こんばんは。時文です。
TVアニメ『ドロヘドロ』最終話まで鑑賞しました。
原作は2000年から18年かけて連載、2018年に完結した林田球先生の漫画。
連載雑誌は、雑誌の創刊に伴い「スピリッツ増刊IKKI」「月刊IKKI」「ヒバナ」「ゲッサン」の計4誌。
コミックは全23巻。
1~7巻途中までがアニメ化されました。
唯一無二の世界観で、クセのあるキャラクターが暴れまくる、インパクト抜群な作品です。
では、TVアニメ『ドロヘドロ』感想レビューをどうぞ。
- 「はじめに」は【ネタバレなし】
- 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり】
はじめに
舞台は魔法使いが存在し、人間が住む「ホール」とドアで行き来ができる世界。
魔法でトカゲの顔に変えられ、記憶まで失った主人公・カイマン。
記憶と本当の顔を取り戻すため、カイマンは相棒のニカイドウとホールへやってくる魔法使いを狩り続ける。
これだけ読むと、魔法使いファンタジー物に見えますが、そんな生やさしいものではない。
- 細かい背景に至るまで作り込まれた独特な世界観
- まともな人はいないのではないかと思うような強烈なキャラクターの面々
- クセのあるキャラクターが繰り出す個性的な魔法と攻撃手段
- カオス、無法地帯
それでも、ユーモアは忘れない!
独特の世界観で、1話からインパクト大!
グロい描写が多々あるので苦手な方はご注意を。
絵柄、色の使い方も独特。
「死」が日常茶飯事で、無慈悲な展開、好き嫌いが分かれるかも。
『ドロヘドロ』の世界は、いわゆる「無政府状態」。
そこへ、人の命を魔法の練習台程度にしか考えてない魔法使いがやってくる。
殺らなければ、殺られる──
これが『ドロヘドロ』の常識。
ところが、物語が進むと、人間側だけでなく魔法使い側も、仲間に対しては情に厚いことが分かってくる。
頭のネジが何本も外れているキャラだらけですが、そこに至る致し方なさ、時折見せる温かさに共感し始めるとしめたもの!
もう目が離せなくなりますよ♪
ストーリーは、残念ながら謎が残されたまま終わってしまいました(涙)。
原作漫画全23巻中7巻までしかアニメ化されてないので、仕方なしか。
ぜひとも2期を期待したい作品です。
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
『ドロヘドロ』ストーリー概要
序盤 VS魔法使い
魔法でトカゲの顔に変えられ、記憶まで失ったカイマン。
記憶と本当の顔を取り戻すため、カイマンは相棒のニカイドウと魔法使いを片っ端から狩り続ける。
序盤で描かれるのは、とにかく魔法使いは「悪」。
魔法使いと人間は見た目は同じだが、思考はまるで違う。
『ドロヘドロ』における「魔法使い」
- 頭の中に「悪魔の形」をした小さい腫瘍がある
- 体内に「ケムリ」を生成する臓器およびそれを運搬する管がある
人間とは外見は同じだが、体の構造が違い、別の種族として描かれてます。
魔法使いは、人間を自分達と同格とみなさず下等生物扱い。
ゆえに、人間を魔法の練習台や実験台の対象としてしか見ていない。
にも関わらず、人間がいる「ホール」には、魔法使いから人間を守る軍や警察といった組織は存在しない。
魔法使いや犯罪者は野放しで、自分の身は自分で守る世界。
だからと言って、主人公カイマンと相棒のニカイドウは正義の味方を気取って悪魔狩りをしているのではない。
カイマンは、自分の記憶と本当の顔を取り戻すために、魔法使いを狩り続けているのです。
10年程前、ホールにも町内会が自警団のような活動をし、かなりえげつない「魔法使い狩り」を行っていた。
父親を殺された心(しん)が町内会を全滅させ、町内会は解散。以降、誰も魔法使いに抵抗しなくなった。
(『ドロヘドロ』TVアニメ6話より)
中盤~後半 魔法使いも人それぞれ
カイマンに魔法をかけた魔法使いの手掛かりを追って、ニカイドウと一緒に魔法使いの世界へ乗り込む。
そこで見た魔法使いの世界は──
中盤になると、人間がいるホール側だけでなく、魔法使い側のキャラクターエピソードが増えてくる。
そして、カイマンとニカイドウは、カスカベ博士が作ったドアを使って、魔法使いの世界へ乗り込んでいくのだ。
この辺りになると、魔法使いの世界の悲喜こもごもが描かれる。
魔法使いにも、魔法使いの矜持とプライドがあり、ドーピングをしたり飛び道具を使うことを邪道と見なす。
#心(しん)のハンマーは問題ないようだ(笑)。
心(しん)は、人間と魔法使いのハーフで、幼少はホールで人間として平和に過ごしていた。
心(しん)を暴力的にしたのは、人間。
煙(えん)は、今でこそ魔法使いの世界で絶大なる力を誇るが、幼少の頃、下級魔法使いにケムリを抜き取られ使い捨てされていた。
煙(えん)は怒りで生き延び、のし上がった。
そして、カイマンに献身的なニカイドウ。
彼女の正体は、なんと魔法使い。
彼女は能力の希少性から、ホールへ逃げ人間として暮らしていたのだ。
終盤、単身魔法使いの世界へ乗り込んだカイマン。
パイ屋で働き、魔法使い丹波や福山達と仲良くなっていく。
後半は、バイオレンスな展開だけでなく、魔法使い同士の友情、人間と魔法使いの種族を超えた友情が描かれていくのです。
物語の展開と世界観の説明が上手い!
物語の根幹は、カイマンの失われた記憶、本当の顔。
カイマンの正体が物語の主軸。
路地の奥に誰かがいる。
それが一番昔の記憶。
なぜトカゲにされたのか。
なぜ魔法が効かないのか。
なぜ記憶をなくしたのか。
口の中の男は何者なのか。
心(しん)がカイマンに噛まれ、口の中に現れる男の顔を見る。
その情報を元に、命ある人形を作り出す魔法使いにより具現化。
その人形がオリジナルの元へ行く習性を使って手掛かりを探る。
オリジナルの生首を手に入れ、次は死体を生き返らせる魔法使いに。
面白いのが、こうしてカイマンの謎を解くカギを辿っていくと同時に、魔法使いの世界が自然と理解できるようになっていく展開がお見事!
ただ、最終話になっても、カイマンの正体は分からずじまい。
むしろ、悪魔やニカイドウの魔法、そして栗鼠(りす)はなぜ殺されたなど、謎が増えたと感じるほど・・・。
決してストーリーが進んでないわけではない。
サブストーリーが充実し過ぎて、本筋の進捗が遅く感じてしまう。
それは、作品が悪いワケではない。
原作漫画は全23巻で完結、今回アニメ化されたのは7巻まで。
アニメの最終回は、決着する(区切り良い)ものだという私を含めたアニメ視聴者の悪い癖(苦笑)。
じっくりと描いてくれる作品が少ない中、こういうタイプは貴重と言えるかもしれない。
願わくは最後までアニメ化して欲しいものです。
ユニークな魔法が魅力的!
『ドロヘドロ』の魔法使いが使える魔法はどうやら一人一種類。
どんな魔法が使えるのかは先天的に決まっているようです。
魔法と言えば思い浮かぶのは──
攻撃魔法なら炎、風、水などを使った魔法。
強化魔法なら力やスピードをアップする補助魔法といったところか。
ところが『ドロヘドロ』は、魔法にもクセがある(笑)。
- 対象を一瞬で「キノコ」にする
- 生きたままバラバラにする
- 生きてさえいれば修復する
- 虫にする
- トカゲにする・・・
- 食べ物にする・・・
一見、攻撃に向いてない魔法?
ところが、これらの魔法で相手を無力化し、あるいは組み合わせ、あとは直接力で相手を倒すのです。
たとえば、心(しん)。
心(しん)の魔法は生きたままバラバラにする。
この魔法を攻撃に使うことは少なく、拉致する時によく使います。
では、攻撃は?というと・・・ハンマーです。
能井(のい)と言い、魔法使いというより、武闘派!
ただ、バラバラにする魔法で銃弾を無効化したり。
能井(のい)の修復魔法とのコンビネーションで、相手の攻撃を無効化(修復)しながら、ハンマーで攻撃するなど、魔法の使い方も破天荒!
色んな意味でインパクトを与えてくれる作品なのです。
もしかしてバディ物?
『ドロヘドロ』は命を軽く扱い、誰かが死んでもさほど悔やまれない。
陰惨で無慈悲な終末世界かと思うとそうでもない。
こんな世界でもとにかく明るいキャラクターとシュールなギャグ。
そして、友情が描かれるのです。
最初は、カイマンとニカイドウの二人の友情(愛情?)が描かれるのだと思ってました。
が、その友情はニカイドウの正体が魔法使いということで、種族を超えての友情物語に。
カイマンは魔法使いと見たら躊躇なく殺すほど憎んでいた。
が、ニカイドウに対しては・・・
#葛藤が弱かったのが残念
もしかすると、カイマンの正体が、これまたニカイドウとの絆を邪魔する壁になるのかな・・・?
◇◇◇◇◇
一方、魔法使いの世界でも、実は「パートナー」を選び、コンビを組むのが是とされている。
#コンビを組むと、何がメリットなのかをもっと知りたい!!
ここで、心(しん)&能井(のい)、藤田&恵比寿の友情?愛情?が描かれていく。
そして、煙(えん)が求める「時を操る魔法」を持つニカイドウが目を付けられ、パートナー契約で支配関係に。
カイマンとの三角関係が描かれる!?かどうかは分かりません(笑)。
どうやら、『ドロヘドロ』は、混沌とした世界で、明るくしぶとく生きる人たちの”絆”が根底にあるようです。
さてさて、これからどんな物語を見せてくれるのか。
楽しみです!
おわりに (『ドロヘドロ』とは)
最終話まで見ても、まだ謎が多く、
緻密に作られた魔法使いの世界とホール、悪魔-魔法使い-人間の関係。
12話で描かれたのは、まだ一端に過ぎないのではないのか?
ゾクッとするほど、凄い世界観。
原作は既に完結しているとのこと。
続きが気になり、原作を読みたくなるのだが、そこはアニメ好き。
グッと堪えて、ぜひともアニメで最後まで見たい。
#アニメ化された7巻までは読む予定です(笑)。
原作コミックは全23巻。
今回アニメ化されたのは7巻途中まで。
単純計算で残り1クールでは終わらず、2クールでも苦しいほど。
それでもぜひアニメで最後まで見たいものである。
それまでは、まずは原作読んで、もう少しだけ『ドロヘドロ』の世界を堪能したいと思います♪
以上、TVアニメ『ドロヘドロ』の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ではでは。
ヤンキー喧嘩路線かと思ったらマフィア物でした(笑)
関連レビュー
『ドロヘドロ』OVAの感想レビューも書いているので良かったらどうぞ。
『ドロヘドロ 魔のおまけ』の感想レビューはこちら!