【文字数(本文):約1万3千文字(目安10分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『幼女戦記』第3話「神がそれを望まれる」を鑑賞しました。
本レビューでは、アニメの感想に加えて原作を読んだ際の気付き、個人的な解説や考察をお届けします。
時文次話以降のネタバレはありません
ご安心ください!
皆さんの理解の助けとなり、作品をより楽しんでいただければ幸いです。
今話の原作
今回アニメ化されたのは──
- 原作ノベル
-
1巻 第二章「エレニウム九五式」、第四章「軍大学」前半
- コミカライズ
-
1巻2話、2巻6話前中盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『幼女戦記』は、カルロ・ゼン先生によるライトノベルが原作です。
私は2017年放送時に最終話まで鑑賞済み。当時、原作・コミカライズは未読でした。
2026年7月の2期放送開始に向け、1期を改めて視聴中。各話のレビュー作成時に、その話分のアニメ化済み部分のみを読んでいます。
原作全体は未読なので、2期以降のネタバレは物理的に不可能です。視聴済みの1期部分も含め、次話以降のネタバレは書かないので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作ノベル・コミカライズを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
なお、原作の情報については「原作情報」として区別して記載します。
ココア緑系の色を目印にしてね!
時文ちなみに、考察や解説はオレンジ系です
補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際の目安にしてください。
各話リスト
| 話数 | サブタイトル | コミカライズ | 原作ノベル |
| 第1話 | ラインの悪魔 | 1・2巻 | 1巻 |
| 第2話 | プロローグ | 1巻 | |
| 第3話 | 神がそれを望まれる | ||
| 第4話 | キャンパス・ライフ | ||
| 第5話 | はじまりの大隊 | ||
| 第6話 | 狂気の幕開け | ||
| 第7話 | フィヨルドの攻防 | ||
| 第8話 | 火の試練 | ||
| 第9話 | 前進準備 | ||
| 第10話 | 勝利への道 | ||
| 第11話 | 抵抗者 | ||
| 第12話 | 勝利の使い方 | ||
| 閑話 | 砂漠のパスタ大作戦 |
※話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
初戦闘での傷が癒えた数日後、ターニャは安全な後方勤務になったと思いきや、配属先で待っていたのは危険な新型演算宝珠エレニウム九五式のテスト要員だった ──
失敗は成功のもと?
否、成功は神の力!?
神に屈したのではなく、生存という名の戦術?
そうでした、そうでした。ターニャは国や軍というシステムの波に揉まれるだけではなく、存在Xという超越者にも抗っているのでした(笑)。
正直、こんな早いタイミングで存在Xが再登場するとは思いませんでした(苦笑)。祈らせることで奇跡を起こすとは・・・。嫌味なギミックにやられた。
都合よく見える展開を、神の御業として正当化しているのです。
上手い!
奇跡なのに、呪い。
それが本作らしい。
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー『幼女戦記』3話「神がそれを望まれる」
アバンタイトル
協商連合との初戦闘での傷が癒えた数日後。戦功を称えられたターニャは、極めて優秀な魔導士官として認められ、帝都の戦技教導隊に配属される。
死活問題
ターニャの目標は「安全な後方で順風満帆な人生」を送ること。そのためには「現環境での生存と保身」が必須。(2話 )
前話、数的不利にもかかわらず協商連合の魔導部隊に飛び込んでいったのは、敵前逃亡は銃殺刑だから。決して、愛国心や武勲が欲しかったわけではありません。わずかな生存の可能性にかけて取った策でした。
ところが、銀翼突撃章に白銀の二つ名まで授かり ──
マズい、マズいぞ・・・。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第2話
まさかここまで評価されるとは・・・。これは完全なエース扱いだ。
ここまで評価されると、逆に過酷な前線へ駆り出される可能性が高くなってしまいます。
時文だから、1話のライン戦線に配備されたのかと思ってた
ココアもうワンクッションあったんだね
── デグレチャフ少尉、配属の内示だ。
拝見いたします。前線への配置だけは勘弁してもらいたいが・・・。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャも次の配属先に不安を抱いていたのです。
原作では、このように心情描写されています ──
当時、療養中のターニャ・デグレチャフ魔導少尉にとって、復帰後の配属先は死活問題だった。奮戦し、一定の戦績を上げて受勲までなしてしまう。……これは、昇進において有利になると同時に前線配置に縛られかねない微妙な問題を含んでいた。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
配属命令
── 本国の戦技教導隊?
うむ、その年で部隊教育を任されるとは、さすが銀翼章持ちのエースだな。
by 軍司令『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャの配属先は戦技教導隊。
「戦技」は戦闘行動に必要な技術、「教導」は教え導くこと。つまり戦闘技術を教える部隊です。
わずか1回の実戦経験で、教導隊に配属されたのです。通常、1回の実戦で教育係を任されることはありません。エースの称号がなせる業というわけです。
悪い顔ではなく、ニヤけている?

原作でのターニャの心情描写によると、後方勤務を喜ぶだけでなく、戦技教導隊配属は多くのメリットがあるようです。
なにより、本国戦技教導隊へ配属は多くのメリットがある。帝国軍最精鋭として装備面で最恵待遇の部隊である上に、戦技研究のメッカとして技量を磨くにも適している。生き延びる確率を少しでも上げるには最適な環境だ。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』原作ノベル1巻
なるほど。装備面での待遇が良く、技量を磨くのに最適。「優先すべきは現環境での生存と保身」を掲げているターニャにとっては、まさに願ったり叶ったりなのです。
ただ実際には、新型演算宝珠エレニウム九五式のテスト要員任務に就くことになります。
教育係に配属されたのに、なぜテスト要員なのでしょうか?
ココア思った!
何で?
出向命令
では取り急ぎ、兵站総監部に出向してくれ。
── 総監部というと、技術検証要員でしょうか?
ああ、新型演算宝珠のテストらしい。
by 軍司令『幼女戦記』TVアニメ第3話
教導隊に配属されたと思ったら、兵站総監部に出向させられたのです。戦技教導隊所属のまま、技術検証要員として出向するよう辞令されたのです。
ここで疑問が生じます。
なぜ直接配属ではなく、わざわざこんなややこしい二重身分にしたのか。
戦技教導隊所属のまま出向させることに、何か意味があるのでしょうか ──
原作では、ターニャも疑問に思い、軍司令に疑問をぶつけています。しかし明確な回答は得られず。
中盤の転属願いの際、総監部技術局でその点に触れています。
軍上層部が出向には同意しながらも、教導隊所属としたことこそが上からの なによりなメッセージ。いじくりまわすのまでは許すにしても、生かして返せということだろう。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
教導隊所属のまま出向させたのは、総監部で好き勝手をするなよ、という釘を刺す意味もあったのです。
ココアどういうこと?
現代の会社組織になぞらえると ──
本社所属の社員を現場へ出向させた場合、現場は本社の人間だから無茶はできないという心理が働きます。結果、その社員を丁寧に扱う傾向が産まれます。
ココアおお!分かりやすい!
上の意向を鑑みたので、ターニャの転属願いを受理したのかもしれませんね。
演算宝珠
ああ、新型演算宝珠のテストらしい。
by 軍司令『幼女戦記』TVアニメ第3話
おっ、ようやく演算宝珠にフォーカスが当たりました!
1話から魔法が出てきていましたが、この作品世界内での魔法とはどういうものなのか説明がありませんでした。
アニメ描写から、演算宝珠を使って魔法を発動していることは何となく分かりますが、それ以上のことがよく分かりませんでした。
ここで、ようやく演算宝珠が取り上げられたのです。
でも正直、アニメだけではよく分かりませんね(笑)。
ココアうん、全然分からなかった…
でも、そんなに気にならないけどね
原作では、もう少し詳しく取り上げられているので紹介しましょう。
伝聞しか残っていない宝珠と王笏を用いての奇跡。それを、科学でもって探求することで再現可能な「技術」たらしめた現代の魔導学は演算宝珠を介し世界へ干渉する術を見出した。
– 中略 –
むろん、魔力や干渉式といった根本部分の原理には良くわからない点を残している。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
仕組みは分からないが、昔から魔法はあったようです。それは、奇跡と呼ばれていました。
今も魔法の原理や仕組みはよく分かっていないが、魔導特性のある人間が演算宝珠を使えば魔法を再現可能になったのです。
演算宝珠は、魔法を再現する装置 ──
私なりに解釈したことをお伝えします。
どうやら、魔力があってもそれだけでは魔法が使えるわけではなさそうです。
魔力はガソリン、演算宝珠がエンジンのような関係。両方が揃って初めて機能する。魔力を持った魔導師が演算宝珠を使って魔法を発動するようです。
車のエンジンは、ガソリンを燃焼して動力に変換します。では、演算宝珠は何をしているのでしょうか。
大きく二つの役割がありそうです。
一つは、魔法の具現化。
演算宝珠を使って、世の理に干渉して物理法則に反する魔法現象を起こす。
「干渉式」など、1話から出ていた「干渉」という単語の意味がここでようやく理解できました。
もう一つは、演算。
魔法現象を起こすには、どこにどれくらいの力を込めれば良いか複雑な計算をする必要があります。たとえば、空を飛ぶために下に向けて力を使うだけでは、バランスを崩して振り回されてしまいます。
演算宝珠は、どこにどのくらいの力を込めれば良いかを計算してくれるのです。
「演算」と名が付いているのは、そういうことだったのです。
ココアお~~、難しいけど、ちょっと分かったかも!
あくまで私個人の解釈です。間違っていたらごめんなさい。
航空魔導師はどこの国でも実戦に投入されています。ですが、魔力や干渉式についての根本的な原理は解明されていないのです。
そのような状況の中で、新型演算宝珠の開発が進められていたのです。
ココアうわ~大変そう・・・
Aパート
総監部へ配属されたターニャを待っていたのは、危険な新型演算宝珠のテスト要員の任務だった。失敗続きの実験をシューゲル主任技師は強行し続け、命の危険を感じたターニャは転属願いを提出する。
エレニウム九五式
エレニウム九五式。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
エレニウム九五式は、ターニャが1話から付けていた宝珠ですね。中隊長のシュワルコフ中尉も注目していました ──
── 遅滞ならともかく救援は難しいでしょう。
その九五式をもってしてもか?
by シュワルコフ中尉『幼女戦記』TVアニメ第1話
言い方からして特別な宝珠だと思っていましたが、ターニャは試作段階から絡んでいたのです。
4機の演算宝珠核を同調させることで革新的な性能を目指す試作機です。
by 助手『幼女戦記』TVアニメ第3話
4機の演算宝珠核を同調させることで出力を高める。従来は1個だったので、4個にして性能を向上させる単純な発想。
ですが、その同調が難しいようです。
前項の解釈だけなら、魔導師は演算宝珠に魔力を注ぎ込めば良いだけ。しかし、実はそう簡単な話ではなさそうです。
少なくとも、このエレニウム九五式における魔導師の役割は、魔力供給だけではなく、複雑な操作を伴うのです。
原作によると ──
まして、少し集中力が乱れただけで演算が崩れ宝珠の機関部が出火するという気の緩ませようがない条件。
– 中略 –
宝珠の象徴する世界の理に対する干渉は非常に繊細さを要求される緻密な作業。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
集中力が必要な、とても繊細な作業のようです。
1話ラスト、ライン戦線での戦闘場面を原作で確認すると ──
目標捕捉。相対速度修正。無意識のうちに、エレニウム九五式で最適な射撃方法を選択。ニューラルリンケージ、イオン濃度正常、メタ運動野パラメーター更新。全システム、オールグリーン。
– 中略 –
頭の中に照射警報が全開で鳴り響く。即座にエレニウム九五式の核で魔力発現プロセスへ緊急割り込み。体勢を崩すことを承知で魔力をつぎ込み最大加速。同時に乱数回避機動が自動起動。辛うじて、間に合ったその直後に、つい先刻までいた空間に雨霰と魔力光が降り注ぐ。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
まるで、兵器を操作しているかのような描写です。
演算宝珠は飛行も防御も攻撃も一つで担う優れもの。ただし、多機能であるがゆえに、その操作は複雑なのです。
高高度
── デグレチャフ少尉、意識はありますか?
酸素濃度と体温が急激に低下。このままでは長くはもたない。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
原作によると、この時ターニャが到達した高度は12,000。
単位はフィート(ft)です。12,000ftをメートルに換算すると約3,600m。
ターニャは、このように分析しています ──
「一応あるにはある。だが、長くは持たない。はっきり言って、生身でこれ以上の高度は不可能と判断する」
ここは地上よりも二十一・六度も寒い。酸素濃度に至っては六十三パーセント弱。空戦機動で辛うじて一時的に滞在しえるかどうかという高度は、明らかに人間を拒絶している。そもそも本来の演算宝珠では高度六千が上昇限界。それ以上は、推進力が足りずに重力を振り切れないはずだった。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
従来の宝珠の限界高度は6,000ですよ。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
6,000ftをメートルに換算すると約1,800m。
富士山の五合目が約2,300mで、そこでも高山病の危険性があります。つまり、1,800m(6,000ft)以上の高度は人間にとって危険な領域です。
ココアイメージしやすい!
確かに、演算宝珠核を4機搭載すると出力が上がり、これまでよりも2倍の高度まで上昇できるのです。
ただ、シューゲル主任技師によると ──
少尉!もっと高度は取れんのかね?高度18,000までの上昇が確実なはずだ。
by アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師『幼女戦記』TVアニメ第3話
なんと、理論上は18,000ftまで上昇できると言うのです。
ただ、実際のところ、そこまでの高度が必要なのでしょうか(笑)。
革新的理論

こんな宝珠、イタリアの”赤い悪魔”並みに不良品だ!
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
「イタリアの赤い悪魔」というのは、1935年にイタリア軍に導入された手榴弾のことです。
不良品が多かっただけでなく、衝撃作動式でしたが砂地では爆発せず、転がっている手榴弾を蹴ってしまうと爆発する。敵にも味方にも畏れられた危険な兵器でした(苦笑)。
ココアコワッ
── 4機同調がどれほど革新的か、なぜ理解しない?
革新的なのは認めますとも。ですから、まともに動くものを作っていただきたい!
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャは悪態をついていますが、4機同調の革新性とシューゲル主任技師の技術力を認めています。
原作では ──
技術上、理論にすぎないとされてきたこの四発の同調機構を曲がりなりにも実現したことそのものは、恐ろしく精密な技量だ。それを、従来のものと同じだけの機能をこれほど小型化した核で実現してのけたのである。純粋に技術史の観点から見れば、まさに天才的だ。
宝珠と王笏の組み合わせが解き明かされて以来の技術上の大進歩と讃えても良い。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』原作ノベル1巻
「恐ろしく精密な技量」「技術史の観点から見れば、天才的」「技術上の大進歩と讃えても良い」とまで評価しているのです。
ただ、シューゲル主任技師は、使用者のことを考えていないのです(苦笑)。
ココアそれ、一番大事なんじゃ…
マーフィーの法則
ドクトル、不都合を生じる可能性があるものは、いつか必ず不都合を生じます。有名な法則でしょう?
── くだらん!誰がそんな戯言を!
長生きすれば分かりますよ!
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
「失敗する可能性のあるものは、失敗する」
マーフィーの法則ですね。
マーフィーの法則が広まったのは、20世紀中盤以降。
ターニャ達がいる世界は1923年なので、あと四半世紀以上経たないと知ることはできません。だから「長生きすれば分かります」と言ったのです。
転属願い
上層部は、九五式が汎用性と信頼性に欠けると判断。追加予算は凍結され事実上の打ち切り。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャが我慢できずに提出した転属願いは・・・なんと受理!
これはちょっと意外でした。
少尉ではあるものの、尉官の最下位。通常、人事によほど大事にされていないと難しいと思いますが・・・。
それに加えて、上が決めた配属を全うできなかったことにより人事面でマイナスです。にもかかわらず ──
やはり主体的な行動はあるのみだな。形而上の存在にすがるなど、所詮は無能のやることだ。
数日後は帝都でコーヒー片手に出世コースか?
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャは、出世コースだと言っています。
原作を読むと、その理由が判明 ──
正式な形式に沿っての転属願。その鬼気迫る思いが書き綴られたターニャ・デグレチャフ魔導少尉の筆になる転属届。精緻な官僚機構なればこそ、正式に提出された転属願を兵站総監部技術局は受領し対処せざるをえなくなるのだ。
衆目の一致するところでは、随分と本気で転属を願っているようだった。なにしろ、非公式の転属打診を含めれば転属の希望が打診されてくるのはなんと、これで四度目である。
by 総監部技術局『幼女戦記』原作ノベル1巻
なんと既に3度も転属を打診していたのです。それでも却下されていた理由は、「シューゲルが求める水準」に到達しているのはターニャだけだから。
次代の国防を左右する先進技術の開発・検証には、ターニャが絶対必要だったのです。
しかし、4度目の今回は正式な転属願い。さすがにここまで真摯に願われると、対処せざるを得ない事態になったのです。
一方で、組織側の葛藤もありました。
科学の進歩のためにターニャは不可欠。だが、まだ幼すぎるターニャを実験で失ってしまったら、将来有望な銀翼突撃章保持者の喪失となり、政治的な問題へ発展してしまいます。その懸念が、転属願い受理の判断に働いたと考えられます。
それをアニメでは、次のセリフに凝縮させたのです ──
実は私にも同じ年頃の娘がいてね。
by 局員『幼女戦記』TVアニメ第3話
原作ではさらに他の点でも議論されています。
最終的に九五式を打ち切った理由は、九五式が汎用性に欠けるから。理由と理由に至る議論が面白いので、ぜひ原作をご覧ください。
無干渉
相変わらず目に余る態度だ。
by 存在X(創造主)『幼女戦記』TVアニメ第3話
なるべく無干渉を貫くつもりだったが、愚かな子羊には道を示してやらねばならん。
存在X再登場!
って、再登場するの早いですね(笑)。
ココア思った!前話で出てたしね!
時文一応作品内では約10年経過しているからね
ココアあっ、そうか
前回、存在Xが主人公の前に現れたのは転生前。つまり、ターニャがこの世界に生まれる前なので、約10年前のことです。
そう考えると、「無干渉を貫く」=10年我慢していたということになり、ある程度は納得できますね。
10年間様子をみても、ターニャの態度と信仰心は変わらないので、たまらず介入することになったのです(苦笑)。
無干渉を貫いてきた、というのは少し気になります。
つまり、これまでの出来事は存在Xの干渉ではなく、単なる偶然だったことになります。
前話で、ターニャが実地研修中に開戦し敵部隊に急襲されたのは、存在Xの差し金ではないかと疑っていました。しかし今回のセリフから、存在Xは干渉していないことが明らかになったのです。
干渉
前項でも触れましたが、原作では、このタイミングで存在Xはターニャの前には現れません。
翌日、自信満々なシューゲル主任技師の言動。存在Xから「やはり恩寵を与えるべきなのかもしれんな」と告げられたばかりのターニャなら、すぐにシューゲルと存在Xの関連に気付いて良さそうなものです。しかし、全く気付いていません。
シューゲルが神の話をしても気付かず、「君も神に会ったことがあるだろう」と言われて、初めて存在Xの介入に思い当たります。
それもそのはず、原作では、昨夜ターニャの前に存在Xは姿を現さなかったからです。
転生後10年間、存在Xはターニャに直接的な影響を与えることはしてきませんでした。不運な出来事はあったものの、他人の意思を直接変えるような干渉はしていません。
だから、シューゲルに対して直接天啓を与えるなど、想定外だったのです。
ココアなるほど!
Deus lo vult
“神がそれを望まれる”?
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
「Deus lo vult(デウス・ロ・ウルト)」は、シューゲル主任技師も使っていた言葉です。
アニメでは、身に覚えのない「Deus lo vult」というメッセージが突然出現します。
どうやら、これが存在Xによる干渉のサイン。つまり、この言葉が現れるところが、存在X、すなわち神の啓示となるのです。
Bパート
ターニャの転属願いは受理され、エレニウム九五式の開発は事実上打ち切りとなった。だが、シューゲル主任技師は、最後に凍結していた実験をやると言い出した。
事実上の打ち切り
多重干渉誘発による魔力変換固定化検証。どのみち開発中止なら、見送っていた試験をやるのが当然だろう。
by アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師『幼女戦記』TVアニメ第3話
開発中止を知り、どうせ打ち切られるなら見送っていた試験をする決断をしたシューゲル主任技師。
原作によると ──
最悪なのは、どの道これ以上開発できないのであれば、危険すぎて凍結していた実験をやろうとMADが開き直ったことである。落ち込むとか意気消沈して大人しくしていればよいものを。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
見送っていた試験は、危険すぎて凍結していた実験だそうです・・・。
それにしても、開発中止が決まったのに、なぜシューゲル主任技師は実験を続けられるのでしょうか?
ココアそれ、思った!
ましてや、危険すぎて凍結していた実験です。開発中止の命令に逆らってまで、なぜ実験できるのでしょうか?
ここはセリフの一字一句をよく理解する必要があります。
上層部は、九五式が汎用性と信頼性に欠けると判断。追加予算は凍結され事実上の打ち切り。
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
ターニャは、開発打ち切りとは言っていません。
「事実上の打ち切り」と言っています。
ココアどゆこと?
決定したのは追加予算の凍結です。
軍での兵器開発はスピードが重要です。国防や兵力に直接繋がるからです。にもかかわらず追加予算を付けないのは、開発を打ち切る意向が固まった、ということを意味します。
だから、「事実上の打ち切り」なのです。
ココアおお、そういうことか~~
通常は、内示を受ければ、決定に向け粛々準備を進めるのですが・・・。シューゲル主任技師は開き直って、凍結していた危険な試験をやることにしたのです。
凍結した実験
多重干渉誘発による魔力変換固定化検証。
by アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師『幼女戦記』TVアニメ第3話
実は、エレニウム九五式には致命的な弱点がありました。従来のものよりも遙かに精密で壊れやすく、軍用で使うには稼働率・整備性に課題があったのです。
時文だから開発が凍結されたんだね
ココアそういうことか
シューゲル主任技師は、この課題を解決するためにある発想に至ります。エレニウム九五式自体を魔法で固定化するのです。
つまり、魔法を再現する装置を、魔法で安定化させるわけです。
聞こえは良いですが、同じメカニズムで欠点を補うというか、一見論理矛盾しているように見えます。ですが、この課題を解決する手法としては、実にコロンブスの卵的な発想だと言えます。
そこで、いよいよこの最終実験が始まるのです。
── 失敗すれば試験場ごと吹っ飛びかねませんが・・・。
科学の進歩に犠牲はつきものだよ。もちろん君だけではなく、私もここを動かない。
by アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師『幼女戦記』TVアニメ第3話
失敗すれば、試験場ごと吹っ飛んでしまうほど危険な実験です。
原作では、もう少し説明されています。
名目上の試験項目は複合多重干渉誘発による、魔力発現現象の空間座標への変換現象発現固定化実験。通称、魔力変換固定化実験というぶっ飛んだ空想上の産物である。
なんでも、九五式の開発における最終目標は本来この実験の成功にあるらしい。だが、到底本気かと疑うほど成功率は乏しいのだ。失敗するとしか思えない。実験の原理そのものはもっともらしいことでも知られているし、ターニャも耳にしたことがないでもない。
九五式はその精密な内部構造故に、脆弱とならざるをえず、稼働率・整備性共に難があった。故にこの課題を克服するためには、これを魔力でこの世界に同定し、固定化することで強度を確保し維持する必要がある。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
こうして、シューゲル主任技師はいきなり最終実験をやろうとしているのです。
天啓
誰もが失敗すると思っていた実験は、創造主の力によって奇跡が起きて成功したのです。
では、創造主は、この実験、あるいはシューゲル主任技師をどう評しているのでしょうか?
原作では、創造主はシューゲル主任技師をこう評しています。
「神の領域に至る一歩手前、まあ、あと1000年もすればそこに至れるような代物を研究している人間が地上にいまして」
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
シューゲルは神の領域に至れる研究をしていると評しているのです。
ココアシューゲルってそんなに凄いの!?
時文ただ、あと1000年かかると言われてるけどね…
ココア生きてないじゃん!
つまり、創造主はシューゲルの着眼点と研究の方向性は正しいと認めているということです。
ですが、シューゲルが生きている間には実現しないだろう。
方向性は正しいが、真理にたどり着けない研究は過去に幾らでもあります。シューゲルのエレニウム九五式もその一つだったのです。
存在Xは、ターニャに信仰心を芽生えさせるために、無から有を創り出したのではありません。1000年先という途方もない未来ですが、実現の可能性がある研究を、奇跡という形で加速させたのです。
だから、存在Xは、エレニウム九五式起動実験を奇跡の対象に選んだのです。
奇跡
貴様の演算宝珠を祝福し、奇跡を成した。
── 奇跡?爆弾を突きつけるのが奇跡だと?
今後、貴様は宝珠を使うたび、神への祈りを唱えずにはいられない。やがて貴様の心も信仰に満たされるであろう。
by 存在X(創造主)『幼女戦記』TVアニメ第3話
さて、ターニャは一体何をされたのでしょうか?いや、何を仕込まれたのでしょうか?
原作でもはっきりと描かれていませんが、総合的に考えると ──
ターニャがエレニウム九五式の真の力を使うと、強制的に祈りを唱えさせられ、祈りを唱えることで信仰心が深まっていく。つまり、使えば使うほど、(ターニャ風に言うと)体が蝕まれていくようです。
でも、過酷な戦場でターニャが生き抜くにはこの九五式を使わなくてはなりません。つまり、使わなければ死ぬ、使えば信仰心が深まる、という究極の選択を強いられているのです。
だから ──
悪質すぎるマッチポンプ!どこまでクソったりなんだ!
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
と、悪態をついたのです。
呪われた宝珠の力を使うと、神への祈りを唱えずにはいられない。
ということであれば、ターニャの目と宝珠が黄色くなったときが、その力を使っている時なのでしょう。青い目の時は祈りを唱えていません。通常の宝珠と同じようです。
帝国軍参謀本部
現状、新型宝珠は少尉以外に使いこなせないそうです。その点からも潜在的に危惧せざるえない存在かと。
by レルゲン中佐(作戦参謀次官)『幼女戦記』TVアニメ第3話
唯一、帝国内でターニャの危険性に警鐘を鳴らす上官がいます。それはレルゲン中佐です。しかし、その進言は聞き入れられません。誰も信じていないのです。
何せ、10歳の幼女ですからね(苦笑)。
帝国軍参謀本部の准将のセリフに「まだ10歳じゃないか」というのがありました。いつのまにかターニャちゃんは10歳になったようです(笑)。
ココアターニャちゃん
アニメ鑑賞時、このシーンは1話ラストの続きだと思っていました。時系列的には正解ですが、その意味と重要性は全く異なっていました。
アニメでは「帝国軍参謀本部・作戦局」とされていますが、原作ではより具体的に描かれています。
レルゲン中佐が進言しているのは、「軍大学選考再審議会」という会議だったのです。
その中で、レルゲンの心情が描かれています。
「……デグレチャフ中尉の人格に深刻な疑義を感じたためであります」
レルゲン少佐にとっての答えとは、デグレチャフ中尉の人格へのぬぐい難い不信感に他ならない。彼は、幾人もの将校を見てきた経験から、ごく自然に違和感を抱かざるを得ないのだ。
そして、今やその違和感は深刻なまでの不信感として固まっていた。あのような異常人格者を、帝国軍中枢に入れることは断じて阻止しなければ、と彼は決意している。
by 『幼女戦記』原作ノベル1巻
ターニャの中に眠る異常さを畏れるレルゲンは、彼女を軍中枢に入れてはならないと決意していたのです。
ある意味、唯一、ターニャの本質を見抜いている人物と言えますね・・・。
軍大学入学
“ターニャ・デグレチャフ少尉。貴官は中尉に昇進。軍大学へ入学すべし“
by ターニャ・デグレチャフ『幼女戦記』TVアニメ第3話
主観記憶にあるかぎり、2度目の大学生活か~。まさか後方で安全に学問ができるとは。
「主観記憶」とは前世の記憶も合わせて、という意味でしょう。前世で一度、今回で二度目の大学生活という意味です。
ライン戦線に中央本隊も集結し、増援部隊だったターニャは任務完了。初小隊長任務で敵中隊を全滅させた戦果を評価されたのか、ターニャは中尉へ昇進し、軍大学へ入学することになったのです。
と単純に思っていたのですが、原作ではターニャの軍大学入学の背景には、きちんとした評価がありました。
軍大学は、将来士官になる者を育てる大学。帝国においてその選抜は厳格かつ力を入れています。
ターニャが合格したのは、次の3つの要因が揃っていたからです。士官学校時代の成績は優秀、現地部隊からの評価も際立って高い。そして銀翼突撃章保持者で、撃墜スコア63のエース・オブ・エースという実績がありました。
ただし、唯一の懸念点は年齢です。
10歳という若さで、本当に戦略的思考ができるのか、それとも知識に偏りがあるのではないか。そうした懸念に対して、ターニャは士官学校卒業時の卒論で、戦略レベルの議論ができることを証明していたのです。
即応部隊
やはり、戦前の想定計画では話にならん。
── 肝心の主力が機動性と適合性を欠いているというわけか。
状況に即応できる精強な部隊の設立が、当面の課題だな。
by ルーデルドルフ准将(作戦参謀次長)『幼女戦記』TVアニメ第3話
帝国軍上層部は、協商連合と共和国との戦争へ突入。戦況に対応すべく、計画を修正し、即応部隊の設立を検討し始めたのです。
新たな即応部隊か・・・。
Deus lo vult
“神がそれを望まれる”
by ゼートゥーア准将(戦務参謀次官)『幼女戦記』TVアニメ第3話
そこに、再び存在Xの干渉が入ったのです。シューゲル主任技師だけでなく、軍上層部にまで啓示が下ったのです。
おわりに (『幼女戦記』3話とは)
アニメ第3話は、時系列で言うと2話と1話の間です。時系列順に並べると、2話⇒3話(前半)⇒1話⇒3話(後半)となります。3話で、ようやく一区切りというわけです。
次こそレビューを短くするぞ!と思っていたのですが、結局1万3,000文字になってしまいました(苦笑)。
今回も初出の情報が多く、特に魔法に関する部分が興味深かったです。
これまで、魔法をどのように使っているのか、演算宝珠とは何なのか、という疑問がありましたが、今回触れてくれたので、ようやく少しスッキリしました。
原作では、それ以外でも、ターニャの軍大学入学について、参謀本部を交えた議論がたっぷり描かれています。
アニメは、参謀本部側を簡潔にしてターニャ側を主軸に据えていくようです。
過酷な世界を飄々と生き抜くターニャは見ていて爽快です。一方、お偉いさん方はターニャをあれこれ評価し、国のためという名目で、年端もいかない幼女に重責を負わせて良いのか、自問自答しながら悩むシーン。(実は中身がおっさんだと知っているので)これまた面白いのです。
参謀本部や軍大学がターニャをどう評価しているのか、レルゲン中佐の進言はどう思われたのか、なぜ却下されたのかについて、原作ノベルにはたっぷり描かれているので、興味ある方は原作を手に取ってください。
以上、TVアニメ『幼女戦記』第3話の感想&考察レビューでした。長文にもかかわらず、最後までお読みいただきありがとうございました。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越しください。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
応援(投げ銭)
本レビューを面白いと思って下さった方、気に入って下さった方、サポートして頂けるとブログ作成の励みとなります。
Amazonギフト券の贈り方
次の4点(金額、受取人)を記入願います。
- 金額:一番右に自由記入欄があるので、1記事100円を目安に、お好きな金額ご記入下さい。もちろん100円以上でも大歓迎です♪
- 「宛先」or「受取人」:メールアドレス「gift2toki23@gmail.com」
- 贈り主:ご自身のお名前をご記入下さい(匿名でも可)
- メッセージ:好きなメッセージをご記入下さい(デフォルトでもOK)。
全て記入終えましたら、「カートに入れる」or「今すぐ購入」を押して決済に進んで下さい。(ここからは、普段お使いのAmazonでの商品購入時と同様です。)
よろしくお願い致します。
ココアこれで毎日ケーキ食べられるかな!?
時文(君のケーキの為にサポートお願いしているんじゃないだけどね…) 皆に応援してもらえるよう頑張ろう!
今週のX感想ポスト
#幼女戦記 3話(再)
— 時文@(幼女戦記レビュー中)ここアニ管理人 (@toki23_a) April 27, 2026
失敗は成功のもと?
否、成功は神の力!?
屈したのではなく、生存という名の戦術
そうそう。国や軍というシステムだけでなく、存在Xという超越者に抗っているのだった。本作を語る上で欠かせない視点😆
理不尽な運命が本当に"神の力"によるものだからこそ、強い説得力がある
関連記事
アニメ『幼女戦記』次話のレビューはこちら!
Coming Soon
