SF/ファンタジー

アニメ【ID:INVADED イド:インヴェイデッド】1~13話(最終回) 感想レビュー 主役は人でなく・・・

ID-INVADED
オススメ度 B-
原作 アニメオリジナル
ジャンル SF、ミステリ、サスペンス
放送情報 TVアニメ(2020年冬)/全13話
ストーリー
設定
世界観
感情移入

TV放送録画にて鑑賞。一気見。

こんばんは。時文です。
TVアニメ『ID:INVADED』最終話まで鑑賞しました。

原作はなく、アニメオリジナル作品。
シリーズ構成と脚本をミステリ作家の舞城王太郎先生が担当するSFミステリ。

無意識世界、仕掛けやギミック、そして捜査方法が個性的。
ミステリとしてだけでなく、SFサスペンスと楽しめました。

では、TVアニメ『ID:INVADED』感想レビューをどうぞ。

  • 「はじめに」は【ネタバレなし】
  • 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】

はじめに

目覚めるとそこは見たことのない世界──

“本当の意味で”誰も見たことがない世界。
ここがどこか、自分が誰か、名前すら思い出せない──

海外のサスペンス映画、ホラー映画のような始まり方、見たことのない世界にグッと引き込まれる。
ここはどこ?一体なに?なぜ自分がここに?

この作品の主役は人ではない、「イド」と呼ばれる仮想世界だ

初めて見る世界のビジュアル的なインパクト
具現化された、摩訶不思議なギミックの数々

作り出されたイドをさまよい、そのイドの理(ことわり)を知る高揚感
その過程で、犯罪者に繋がる手掛かりが見つかる奇抜さ
得た手掛かりを元に、リアル世界の捜査員が連動して動くチーム連携的な面白さ

これまで見たことのない世界と捜査方法が体験できるのが『ID:INVADED』の斬新さ

最初は訳が分からず、設定と早い展開に付いていけないかも。

『ID:INVADED』は、一つ一つの事件を解決するだけの単純な物語構成ではありません。
捜査方法が独特な上に、登場人数も多く、ゲストキャラは意外と少ない。
事件同士も共通点があり、一つの大きな事件に繋がっていく。
中盤になるとぼんやりと全体像が。

個人的には、全容が見えてくるまでは、各事件の解決編だけ見せられているようで、犯人像や動機を推理する余裕もなく感情移入できなかったのが残念。

前半は、この作品世界での犯罪捜査方法を説明しているのだと割り切って下さい(笑)。
「イド」を作り出す装置、仕組みを理解するのに主眼を置くと良いかも。

後半になると見えてきます。
前半はプロローグとも言える物語だったと。
前半の事件や殺人犯が、後半にも絡んでくる展開はお見事です。

連続殺人、猟奇的な殺人が扱われ、ショッキングなシーンが多々あるので苦手な人はご注意を。

最後にもう一度。
私の推しは、見たことのない世界、そしてそれを生み出す・・・

ID:INVADED イド:インヴェイデッド Official Trailer 01
KADOKAWAanime

感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)

『ID:INVADED』ストーリー概要

あらすじ

舞台は現代の警察組織。

殺意の思念粒子から深層心理の世界「イド」を作り出すシステム「ミヅハノメ」がある世界。

名探偵・酒井戸(主人公)は、「ミヅハノメ」のパイロットとして「イド」に入り、事件の手掛かりを探る。

連続殺人犯の無意識世界「イド」を探っていると、ある共通点が──
連続殺人鬼メーカー・ジョンウォーカー・・・

『ID:INVADED』のジャンルはSFミステリ。
名探偵(という役割)は出てくるが、どちらかと言うと、推理力のある警察物

警察内の、「蔵」と呼ばれる組織が物語の舞台。

「蔵」の捜査方法が独特
まず、事件現場から犯罪者の「殺意の思念粒子」を採取。
思念粒子から犯罪者の深層心理を仮想世界「イド」として可視化。
そこへ名探偵を送り込み、名探偵の行動を観察し、情報を総合的に判断し犯人像を推理する。

「イド」に送り込まれる名探偵の一人が主人公、名探偵・酒井戸。

名探偵は、「イド」に入る度に記憶は失われる。
なぜか毎回死体となって登場する「カエルちゃん」。
カエルちゃんを見ると、自分の名前と役割を思い出し覚醒する──

物語が進むにつれ、記憶が失われる理由や、カエルちゃんが誰なのかが見えてくる。
最初の事件の被害者が、別の事件捜査上に上がってきたり、連続殺人犯が捜査に協力したり、個性的なキャラクターを一つの事件で終わらせないのがうれしい。

名探偵達が個性的で、連続殺人犯の性格と「イド」の印象が強いので、相対的にラスボスの存在感が弱くなってしまったのが残念。

だけど、気持ちいい程の結末を見せてくれたのはうれしい

主人公側(鳴瓢秋人、本堂町小春、百貴船太郎)だけでなく、富久田保津、飛鳥井木記はもちろん、井波七星にまで自分で決断し落としどころを見出した決着は、とてもスッキリ!

少し悲しいのは、カエルちゃんこと飛鳥井木記のラスト。
本人が望む結果ではないが、自分の能力が誰かの役に立つという一応の納得感を得て、「いつか・・・」と希望を持たせる最後は良し。
#13話、百貴役の細谷さんの演技最高でした!

最初は、訳が分からないモヤモヤ感。
だけど、ラストは気持ち良い程の爽快感。

ミステリらしからぬ読後感が楽しめた作品でした。

『ID:INVADED』とは

先に書いたように、イド世界のビジュアル的インパクト、捜査方法には目を奪われました♪
ところが、(私は)物語には入り込めない感覚が・・・。

特に前半。
前半は大きな盛り上がりもなく淡々と物語は進みます。

捜査の対象は、陰惨な猟奇的殺人事件。
それも連続殺人ばかり。

普通のミステリ作品なら、視聴者は犯人に対して嫌悪感や憎しみを感じ、捜査側に共感していくのですが『ID:INVADED』はその過程が抜けている

理由は2つ

理由①事件は”全て”既に通常の捜査では行き詰まっている凶悪殺人事件

恐らくこれが「蔵」が扱う事件の条件なのでしょう。

深層心理を覗き込むことは最大のプライバシー侵害。
むやみやたらに行使することはできない。

凶悪な殺人事件で、かつ通常の捜査では手掛かりが得られない事件にのみ、「イド」構築が許可されるのでしょう。

理由②殺人事件そのものや、被害者側の描写がほぼない

理由②は、ミステリ作品としては珍しい。

通常、犯罪を扱う作品は、どれだけ酷い事件かを伝えるために、事件発生の瞬間もしくは直後の被害者を描写する。
その上、被害者側を克明に描き、視聴者に感情移入してもらう。
その手の描写が少ないのは、異色と言ってもいいほど。

思念粒子を見つけ「イド」を構築するあたりから各事件エピソードはスタート。
「イド」に名探偵が送られ、連続殺人犯の殺意の世界から手掛かりを探っていく。

事件概要については、捜査の途中で説明される流れ。
被害者側やその家族、知人はあまり描かれない。

この方針は、主人公・鳴瓢秋人の娘の事件を際立たせる演出か、あるいは尺の問題だと思われる。
もしくは見て欲しいのはそこではないという製作者側のメッセージか・・・

いずれにせよ、特に前半は捜査最終段階と解決編を淡々と見せられているような感覚になってしまうのが残念。

『ID:INVADED』の主役は「イド」

『ID:INVADED』の主人公は、もちろん鳴瓢秋人(なりひさご あきひと)。
彼と彼の行動が周囲を動かし、物語を進めているのは事実。
#それにしても名前が覚えにくい(苦笑)

だけど、本作の主役と言うか”見所”は、「ミヅハノメ」が作り出す殺人衝動の世界「イド」

猟奇的殺人を行う常軌を逸した殺人者の深層心理を、仮想現実のように一つの世界として構築。

構築された「イド」は一つとして同じでないどころか、普通の世界ですらない。

  • 穴あき:バラバラの世界
  • 花火師:滝の世界
  • 墓掘り(模倣犯):燃えさかるビルの世界
  • 墓掘り(実行犯):落ちる世界
  • 墓掘り(主犯):円環の世界
  • 追い込み:雷の世界
  • 追い込み(3年後):砂の世界

そして、「殺意」から生み出された世界だから、そこでは「殺人」が行われているわけだ。

爆破テロ花火師の「滝の世界」ではとにかく殺戮が繰り返されている。
墓掘り(模倣犯)の「燃えさかるビルの世界」は、誰も信じられないのか、近くの人(目撃者)をとにかく消す。

本堂町小春は殺人を犯したわけではないので、かえるちゃんの死は自殺で決着。
彼女の「ドリルの世界」では、仕掛け(巨大ドリル)によって事故死するのみ。

墓掘りの数田遥は殺意と恋愛表現が入れ替わっているので、彼の「落ちる世界」では殺戮ではなく想いを寄せる井波七星を守っている。
深層心理でも、井波七星と一定距離を保っているのが彼らしい──いや、逆だ。
深層心理だからこそ、彼の本心が現れており、それが彼の行動の根源なのだ。

穴あきの「バラバラの世界」では、一人一人が大切にされているのが、ポイントですね。
殺すことが目的ではなく、共通の仲間を探していたことが目的だったことが分かります。

このように、「イド」は単に奇妙な世界なだけではなく、犯罪者の深層心理を表している。

その辺をもっともっと見せて欲しかったですね!

『ID:INVADED』における「名探偵」とは

犯罪者の「殺意の思念粒子」から「イド」を構築。
「イド」の調査は、送り込まれたパイロットが名探偵役を担い、調査をする。

ところがこの名探偵。
イドに送り込まれる度に記憶を失う(笑)。

自分のイドに入ると、無意識が自意識の侵略から逃れようと「イド嵐」が発生し、イドに閉じ込められてしまう。

そのため、万が一、自分のイドに入ってしまっても、自分のイドだと認識できないよう、入る度に記憶を消しているのだ。

by 『ID:INVADED』TVアニメ3話より

イドには、必ず「カエルちゃん」が遺体となって現れ、彼女を見つけると、名探偵としての名前と役割を思い出す。

思い出すのはそれだけ。
本来の目的である事件のことを認識するわけではない。
目の前に現れた「カエルちゃん」の事件の謎を解いていく。

「カエルちゃん」の事件の謎、違和感を解き明かしていく展開は正にミステリー
違和感や引っかかりを感じたら、理由が分かるまで追求するのはミステリーっぽい。
この辺の行動心理は、まさしく名探偵!

現実の事件の捜査は、名探偵を観察する「井戸端」のメンバーが行う

イドの中で名探偵が解き明かす事実から、犯人像を明らかにする情報を選別する。

殺意の思念粒子から構築された世界は、犯罪者の無意識下であり、猟奇殺人の根幹と言える世界の具現化。

殺人衝動の世界「イド」に映し出される全てのモノから犯人像を明らかにしていくのです。

二段構えの捜査方法が独特で、とても斬新な刺激を脳に与えてくれました。

もっと他の殺人犯のイドを見てみたい!
一体、他にはどんなイドがあるのか?
不謹慎だけど、本堂町小春のように、楽しみになってしまう。

この感覚を味わわせるために、殺人事件の悲惨な部分の描写を控えたのかも・・・

続編に期待

『ID:INVADED』は、連続殺人鬼メーカー「ジョン・ウォーカー」こと早瀬浦局長が、連続殺人鬼を作り出しつつ、「蔵」を立ち上げ捜査をしていたマッチポンプ物語。

早瀬浦局長は、犠牲を払ってでも、連続殺人犯を捕まえる組織「蔵」の立ち上げと、「イド」を使っての捜査手法を立ち上げた方が世の中のためになると思っていた。

ジョン・ウォーカーが消え、凶悪な連続殺人鬼はいなくなるかもしれない。

が、ジョン・ウォーカーが見た、殺人鬼のイドへと繋がる無数のお面・・・
世の中には多数の殺人鬼が存在するという描写。

これら殺人鬼を捕まえるために、まだまだ蔵は必要だ。

それに、カエルちゃんこと飛鳥井木記が気になることを言っていた。

近頃は、私の夢に遠くの国の人の怖い夢も混ざってくるようになりました

私の夢の世界は、どんどん大きく広くなってきているみたいです。

by 飛鳥井木記『ID:INVADED』TVアニメ13話

海外で第二のジョン・ウォーカーが現れるかもしれない。

終盤の蔵での事件は「お蔵入り」したようだが、「ミヅハノメ」の秘密が漏れ、テロ組織や他国が飛鳥井木記を奪いに来る展開だってあるかも。

作品舞台の根幹である、思念粒子を採取し、イドを作り出す「ミヅハノメ」。
その世界を作り出す飛鳥井木記の存在。

これらを共通基盤にして、まだまだ物語は作り出せる。
それだけのポテンシャルを持っている作品です。

そして、願わくは、次作は飛鳥井木記にも幸せを──
本当の笑顔のカエルちゃんを──

おわりに (『ID:INVADED』とは)

ミステリー好き、SF好きの私にとって、猟奇殺人犯の深層心理を具現化する設定は好みのど真ん中♪
見たことない世界、仕掛けの数々はもちろん、「イド」を構築する装置やギミックも楽しめました。
アニメならではの表現が新鮮で素晴らしい。

ただ、推理というよりサバイバル要素が強く、物語はミステリというよりサスペンスに近かったかも(苦笑)。

せっかく深層心理を覗いているのだから、殺人犯の動機の部分をもっと見たかった。
墓掘り(井波七星)のエピソードは完成度高し。
穴あき(富久田保津)も逮捕されてから徐々に明らかになっていくのも良かったです。
他の殺人犯は・・・あまり記憶も残ってない。

それと残念なのは、画全体の軽さ。
事件の重さ、キャラクター達の悲哀と声優さんの演技まで全て軽く感じられます。
ただ、軽いタッチにすることで、陰惨な場面がそれほどでもなかったのは確か。

軽さは、狙いなのか、予算の問題かは分かりません。
が、私にとっては感情移入できない一つの要素に。
なんだか面白いことをやっているのに、のめり込めない悔しさが残りました。
#楽しんでいる方もいらっしゃるので、ここは好みの問題かと。

以上、TVアニメ『ID:INVADED』の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

『ヤングエース』でコミカライズが連載中。
主要キャラクターは同じで、アニメとは別エピソード。

時間があれば手に入れレビューも書きたいと思います。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はTwitter(@toki23_a)にて!

ではでは。

きょうのひとこと

「ワクムスビ」を街中に設置して抑止した方がよくね?
あ、『PSYCHO-PASS』になるか・・・

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