虚構推理

小説【虚構推理】アニメ7話分感想 紗季はどれだけ寺田を思っていたか・・・

虚構推理

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
小説『虚構推理』の感想レビュー(6/11)です。

原作小説『虚構推理』は、TVアニメ1話と3~12話でアニメ化。

本レビューでは、アニメ7話に相当する部分を対象とします。
次話以降のネタバレは「なし」なので、ご安心を。

アニメの感想レビューはこちらからどうぞ。

虚構推理
アニメ【虚構推理】1~12話(最終回) 感想レビュー そうきたか!常識破りのミステリをご覧あれ2020年冬TVアニメ『虚構推理』ネタバレ感想レビュー。ミステリよりも伝奇、伝奇よりも恋愛!?推理物を期待して見ると、違うと気付くが時すでに遅し。恋愛×伝奇にすっかりハマってしまうかも。 前半の「はじめに」は【ネタバレなし】後半の「感想レビュー」は【ネタバレあり】で魅力を紹介します。...

アニメと原作小説の対応は以下の通り。
リンク先は他話の感想レビューです。

虚構推理 (全12話) 各話リスト

話数 サブタイトル 原作巻数
(リンク先はレビューへ)
第1話 一眼一足 1巻R①
第2話 ヌシの大蛇は聞いていた 2巻R①
第3話 鋼人の噂 2巻R②
1巻R②
第4話 アイドルは鉄骨に死す 1巻R③
第5話 想像力の怪物 1巻R④
第6話 合理的な虚構 1巻R⑤
第7話 鋼人攻略戦準備 1巻R⑥
(本レビュー)
第8話 虚構を紡ぐ者 1巻R⑦
第9話 鋼人七瀬攻略議会 1巻R⑧
第10話 虚構争奪 1巻R⑨
第11話 最後の虚構 1巻R⑩
第12話 秩序を守る者 1巻R⑪

※1巻:『虚構推理』
※2巻:『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』

はじめに

本レビューは「アニメ」⇒「原作小説」の順で見た「原作の感想レビュー」です。

2020年冬、アニメ化された『虚構推理』。
原作は城平京先生による小説。
2011年から刊行され、現在、短編集も入れて3冊刊行。(2020年6月時点)

  • 虚構推理
  • 虚構推理短編集 岩永琴子の出現
  • 虚構推理 スリーピング・マーダー

1巻、2巻、3巻とナンバリングされておらず、タイトルで区別。
本サイトでは便宜上、発刊順に1巻(虚構推理)、2巻(虚構推理短編集)と呼ばせて頂きます

アニメ『虚構推理』は原作小説に忠実、再現度も高いです。

が、原作の全てがアニメ化されているわけではありません。
原作を読むことにより、作品をより理解することができました。

原作情報を全て伝えることはできませんが、魅力を少しでも伝えられれば。

もっと知りたいと思った方は、ぜひ原作をお読みください。
アニメ鑑賞後であればストーリーが分かっているのでスムーズに読めるし、アニメではカットされた琴子のセリフや、心情描写が楽しめます。

なお、原作読了後、コミカライズも読みました
アニメはコミカライズされたシーンも採用しています。
マンガサイト「アル」の投稿画像も引用して紹介します。

では、アニメの内容順に紹介をしていきます。

本レビューの内容
  • アニメでカットされた原作部分
  • アニメオリジナルシーン
  • 原作を読んで分かったこと

見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。

  • ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
  • 原):アニメではカットされたシーンに言及

TVアニメ 第7話「鋼人攻略戦準備」

原) 寺田の事件現場は管轄外

寺田刑事の惨殺死体が発見された。

刑事が殺されたとなると職業柄、恨み。
事件現場は管轄外、かつ日頃の職務に動機がないとは言えないので、真倉坂署は捜査本部から距離を置かれていた。

寺田刑事の惨殺事件。
アニメ鑑賞時、紗季が疑われているのだと思ってました

原作を読むと分かるのが、容疑者とまではされてないが、疑われてはいる感じ。
その程度なら、おそらく紗季以外にもいたのでしょう。

なにせ優秀な刑事が抵抗なく殺されたのですから。

警戒など考えもしないよほど親しい間柄の者に襲われたか、よほど予想外のタイミングで予想外の相手に襲われ呆然としたか、どちらにせよ普通の事件で済みそうにない。

そのため紗季も、朝から繰り返し事情聴取を受けていた。

-中略-

容疑者にまではされていないが、万が一は考えている、という様子だったのはやむを得ない

by 小説『虚構推理』より

寺田は柔道五段の猛者で、優秀な刑事。
真正面から無抵抗で顔を潰されることなど、よほど親しい者でないと不可能と考えられたわけです。

しかも相手が女性であれば、なおのこと油断するだろう。
それも、寺田が好意を寄せている女性であれば・・・

寺田の携帯には、紗季とのやりとりが残っています

動機は置いといて、普通に考えれば、容疑者として疑われても致し方なしですね。

原) 琴子のことを話さなかったのは真実を話せないからか

紗季は事情聴取の際、九郎と琴子については話さなかった・・・

寺田が鋼人七瀬のことを調べていたことは話しながら、どうして琴子達と一緒にいたことを話さなかったのか?

紗季のアリバイを証明してくれるのにも関わらず・・・

原作でも、理由は語られていません。
ただ、二人のことを話してないと言い切ってます──

話さなかったのは、九郎と岩永という二人の人物の暗躍と、鋼人七瀬が本物の怪異という事実だけだ。昨晩のアリバイもひとりで自宅にいた、と答えている。アリバイがないという主張なので詳細な裏付け捜査はされないと思うが、マンションの他の住人に二人の訪問者がいたのを証言されればその時はその時と腹を決めている

by 小説『虚構推理』より

つまり──

鋼人七瀬は実在し、対処するために人ならざる二人が動いている

このことを話したくなかった、いや話しても信じてもらえないだろう。
そもそも、警察に鋼人七瀬のことを話しても何のプラスにもならない。

優秀な刑事が呆気なく殺された。
やはり鋼人七瀬を消滅させるのは、琴子のような者でなければ太刀打ちできないと感じたのかも。

だから、二人の邪魔をしないよう、一緒にいたことすら話さなかったのでしょう。

・・・・・

紗季が、”らしい”のは、最後の行──

訪問者がいたのを証言されればその時はその時と腹を決めている

紗季さん、男気あります!

「腹を決めている」というと、辞職でも考えているのかと心配になります。
が、頭の良い紗季のことです、うまくはぐらかす気がしますけどね(笑)。

「『元カレが現在の彼女を連れて遊びに来ていた』なんて言えると思いますか?」とか(笑)。

原) 紗季はもっと注意すべきだったと悔やむ

紗季が悔やむ姿は、アニメでも充分表現されていますが・・・

原作では、もっと具体的に紗季の心情描写が描かれています。

もっとちゃんと注意しておくべきだったと紗季は悔やむまともな人間なら鋼人七瀬と出くわせば絶対に逃げ出すと思っていたあのおぞましい異界の存在感に対面し、鉄骨を振り上げられて前に進めるなど、ありえないとどこか考えていた紗季みたいに半ば自棄にになっているか思い詰めてでもいなければ

by 小説『虚構推理』より

紗季は、普通で”まともな”感覚、恐怖感を持っていたら、鋼人七瀬を見ると逃げ出すと思っていたのです。

ところが、寺田は、鋼人七瀬は怪異などではなく、誰かの悪だくみだと睨んでいた
その異様な姿も変装と特殊メイクだと思っていた。

だから迷いもなく向かっていった──

紗季はカッパを目撃してから、この世ならざるモノを他の人より敏感に感じるようになっていた

そんな紗季だからこそ、鋼人七瀬が漂わせる異様な存在感を感じ取っていた
「あのおぞましい異界の存在感」を体感しているだけに、普通は誰も「前に進める」わけがないと・・・

寺田は霊感が強くないので、紗季が感じたような異様さを鋼人七瀬に感じなかった上、誰かが変装しているに違いないと思い込んでいたから迷うことなく立ち向かったのです

原) 興味を持とうとしたからこそ活きるセリフ

寺田さんに冷たかったと思います。
寺田さんの下の名前を、さっき知ったくらいですから

by 弓原紗季『虚構推理』TVアニメ7話より

アニメではカットされていますが、紗季は寺田と親しくなろうとしていました。

紗季は、事件前の翌々日、つまり明日、寺田と食事する予定でした
アニメでは、その会話はカットされています。

詳しくは原作レビュー(4話相当分)をどうぞ。

周囲も『寺田』という姓か役職でしか呼んでおらず、紗季もそれで事足りていたのでずっと知らずじまいでいた。事情聴取でフルネームを知らされ、馴染みのない響きにまた現実感が遠のいた。下の名前を知らなかったなど、親しくなろうとしていた男性に興味がないのもはなはだしい

by 小説『虚構推理』より

九郎が好みとまるで違う琴子と付き合っているように、紗季も好みとは正反対の寺田のことをもっと知ってみよう、親しくなろうと、考えていた。

にも関わらず、今回の事で紗季は寺田に対して真剣ではなかったと、気付かされたのです

だから、鋼人七瀬のことについても本気で注意できなかった、あるいは、寺田の(鋼人七瀬に向かっていく)性格にまで考えが至らなかった、と悔いているのではないでしょうか。

琴子のホテルへ着いた後、紗季はこんなことも言ってます──

「大丈夫。親しかった割にあまりショックを受けていないのがショックっていう感じだから

by 小説『虚構推理』より

自分の薄情さにショックを受けているのです。

恋愛感情があるかどうか別にして、身近な人がなくなったらショックを受けるもの。
殺人となれば、犯人を憎むもの。

だけど、紗季は、それほどショックを受けなかった・・・

如何に、人との関わりを捨て深い関係を築かないようにしてきたかを、紗季は実感したのではないでしょうか

ア) 一眼一足

琴子はホテルの一室で、義眼と義足を外し、朝から鋼人七瀬対策を練っていた。

ホテルで琴子が、義眼と義足を外して過ごしているのは、原作通り

でも、絵で見るとインパクトありますねー
よくこのシーンをアニメ化して下さいました。

というのも、原作では義眼を外してはいますが、瞳(まぶた)は閉じて、前髪で隠している、と描写

髪で隠すこともできたでしょうに、黒い穴として描写。
結構、衝撃的でした。

引用しているとおり、コミカライズ版でもまぶたを閉じた描写です。

あとは、義眼の保管方法。
原作はそこまで描写されてませんが、アニメでは、コンタクトレンズのように、ケースに入れて保管。

義眼ってこういう風に保管するのかと、なんだか納得できました。

原) 六花の名前は意地悪から!?

琴子は、ついに鋼人七瀬攻略の解決を見いだした。

昨夜は4時間程しか寝ておらず、朝からずっと対策を練っていた琴子は少し仮眠を取ることに──

その間、九郎は紗季と部屋を出て、準備を進める。

琴子抜きの二人の会話が面白いですね。

紗季は、九郎と琴子の二人を見て、良い関係なんだと見ています。

経緯は計り知れないが、この二日の二人を見るだけで、関係がうまくいっているのがわかる

-中略-

嫌味や不満を言いながらもうまくやっているうまいやり方を見つけられず、新たにうまくやろうとした相手が殺された紗季にすれば、少し意地の悪いことを言ってみたくもなった

「いいんじゃない。ずっと六花さんの姿を追うのもよくないんだから」

by 小説『虚構推理』より

九郎に未練があるわけではないが、元彼が自分とは真逆のタイプの琴子と、うまく付き合っているのを見て、紗季は意地悪なことを言ってみたくなった。

それで、いきなり六花の話をし出したのです。

よくあるお姉さん思考ですね(苦笑)。

紗季さんのこの言いっぷりだと、九郎が六花に憧れていたことは付き合っていた頃から知ってはいたが、九郎に対して話すのは初めてだったのでしょう。

だから、九郎は驚いた
その上、今回の事件の裏側に六花がいると考えていたので、二重の意味で動揺したのです

読者(視聴者)には、この後の紗季の回想シーンで、作品序盤の九郎が病院へ見舞っていた従姉が六花だと分かります。

この辺の展開が絶妙ですね!

おわりに (小説『虚構推理』1巻とは)

琴子達が登場する前までのシーンは、ストーリー本論と関係ないせいか、かなり駆け足でした。

原作では、紗季の描写が丁寧に描かれています。
#逆に、琴子のホテルへ移ってからは、ほぼ原作通り

寺田刑事が鋼人七瀬の被害者となってしまった。
被害を防ぐことができたのは、紗季のみだったことを紗季自身がよく理解しています。

  • 鋼人七瀬は実在し、かつ普通の人は触れることすらできない
  • 寺田刑事が鋼人七瀬の事件を調査している

両方を知り、かつ寺田刑事と親しかったのは紗季だけなのです。

それでいて、寺田刑事が亡くなった事実に、それほどショックを受けてないという自分に紗季も悩みます。

そこまで冷たい人間だったのかと。

紗季の人間臭さがよく描かれています。

殆ど心情描写で暗くなる内容。
かつ、本論と直接関係ないので、アニメでは省略したのでしょう。

小説は、琴子と紗季の二人の視点を行ったり来たり。

九郎という一人の男性を、正反対の性格の琴子と紗季から見る趣向がとても面白い原作『虚構推理』。
今回は、九郎以外の男性(寺田)に対する考えも興味深く読めました。

ミステリー部分以外も読み応えありです。

以上、『虚構推理』原作小説1巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

1巻続きのレビューも書いてます。
良かったらご覧ください。

ではでは。

きょうのひとこと

実際に犯人がいたら、あやかしの情報網で一瞬で解決するんだろうね

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