オススメ度 | A+ |
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原作 | コミック |
ジャンル | コメディ、ラブコメディ |
放送情報 | TVアニメ(2018年夏)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
原作コミック未読。
TV放送にて鑑賞。一気見。
舞台は1990年代の神奈川県川崎市近辺。
ゲームをこよなく愛する主人公・矢口春雄。
あるときヒロイン・大野晶と対戦型格闘ゲームで対戦。
ゲーム以外興味のない春雄だったが、大野の存在が次第に気に掛かる・・・
ゲームを通じて描かれるラブコメディ。
こんばんは。RPG、謎解きゲーム大好き、時文です。
『ハイスコアガール』最終話(12話)まで鑑賞しました。
『ハイスコアガール』は月刊「ビッグガンガン」で連載されたコミックが原作。
原作は2018年vol.10(9月発売)で完結。
原作漫画は「このマンガがすごい!(2013年)」オトコ編で2位を獲得。
作品には多数のゲームが登場。
作品から熱いゲーム愛を感じ、紹介されたゲームは良い宣伝になってると思うのですが、著作権侵害で一時連載休載。
今は、和解し連載も再開。
晴れてアニメ化されたようです。
「ゲームは子どもに悪い影響を与えるモノ」と捉えられがちな世の中をきちんと踏まえつつ、ゲームに熱中する男子・女子を描く。
ゲームに限らず好きなものに熱中する姿はとてもきらめいている。
色んなことを思い出させてくれる作品です。
しかし!主軸は青春ラブコメディ!
純粋無垢な恋愛を楽しんで下さい。
事前情報なしでの鑑賞をオススメします。
ゲームのことを知らなくても楽しめます。
#知っていれば、より楽しめます。
「恋愛もの」とだけ知っていればOKです。
鑑賞前で、もう少し知りたいという方は「はじめに」でもう少し踏み込むので参考にして下さい。
それでは、TVアニメ『ハイスコアガール』感想レビューをどうぞ。
目次
はじめに
『ハイスコアガール』という作品タイトル、設定、キャラクターデザイン。
これらを見て、ゲームが全面に出る作品だと思ってました。
確かにゲームは多数登場。
ゲームのウンチクも多く、日常の遊びの最高峰はゲームだ!と言う主人公。
楽しそう・・・いや、かなりディープな内容。
が、ストーリーは決してゲーム一辺倒ではありません。
むしろ、ゲームセンターやゲームコーナーと言った舞台、各種家庭用ゲーム機、携帯ゲームと言った道具を通じて描きたいストーリーはラブコメ!?
それも、恋愛「無関心」な男子と、恋愛どころかコミュニケーション「不器用」な女子の恋愛もの。
ラブコメとは無縁なアーケードゲームがガンガン出てきてますが、なんだかんだとラブコメ王道路線を突っ走ってます。
展開はもどかしい所がありながらも、想像より少し上をいく展開を、絶妙のタイミングで差し込んでくる。
とても上手いです。
ウィキペディアを見ると作品ジャンルはやはり「ギャグ、ラブコメディ」。
納得。
あれ?もう一つありました「アクション」・・・
アクション・・・ゲームのことかな??
いや、アレだな・・・(笑)
アクションか・・・アクションというよりケンカ?暴力?
いえいえコミュニケーションの延長ですよ♪
#フィクションだから許される。現実には許されません(笑)
いずれにせよ、極上の恋愛モノであることを保証します。
お楽しみください♪
warnerbrosanime
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
私自身、学生時代ゲームはやってました。
が、昔からゲームもストーリー物が好みだったので、格闘ゲームよりADV、RPG派でした。
よって、格闘ゲームの技や動きについてのネタやセリフ多かったのですが、全く意味不明(涙)
ネットでなんでも調べられる時代。
アニメを見ている最中、(アニメを楽しむために)分からない事は調べて理解するようにしているのですが、本作のゲームについては1から10まで分からない?!という状況で調べるのを諦めました(泣)
理解したらもっと共感できるのだろうなーーと思います。
そんな私は本作のゲーム関連については語れないので、ゲーム以外の点でレビューします。
構成と展開が秀逸
(フィクションとしては)大きな事件や突拍子もないことが起きるわけでもない。
行動範囲も小中高生に見合ったところ。
日常系のような限られた世界観で、かつ毎回ゲームに絡めているのでパターン化された展開になりそうなものなのに、物語の組み立てが秀逸。
物語の型として「起承転結」があります。
通常ストーリー物だと「転」で何度もどんでん返しを繰り返し盛り上げます。
『ハイスコアガール』はストーリーとしてはラブコメ王道展開で目新しくはありませんが、「起承転結」をとても丁寧に描き、特に「結」がとても巧み。
「結」で視聴者が想定している所の少しだけ上に展開をするのが、本当に上手いですね。
「結」について各名シーンを振り返ります。
#ネタバレ全開ですので、お気を付け下さい。
3話 空港へ行くシーン
何らかの形で大野にお別れをすることは想定してました。
小学生で、空港まで行く事なんて大変だろうから、間に合わなく甘酸っぱいオチもあるだろうことも想定。
なのに、引っ張らずに空港へサクッと到着し大野にも会うことができた。
別れの最後の挨拶なのに、ゲームの話をするなんて呆れながらも、春雄らしいなーーと。
オモチャの指輪を差し出し、良い展開だなーーと思ってたら・・・
大野が春雄に抱きつくあのシーンです・・・
ここまで大野は殆ど言葉を発してないし、感情表現も少しだけでした。
彼女は感情が希薄だと思っていたのですが、違うと理解したシーン。
#深掘りは後述。
驚いたと同時に、春雄同様グッと来てしまいました。
本作、屈指の名シーンと言っても良いのではないでしょうか。
名シーンにケチをつけたくはないのですが、あのときの母親?の対応は冷たかった・・・
娘があんなに感情的になることは家族の前でも少ないだろうから、娘のあんな姿を見たら、もう少し狼狽しても良さそうなのに、また、春雄に対してひと言あって良いはずなのに、まるで無視・・・
教育方針と言い、大野家の親は問題あり、ということでしょうか。
8話 ストⅡ大会後の帰り道
ここも名シーン。
帰国した大野とすれ違いばかりの春雄。
待ち望んだ格ゲー対決。
ゲーム機の不調が後から分かり、水を差された春雄。
大野を追いかけ、文句を言うが、始まったのはケンカ?!
殴り合い(一方的でしたが・・・)の末に、オモチャの指輪を見つけ、理解する。
#いや、春雄は正確に理解してないな・・・
大野の方も対決というか、春雄と昔みたいに話したりゲームをしたかったのでしょうね。
なのに、日高の存在が見えたりして焼き餅を焼いていた。
ストⅡ大会 決勝で、パンチボタンが使えなかったのは、大野にとってもさぞや悔しかったのではないでしょうか?
つまり、あのワンパン(裏拳)は、「悔しいのは私も同じ!」という感じでしょうか。
2発目以降は「どうして私の気持ちが分からないの?」という意味も見えました(笑)。
春雄の「お前が帰ってくることを、どれだけ楽しみにしてたか」という言葉でようやく春雄の気持ちが大野も分かったわけです。
大野は大野で、春雄の心が読めなかったのですね。
9話 高校受験会場へ向かう車内
このシーン、静かな場面です。
が、私は、3話と並ぶ位、名シーンだと思います。
春雄が三度の飯より好きなゲームを封印してまで望んだ受験当日。
家の前でじいやが車で待っていた。
そう来たか~~と意表を突かれました(笑)
#じいや「ゲームセンターにいながらも心ここにあらずでした。なぜだか分かりますか?」
#春雄「なぜだ?」
#この掛け合い、会話の間、最高でした♪
春雄が、大野と同じ高校を受けることを説明する。
ここでも、やはりゲームの話から入る。春雄らしい・・・
が、凄いのは、ゲームの話から、ちゃんと同じ高校を受ける理由に着地していること。
もう感服です。
受験の結果はご覧の通りなのですが、いやいやいや、同じ高校を受ける理由を話したのだから、告白したのと同等でしょう!!
と、思いましたが、ラブコメの鉄板展開ですね。
ちゃんと押さえてますね(笑)。
#鉄板展開:告白同然のことをした後、二人の間に障害(本作の場合、別の進路)が・・・
12話 (最終話) 日高の・・・
11話ラスト、12話Aパートラストも良かったですが、
インパクトという意味では、最後はやはり最終話ラスト、日高とのシーン・・・
春雄の部屋で、大野とのプリクラを見つけてしまった日高。
春雄の中で大野の存在が大きいと認識しての「告白」。
告白自体に驚いたのに、泣きながらの告白!
ストレートで素直な感情の吐露!
ゲームの条件は押しつけだが、全然押しつけに見えない、清々しい挑戦。
#セガサターンで春雄を殴りつけるシーンは、思わず吹き出してしまいました♪
#私は泣きそうになりながら笑うと言う状態に(笑)
普通なら、こんな終わり方、不満が残るですが、あまりにもきれいな幕引き。
続きの予告もあったので、充実した最終話でした。
ホント、上手いなーー
感情表現の豊かさ
見ただけで分かる感情表現は、大野のように言葉で感情を表さないキャラクターには重要な要素です。
3DCGだと感情表現は乏しいのかと思ってましたが、むしろ分かりやすくさえなっていると感じました。
シンプルなだけに読み取り安いというか。
知らないことに対する大野の興味津々な態度や、喜びを表現したり、好きになったら真っ直ぐな日高がちょっとしたことで飛び跳ねる心情を豊かに魅せてくれます。
この絵からは信じられない繊細さ!(褒めてます!)
下品なセリフや暴力シーンが随所にあるのに、ピュアな心情!(感動してます!)
こういったツボを適度に散りばめることにより、作品に引き込まれ。
そしてそして要所要所にグッと来る展開を持ってくる。
お見事でした!
キャラクターについて
この作品良いキャラクター、憎めないキャラクターばかりでした。
それも好印象の要因です。
矢口 春雄
無類のゲーム好きで、頭は完全にゲーム脳。
その頭は、京都と聞いても、ゲーム「源平討魔伝」の禍々しい印象しか思い浮かばない程(笑)
ゲームに対してはかなりのこだわりがあり、負けず嫌いでもある。
勝つためには卑怯と言われるような手段を使うときも・・・
が、他人にはやさしく、明るい性格で(ゲーム以外のことについては)人間としての器は大きい。
他人を許したり、思いやる心があるのですよね。
この性格と人間性に、大野や日高、友人の宮尾が惹かれているのではないでしょうか。
大野 晶
文武両道、才色兼備でお金持ちのお嬢様。
極度の無口で言葉を発しないが、無感情なわけではない。
大野は感情がすぐに表情に出る、春雄にとっては分かりやすい子。
#恋愛感情は、春雄に感心がないので読み取れない(笑)
じいやや家庭教師も表情から感情を伺っている。
決して感情がないわけではなく、言葉を発しないだけなのだ。
だけど、周りの同級生は、大野の心情を読み取ることができず、うまく接することができない様子。
そんな中、ゲームと言う共通の趣味を持ち、ゲームのこととなればズケズケ入り込んでくる春雄がピタリとハマる。
大野は女子としてのスペックも高い。
#『ハイスコアガール』の「ハイスコア」はゲームのことだけではない??
申し分のない女子で春雄がよそ見をすることなんてないと思っていたが、大野と充分張り合えるハイスペック女子・日高が登場。
しかし、春雄の大野に対する気持ちにブレはなく、日高に魅了されたのは視聴者だった(笑)
日高 小春
『ハイスコアガール』のヒロインは大野ですが、日高はもう一人のヒロインと言えるでしょう。
日高は最初ゲーム経験がない初心者でしたが、高校生になるとしっかり『ハイスコアガール』になってます♪
素直で良い子。
友達はいるが、それほど社交的ではなく、放課後友達と遊ぶということはなかった。
ゆえに遊びも全然知らずに過ごした中学生。
毎日楽しそうにゲームをしている春雄に興味を覚える・・・
次第に春雄に恋をしていく日高。
恋をしていく日高の過程がかわいく描かれ、それが、日高の魅力を存分に見せつけるシーンに。
上手いですね。
上手いことはもう一つ。
作品での日高の存在感は、単調だった春雄と大野の二人の関係から、日高を入れた三角関係へ。
それも、大野と正反対の日高を登場させ、かつ魅力的なキャラクターに作り上げています。
しかも、春雄の心が揺れ動くと思いきや、春雄が大野以外の女子を見てないことを証明する存在にしてしまっているのです。
つまり、(12話まで見る限り)ストーリー上、日高は大野の引き立て役の立ち位置なのです。
日高が好印象でとても良い子なだけに、なんて、贅沢な使い方!と思うなかれ。
日高が良い子であればあるほど、春雄が軽い男ではない、男の株を上げることになるのです。
本当に巧いプロットですね。
脇を固めるキャラクターもいい味
この作品の完成度が高い要因は、主要キャラだけでなく、脇役キャラクターの存在も大きいです。
宮尾 光太郎
宮尾は主人公級のいい男で、春雄の良き理解者。
#ついでに日高の良き理解者でもある。この二人がくっつけば良いのに♪
11話、大野と日高がゲームセンターでバチバチしたとき、間に入った宮尾。
このシーンは宮尾の性格をとてもよく表してましたね。
矢口 なみえ(春雄ママ)
春雄の母親は、この母親にして、この子あり?という、春雄が伸び伸びと育った環境が分かる気が。
父親はどうしたのか不明ですが、女手一つで育てたせいか、彼女の性格か分かりませんが、春雄への溺愛ぶりも可愛らしい。
それでいて、ちゃんと春雄に自立させてます。良い母親。
大野家に仕える執事・じいや
パチンコ依存のようだが、大野家関係の中で、大野が唯一心を許せる人のよう。
車で春雄を引いても意に介さないが、大野が心を許す春雄をちゃんと認めている。
他にも学校の先生や、日高の家族、いい味出してます。
彼らが、春雄、大野、日高の周りを固め、温かい目で見守り、時に背中を押す。
脇役が良いと、見ていて気持ちいいです。
でも、実は一番好きなシーンは・・・
ここまで褒めておきながら、私が密かに好きなシーンは別にあります(笑)。
#先に挙げたシーンも好きですよ♪
見ていて一番和んだ、ほっこりしたと言えば良いでしょうか。
ずっと見ていたいと思ったシーンですね。
それは、春雄がゲームのことを大野や日高に”話す”シーン。
はい、普通のシーンです(笑)
春雄と大野が二人のときは、春雄が一方的に話す。
春雄がうれしそうに話すのが、キラキラしていると言うか、楽しそう。
そして、大野や日高までが段々うれしそうになっていくのが堪りません。
リンクは各話レビューの関連パートへ。
2話)
春雄が大野を思いやり、大野が春雄に心を開いていく名シーンでもあります。
3話)
珍しくゲーム以外の会話も多いAパートの遊園地でのシーン(4話)
日高にゲームを教える春雄。
日高のゲームしている姿に、大野を思い出す。
そして『ハイスコアガール』の才能の片鱗を出す日高(笑)
その後の、雪道を帰るシーンも最高でしたね。
5話)
日高が春雄を見舞いにきて、PCエンジンを説明するシーンから大野を思い出すシーンに・・・(7話)
新幹線に乗り遅れた日高と二人の旅道中(9話)
大野の息抜き役、二人でラーメンをすすりながら語るシーン。大野と同じ高校を受けようと決断していく・・・(10話)
日高の上から目線の「おへ~~」は永久保存物(笑)
最後はやはり家出した大野と二人でホテルでゲームを通して語るシーン(12話)
ゲームの話を聞いて、大野がウズウズしている姿が堪りません♪
でも、春雄がゲームの話しながら寝落ちしていくシーンが最高でしたね。
昼からずっと大野を探し続けた春雄。
相当疲れていただろうに大野にゲームを付き合うやさしさ。
大野とゲームができるのが、春雄にとっても嬉しかったこともあるでしょうが。
翌朝、大野の満足そうな顔。
春雄がバイトへ行くとき、見送る大野。
あの大野が手を振ったのですよ!!(←私も相当やられてますね・・・)
バイトから帰ってきたとき、ホテルで待っていた大野の満足そうな顔!
最終話のAパートは、これをラストにしても良い程、秀逸な展開でした。
これら静かなシーンではありますが、ゲームの話をしながら、あるいはゲームをしながら、春雄、大野、日高の関係が描かれるシーンに仕上がっています。
こんな日常っぽいシーンでも、手堅く描かれているので、話が弛むことなく作品に入り込め、オチがより感情を揺さぶるのです。
いや~~楽しめませて頂きました♪
おわりに (『ハイスコアガール』とは)
恋愛不器用な子たちのピュアな想い、行動が、見ていてとても心地よかったです。
最初はゲーム一辺倒のギャグアニメかと思いました。
さらには修学旅行で格闘ゲーム大会に出場したとき、
「もしかして(今で言う)e-Sports系大会を目指す展開になるのか??」
なんて、思ってました(笑)
ところが、ゲーム話はなくなることはありませんが(逆に見事な位、絡めているのが凄い)、描こうとしているのは青春恋愛。
それがとても丁寧に描かれています。
恋に落ちる瞬間、好きになっていく瞬間、恋心の転換点が、丁寧に、そして美しく描かれています。
どうぞじっくりとお楽しみ下さい。
PS
「超」長文失礼致しました。
すいません、語りたいこと一杯でダラダラと書いてしまいました。(反省)
気に入った作品程、長文になる性格です・・・
PS2
大野さんに関して、もう1本レビュー作成しました(笑)
よかったらご覧下さい。

PS3
TVアニメの各話レビュー、原作コミックのレビューも書いてます。
よかったらご覧下さい。
