オススメ度 | B- |
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原作 | なし(アニメオリジナル) |
ジャンル | 日常系、ファンタジー |
放送情報 | TVアニメ(2019年冬)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
アニメオリジナル。
TV放送にて鑑賞。一気見。
こんばんは。時文です。
TVアニメ『えんどろ~!』最終話まで鑑賞しました。
原作はなく、アニメオリジナル作品。
『ゆるゆり』原作者なもり先生がキャラクター原案を手がけた、少女4人の勇者パーティと見た目がかわいい魔王が繰り広げる、ゆるい日常系アニメ。
ストーリーはないに等しいかと思いきや(失礼)、時折ホロリとさせられ、ラストに繋がる伏線がさりげなく流れの中で盛り込まれているから、油断できない作品でした(笑)
そして、注目のラスト2話は、集大成とも言える展開で、見事な着地。
ラスト2話だけでも、多くの人に見て欲しいのですが、ラスト2話だけでは面白みが分からない。(←そりゃそうだ)
さて、どこまで魅力が伝えられるか・・・
では、TVアニメ『えんどろ~!』感想レビューをどうぞ。
目次
はじめに
舞台は架空の剣と魔法の大陸「ナラル島」。
冒険者学校で勇者を目指す主人公ユーリア・シャルデット(ユーシャ)。
ユーシャは3人の少女とパーティを組み、冒険者としての腕を磨き、本物の勇者を目指すのだった。
そこへ現れたのは新しい先生・マオ。
先生の正体は・・・
キャッチコピーは「ありそでなかった日常系ファンタジー、はじまるよ?!」。
まさにこのキャッチコピー通りで、ほのぼのとした、危機感が全くない、ゆる~い日常系ファンタジー。
緩い、冒険アドベンチャーであり、
冒険者を育てる「冒険者学校」を舞台とした学園物とも言えます。
新しい先生の正体は、勇者と因縁のある魔王。
魔王はユーシャ達を勇者にならないよう退学させようとするのだが・・・
あとはもう、ほのぼの日常系で進むと思っていたら、ラスト2話で、ストーリーがグンと進みました♪
伏線回収タイプと言う程でもなく、(それほど)どんでん返し系でもなく、ハードなシリアス展開への路線変更があるわけでもない。
10話までの空気感を保ったまま(←これ大事)、ラスト2話で、物語が一気に展開するのです。
#すいません、ネタバレなしだと、こんな抽象的な説明しか・・・
ぜひ、ラスト2話をご覧下さい。
絵だけではなく、ストーリーも緩い。(ラスト2話は除く)
真剣に見ることもありませんが(失礼)、イライラすることもない。
だけど、時々心にグッとくる、エピソードやシーンが堪らない。
たまにはいいですよね、こういうの♪
「KING AMUSEMENT CREATIVE」公式チャンネル
感想レビュー (以降、ネタバレありです)
全ては禁断の魔法失敗から始まった
RPGゲームのラストシーンのような1話冒頭。
「終わり」であり「始まり」でもあるエンドシーン。
アニメ第1話は、物語としてのスタートも”エンドロール”から始まるので『えんどろー(る)』か。
主要な登場な人物は全て、1話冒頭の魔王討伐シーン(の失敗)から物語が始まっている。
- マオ:言うまでもない
- メイゴ(メイドのゴーレム):巻き込まれた
- ユーシャ:禁断の魔法を失敗した張本人
- セイラ:巻き込まれた
- ファイ:巻き込まれた
- メイ:巻き込まれた
- ちびドラゴン:2周目から存在
- 女戦士(教師):マオが教師になったことで人生も変わった?
- ローナ姫:1周目では出会わなかった??(後述)
冒頭の魔王退治は夢か現か幻か
1話冒頭で、勇者パーティはきっちり魔王を退治し、確かにエンドロール(終了)かと思いました。
が、2話ラスト、マオの回想により、どうやら、ユーシャの最後の呪文は失敗し、過去へ飛ばされたのが真実。
それどころか、ラスボス魔王の前でも自由奔放な勇者たち。
1話冒頭のシリアス勇者たちと2話ラストのいい加減さは、天と地ほどの差。
では、あの1話冒頭はなんだったのか?
1話冒頭シーン(魔王退治~エンドロール)が終わった後に出てきたのはセイラがユーシャを起こすシーン。
つまり、1話冒頭の魔王退治はユーシャの夢?
それも、事実(ユーシャが忘れている経験)と妄想(ユーシャの願い)がごちゃ混ぜになった、ユーシャの都合良いよう(クールに魔王退治成功)に見ていたと思われます。
なにが真実なのか、迷うところもありましたが、あまり深く考える空気にならないのがこの作品の良い所(褒めてます(笑))。
勇者の邪魔をする作戦も頓挫
ユーシャが、禁断の魔法を失敗し、過去へ飛ばされた魔王。
勇者が誕生する前に戻ったことと、生活するために教師となったら目の前にユーシャが現れたことから、ユーシャ達を退学させようと目論む。
実に”魔王”らしい発想。
ところが、ユーシャ達は、規格外の自由さと強運で、課題をクリアしていく。
#予想通り
これが勇者になる者の運命か?
早々と気付いたマオは、魔王になることをあきらめ、平和に暮らすことに・・・
って、2話で決断って、早すぎ!!
#こっちは予想外!!
てっきり、思い直すのかと思ったら、ホントにあきらめた様子・・・
その後は、魔王の素性を隠すことには注意を払いつつも、緩い雰囲気なのでバレる心配はなく、ゆるーい日常が進んでいく・・・
むしろ成長を早めているのでは?
ラスト2話を見たからこそ、思うのですが。
むしろ、(2周目は)マオ(魔王)の存在が、ユーシャの勇者への道を早めたのでは?
マオが、ユーシャ達を勇者になれないよう邪魔した結果、「勇者の剣」を早い段階で持つことになった。
1話、突然の冒険学習だったし、マオが邪魔しなければ、簡単な冒険だった。
それを退学させたいがために、困難な冒険にしたから、勇者の剣に繋がる展開になったのだ。
勇者の剣を手に入れたからと言って、実力が伴わないからユーシャは勇者と認められない。
が、勇者の剣を手に入れたのが早くなったから、ローナ姫を呼び寄せたのでは?
前周の回想シーンではローナ姫は全く現れず。
前周でもローナ姫が勇者に特別の感情を持っているのは同じはず。
前周ではローナ姫が勇者を認識したのは、勇者が旅立った後なのか。
勇者の剣を早くに手に入れ、少し早く勇者の噂が広がり、ローナ姫と会えたのではないか?
という仮説が立てられます。
そして、ローナ姫がいたから、メイゴやユーシャ達は前周の記憶を取り戻し、エンディングへ繋がる。
#魔王城を建てたのもローナ姫ですね(笑)
よくできたプロットです。
魔王⇒マオへ
プロットが面白い点で言うと、マオが魔王を”早々に”諦めたのも上手いですね。
“早い段階で”というのがポイント。
これにより次の2つの効果が出ました。
- 意外性抜群
- ラストへ続く伏線をじっくりと描ける
①意外性抜群
2話で諦めたのは、あまりにも早すぎて予想外でした(笑)
でも、確かに最善の選択なんですよね。
勇者には何をやってもかなわないから、早々に諦める。
力や実力がどうのこうのではない、”勇者”には計り知れないモノを感じ、まるで勇者が魔王を倒すのは運命とも言えるような力を感じる。
であれば、魔王にならなければ良い、と決断したわけです。
マオ先生さすが!
それに、勇者を誕生させない一番の方法は、魔王が存在しなければ良いのです!
だから、マオが魔王をあきらめたことにより、絶対に勇者は生まれないのです!
#ところが、ローナ姫がユーシャを勇者と認定してしまったわけです。
#魔王がいなくても、「勇者の剣」があれば、勇者が存在するのです。
#それは歴史上、勇者と魔王が存在していたからですね。
#もしかすると(作品内での運命が)勇者と魔王は存在しなくてはいけない。
#マオが魔王をあきらめたから、ローナ姫が出てきて、「勇者認定」したとも考えられますね♪
#要は勇者と魔王は運命によって存在が定められているのです~~てか?
ま、ちょっと不可解に思ったのは、なぜ魔王はそれまで魔王になりたかったのか?
今まで魔王になって何をしたかったのか?
それが、一切語られないので、深い物語にはならないのですが、そんな奥深い話は必要ないと言わんばかりの作風が気にさせません。(褒めてますよ!)
②ラストへ続く伏線をじっくりと描ける
早々に魔王になるのをあきらめたマオ先生。
元々、知識はあり常識人なマオ先生。
先生という立場で生徒と接していく内に、優しさや、生徒を育てる楽しさとやりがいに目覚めていく。
実は『えんどろ~!』はマオが成長する物語でもあるのです。
#この辺を中心にした展開をもっと見たかったです。
6話、8話とかは、ユーシャ達よりマオ先生が主役でしたね♪
#この2エピソードも、ポカポカでオススメです!
マオが魔王ではなく、マオ先生としての思い出が増えれば増えるほど、ラストが感動のエピソードになるのです。
だから、じっくりと描くためにも、早々に魔王を諦める必要があったわけですね。
決して①の意外性だけではないのです。
巧みなプロットです!
ユーシャたちも負けてない!
ユーシャたちも、マオに負けてません!
勇者らしくないユーシャたち!
自由過ぎるユーシャたち!
これで本当に魔王から世界を救う勇者になれるの!?
だけど、ユーシャは根はやさしく、困っている人を見かけると放っておけない。
その結果、周囲の人々を巻き込み、冒険初心者にはレベルが高いクエストをクリアしていく。
自由で無謀でムチャだけど、まっすぐな考えは、やっぱり勇者。
次第に周りも、そして運命も彼女たちを放っておかないのだ。
他にも、他種族との関係、ラストは、勇者と魔王の関係。
冒険ファンタジーをゆる~~く描いていますが、冒険ファンタジー物の押さえるところは押さえている。
それも、少し違う角度で。
その辺が、上手く、面白い作品でしたね。
途中、ぼんやり見ていたのを反省(笑)
色んな意味で「ありそでなかった」
キャッチコピーである「ありそでなかった日常系ファンタジー、はじまるよ?!」。
冒険ファンタジーで、戦いやクエストをメインにする作品は数多くあり、その中で日常が描かれます。
確かに、冒険者のゆるい”日常をメイン”に描く作品はなかったかも。
そして、「ありそでなかった」のはそれだけではありません。
- 最後まで自由過ぎる勇者たち
- 本当に人助けだけで見返りがない展開・・・
- 魔王が勇者を育てる
- 冒険者たちの誰よりも、ずっと常識人な「魔王」
- 勇者達のパジャマパーティ
- 魔王がかわいい(これはどこかで見た気が・・・)
- 魔王が魔王をあきらめる(本気で)
- 勇者のためなら、常識外れなお姫様
- 見た目かわいいが規格外な、ちびドラゴン
- そして、最後は、魔王退治をせずに、世の中を平和にしてしまう
勇者と魔王の関係にまで踏み込み、その運命を断ち切るために、概念をなくすとは?!
ありそでなかった、永遠の運命を断ち切る方法。
これが真の平和か?
なんか、とても深い作品に見えてきたぞ!?
私も「ありそでなかった」を
ラスト2話は、もっとじっくりと伝えたい。
いえ、語りたい(笑)。
ラスト2話”だけ”、各話レビュー書いちゃいました。
良かったらご覧下さい。


おわりに (『えんどろ~!』とは)
ボーーッと見ていたのが、ラスト2話は前のめりに。
ラスト2話を見終わると、それまでのシーンを”真剣に”振り返る(笑)
そういう作品でした。
自由過ぎる勇者達に魔王があきらめて魔王をやめてしまう。
ずっとのんびり平和に暮らしてくのかと思いきや、”運命”がそうはさせない。
ちゃんと着地をさせたプロットはお見事でした。
途中のほのぼのエピソードがなければ、(ストーリー面から)もっと良かったと思うのですが、ほのぼのエピソードを楽しめた人だからこそ、ラスト2話を感動できた気もします。
もしかすると、10話までで、ふるいにかけられたのかもしれないですね(笑)
このキャラクターデザイン、かつ、魔王が早々に勇者を潰すことをあきらめてしまった段階で、ほのぼの路線確定だと信じ込ませてからの、最後の”少し”シリアスな展開が刺さりました。
シリアス展開好きは、最後まで堪えられないかも(笑)
ゆるい作品が好きな方にはオススメです♪