からかい上手の高木さん

TVアニメ【からかい上手の高木さん】1~12話(最終話) 感想レビュー 毎日からかわれてるってことは、そりゃあ・・・

からかい上手の高木さん
オススメ度 B-
原作 コミック
ジャンル ラブコメディ、学園、日常
放送情報 TVアニメ(2018年冬)/全12話
ストーリー
設定
世界観
感情移入

原作コミック未読。
TV放送にて鑑賞。

あらすじ

舞台は現代のとある中学校。

中学1年生の西片(にしかた・主人公)は隣の席の高木さんにいつもからかわれている。
今日こそは、高木さんをからかってやると、意気込むのだが・・・

西片高木さんの、からかい半分、恋愛半分のラブコメディ。

こんばんは。時文です。
TVアニメ『からかい上手の高木さん(1期)』最終話まで観賞しました。

原作は『ゲッサン』で現在も連載中の少年漫画。
原作コミックは現在11巻まで刊行。(2019年8月時点)

アニメは、飛ばされたり、先のエピソードが盛り込まれたりはしてますが、概ね5巻までの内容が軸となってます。

見ていると、こっちが恥ずかしくなるほど、中学生思春期ラブコメ。
私は序盤で断念しかけましたが、意図が見えると楽しみに、終盤はグッと来る展開に。

ラブコメ嫌いでなければ、楽しめると思います。

では、TVアニメ『からかい上手の高木さん(1期)』感想レビューをどうぞ。

  • 「はじめに」は【ネタバレなし】
  • 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】

はじめに

現在、2期も放送中の『からかい上手の高木さん』。

ヒロインの高木さんは、成績優秀でスポーツ万能、そして、からかい上手。
主人公の西片は、ちょっと子どもっぽく、素直で感情が表に出やすい。

二人は中学一年生。
現実世界でも中学生だと女子の方が精神年齢が高く、身長も大きかったりすることも。
男子は遊びや下らないことに夢中で、恋愛話は恥ずかしい年頃。

そんな中学生女子を少し大人っぽく冷静にしたのが、高木さん。
男子は意外と等身大な感じの、西片。

そんな女子が男子をからかってしまうのは自然な流れか。

同じ設定でも、よくあるのは普段は男子同士で遊んでて、時折女子にからかわれたりするパターン。

が、『からかい上手の高木さん』は違う。

他の生徒はどこへ行ったのかと思うほど、二人だけの世界(笑)。

完全に二人だけにフォーカスして、延々と話が続くのだ。

これは新しいセカイ系?(←違います)

二人以外のキャラクターは出てくるのですが、それは別エピソードとして。
二人と他のキャラが絡むシーンを極力出さない。
#二人とも、孤立しているわけでなく、普通に同姓の友達がいます。

他に友達もいる高木さんと西片。
それぞれ普通に中学生生活を送っている二人が「二人だけの時」を切り取った構成になってます。

奇抜というか、かなりの制限をかけた舞台設定。

なにせ、序盤は教室で隣り合った席の二人のやりとり延々と続くのですから。
正直、脱落しかけました(笑)。

が、2期ができるほど根強い人気だと聞いていたので、これは途中から面白くなるのではないのか!?
と、少し我慢して(すいません)見続ける。
一気に見るのではなく、1~2話ずつ、見てられないと思ったら、1話の途中でも止めて、次の日に見る・・・

すると中盤くらいになると気付きます。
高木さんは西片を、ただからかっているのではない、と。

そうなると、高木さんの本心を探ろうと、私の分析魂に火が付きました(笑)。

  • 高木さんの言葉の裏には?
  • 高木さんの「からかい」の真の狙いは?
  • 高木さんは西片に何をしてもらいたい?
  • 高木さん自身が何をしたい?

タイトル通り、確かに高木さんは西片をからかってばかりいる。
が、決して相手が傷付くような事は言わないし、西片が元気ないときは何もせず、落ち込むとすぐさまフォローする。

冷たいようでいて、とても相手を気遣っている。
#それに気付いてない西片がこれまた面白い。

展開も、お互い決して、相手が傷付くようなことは言わないし、からかわれた方も逆上したりしない、ギリギリの所で展開しているのが上手い。

だから見ていて嫌な気分にはならない。
#見ているこっちが恥ずかしくなるシーンは多々ありますが・・・

同じような展開が続くのが堪えられない、という方はいらっしゃるかも。
実際に私がそうでしたから・・・

だけど、中盤くらいから、唐突に来るジャブ。
終盤はストレートパンチもあるので、ラブコメ嫌いでなければ、最後まで見ることをオススメします。

そうそう、この作品は、すぐにお腹一杯になるので、一気見はオススメしません。
チビチビ見るのが良いですよ♪

TVアニメ『からかい上手の高木さん』PV第2弾
TOHO animation チャンネル

感想レビュー (以降、ネタバレありです)

プロットとテーマ

大きな事件やトラブルはなく、普通の中学生の日常が描かれる。
なので、あまりストーリーはないように見えます。
が、プロットはしっかりとあり、少しずつ進んでいます。

※私は原作未読です。アニメ1期のみの所感です。

からかい上手の高木さん』のプロット

成績優秀でスポーツ万能な高木さんと、まだまだ子供で思った事がすぐに顔に出る西片。
二人は中学一年生のクラスメイトで隣の席。

高木さんは、西片をからかいその反応を見るのを楽しんでいる。
西片は高木さんに仕返しをしようとするが、いつも返り討ちに遭う始末。

実は高木さん、西片のことが大好きで、西片に気持ちを伝えたい一方、恋愛に関しては恥ずかしがり屋。
だから、西片への気持ちは、からかいの中で表現していく。
周りも高木さんが西片を好きなことは薄々気付いている。

当の本人である西片は、単にからかうのが楽しくてやっていると全面否定。

毎日のようにからかわれているうちに、次第に西片は、高木さんの気持ち、そして自分の気持ちに気付いていく。
二人の距離が少しずつ縮まっていく。
そんな物語。

という感じでしょうか。

ポイントは、実は高木さん、1話から西片のことがメチャクチャ好きだと言う事。

作品は西片主観で描かれており、人前で本心を出さない高木さんは、西片をからかっているだけにしか見えない。

では、西片と”すぐにでも”付き合いたいかと言うと、そこまでは思ってはいないかも。
いつでも話せ、時折一緒に登下校できる今の距離感で満足している様子。
#習字「現状維持」より(2話)
が、カップルを見ると羨ましいし、学校が休みの夏休みとかは、毎日会える口実を作ったりする。

この辺の想いがにじみ出ている描写は、見ているこっちが恥ずかしくなるほど、いじらしい。

テーマはもちろん「恋愛」

高木さんが持っている、西片への恋愛感情。

これを普通の恋愛モノのようにストレートに表現するのではなく、「からかい」の中に織り交ぜる。

高木さんは、恥ずかしがり屋。
西片を「からかう」のは平気だが、「恋愛」の話になると実は超奥手。

だから、高木さんは自分のしたいこと、言いたいことを「からかい」に紛れ込ませて言ってます。

単に「からかう」のが上手いわけではない。
「からかい」の中で、相手の好みを聞き出し、性格や、普段考えていることを確認し、自分の気持ちを少しずつ伝え、相手の気持ちを少しずつ確かめていく──

ここまでやっているからこそ、”からかい上手”なわけですね。

西片を丸裸にする高木さん

高木さん目線で語られないのでよく分かりませんが、高木さんは西片のどこを気に入ったのか?
はっきり言えるのは、高木さんは、西片をからかっている内に人となりを知ったということ。

「からかい」は相手の反応を見るいい手段。
からかわれるとその人の本性が出てきます。
特に西片のような感情が表に出やすいタイプはそうでしょう。

高木さんは「からかう」ことを通じて西片の内面を見てきたのではないでしょうか。
中学生なので意識してないでしょうが、「”人間性”を見極める」ってやつですね。

西片はからかわれて怒りはするが、決して、高木さんを完全無視したり、いじわるしたり、高木さんの悪口を友達に言ったりもしない。
ましてや暴力なんて絶対に。

西片はやさしく、正直。
かと言って、高木さんにからかわれ続け、いじけても、すぐに復活し凝りもせず高木さんに向かって行く根性と男気はある。
そして、いくら悔しいからと言って、高木さんに逸脱したことはしない。

一方、高木さんは高木さんで、西片の心が折れたり、本当に嫌がることはしない。

少女漫画「100%片思い」を好きなこと、猫が好きなこと、恐がりなところ。
これらを高木さんは”軽く”からかったりはしますが、傷口をえぐることはしない、
ましてや他の友達に言ったりもしてない様子。

この辺のさじ加減が絶妙で、西片も(見ている側も)高木さんを嫌いにならない。
ちゃんと愛情があり、自分さえ良ければいいではなく、相手を気遣い、男心も分かっているのです。

西片によると、高木さんは日に何十回もからかっている。
#数えているのが凄い(笑)

何十回も、かつ、これだけ意図を持ってからかえば、高木さんにとって、西片の内面は丸裸でしょう。

高木さんが西片のどこを気に入ったのかは分かりませんが、全てを知った上で、好きになったのは確かなようです。

注目させ上手の高木さん

高木さんが西片を毎日からかうことにより、西片はずっと仕返しを考える。
つまり西片は高木さんのことを毎日考えているのです。

恋愛初期段階で難しいのは、自分の事を知ってもらうこと。
認識してもらえなければ、自分の事もアピールすらできない。
アピールできなければ、気になる存在になれない。

特に中学生成り立ての男子は恋愛に興味がないので、恋愛対象として女子を見ない。

高木さんはからかうことにより、西片が自分の方へ向き、考え、頭の中での存在感を高めているのです。

この頃の男子なんて、確かにカワイイ子や活発な子にも目を奪われますが、接点が多い子を好きになることも多い。
#データはありません(笑)。

アプローチ上手の高木さん

タイトル『からかい上手の高木さん』の通り、高木さんは西片をからかって楽しんでいるだけに見えますが、それは最初だけ。

次第に高木さんは自分がしたいことにさりげなく誘導していることが分かってきます。
高木さんは、ツンデレでも冷たいのでもなく、恋愛に関して恥ずかしがり屋ということ。

だから、恋愛関連ではストレートな表現をせず、「からかい」に絡ませたり、「からかい」の延長線上で言う

西片が日直の時、「からかう」と見せかけ、二人の時間を作る。(1話)
プールで西片が見学の時、寂しいからと仮病を使ってまで、「からかう=二人の」時間を作る(2話)

さらに、高木さんは自分がしたいことに西片を誘導していきます。

西片に「あいしてる」と言わせようと忘れたフリをする(3話)。
西片に秘密を教えると言って「好きだよ」と言う(5話)。
が、すぐに「ウソ」と否定。

この頃は、まだ、西片が自分の事が気になってはいるが、恋愛感情になってないと気付き、かわす。

その後の、持って行き方は、お見事でした。

まずは西片と一緒にいる時間を増やそうとします
賭けで勝つと、寄り道(5話)、買い物(7話)。

明らかなのが、夏休み中に自転車二人乗りの練習をするように仕向ける。
これで、夏休みでも毎日会えるように(6話)。
これは上手い!

西片がイヤなら断るし、約束しても途中で来なくなったりするだろう。
が、西片は夏休み最後まで付き合った。
西片は約束を守る、というのもあるでしょうが。

終盤10話から高木さんの恋愛モードが「探り」から「攻め」に変わります
きっかけは、友達から付き合っていると聞かれたからか!?

西片に一緒に帰ろうと”早い時間帯に”誘う。
(例え、からかう為とは言え)西片は自分と一緒に帰る事を優先。

ここで、高木さんは確信を得た笑みを浮かべる──

西片が二択クイズ(究極の選択)をふっかけてきたのをきっかけに、ここぞとばかりに西片の気持ちを探る。(10話)

T:おいしい方を飲んで、熱が出たら、西片はお見舞いに来てくれる?
(中略)
N:そりゃあー熱が出たら、お見舞いには行く・・・かも。
T:じゃあ、おいしい方。
N:─あれ? (中略) 高木さん全然困ってないなじゃないか。

by 『からかい上手の高木さん』10話

おいおいおい、西片君気付きなさい(笑)。
西片が見舞いに来てくれれば熱が出ても良いと言っているのですよ。
完全に好意があることを示してます。

高木さんは少しずつ西片の自分への気持ちを確認。

「私がいなくなっちゃう」のと「一生私にからかわれ続ける」のどっちがいい?

by 『からかい上手の高木さん』10話

上手いですねーー

11話では、恋占いで良い結果が出たので、占いが当たるかどうかをジャンケンで試す。
ジャンケンの結果を逆に使うのが秀逸。

同じく11話のラストではとうとう西片にクリティカルヒットが。
実は、西片が気持ちを正直に言えば、高木さんを恥ずかしがらせることができるのに、それには気付かない。

このくだりへの持って行き方がとても自然でずば抜けていた。
正直、ここまでは大抵オチが読めたのですが、ここと最終12話ラストだけは読めなかった。
それに加え、高木さんの口の演技と自転車の漕ぎ方は最高でしたね。
最終12話ラストの高木さんの喜びようも良い結び。
#ラストは下記動画で見ることができます

西片が見てない所で、しっかり高木さんを恥ずかしがらせてます。

二人の距離は確実に縮まりました。

TVアニメ『からかい上手の高木さん』ノンクレジットED「出逢った頃のように」/高木さん(CV:高橋李依)
TOHO animation チャンネル

西片と似ている高木さん

恋愛とは関係ないですが、なかなか人前ではできないことを「からかい」交えてやるのも上手い!

台風の時、手を上げ、叫ぶ。

ハハハハハ~
風よもっと吹け~~

我は今、風を起こしているぞ~

我は今、世界を総べる風の王なり!
校舎を世界の彼方に吹き飛ばしてくれる!

by 高木さん 『からかい上手の高木さん』8話

西片をからかっている風でやってますが・・・

これは、明らかに、”高木さんがやりたかった”んですよね?

西片同様、高木さん自身が、台風でテンション高くなり、こんなことをやりたかったのでしょう。
西片をからかうという形で、西片の前で堂々とやる方向へ持って行っているのが巧み!

この二人、意外と似た者同士?
好きな物、価値観は似ているのかもしれないですね。

いつから西片のことを?高木さん

では高木さんは一体いつから西片のことを好きなのでしょう。

はっきりとは描かれてませんが、1話から西片のことを好きでした。
好きになるキッカケは最終話で放送された入学式の時だと思われます。

自分が落としたハンカチを、遅刻するにも関わらず、拾って届けてくれた西片の優しさに好意を寄せたのでしょう。

この頃の男子は見栄っ張りで恥をかきたくない。
ましてや、中学初日で、クラスは知らない生徒だらけ。
そんな時は、変に目立つ行動は避けたいのに、遅れると分かっていてもハンカチを落とした人が困っているだろうと職員室へ届ける西片。

その西片の優しさに高木さんも気付き、また、遅刻の理由を当てたときの西片の反応にツボにハマる。

1話が始まった時期が、入学式からどれだけ月日が経ったのかは分かりません。
が、クラスも、二人もかなり打ち解け合っている様子。

TVアニメ1期では西片が高木さんのことを「負けたくない」⇒「気になる」⇒「好きな子」になる過程が描かれたということか。

高木さんが西片のことを好きになる過程も見てみたいですね。

おわりに (『からかい上手の高木さん』とは)

こうして見ると、ただ単に「からかい上手」なのではなく、西片へのアプローチを巧みに「からかい」に混ぜている高木さんはかなりの手練手管。

中高生の恋愛には役立つか。
いや、大人にだって使えるテクニックが盛り沢山。
なんたって、意図を悟らせずに、思い通りに相手を動かしているのですから。

ただ気を付けないと、「からかい」はやり過ぎると軽い、行き過ぎると性格悪い、とみなされます。

くれぐれも自己責任で。
#なんのこっちゃ(笑)

さあて、中盤までは、同じような展開で読みやすく退屈だったのですが、終盤高木さんの本心がチラチラ見えだしてくると次が楽しみになってきました。

2期も放送されていることですし、今後が楽しみです。

ではでは。

きょうのひとこと

そう言えば、中学生時代の席って大事だったな・・・(遠い目)

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