オススメ度 | B+ |
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原作 | なし(アニメオリジナル) |
ジャンル | ゾンビ、アイドル、ブラックコメディ、青春ドラマ |
放送情報 | TVアニメ(2018年秋)/全12話 |
ストーリー | |
設定 | |
世界観 | |
感情移入 |
TV放送にて鑑賞。一気見。
こんばんは。時文です。
TVアニメ『ゾンビランドサガ』最終話まで鑑賞しました。
1話冒頭から驚かせてくれます。
さすが、ゾンビ物!と思いきや・・・
ゾンビ物特有の血やグロい描写はほぼないに等しい。
色んな要素が盛り込まれた、新たなゾンビ物作品ですね。
何を言ってもネタバレになるので、これ以上触れられません(笑)
とにかく、アニメ好きなら「1話だけは」絶対に見た方がいい!と言い切れる作品。
2話以降は、好みに合わせてどうぞ♪
原作はなく、アニメオリジナル作品。
それでは、TVアニメ『ゾンビランドサガ』感想レビューをどうぞ。
目次
はじめに
私は事前情報なしで放送終了後に一気見タイプです。
それでも、ブログやTwitterをやっている手前、どうしても『ゾンビランドサガ』の情報が、目の端々に入って来ました。
なので、自分が思っているゾンビ物ではないことは”なんとなく”分かってました・・・
が、それでも、衝撃だった第1話。
ゾンビ物なのに笑わされた第1話。
まさかの展開に驚かされた第1話・・・
ここから少しネタバレです。
未視聴の方は、ぜひ先にアニメを見て下さいね。
ゾンビ物と言えば、
- 「突然」ゾンビが出現
- ゾンビに噛まれると、ゾンビになる
- ゾンビから逃げる、戦う
というのが始まりの鉄板ですが、本作は全く違います。
ゾンビはゾンビでも、死者がよみがえる系ですね。
#大抵この場合、ゾンビとは言わないのですが。
#本作では見た目が「ゾンビ」なのと、「ゾンビ」と言えば皆が状況を理解してくれるので使っているのでしょう。
ゾンビが人を襲うでもなく、噛むと感染するわけでもない。
死んだ人が生き返り、再び夢を追いかける物語。
異色組み合わせですが、究極のコンプレックス克服物語と捉えることも。
完全ネタバレしないと、大したこと書けないのでこの辺で(笑)
兎にも角にも、
1話は衝撃的、2話はまだ興奮冷めやらぬ。
3話で、作品の方向性が見え、あとは王道展開です。
ぜひ一度ご覧ください。
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
avex pictures
舞台は、現代の佐賀県。
10年前、事故で亡くなったはずの女子高生・源さくら(主人公)。
目覚めると見知らぬ洋館。
記憶もなく、事故で死んだことすら覚えていなかった・・・
洋館には、”さくら以外にも“、”それ“はいた・・・
さあ、ここからネタバレ全開です。
よろしいですか?
本作は「ゾンビ×アイドル」異色の組み合わせ作品。
本レビューでは、異色組み合わせが生み出した面白さと、感動の要因、最終的にまだ明かされてない巽の意図など、続編へと続きそうなネタについて書いていきます。
私は、アイドル系興味なくて、今まで1作も見たことありません。
本作もアイドル系だと知ってたら、見なかったかも・・・
いや・・・「ゾンビ」に引かれてとりあえず見てたかな(笑)
それ位、私にとって「ゾンビ」は気になるワードです。
途中でアイドル系と分かっても、ゾンビに引かれて最終話まで見てしまいました。
製作側の思うツボですね(笑)
ゾンビがアイドルを目指す異色のコラボ。
ですが、過去の失敗やトラウマを乗り越えていくプロットは、アイドル物の王道でした。
インパクト強大な第1話
1話は、ゾンビ物だと想定をして見始めると、衝撃と、勢いに押され、無茶苦茶な展開。
数々の疑問がありながらも、テンポ良い展開と、ハイテンションで強引な自称プロデューサー巽幸太郎に引っ張られ、物語は進んでいきます。
本当に物語のテンポと、ギャグの間が上手い!
笑ってしまったら、もうおしまい。
ゾンビ物の常識は気にならなくなり、さくらが置かれている状況を、(無理やり)腹落ちさせられる。
構成とテンポと演出、そして巽幸太郎の声優(宮野真守)さんの演技がお見事な第1話でした。
全体の構成
作品全体の構成は、1話でゾンビ物からコメディへ変化。
ギャグベースでご当地アイドル、町おこし、青春(成長)モノをやっていくのかと思いきや、少しずつシリアスパートの割合が増えていき、アイドル育成系の王道路線へと変化していく。
- 序盤の掴みとインパクト
- ギャグとシリアスのバランス
- 各メンバーのキャラが立つまでの巽幸太郎の存在
- 各メンバーの性格だけでなく、時代背景を加味した多様性
色んな要素を詰め込みながらも、バラバラになったり中途半端にならず、一つの方向へ向かっている。
なかなか凄いことをやってくれちゃってます♪
特に、序盤のギャグ系統は、掴みとインパクトだけでなく、なぜ生き返らせた?どうやってゾンビに?なぜ彼女たち?という根幹に関わる疑問から、目を逸らせ、いや、気にしなくて良いことを全力で言っている。
通常、この手の根底にかかわる疑問を違和感として残すと、終始モヤモヤして、作品に集中できないですからね。
そこを上手くかわしてます。
そこを狙ってギャグベースにしているとしたら・・・巧妙ですね~~♪
それでいて最終話に巽の意思が・・・(これは後ほど)
ゾンビ設定だからこそできる技
様々な時代の融合
- 幕末時代:ゆうぎり
- 昭和のアイドル:紺野純子
- 10年前のアイドル:水野愛
死人を生き返らせたので、古くは幕末から10年前までの、普通なら一緒に並べないメンバーがユニットを組む。
これにより、様々な時代の価値観、アイドル論がぶつかり合う、興味深い展開に。
6話、7話の昭和と平成のアイドル像のぶつけ合いは見応えありました♪
死なないからこそムチャできる
ゾンビ設定をインパクトと極限のキワモノというだけで使ったのではなく、ちゃんと活用しているのが素晴らしい。
- 1話 デスメタルのライブ
歌えない状況を、首が折れるほどのヘッドバンキングでデスおじたちを虜に - 4話 温泉での営業
シップの効用が早いと繋げ - 5話 ドライブイン鳥
肉を美味しそうに食べるのは流石ゾンビ?!と少しブラックでした - 7話 サガロック出演/12話 アルピノライブ
極めつけは、落雷されても、大雪で天井が落ちてきても、ダメージなし#本当はダメージがあっても平気、というのが正しい
#(見た目上)大怪我をしている状態で歌い続けるのが現実的だが、それをしたらホラーに・・・
#そこは、創作の世界。しかも年も取らないアイドル界ですから大目に♪
何があっても歌い続けるアイドル。
ゾンビ設定だからこそ、ひ弱だけど、本当の意味での”不死身のアイドル”が誕生したのです。
これを伝説と言わずに、何を伝説と言うのか。
究極のコンプレックス
更に、ゾンビ設定を活かしているのは、”言葉の重み”。
7話、愛の雷トラウマ然り、9話、サキのチキンレースに対する愚かさ然り、そして、さくらの命をも失うほどの運のなさ然り・・・
#一応(笑)、8話リリィが死ぬほど受けたショックも然り
そんじょそこらのコンプレックスではなく、死ぬほどのトラウマ、コンプレックスを抱えた女子たちが乗り越える話だからこそ感動を生む。
「死を乗り越えた」ならぬ、「死を経験した」からこその説得力があり、言葉の重みが違うのです。
ゾンビ×アイドルの本当の目的
- なぜゾンビ?
- なぜアイドルを?
- なぜ彼女たち?
- そして、なぜ、”何者でもない”、”さくら”が?
序盤の勢いで(ギャグだから)気にする必要がないと思われていた、根本的な疑問。
もう触れることはないのだろうと思っていたら、最終話、巽幸太郎の回想シーン・・・
この一瞬のシーンで、説明がなくても、背景を想像させる演出。
秀逸でした!!
言葉として明確には語られませんが、雄弁に物語っています。
「ゾンビランドサガ」プロジェクトは、巽幸太郎が、さくらをアイドルにするためのプロジェクト。
だから、ゾンビでないといけないのです。
順を追って説明しましょう。
ずっと疑問に思ってた
巽が言うように、佐賀を救うために「死人を甦らせる」。
まあアニメやマンガの世界では、なくはないでしょう。
が、さくらはアイドル経験もなく、ましてや伝説でも何でもない。
#更に、「持ってない」のであればなおさら迷惑な存在。
地元だから採用された?
ご当地アイドルなら、地元民がいた方が良いでしょう。
でも、地元愛たっぷりなのは二階堂サキ。
サキには勝てそうにないし、キャラかぶり。
そもそも1号はそれまでも「地元アピール」全くしてません。
どうしても理由がありませんでした。
それもそのはず、「逆」だったのですね。
「さくら」がなぜメンバーに選ばれたのか、ではなく、
「さくら」のために、伝説の女子が集められたのです。
#山田たえはひとまず置いておきましょう(笑)
さくらの素は
生前から、さくらは努力型。
運動神経もセンスも決して悪くない。
才能はあるが、運がないだけである。
高校生になったさくらは、不運を嘆いていたが吹っ切り、アイドルを目指していた矢先に・・・
さくらと同じクラスだった(と思われる)巽。
回想シーンで、さくらがアイドルユニット「アイアンフリル」が好きなことを知っていた。
#回想シーンでさくらが落としたCDはアイアンフリルの「FANTASTIC LOVERS」
#1話冒頭でノートPCから流れていた曲ですね。
avex pictures
どこかで、さくらがアイドルを目指していた、あるいは、事故現場のオーディション応募の封筒のことを見聞きし、知ったのかも。
巽は、さくらの夢を叶えさせようと、さくらを生き返らせたのです。
なぜ生きてる人でなく、亡くなった人を集めたのか
さくら自身に才能があったとしても、アイドルへの道は険しい。
やはり近道はアイドルグループの一員となること。
グループを組むとなると、メンバーに対して、さくらがゾンビであることを隠し通すことは難しい。
ゆえに、メンバーもゾンビであることが必然。
さらに、メンバーは一般人よりも、才能を持った子を集める方が良い。
そこで、過去の伝説を持った子が集められたわけですね。
#どうやって遺体を手に入れたかは不明(笑)
10年前とは言え、トップアイドルの愛をゾンビにするのは、本人だとバレるリスクが高い。
それでも、愛を生き返らせたのは、さくらの憧れの存在だったからでしょう。
愛がさくらと同じ年に、事故で亡くなったことに、巽は運命を感じたのかもしれません。
#没年は公式HP「キャラクター紹介」より
それと、さくらの不運を巽は知っていると思われる。
さくらの回想にあった、「持ってない」事象は、どれもこれも個人のこと。
学芸会での主役、運動会でのリレー選手、高校受験・・・
巽は、たとえ、さくらが持ってなくても、カバーできる仲間がいれば、成功の道はあると思ったのかも。
巽の言う「おまえが持ってなくても、俺が持ってる」というのは、
さくらがどれだけ悪いモノを引き寄せようと、フランシュシュをここまでにすることができたことからの確信なのかもしれない。
巽の熱い想いが感じ取れますね。
巽の物語
このように、最終話、巽の一瞬の回想シーンにより、
この作品はインパクトありきでゾンビを使っているのではなく、巽がさくらの夢を叶える為に、10年の歳月をかけた物語だったのです。
さくらの遺体を保存し、生き返らせる技術を探し、伝説の女子の遺体を探し、ゾンビとして生き返らせる。
並行してハリウッドの特殊メイク技術を学んでいく。
生き返らせてからも、さくらには正体をばらさず、さくらのためのプロジェクトだと悟らせず、そのくせ、アイドル方針に口を出さない。
#口を出さないのは、巽はさくらの夢を叶えたいからプロデューサーをやっているので、アイドルのことなど分からず口を挟めないのかも。
巽の、苦労と困難な物語が見て取れます。
この辺の話を、本編へ盛り込んで欲しかったですが、それは2期に期待ですね♪
一方さくらは・・・
巽の計画をもし、さくらが知ったら・・・
終盤のネガティブさくらが本当の彼女であれば、プロジェクトに絶対反対し、拒絶したでしょう・・・
なぜなら、伝説の彼女たちは安らかに眠っていたのです。
もっと生きたい、夢を叶えたい、と願っていたかもしれないが、それは誰も分からないし、死人に確認する術もなし。
本人の意思を無視して、(さくらから見たら)さくらの為にゾンビとされたのです。
そんなことを、気の良い、さくらが許すわけはありません。
今回の終盤の拒絶どころじゃない、拒否反応を示すでしょう。
でも、他のメンバーは、今を後悔していない。
むしろ今を楽しんでいる。
きっとそんなことも乗り越えてくれるでしょう。
ああ、早く続きを見たいと思うあまり、妄想が止まらないのでこの辺で(笑)
さくらの記憶と、運の悪さ
最後に、さくらの「”持ってない”×記憶」について触れておきましょう。
さくらが記憶をなくしていたからこそ、活きた構成になってます。
さくらは”持ってない”ことを除けば、誰にでも一生懸命で優しく、面倒見が良く、真面目で責任感が強い。
そして努力を惜しまない。
誰もが、チームがまとまり、フランシュシュがここまでこれたのは、さくらがいたからだと、見ている側にも伝わりました。
だから、終盤、さくらがどれだけ、ネガティブになろうとも絶対に見捨てないメンバー達の気持ちも説得力が。
さくらが最初から”持ってない”キャラだったら、ありきたりの成長物語になり、最後に持ってきたことにより、新しい形を生み出しました。
さらに、記憶喪失というある種禁じ手を、ゾンビという、もっと非現実的なことにより、矮小化、小さく見せ、気にならないようにしていた構成が上手いですね~~
偶然の産物なのか、そこまで計算してゾンビにしたのか?気になりますね~~
記憶がない時のさくらは、持ってる?持ってない??
では、記憶がないとき、さくらは”持っとらん子”だったのでしょうか?
さくら自身、全然自覚がなかったようですが。
振り返るとそれらしいことはあるのです。
- 1話、2話 即席ライブ
さくらが必死になっても、山田たえが観客噛みついたり、首が取れたりトラブルの連続。
そもそも、巽の計画に巻き込まれたのが、”持っとらん”のかも(笑) - 3話 ゲリラライブ
ご当地アイドルとして、初めてのちゃんとした曲の披露。
さくらは、歌の途中で歌詞を忘れてしまう・・・ - 4話 宴会での営業
宴会でのパフォーマンスは上手くいった。
が、温泉でさくらはうまく隠れられず、ゾンビ姿を見せて大騒ぎに・・・ - 5話 ガタリンピック
リレーの代表に選ばれるくらいですから、(少なくとも他のメンバーよりかは)運動神経の良いさくら。
が、いざ本番では力を発揮できず・・・#正直、ここは解せないですね。
#明らかに、ここでは、”持ってない”ではなく、鈍くさいキャラになってます。 - 7話、サガロック
とうとう雷を呼び寄せてしまう・・・
愛に対する巡り合わせとの表現でしたが、振り返ると、さくらが呼び寄せた不運なのかもしれないですね。
このように、さくらは、さくらが「努力すればするほど」悪い方へと転がっていく。
でもそれを、さくらが呼び寄せる不運なんてことは気付かせず、自然なドタバタコメディに見せてるのもカモフラージュとして上手いですね。
それと、さくらは記憶がない時も「持ってない」ことを、私が言いたいのではありません。
私が言いたいことは、失敗がそのまま失敗になってしまったこともありますが、ご承知のように、既に、記憶がない時から、他のメンバーにフォローされて”乗り越えている”のです。
最終話、ライブ中の巽のセリフ
「おまえ(さくら)の真の力は、追い詰められた時にこそ、覚醒する」
最初から、巽はさくらを追い込み、さくらの才能を次々と開花させ、自信を付けさせ、他のメンバーや観客にさくらの才能を示していった。
「持っとらん子」でも、自分の力で、仲間の力で乗り越えられると証明したのです。
#特に2話のラップは顕著でした。
何度でも 何度でも 立ち上がれ
あきらなければ 終わりは始まりへ変わる残酷で理不尽でも負けないで
巽の想いを知ったことにより、『ゾンビランドサガ』は別の作品へと変化。
『ゾンビランドサガ』は、夢を目指すことを許されなかった少女と、夢を目指すことを諦めない者達の物語・・・
おわりに (『ゾンビランドサガ』とは)
インパクトのある作品だったので、オススメの点を書いていくとキリが無いほど(笑)
残念なのは、ギャグ要素や、勢いとご都合主義的な進め方が多いので、ストーリー面からはそれほど高い評価ができませんでした。(すいません)
序盤は、積み重ねた自信とそれなりの確信があった上で進めたわけではなく、ご都合主義に見えてしまいました。
後半は、ライブの盛り上がりは分かりますが、次のイベントへ行くのが、唐突過ぎ。
ストーリー物ではなく、1話完結のギャグアニメのような繋ぎ方が実に勿体ない。
が、それを補って余りある、インパクトと、後半のシリアスパートに於ける感動エピソードは秀逸でした。
アイドル物に興味がなく全く見たことが私でも、最後まで見たいと思わされたし、それどころかもっと見たい!と思ってしまったのですから。
それにしても、物語が先に進むほど、印象が変わってくるアニメ。
途中で既に1話の印象は変わり、最終話を見ると、巽の思いが分かり、物語全体の印象が変わるとは。
恐るべし。
まだ、回収されてない伏線、さくらたちがゾンビになるまでの巽の話。
アイドル物とは違う路線で、続編を作ることも可能でしょう。
アイドル物としては、まだまだ500人規模のライブ。
それに肝心の町おこしをしているようには見えません。
特に後半。
(ま、実は目的が違うということかもしれませんが)
ゆうぎりや、そして山田たえの過去も描かれてませんね。
紺野純子の昭和時代のシーンも見て見たい。
続編期待してます!
オススメ作品です!
