オススメ度 | C |
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原作 | コミック |
ジャンル | スポーツ |
放送情報 | TVアニメ(2020年春)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
原作コミック未読。
TV放送録画にて鑑賞。一気見。
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『球詠』最終話まで鑑賞しました。
原作は『まんがタイムきららフォワード』で現在も連載中のストーリー漫画。
『まんがタイムきららフォワード』は他のきらら系雑誌と違いストーリー漫画で構成。
#他のきらら系雑誌は4コマ漫画です。
「きらら系」と聞いて、ゆるふわ、キャラ萌えかと想像していたのですが、いい意味で裏切られました。
原作は8巻まで刊行。(アニメ放送時)
1巻から6巻までの内容が今回アニメ化されています。
では、TVアニメ『球詠』感想レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
- 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
目次
はじめに
うーーん、終盤面白くなりますが何かと惜しい作品です。
でも、私は応援したくて取り上げることにしました。
作画や演出等残念な点は確かにありますが、作品の根底にある前向きで明るい作風は、しっかり「きらら」してます。
私の数少ないきらら鑑賞歴でも、きららでストーリー物スポーツ系と聞けば「根っからの悪人はいない」「汗はかくが汗臭くはない」「とにかくポジティブ」。
それらを踏襲しているので安心して見ていられます。
誰かを本気で憎んだり妬んだりせず、困難や挫折があっても前向きに捉え乗り越えていく。
努力し頑張っていれば仲間が応えてくれる。
負けた側も、敗因を噛みしめ、次に繋げる。
熱量や方法の違いはあれど、本気で”好きなこと”をやる女子達の物語。
本格スポーツ物として見ると物足りないと思うかもしれませんが、野球もの導入としてオススメです。
というか、それが「きらら」らしさではないでしょうか。
・・・・・
展開は、野球ものの王道展開。
中学時代、野球を本気でやる仲間に恵まれなかった主人公が、高校野球で仲間と共に成長する物語。
この手の本格スポーツ物、とくに野球などのチームスポーツは1クールでは尺が足りず、選手の深掘りと練習が大部分を占めて終わるか、試合を描いても中途半端な所で終わってしまうことも多々あり。
『球詠』はテンポ良く進み、キャラ掘り下げ、友情、練習、そして試合とバランス良く描いてます。
特に公式試合の1試合1試合を、それほど省略することなく描いているのは珍しいのではないでしょうか。
特徴的なのは、相手の技術や性格から次の手を読んで戦略を組み試合を進めること。
#ここにタイトル『球詠』の意味が込められているのでしょう。
試合前、相手チームの偵察と戦力分析からの作戦。
試合中、バッテリーと打者の駆け引き、ベンチからの作戦指示。
試合の流れに、観客との空気感に選手へのプレッシャーをも考慮。
途中、主人公はエースの詠深(よみ)じゃないのでは?と思う程(苦笑)。
野球技術や試合運びはリアルに描かれます。
それだけに、現実にはありえない設定に引っかかったりもするのが難しい所です。
・・・・・
部員は皆、前向きでポジティブ。
重すぎるトラウマや挫折もなく、周りに助けられ、負けても明るい。
それに、とにかく楽しそう!
「野球を舐めるな!」と叱られそうですが(苦笑)。
これが「きらら」風、野球ものではないでしょうか。
「きらら」作品だけに作画に期待される方も多いので言いづらいですが、作画を気にせず楽しみましょう!
avex pictures
感想レビュー (以降、ネタバレありです)
『球詠』ストーリー概要
舞台は、埼玉県越谷市、新越谷高校野球部。
新越谷高校はかつて女子高校野球強豪校だったが、不祥事により活動自粛。
部員も形だけの2名だった。
主人公、武田詠深(たけだ よみ)は、高校で野球をするつもりはなかったが、幼馴染みの山崎珠姫(やまざき たまき)、クラスメイトの川口芳乃(かわぐち よしの)、川口 息吹(かわぐち いぶき)と出会い再び野球熱が高まってくる。
序盤は、廃部同然になっていた新越谷高校野球部を復活させる王道展開。
詠深は制服がカワイイからと選び、珠姫は中学時代の勝敗至上主義に疑問があり野球から距離を置いた。
芳乃は野球の知識はあったが、自身は運動オンチ?
希は親の都合で引っ越し、すぐに強豪校へ転校するつもりだった。
白菊は野球初心者だが、剣道では全国優勝の実力を持つ。
野球部が活躍してないのに、ポテンシャルの高い野球経験者が集まったのはお約束(笑)。
それでも、異ジャンルの一点突破の部員を組み合わせ、強豪と張り合えるチームになるのでは?という展開は期待が高まります!
中盤は、選手一人一人にスポットを当てながら、練習試合もありチームとして熟成されていく。
後半は、全国大会へ向けた地区大会。
初戦の影森は、データがなく、なぜロースコア展開しているのか分からなかったが、面白いのがその理由!
仲間内でやる野球が楽しいから、できるだけ早く試合を終わらせる!?
スピーディな試合展開をしていたら、相手に流れを掴ませない強みになったというアイデアが上手し!
「勝負するなら勝ちにこだわれ」と言いたいが、女子チームなら、なんかありそうで納得(笑)。
実際、それで勝ってきたのだから文句なし。
それでも、負けた後は悔しがるから真剣だったとフォローしているのが巧み。
原作では、詠深は「早く帰りたい」という考えに共感もしている。
#大体、詠深が中学時代にいた部はもっとやる気がなかったのだから
対する新越谷が、息吹の真似アンダースローで相手チームを揺さぶるのも面白い!
そして、2回戦の梁幽館の横綱野球。
最終回(12話)、希のホームランは、きちんと伏線もあり、そのために芳乃をスランプにさせてたのではないかと思うほど熱かった!
詠深と珠姫のバッテリーコンビだけではなく、芳乃と希の参謀と主力バッターコンビにもフォーカス。
これら二組だけでなく、主要キャラクターは皆、自分の為ではなく、”誰かのため”にプレーする思いが心地よかった。
また、試合を1試合1試合、1球1球ここまで丁寧に描いているのは珍しいのではないでしょうか。
「きらら」らしい「if設定」の野球もの
女子高校野球を舞台にした野球もの。
作品内では誰でもやるほどではないが充分メジャーなスポーツのよう。
中学から女子野球部は存在し全国大会まで開催。
地域のクラブチームもあり、2年生の怜と理沙は野球部が活動自粛中、そこで野球を続けていた。
埼玉地区大会には何十校も出場し、雑誌は女子野球が特集されるほど!?
(おそらく)男子なみに、女子でも野球が盛んな「if」設定。
「きらら」作品らしい設定です。
「きらら」作品らしい設定は、その他にも──
- ユニフォームがショートパンツ
- 長髪でのプレー
きららで野球ものをするからには、きららの世界観を壊してはいけない。
本格野球ものからすると、ありえない設定ですが、そこはきららの世界観を重視したのでしょう。
え?本格スポーツ物を描いているのに、そんなの非現実的ですって?
そんなことを言い出したら、女性しかいないこと自体が”非現実的”ですね(苦笑)。
女子だけの世界を受けいれているのですから、これ位の設定は許容範囲でしょう。
「きらら」らしくない?「本格野球」
「きらら」らしい「ゆるふわ」は一切なし。
女子同士の信頼関係と友情はありますが、私は百合とまで感じず気にせず見ることができました。
最初は、初心者がいるので、草野球レベルの試合になるのかと思っていたのですが、あれよあれよという間に強豪校と張り合うほどに。
いや、正確に言いましょう。
個々人を見ると、まだとても強豪校とは比べられないのですが、バッテリーと内野守備といった要所を経験者で固め、攻撃も打が続くよう采配しています。
その戦略を立てているのが、戦略マネージャーの芳乃!
途中から、私は彼女が主役なのでは?と思いながら見てました(笑)。
主役の詠深の変化球が特徴のチームに見えますが、個々の特徴を活かした全員野球が新生・新越谷の強さ。
芳乃の采配と指示、それを理解し自分の役割を実行するチームメートが、強さの源。
決して、エース詠深だけのチームにしないのが上手いですね。
特に芳乃の采配が当たったのは、地区大会初戦のスピーディ影森!
姉にアンダースローを真似させて相手チームのペースを乱した作戦はイヤらしいですがお見事!
2回戦の強豪梁幽館と堂々渡り合えたのも、詠深を温存&データを取らせなかったことが最後まで試合をもつれさせることができ勝利を引き寄せたのですから。
本格にすればするほど地味になってしまう野球もの。
堅実に練習と技術を積み上げ作戦を練り上げ、素人もいる新生チームで強豪校に勝つ奇跡を納得感ある試合運びにしたのはお見事でした!
「きらら」らしくない「キャラデザ」
一方、キャラクターデザインは、(きららだけに)ゆるふわでもなく、せっかく女子onlyにしているのに、ちと残念(苦笑)。
#可愛くないとは言いませんが・・・
試合中の体の動きはリアル過ぎる位よく動いてましたが、体のバランスが「きらら」どころか「アニメ」らしくなかったです(苦笑)。
守備の動きは滑らかですが、躍動感がないというか・・・迫力がないというか・・・
せっかくのアニメなのだから、アニメ的デフォルメがあると思うのですが・・・
それに、ヘルメットや帽子を被ると、一部の特徴的なキャラクターを除いて髪の色でしか判断ができない・・・
原作が気になったので、チラ見してみると、かなり可愛い絵です。
なるほど、ちゃんと「きらら」してます。
それでいて、試合の決定的シーンになるとこの力の入りよう!
このレベルの作画がアニメで再現できていれば・・・
ただ、地区大会が始まってから、展開が気になり作画はさほど気にならず。(慣れた?)
特に、最終回の攻防は胸アツでした。
せめて試合シーンだけでも、このクオリティだったらと悔やまれます。
おわりに (『球詠』とは)
「きらら」系とは真逆の本格スポーツ物。
変化球や、強直球を投げる理屈や使いどころ。
しっかり相手の特徴を読み、練り上げていく戦略。
1球1球のバッテリーと打者の駆け引き。
エースだけのチームにせず、全員野球で挑むところ。
強豪相手に情報を隠して、油断と虚を突き食らいつく作戦。
堂々「本格」と言って良い内容だと思います。
本格的に描けば描くほど、「きらら」らしさでもある、女子only、長髪や生足でのプレイが引っかかり、盛り上げるべきシーンで盛り上がらない構成と演出(最終回は良かった)は本当に勿体ない・・・
新越谷高校の選手同様、アニメ化の仕方によっては秀作たり得るポテンシャルがあっただけに残念。
でも、野球が好き、この仲間とやる野球が楽しくて仕方ない、という気持ちは伝わりましたよ!
以上、TVアニメ『球詠』の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ではでは。
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