アニメ【殺戮の天使】13~16話(最終回) 感想・考察レビュー これぞ究極?!何が描かれたのか

殺戮の天使

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
アニメ『殺戮の天使』最終話(16話)まで鑑賞しました。

TVアニメとして放送されたのは、12話まで。
前回は、12話までをレビューしました。

『殺戮の天使』12話までのレビューはこちらをどうぞ

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今回は、13話以降をレビューします。

13話以降を見るにはアマゾンプライム 、Netflix等の動画配信サービスに加入する必要があります。
#私は本作を見る為にアマゾンプライムに加入しました。

TV放送の12話では途中で終わってしまったのでモヤモヤしましたが、今回は最後まで描き切ってくれスッキリしました♪

それでは、『殺戮の天使 “完全版”』感想レビューをどうぞ!

ご案内
  • 「はじめに」は13話以降の【ネタバレなし
    ※12話までのネタバレは書いているので、未視聴の方は注意願います
  • 「感想レビュー」「おわりに」は【ネタバレあり
目次

はじめに (12話までのネタバレあり)

今この部分を書いているのは正に最終回(16話)を見終わった直後です。

いや~~
とんでもない作品を見たなーというのが率直な感想

簡単に殺人を犯す無茶苦茶な登場人物たち。
一線を越えた殺人鬼たちが、”殺すこと以上に相手に求める”こと。

殺人鬼に魅了され、言動に耳を傾ける。
さんざん人を殺してきた殺人鬼に対して、生きて欲しいと願う
幸せに生き、たわいもない会話をもっと聞かせて欲しいと願う。

すっかり作品に引き込まれてしまいました。

うん。
確かに人は「盲目的で醜く、そして美しい」
#作中でのセリフです。

12話までのあらすじ

舞台は、どこかの国の地下深く。

建物から脱出するために上を目指していた少女レイチェルと連続殺人犯のザック
レイチェルが目覚めたB7フロアから始まり、B1フロアまで上がってきた。

殺戮の天使 フロアマスター

12話では、レイチェルの記憶の断片に出てきた家とおぼしきB1フロアで、ザックがレイチェルの過去を知るのではないか、という所で終わりました。

13話以降、ガンガン核心に迫っていきます。
核心というより、レイチェルの心の奥底をえぐっていくような展開

レイチェルにとっても、見ている側も結構辛い展開です。
もしかするとネット配信にしたのは、倫理的なこともあるのかもしれないですね。
そう考えてしまう程の内容でした。

(当たり前ですが)12話までの世界観や雰囲気は健在。
違和感なく見ることができました。

ダニー先生はどこまでも嫌な奴・・・
グレイ神父は相変わらず敵なのか味方なのか・・・

舞台となった建物の全容も少しずつ垣間見えてきます。
#私は本作の主役は”建物”ではないかと思う程、大きな存在です。

そしてやはり気になるのはレイチェルとザック、二人の関係ですね。

果たして、二人は地下から脱出できるのか、レイチェルの願いは叶うのか・・・

13話以降は、想像していたより、じっくりと描いてくれています。
動画配信形式にすると1クールと言う枠を気にせず、ここまでじっくりと描けるものなのだと、妙な所で感心してしまいました(笑)。

相変わらずEDへの突入シーンは巧いですし、何より、新エピソードが見れたというのは有料であってもうれしいですね♪

見るか、見ないか迷っている方へ。

私はハマりましたが、万人に受け入れられる作品だとは思いません。
#オススメ度が私の熱量に比例していないのはそのため

13話以降、急展開があるわけではありません。
よって、12話まで見て興味を抱かなかった方が、急に好感触になることはないでしょう。

12話まで見て、面白いと思った方は、変わらない世界観と物語の決着を楽しめるのではないでしょうか。

少しでも興味がある方は、ぜひぜひ(ある意味)ピュアな二人の結末を見届けてください。

TVアニメーション「殺戮の天使」WebPV
KADOKAWAanime

感想レビュー (ここからは13話以降のネタバレ全開です)

さて、ここからは最終回(16話)までのネタバレ全開でいきますね。

レイチェルの”罪”

13話、ダニー先生のカウンセリング映像からレイチェルの過去が明らかになりました。

レイチェルは家庭環境の影響か、昔から心を閉ざしていたようです。
そして、動物はもちろん人間ですら殺すことをなんとも思ってない。
いや、自分の欲求が上回るなら、生き物を殺すことが問題とは思ってない様子。

レイチェルは、自分が欲しいもの、うまく手に入らないと殺してでも手に入れたくなる
レイチェルにとっては死んでいたとしても手に入れば問題ないようだ。
それどころか、自分の理想の形に作り直したりする。

自分の手を噛んだ犬の口は、開かないように。

父親がナイフを持った腕は、ぬいぐるみの手に。
母親のいつも怒っていた口は、笑顔に。
そしてケンカしていた二人は、仲良く寄り添うように・・・

それらの行為を、彼女は悪いこととすら認識がなかった。

レイチェルが”殺戮の住人”となった経緯

両親が殺害された事件で、カウンセリングを受けることになったレイチェル

ダニー先生は本当にレイチェルのカウンセリング担当だったのですね。
#レイチェルを狙って成りすましているのだと思ってました(笑)

ダニー先生が正式なカウンセリング実施中、レイチェルの異常性に気付いた。
そして、生気のない孤独な目は、ダニー先生が探していた理想の目であり、レイチェルに執着するようになった。

ダニー先生は、レイチェルを連れだし、グレイ神父に頼んで「殺戮の住人」にしてもらったのです。
#世間ではレイチェルは行方不明となった。

本来であれば、カウンセリング等の治療を施し、レイチェルの異常性を正していくのがダニー先生の役目

それをあろうことか、自分の片寄った性癖で、レイチェルの異常性を否定することなく、さらに助長するような「殺戮の場」に引き込む

レイチェルは罪を犯したし、異常な考えを持ってましたが、治せる可能性もあったわけで。
レイチェルは殺人集団へ無理やり引き込まれた被害者とも言えるわけです。

参考

ちなみに・・・

世間一般的にも、子供の頃は虫を平気で殺したりすることは普通にあります。
成長するとともに、命の尊さについて学んでいくのです。

レイチェルはそれまで「人や動物を殺めてはいけない」ということを誰にも教わらなかったのでしょう。

父親が母親を刺したシーンを見ても、レイチェルが動揺しなかったのは、そのためでしょう。

父親が母親を殺し、レイチェルが父親を殺す。

これで、レイチェルが命に対して軽い考えでいる事を、唯一知っていた両親がいなくなった。

周囲は、幼いレイチェルが父親を殺したと思ってないから咎めることもない。

唯一、その事実を知ったのはカウンセリングのダニー先生だが、先に書いた通り、仲間にしてしまう。

こうして、”殺人が悪いことではない”と信じる、純粋無垢でマシンのような殺人鬼が生まれたのです。

レイチェルが”生贄”になった理由

レイチェルは「殺戮の天使」として、B1フロアを任された。
会話から推測すると、このフロアでレイチェルも何人か殺害した模様。

レイチェルは両親の事件同様、人を殺すことにためらいはないし、悪いことだとも思ってない。

あるとき、レイチェルは聖書を読み「人を殺めてはいけない」ことを知った

この時のショックは相当で、心を乱し、両親の事故以降の記憶を失ってしまった。

そこで、グレイ神父は、レイチェルを生贄にしたのです。

グレイ神父は、レイチェルが記憶をなくしたことを機に、彼女が元の殺人鬼に戻るのか、新たな自分を見つけるのか、観察するために”生贄”にしたのでしょうか。

もしかすると、グレイ神父はレイチェルに正常な考えに戻ってほしかったのかもしれません。

いや、甘いですかね。
どちらかと言うと、レイチェルがどうして歪んだ思想になったのかを探るために、生贄にし観察対象とした、ということでしょう。

それが皮肉にも、他の「殺戮の天使」たちの歯車を狂わしていくという物語なのです。

レイチェルの”歪んだ”愛情

さて、少し話を戻して、レイチェルの殺人行動に触れておきましょう。

レイチェルは父親を殺しはしましたが、憎んでいたのではなさそうです

自分が欲しいと思った物は、理想の形でなければならない
理想の形でないなら、殺し(自由を奪い)、自分の所有物とし、理想の形にして満足する。
歪んだ愛情を持っていた。

そして、邪魔する者は殺してでも排除する考えも。

悪い行為だと分かったあとも、その”衝動”を抑えることはできない。
正確には、罪な行為だと分かっていても、どうしてそれが悪いのか理解できないでいた。

13話「I’m not Your God.」

ザックが自分はレイチェルの神ではないと否定すると、レイチェルはザックにさえ銃口を向ける。
レイチェルは欲していた”神さまであるザック“を手に入れるために神さま”ではない“ザックを殺すのだ。

ザックは切り返す。

レイチェルを殺すと誓ったのは、神でもなく、神であるザックでもない、誰でもないザック。
目の前のザックを望み、殺されると誓え、と言う。

レイチェルの考え方も、ザックの考え方も、どうしてそこまで・・・
私には共感できません。

でも、感じたのは、二人とも相手に対して特別な感情を持っているということ。

レイチェルは他の誰でもないザックに殺されたい。
ザックはレイチェルが殺されたいなら、他の誰でもない、自分でレイチェルを殺したい、と。

常人には理解できない、歪んだ愛情。

レイチェルは”どう”死にたいのか

レイチェルの死に関する考え方を、もう少し深掘りしてみましょう。

レイチェルは動物を含む気に入った対象を、殺し、自分の所有物にすることが理想の形だと考えている。
欲しくなると、殺してしまわないと気が済まないようだ。

レイチェルは自分の罪に気付き、生きていてはいけないと考えるように。
自殺は神が許さないから、誰かに殺されなくてはと考える。
次第にザックに殺されたいと願うように。

これは、自分の思想をザックに重ねているのではないでしょうか。

レイチェルは死ぬ事が大事なのではなく、誰に殺されるかが大事なのです。
誓いをしたザックに殺されることが。

いや、レイチェルが父親や子犬にしたように自分も愛する人に望まれて殺され、永遠にその人のものになりたかったのではないか。

レイチェルにとって、これが究極の愛の形、理想なのかもしれないですね。

ザックはナイフと実行で”応える”

対してザックは、人に物を与えたことはないのに、レイチェルに、それも大切にしていたナイフを譲る。

ザックは今でもレイチェルを殺したいと思っているのか分からないが、レイチェルの願いは死んでも叶えてやりたいと思っている。

その心は、殺人鬼の血がそうさせるのか、レイチェル同様、相手に特別な感情を抱いているから、そう思うのか・・・

さらにザックは、建物から出たとき、瀕死のレイチェルを助けるために、無抵抗で捕まる。
以前のザックなら、暴れて抵抗したことでしょう。

レイチェルを助け、助けた命を自ら断ちに行く、ザックもこじれてますね(笑)

これが二人の愛情表現。

もしかすると二人は恋愛感情というのを知らなかったのかもしれない。

この人に自分を殺して欲しいと願う気持ちは愛。
人にものをあげたいと思う気持ちも愛。
(例え殺すということでも)相手の願いを死んでも叶える気持ちも愛。

歪んだ思想を持った者同士の、歪んだ愛情、究極の愛の形を示したかったのでしょう。

“ラストシーン”、二人はどうなったのか

最終話ラストシーン、レイチェルとザックはどうなったのでしょう。

ナイフと血が示しているのは、”二人の死”でしょうか。

「『俺(ザック)に殺されるまで生きろ』と約束したナイフが置かれていた」
これが指し示すのは、「約束が果たされた」からではないでしょうか。

飛び降りた後に、ナイフや血があるのはおかしいと思うかもしれませんが、比喩表現でしょう。

大体、レイチェルはあんな精神状態で、窓に鉄格子があり、部屋の外へ出るのに監視が付く、状況下。
ナイフなど持たせておくわけがない。

また、脱走してきたザックが以前と変わらぬ姿で、鎌まで持って!現れること自体イメージですね。
アニメらしいというか、映画らしい表現ですね。
余韻と、視聴者への解釈を残す終わり方も映画表現に近いです。

そして、EDへ突入。

憎たらしいほど巧いです♪

ザックの”顔”を見たかった

視聴者側の解釈に余地を残す終わり方を否定はしません。

が、見たかったシーンが一つ。

ザックが望み通りレイチェルを殺したとして・・・

レイチェルは彼女の性格からして、恐らく幸せそうに死を迎えるでしょう。

気になるのはザックですね。

ザックはどんな思いで、どんな顔をして、レイチェルを殺したのでしょうか
殺す時は笑顔かもしれないですね。
でも、レイチェルが死んだ後、どんな表情をしたのでしょうか・・・

ザックはレイチェルと出会い、どんどん殺人鬼から人間になっていきました。
#そんなザックが、階段のシーンで、レイチェルに「人らしくなったな」と声を掛けるのはニヤリとしてしまいました(笑)

最後の瞬間、本当にザックはレイチェルを殺したかったのでしょうか。

ただ、レイチェルの望みを叶えてやりたいという一心だったのではないか。

そういう事まで考えさせられる、これまた憎い終わり方でした(苦笑)

おわりに (『殺戮の天使”完全版”』とは)

TV放送の最終話ではスッキリしない終わり方でしたが、16話まで見ると、きちんと最後まで描き切ってくれました。

13話以降は、(ないわけではないですが)謎解きや脱出系がメインではなく、問答とレイチェルとザックの関係がメイン。
絵的には面白くない。

それを、かなり丁寧に描いています。
1クールという尺を気にせず製作するとここまでじっくりと描けるものだと変な所で感心してしまいました。

また、殺人を美化しているように演出したり、殺人鬼に感情移入する作風になっています。
だから、TVでは放送できなかったのかもしれないですね。(放送倫理?)

まだまだ不明な点はありますが、私はこの結末で、あまり気にならなくなりました。
そう思う程、強烈で印象的なラストスパートと終わり方でした。

二人はこの短い間に変化しています。
ザックが優しさを覚え、レイチェルは感情を取り戻していく。

歪んだ愛情、それをも受け止める者。

これは他人には理解されない、二人だけの究極の愛情表現。
望むなら二人を見続けたいが、それは二人にとっては幸せなことではない。

悲しくも美しい物語。

うーーん。
見て良かった!!
万人に受け入れられる作品だとは思いません。
が、私は見て良かったと思ってます♪

その証拠に原作ゲームの続きをやりたくなってきました(笑)
プレイしたらレビューを書きますね。

以上、TVアニメ『殺戮の天使”完全版”』の感想レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

ではでは。

きょうのひとこと

子供は愛情を持って育てましょう

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追記:原作ゲームをプレイしました。
レビューも作成したので、原作ゲームにも興味がある方はぜひ参考にして下さい。

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