ジャンル | 恋愛 |
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放送情報 | TVドラマを劇場公開(1995年8月)/56分 |
オススメ度 | A- |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
DVDにて鑑賞。
夏休み、町では花火大会が催されるある一日。
小学6年生の典道は登校日のため学校へ。
クラスメートのなずなは両親の離婚で転校することになり複雑な思いで登校していた。
遅まきながら先日アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』見ました。
アニメ映画のレビューはこちら。

SF的観点と恋愛要素以外は物足りない点ありますが、恋愛ものとしてはとても良かったと思います。
思春期の男子目線のヒロインや、男子女子の機微な感情変化がきれいな映像と共に描かれてました。
中でも鮮烈的な印象を与えたのは、ヒロイン・なずなの描き方。
あれだけ魅力的なヒロインを描き出した作品の原作を知りたいと思う程に・・・
ちょうど行きつけのレンタル店にDVDがあったのでさっそく鑑賞。

アニメ映画では主人公達は中学1年生だったのが、原作では小学6年生設定。
子役が演じている(と言っても実年齢は少し上ですが)ので、とてもドラマが自然。
男子のバカな会話もさほど違和感ありませんでした。(古いとは感じましたがww)
おかげで引っかかりなく、素直に感情移入できました。
では、原作ドラマ版の感想やレビュー、ラストに挿入歌『Forever Friends』情報など紹介したいと思います。
目次
はじめに
まずは、アニメ映画と同じシーンや構図があるので、そのシーンを見るだけでうれしくなります♪
プールでなずなが横になっているシーンや、50m競争でゴールした後のホースで水をかけるシーン。
原作の印象的なシーンをよりきれいにアニメ化しているのがよく分かります。
尺については、原作ドラマ版は45分。アニメ映画の半分。
描かれるのは、駅までの出来事。
電車に乗ったシーン以降はアニメ映画オリジナル。
原作ドラマの続きをアニメ原作で描いたと言えるのですね。
原作ドラマ版でも、ヒロインのなずな、というか、なずな役の奥菜恵がとても印象的。
ネタバレなしで話せるのはこの程度。
以降はネタバレありで記載していきます。
以降、原作TVドラマ:ドラマ、アニメ映画:アニメ、と表記します。
感想レビュー (以降、ネタバレあり)
不思議な”ガラス玉”がない!?
なんと、アニメではキーアイテムだった不思議な”ガラス玉“は、ドラマではありませんでした。
典道の意思で時間が戻るのではなく、
ドラマの設定として、別の選択をしたら?(結果になったら)という形で話が途中から戻る。
ということで典道は過去のことを知ってるわけではなく、別の話として繰り広げられる。
SFでも不思議な現象でもなく、別の結果(50m競争で典道が勝つ)だったら、として進んでいく。
#おでん屋で花火師?との会話など、前回のことを見ている視聴者だけが分かるネタとして使ってます。
さらに、時間が遡ったのも、50m競争の時点への1度きり。
ドラマは余計な雑音もなく純粋に恋愛ものとして楽しめます。
ちなみに、不思議なガラス玉設定は原作者の岩井俊二監督の発案らしいです^^
(17.8.18放送 アニメ映画宣伝番組インタビューにて)
なずなの転校理由が再婚ではなく離婚
なずなの母親。
アニメ:再婚
再婚で町を出て行く。
ドラマ:離婚
離婚し、母親がなずなを引き取り町を出て行く。
両親が離婚することと、急遽引っ越すという二重のショック。
ドラマの方が重く、なずなが母親に反抗し、自分の気持ちに整理がつかず自暴自棄になる気持ちも分かります。
そう考えると、わずか1日で、思いとどまるというのも、しっかりした小学生ですね(笑)
駅ホームのシーンはとても印象的
なずなが着替える駅のシーンはドラマでも印象的。
トイレの壁越しに着替えるなずなと、典道。
脱いだ浴衣を壁の上から典道へ渡すシーン。
浴衣を受け取る典道。
(これ、アニメにはなかったぞ?!)
視線を下に移すと、壁の隙間から着替え中のなずなの足が・・・
手鏡を見ながら、口紅を塗るなずな。
「私がちゃんと養ってあげるから、安心してよ」(これもドラマのみ)
なずなさん、男前!
こんなこと言われたら、どこへだって付いていってしまいますww
とても印象的で、色気のあるシーン。
このシーンはアニメでも印象的なシーンでしたが、ドラマの方がカメラワーク、典道の仕草が秀逸です。
そして・・・「どう?16歳に見える?」・・・
うーーーん。
この作品をアニメ化したのは、作品の良さもさることながら、なずなの魅力をアニメでどれだけ表現できるのか?
ということに挑戦したかったのではないでしょうか。
そう思ってしまう程、なずな役の奥菜恵が魅力的ですね。
転校のことを伝えず、よりミステリアスに
アニメと違って、なずなは転校のことを最後まで典道には伝えない。
ただ、駆け落ちをするのだと言う。
別れを言いたくないのか、転校がなくなる可能性をまだ探っているのか・・・
いや、最初はその話題に触れて欲しくなかったのだろう。
が、駅で切符を買う直前になって思いとどまる。
(ここの表現がとても不自然ですね・・・)
その後は、この町での最後の日として、典道との二人切りの時間を楽しむことを目的に切り替える。
いや、今日が典道と過ごす最後の日だから、「笑って」別れたかったのだろう。
典道に転校のことを言っても、理由やなずなだけ残れないのか、とか思い出したくないことを口にしなくてはならない。
貴重な二人切りの時間をそんなことで使いたくない。
典道と楽しい時間を過ごしたかった。
なずなの願いは叶ったのかな・・・
2学期になり、典道は、転校の事実を知り、あの日のなずなの想いを知るのだろう。
そして、もっとなずなの言う事を聞いてやれば、と悔やむのだろうか?
それとも、だまって転校したなずなに怒るのだろうか・・・
前の選択では50m競争で典道が負け、なずなは裏切られた。
後の選択では典道が勝ち、なずなと二人で出かけることはできたが、なずなが典道を裏切ることに・・・と対比させているようにも見えますね。
一つ確かなのは、少年少女はこのような経験をして大人になっていく・・・
同じ歌が流れて「!?・・・!!!!」
アニメでも印象的だった曲『Forever Friends』
なんと、ドラマにも流れました!!
というか、ドラマで使われていたのでアニメでもカバー曲として復活させたのですね(笑)
にしても使い方が上手い!一気に盛り上げてくれます。
『打ち上げ花火』同様、こちらもコラボMVが!
なんと、岩井俊二監督が、ドラマと同じロケ地でMVを撮影したそうです!!
知らずにMVを見て、また「!!!!」となりましたww
校舎に教室、バス停、バスの中まで!
駅はもちろん、あの印象的なシーンのホーム!!
トイレは残念ながらなかった(涙)
勿論、灯台も、そしてプール!!
DAOKOさんがヒロイン・なずなと同じようなポーズをしてくれてます♪
先にTVドラマを見てから、MV見ることをオススメします♪
DAOKO『Forever Friends』MUSIC VIDEO
daoko_jp
アニメの不明点が明確に
その他、ドラマを見ることにより、アニメでは不明だった点がいくつか明らかに。
なずなは最初から典道に興味があったことを、実験中の暗闇で目が合ったことで表現してます。
ドラマでは祐介がとてもチャラい、より子供っぽいのがよく分かります。
(祐介の方が小学6年生っぽいとも言えます)
なずなが典道を好きになるのも理解できました。
でも、祐介は本気でなずなのことが好きだったのですね。
アニメでは序盤、祐介は典道になずなを譲っているような印象を受けましたが、ドラマではそんな素振りは見せない。
だから、後半の祐介の荒れようは本当に怒っていたから。
アニメでの典道に対する態度はあからさまでしたからね。
あの態度は(パラレルワールドだからというわけではなく)本当だったと理解できました。
おわりに (『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』とは)
ドラマは余計な点が削ぎ落とされ、アニメと合わせて見るとより深く理解できました。
小学6年生の男子がなんでもない夏の日を過ごしている時に、ふと女子と触れ合い、性に目覚めていく。
そんな、二度と訪れない、短い時期の一瞬をとても美しく描いています。
ドラマとアニメ、どちらかを見て、少しでも気になった方には、両方を見ることをオススメします。
