オススメ度 | A- |
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原作 | コミック |
ジャンル | ハートフルコメディ |
放送情報 | TVアニメ(2020年春)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
原作コミック未読。
TV放送録画にて鑑賞。一気見。
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『かくしごと』最終話まで鑑賞しました。
原作は『さよなら絶望先生』でおなじみの久米田康治先生の漫画。
『月刊少年マガジン』で連載され、アニメ放送終了時期と同じ頃に完結。
コミックは全12巻。
アニメは、省略されてはいますが、原作の最後までアニメ化されました。
ギャグ漫画調ですが、温かい部分が見ごたえあるハートフルコメディ。
独特のタッチながら美しい作画と、OP/EDが作品を盛り上げてくれます。
では、TVアニメ『かくしごと』感想レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
- 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
はじめに
PVだけ見てたら、娘が父親の「隠し事」を知っていくシリアスな話かと思ったら、真逆!
父親が自分の仕事を隠しながら、男手ひとつで娘を育てるハートフルコメディ。
ギャグテイストですが、時折描かれる温かい部分にやられました。
父親・可久士(かくし)の仕事は下ネタが売りの漫画家。
>>娘を溺愛しているが、漫画家であることは絶対に明かせない。
娘・姫(ひめ)は小学4年生の10歳。
>>独特の感性を持っているが、父親思いのしっかり者。
二人を中心に物語は進む。
物語の舞台は、東京(中目黒・渋谷)と鎌倉──
メインストーリーは、姫が10歳時代。
仕事が姫にバレないよう、可久士の悪戦苦闘が描かれるドタバタコメディ。
そこへ、姫18歳時代のシリアスパートが毎回少しずつ挿入されるという構成。
可久士の親バカぶりは、過保護過ぎる気もしますが、完全に開き直っていて、もう個性になってます(笑)。
可久士は父親として、決して特別なことをしているわけではありません。
漫画家という仕事が特別なだけ。
下ネタ漫画家というジャンルが特殊なだけ。
姫は、とても聞き分けが良く、父親思い。
これだけ父親のことが好きなら、仕事がバレても問題ないだろうと思ってしまう。
が、そこは親バカ。
自分が娘に嫌われる要素は一切排除、娘がいじめられる要素も徹底して排除する──
その辺が、バカバカしいけど微笑ましく見えてしまうのです。
・・・・・
周りはと言うと・・・とにかく登場人物が(一人を除いては)皆優しくいい人。
#その一人とは見ているとすぐに分かります(笑)
可久士は仕事よりもなによりも姫優先!
周囲は、可久士に(大抵、姫のことで)振り回されるのですが、なんだかんだと言いながら付き合い応援する。
この辺は見ていて癒やされました。
姫の周りも、多少無神経な子がいますが、ちゃんと姫の味方もいる。
姫の性格もあってすくすく育っていく。
・・・・・
原作漫画は『月刊少年マガジン』で連載。
アニメ最終回放送と同時期に連載が終了。
原作コミックは全12巻。
アニメはかなり飛ばしたようですが、1クールで原作最後までアニメ化したのはお見事!
序盤を見ている間は、ここまで心温まる展開になるとは思わなかった。
#個人的には、もう少しシリアス部分を増やして欲しかったですが・・・
親子愛、ハートフルコメディ物が好きな人にオススメです。
もちろんギャグ好きの方にも!
笑って泣ける作品です!
avex pictures
感想レビュー (以降、ネタバレありです)
『かくしごと』ストーリー概要

舞台は、現代の東京と鎌倉。
妻を亡くした後藤可久士(主人公)は、男手ひとつで娘・姫を育ててきた。
姫は小学4年生になり、少しずつ物事が分かってくるように──
しかし、可久士は娘にずっと隠していることがあった。
いや、これからもずっと・・・
「隠し事は何ですか?」
姫が生まれてすぐに母親は船舶事故で亡くなり、可久士は男手ひとつで姫を育てる。
可久士の仕事は下ネタが売りのベテラン漫画家先生。
(可久士のような)漫画家なら場所に縛られることがなく、子育てと仕事をもっと両立できそうだが、可久士はそんなことはしない。
最優先すべきは、姫に漫画家であることを秘密にすること!
それが、自分が姫に嫌われないため、ひいては姫が誰かに白い目で見られないため。
物語は、下ネタ漫画を描いていることを隠しながら、子育てをするという点にフォーカス。
一方、18歳になった姫のストーリーを毎話少しずつ挿入。
そこでは、姫視点で後藤家の秘密がバレていく様を描く──
なぜ姫は一人鎌倉へいるのか?
可久士は生きているのか?
可久士はいつ漫画を描くのを止めたのか?
母親はどうなったのか?
鎌倉と中目黒の家の間取りはなぜ一緒なのか?
そして、姫は本当に可久士が漫画家であることを知らなかったのか・・・
ミステリー物のように、謎を散りばめ、本編(10歳時代)と絡めて、解き明かしてく。
・・・・・
秀逸なのは、母親を直接登場させずに母親の優しさと存在感を描き、10歳時代だけを描いて、その前後を想像させる。
姫が生まれてすぐに母親が亡くなったのなら、男手一つで子育ても大変だったろう。
姫が幼少の頃、もっと手がかかっただろうに、そこは描かない。
段々と物事を理解し始める、小学4年生時代における、父娘にフォーカスしている。
そのこだわりはお見事!
個人的には、姫が幼少の頃、そして中高生時代の姫と可久士のやりとり見てみたかったですけどね(苦笑)
長期連載で、ずっと見ていたいと思う程、良い親子関係でした♪
姫の成長を描いた物語か

大部分を占める姫10歳時代。
ギャグテイストの笑いの部分はさておき・・・
全体のストーリーを見ると、この物語は”姫の成長物語”と捉えることができます。
姫がこれまで”わざと見ないようにしてきた”事柄や過去。
可久士の記憶喪失をキッカケに、それらに向き合うことができるようになるまでの物語。
10代の姫(これまでの姫)
人は、不安や危険を感じると無意識に自分の身を守る行動をします。
逆ギレしたり、逃げたり・・・
姫の場合は、自分の都合に”悪くなりそうなこと”を聞くと、思考停止する──
逃げていたという意味ではありません。
小さい頃に母親をなくし父親しかいない。
もしかすると母親の事も詳細は知らされていないかも。
ひょっとして父親も本当の父親ではないかも・・・
だけど、姫は今に不満ないのだから問題なし。
むしろ、今の状況から変わって欲しくない。
現況が変わるくらいなら、本当の事など知りたくもない、知る必要もない。
可久士に好意を寄せる女性が来るのを、喜ばないのも、父娘二人でいたいという思いの一環ですね。
子供は敏感です。
親や周囲の態度から、なんとなく、触れてはいけない、知ってはいけないことを感じ取り、姫は踏み込まないようにしていたのです。
真実を知り、今の関係が壊れてしまうのではないかという恐れもあったのでしょう。
全ての現実を受け止められない子供が心を守るための自己防衛です。
だから、姫は可久士の仕事を知ることもなかったのです。
なんとなく、触れてはいけないと感じ取っていたでしょう。
序盤からいくつもの伏線がありました。
漫画家(ラフ)スタイルの父親を見ても、父親と気付かない(1、6、9話)
臨海学校で食事の準備中(2話)
ママに教わらなかったの?
by 姫の友達『かくしごと』TVアニメ第2話
と友達に突っ込まれ、姫が「ぽけー」としてしまう。
担任の六条先生は、そんな姫を見て、可久士に答える。
考えてないんじゃなくて、あえて考えないようにしているんじゃないかって気がします。
by 六條一子 先生『かくしごと』TVアニメ第2話
子供の頃からそうしてきた結果、姫は、現状を維持するのに、自分は我慢するという考え方に。
記憶喪失の父を前にしても(12話)
父親相手にすら、自分の意思より、可久士の意思を優先します──
だけど、きっと父は漫画を描くことが大好きなんだと思う。
仕事をしている父の姿を初めて見ました。
すごく真剣で、でもとても楽しそうで。記憶が戻って、また父から漫画を取り上げることになるくらいなら、いっそこのままの方が。
by 後藤姫『かくしごと』TVアニメ第12話
ずっと可久士と一緒に暮らしてきた姫が、一度も見たことがないような、可久士の真剣で充実している仕事姿。
可久士にとって漫画を描くことが一番幸せなのだ。
姫はたとえ父親であっても、人に干渉してまで行動を変えさせたいと思わない、優しい子。
#7話では犬にまで、その優しさを向け、犬を飼うのを自ら諦めてます
このまま漫画を描き続けられるのであれば、その方が可久士にとって幸せなのではないかと考え、自分が娘であることを明かすのを諦める。
ところが──
18歳の姫(最終話の姫)
一番の幸せは、俺が一番うれしいのは、姫が元気に大きく育つことかな。
by 後藤可久士『かくしごと』TVアニメ第12話
可久士のこの言葉を聞き、自分も父親と一緒にいたいと思った。
──記憶が戻り、再び漫画を取り上げることになっても──
それでも、姫は父親と一緒にいたいと思った。
可久士の希望ではなく、”初めて”自分のわがままを通したのです。
#実際はわがままなどではなく、記憶を取り戻してもらいたいと言う前向きな思い
姫はこれまで、悪くなりそうことは避けてきた。
だけど、ようやく自分の意志で、物事を進めたのです。
たとえそれがどんな結果をもたらそうとも。
自分の力で変えていこうとしたのです。
物語の中で、可久士は終始、姫が最優先。
一貫して変わっていません。
成長したのは姫なのです。
おわりに (『かくしごと』とは)
ストーリー面の話ばかりしてきましたが、漫画家あるある、一つのキーワードを別の意味と勘違いする、すれ違いコント、勘違いギャグも、ハマると面白い!
下ネタ漫画家が主人公でありながら、『かくしごと』自体には下ネタが抑え気味。
タイトルのダブル・ミーニング、登場人物やサブタイトルの名前も遊びが効いている。
コメディなのに(失礼)、微に入り細に入りあらゆる所に意味があり遊び心もあり、抜かりなし!
・・・・・
実は私「週刊少年マガジン」はずっと読んでますが『さよなら絶望先生』は読み飛ばしてました。
最初の頃は読んでたと思うのですが、なんだか途中から飽きてしまい離脱。
#すいません、漫画家十戒破ってました(笑)
2.漫画をとばさないで下さい。それだけで幸せです。
『かくしごと』TVアニメ7話「漫画家と読者の10の約束」より
『かくしごと』を見て、久米田康治先生の認識を改めました。
ギャグだけど、中身のある作品を描かれる方なのだと。
『さよなら絶望先生』はアニメ化もされているとのこと。
いつか見てみたい・・・
以上、TVアニメ『かくしごと』の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
原作コミックも読んでみたいと思ってます。
レビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はTwitter(@toki23_a)にて!
ではでは。