天気の子

アニメ映画【天気の子】感想レビュー あなたは「諦めの良い人」になってませんか?

天気の子
オススメ度 B+
原作 オリジナル
ジャンル ファンタジー
放送情報 アニメーション映画(2019年7月19日公開)/112分
ストーリー
設定
世界観
感情移入

劇場にて鑑賞。

あらすじ

舞台は2021年の東京。
数ヶ月晴れの日がなく雨が降り続いている。

家出して東京へやってきた高校1年生の森嶋帆高(もりしま ほだか/主人公)。
ある願いがきっかけで、晴れにする力を手に入れた天野陽菜(あまの ひな)。

身寄りのないままなんとか生活の糧を見つけていた少年少女。
二人は出会い、陽菜の不思議な力で商売をしようと考える。

こんばんは。時文です。
アニメ映画『天気の子』やっと鑑賞できました。

前作『君の名は。』ですっかりメジャー監督になってしまった新海誠監督の最新作。

普段は映画(アニメ)の話なんかしない会社の先輩方も『天気の子』は感想を聞きたがる(笑)

私は『君の名は。』公開前の今から4年程前に新海監督作品に触れ、その頃からずっとファンです。

君の名は。』はかなり一般受けにして新海監督らしくないと思ったけどとにかく楽しかった♪
が、今回は・・・これぞ新海節と言っていいのか!?

もちろん今回も、監督だけでなく原作、脚本も新海監督。

新作を期待される中、このような作品を出してきたのにまず驚き。
「スッキリしない」のは新海監督作品の常(笑)。
が、そっち方向でスッキリさせないとは・・・

何を言っているか分からないですよね。
まだ未見の方は、ぜひネタバレなしで楽しんで欲しいです。

でも、もう少し知りたい方は「はじめに」で少し踏み込むので参考にして下さい。

  • 「はじめに」は【ネタバレなし】
  • 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】

ではアニメ映画『天気の子』感想レビューをどうぞ。

はじめに

前提条件

最初に言っておきます。
私は新海監督のファンです。これまでの作品も欠かさず鑑賞済み。

でもファンだからと言って、私は無条件で肯定するタイプではありません。
他の作品との相対的な位置を参考にして欲しいので、評価軸も変えません。

当ブログでの評価軸は「ストーリー面」
それもエンターテイメントとして楽しめたかどうかで判断しています。

その辺を踏まえてお読み下さい。

必ず聞かれる問い(笑)

さて『天気の子』を見たと言ったら必ず聞かれる問いに、私がどう答えているかを先に書いておきます。

「面白かった?」と問われれば「面白いとは言えない
「楽しめた?」と聞かれれば「楽しめない部分も多かった

じゃあ「見ない方がいい?」と言われると全力で否定!

「興味あるなら見た方がいい!見る価値はある!

映像は細やかで美しい。
相変わらずの現実より綺麗に見せる画は息を飲む。
現時点のアニメ映画の最高峰の技術が味わえる。

RADWIMPSの音楽や歌詞、そしてセリフとのシンクロもさすが。
ぜひ映画館で「声と音と映像」に包まれて欲しい。

が、エンターテイメント作品としては、鑑賞後スッキリしないのだ。
色々考え込んでしまうタイプの映画。

新海監督があちこちで言っているので、ネタバレにはならないと思いますが・・・
作品内の登場人物が賛否両論の選択をする。
この辺を受け入れられるかで印象が変わってくる。

私の場合は、不愉快な思いが先に来てしまった。

これが架空の世界が舞台なら、”まだ”感情移入できたかもしれない

『天気の子』は2021年の東京。
それが実写のようなリアルさで描かれ、実写では見れない映像も描かれる。
アニメなのに、ファンタジーなのに、これは現実世界なのでは?と思ってしまう程、絵に説得力があるのだ。

そこで無謀な選択をされると、アニメだと言うことを忘れて、現実に引き戻される感覚に

結果、(私の場合)作品に感情移入ができなかったのです。

ストーリーが分かって見る2度目の鑑賞時は感想が違ってくるでしょう。
が、1度目の感想を素直に言うとこんな感じでした。

そこで終わらないのが新海監督作品!

ただ面白いのが、その不愉快な思いが”自分自身に向けられている”気が。

この作品は見ている人の”普段の行動について“突き付けるのです。

その選択は、それで良いのですか?
世の中に流され、妥協してませんか?
良い人になろうとして、無理してませんか?

自分の胸にグサグサ刺さる問題提議に感じるのです。

そして鑑賞後は誰かと話さずにはいられない。
それだけ心に訴える物があるのです。

だから”見る価値はある“のです!

ぜひ大切な人と、素直に話せる人と一緒にご覧下さい。
#私は鑑賞直後、連れと2時間語り合いました(笑)

さあ、あなたにとって大切なモノはなんですか?

映画『天気の子』予報②
東宝MOVIEチャンネル

感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)

帆高だけではない『天気の子』自体が常識破り

『君の名は。』が「陽」だとすると『天気の子』は「陰」。

『君の名は。』の瀧や三葉は悩みはありつつもリア充高校生。
『天気の子』の帆高と陽菜は事情により子ども達だけで生活を。
それでも他人に迷惑をかけず、ささやかな楽しみを見つけ生きていく。
しかしそんな子達を周りの大人は、助けるどころか間違っていると言わんばかりに、児童相談所や警察が動き出す。

物語の決着の仕方も真逆。
『君の名は。』では、三葉を助けることが村を救うことにも繋がった。
『天気の子』は、陽菜を救うと、環境が壊れる。

『君の名は。』では、巫女の伝統を初めはイヤイヤながらもまっとうし、その力が村を救うことに。
『天気の子』は、巫女の役目を知りながら、誰かが犠牲になる必要なんてないと示唆するような展開。

そして、物語の構成までも型破り。

通常、物語の構成は、何か問題がありそれを解決する方向へ進んでいく。

内容は様々だが、最初に比べ、最後はなんらかの成長、改善、解決がある。
#ホラーや問題提議を目的とする作品は違う場合もあり

その決着に向け視聴者は一喜一憂するのだ。

だが『天気の子』のラストシーンは天気(世界)については、解決どころか悪くなってしまう。
恐るべき展開。

ところが、主人公・帆高目線で見ると、これらは壮大な舞台装置であり、目的ではない

帆高の目的は陽菜さんと一緒にいたいと思っているだけ。
その一点のために、警察に抵抗し、法律を破ってでも、進んでいく物語なのです。

帆高はなべくして帆高だった

私は、帆高自身については、最後まで好きにはなれませんでした。
が、ラストの選択は帆高にとっては正しいと思うし、応援したい

残念なのは、帆高の途中の選択が共感できないのと、行動が予想通りだったということ。
家出の原因はよく分からないし、拳銃の取り扱いは問題あり。

帆高が警察から逃げ出し、拳銃を使った強硬手段を取るまで「追い込む描写」はお見事!
見ていて気持ちよくなるシーンではありませんが・・・

だって全然スマートじゃない。
もっと上手く立ち回れよ!と。

でも、帆高とは最初からそういう男の子。

要領が良いわけでもない、強いわけでもない、ずる賢くもなく、どこにでもいる普通の子。
恐らく女の子と付き合ったこともないむしろ”非”リア充。

計画性もなく都会に出てきて、度胸もなく嘘もつけず、生活の拠点を転々とする。

そんなときに出会った、ハンバーガーを振る舞ってくれた優しい陽菜。
その後の出会いもあり陽菜に惹かれていくのも当然。

そんな男子が何もかも投げ捨て、ただただ陽菜と一緒にいたいと願う

帆高は普通に生きたいだけ、陽菜や凪と一緒にいたいだけ。
だけど、社会は子ども達だけで生活することを許してくれない。

三人は逃げる決意をするが、警察は執拗に追いかけてくる。
その最中に、陽菜は人柱として消えてしまう。

陽菜の真実を知っているのは帆高と凪の二人のみ。
陽菜を助けるには手遅れになる前に帆高が行動するしかない
けれど、そんな重大なことすら、大人は理解をせず社会は許してくれない!!

終盤、警察から逃げ出したのも線路を走ったのも、少しでも早く陽菜を助けたかったから。
代々木の廃ビルで拳銃を手にしたのは、ちょうどそこにあり、大人には銃を使わないと敵わないと思ったから。

分かる、理解はできる。
帆高らしい、陽菜のことで頭が一杯で、助けたい一心で行動しているのがよく分かる。

でも、もう少し上手く立ち回ろうよ・・・という大人の思考が邪魔をする(涙)
ああ、私もまだまだだな(←何が?!)

帆高たちは一生この責任を背負っていくのか

ここまでの帆高の行動には一言二言言いたいが、最後の選択は賛成です。

青空より陽菜の方がいい!
天気なんて狂ったままでいい!

たとえ、異常気象を解消できるとしても、誰かが犠牲になる必要性などない
ましてや、”異常気象を起こしたのは陽菜ではない“のだから、責任を感じる必要もない。

だけど、陽菜たちなら異常気象を解消することができたではないかと問うのです。
私は帆高の選択に賛同します。

結果、帆高は陽菜を助けることができ、3年間会うことができなかったが、ラスト再会できました。
社会的な犠牲を払った選択をしたが、帆高は陽菜を助けたいと思っていたので、目的は達成。

が、陽菜はどう思っていたのでしょう
陽菜はラスト、帆高の誘いに、最初は躊躇する。
帆高の言葉に背中を押され、地上へ戻る決意をする。

陽菜は本当のところ、その後どう思っていたのか。
その辺を描かない新海さんズルい!
#とは言え、女子の本音を描かないのは新海監督作品の常識(笑)

でも、3年後を描くラストシーンは良かった。

3年もの間、時折帆高は自分が取った選択を悩んだろう。
それが正しかったのか?と。

世間は、晴れ女の存在があったなんてことは(都市伝説程度でしか)知らない。
誰も、須賀さえも、帆高や陽菜を責めたりはしない。

だから、帆高も陽菜も気にする必要はない。
私もその場にいたらそう諭すだろう。

だが、帆高は3年ぶりに陽菜と再会し、確信する。

あれは、夢でも妄想でもない現実だった。
自分たちが世界の形を変えてしまったのだと。

自分たちに非がある非がないとかではない、選択した責任を負うのだ
人から責められなくても、そのことを胸にして、生きていくことを決意したのだ。
それでも、大丈夫だと・・・

帆高、最後の最後で成長したじゃん・・・(涙)

「諦めの良い人」になってないか?

自分が常識人だと言うつもりはありませんが、登場人物で一番共感できたのは須賀圭介。
#私は高校生に奢らせたりはしません(笑)

須賀が、異常気象を解決するために人柱も仕方ないと言った時、夏美に──

「カッコ悪い」と言われてグサリと来ました

「悪い(=間違っている)」のではない「カッコ悪い」のだ。

大人になると「良い」「悪い」の区別が付き、分別がつくようになる。
もっと言うと自分に、自社に、利益になるならないで判断し、決断する。
そのための多少の犠牲はやむを得ないと諦めてしまう。

それを「悪い」と言っているわけではない。
実際合理的に考えると「正しく」おそらく「誰にもとがめられない」。

でも「カッコ悪い」のではないか?

もっと自分のため、(自分の利益ではなく)人のために動く。

いや、自分ができなくても、他人が好きで望んでやろうとしていることを大人の考え、ましてや大人の事情で止めてはいけない

可能なら後押ししてあげる。
この先の世界は若い人が作っていくのだから・・・

それが、『天気の子』に込められたテーマな気がします

須賀は最後の最後、帆高に、奥さんと会えなくなった自分の姿を重ねたのか、刑事に向かって行く。
少しはカッコ良くなったのかな?
だから3年後、事務所が大きくなったと信じたい。

猫の「アメ」まで大きくなっていたのは衝撃でしたが(笑)
#豊かになったシンボルですね♪
#大きくなってカワイイかは賛否両論(笑)

あなたは、常識にとらわれ、諦めていませんか?
あなたは、枠を破ってまで、新たな挑戦をしてますか?

おわりに (『天気の子』とは)

私はアニメをエンターテイメント作品として見ています。
仕事やプライベートの雑多なことを忘れ程、没頭させ、楽しませてくれることを期待しています。

『天気の子』は、楽しませてくれる、笑わせてくれる要素が盛り沢山なことは事実です。
が、同時に、貧困や、少しでもはみ出ることを許さない社会や、昔と違った生きにくさも描写
#と同時に、ネットカフェやスマホの便利さも描写。現代を全否定しているわけではない。

その問題提議をするアイコンとして帆高が変な選択をさせられているようで見てられない。

せめて、アニメを見ている間くらいは嫌なことは忘れさせてよ、という所が、手放しで評価できない点。

とは言え、現代社会の大きくはないが小さくもない問題に切り込み、ここまでのエンターテイメント作品に仕上げるのはさすが

『君の名は。』の大成功の次なのに、一般受けを狙わず、臆せずテーマ性のある作品を作り上げてきた意気込みがうれしい。

そして、こんなにも賛否両論のテーマ性ある作品だけど、新海監督を信頼して公開され、新海監督だからこそ観客も安心して見ていられる。
皆の信頼も凄い!

まだ見てない方がいたら、ぜひ実際に見て欲しい。

周りの人と、映画を観た人と話して欲しい。
考えて欲しい、自分の価値観、人の価値観、世の中の価値観を。

きっと今まで気にしたことがない、考えたこともない、ことに気付くでしょう

これだからアニメはやめられない!!

きょうのひとこと

名言頂きました。
付き合う前は何でもハッキリ言って、
付き合ってからは曖昧にいくのが基本だろ?
by 凪 先輩

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