ハッピーシュガーライフ

TVアニメ【ハッピーシュガーライフ】1~12話(最終話) 感想レビュー 純愛と狂気?!恐いが先を見ずにはいられない!

ハッピーシュガーライフ
原作 コミック
ジャンル サスペンス、ホラー
放送情報 TVアニメ(2018年夏)/全12話
オススメ度 A-
ストーリー
設定
世界観
感情移入

原作コミック未読。
Amazon Prime Videoにて鑑賞。一気見。

あらすじ

舞台は現代。

「愛」を知らない女子高生・松坂さとう(主人公)は、「愛」を知るために男遊びを繰り返していた。
あるとき、愛する人を見つけ、男遊びはきれいさっぱり止め、生活の全ては愛する人のために・・・

その最愛の人とは、神戸しお、8歳の少女だった。

こんばんは。ミステリー”は”大好き時文です。
絵と展開のギャップに驚くTVアニメ『ハッピーシュガーライフ』最終話まで観賞しました。

TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』は月刊「ガンガンJOKER」で現在も連載中のコミックが原作。

原作が連載中のためか、アニメの結末は、原作とは違うアニメオリジナルとなっています。

作品の内容は現実にはありえない(と思いたい)サイコな話のオンパレード

映画のようなR指定(年齢制限)があったら、指定されたと思います。

グロい作品や、ウツな展開が苦手な人は要注意。
かなりディープです。
#よく放送できたな・・・と思う程

非人道的な行為が出てくるので、推奨するのに躊躇してしまいますが・・・

展開は上手いです!
続きを見たいと思わせるのが巧みでした。
#内容が内容だけに、悔しいのですが・・・(笑)

ぜひ、事前情報なしで見ることをオススメします。
#PVも見ない方がいいですよ~

見始めると・・・
即、離脱したくなるか・・・
もしくは、結末を見るまで止められなくなると思います。

私は、事前情報一切なしで見たので、1話から衝撃的でした(汗)。

それでは、純愛と狂気の物語 TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』の感想レビューをどうぞ。

はじめに

イントロダクション

男を取っ替え引っ替えしていた、さとうは、本当に愛せる人、愛してくれる人を探していた。
少女の願いは「愛を知って満たされたい」

たった一人の愛する人を見つけたとき、少女が取った行動は・・・

恐い恐い恐い・・・
事前情報一切なしで見たので、展開に驚きました。
ここまでイッてしまうのかと・・・

作品のキャッチフレーズは「戦慄の純愛サイコホラー
キャッチフレーズに偽りなし!

一見、少女漫画かと思うような絵、雰囲気、キャラクターデザイン。
ですが、中身は真逆の猟奇的なサスペンス。
#恐いですが、私はホラーというより、サスペンスと感じました。

作品内では、いくつかの、歪んだ愛情が描かれます。
歪んだ上に執拗な愛、ゆえに、制御できない心の内が露呈していく。

私は見始めてすぐに違和感を感じました。
明るい絵とは裏腹に、”なんか怪しい・・・”と。

これは、作品の個性なのか、誇張表現なのか、単に雑な演出なのか、判別つかなかったのですが・・・

話が進んでいくと明らかに。
これは故意に演出している!

「ゾクッ」としました。
すべてに理由がある“のだと。

しおの正体は?学校は?
どうしてこんなに(良い)マンションに二人で住んでいる?
少女に何が起こったのか、何が少女にそうさせるのか。

かなり、病んでる描写があり、ウツな気分になるかもしれません。

1話から予想外の展開をしますが、その後も同様です。

見始めると、すぐにもう見てられなくなり離脱するか、気になって最後まで見てしまうか、のいずれかでしょう。

結末はハッピーエンドか、バッドエンドか。

いいえ、それより最後まで見た方に問いたいのは・・・

一体、誰が悪いのでしょうか?
何が、彼女、彼らの歯車を狂わしたのでしょうか?

(心臓の強い方は)ぜひ、その目で確認して下さい。

アニメ『ハッピーシュガーライフ』PV
vap official

感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)

ミステリー要素たっぷり

犯人は示されていますが、犯罪が表立たない、真犯人まで辿り着かないタイプの作品。
ミステリー好きにはたまらない要素が散りばめられてました。

冒頭から感じる違和感
その感覚は正しい。

なぜ、少女は小学低学年の子と”二人で暮らしているのか”?
なぜ、少女はあんな高級マンションで暮らせるのか?

小学低学年と思われる少女・しおは学校へ行ってない?
それどころか外出すらさせてない?
でも、とてもさとうに懐いている・・・

対するさとうは、しおのことを考えている時以外”何か芝居がかっている”??

違和感は、謎に変わり、事件の真相へと繋がっていく

後半のサスペンス展開が秀逸

太陽が、さとうのバイト先に採用されたり、
あさひが不良に絡まれている時に、太陽が通りがかったり、
あさひを介抱するために、さとうがいるバイト先へ連れて来たり、などなど。

都合良すぎる偶然が続き過ぎなのが気になりましたが、それは前半だけ
前半は『ハッピーシュガーライフ』流のキャラクター紹介ですね。

後半(7話以降)、しょうこが、さとうに連れられ、「305号室」へ行く辺りから、秀逸展開でした。

  • 警察からの切り抜け、「305号室」の秘密に、叔母さんの強烈なキャラクター
  • 「1208号室」の秘密に、さとうが住むようになった経緯
  • しょうこが、真実を知ってしまったからの、衝撃の展開
  • さとうの落ち込みに、しおがさとうと出会った経緯
  • さとう復活後、しおとの逃亡準備からラストまでの展開。

畳み掛けるような展開に、目が離せません
「1208号室」の「あの部屋」にあるのは叔母さんだと思っていたし、
教師が電話をしても、友達が訪ねても誰も出てこない、という事実に、まんまとミスリードされました。

真相は、電話や訪問に出ない理由に説得力があり、さとうが「305号室」に住まない(住みたくない)理由も納得。
それ以上に、叔母さんの話題をしなかったこと、頼らないこと、近づきたくなかった理由が一瞬で分かってしまう、叔母の強烈なキャラクターが、出すタイミング、演出、声優さんの演技、お見事でした♪
#叔母さんの話題に触れないのは”この世にいないから”だとミスリードされてたから余計に。
#悔しい・・・(笑)

その後、判明する事実も興味深く、1話からの疑問が次々と解明されていく気持ちよさ。
そして、しょうこに見られてしまってからの急展開!

衝撃的なシーンもありますが、引き込まれてしまったのも事実です。

残念だったのは、1話冒頭で、マンション屋上のシーンを見せたこと
これにより、さとうが指輪を取りに戻ると言った瞬間、その後の展開が予想できてしまいました。

「1208号室」に叔母さんが”あまりにも大胆に”軽油を撒いたりして、(普通なら)ばれないかと心配してしまいますが、火がつくことは分かっていたし、
さとうとしおが下へ逃げるのではなく、上へ逃げることも分かっていた。

ラストは、展開以外に、二人の純愛を味わうところかもしれませんが、ストーリー重視の私としては、展開が読めたのは興ざめでした。
勿体ない!

砂糖少女(さとう)の本当の姿は一体どれ?

さとうは色んな顔を持っていました

しおと対する時の顔は、やさしく楽しそうで充実しているのが分かりますが、最初はわざとらしさ(ぎこちなさ?)もありました。

バイト先の女店長や、北埋川教師と対峙した時の顔は、冷徹で何かを守る為には何にも屈しないという強い意志が。

叔母と対する時は、敬意や感謝の気持ちは一切なく、最初は怒り。
後半は、叔母のペースに飲まれない毅然とした顔。

外で見せる顔は、当たり障り無く、そつなく物事をこなし、完璧に見えました。
が、少し作っているような感じが引っかかりました。

私が一番、自然、いや、「いいな」と思ったのは、「1208号室」のお兄さんと一緒にいたときですね。

お兄さんの言うように、寂しげな、何か欠けているさとうの顔。

とても物憂げで、でもくさっているわけではなく、見続けていたい顔でした。
#だからと言って、心を埋める存在を排除してはいけません!

これらが(作品としての)狙いか、偶然かは分かりませんが、見事に演じきっていた声優の花澤さんは流石ですねーー

砂糖少女(さとう)は、しおに何を見たのか?

愛も知らず、熱中している事もなく、意味のない日々を過ごしてきた、さとうがしおに出会う

道ばたで母親から置き去りにされた、しおを見たのだ。
さとうはしおに対して、今まで感じたことのない感情を意識する

欠けていた心が満たされた。
自分の心を満たしてくれる存在が、しお・・・

さとうが感じたのは、母性愛のようなものなのだろうか?

母性愛だとしても、初めての、真実の愛を感じたさとうは、その愛を失いたくない、奪われたくないと。

しおのことになると自制を失う・・・

初めて愛という感情を知った、さとうは、その感情から来る衝動を抑えることができないでいた

しおを探そうとする者はもちろん、さとうの家庭環境を探ろうとする者ですら排除する思考が働く。

その手段は選ばない。

しおとの「ハッピーシュガーライフ」を守ることが何よりも最優先なのだ。
それ以外は何も望まないと思う程。

さらに、興味深いのは、しおを裏切りたくない、しおに嫌われたくない、が故に、しお以外を「嘘でも」好きとは言わない、思わないように考えていくこと。

本来なら、恋人以外のことを好きになることはありえることであって、程度の問題。
ましてや、友達や家族や子供に対して愛情を示すのは、浮気でも裏切りでもなんでもない。

そのことを、今まで愛を知らなかった、さとうは知る由もなく、誰も教えてくれなかったのが不幸の始まり。
#本当なら、家族や友達から教えてもらう。

恋人から教えてもらうこともあるだろうが、しおはまだ小学低学年で、かつ家庭環境が悪かった。
親友のしょうことは、ついこないだまで男漁りをしていたので、そんな話題にもならなかったのだろう。

この辺のロジックもとてもよく考えられている。
計算されているとしたらお見事!

砂糖少女(さとう)は、しょうこのことが好きだったのでは?

9話「融解レイン」ラストは衝撃的な展開でした。
あんなに友達想いの良い親友を・・・

さとうは、口で言うように、本当にしょうこのことを何とも思っておらず、後悔していないのでしょうか?

いいえ、違いますよね。

さとうは、その後、寝込んでしまいました。
これは今までになかったこと。

12話、しょうこに自分の服を着せるシーン。
目が合った瞬間、さとうは”珍しく”辛そうな顔をしました。

そうです、さとうはしょうこ対して、親友・友情という情を持っていたのです。

6話、しょうこが、さとうに踏み込んだとき、冷たい素振りを見せたのは、しおのことを知られたくないから。
それでも踏み込んできたので、叔母さんに合わせるという第2の手段に。
#もしかすると、叔母で本気度を試して、受け入れてくれれば、しおのことも話したかも・・・

9話、始発列車に向かうあさひを尾行した後、回想シーンで、外の世界には不純物で溢れていると言う。
が、しょうこの回想だけは、明るい演出で、コメントはなし。

9話、「しょうこちゃんには何も感じない。その他大勢と変わりないのよ。」と言う。
さとうは、しおとの間に他人が入ってくることを極度に嫌がる。
そこに割って入ってきたしょうこに激昂してしまった。
または、心の底では信じていた、しょうこに裏切られたと思ったのかも。

さとう本人も意識してないのだろうが、しおが絡むと、さとうはスイッチが入り、守ることが最優先になる。
だからしょうこへの感情は押し殺され、冷たいことも平気で言え、実行できる。

もしかすると、叔母のことで、しょうこに引かれたので、しょうこ自身を信じられなくなってきたのかも。

本心は描かれてませんが、しょうこを自分の手に掛けたことを悔やんでいるのは確か
いつか心の内を知りたいが、アニメは終わってしまいました。
原作では描かれているのでしょうか・・・

また、さとうにとっての愛とは、しおのこと”だけ”を愛すること
他の人への愛情は、存在してはならない。

それは、しおへの裏切りであり、”罪”である。
(5話「罪の味、罰の味」より)

さとうは自分でも気付かないうちに、しょうこへの気持ちを押し込め、あるいは考えないようにしているのではないでしょうか。

ここで、同じ9話の、あさひの言葉が思い出されます。

俺には、その形の幸せしか分からないんだ・・・

色んな幸せがあるんだって言われても、理解できない、想像できない。
母さんがいて、しおがいて、一緒に暮らす。
それ以外に何の価値があるって言うんだ!」

そう、これはあさひだけのことだけでなく、さとうのことについても言っているのですね。

さとうも、しおとのこと以外の幸せの形が考えられない、それだけしかないと思い込んでいるのです。

これがさとうの行動の全ての根源にあるのです。

そう考えると、しょうこは正面突破ではなく、時間をかけて話していけば、分かり合えたのではないか・・・
なんて思うと、悲しいですね・・・

さとうは求めていた愛を知ることができた・・・のか?

さとうは、自分勝手な考えで、多くの犯罪を犯してきた。

が、自らは、知りたかった愛を知っていく。

愛情-嫉妬-未来を描く幸せ-無償の愛(見返りを求めない)-生きて欲しいという相手に対する愛しみの心に

そして、その心情を知らない、しおはその愛を求めて、これから生きていくことに
さとうの道を繰り返すのだろうか・・・

屋上から落ちていく途中、走馬燈ならぬ、逃げおおせた時の、さとうとしおの二人の未来が描かれる。
血塗られた行為の末に描かれた未来だが、美しいのが印象的。

さとうの結末は当然とは言えますが、もう少し二人の行く末を見ていたかったのも正直な気持ち

純愛物と言うより、私の場合は、これからも続くであろう、二人の関係を邪魔する者をどのようにして排除していくのを見続けたかったのですが(笑)。

人はちょっとしたキッカケでおかしくなっていく

さて、さとうを中心にレビューしてきましたが、他にも穢れた大人、異常な性愛、自分勝手な奴らが出てきて、ネタの宝庫でした。

が、既に「超」長文になってしまったので少しだけ・・・

『ハッピーシュガーライフ』が上手いのは、一見正常な人でも、あるキッカケで、おかしくなっていく所。
最初から異常な人もいましたが、ちょっとしたキッカケで、その人のちょっとした性癖や偏愛が異常になっていく様子が描かれたのが印象的で、かつ恐いな、と。

現実的にも起こりえることだな、と感じました。

もちろん、アニメなので、作品内のキャラクターは誇張されてます。
でも、近しいこと、精神的には、こういう過程で壊れていくのかと思うと、見ていて辛かったですね。

そういう面でも、小さい子供には見せない方が良い作品です。
#って見ないですよねー

おわりに (『ハッピーシュガーライフ』とは)

タイトルや、少女漫画系のかわいい絵とは裏腹に、

病んでるキャラクターが次々と出てくるし、皆自分勝手で、親切や優しさが仇になったり、暗い話で気が滅入ります・・・

でも、ストーリーがどう展開するのか、どうなっていくのか、気になって仕方ない。
見たくないけど、見ずにはいられない、
嫌な気持ちになるのに、見ずにいられない。
暗くなるのに、見ずにいられない。

ただ、驚きや衝撃はありますが、胸が熱くなるような感動はありません。

何度も見る作品ではないかもしれません。
ちょっと影響されそうで恐いですね(汗)。

これだけサイコで気分の悪くなる作品にもかかわらず、高評価をしてしまう自分が、ちと恐いのですが、引き込まれたのは事実

現実にいたら恐いです。
が、フィクションの中では、ずっと見ていたくなる、顛末を見届けたくなる。

「純愛」というと聞こえは良いですが、この形の「愛」にしか満足できなかった。
愛するが故の行動と考え、理解しようとすると、自分も染まってしまいそう・・・

ヤバい物語でした。

よくもまあ放送できたなと思う程、のめり込んで見ると危険かも。
それだけ衝撃的な内容でした。

でも、面白いのです!(悔しいけど・・・)

くれぐれも強い精神でご覧ください。

きょうのひとこと

TVアニメってR指定(年齢制限)ないんですよね・・・

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