原作 |
アニメオリジナル |
ジャンル |
ファンタジー |
放送情報 |
TVアニメ(2018年春)/全12話 |
オススメ度 |
B+ |
ストーリー |
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設定 |
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世界観 |
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感情移入 |
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TV放送にて鑑賞。一気見。
あらすじ
舞台は架空の大陸ヌーナシア。
辺境の村・ダンデラに住む元気な女の子・リン。
王都で民衆から愛され、王子のお妃候補の歌姫・フィーニス。
二人には、歌に関する特別な力があった。
その力を巡り、二人の運命は大きく動いていく・・・
こんばんは。時文です。
見るなら最後まで見た方が良いと言われる作品『LOST SONG』の感想レビューです。
前半と後半がガラリと変わり、後半を見るとまるで別の作品に見えてくる。
ここまでガラリと印象が変わるのは久しぶりの感覚ですね♪
見始めたなら、最後まで見ることをオススメします♪
少し雑な展開があり、苦笑いしてしまう点はありますが、全体のプロットが面白い(特に後半)ので気になりませんでした。
この作品は“事前情報なし”&”一気見”で見ることをオススメします♪
では、感想レビューをどうぞ。
オリジナルTVアニメーション「LOST SONG」PV第3弾
MAGES.ANIME
はじめに
いや~~全話完走後は、とても心地よい余韻を残す作品でした。
見始めた時はミュージカル作品かな?
中盤まで見ると、これはファンタジー王道?
そして、終盤になると、一気に考察系作品に!
#ネタバレになるのでぼかします。
本作の主役は二人。
辺境の村のリンと王都の歌姫フィーニス。
対称的な二人はそれぞれ苛酷な運命に巻き込まれていきます。
そんな中、リンは少しずつ成長し仲間を増やしながら王都を目指す。
フィーニスは頼りになる仲間に支えられ希望を見出していく。
中盤までの展開はオーソドックスなファンタジー物。
少し強引な展開はありますが、しっかり地に足の着いた物語で嫌いではありません。
オーソドックスな展開は少し退屈に、また、
王都軍周辺が若干登場人物が多いのと不審な行動が見受けられるので理解しにくいかもしれません。
が、ゆっくりとした展開は、二人の歌姫の成長と心の変化のため。
王都軍周辺の動きは終盤へ向けた伏線。
だまされたと思って、しっかり見て下さい(笑)。
リンがあまりにも世間知らず、後先考えない行動をするので少しイライラするのですが、”歌のシーン”が気持ちよく、力技でごまかされている感が少しありますが、ここは素直に乗っておきましょう(笑)。
レビュー (ここからネタバレ全開です)
物語前半
対称的な二人の歌姫
リンは、歌が大好きで、伸び伸びとした真っ直ぐで前向きな性格。
少し?食いしん坊で元気な女の子。
フィーニスは、心優しく、歌の力を使うと命を縮めるが、人々が喜ぶのであればと歌い続ける。
少し抜けているところがあり天然?
二人を巡る状況もこれまた対称的。
リンは1話で大事な家族を亡くしたが、少しずつ元気を取り戻し、自分の歌を信じてくれる仲間に出会って成長していく。
一方、フィーニスは何不自由ない生活ではあるが、彼女のことを道具としか思ってないルード王子によりレオボルトと共に嫉妬の対象に・・・
対称的な描き方が印象的でした。
歌と映像のコラボ
1話から存分に見せつけてくれた歌と映像のコラボ。
フィーニスが水を作り出すシーンは序盤に相応しい魔法の力と王都の美しさを迫力ある映像で。
リンが木の実を取りに出かけるシーンは楽しく。(ディズニー映画みたいでした(笑))
リンの性格とリンとメルの関係(これが3人の最後の楽しい思い出)までも描いてました。
1話ラストのフィーニスの”癒やし歌”に合わせて、メルとのお別れのシーン。
王都と辺境の村、フィーニスとリン。
村が焼かれ大切な人を亡くしたリン。戦争が始まり兵士を送り出すフィーニス。
それぞれの対称的な始まりを告げるシーン。
悲しいシーンでも、映像と音にとても力があり、まさに歌と映像のコラボでした。
物語後半
物語後半というか、最終話までについて。ネタバレあり
“LOST SONG”の意味するものは
タイトル『LOST SONG』は様々な意味に取れそうですね。
フィーニスにとっての「LOST SONG」は、希望とあの人への想いであり、捨てた「癒やしの歌」。
そのフィーニスの「癒やしの歌」から生まれたリン。
さらに、最終話ラストに歌われた、「癒やしの歌」と「終滅の歌」のコラボ。
これも今までは存在すら知られてなかったので、「LOST SONG」と言えるのではないでしょうか。
LOST SONG=「癒やしの歌」=リン=「終滅の歌」の効果を無効にする歌
LOSTと聞くと寂しい気がしますが、どれもこれも大切なモノを表してたのですね。
フィーニスの物語
この作品はフィーニスの物語。
7話でフィーニスが歌った「終滅の歌」。
命を失う代わりに世界を滅ぼす禁忌の歌。
命を失う=死ぬ事を許されず永遠に「終滅の時」を過ごす、
ということだったのですね。
終滅の時:私の造語です。世界の文明が発展するといずれ終滅しリセットされる。
フィーニスはレオボルトを自らの力で殺してしまい、生きる意味を失った。
自分も死んでも良いと「終滅の歌」を歌ったはずが、自分は死ねない身体に・・・
人類は滅びるが、再び同じような世界が構築される。
同じような世界ができるということは、なんどか繰り返せば、いずれは再びレオボルトに出会えるのでは?
と望みを託すが、出会えたレオボルトは、見た目は同じでも愛したレオボルトではなかった・・・
たとえ、同じようなレオボルトでも、やはり別人。
あの時のレオボルトにはもう会うことはできないのだと悟った。
では、他の人と共に過ごせば・・・
自分だけ年を取らず、共に人生を歩める人は存在しないことに気付く・・・
フィーニスは、居場所がなく生きる意味のない世界で永遠に生き続けなければならない。
この意味のない世界から抜け出すには、この世界そのものを無くしてしまうしか方法がないと結論づけた。
巨大な星を落とすのだ。
その為には「終滅の歌」の威力を高めて歌うことが必要。
「あの人への想いを断ち切らなければ「終滅の歌」は歌えない。」(9話より)
この世界を消滅させてしまうためには、希望とヘンリーへの想いである「癒やしの歌」を捨て冷酷にならなくては。
#捨てた「癒やしの歌」からリンが誕生する。
反対に言うと、あれだけ歴史を繰り返し長い年月を生きようとも、ヘンリーへの想いを断ちきれなかったということですね。
9話~10話(新)ヘンリーがフィーニスの前に現れ「フィーニス、君を助けに来た」と言うシーン。
「癒やしの歌」=ヘンリーへの想いを捨てた後だったのは・・・皮肉ですね。
「あまりにも残酷過ぎる。何もかも無意味なのに・・・」(10話より)
「残酷すぎる」と言ったのは、不老不死になって最初の頃ずっと探していたヘンリーにやっと会えたが、想いを捨てた後だったからか。
または、ヘンリーへの想いを捨てたということを、いみじくも証明できたからか。
それとも、(旧)ヘンリーと同じように(新)ヘンリーが命を賭けて、(自分は不死身なのに)助けようとしてくれていることに対して申し訳なく思ったのか・・・
ただ、今はフィーニスは理解している。
(新)ヘンリーは愛したヘンリーとは別人。
もう二度と会うことはできないのだ。
#事実、(新)ヘンリーはフィーニスを助けようとはするが愛してはない。
#恋に落ちた相手は第一王女のアレア・ゴルト。
あの現象はなに?
フィーニスが何度も繰り返したあの現象はいったい何だったのでしょう?
①タイムリープ(時間跳躍)
②パラレルワールド(もう一つの世界)
③未来(歴史は繰り返す)
①タイムリープ?
ではないですね。
リン達がいる世界にフィーニスは一人しかいないし、灰の街にはレオボルトの剣がずっと刺さっている。
でも、私は最初タイムリープかと思いました(笑)
②パラレルワールド?
タイムリープより近い気もしますが、違う選択をしてできた世界、というわけでもなさそうです。
③未来?
最初は腑に落ちなかったのですが、どうやら正解は”未来”のようです。
「終滅の歌」により、人類は滅び、リセットされた。
フィーニスは海に飛び込み、死んだのではなく、長い時間をかけて、海岸に流れ着いたのですね。
一度滅んだ人類が、再び誕生するほど・・・(どんだけ?!)
ナレーションによると歴史は繰り返し、同じような世界が作られる。
#破壊されたと言っても遺跡(=遺産)が残り、同じ世界になるとは思えないが・・・
#はい!余計な突っ込みは御法度ですね(笑)
#ま、スマホの形が変わったりと微妙な変化はあるようですしね♪
そして、(恐らく「終滅の歌」の効果で)どこかで世界が滅びる・・・
だけど、フィーニスだけが不老不死の身体で生き延び、また繰り返す・・・
#歴史は繰り返してもフィーニスが生まれないのは疑問ですが・・・
#フィーニスの両親は繰り返されないのでしょうか??
つまり、フィーニスは、不老不死の魔法に。
世界は、いずれ滅びるという魔法の支配下に。
という現象ですね。
最終話、リンとフィーニスの歌で、世界や人々がきらめき、魔法が解けたような演出がされましたが、「終滅の歌」という呪いが解けたということでしょう。
フィーニスの時間が動き出す・・・
ようやく、「終滅の歌」の支配から逃れ、フィーニスの止まっていた時間が動き出した。
そうして、フィーニスのお腹に宿っていた新たな生命も成長を始めたということでしょうか。
となると赤ちゃんの父親は「終滅の歌」が歌われる前だと思われるので、やはり最初に出会ったヘンリーなのでしょうね。
フィーニスはヘンリーがいない世界で、彼を忘れることもできず、慰めてくれる友もいなくて、永遠に生きるだけの世界から抜け出したかった。
が、だからと言って世界中の人々を巻き込んで終わらせるのは望んでいたわけではない。
“不老不死の呪い”から抜け出すには、その方法しかないと考えていたから。
リンに諭され、もう一度歌を歌う。
呪いが解け、フィーニスの時間はようやく動き出す。
すると気付いたのです。
愛するヘンリーに変わる存在が、実は自分のお腹の中にいた。
とても憎らしいラスト。
面白いのだが、感情移入できない点
本作はフィーニスの物語としてとてもきれいなプロットで、秀逸な着地でした。
が、反面、フィーニスの物語を主軸に進めるために、そして、(とくに前半)過去と現在の場面を違和感なく構成するために、主軸以外の点が粗かったり、少し強引な展開が残念でした。
一番気になったのは・・・
フィーニスを助ける理由は?
7話まで見てきたフィーニスとレオボルトとの関係を見ると、レオボルトが命を賭けてでもフィーニスを助けようとするのは理解できます。
でも、どうしてリンがフィーニスを助けたいと思うのか?
歌の力があるとは言え、軍に逆らってまで、助けようなんて考えるのか?
さらに、もっと不可解なのは、レオボルトも リンの時代ではフィーニスに会ってもないのに、どうしてフィーニスを助けたいと思うのか・・・
優しいレオボルトだからフィーニスの境遇を知れば助けたいと考えるのは当然かもしれません。
だけど、本来なら、このような状況で優先すべきは暴走するバズラ将軍の抑制であり、止めるべきは軍の計画。
ましてや、この時代のフィーニスはバズラ将軍と契約をして、了承の上、魔法を戦争に使っているのです。
それをフィーニスの救出を最優先するように見せるのは、過去の時代と違いが無いようにする構成上仕方ないとは言え少し無理矢理な気がしました。
#一応終盤は(いつの間にか)バズラ将軍を狙ってますけどね(笑)
7話までのフィーニスパートではレオボルトが彼女を守りたいという想いが推進力だっただけに、一気に冷めてしまいました・・・
残念。
せめて、先祖か遺伝子レベルでの記憶が潜在意識に残っていて、なぜだか助けなくてはならない、という気持ちでもあれば良かったのですが・・・
#人類が滅びたのなら、先祖も遺伝子もないか・・・
ま、そうなると、フィーニスが元に戻るきっかけがレオボルトにせざるを得ず、ありきたりのプロットになるし、リンの存在が不要になるのですが・・・
確かに、難しいですね!(笑)
ギャグシーンが・・・
前半のリンパートのギャグシーンは、フィーニスパートとはとても対称的に見えて意味がありました。
が、8話以降は話が重くなりシリアスな内容になったのに、リンパートは相変わらずのギャグ・・・
終盤はギャグシーンを見る度にしらけてしまいました・・・
勿体ない。
おわりに (『LOST SONG』とは)
色々書きましたが、ミュージカル、王道ファンタジー、終盤はSF的考察も楽しめる作品。
前半もう少しだけ詰めて、終盤、物語の構造が分かってからの話をもっとじっくり見たかったです。
それでも、終盤は秀逸でした(ギャグシーン除く)。
フィーニスが繰り返す歴史、リンが見る若い祖父ちゃんが赤子のリンを見つけるシーン(ここ最高でした!!)、祖父ちゃんとメルのシーン・・・
そして最終話。
謎の解明、伏線の回収、それぞれの想いの結実、最終話の王都で見事にカタルシスが。
全12話、完走後はとても良い余韻を残す作品でした。
突っ込み所ありますが、シビれる所もありますよ。
オススメです!
う~~ん。
掘り出しモノでした♪
これだからアニメはやめられない!