コップクラフト

アニメ【コップクラフト】1~12話(最終回)感想 懐かしい雰囲気漂う種族を超えた王道バディ警察もの

コップクラフト
オススメ度 B
原作 ライトノベル
ジャンル ミステリー、警察、ファンタジー
放送情報 TVアニメ(2019年夏)/全12話(+1話総集編あり)
※本文話数表記はTV放送同様全12話で表記(総集編は未カウント)
ストーリー
設定
世界観
感情移入

原作ライトノベル未読。
TV放送録画にて鑑賞。一気見。

あらすじ

15年前、太平洋上に未知の超空間ゲートが出現。
妖精や魔物がいる異世界と交流が始まった。

舞台はアメリカ沖合の島・架空の都市「サンテレサ市」。
両世界の市民が住み人口200万人を超える大都市に。

世界で最も新しい「夢の街」には数々の犯罪も溢れていた。

刑事ケイ・マトバと異世界人の騎士ティラナのバディ警察物語。

こんばんは。時文です。
TVアニメ『コップクラフト』最終話まで観賞しました。

原作は賀東招二著のライトノベル。
小説は現在6巻まで刊行。(2019年10月時点)

海外ドラマ風の懐かしい雰囲気が漂う、色んな要素てんこ盛りの「警察バディ物」。

賀東招二原作と言えば『フルメタル・パニック!』『甘城ブリリアントパーク』。
#どちらも好きな作品です。
#アニメ『甘ブリ』はレビューも書いているのでよかったらこちらをどうぞ。

本作『コップクラフト』は『フルメタ』とも『甘ブリ』とも違うハードボイルドテイスト。
だけど、皮肉タップリの登場人物や、主人公達が何かに立ち向かっていく姿は変わりません。

私は本来、事前情報なしで作品を見るタイプです。
が、本作は、作品の設定や、世界観を知っていた方が、楽しみ所が分かります。

ついては「はじめに」にで、少し作品概要について記載します。
少しのネタバレですら見たくない!」と言う方はお気を付け下さい。

では、TVアニメ『コップクラフト』感想レビューをどうぞ。

はじめに

私はアニメ鑑賞時、事前情報一切なしで見るタイプです。

本作もそのようにしたのですが・・・

#原作が『フルメタル・パニック!』と同じ原作者だと気付かないほど何も入れませんでした。
#いえ、単に知らなかったですが(すいません)。

初見時、全く情報を入れず数話見て、感じたのは「違和感」です。

どこに重きを置いているのか、何を見せようとしているのか、捉え所が分からない「違和感」です。

  • 人の生き死にや差別を扱った重い作品なのか(ポップなOPのように)軽い作品なのか。
  • 異世界を扱うSFなのか、地に足着いたリアル世界の警察物なのか。
  • 強じんな肉体とパワー持った魔物と戦うファンタジーなのか、そうでないのか。
  • 異星人は見ただけで分かるのか?人間に化けているのか?

前提、設定、構成、世界観を理解するのに3、4話まで見ないと理解できないのが勿体ない。

「勿体ない」の意味は、異世界だとか美少女だとか聞くと、どうしても昨今多いタイプだとの先入観が・・・

過度な期待や、間違った先入観は、当てが外れると肩すかしを食らう。
異世界、美少女を楽しみのメインに据えてしまうと期待外れに感じてしまうでしょう。

『コップクラフト』は現実世界を舞台にした、意外と(失礼!)地に足着いた作品です。

本作に限っては、概要を知った上で見た方が楽しめます。
概要を紹介しましょう。

概要

ジャンル

警察バディ物

生まれた世界も住む世界も違う二人が、お互い認め合っていくバディ物の王道路線

これが作品のベース。

メインキャラ

ケイ・マトバ(的場 圭)

主人公。
市警特別風紀班所属の日本人刑事。

ティラナ・エクセディリカ

もう一人の主人公。
異世界の貴族の娘で見習い騎士。

種族だけでなく、年齢も知識も育った環境も価値観もまるで違う二人。

横柄な態度を取るが、刑事としての腕は確かなケイ。
融通が利かない堅物だが、異世界の知識と騎士としての腕前は確かなティラナ。

二人がバディを組み、難事件を解決していく。

典型的な凸凹コンビの警察バディ物。

『コップクラフト』固有の特徴

『コップクラフト』の個性的な要素

  • 異世界と繋がる超空間ゲートが存在
  • 異世界人は見た目は地球人と変わらない
    が、文化レベルや価値観はまるで違う

見た目で分からないのは、アニメで色んなキャラクターを見ているせいかも・・・

物語のスタート

経緯は分かりませんが・・・

超空間ゲートで繋がった別世界の異世界人が「(割と)自由に世界を行き来し、(舞台となる)都市に住んでいる」。

能力も好みも価値観も違う異世界人が住んでいるにも関わらず、「この都市では、(リアル世界と変わらない)人間の法律を適用している」。

超空間ゲートが出現してから15年。

法が整備される前に、異世界人との交流が始まった混沌とした世界」と言った方が合ってるかも。
※本当は違い、少し複雑ですが、鑑賞前はこの程度で充分。
※詳しくは【感想レビュー(ネタバレあり)】で記載します。

こんな状況で、トラブルや犯罪が起きないわけはない。

そこでの警察物語なのです。

構成&内容 そして見所!

バディ物の面白い要素でもある「日常生活での価値観の違い」も存分にありますよ。
日常生活シーンを楽しめると、この作品にハマるかも♪

大きな事件でも、2、3話で解決。

ハードボイルドだが、ノリは軽い。
暴力が横行し、人の命も軽い。

が、バディ二人の関係が見ていて楽しい。

異世界ものならではの、魔術、妖精、(異世界の)技術や小道具が現実世界での事件に使われるのも見所の一つ

地球にない技術を使っての犯罪は、警察の一歩先を進み、それを地球の法律に則って追い詰めるのがもどかしいが、知恵と工夫で乗り切るのが頼もしい

人の生き死に、暴力に悪巧み。
出来事はヘビーなのに、とにかく明るい。

変な感覚だと思われるかもしれませんが、扱っているテーマの割には、(良い意味で)気軽に楽しめる作品です。

TVアニメ「コップクラフト」第2弾PV
ぽにきゃん-Anime PONY CANYON

感想レビュー (以降、ネタバレありです)

バディものの魅力存分に!

『コップクラフト』は設定や世界観もさる事ながら、なんと言っても魅力はケイとティラナ!
二人の魅力と関係性が成熟するに伴う爽快感、満足感である。

見ていて気持ちいいのは、二人とも好感が持てるから。
#好感持てないと辛いかも・・・

バディものと言えば、二人のキャラクターとその掛け合いだろう。
凸凹コンビでいがみ合いながらも、いざ犯人を目の前にするとコンビネーションはバッチリ。
相棒が危険な目に合えば、迷わず助けに行く。
助けた後は減らず口をたたく(笑)。

これぞ王道バディもの!

歩み寄っていく二人

二人がぶつかるのは、それぞれ培った確固たる信念があり正義があるから
相手が考える正義や信念の根本を理解し、少しずつ歩み寄っていく。

ティラナは最初こそ頑固でプライド高い貴族のようだった。
が、仲間を通じて地球の文化と人を知り、ティラナ自身も少しずつ異文化を取り入れていく。

法にがんじがらめにされた市警のやり方を、渋々ながらも学んでいき、その中で動こうと努力する。

ケイも最初はセマーニ人の貴族というだけで、偏見の目でティラナを見ていた。
が、ティラナの正義感と魔術に関する知識は本物で、その実力を認めていく。

彼女の暴走を完全に止めることよりもフォローに回ることにより彼女の能力を最大限引き出す。

反発しあっていた二人が相手の実力を認め、信頼し、敬意を払っていく。
二人息ピッタリで多少のルールを破ってでも犯人に向かって行く姿が心地よく気持ちいい。

周囲のキャラも魅力的!

メイン二人の印象が強すぎ、周辺キャラの影が薄いが警察の他の面々も魅力的

お姉キャラのトニーは別のキャラも持っており存在感と笑いを提供。
上司は口は悪いが部下を信頼し正しい判断をする。

検視官でケイの元カノ、セシルはケイとも相性が良く、ティラナの良き相談相手。
完璧設定かと思ったら抜けてるところがあり、ケイとティラナに振り回されるいい人。

驚いたのは事務員かと思ってたキャミ-&ジェミーの女性二人。
聞き込みや情報収集で力を発揮する。

最終エピソード(9話後半~)はその集大成

警察物と言えば、こういうのを見たかったのだよ!
と言えるようなチームの力を発揮している。

中盤辺りからこのパターンの展開ならもっと印象も変わったでしょう。

が、全体構成としてアニメ1クールを想定している作品ではない?
私の勝手な想像ですが、恐らく、長期シリーズを想定して描いているのではないか。

各キャラや世界観を丁寧に少しずつ登場させている。
ようやく主要人物が全てに出番が回り、総力挙げてゼラーダに立ち向かう頃には、最終エピソードになってしまった感じ。

だから、序盤で断念してしまうと勿体ない。
途中でイヤになっても最終エピソード(9話後半~)だけは見て判断して欲しい。

そして、長期シリーズとして続けて欲しい。
#原作が追いついてないようですが(笑)

ストーリーは捜査過程に重き

世界観は「異世界+警察」。
もっと言うと、異世界美少女と警察、それも泥臭い所轄の組み合わせ。
これまで、ありそうでなかった設定が新鮮。

ただ惜しいのは、先に書いたとおり。
異世界、妖精、魔法と警察と聞くと「異世界技術 VS 警察」みたいな構図が頭に浮かび、アクション主体に期待をしてしまう。

本作はアクションがないわけではないが、メインではない

犯人を追い詰めるまでをじっくりと描き、追い詰めた後は割とあっさりなのだ。

この構成は、まさしく警察ドラマ風。
警察ドラマものは犯人を追い詰めるまでがドラマであり、追い込んだ後は、ちょっとした小競り合いやドンパチで大抵決着。
#むろん、アクション主体にした警察ドラマもありますよ。

本作も、このスタイルなのです。

が、『コップクラフト』は相手が異星人で、地球上には存在しない武器や能力を使う。
だからこそ、その対決、劣る武器で敵をどうねじ伏せるかを期待したのに、あっけないから拍子抜けしてしまう。

実に勿体ない・・・

毎話ラストの引きも弱く、気になる引きでも、引っ張った割には次回を見るとあっけない。

垣間見える異世界が楽しい

それでも私がオススメするのは、異世界の技術やワザが魅力的で、地球人に知られてない技術や魔術で、警察を翻弄する展開はゾクゾクしたから

もっと異世界セマーニのことを知りたいと思う程引かれたのだ。

最初のエピソード、「妖精爆弾」&「死人操作」は恐ろしい。
これで1クール引っ張れたのでは?と思う程のインパクトと大仕掛けだ。
3.5話で終わらせたのは勿体ない!

次のエピソード、吸血鬼。
異世界である必要はないのでは?と思った(笑)が、強さが圧倒的で、アクションシーンをもっと見たかった。

それ以上に興味を引いたのは、術士ゼラーダとの会話に出てきた古の書「ニバの書」。
なんだか、地球の歴史上出てきた吸血鬼伝説は、実はその頃から異世界と交流があったからだ、なんて話に展開しそうなネタ。
#妖精麻薬による死人は「ゾンビ」ですね。

最終エピソードの「魔法の金属」、形状を変える金属が出てきた時は心躍った。
ティラナの服も同様だと聞き、単に魔法で変身したのではなく「魔法を使った技術」だと分かり根拠がしっかりした作品だと感じた。

そう。
異世界や魔法、妖精を扱うのでファンタジーに見えますが、ちゃんと論理的に事象を起こしているロジカルな作品なのです

セマーニ人は移民ではない!

考えられているのは事象だけではない。

世界設定も少し複雑な過去と事情

1クール通して描かれた背骨に当たるメインテーマは、地球と異世界の対立
つまり地球人とセマーニ人の交流と対立です。

15年前に突如出現した超空間ゲートにより、異世界と地球(特にアメリカ)との交流が開始。

アニメを見ていると、島にいるセマーニ人は、まるで”ゲートを通ってやってきた移民”のように見えます

が、違います!

ティラナが捕らえられ寺院に連れられていく道中(3話)

この辺りは開発が進んでなくてね。まだ、向こうの世界の名残が残ってる。

住民はもういない。ドニーニの街に移り住んだのさ。

by デニス・エルバジ『コップクラフト』TVアニメ3話

ケイとティラナが市長候補へ聞き込み(11話)

(ティラナ)
この土地は元々セマーニ人のものだ。

(ドミンゴ・トゥルテ)
違うね。
ここは地球だ。地球の太平洋にある島だ。
入れ替えでそっちに飛ばされた海水と魚はくれてやる。

-中略-

政府は以前から、元の住人のセマーニ人に対し資金援助をしている。

向こうに帰る制度まである。
だが、帰らない。お前らは皆、帰らない。

なぜ帰らない?
そう。地球の文明が気に入ったからだ。

-中略-

楽しむのは結構。
ただしこちらのルールは守れ嫌なら帰れ
それだけだ。

by 『コップクラフト』TVアニメ11話

15年前、超空間ゲートが発生しただけでなく、異世界の島ごと太平洋上アメリカ沖に現れたのです。

その島に、地球人が街を作ったのです。
#15年にしては随分発展した街ですが(苦笑)

この作品の舞台であるサンテレサ市は、セマーニ人が地球に移民してきたのではありません。

元々セマーニ人が住んでいた土地が、地球上のアメリカ沖に島として現れたからアメリカが進出
セマーニ人は移民ではなく先住民なのです。

元々いたセマーニ人から見ると、以前から住んでいた土地に、地球人が侵略してきたのです。

それをアメリカ側(市警)から描いている物語。

かなり壮大。
いや、大きすぎませんか?

いえ、そこまで理解しなくても作品は楽しめますけどね(笑)。

今回はこれだけの設定にも関わらずストーリーに深くは関わってません。
が、ここまで手の込んだ設定。
民族対立、差別問題、先住民との問題に、権利、主権、平等性などなど。
今後、これをベースにして物語が紡がれていくとなると、楽しみですね。

練りに練った設定が見えてくると、継続して追いかけたくなります♪

おわりに (『コップクラフト』とは)

警察、バディ、異世界、SF、裏社会・・・
と色んな要素がてんこ盛り、展開もワチャワチャしています。

ですが、ベースは「バディ警察物」。

異文化や見たことがない技術と興味深いシーンがあります。

惜しいのは、折角の異世界設定なのだから、もっと異世界文化、技術、能力を知りたかった。
できれば異世界に乗り込むエピソードがあっても良かったのに。

メイン二人の関係がよくなっていくのが心地よい。
最終エピソードでは二人に加えて、警察の仲間、周囲のキャラクターの活躍も見られ、もっと早くこの展開を見たかったと思う程。

そう考えると、実はこの作品、長期シリーズ構想で描かれているのでは?と思ってしまう。

今回12話かけて描かれたのは、サンテレサ市警のメンバーと術師ゼラーダとの対決。
サンテレサ市が抱える課題は根深いものだと言うことが分かり、セマーニ人との対立は今後も続くだろう。

1クールかけてようやく登場人物と世界観の説明がされたに過ぎないのではないか。

異世界側のことは一切描かれてないし、ティラナの師匠の影もチラホラ。
ゼラーダが言ってた古の書「ニバの書」は謎のまま。

続編、期待したいですね!

きょうのひとこと

「選挙はベストを選択するのではなく、よりマシなのを選ぶ」
真理ですね

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