天気の子

パンフレット【天気の子】紹介&感想レビュー だから今、この作品を制作したのだ

天気の子

こんばんは。時文です。
アニメ映画『天気の子』鑑賞後、パンフレットを購入。

ここでは、『天気の子』パンフレットについてレビューします。

映画本編のレビューはこちらをどうぞ
天気の子
アニメ映画【天気の子】感想レビュー あなたは「諦めの良い人」になってませんか?アニメ映画『天気の子』 感想レビュー。賛否両論上等!行儀が良く、どちらかと言うと我慢をしてしまう人が多い日本。世を変えていくのは常識にとらわれない若者。そんなメッセージが込められているのかも。 前半の「はじめに」は【ネタバレなし】後半の「感想レビュー」は【ネタバレあり】で魅力を紹介します。...

はじめに

サイズ B5
ページ数 42ページ(8Pを除いてカラー)
出版社 東宝
詳細 東宝HP

本編画像はそれほど多くありません。
新海監督、声優を含む製作スタッフのインタビューとキャラクター設定、美術設定で構成されています。

見所は新海誠監督のロングインタビュー。

どうしてこのような結末にしたのか、誰に向けた作品なのか等、核心に触れた内容がたっぷり
映画鑑賞後、モヤモヤした人、新海監督の意図を知りたい人はぜひお読み下さい。

それと面白かったのが美術設定、RADWIMPSのコメント。
裏設定や裏話を知ることができます。

以降は、作品のネタバレに関わる事も記載しているので、まだ鑑賞してない方は気を付けて下さい。

紹介&感想レビュー

新海誠(原作/脚本/監督) ロングインタビュー(ネタバレあり)

新海誠監督のロングインタビュー。
「インタビュー」とありますが、対談形式ではなく新海監督の一人語り

ボリュームは6ページと読み応えあり。
作品のラストを、どうしてこのような結末にしたのか等、核心に触れた話しもあり、一番の見所になってます。

分かって狙って作っている!?

読んで驚いたのは、新海監督は「賛否両論の結末」となる作品を「多くの人に見られることを前提」にして制作したこと。

何を言いたいのかと言うと・・・

前作『君の名は。』が大ヒットしたので──
前作を超える作品を作ろう!少しでも近づける作品を作ろう!
・・・ではなく。

(前作ほどいかないにしても)今回も多くの人が見てくれるだろう。
「見てもらいたい」ではなく、多くの人に”見せたい”作品を目指したのです。

だから、これほど「作家性」が出た作品になっているのですね。

でも商業作品ですから、観客に喜ばれる、前作のキャラクターや見覚えのある場所や美麗な背景と小ネタをしっかり入れているのは流石です(笑)

今は新海監督がバトンを持っている

『君の名は。』を公開する前頃から、なんとなく自分たちの手にバトンやボールのようなものが来ているという感覚がありました。
─中略─
いずれ消えるだろうなという予感もあるのですが、でもとにかく今は「バトンを持っているんだから走らなければ」という気持ちがあるんです。

これも興味深いコメント!!

新海監督は『君の名は。』はかなりヒットするだろうと公開前から予感めいたものがあった。
それは『君の名は。』作品単体ではなく、チーム新海に出番のようなもの(=バトン)が来ているのだと言う。

だからこそ、この機会に観客にぶつけたい作品を描いたと思われます。

まるでこちらが試されているようでドキリとしますね(笑)
「ついてこれるかい?」と。

「晴れ女」を巡る謎の組織!?

とは言え、今回の展開に落ち着くまでに試行錯誤した様子が描かれます。

家出少年と晴れ女が出会うことと、物語の着地は最初から決まっていた。
プロット段階では「晴れ女・陽菜」を巡って謎の組織が出てくる話なんてのも!?

これはこれで、個人的には見たかったなーー

というか、私は予告を見て、陽菜が晴れ女として有名になって、政府や謎の組織に狙われる展開を予想してました(苦笑)
だって、拳銃が出てきましたからねーー

ま、そんな展開にしたらよくある作品になってしまいますが(笑)

狂っていくのは・・・

悩みに悩んで最後に思い至ったのは、狂っていくのは須賀ではなく、帆高なんじゃないかということ。客観的に見て、おかしなことをしているのは実は帆高のほうなんじゃないか。

私が映画を観ていて感情移入できなかったのは、主人公である帆高を中心に見ていたから。(詳細は映画のレビューに)

その帆高に感情移入できないのは当然。
狂っていったからですね。

つまり、帆高に感情移入できないのは(大人として)正常なのかも。

もう少し深掘りしてみましょう。

帆高は至って普通の男の子。
親元は分からないが、家出をし未成年の一人生活なので貧乏。

そこへ陽菜が現れ、惹かれ、慎ましくも幸せな生活をし始める。
ところが警察に追われ、陽菜が消え、陽菜のために何もかも捨て突き進む。

つまり帆高を通して、現代社会での生きにくさ、息苦しさを描いている。
日本社会の清濁が凝縮された都会では、常識・法律に従うと(子供だけでは)生きてはいけない。
それでも強行しようとすると、反抗するしかなく次第に狂っていく、と。

では、世の中の常識に従わないのが悪いのか、それとも常識が悪いのか?

インタビューでは結末の選択には触れてますが、途中の拳銃に関する選択には触れてません。

この辺もどう考えていたのか、ヒントくらいは知りたいですね。

帆高も陽菜も恋心ではない?

なんと、新海監督によると、帆高と陽菜のお互いへの思いは恋心ではない、とのこと。

この年代が初めて真剣に他者を知りたいと思う、”希求する”気持ちとのこと。

いやー少なくとも帆高は「恋している」と思うのですけどねーー
凪先輩もそう言ってたし(笑)

でも、神である原作者がそう言っているので間違いないですね(笑)

帆高は憧れて走り続けていた

インタビューでも帆高の家出理由は語られません。
それどころか、家出理由を明らかにしない意図を語ってます。

これは興味深い!

帆高は家出をして東京に来ますが、その家出の理由を劇中では明確に語ってません。トラウマでキャラクターが駆動される物語にするのはやめようと思ったんです。
─中略─
内省する話ではなく、憧れのまま走り始め、そのままずっと遠い場所まで駆け抜けていくような少年少女を描きたかったんです。

帆高の回想シーン、自転車で追いかけているシーン。
あれは「憧れ」を追いかけるのを表現してたのですね。

帆高は都会へ「憧れ」家出をし、強く明るく生きる陽菜に「憧れ」、その陽菜を失いたくないから暴走していく物語。

新海監督が描きたかった少年少女像が帆高と陽菜。
この辺が新海監督の言葉で語られているので、興味ある方はぜひパンフレットをお読み下さい。

確かに、今までの新海作品にはなかった青いが真っ直ぐな少年を見ることができました。

プロダクションノート

タイトル『天気の子』の”子”にまで込められた思いが語られていて興味深い。

“子ども”ではなく”子”としたのも、少年少女のみならず、すべての人びとを指し示す言葉にしたいということから。また英題『Weathering With You』の”Weather”は何かを乗り越えるという意味も持つ。そのタイトルにも、深い意味が込められている。

「天気の子」と言われる作品と、「あなたと(一緒に)乗り越える」と言われるのでは、これまた作品のイメージ、見る時の心構えがまるで違ってきますね。

これは事前に日本語でも知っておきたかった。

声優やRADWIMPSについて書かれた箇所にも新情報が。

特にエピローグ。(3年後の二人の再会シーン)

帆高が陽菜になんて声をかけるか、陽菜は何を祈っているのか。
その内容がRADWIMPSの曲『大丈夫』に起因していたとは・・・

『大丈夫』の歌詞を知りたくなりました♪

美術設定

意外と(失礼!)面白かったのが美術設定。

須賀の事務所間取りが掲載
こうして見ると、広くはないが、なかなかオシャレ(笑)
帆高は一体どこで寝てたのだ??

反対に、陽菜のアパートが意外と広い
1年前まで母親と一緒だからそりゃあそうか。

陽菜と凪の勉強机が背中合わせになって間に仕切りがあるのが生活感タップリ。

Blu-rayが出たら静止させてじっくり見てみたい。

気象監修 荒木健太郎博士 コメント

気象監修なる立場の方までいるのに、まずはニヤリ。

そして、この荒木健太郎博士。
「雲研究者」なる肩書き。
そんな研究があるなんて(笑)

荒木先生が言うには、作品内の神主が言う、異常気象なんてのもここ数十年から150年くらいのデータに過ぎないことは正しいようだ。

現実世界でも、観測データは約40年ほどしかなく、観測史上初と言ってもそのデータを元に言っているにすぎない。

作品のような雨が降り続くことは現実にはないと思われるが、所詮は近代のデータから推測しているに過ぎないのだ。

大雨と大雪が同時に出るシーンも監修されたとのこと。
雲の話や何気ないシーンに科学的根拠も入れているのが素晴らしい。

RADWIMPS コメント

メンバー同士の対談形式で語られてます。

『君の名は。』時代との変化が面白い!

前作に続いて2作続けてRADWIMPSが音楽を担当し、映画用に曲を作っているのはよく知られている話。
てっきり気が合っているのかと思いきや──

前作『君の名は。』では野田氏は新海監督と直接のやりとりを拒否するほどキツかったらしい。
今回は、最後までやりとりできたと。

『愛にできることはまだあるかい』は、こんなに素直で良いのかと思う位、物語から感じた感覚を曲にしていったと言う。
本当に共同作業ですね。

また曲を聞きたくなりました♪

おわりに (『天気の子』とは)

映画を鑑賞して、新海監督のインタビュー記事等を読み、作品で描かれていること、描こうとしていることが、少しずつ見えてきました。

テーマは分かってきたが、心配なのはターゲットである10代にメッセージを理解してもらえたかどうか・・・
#余計なお世話かもしれませんが・・・

少なくとも私の周りや、映画鑑賞後、劇場を出るときの10代の声は──
「瀧くんいたー三葉いたー、四葉どこにいた?」
「アメ(猫)が可愛かったのに、最後可愛くなかったーー」
という声しか聞こえない・・・

今の(日本の)10代は聞き分けが良い。
それこそ常識を理解し、はみ出ることを恐れ、行儀良く過ごす。
出る杭は打たれ、ちょっとしたことで炎上したりする・・・

・・・そうか!
だから新海さんは、今、こんな作品を作ったのだ!

『君の名は。』が大ヒット。
次回作を大勢が待ってくれている今回。
夏休みという思春期の子らが映画館へ足を運びやすい夏休み映画。
東宝夏休み映画として大規模公開。

大勢が見てくれることは見込める。
その映画にメッセージを込めたのだ。

批判を恐れるな!
自分の感性を信じ、突っ走れ!と。

同時に思う。

大人の自分は鑑賞直後、モヤモヤして、テーマや結末の意味を考える。
これがそもそも間違い?!

若者は、鑑賞直後で既にこの映画の楽しかった点を見出している。
メッセージ性?テーマ?そんなの考えて映画観ているわけではない、とでも言いたいように。

新海さんのインタビュー記事にも──

オーソドックスな物語の定型から外れるけれど、それでも多くの人に楽しんでもらえて、できれば今の心情に刺さるもの。そして娯楽映画として、前向きな気分を劇場から家に持ち帰ってもらえるものそんなことを目標にして、今回の『天気の子』という作品にとりかかりました。

若者は自然と楽しみを見出している。

新海監督も今は分からなくてもいい。
今はできるだけ多くの人の体に染みこませておいて、やがて大人になったとき、何かのきっかけになればと考えているのかも。

だから、できるだけ多くの人に見てもらえる『君の名は。』の次作品で見せたかった。
新海誠監督しかできないことを今回やってのけたのです。

うーーん。
これを踏まえてもう一度見たくなったぞ!
と、相も変わらずストーリーとテーマを理解しようとする頭の固い大人でした(笑)。

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