こんばんは。漫画も大好き時文です。
『ハイスコアガール』10巻の感想レビュー(後半)です!
コミック10巻は、TVアニメ23話Bパート~24話に相当。
本レビューでは10巻内でもアニメ24話に相当する部分を対象。
アニメ化された部分の感想はアニメ各話レビューをご覧下さい。
※以下、表内のリンクから各レビューへ行けます。
ハイスコアガール 第2期(全9話)
TVアニメ話数 | レビュー | 原作巻数 | レビュー | |
ROUND16 |
16話R |
全体 レビュー ※ |
5巻 | 5巻R |
7巻 | 7巻R前 |
|||
ROUND17 | 17話R | 7巻R中 | ||
ROUND18 | 18話R | 7巻R後 |
||
ROUND19 | 19話R |
8巻 | 8巻R前 | |
ROUND20 | 20話R |
8巻R後 | ||
ROUND21 | 21話R |
9巻 | 9巻R前 | |
ROUND22 | 22話R |
9巻R中 |
||
ROUND23 | 23話R | 9巻R後 |
||
10巻 | 10巻R前 |
|||
ROUND24 (完結) |
24話R | 10巻R後 (本レビュー) |
※全体レビューは最終話放送終了後 着手予定
目次
はじめに
本レビューは「アニメ」⇒「原作コミック」の順で見た感想レビューです。
ここではアニメ化されなかった部分、反対に原作とは違うアニメオリジナルシーンを軸に、原作を読んで改めて理解したことについて記載します。
アニメはかなり丁寧に制作されており、キャラクターの動きや表情に細かく配慮。
更には、背景やモブキャラにはかなり遊び心が取り入れられています。
それらを全て拾っていくと取り留めなくなってしまうので、「ストーリー上関係のある”違い”」にフォーカスして取り上げます。
- アニメでカットされた原作部分
- アニメオリジナルシーン
- 原作を読んで分かったこと
見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。
- ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
- 原):アニメではカットされたシーンに言及
では、TVアニメの内容順に紹介していきましょう。
TVアニメ ROUND24(第24話)
「スパⅡX 全国大会」決勝トーナメント、準決勝。
いよいよ春雄と大野が対戦。
春雄が勝ったら、大野に「告白」──
大野は勝って、春雄と「決別」──
1ROUND目は春雄は何もできず大野が圧勝。
後がない春雄。
ガイルさんに活を入れてもらい、2ROUND開始。
ここからが最終24話スタートです!
アニメの演出は原作漫画でも同じだった!?
アニメ24話冒頭シーン。
指先から全神経を。
筐体とレバー・・・ボタン・・・モニターに・・・
大野。
初めてゲーセンで戦ったあの日のことを覚えているか。お前が「豪指のハルオ」とやりあった、あの日のことを!
by 矢口春雄『ハイスコアガール』TVアニメ24話
これまでに見たことない演出だったので、アニメオリジナルかと思いきや、原作も同じ!
というか、原作に忠実でした!
原作でもこのページはカラー。
カラーなのに、白黒風にして、ゲーム筐体の「レバー」「ボタン」「モニター」にだけ色を付け神経を集中している様子を描写。
素直にかっこいい!
アニメはアニメで、神経のイメージにだけ色を付け、印象的に!
動きがある分、アニメはカッコいいですね~~
憎たらしい程!
アニメもマンガも、これから始まる最後の戦いにゾクッと来ます!
ア) 原作の方が映画的!?

春雄と大野のファイナルラウンドの決着。
アニメでは結果まで見せてますが、原作は、リフトアッパーが避けられ、画面から出てきたザンギエフの巨大腕で春雄が掴まれるシーンで一旦終了。
#1話の区切り
その後、7月中旬となり、街中で宮尾に声をかけられるシーンに。
宮尾のセリフから春雄が「負けた」ことは察せられる。
原作での対戦結果は、その後の春雄がバイト中に振り返る回想シーンで描かれます。
原作では、話の区切りで引きを作り、その結末を少し間を置いてから描く手法がしばしば使われてます。
アニメは、時系列に沿って描き、分かり安くしている印象がありますね。
また、この場面では、春雄の中でのガイルさんの意味するところがアニメと原作では少し違うように見えました。
アニメでは、大野に負けてしまったのでガイルさんが消えていくように見えました。
原作では、上記のように、一呼吸置くことにより──
大野に負け想いを遂げられなかった春雄が、ゲームから距離を置く心の様子を、ガイルさんの存在が小さくなっていくことにより描写しているように見えます。
原作では、ガイルさんで春雄の心情描写をするシーンが他にも。
後ほど取り上げます。
ア) 土井がキラキラしてない!?

街中で、宮尾が春雄に声を掛ける場面。
春雄が去った後、土井との会話。
おまえは最近キラキラしてねぇな。
変な整髪料はやめたのか?by 宮尾光太郎『ハイスコアガール』TVアニメ24話
いや、土井、相変わらず頭の周りを星が舞ってキラキラしているじゃん!とアニメ鑑賞時、思っていました。
が、原作は、確かに星がなくなってました(苦笑)。
確かに「キラキラ」してません!
ま、アニメもキチンと以前の「黒い星」から「金色の星」に変わってはいる。
アニメ21話、「ストⅡX全国大会」を春雄に提案をしたときを境に。
アニメで言う「キラキラ」は、変な整髪料を始めとする変な好みを象徴していたのでしょうね。
土井も格下だと思っていた春雄を側で見ていて、成長したのです。
原) 勝敗が決したとき、春雄はしっかり見ていた!?
春雄がバイト中、準決勝の決着の場面を回想する。
アニメでは、勝者の名前が読み上げられたとき、大野の目には涙が溢れていた。
原作では、更に次のコマで、その大野の涙を見て意味を測りかねている春雄の表情が。
勝って泣く、大野の涙を春雄はしっかり確認しているのです。
アニメではそのような描写はなかったのですが、春雄の回想シーンで大野の涙が描かれると言うことは「見ていた」と言うことでしょう。
ロスへ移住する大野にとっては、これが春雄との最後の戦いだと覚悟していたからこその「涙」。
それだけ重い決意で挑んだ戦いだったことに、春雄が気付いた瞬間。
そして視聴者には、春雄に告白をさせず、ここで「決別」しロスへ行ってしまうのか?とヤキモキさせる瞬間。
アニメでもその時の春雄の表情を見たかったですね。
原) ガイルさんが・・・

春雄の所へ真姉さんが訪ね、封筒を渡した場面。
封筒の中の指輪を見て、大野は自分の事を吹っ切る決意をしたと春雄は解釈する。
そうか・・・
俺と大野の5年に渡る長い戦いは、もう終わっちまったんだ・・・by 矢口春雄『ハイスコアガール』TVアニメ24話
春雄が家の中へ戻り、太陽の中にガイルさんが・・・
原作では、ここでガイルさんが春雄に声を掛けます・・・
ただ、何を言っているのかは分かりません・・・
それどころか、春雄はガイルさんに気付きもしない・・・
すると、次第にガイルさんの姿が透けて・・・消えてしまう──
春雄の前にガイルさんが登場したのは、ちょうど5年前、大野と出会った年。(原作1巻)
春雄の背中を押す、兄貴のような存在。
誰にでも頭の中にある、○○ならなんて言うか、どう行動するかと言う想像の人。
春雄の場合は、ガイルさんが多い。
そのガイルさんの声が聞こえず、姿も見えなくなっていく描写──
これは、春雄が自分の殻に閉じこもり、外の意見を聞かなくなっていく様子を表している。
アニメでも見たかった。
5年間一緒だったガイルさんが消えていく、哀しくも切ないシーンです。
ぜひ、原作でお読み下さい。
ただ、再び春雄の前に現れた時が普段通りなんですよねーー
#だからアニメではそれほど丁寧に描かれなかった?
原) 大野は春雄の姿を探している!?
7月24日。
大野が屋敷を出て空港へ向かう場面。
アニメは走る車内でうつむき加減の大野しか写りません。
原作では、ゲーセンの中を食い入るように見る描写が。
これは、懐かしんでいるのか?春雄の姿を探しているのか?
大野の目の潤み具合、頬を赤らめる様子から察するに、春雄を探している?
と、思いたいですね!
そうすると、この後の日高の予想と、彼と再会したときの大野の涙に繋がります。
大野は、日本を発つその日も、春雄に会いたいと思っていたのです。
ア) 泣き出すのはアニメオリジナル
大野、日本出国の日。
うじうじとしている春雄が日高に会う場面。
春雄に檄を飛ばし背中を押す日高。
走り出す春雄の背中を見ながら、声を出して泣き出すのはアニメオリジナル。
その前に・・・
アニメでは、春雄は勢いよく走り出すが、原作では一瞬躊躇。
感情的になった日高を置いて良いのか、それとも礼を言いたかったのか・・・まさか今さら日高に悪いと思ったわけでもあるまい・・・
春雄:ひ・・・日高・・・
日高:早く!!!
※アニメでは全文カット
by 『ハイスコアガール』コミック10巻
走り出す春雄の背中を見て、走馬燈のようにこれまでの春雄との時間を思い出す。
いつも、春雄の背中を追いかけていた日高。
今回は、自ら、大野の元へとけしかける・・・
でも、これでいいのだと自分を納得”させる”。
自分の意思に忠実に生きるのが気持ちのいい生き方って、あなたが言った言葉よ。
(今さらそれを曲げないで)
※()内はアニメではカット
by 日高小春『ハイスコアガール』コミック10巻
だって「楽しいことに真っ直ぐな春雄」に惹かれたのだから。
大野が海外へ行くからと言って、彼女が身を引いたからと言って「自分の意思に忠実に生きるのが気持ちいい」春雄に、意思に反してまで自分と付き合って欲しくない。
自分には、春雄の心に入り込む余地はないのだ・・・
様々な思いと共に、春雄との恋が”確実に”終わったと分かった瞬間。
それも最後の逆転の一手を、自ら授けるとは・・・
春雄が十分遠ざかってから、どんなに大声で泣いても聞こえない距離まで走って行くのを待っていたかのように、大きな声で泣き出す・・・
切ないですね・・・
素晴らしいアニメオリジナルシーンでした。
音楽、そして青空と日高の髪の毛の色とのコントラストも絵的に素晴らしい!
グッジョブです!
ア) 春雄ママがカッコいい!
春雄が原付を取りに、自宅へ行く場面。
玄関を開けてすぐヘルメットを投げつけられるのはアニメオリジナル。
原作では、驚く春雄ママにヘルメットと鍵がどこにいるのか尋ね、自分の部屋へ行く。
一呼吸置いて、ヘルメットを投げつけられる。
アニメは尺の問題もあったのでしょう。
玄関を開けた瞬間に、春雄ママからヘルメットが!
春雄が戻ってくると確信していた、待ち構えてたような演出が、春雄ママの息子への信頼と、先読みして準備しているのがカッコいい!!
ここまでくると原作通り!
原付に乗り、空港へ向かうシーン。
途中からファンタジーになりましたが、これは原作通り。
春雄の必死な思いに、ゲームキャラクターが恩返しをする。
非現実的なのは百も承知。
これを拒絶してしまったら、春雄がじいやの車にはねられても平気なことや、ましてや1巻の「ガシャドクロ」で取ったオモチャの指輪だって虚像となる。
現実世界だって運が良いときはある。
ポジティブに考えれば運も奇跡に見える。
強い想いがあれば奇跡が起きる。
それがフィクションに許された比喩なのだから。
おわりに (原作コミック『ハイスコアガール』10巻とは)
以上、『ハイスコアガール』原作コミック10巻のレビューでした。
原作コミックは10巻で完結。
長きに渡って取り上げてきた原作コミック『ハイスコアガール』のレビューもこれが最後となりました。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
──『ハイスコアガール』
私はこの作品をアニメから入り、その後原作を読むと言う形で接してきました。
最近は時間を取れない中、マンガもアニメも沢山あり、特にマンガは自分のペースで読めるので、気に入った作品でない限り、ついサーッと流して読んだりすることも多々あります。
『ハイスコアガール』はさっと読んでも面白いでしょうが、じっくり読むとより面白いタイプの作品。
その「じっくり読んだ方がいい作品」だと言うのをアニメで気付かされました。
異性に無関心で鈍感、不器用な主人公。
極度な無口のヒロイン。
どちらも自分の好き勝手を押し通すタイプではなく、相手の立場や意思を尊重する。
その心情がちょっとした表情や動作に込められる。
だから読めば読むほど味が出てくる。
押切先生の他の作品も読みたくなりました。
TVアニメ『ハイスコアガール』2期全体のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はTwitterにて。
ではでは。
関連レビュー
アニメ化された部分の感想はアニメレビューの方へ記載しています。
良かったらそちらもご覧下さい。
