虚構推理

小説【虚構推理短編集】アニメ3話分感想 回りくどい説明したのはそういうことね

虚構推理

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』の感想レビュー(2/2)です。

原作小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』の第一話「ヌシの大蛇は聞いていた」は、TVアニメ2~3話でアニメ化。

本レビューでは、アニメ3話に相当する部分を対象とします。
次話以降のネタバレは「なし」なので、ご安心を。

アニメの感想レビューはこちらからどうぞ。

虚構推理
アニメ【虚構推理】1~12話(最終回) 感想レビュー そうきたか!常識破りのミステリをご覧あれ2020年冬TVアニメ『虚構推理』ネタバレ感想レビュー。ミステリよりも伝奇、伝奇よりも恋愛!?推理物を期待して見ると、違うと気付くが時すでに遅し。恋愛×伝奇にすっかりハマってしまうかも。 前半の「はじめに」は【ネタバレなし】後半の「感想レビュー」は【ネタバレあり】で魅力を紹介します。...

アニメと原作小説の対応は以下の通り。
リンク先は他話の感想レビューです。

虚構推理 (全12話) 各話リスト

話数 サブタイトル 原作巻数
(リンク先はレビューへ)
第1話 一眼一足 1巻R①
第2話 ヌシの大蛇は聞いていた 2巻R①
第3話 鋼人の噂 2巻R②
(本レビュー)
1巻R②
第4話 アイドルは鉄骨に死す 1巻R③
第5話 想像力の怪物 1巻R④
第6話 合理的な虚構 1巻R⑤
第7話 鋼人攻略戦準備 1巻R⑥
第8話 虚構を紡ぐ者 1巻R⑦
第9話 鋼人七瀬攻略議会 1巻R⑧
第10話 虚構争奪 1巻R⑨
第11話 最後の虚構 1巻R⑩
第12話 秩序を守る者 1巻R⑪

※1巻:『虚構推理』
※2巻:『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』

はじめに

本レビューは「アニメ」⇒「原作小説」の順で見た「原作の感想レビュー」です。

2020年冬、アニメ化された『虚構推理』。
原作は城平京先生による小説。
2011年から刊行され、現在、短編集も入れて3冊刊行。(2020年6月時点)

  • 虚構推理
  • 虚構推理短編集 岩永琴子の出現
  • 虚構推理 スリーピング・マーダー

1巻、2巻、3巻とナンバリングされておらず、タイトルで区別。
本サイトでは便宜上、発刊順に1巻(虚構推理)、2巻(虚構推理短編集)と呼ばせて頂きます

アニメ『虚構推理』は原作小説に忠実、再現度も高いです。

が、原作の全てがアニメ化されているわけではありません。
原作を読むことにより、作品をより理解することができました。

原作情報を全て伝えることはできませんが、魅力を少しでも伝えられれば。

もっと知りたいと思った方は、ぜひ原作をお読みください。
アニメ鑑賞後であればストーリーが分かっているのでスムーズに読めるし、アニメではカットされた琴子のセリフや、心情描写が楽しめます。

では、アニメの内容順に紹介をしていきます。

本レビューの内容
  • アニメでカットされた原作部分
  • アニメオリジナルシーン
  • 原作を読んで分かったこと

見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。

  • ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
  • 原):アニメではカットされたシーンに言及

TVアニメ 第3話「鋼人の噂」

原) 見えてないものを探しているとすれば・・・

原作小説には心情描写が描かれており、琴子の考えのロジックが分かって、内容をより理解することができます。

琴子がいくら推理を披露しても、「うまく見つけてくれるといいのだけれど」と辻褄が合わないと、ヌシの大蛇は納得しない。

そこで琴子は見えてないものを見つけて欲しいと言う推論を披露。

見えている死体にこだわるから呟きが矛盾を起こすと思えるのだなら犯人は見えている死体以外のものを見つけて欲しいとすればいい。そして警察はそれ以外のものを探して沼をさらっている。

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

女性が呟いた言葉「うまく見つけてくれるといいのだけれど」

誰に、何を、なぜ、見つけて欲しい?

誰に 何を なぜ
1 大蛇 死体 死体を食べてもらうため
(死体の証拠隠滅)
2 大蛇 死体 大雨を降らせてもらうため
(真犯人の証拠隠滅)
3 警察 探し物 広い沼を自分では探せないから

ここまで2つの論を展開してきましたが、大蛇は納得せず。
死体を見つけるという解では、どこかに引っかかる。

ならば、誰も見えてない、誰も知らないモノ、で論を組み立て、引っかかる要素を減らしたのです

女性に子供がいたのかなど本人しか分かりません。
実際にはいなかったでしょう。
いないからこそ、女性の子供について情報はない。

情報がないので、立証することはできないが、否定することもできない。
ただ、説得力があれば良いのです。

原) 『虚構推理』の”虚構”とは

先ほどと同じ箇所の引用ですが──

見えている死体にこだわるから呟きが矛盾を起こすと思えるのだなら犯人は見えている死体以外のものを見つけて欲しいとすればいい。そして警察はそれ以外のものを探して沼をさらっている。

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

すればいい“というのが面白い!
ここが『虚構推理』が普通の推理小説と違うところ

『虚構推理』は事件の真相を暴く物語ではなく、怪異の悩みを解決する物語

今回はヌシの大蛇が悩み、犯人の呟きの意味が分かれば良いのです。
事実でなくても、大蛇が腑に落ちる理由付けができれば良いのです。
それが”虚構”推理と言われる所以。

もちろん、他の誰にも迷惑をかけずに、という条件付きで。
今回は更に、ヌシとしてのプライドもあるでしょうから、尊厳を傷つけないという条件がプラスされました。

ア) 九郎がいじられるのはアニオリ

琴子の推理した結論で、ヌシの大蛇は納得。

九郎が山まで行くのはアニメオリジナル
原作では、九郎は山まで来ません。

よって、大蛇が九郎をいじるのもアニメオリジナルです。

大蛇:人間はなんと恐ろしいことを考え、行う生き物か。
琴子:まったくまったく

大蛇:いや、おひいさまも大概ですが・・・もっと恐ろしいのが・・・

太字部分がアニメオリジナル

by 『虚構推理』TVアニメ3話より

九郎は親切で山奥まで来たのに、最初から散々な言われよう(笑)。

ここでは、琴子の作り話で人間は恐ろしいと思われ、それよりも九郎が恐ろしいと言われる・・・

人も殺したことのない九郎が、人殺しよりも恐ろしいと思われているのです

九郎はとんだとばっちりですね(笑)。

原) 遠回しな論法は作戦!?

アニメ鑑賞時、大蛇の否定を、琴子はあっさりと認めるし、随分勿体ぶった説明をするなーーと思ってました。

原作を読んで解明!

いきなり結論を述べてもあっさりし過ぎて難癖つけられそうだったので、少々もってまわった論陣を張ったのだ。いかにもこまかい点まで考えてあるようで、ヌシの気質とも合っていたはずである。

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

回りくどい、遠回しに感じる論理を組み立てたのは、作戦通りだったのです。

先にも述べたように、琴子が大蛇に披露した結論は、虚構。
作り話だけに、実は突っ込み所は沢山ある(笑)。
なにせ、証明する証拠は一切ないですからね。

そこで、もってまわった論陣を張ったと言うわけです。

誰でも考えつく論を先に述べその可能性を潰す、そこで例え虚構でも筋の通った推論を述べ、この結論しかないと説得力を持たせたのです

お見事!

原) 出会ってから2年後のエピソード

前回のレビューに記載した通り、出会った直後のエピソードにしているのはアニメオリジナル。

原作小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』(2巻)の第一話「ヌシの大蛇は聞いていた」は『虚構推理』(1巻)後のエピソード
アニメで言うと、最終12話、後のエピソードになります。

TVアニメ本編(原作『虚構推理』(1巻))も3話後半から時間は進み2年後に。
岩永琴子は大学生、九郎は大学院生の時の話です。

原) 最初のシーンは大学の食堂

岩永は九郎と、在籍しているH大学の学生用食堂の一番隅のテーブルについていた。

-中略-

岩永は九郎を捕まえ、講義で提出するレポートの手伝いをしてもらいながら、今後の予定について切り出したのである。

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

TVアニメ2話序盤、琴子は九郎と出会った”病院”で、話しをしていました。
原作では、2年後と時期も違いますし、同じ大学と大学院に通っていることもあり、学生用食道での会話です。

ちなみに、原作の事件後の会話は、琴子が定期検診を受けるために病院へ訪れ、九郎は付き添いとして来てくれています。

妖怪変化が集う夜の山奥には一緒に来てくれず、壁の色も白くまぶしい、コンビニエンスストアもすぐそばにある大学病院には付き添いに来るというのはどういう了見だ、と言いたくもあったが、来てくれるだけましと思ってそこは黙っていた。

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

九郎は優しいのか優しくないのか(笑)。

原) 琴子に懲りて欲しかった

山奥には来てくれず、大学病院へは付き添いしてくれる九郎に最初はだまってましたが、九郎の方から、苦言が出ます──

だが九郎は幾分厳しい声を向けた。

「お前はもう少し身の危険に神経を回せ。お前には荒事に向いた力がないんだから」
「だからそれは先輩も一緒に来てくれればいいだけと」

いつも一緒にいられるとは限らないだろう。危険の自覚がないのが一番怖くてだな、今回も少しは懲りるかと思えば

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

本エピソード(TVアニメ2話)序盤、九郎は琴子にこんなことを言ってました──

「岩永、大蛇に会いに行くのは構わないが、お前はあやかし達の知恵の神ではあるけど、これといって目立つ能力がないよな」
「失礼な。あやかし達と言葉を通じ、幽霊であってもその身に触れられるという特異な力を持ってますよ」

-中略-

「でもそれだけだろう。こう怪力とか空を飛ぶとか御札を駆使して超常現象を起こすとか、最低限怪異の暴力から身を守る物理的、呪術的な力はない。映画や漫画で妖怪や化け物と渡り合う人物は、もっと武や異能に秀で、力をもって魔を制したりしてないか?妖怪変化の中には素直にお前に従わなかったり、過激な行動に出るものも過去にはいただろう」

by 小説『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』より

原作ではこのシーン、九郎が琴子と出会ってから2年以上経過した時点。
九郎は、琴子の「知恵の神」としての実力は認めています。

が、荒事には向いてないとも認識しています。

できれば、琴子に怪異と関わるようなことをして欲しくないのです。

九郎が山奥までついていかなかったのは、琴子に少し怖い目にあって欲しかったから
これに懲りて、行動を控えるか、対策を打つかして欲しかったのです。

琴子に”取り返しがつかない”ことが起きる前に

琴子を危険な目にあわせたくない。
九郎なりの優しさですね。

では、アニメではなぜ改変してまで、九郎に琴子の後をつけさせ山奥まで行かせたのか?

それは、アニメでは構成を変更し、九郎と琴子が出会った直後にしたから。

まだ九郎は琴子と出会ったばかり。
九郎は琴子の実力を知っているわけでもない。

“先を見据えた”優しさよりも、”目の前の”優しさを前面に出したのではないでしょうか。

おわりに (小説『虚構推理』2巻とは)

原作小説は、琴子の一人称。
アニメよりも琴子の考えていることが分かります。

意外と細かい大蛇に、作り話を如何にして信じさせるか、その企みまで描かれており、論立ての勉強にもなりますね(笑)。

九郎が山まで付き添わなかった理由も分かりました。
九郎は琴子を危険な目に合わせたくないのです。

九郎の考えは一貫していますね。
琴子に素直に言わないのが”らしい”ですが。

以上、『虚構推理』原作小説2巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

アニメの続きは1巻へ戻り、1巻続きのレビューも書いてます。
良かったらご覧ください。

ではでは。

きょうのひとこと

2年後の琴子と看護師の会話を聞きたい

関連レビュー

小説『虚構推理』②(アニメ3話相当分)のレビューはこちら。

ComingSoon

アニメ『虚構推理』の感想レビューには、全体通じて感じたことを書いてます。
良かったらご覧下さい。

アニメ『虚構推理』のレビューはこちらをどうぞ
虚構推理
アニメ【虚構推理】1~12話(最終回) 感想レビュー そうきたか!常識破りのミステリをご覧あれ2020年冬TVアニメ『虚構推理』ネタバレ感想レビュー。ミステリよりも伝奇、伝奇よりも恋愛!?推理物を期待して見ると、違うと気付くが時すでに遅し。恋愛×伝奇にすっかりハマってしまうかも。 前半の「はじめに」は【ネタバレなし】後半の「感想レビュー」は【ネタバレあり】で魅力を紹介します。...

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。