原作 |
ライトノベル |
ジャンル |
SF、オカルト |
放送情報 |
TVアニメ(2016年秋)/全12話 |
オススメ度 |
B+ |
ストーリー |
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設定 |
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世界観 |
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感情移入 |
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原作ライトノベル未読。
TV放送にて鑑賞。一気見。
あらすじ
舞台は吉祥寺。
オカルトがブームになっている世界。
主人公・我聞悠太(がもん ゆうた)は、ブログサイト「キリキリバサラ」のアクセス数を増やすために、オカルト超常現象を追いかけていた。
こんばんは。時文です。
オカルト寄りですが、ミステリー好きとしては放っておけない作品『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』感想レビューです。
いや、ここまで都市伝説、オカルト超常現象を描いた作品は見たことないですー
何というか、「ここまで描いていいの?」「え、こういうの触れない方がよいのでは??」というエピソードが(オカルト苦手でなければ)堪らない。
よくぞ、描いてくれました!
私自身恐いのは好きではないので、知らないことだらけで・・・なんか勉強になりました、ハイ。(笑)
ただ、ミステリー好きとしては、全体構成がーーー
でも、続編を見たい、いや、続編で、もっとディープな世界を見せて欲しいと願う作品ですね。
それだけポテンシャルを感じる作品でした。
それにしても、見るのに体力を使う作品でした。(汗)
ハイテンションな会話と、情報量過多、扱う題材がディープ。
PVを見てもよく分かるのではないでしょうか。
#2分弱のPVとは思えない程、情報量が多い・・・
TVアニメ「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」PV第1弾
アニプレックス
では、感想レビューをどうぞ。
はじめに
うーーん。
なかなかレビューが難しい作品です。
スタイリッシュでクールな映像と音楽、
テンポよく進むストーリーと会話劇、
都市伝説、オカルト超常現象にチョイネタではなく、真正面からがっつり取り組む姿勢、
都市伝説でよくある「陰謀論」もうまく取り入れ、
複数の事件を絡ませる脚本はお見事♪
ですが、同じ数だけ、引っかかる所もありました・・・
作画は時折、同じカットでの長回しがあり
⇒眠くなる
ノリが軽く、セリフは早口で息継ぎがなく
⇒聞き取りにくい
無駄な会話や動作も多く
⇒本筋と関係のない雑音が多い
都市伝説やオカルト話が中心となり、事件を追いかけていない
⇒核心に迫らずイライラする
とても多い情報量と複雑な人間関係を、うまく絡ませ、ストーリーを進める中で、隙間なく関連情報を小出しにする構成は驚嘆です!
が、逆にとても早いペースで、大量の情報が流れ込んでくるので、見ていて”とても疲れます”。
“もう一度見たい”とは”思わない”ほど ・・・
それでも、オカルト超常現象にこれだけ科学的見解(仮説)をつけて、実際にありえるのではないか?と思うほど説得力をつけるのは上手いし、そこに本物の(人の手による)事件を織り交ぜる脚本は秀逸でした。
私は超能力関連は好きなのですが、オカルトと都市伝説は知識がなかったので、勉強になりました(笑)
ミステリー&オカルトに興味ある方は一見の価値があるのでは。
#ただし、本当に、見づらいですから、ご覚悟を!
#グロいシーンも半端ないです!!
キャラクターが好きになれない・・・
私は実は作品に感情移入できなくて・・・
一番の原因はキャラクターのノリですね。
無駄にハイテンションで、オーバーアクション・・・
その上、先に書いた通り、早口で息継ぎなしのセリフが多用。
登場人物も多く、視点は三人称視点。
おまけに時系列も前後し、その上カットの切り替えが早く、
キャラ、視点、時間が変わるシーンが次々と繰り広げられます・・・
#おまけに、専門用語も出てくるので、まあ見ていて疲れます ^^
せっかく内容はシリアスなのに、話が軽く見えてしまうのですよね・・・
で、極めつけは主人公・我聞悠太がヘッポコなので、好きになれないのです ><
ま、ラストは嫌いではないですが・・・
これから見る方へ
この作品、結構当たり前のように専門用語が出てきます。
全てを理解する必要はないが、重要なキーワードだったら意味を知りたい。
そんな方にオススメなのが、公式HPの解説。
公式HPの「ストーリー」に、その話数で出たキーワードの説明があります。
更に予備知識として知っておくとより楽しめるかも
作品内には、実在した科学者ニコラ・テスラの名前が出てきます。
次の事を知っているとより楽しめると思います。
ニコラ・テスラ(1856-1943) 発明家
・発明家エジソンと同じ時代を生きた。テスラはエジソンの会社で勤務経験もあり。
・エジソンは直流電流、テスラは交流電流でよく対立していた。
・テスラは「世界システム」を考案
世界システムとは、電磁波を用いた無線送電計画。
つまり、電磁波を使って、離れたところへ”電気”を供給するシステム。
実際にアメリカニューヨーク州に「ウォーデンクリフ・タワー」を建設し送電実験を行った。
が、歴史的には(恐らく)コストと安定性の観点から
有線(銅線)を使った電力供給システムが我々の生活に浸透した。
・生涯独身だったが、長身でハンサムだったため、いくつも恋の噂はあった。
レビュー(以降、ネタバレ全開です)
面白いのですけど、感情移入できませんでした・・・
私には合わなかったのかもしれません。
先に記載したキャラクターのノリ以外にあと2つの理由で引っかかりました。
ネタバレあり
1.ストーリー構成と事件の真相の見せ方のまずさ
2.せっかくの”ちょい”能力(ちょっとした能力のことです)が出番なし
1.ストーリー構成と事件の真相の見せ方のまずさ
本作では、全体を通じてニゴロ事件と言う終盤まで描かれる大事件を描いています。
橋上教授の殺人事件から始まり、井の頭公園での集団自殺。
※ニゴロ事件:井の頭公園で256人の水死体が発見された事件
中盤は、ニゴロ事件(つまりMMG)とは”直接”関係のない事件
紅ノ館の黒魔術代行業・紅ノ亞里亞、同人漫画家・西園梨々花、全身真っ白の少年のコトリバコ事件を追いかけるエピソードが続きます。
一応、ニゴロ事件に関係する”ヒント”を得る事ができるのですが、直接関連はなく、あくまでヒントなのです。
事件の組み立ては斬新だが、核心に近づけずイライラする・・・
ヒントしか得ないと言っても、作品全体を通じ、
徐々にMMGの存在、何をたくらんでいるのか、「新・世界システム」の正体、
に繋がるヒントを小出しにしていく絡み合った展開はお見事で、
とんでもない脚本だということは分かります。
ですが、私には悪い方に気になってしまいました。
中盤からMMGという存在が明らかになり、黒幕ははっきり示されています。
にも関わらず、主人公たちは同人漫画家を探したり、川畑千津の捜索をしたりしているのです。
もちろん、両方大事な事件で、特に川畑千津の捜索は重要なのは分かります。
#ストーリー構成のまずさを言っています。
でも、見ている側にとっては(少なくとも私にとっては)、核心と違うところで奮闘しており、イライラするのです。
#さらに主人公・我聞悠太と刑事・森塚駿のキャラクターで余計にイライラ ^^
要は、この手の展開をするなら、
MMGの存在をもっと先まで隠し、終盤に出すとか、
こんなに堂々と出すのではなく、もっと伏せながら見せるとか、
で、黒幕の存在が分からず、とにかく少ない手がかりを追いかけ、
紆余曲折して、真相にたどり着くというのであれば、感情移入できるのですが・・・
主人公、FBI、警察の無能さにイライラしてしまい感情移入できないのです。
早々に黒幕の正体を画面へ出し、
黒幕が着々と計画を進める姿を見せると同時に、
霊体、霊界についての解釈を講じているのでしょうが・・・
ミステリーとしては、盛り上がりに欠ける構成ですね。
#ミステリー、サスペンス要素よりも、
#オカルト超常現象に重きを置いているのかもしれませんね。
2.せっかくの”ちょい”能力が出番なし
我聞の特異体質、サライと澄風の知識と推理力、森塚刑事の刑事のスキル、鬼崎あすなのサイコメトリー。
これらは活用されていましたが、せっかく他にも能力、それこそちょっとした超能力、”ちょい”能力があるのに活用しないなんて!!
一番残念なのは相川実優羽の予知能力!!
1話で言っていた「僕(我聞)と一緒にいると未来が開ける」は
我聞達と一緒にいることで命が救われるという予知なのですよね?
川畑千津を予知したとき「ことり」が見えたのは「鳥」のことではなく
「ことりばこ」の危険を予知していたのですよね??(予知映像を見たかった)
予知能力は本物なのだから、もっと事件解決、誰かを探す時に使って欲しかった!!
亞里亞の能力(実質、日下部の幽体離脱ですが)も、「時間の進み具合の差」
という重要な情報を与えてはくれたが、事件解決には関わらず・・・
西園梨々花の予知?予言?能力も能動的には使われなかった・・・
ま、ミステリアスな存在感はありましたが。
#最後の天使の絵は、我聞が府中へ向かった時のことを予知したのでしょうね。
我聞だって、体質は活用したが、
せっかく「キリキリバサラ」というブログを開設しているのだから、
ブログを活用して何かして欲しかった~~!!
#ブロガーの叫び?(笑)
ラストの解決方法も勿体ない!!
我聞が生き返らないのは、それはそれでありだと思いますが、
ラストがもうひと盛り上がり欲しかったです。
ラストは、てっきり生き返ったサライ達が
幽霊ではなく「人間の身体で」我聞を助けに来るのだと思ってました!!
6日後に我聞達がアンテナ破壊を計画していることは知っていたのだから、
6日間準備万端にして、ここぞとばかりに助けに来る!
もしくは、我聞の遺体を引き揚げて、
計画が実行される(と思っていた)10.5日後、つまり10分30秒後に蘇生措置をするとか!!
#1分じゃ無理か・・・
せっかく個性的なキャラクターが揃い
その上オカルトチックな能力を持っているのに、
それを生かさないなんて・・・勿体ない!!と思ったわけです。
上記以外は面白い!!
すいません、ウダウダと書きましたが、個別のエピソードはとても面白く、
「ことりばこ」のエピソードなんかはよくぞここまで生々しく描いてくれた!
と思いますし、強烈でした。
この作品、秀逸なのは、真実、事実から目を逸らす描写が上手いですね。
3/1の描き方は特に秀逸です。
主人公たちは死に、幽霊になった認識がなく生活をする様子が絶妙です。
#数日間も自分が幽霊だと気付かないのは、ちょっとどうかと思いますが ^^
「月刊ムムー」記者・澄風桐子の編集部でのやりとりは、
“間がおかしい”とは感じましたが、見えてないとは気づきませんでした。
#編集部は、とんでもない事件(ニゴロ事件)が起き、ショックもあり、
#澄風のことをかまっていられず、無視をしているのだと思ってました。
#特に最後の「とりあえず澄風探してこい!」でだまされました。
#「とりあえず澄風、(目撃者を)探してこい!」ではなくて、
#「とりあえず、澄風(を)探してこい!」だったのですね。上手い!
事件もオカルトブームに乗っかって、超常現象に見せるように仕向ける案が秀逸。
256人もの被験者を処分するのに、堂々と池へ入水させるとは!!
大胆なやり方すぎて、(実現が不可能で)殺人事件に見えないのです!!
ま、疑問としては、携帯を使った洗脳は明示されていましたが、
どこにいるのか分からない256人もの人数を一つの池に集め、
ほぼ同時刻に入水させたことですが・・・
#吉祥寺から離れている人もいたでしょう。
#到着時間を計算し時間差で電話をしたのか、(その場合は位置情報を把握?)
#集まるまで、どこかで待機してたのか・・・
#256人も動いて、目撃者一人ですしね。素晴らしい犯罪スキルです(笑)
#ま、野暮な突っ込みは置いといて。
あと、MMGはその後どうなったのでしょう。
尊守は永遠の命を得ることはできなかったようですが、
あれだけの殺人を行っておいて、お咎めなしのように見えたのですが・・・
橋上教授殺人の犯人は捕まりましたが、ニゴロ事件は未解決のままなのでしょうか??
もう少しスッキリしたかったのですが。
『オカルティック・ナイン』の意味
タイトルの意味はそういうことだったのですね ^^
てっきり、『オカルトな9人』の意味だと思ってました ><
個性的ではあるけど、全員が特殊能力を持っているわけではないなーー
と思いながら見てました。
『オカルトな9日間(分間)』『不思議な9日間(分間)』という感じですかね。
最初から日付が示されていたので、日付は意識はしていたのですが、
時系列を分かりやすくするためのものだと思ってました。
実はカウントダウンだったということですね。
こういうところも上手い♪
おわりに (『オカルティック・ナイン』とは)
スッキリしないこと、勿体ないと思うことは多いが、楽しめる♪
なかなか不思議な作品でした。
レビューもきれいにまとめることができず、申し訳ございません。
取り繕うことなく、ウソ偽りない思いを書いた結果です。
とにかく、“良い所”と”悪い所”が「両方とも突出」!!
独特の味を出している作品でした。
キレイな終わり方をしましたが、まだまだ謎は残ってます。
連載も続いているようなので、ぜひ、続編見たいですね。
また、原作を読んでみたい作品が増えました。(時間が・・・)