オススメ度 | A |
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原作 | オンライン小説・ライトノベル |
ジャンル | ダーク・ファンタジー |
放送情報 | TVアニメ(2018年秋)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
原作小説未読。
TV放送にて鑑賞。一気見。
こんばんは。時文です。
TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』最終話まで鑑賞しました。
原作はオンライン小説およびライトノベル。
ライトノベル小説は現在9巻まで刊行。(2019年1月時点)
本編以外に2つの外伝『イヤーワン』『鍔鳴の太刀』が出ています。
アニメは、1巻2巻の内容が軸となり、一部、短編集である4巻からのエピソードが入ってます。
2016年から刊行され、「このライトノベルがすごい!2017」の新作部門で1位を取っています。
グロいシーンが多く、苦手は人は気を付けて下さい。
合わない人は合わないでしょう・・・
ただ、作品世界の中でのリアルを描いているのであって、決して、グロさだけの作品ではありません。
正真正銘の”ダークファンタジー”。
では、TVアニメ『ゴブリンスレイヤー』感想レビューをどうぞ。
GA文庫チャンネル
目次
はじめに
舞台は、架空のファンタジー世界。
この世界には、人間以外の種族、そして魔物がいた。
魔物退治を生業とする冒険者も存在。
物語は「辺境の街」から始まる。
そこには、ゴブリン退治の依頼しか請け負わない冒険者・ゴブリンスレイヤー(主人公)がいた。
1話で衝撃的な始まりを見せてくれました。
原作未読で、事前情報を入れないようにしてましたが、内容はハードだと耳に入ってました。
その上で鑑賞。
序盤から、「ああ、来るな・・・」と予想しましたが、想定を超える衝撃。
そこまで描いて良いの?描く必要あるの?と言う衝撃。
が、衝撃度合いで言うと1話が一番大きく、以降は減ります。
#見慣れた??・・・のではないはず(笑)
むしろ、2話以降は地味と言える位。
過激な描写の1話は、掴みであり、警告であり、作品世界観の説明でもあります。
1話だけでは、作品全体の方向性は見えず、2話、3話と見てようやく見え始める。
『ゴブリンスレイヤー』は、戦争でも冒険でもなく、勇者でも勇者を目指す者の話でもない。
一般の人が身近に恐怖を感じているゴブリンを、実直に駆除する物語。
まあ、『ゴブリンスレイヤー』タイトルそのものな訳ですが(笑)
ゴブリンに特化している点が面白く、結果、深い物語となっています。
敵を限定すると、ストーリーで魅せなくてはいけない。
作家の技量が問われる、かなり挑戦的な設定。
下級モンスターのゴブリンに限定したので、物語は、決して派手ではない。
気持ちいいほどの爽快感も少ない。
が、物語は安定感を持って進み、安心して見ていられる。
じんわり来る達成感に、少しずつ作品と主人公に宿る考えが汲み取れ、ゴブリン退治がこの世界では重要だということが分かってきます。
そうです。
1話の衝撃的な展開は、掴みの意味合いもあるのでしょう。
が、ゴブリンがどれだけ残虐か、一匹たりとも残してはならない、駆逐しなくてはならない存在だと示すための描写なのです。
当然、ゴブリンも生き物ですから、切れば血が出るし、子どももいます。
それらを駆除する物語。
どうしても殺伐とし、双方のグロいシーンも多くなるのです。
2話のセリフを引用します。
「ある日、突然・・・
自分たちの住みかが、怪物たちに襲われたと考えてみろ。」
“油断できない世界で生きていく”。
その苛酷さが示される作品です。
本格ダークファンタジー登場。
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
ド派手な戦いはない
ド派手な戦いはありません。
ファンタジー系見所のドラゴン退治するでもなく、英雄になるでもなく、世界を救う話でもない。
派手な魔法がバンバン出てくるでもなく、怪我をしたら弱り、簡単には回復しない。
一度死んだ人は生き返ったりせず、奇跡など起きない。
一番弱い部類のゴブリンをひたすら狩る。
クライマックス以外は、まるで地味なミリタリー物。
無謀な戦いは控え、姑息と思われようと、確実で安全に勝てる方法を選択。
倒し方は関係なく、格好良さとは無縁。
派手さはないが、これが妙にリアル。
実際、この世界を想像したら、大きな戦いなど少なく、この手の戦いの方が圧倒的に多いのだろうと納得。
世界を救うわけではないが、町を救うために必要な戦い。
その上、ゴブリン1種類だからこそ、ゴブリンの備え方、主人公達の攻め方を多様にし、最弱モンスターでも、生き物で、知恵があるのだから、通り一辺倒の戦いにはならない。
当たり前の事を実直に描いて、気付かせてくれる。
クライマックスはちゃんと押さえる!
そしてクライマックスには、今までのうっぷんを晴らすかのように、ゴブリンの親玉との戦いを持ってくるのも秀逸。
中ボスを1クールの半ばへ持ってきて、水の都のクライマックスと牧場襲撃をラストへ持ってくる構成。
#「水の都」編のクライマックスは原作2巻のラスト
#11、12話のゴブリン襲撃は原作1巻のラスト。
原作1巻ラストだけを順番を入れ替えて2巻の後の最終エピソードに持ってきたのですね。
最終話に盛り上がるエピソードを持ってきたのは正解ですね。
後でも記載しますが、主人公の成長と、仲間の絆が見れるエピソードで締めくくったのは上手いです♪
でも、原作通りの順番だと、牧場への襲撃のあと、「水の都」へ行ったわけで。
「水の都」ではもう少し、ゴブリンスレイヤーと仲間の距離が近くなっても良い気が・・・
あ!槍使いが、小麦粉を持ってきてくれたのは、そういうことなのかな!?
#そんな関係なの?とちょっと不自然だったんですよねーー
これは原作チェックせねば!?
「ゴブリンonly」侮るなかれ
ゴブリンとは
本作に登場する怪物の最下級とされる小鬼。動きが素早いうえに悪知恵が利き、闇でも見える目と高い嗅覚を持って絶えず闇間から徒党を組んで襲いかかるため、実は最も多くの新人を殺害している存在。
性格はきわめて残忍かつ身勝手で、自分たちの悦楽のために標的とした人物を拷問したり食料としたりするほか、女性の場合は強姦するなどの行為を好む。
(Wikipedia「ゴブリンスレイヤー」より抜粋)
ゴブリンは残虐で本能の赴くまま動く化け物。
絶滅させねばと思う存在。
「ゴブリンonly」この設定が妙
主人公ゴブリンスレイヤーは、ゴブリンを狩ることだけが目的。
ゴブリン狩りで慣らした主人公が、上級モンスターへ挑戦していく物語かと思ったら、ゴブリンonlyでした(笑)。
普通の冒険ファンタジー物であれば、次々と新しいモンスターを出現させ、物語に変化を与え、視聴者の興味を惹き付け、最終的にドラゴンや魔王を討伐する展開となるのでしょう。
が、本作ではゴブリンのみ。
考えてみれば、現実世界でのバトル物、例えばミリタリー作品の登場人物は人間1種類。
でも人間にも様々なタイプや考えがあり、また環境の違いにより、戦い方や目的は様々。
ゴブリンも単体では弱い存在かもしれないが、集団になり、役割分担し、指示できる存在がいたら・・・
組織化され集団で襲ってくると想像したら、恐ろしいこと、恐ろしいこと・・・
生態は、洞窟に巣くうモノ、森へ巣くうモノ、地下へ巣食うモノ、と多種多様。
さらに、本作のゴブリンは、道具を作ることはできないが、使うことはできる。
#確かに昔からあるゲームのゴブリンも武器は持っていたりします。
#勝手な設定ではないですね。
しかも、使い方が分かれば、武器だけでなく、他の道具も使いこなせると言う。
こうして、ゴブリンonlyとは言え、色んなタイプのゴブリン集団が。
対する、ゴブリンスレイヤーは、そのゴブリンの習性を加味し戦略を練っていくのだ。
描く範囲を限定することで、ゴブリンを含むキャラクターとストーリーに深みが生まれ、また、他に気を取られることもなく物語に集中できるのです。
設定の妙ですね。
と口で言うのは簡単で、これだけ限定された設定の中、物語を作り出しているのは、作者は凄い技量だと感心せざるを得ません。
「ゴブリンonly」ゆえに残虐
今まで見てきたアニメのファンタジー物、異世界物は、割とソフトでした。
#人間側は簡単には死なないし、ケガも回復する。
#ましてや最弱ゴブリンに人間が大量に殺されるなんてことはない。
が、実際にモンスターがいたら・・・
下級モンスターであるゴブリンですら、これだけ恐ろしい存在なのかもしれません。
事実、海外のファンタジー物で描かれるモンスターは総じてリアル。
#トールキン著の『ホビットの冒険』『指輪物語』どちらのゴブリンも実際に対峙したら恐い・・・
可愛く、残虐性を押さえているのは日本くらい??
その上、普通のファンタジーはより強いモンスターを退治していくので、ゴブリンは相対的に雑魚。
でも、実際にモンスターがいたら、一般人やレベルの低い冒険者にとっては、雑魚でも恐ろしい存在なのです。
これがこの世界のリアル。
もっと強いモンスターもいるが、身近な危機という意味では、一般人にとって脅威となるゴブリン。
そこにフォーカスし、その残虐性、鬼畜さを赤裸々にしたのではないでしょうか。
その意味でも、1話で描かれる衝撃的な内容は必要だったのだと私は解釈します。
私は、むしろ、新人冒険者たちを”強く”止めることなく、ゴブリン討伐へ行かせたことの方が解せないですね。
「ゴブリンスレイヤー」とは何者なのか
主人公は、子どもの頃、ゴブリンに村を襲われ、大好きな姉も殺されたことにより、ゴブリン根絶に執念を燃やす。
ゴブリン退治に邁進するあまりか、他のことには興味も関心もなく、コミュニケーションも必要最低限で木訥(ぼくとつ)。
そんな主人公ゴブリンスレイヤーが、徐々に心を開いていく展開は実に王道で微笑ましい。
1話が衝撃的で、敵はゴブリンだけと異例なので、展開も異色になると思ったら、実に王道。
他の一般的な話に例えると、乱暴な主人公、偏屈な主人公が丸くなっていく系。
仲間を支え、また、仲間に支えられ、かけがえのない絆を作っていく。
この形を押さえています。
なんか意外でした(失礼!)
ゴブリンスレイヤーは、ゴブリンの奇襲を警戒し、いつも鉄兜と鎧を装着し、無口なので、見た目は近寄りがたい・・・
その上、ゴブリン退治にしか興味を示さず、そのせいか、誰ともパーティを組んでこなかった。
それでいて、辺境の街での実質最上級である銀等級。
他の冒険者から変わり者として見られている。
物語は、アウトローなゴブリンスレイヤーを理解する者が少しずつ現れ、その者の説明により、周りの冒険者(+視聴者)へ、ゴブリン駆除の重要性と、ゴブリンスレイヤーの素顔を知らせていく過程が上手い!
ゴブリンスレイヤーの目的が例え怨恨であったとしても、報酬は少なくても、ゴブリンに困っている人がいたら無条件で助ける。
これが、困っている人にとっては、何よりもありがたい。
それが爽快さに繋がる。
また、ゴブリンの被害にあった人を、理解せずとも助けようとする愚直さと優しさ。
この辺りが分かってくると、この男から目が離せない(笑)
実に王道!
1話とのギャップにやられました。本当に!
「ゴブリンスレイヤー」に惹かれていく
ゴブリンスレイヤーは、仲間となった女神官相手でも、日常の会話は「そうか」「そうなのか?」など数パターン。
仲間であっても、相手のことに興味も感心も示さない?!
と思いきや、コミュニケーションの取り方が分かってないだけ。
有無を言わせぬ言葉だと思っていたら、相談しているつもりだったと分かると、心は素直だと判明する。
少しずつ、人への相談の持ちかけ方も学んで?いく。
そして終盤、ギルドにいる他の冒険者へ頼む姿。
そして、それに答える冒険者たちのシーン。
よくある展開と分かっていても、ジーンときてしまいました♪
この辺の押さえ方と、進め方が巧い!
「ゴブリンスレイヤー」の仲間たち
忘れてはいけない存在が、ゴブリンスレイヤーの仲間たち。
ゴブリンスレイヤーの良き理解者であり、頼もしい仲間。
最初の仲間になるくだりは理解できました。
が、ずっと一緒にいる理由が、今一つよく分からなかったのですが・・・
#大事な使命があるのではなかったでしたっけ?
いつの間にか絶対的に信頼をする仲間となりました(笑)
「水の都」クライマックス(9話)。
仲間の力を信頼し、作戦を練るゴブリンスレイヤーの成長が見て取れます。
「俺のポケットには何がある?」
主人公が普段はおとなしく、ゴブリン退治が地味で、どうしても味気ない作品になってしまう所を、明るい仲間が、良いアクセントになっています。
ゴブリンスレイヤーと仲間、プラス牛飼娘(ひどい呼び方だ・・・)の日常パートはホノボノしていていいですね。
平和が一番幸せだと言う事を感じさせてくれます。
おわりに (『ゴブリンスレイヤー』とは)
ゴブリンしか狩らないという、物語の広がりとしては一見マイナスな設定を逆手に取った作品。
敵はゴブリンのみ。
大仰な魔法、無敵な魔法はなし。
主人公たちは無双でも不死身でもなく、油断をすれば最弱のゴブリンでも傷を負わされる。
呪文も矢も有限で、動けば体力も減る。
強い冒険者や国の軍隊は、ゴブリンになど関わっている余裕も考えもない。
ゴブリン退治は、住民と冒険者ギルドの工夫と努力で解決する。
これだけの制限を設けた中でのストーリー。
否が応でも、ゴブリンの生態や習性、社会性や、能力に深掘りをしないと成り立たない。
#だからゴブリンの残虐性を恐れずに出したのだと思います。
対する主人公側も、ずっとゴブリンだからと同じ攻めでは物語がワンパターンになってしまう。
毎回、新たな攻略方法を見せ、飽きさせない。
これは作者にとって挑戦。
いや、自分に制限をかけて、物語創出に正面からぶつかることを望んだのではないでしょうか。
さて、この先、どんな物語を見せてくれるのか。
主人公・ゴブリンスレイヤーの行き先は?
アニメ化されたのは、小説9巻中、2巻分。
原作ストックはあるので、早く2期期待したいですね。
原作にも興味を持ちました♪
時間あれば読んでみたい!
先がとても気になる作品がまた一つ増えました♪
これだからアニメは止められない。
ではでは。
