時間は美術の授業2回(2時間)。八虎は最初の1時間を睡眠に充て、後半1時間だけで描く目算を立てたのを後悔していたのです。
(原作情報)八虎の悪友たちは、八虎が打ち込めるモノがないことを知っています。絵がどうとかではなく、八虎に好きな物ができたことを応援している感じですね。

2話「全然焼けてねえ」

高校2年生の春だと思っていたら、一気に時間が進み2年生が終わってしまいました。

1話で1年近く経過!?
てっきり原作をカットしたのかと思いきや・・・。
原作も起きたイベントは同じような感じでした(汗)。

ただ原作は、森先輩の合格決定直後、予備校(冬期講習)編が始まります
佐伯先生が勧めたのは、予備校の冬期講習です。
#アニメでも佐伯先生が持っているパンフは冬期講習案内ですね

原作によると、母親の説得も、卒業式も、予備校冬期講習へ行った後の話です。

(原作情報)なので、予備校の受講料は自分の貯金で行き、親には内緒で行きます。
それが母親にバレ、朝までモメてしまいます。翌日、眠いので美術室でサボっていた所に森先輩が来たのです。

アニメは母親への了承と、森先輩のエピソードをまとめたのだと思われます。

補足

八虎が森先輩の武蔵野美術大学合格を聞いて、予備校へ行くと決めたのは・・・

森先輩ですら予備校で下から数えた方が早いと聞き、上手いと思っていた人でさえ井の中の蛙で、藝大へ受かる人なんてとんでもないのではないかと思い、踏ん切りが付かなかった。

が、森先輩が武蔵野美術大学へ合格したと聞き、先輩は井の中の蛙ではなく実力者だった。

ならば、自分も挑戦できるかも・・・

決して、八虎は森先輩くらいにならなれると驕っていたわけではなく。
合格する人のレベル、目標が明確になったので決心できたという感じですね。

(原作情報)「DQN」とは「軽薄そうな人、粗暴な人、常識のない人」のこと。女子二人は美術部がDQNのたまり場になることを恐れた。
八虎はその空気を察したのか「俺マジで絵勉強したくて・・・友達とか連れてこないんで、よかったら仲良くしてやってください」と言ったので、二人は「いい奴かもしれん」と印象をコロッと変えたのです。
(原作情報)夏休みの課題は1、2年生のみ。昨年全ての課題をクリアした人はゼロ森先輩でも8割しかできなかった。龍二(ユカちゃん)も目標があるようで、森先輩の話を聞き夏休みの美術室へ来てまでして頑張った様子。そこに既に八虎がいたので、絵にかける本気度を知り驚いたのです。
(原作情報)結局八虎は毎日学校へ。その結果、日焼けしなかったのです。

(原作情報)母親は、夏休み中毎日出かけている八虎を心配して、直接本人に聞こうとして部屋へ行き、最初に描いた「早朝の渋谷」と直近に描いた絵を見つけ2ヶ月でここまで上手くなったことを知り、八虎が本気だと分かったのです。
ただ、この時点では絵は好きだが、進学は普通の大学だと思ってました。結果、絵のカルチャースクールを紹介するわけです(笑)。

3話「予備校デビュー・オブ・ザ・デッド」

部活編をもっと見たかったのですが・・・
本気で藝大へ挑むからこその、予備校編スタート!

八虎は絵の才能は平凡だが、学ぶことに関しては非凡。
実は負けず嫌いか、特に好きな物に関しては負けたくない気持ちが強い。
でもそれは、本気で絵が好きな証拠で、大事な要素。

八虎にライバル登場!?
と同時に、龍二(ユカちゃん)が、思わぬサポートをしてくれる。

(原作情報)八虎は、予備校冬期講習で初めて油絵を描きます。その前には龍二に付き合ってもらい道具を買い揃えます。

予備校行くには油絵の道具が必要。
原作では、八虎の道具を揃えに龍二が付き合ってくれたりしています。

お互い苦手なタイプだろうに、付き合ってもらう。
龍二が付き合ったのは、八虎が絵を好きになったキッカケを作り、美術部の先輩だからでしょう。

なにより、八虎が本気だと知り、放置はできなかったのでしょう。
奇妙な関係ですが、八虎は八虎で絵を学んで人を多面的に見れるようになり、龍二が変人には思えなくなってくる。

決して絵のことだけではなく、複雑な人間模様も描く様相になってきました。

◇◇◇◇◇

一方、今話も時間経過が早い!
実質、冬から夏前まで時間は進んでます。
#アニメは春から夏前という風に見せてますが・・・

先に書いたとおり、最初に行った予備校は、原作によると冬期講習。
#だから原作(上記引用)では、龍二(ユカちゃん)はコート

大葉先生に教えてもらうコースは、八虎が3年になって通った予備校夜間部。
アニメだとすぐ始まったように見えますが、冬期講習から3~4ヶ月経ってます
世田介に会ったのも久しぶりだったので、八虎は思わず手を振ったのです。

(原作情報)八虎は冬期講習は自分の貯金で行きましたが、春からは両親の協力を得て夜間部に通います。夜間部だから受講生は殆ど現役高校生です。
(原作情報)藝大は国立なのでセンター試験があります(平成29年現在)。試験内容は外国語と国語+1教科。世田介の国語全国7位の成績が出てきたのはそのためです。

4話「我々はどこへ行くのか」

夏期講習のコンクール、八虎は真ん中より上で、想定以上の結果。
なのに、なぜ八虎は落ち込んだのでしょうか?

推測

八虎は自分よりも世田介や橋田の方が上手いと思っているし、実際そうです。
でも、今回3人の中で八虎が一番順位が良かった。

順位が上になるのは、上手いからではない?という疑惑・・・

そこへ「予備校で1位になると受からない」というジンクス。
「受験絵画」というスラング。

八虎は、順位が上だからといって上手いわけではない、上手い人が受かるわけではない。

八虎は掴んだと思った答えが、また幻だったと思い込んでしまったのです

ちなみに・・・

なぜ八虎の絵の順位が上だったかと言うと──
後に大葉先生が語ってますが、「上手い」のではなく「いい絵」だったから、ですね。

悩んでいる最中に行った藝大の文化祭。
藝大生の作品を凄いとは思わなかったが、刺激にはなった八虎。

だからこそ世田介の言葉が腹立たしい──

俺、苦手なんだ矢口さんのこと。

なんでも持ってる人が美術こっちにくんなよ
美術じゃなくてもよかったクセに・・・!

by 高橋世田介『ブルーピリオド』TVアニメ第4話

後に大葉先生が言うように、世田介は八虎のことをかなり意識しているようです

世田介の絵の才能は飛び抜けている。
が、世田介にとって、絵は唯一の表現手段。
彼は、絵以外の自己表現が、苦手というか興味なし。

もしかすると、絵以外の表現ができないのかもしれない。
となると、八虎のようにコミュニケーション能力が高い人間を疎ましく思うでしょう。

八虎が何でも吸収していく自分にはない前向きさ・・・・・・・・・・にも腹立たしく思ったのでしょう。

意識してなければ無視すればいいだけ。
こんな事を言う必要もないのです。

同時に、八虎は世田介を、ライバル、目標として意識しているから、悔しいのです
作品で黙らせたいのです

すごいね
目立つだろうねーコレは!

何より”やってやろう”って迫力が・・・

by 高橋世田介『ブルーピリオド』TVアニメ第4話

でも、世田介に言われたその一言が、八虎の心に火を付け、感情を込めて描くことに繋がったのです

(原作情報)桑名は寝坊して駆け込んできたので、八虎にぶつかりました
(原作情報)藝大の文化祭に行った八虎。思わず友達と楽しんでしまったが、目的は展示を見ること。勢いづけるために、酔って無理矢理テンションを上げようとコーヒーを飲んだら気分が悪くなったのです

5話「課題が見えてもどうしようもねぇ」

原作によると、クラス分けした時期は11月
冬が近づいてきて、段々と予備校に緊張感が増していく頃

2月の試験まで残り約100日。

(原作情報)クラス分け前は、1クラスに30人もいたようです。それを5つに分け1クラスに一人の先生が付く少人数制に切り替えました。

文章や文字を書いているわけでもないのに、絵で何かを伝える。
それも解析させるような形ではなく、絵から訴えかけるように・・・。

矢口さんの言いたいこと教えて下さい
美術は文字じゃない言語なんですから

by 美術部顧問 佐伯昌子『ブルーピリオド』TVアニメ第5話

「美術は文字じゃない言語」。
これは、佐伯先生が1話で既に言っていた言葉──

美術は面白いですよ。
自分に素直な人ほど強い

文字じゃない言語だから

by 美術部顧問 佐伯昌子『ブルーピリオド』TVアニメ第1話

一見簡単な言葉を1話で投げかけ、それを実現することの難しさを描き。
一つの結論として、八虎が絵に興味を持ったキッカケとなったF100号で再起する。

またもやキッカケは森先輩の絵。
原作では、武蔵美に行く前に、桑名さんや橋田に「縁」について聞きイメージを作っていきます。

決して森先輩だけではありません。
八虎は人に聞くことを躊躇せず、また他の意見を取捨選択して自分のモノにするのが上手いのです。

アニメではカットされてますが、橋田は世田介に──

予備校の課題以外にF100号描いてんねんて。
上手いタイプちゃうけど、あの行動力は気持ち悪いなあ

by 橋田悠『ブルーピリオド』コミック3巻

世田介の反応を確かめるように・・・いや楽しむように(笑)、橋田は八虎の事を話します

ラストの世田介からの電話。
原作では、橋田のこのやりとりがあったから、余計に気になるのです。

(原作情報)「課題文」に戸惑う八虎。八虎が今までイメージだけで描いた絵は一番最初の「早朝の渋谷」、森先輩へ送った絵の2枚のみでした

6話「メンブレ半端ないって」

受験間近となり、ようやく面白くなってきました!

と書くと誤解を与えそうですが・・・事実だから仕方なし!?
いや、更に誤解されそうですね(笑)。

要は、ここまでは苦悩の道。
美術未経験の八虎が絵画の世界へ飛び込み、藝大一択で合格目指して努力する。

絵画は一日で上手くなるわけではない。
何枚も何枚も描いて上達するもの。

だから、技術習得の時期を早回ししてきたわけですね。
ベースができあがるまでの時期を。

受験直前と、受験当日は、ある意味精神面。
だからじっくりと描ける。

アニメで描かれる『ブルーピリオド』のエピソードは、受験を主軸に置いているので、後半に重点が来る構成になってしまうのです。

前半が駆け足だった理由が、よく分かりました。

絵を描くのは一筋縄ではいかない。
本気で絵に打ち込む人を、描くのも大変なんだと・・・。

(原作情報)八虎が追加課題10個と言った根拠は──
大葉先生が最初に出した課題は5つ(5枚)。5時間/枚として5つ。八虎は1枚5時間なら1日で3枚描けると計算して、10個追加をお願いしたのです
(原作情報)八虎がショートケーキをラップで囲んでいたのは・・・
木炭デッサンは木炭を定着させるまでは鼻息で飛んでしまいケーキに付いてしまいます。そこで、ラップで囲んで木炭が飛んでも大丈夫なように対処したのです。
(原作情報)世田介と一緒に行った初詣。別れ際、八虎は来年も一緒に行こうと約束します。原作3巻巻末の描き下ろしでは、世田介の心情描写や、八虎が甘酒を世田介に一口あげるシーンも。
こんなの見ると、世田介のスピンオフを読みたくなります!原作必読ですよ(笑)。
(原作情報)八虎は「眠い」と言ってますが睡眠時間を削っているわけではありません。この日も「8時間くらい(寝た)」と不思議がってます。
睡眠時間は取っていても寝不足を感じる。つまり何らかの原因で眠りが浅いことを示唆してますね。
(原作情報)大葉先生は、桑名姉妹は、姉よりも妹マキの方が戦略的で上手いと評していますつまり八虎が似てないと思ったのは、妹マキの方が上手いと見たからですね

7話「1次試験開始」

一次試験まで残り1週間。

矢口はマジメねー

by 大葉先生『ブルーピリオド』TVアニメ第7話

大葉先生の指摘が、八虎の最大の弱点をつまびらかにする。

八虎は言われたことを自分事として咀嚼し、一人で鍛錬できる努力家
その姿勢は真面目な性格がベースにあるが、絵を描く場面に於いてはそれが足枷となる・・・

人より努力してきたのは、自信のなさの裏返し

絵に限らず、八虎が口にしてきたのは、相手に合わせた言葉、どこかで得た知識。
自分の本音を見せたことはなかった。

それがいつの間にか、絵を描いててもそのスタイルが出ていたのです

これが、八虎の「悪いクセ」

絵の世界には正解はない。
だから受験は、正解の絵を描くのではなく、如何に相手に訴えるか。

八虎の空気を読む力は課題の意図を読む力にはなっても、表現するときには足を引っ張ってしまうのです

そんな時こそ、役に立つんだろ?今までの話術が。
話術で本音を隠すんじゃなくて、本音を技術で武装したらいいんじゃないか?

by 恋ケ窪『ブルーピリオド』TVアニメ第7話

(原作情報)原作では、最初の「話術」を、「話術」と書いて「どりょく」と読ませてます。

一次試験二日前の夜。
『ブルーピリオド』では、ヒーローもののように突如新たな力を授かったりはしない。

八虎をよく知る恋ちゃんが、八虎がもともと持っている才能を使えと言う

絵を描く技法として様々な画材を試してきた。
受験では禁止事項かもしれないので、使うなと言われるが。

その人が既に持っている経験とスキルは使い放題。
むしろ、絵以外の事については、八虎はそんじょそこらの高校生より持っている。

何より悪友が背を押している。
八虎は表面的な付き合いをしてきたのに。(と本人は思っている)
だけど、奴らは真剣に八虎の事を見ていた・・・

余談

1話を見た時、美術を選んだ八虎が付き合いが悪くなり、友達とぶつかるか疎遠になるのだと思ってました(苦笑)。

浅はかですね(笑)。

悪友は、努力する八虎を邪魔しないよう、絶対付き合いを強制したりはしない。
出番が少なかったのは、ワザと距離を置いていたから。

よく見る(読む)と、その心情が端々に描かれていて、ここにきて全て判明する展開が上手いですね!

今回は、恩師からではなく、ましてや森先輩でもない。
自分で気付くこともできず、泣きついたのは本音が言える、遊び友達。

その恋ちゃんから力強い言葉を得て、八虎は決意するのです。
本音で描いて、そして楽しもう、と──

(原作情報)歌島が荷物大量に持って帰っているのは、この日が3年生の最後の登校日だったから。だから美術室の片付けもしなくてはならなかったのです。
(原作情報)八虎が飛び道具を使わないと言ったのに、橋田が気にしなくてもと言いかけたのは、八虎は年末からずっとチャコペンを使ってたから。この時期にずっと使っていたのは一番自信がある画材だったということですね。八虎はそれを使わないと言ったのです。試験前日に・・・

(原作情報)試験会場で世田介に会い、「合格倍率のこと今考えると頭おかしくなりそ」と言った時、八虎はどうせ世田介は「別に描くだけでしょ」とか言うのだと思ってました。が、意外なことに世田介が震えている・・・だから、世田介を元気付けた。
大仰な言葉をかけるでもなく、ソッと拳を当てて囁く。こんなことができる八虎が素敵ですね。

8話「脳汁ブシャー」

東京藝術大学 絵画科油画専攻 入学試験 第一次試験(素描) 開始
試験課題は「自画像」

ただ上手く描けばいいわけではない。
狙いすぎて奇をてらいすぎてもいけない。

それでいて、皆より頭一つ抜きん出なくてはならない・・・
悩んでいる最中に発生したトラブル──

(原作情報)試験官が八虎の絵をチェックしたのは「受験でトラブルはあるあるだけど、ポッキリ心折れちゃってないかしら」と心配したから。心折れるどころか、鏡が割れたことから発想を得たのに感心していたのです。
私は鏡が届く5分程度の間にここまで描き上げたのに驚きました(笑)。

確かに、見た目よりずっとナイーブな八虎。
もし、割れた鏡を見て気付きを得られなかったら、動揺が長引いて頭が回らなかったことでしょう。

落ち着いて考えると、鏡は藝大からの提供物。
事故で割れたのなら、新たに貸してくれるのは当たり前だし、そんなことで落とされるわけありません。

八虎はそれだけ動揺していたということですね。

ところが、災い転じて福と成す
トラブルにめげるどころか、ヒントを得る八虎

二面性ではなく多面性。
八虎、得意の構図で勝負です!

構図=描きたいモノが決まれば八虎は強し
描き込みに自然と力が入る。

シンプルな構図なだけに、どれだけ描き込めるかがカギ。
時間との勝負だと明確にしたことにより、一層の緊張感が生まれる。

昼休みに、体育会系女子から思わぬ元気をもらい。
周囲を見渡すほどの余裕も出てきた。

頭も心もクリアで、最後の一瞬まで気を抜かない。
楽しんで、楽しんで、楽しむ。

合格なんてどうでもいい。
とにかく絵を描かせてくれ!

ブルーピリオド 8話

記念受験多しと言いながら、貴重には違いない藝大受験。
試験に挑む受験生を、八虎の思考を通して疑似体験。

アートなのにスポ根。
八虎の熱量を直に感じる、手に汗握る展開が最高でした♪

(原作情報)原作4巻巻末描き下ろしでは、一次試験直後の橋田のエピソード。橋田には3人の姉妹がいて、いい男がいなかったか質問攻め。橋田は八虎のことを可愛くはないけど将来有望と評しています(笑)。ぜひ原作をどうぞ。
ん?今気付きましたが、原作コミックの巻末オマケは表紙と連動してますね!
(原作情報)息抜きの博物館。全員揃ったのは約束の時間の30分過ぎた頃でした(笑)

9話「さまようナイフ」

美術は内面を描くだけに、心に迷いがあってはいい絵は描けぬ。

現役生は当日まで成長する。
残り2日で八虎は何を見出すか、経験全てが糧になる。

八虎の成長は周囲の支えがあってこそ。
八虎が縁を大切にしているのは分かります。
だからと言って気になったこと全てに首を突っ込んでいたら霧がない。

だけど、止められないのが八虎。

美術の世界を知るキッカケを作ってくれた龍二を、「オレ」から「アタシ」に変わった龍二を放ってはおけない・・・

優しすぎる八虎の、時間の使い方にドキドキしてしまう。

主人公に障害はつきもの、大事なときにトラブルは鉄板・・・とは言うものの、この展開はえげつないですね(苦笑)

10話「俺たちの青い色」

人生には正解がない
だからと言って自由でもない

本当に好きなことをするのがはばかられる。
遠回しに社会での生きにくさを吐露していく。

上手くやっていくには、八虎のように正面からぶつかっていくか、龍二のように強引にいくか・・・と思っていたが。

八虎より龍二の方が自由に見えて──
実は周囲を気遣い、好きではないもの(日本画)を選んでいた。

龍二より八虎の方がマジメに見えて──
やりたいことが決まれば、人の目を気にせず突き進んできた。

好きなモノがありながら、選択を間違えた龍二。
恋ちゃんに続き、ここにも八虎を見て気付かされた人が生まれたのです。

(原作情報)龍二が「俺の部屋のもの、親に全部捨てられたんだ。結構いるけどね、こういう人。」と言うセリフは原作の一部。
原作では「俺の部屋のもの、親に全部捨てられたんだ。俺の親は許せない人なんだよ自分より自由で楽しそうな人が結構いるけどね、こういう人。」と言ってます。

裸も、裸を飾ろうとする人間の自由も醜さも全て愛おしいじゃない?

by 鮎川龍二『ブルーピリオド』TVアニメ第10話

帰りの電車で龍二が言った一言──
何が解決したわけではないかもしれないが、八虎の腹をくくったような落ち着きを見ると、二次試験二日前の無茶な賭けが吉と出たのか。

(原作情報)原作では、八虎は帰り道「今までの課題は明日のためにやってきたなのに、ビビるほど落ち着いている」と心情描写されています。その後「緊張感なさすぎて焦るは逆に」と言ったのです。

精神状態は上々。
だけど、体は悲鳴を上げていた・・・

なんか更にエグくなってる気が・・・
まあいくら蕁麻疹が出たところで絵は描けるし・・・

by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第10話

八虎が風呂で見ていたのは右手・・
これまでは蕁麻疹が出ていたのは左手でした。

蕁麻疹が両手に及んできたのです

(原作情報)試験会場で座り込んだとき、原作では両手に出た蕁麻疹が描かれてます。

11話「2次試験開始」

藝大受験、一次に続いて二次の独特の雰囲気を疑似体験

試験内容は「油絵を描く」。
動きがないのに、止まったシーンはまるでなし。

私語はないが皆頭の中で考え、悩み、戦っている。
必死さと緊張感がヒシヒシと伝わってくる──

(原作情報)原作では、周囲が八虎を「寝てたな」と思ったり、隣の子が八虎の描き方を評したり、試験官の心情描写もあります。

試験内容だけでなく、八虎の思考も追体験できるのが面白い
感覚ではなく、理論的に解説してくれるのがありがたい。

「裸=ありのまま」、テーマは平凡。

(原作情報)八虎は「縁」を描いた時、人に聞きまくってイメージを固めたので、次の日までに掘り下げきれないのは分かっています。だから「掘り下げすぎても終わらない」と言ったのです。

構図は大事であり、八虎の強み。
でも、テーマを決めずに八虎は構図を決めました。

その理由は、八虎が選んだ構図はバランス型
テーマに柔軟に合わせられるので、後戻りできないリスクはあるが仕方なかった。

逆に構図がオーソドックスなので、テーマと描写で絵のクオリティが変わってくるというわけです。

そのテーマは、360度回って元に戻り、結論変わらず。
ただ、その結果には自信が満ちていた──

最初から答えは出てた。

俺にとって「裸」は情けなくて頼りないもの
服を着るのは「裸」を隠そうとする後ろめたい行為で

この絵は、俺を通して見た、俺の世界なんだ。

by 矢口八虎『ブルーピリオド』TVアニメ第11話

裸はありのまま。
だけど、そこで表現するのは「一般的なありのまま」ではない。

自分自身のありのまま。
つまり、八虎自身の情けない姿を描くことこそが「ありのまま」だと確信したのです。

(原作情報)階段で声をかけられた時、八虎は「医務室行ったら課題文わかんねーまま数時間が無駄になるわ!」と考えてます。つまり万全でなくても少しでも手を付ける可能性を考えてます。
(原作情報)部屋に入る前、八虎は「蕁麻疹だけなら余裕だと思ったのに・・・よりによって目にクるかよ・・・」との心情描写。蕁麻疹は前からあったので気にしてなかった様子が伺えます。
(原作情報)大葉先生は、矢口の症状は、試験前から既にギリギリの状態だった階段での息切れがトリガーになっただけと分析しています

補足

大葉先生が言った飛び道具とは、冷却ジェルシート、メガネ、頭痛薬のこと(笑)

デコピタと頭痛薬は分かりますが、メガネは?
オサレさんかと思いました(笑)。

(原作情報)原作では「飛び道具②コンタクトからメガネに」と書かれています。

八虎はコンタクトだったのです。
眼精疲労とストレスからくる症状なので、コンタクトからメガネに変えることで目の負担を軽くしたわけですね

結果、2日目以降は痛くならなかったのです。

原作では、2日目終了後、八虎は「大葉センセーさまさまだな」と感謝してます。

12話「色づき始めた自分」

八虎のテーマは平凡で弱い
だから、スケッチブックで説明し、絵に説得力を与える戦法に出たのです。

藝大の合否は、一次試験の素描、二次試験の油絵、スケッチブックの3つで評価。
ならば、スケッチブックで説得力を持たせるのもアリだと考えたのです。

「本音を技術で武装」を実践したのです

スケッチブックの1枚に油をかけて半透明にしたのは、スケッチブックでも自分がなにものでもない透明なのを表現するため

美意識・価値観・哲学を問う課題に、ありのままを描くだけではなく。
テーマを分かりやすくして、戦略的に導いていく。

絵を見て分かることも分からないことも、徹底的に補完する。

絵が上手いのは事実だと言う世田介に対し、もはや次元が違いすぎて腹も立たない八虎。

八虎は絵に自信がないのも受け入れて、戦略持って挑むことを強みとする

絵を描き始めたのが2年の春。
それから何枚描いたか分からない。

藝大二次試験、集大成のこの時に、八虎は遂に自分の武器を身につけたのです

(原作情報)世田介はムカついて「ちょっと見ない間に上手くなりやがって」と言ったのに、八虎が喜んだので気付きます・・・「そうだ、矢口さん変な人だからムカつかれると喜ぶんだった・・・」(笑)。

実は原作には、2日目の帰り道、世田介は何か言いかけたけど電車が来たので止めるのが描かれています。

推測

2日目の時点で、世田介は既に八虎の絵の意図が分かっていて、それを言いたかったが、電車が来て言えず。

3日目になると、どんどんその意図が明確になっていき上手かったのでムカついたのでしょうね(笑)。

大体「ちょっと見ない間に」とは、以前の絵をちゃんと覚えているということですね(笑)。

最初はどうなるのかと思いましたが。
ホント、この二人、いい関係になってきましたね。

(原作情報)なんと6巻巻末の描き下ろし漫画は、美術部の打ち上げ!最終話の直後ですね。これはアニメでも見たかった。ぜひ原作をどうぞ。
(原作情報)6巻あとがきには、山口つばさ先生のコメントが。受験編は3巻くらいで終わる予定が6巻になってしまったとのこと。最初駆け足だったのはそういうことだったのですね。
ブルーピリオド 8話

『ブルーピリオド』終わってしまいました~~~(涙)

美大受験という特殊なジャンルを取り扱った本作。
美術に取り組む人の実情から、美大受験の現実と厳しさ。
頭の中の具現化、文字ではない言語なだけに伝わったときの喜び。

本作でしか得られない驚きと説得力がありました。

そして何より”好き”を貫くことの尊さ、そして苦しさ、難しさ。
それでも好きなことをやりたくなる・・・

あなたには、これほど熱中できるものがありますか?

いや・・・これだけ熱中できる事を見つけたくないですか?

八虎にとって幸運だったのは、良い教師、良い友達、良きライバル・・・と、いくつかあるでしょう。

でも一番ラッキーだったのは、好きなものを見つけられた事かもしれないですね

おわりに (『ブルーピリオド』とは)

『ブルーピリオド』が描いているのは、絵か人か。

当然、人ですね。
ここまで散々書いてきたように、本作で訴えているのは、絵は描く人の内面を写す鏡。

自分の内側にある思想、考え、イメージ、印象を深く掘り下げ言語化(本作の場合、絵になるわけですが)。

それを、画材と技術を使って1枚の絵に収める。

『ブルーピリオド』は様々な美術に取り組む人を描くことで、人間そのものを描いていたのです。

今回、アニメ化されたのは原作コミック1~6巻まで。
区切りの良いところまでアニメ化されました。

7巻からは大学編。
藝大受験はゴールではなく、スタートなのです。

佐伯先生と大葉先生のW恩師に会えないのは残念ですが。
大学では八虎がどんな人と出会うのか、また何に挑戦するのか、見てみたいですね!

以上、TVアニメ『ブルーピリオド』の感想ツイート(+α)レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

ではでは。

余談

私は、美術は全く分からず美的センスのない理系人間です(苦笑)。
が、ビシバシ胸に刺さる言葉が、まるでスポ根を見ているよう感覚でした。

各話レビューを書きたくなるほど心を動かされたのですが・・・
美術苦手人間なので手を出せず(苦笑)。

それでも、毎話ツイッター感想だけ続けていた所。
皆さんから多くのいいねを頂きました。

数十のいいねなんて大したことないと思われるかも知れませんが、私にとってはありがたい気持ちです。

時間と共に流れてしまうツイートをなんとか残しておきたいと考え、「感想ツイートまとめ」なるものを作ってみました。

ブログでレビューする程、書くネタがない作品を感想ツイートしていたのですが・・・

短文であるツイートも、1クール分あればそれなりの記事になるかと思い、書き切れなかった感想等も追記して描き上げました。

評判良かったら、他の作品もまとめていきますね。

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