こんばんは。時文です。
TVアニメ『GREAT PRETENDER』11~14話を鑑賞しました。
『GREAT PRETENDER』は2020年夏アニメとして7月放送開始。
原作はなく、アニメオリジナル作品。
脚本、シリーズ構成は、映画版も大好評の人気月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の脚本を手がけた古沢良太さん。
では、TVアニメ『GREAT PRETENDER (CASE3 ロンドンの雪)』の感想レビューをどうぞ。
作品レビュー 一覧
アニメ話数 | エピソード | サブタイトル |
1~5話 | CASE1 | Los Angeles Conection |
6~10話 | CASE2 | Singapore Sky |
11~14話 | CASE3 | Snow of London |
15~23話 | CASE4 | Wizard of Far East |
※CASE:リンクは各レビューへ
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
『GREAT PRETENDER』(11~14話)ストーリー概要
舞台はフランスとイギリス。
エダマメはフランスで下宿先を見つけ、寿司屋で真面目に働いていたが、下宿の家主の借金返済のため、寿司屋で横柄な態度を取ったイギリス人に素人の絵を売りつけ金を巻き上げる。
ところが、売りつけた絵は幻の名画。
損をしたのはエダマメ側だった。
一方、シンシアには、この男と因縁がある様子。
調べていくと、イギリス人は屈指のオークショニアで、贋作をも高値で売りさばく噂が・・・
今回の舞台
今回の舞台はフランスとイギリス。
エダマメが住んでた下宿はニース。
その後、パリ、イギリス。
CASE3サブタイトル「ロンドンの雪」は絵画のことです。
これまでとは打って変わって雰囲気が違う、冬のヨーロッパ。
絵画を題材に扱う、ちょっと知的な感じは、ヨーロッパがよく似合う。
大人の恋の舞台にふさわしい。
今回のターゲット
今回のターゲットはイギリス屈指のオークショニア、”美術界の007″、ジェームズ・コールマン。
「オークショニア」
オークションを開催し、運営する仕事。
オークション当日だけではなく、開催準備や出品物を細部にわたりチェックすることも。
一番の晴れ舞台は、オークション当日、壇上に立ち、競売を進行していく役目。
アートビジネス界で、最も旬な男。
コールマンに認められない画家は、美術界で長生きできないと言われる程。
しかし・・・
人を見下し、欲しいモノを手に入れるためなら他人はどうなろうと気にしないゲス野郎。
#というか見ているだけでキモい(苦笑)
絵画の売買は法に触れるわけではない。
たとえ相場以上の価格で売ったとしても、競争市場では許されている。
が、コールマンは自分が有名なのを良いことに、贋作を本物として高値で売りつける。
れっきとした詐欺師、ペテン師である。
ただ、絵画の価値は価格ではなく、所有者の満足度、気持ちが占める部分が大きい。
金銭的に一番大きな被害を受けた資産家の女性ファラ・ブラウン。
ラストは目覚めはしたものの、最後の最後までコールマンを愛し、まだ未練を残している感じが・・・
お互い納得の上なら良いのでは?と、コールマンだけが一方的に悪く見えないのが勿体ない。
コンゲーム度
今回は、最初にエダマメが失敗しただけで、その後は展開が二転三転するでもなく、順調な展開。
コンゲームの見所は2箇所。
「ロンドンの雪」を最初に競り落とす場面(12話)と、最後のオークション(14話)。
「ロンドンの雪」競り落とし
12話の競り落としは、「ロンドンの雪」の相場とファラの準備金を掴んでいたのだから楽勝。
むしろ上手いのは、「ロンドンの雪」をローランが競り落とし、コールマンが激昂しているところへ、アビーが”懐へ入る”シーン。
以前から「雇ってくれるなら何でもする」というのが効きました。
アビーは無駄にストーカーしたわけではなかったのです。
「ロンドンの雪」を競り落とさせる
ファラの屋敷に盗聴器を仕掛け、コールマン側にアビーが入り込み、情報をコントロール。
「ロンドンの雪」への執着と、用意できる資産を掴むと作戦決行!
この時点で、ほぼ勝負は決したのです。
圧巻は、終盤の”闇”オークション。
素人の運営、客は下品、演出は悪趣味──
案の定コールマンは不愉快に!
美術品を愛するコールマンを挑発するため、わざとやったのでしょう。
#金髪クソ野郎のローランらしい(笑)
オークションが始まると、出てくる作品全てが、相場以上の高額で落札。
コールマンは苛立ち、ファラは不安になる。
これらも全てコールマンに高値で競り落とさせるための仕込み。
#ファラに席を離れさせたのは、チト上手くいきすぎだと思いますが(苦笑)
「ロンドンの雪」の落札額だけ上げては怪しまれる。
他の作品が相場よりバカ高いと見せつけてこそ、「ロンドンの雪」の高値の信憑性が出るのです。
美術品への鑑識眼があるコールマンだからこそ引っかかったのです。
#「ロンドンの雪」以外は仕込みなので、もちろん金のやり取りはなし。
#あらかじめ台本が用意されていたのでしょう。
コールマンが騙されたと憤慨するシーンがないのが残念だけど致し方なしか。
なぜなら、騙されたわけではなく、引っかかっただけ(笑)。
本物を落札し、高値で買い取ってしまっただけなのだから。
それでも、コールマンの本性を知らされ、資産家女性ファラが奴を見限る。
コールマンが大声を上げ無様に頼み込むシーンは、痛快で後味良し!
ドラマ性
今回はコンゲーム(騙し合い)そのものよりも、他で魅せてくれました。
シンシアの過去
シンシアが舞台女優を目指していたとは驚き。
もっと驚いたのが、シンシアがとても素朴で純粋なこと(苦笑)。
カフェで働きながら女優を目指していた、若き日のシンシア。
ある日、画家を目指す絵描きのトーマスと出会う。
共に夢を目指す二人が、少しずつ惹かれ合っていく様子がロマンチックに描かれる。
絵になる二人。
そこへコールマンが現れ、トーマスを贋作画家として利用する。
トーマスは金に溺れたのか?
いや、違うでしょう。
少なくとも最初は・・・
トーマスは、模写(贋作)とは言え、自分の才能を認めてもらったのが嬉しかったのではないか。
それも、有名なオークショニアのコールマンにである。
お金はその後。
大金を得て、考えが変わっていったのです。
贋作を描くことにのめり込んでいくトーマスを見るシンシアが切なかった。
このくだりと描き方が秀逸でした。
一方、現代では、コールマンと資産家ファラの”金だけ”の繋がり。
二組の男女を通じて描かれる、金だけでの繋がりと、金がなくても繋がっていた二人。
金は薬にも毒にもなる。
それを、詐欺がメインの作品で描くとは、なんという皮肉(笑)。
困った人を全て救う
CASE1、CASE2では、ターゲット側の人間でも仕方なく付き合っていた人に救いの手を差し伸べていました。
CASE3では、少し変化。
最初、資産家女性のファラは、コールマンの仲間だと思ってましたが、実際は金づるの被害者。
作戦段階ではファラから金を奪い取るようなことを言ってましたが、最終的にはファラにコールマンから身を引かせる作戦に。
アビーが聞き出したコールマンのセリフで、ファラは共犯者から被害者に変わったか。
他にも、トーマスには望まぬ贋作を描かせながらも、報酬で借金を返済。
(結果として)贋作を「本物として」売りさばくことなく、贋作と解ったうえで価値を理解してくれる人の元へ。
借金を肩に店を畳もうとしていた、エダマメの下宿先まで救ったのです。
そして面白いのが、今回は詐欺を働いてないのです。
エダマメが「ロンドンの雪」を本物と贋作を入れ替えたことにより、コールマンには本物を”高く売りつけただけ”(笑)。
なんだか、コンフィデンスマンが、弱者を助ける「正義の味方」に見えてきました(笑)。
シンシアはなぜ作戦を無視したのか?
“闇”オークションでのクライマックス。
作戦では、7000万ポンドが目標金額。
なぜ、シンシアは作戦を無視して、落札価格をつり上げたのか?
それも1億という無謀な金額にまで!
もちろんシンシアは、コールマンが「ロンドンの雪」に執着し、この興奮状態だと引き下がらないと見越していたのでしょう。
挑発することも忘れてないですしね。
#グッド・ルッキング・ガイ・・・
でも、本音は、トーマスの絵を認めて欲しかったのではないでしょうか。
あなたの絵も、いつかそれくらいになるかも。
by シンシア『GREAT PRETENDER』アニメ14話
シンシアは、コールマンを軽蔑してますが、鑑定士としての腕は認めてます。
本物の鑑識眼を持ったコールマンが、トーマスの絵に多額を値を付けることにより、彼の絵の価値が認められると思っていた。
もしかすると、それによりトーマスが自信を付け、画家を再び目指すかもしれないと言う思いもあったかも・・・
もったいない。
by シンシア『GREAT PRETENDER』アニメ13話
シンシアとトーマスが、再び参加したときのレストラン。
トーマスが席を立った後、シンシアが最後に言った言葉。
「もったいない」とは、それだけの才能があるのにもったいない──
シンシアはトーマスの絵を本気で認めていたのではないでしょうか。
それこそ、モントーヤ級に・・・
ちなみに、最後の落札金額は1億ポンド。
会場のボードによると、日本円で142億円!
ま、実際は、エダマメが贋作ではなく本物を出品したので、コールマンはトーマスの絵を評価したわけではありません。
エダマメは余計なことをしてしまったのでしょうか・・・
いえ、エダマメはエダマメで、トーマスが命を削って描いた絵を手放したくなかった。
トーマスから、贋作が本物として公になる苦悩を解放したのです。
その事実を聞いても、シンシアはエダマメに恨みを言う事はなかった。
それは、自分と同じように、トーマスの絵を皆が評価したから。
信頼できる仲間が、自分と同じように、トーマスの絵、それも本物以上に評価したから。
シンシアは喜ぶと同時に、自分がまだトーマスのことを好きなことを確認。
これまでのわだかまりを吹っ切ったのです。
でも、寄りを戻すかは別問題。
大人ですね。
小ネタが洒落ている
シンシアの旧友
シンシアがイギリスで女優を目指しながら働いていたカフェ。
一緒に働いていた女性はクリス(12話)。
6話で、セクハラ経営者から解雇された女性。
その後、シンシアがセクハラ経営者から金を巻き上げ、プレゼントした女性ですね。
含みのある伏線だったので、ストーリーに絡んでくるのかと思いましたが、それほど出てこなかったですね。
別段ケンカ別れしたわけでもなさそう。
では、なぜ6話で、シンシアは旧友に顔も見せなかったのか?
シンシアが人に言えないビジネスに手を染めているので、善良な人と深い関わりを持てないと言ったところか。
シンシアの優しさですね。
エドワード8世
イギリス国王、エドワード8世。
エダマメの趣味でおみくじ代わりにもしているカプセルトイ。
今回出たのが「エドワード8世」。
エドワード8世と言えば、有名なのは「王冠を賭けた恋」。
愛する人と結婚するために、即位したばかりの国王の座を1年待たずに退位。
その相手は、アメリカ人で離婚歴もあり、当時は大スキャンダルだったとのこと。
エダマメからしたら「自分の思いに正直にあれ」と言ったところか。
いや、シンシアに今の立場を放り出してでも、トーマスとの関係を修復させる暗示と取ったか。
ローランと言い、エダマメと言い、男共はお節介ですね(笑)。
おわりに (『グレートプリテンダー』(CASE3)とは)
CASE1、CASE2は5話構成。
今回は4話と、1話少ないだけで、あっと言う間。
二転三転する展開はなかったが、テンポ良く進み、なによりシンシアの過去話が秀逸でした。
騙し合いが少なくとも、終了後の爽快感は健在!
さすが痛快クライムエンターテイメントのツボは押さえてます。
今回のキーパーソンは、シンシア。
なんだかとてもキュートな女性でした。(←過去形(笑))
アビーもシンガポールでの出来事のせいか、今回はトゲトゲしさがなくなった。
ならば、シンシアも素朴な感じになる・・・のかな?
『グレートプリテンダー』は2クールあるとのこと。
14話は折り返し地点を少し過ぎたところ。
次のCASE4は9話のエピソード!?
どうやら、一気に最終回まで描かれるようです。
楽しみですね!
以上、TVアニメ『GREAT PRETENDER』11~14話の感想でした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
CASE4(15~23話)のレビューも書いているので良かったらご覧下さい。
ではでは。
シンシアは一体何歳設定?
関連レビュー
アニメ『GREAT PRETENDER』CASE4(15~23話)のレビューはこちら!