こんばんは。時文です。
TVアニメ『GREAT PRETENDER』6~10話を鑑賞しました。
『GREAT PRETENDER』は2020年夏アニメとして7月放送開始予定。
原作はなく、アニメオリジナル作品。
脚本、シリーズ構成は、映画版も大好評の人気月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の脚本を手がけた古沢良太さん。
では、TVアニメ『GREAT PRETENDER』の感想レビューをどうぞ。
作品レビュー 一覧
アニメ話数 | エピソード | サブタイトル |
1~5話 | CASE1 | Los Angeles Conection |
6~10話 | CASE2 | Singapore Sky |
11~14話 | CASE3 | Snow of London |
15~23話 | CASE4 | Wizard of Far East |
※CASE:リンクは各レビューへ
感想レビュー (以降、ネタバレ全開です)
TOHO animation チャンネル
『GREAT PRETENDER』(6~10話)ストーリー概要
舞台は日本、ラスベガスから、シンガポールへ。
ロサンゼルスでの騒動から2年後。
出所したエダマメは今後は地道に生きようと整備工場で働き始めるも、またしてもローランの仕事に付き合わされる。
今回のターゲットは産油国の兄弟王子、サムとクラーク。
資産2億ドル!
舞台は「パスファインダーエアレース」のシンガポール・ラウンド。
アビーは、飛行機と協力者ルイスに因縁が!?
運動神経抜群のアビーが重要な役割を占めているが大丈夫なのか・・・
今回の舞台
CASE2の舞台は日本、ラスベガス、そしてシンガポール!
シンガポールの近代的で美しい街並みを舞台にした「パスファインダーエアレース」がクール!
作品内での「パスファインダーエアレース」とは、街中をプロペラ機を飛ばして競争する競技。
事故ったらパイロットだけでなく観客や住民に被害が!?
“最高にイカれて”ますね!
実写では難しい映像をアニメで見事に表現。
特に7話と10話のデッドヒートは展開上の盛り上がりもあり最高でした♪
![](https://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/4449013/original.gif)
今回のターゲット
今回のターゲットは産油国の兄弟王子、サムとクラーク。
小粒でチョロく見えてしまうのは、前回が悪党過ぎたせいか?
前回(CASE1)は、ハリウッドマフィア、エディ・カッサーノ相手に1億1000万ドルの収穫。
今回は、当初(6話)、資産2億ドルを頂く話だったが・・・
結果は、2750万ドル。
日本円にして、30億。
普通に考えると、これでもとんでもない額ですが(汗)
なんだか、前回(CASE1)のエディ・カッサーノと比べると、”小”悪党に見えるのは、ドラッグとエンターテイメントの違いか。
いや、犯罪内容が与える印象の違いか。
かたや、女性を食い物にし、ドラッグを広めるハリウッドマフィア。
今回は、台本を作り、観衆をダマしているとは言え、被害者が具体的でない。
皆が楽しんでいるのだから問題ないとも言える。
そこで出てきたのが、八百長レースに反抗し、命の危険にさらされた因縁のライバル、ルイス・ミューラー。
だけど、ルイスは事故前までは出来レースに荷担していた側。
素直に、ルイスに同情できない。
正直、悪だくみしていた組織内での、加害者と被害者の話に見えてしまいました(苦笑)。
決定的なのは、ダマしているのがバレても殺されるわけではない、という緊迫感のなさ。
#銃を突き付けたりぶっ放してましたが、緊張感の度合いの事を言ってます
悪人は悪人なのでしょうが。
裏カジノ
・1回目 250万ドル
・2回目 2500万ドル
計 2750万ドル
日本円にして約30億円です。
総資産は2億ドルと言ってましたが、最終的な収穫は上記の通り。
チームと運営権を担保にして用意した金を失い、サムはエアレースを続けることができなくなり、目的達成!
コンゲーム度
弟のクラークはいい奴過ぎ、兄のサムも意外とチョロかった(苦笑)。
むしろ、整備士として働いていたエダマメをチームに引き込む(6話)。
ラスト、決勝戦で、アビーの代わりにルイスを飛行機に乗せる企みを読んでいた。
これら、仲間の中での読み合いの方が楽しめました。
ローランは、エダマメが──
- クラークの機体に細工(薬品混入)をしない
- 決勝戦をルイスに操縦させる
可能性を読んでいたのです。
だから、クラークが勝つ可能性があり、「勝利者の花火の色」を変える仕掛けを”保険”として準備したのです。
では、なぜローランは、作戦通り動かないエダマメを放置したのか・・・後述します。
ドラマ性
一方、レースや人間模様は見ごたえがありました。
特に7話のデッドヒート、ラストの復帰レースは展開上の盛り上がりもあって最高!
前のめりで見てしまいました♪
抜けるような青空と、美しい街並みの中を自由に飛び回るレースシーンは、それだけでも作品のメインに据えられるほど見ごたえがあり、もっと見ていたかったですねーー
そして、今回のメインはアビー。
前回は少し頭の弱い女優の卵を演じ、あれはあれで良かったのですが(苦笑)。
CASE2では、全編通して闘争本能剥き出しのアビー。
キレッキレのアビーが危なっかしいが、ベクトルが合うと驚くような力を発揮。
7話のようなレースシーンをもっと見たかった!と同時に、リミッターが壊れたような捨て身の思考が気になってしまいます。
![](https://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/4449014/original.gif)
アビーの過去が明らかに。
彼女の行動の原動力は「死に急ぎ」。
だけど、仲間は誰も干渉しない。
なぜなら、心の問題は自分で乗り越えないといけないから。
皆、自分の足で立ち上がり、前へ進むのだ。
干渉はしないけど、見捨てもしない。
この距離感が堪らない。
でも『GREAT PRETENDER』、PRETENDER(詐欺師)というからには、詐欺がメイン。
ヒリヒリするようなコン・ゲーム(騙し合い)が見たかったかなーー
『GREAT PRETENDER』の仕込みはなぜ仰々しいのか
相手を騙す仕掛けが大げさなのが『GREAT PRETENDER』の特徴であり面白さ。
現実的ではない、非効率だと言う勿れ。
「小さな嘘はすぐバレるが、大きな嘘ならバレない」と言ったのはヒトラーか。
『GREAT PRETENDER』に当てはめると──
大きな嘘や仕掛けは非効率。
そこまでしてまで自分をダマすわけがない。
「嘘ではない」=「真実」と信じてしまうロジック。
◇◇◇◇◇
今回、エダマメを作戦に巻き込むのだって、大仕掛け!(6話)
エダマメに作戦説明してから、航空整備の技術を学ばせれば良いのに、本作では、逆をいく。
まずローランは、航空整備をやっている中之島親方を抱き込む。
次に、出所したエダマメの就職先として、中之島親方の整備工場に誘導して──。
エダマメを一人前の航空整備士に”見える”ように、エンジニアとして教育する。
一人前になったから、会社の名前を背負って世界へ羽ばたけ、というわけだ。
いやいやいや、2,3ヶ月で一人前にはならんでしょ。
気付こうよエダマメ君、と突っ込んだら負け。
エダマメが自分で選んだ道であり就職先なのだから、仕込まれているわけがないという心理が働くのです。
#ま、コメディドラマですからね(苦笑)。
それにしても、ここまでくると、車整備の職業訓練をして中之島親方の会社を斡旋した刑務所だって怪しいもの。
カプセルトイで農民が出てきたのだって疑ってしまう(苦笑)。
ん?
もしかして、航空整備をやっている車整備工場も仕込み?
刑務所からいきなり航空整備士のルートはないでしょう。
だから、航空整備をやっている「中之島重工製作所」に一時的に車整備をやらせて、就職先にした?
だったら、中之島親分への報酬が「1億円」なのも分かります。
でも、まさか・・・そこまでは・・・ね?
人は信念で動くもの
『GREAT PRETENDER』はコン・ゲーム(騙し合い)物語。
大金が飛び交う世界で、金のために人をおとしめたり、金で動く人が多々出てくる。
その中で信念で動く人へのクローズアップが興味深い。
サム兄弟の出来レースの犠牲者ルイス。
ルイスは、サムの言う通りにしていれば、それなりの富も名声が得られていただろう。
だけど、クラークに真剣勝負を挑まれ、クラークのためにサムに忠告をする。
それが仇となり、サムの細工でルイスの機体はレース中に墜落。
ルイスは純粋に飛ぶことが好きで、軍での任務による殺戮も、飛んでいる時だけは忘れていられる。
空を飛ぶことで、彼の精神は保たれていたのだ。
その意思に共感し、エダマメとアビーは、決勝戦をルイスに譲る賭けに出る。
エダマメとアビーも自分の信念に則って行動しているのです。
金や、あらかじめ決められたシナリオが、さもつまらないとでも言うように・・・
『GREAT PRETENDER』は悪人しか潰さない
今回の作戦。
サムから2750万ドルを奪ったものの、結果的には他の人を全て救いました。
ルイスをもう一度飛行機に乗せ、復活させた。
妻のイザベルも、再び空を飛ぶルイスを見ることができ幸せに。
クラークには念願のルイスとの真剣勝負の舞台を用意し、その上で勝利。
これまでのわだかまりを吹き飛ばした。
レースの結果を完全にコントロールして自分の思い通りにしてきたサムは破産。
レースは真剣勝負の方が面白いという、クラークとルイスは残った・・・
それどころか、返って奮い立たせた感もある。
それが、ローランの最後のセリフ──
シンシア:エアレースはどうなるの?
ローラン:おしまいだろうね。あるいは、誰かさん達が健全なものにリブートするかもしれないな。
by 『グレートプリテンダー』TVアニメ10話より
ローランは、悪党を潰しつつ、関係者の中でも他の人は、むしろ救ってさえいるのです。
それは、仲間側にも・・・
今回は、アビーを過去の呪縛から解き放ちました。
前回は、エダマメですね。
一体、どこまで計算尽くなのか・・・
ローランはなぜエダマメを自由にさせたのか
ここまで考えていくと、ある結論にたどり着きます。
ローランの詐欺の目的は、金ではなく悪党をぶっ潰すこと。
悪党を潰すことで、直接被害者を救う。
それだけでなく、関係者の中で、仕方なく付き従っている人にも救いの手を差し伸べる。
いや、「チャンスを与える」と言った方が正解か。
・・・・・
ローランの作戦は、決勝戦でサムに全財産をクラークに賭けさせ、破産させる。
勝利を確実にする為に、クラークの機体に薬品を入れ墜落させる。
だけど、エダマメは薬品混入を実行しないどころか、まともにゴールできるか分からないルイスに操縦させる悪手まで。
ローランはエダマメ(とアビー)の行動を読んでいたので、裏カジノではアビー勝利に見えるよう仕掛けを施した。
ではなぜ、ローランはエダマメを注意したり、他の誰かに薬品混入を頼まなかったのか。
それは、クラークとルイスを救うからに他ありません。
ではなぜ、最初からクラークとルイスを真剣勝負させるシナリオにしないのか。
私が思うに、クラークとルイスを救う判断をエダマメとアビーに任せたのではないでしょうか。
ローランがそこまで采配してしまうと、ローランが天罰を与える人、救う人を決める神になってしまう。
悪党をぶっ潰す目的は変えないが、周囲の誰を救うのかは、エダマメ達に任せる。
これがローランの考えではないでしょうか。
シウォン:当日には、アビーが勝つ決勝戦の出来上がり
-中略-
シンシア:でもルイスとかはどうすんの?
ローラン:まあ、あいつらに任せておこう
by 『グレートプリテンダー』TVアニメ10話より
作戦ではクラークとアビーの決勝戦に、ルイス夫妻は何ら出番はありません。
にも関わらず「ルイスの対応をエダマメ達に任せる」と言っているのです。
これは、アビー(機)が絶対に勝つ工作が終わり、サムを破産させる準備は全て整った。
残る目的であるルイス(夫妻+クラーク)はどうするのか?という質問と考えるのが自然。
“作戦を無視してでも”救いの手を差し伸べるべきかの判断を、エダマメとアビーに任せているのです。
だから、エダマメはいつも敵の真っ只中へ放り込まれるのではないでしょうか。
ローランはエダマメの詐欺師の腕前もさることながら、人を見る目を買っているのでしょう。
そこへ今回はアビーが加わる。
ルイスは、アビーの恨みの対象でもある。
そのアビーがルイスを許すとなれば誰も文句は言わない。
アビーも含めて、ルイスの為に何かしてやれないかと考えれば、ルイスは救われる資格あり、というわけです。
エダマメは、自身の信念に則ってルイスを救ったと思っているかもしれませんが、それもローランの作戦の一部なのです。
でも、最後のアビーの笑顔を作ったのは、紛れもないエダマメの手柄です!
ここまで分かると、CASE2はCASE1とは主旨が違いますが、よく練られてます。
面白い!
![](https://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/4492184/original.gif)
おわりに (『グレートプリテンダー』(CASE2)とは)
金を目当てに犯罪を犯す悪党。
悪党専門に詐欺を働くコンフィデンスマン。
どちらも真っ当ではない。
ローラン達の目的は正義と金。
“金欲しさ”に悪事を働き、悪党から”金を奪う”ことで成敗する。
そこへ、ひとつまみ、金以外を生き甲斐とする人をトッピング。
前回は、ハリウッドマフィア・エディの片腕サラザール。
今回は、サム兄弟の出来レースの犠牲者ルイス。
弱き人に、いや、”努力する”弱き人に手を差し伸べる。
詐欺集団と思いきや、熱い奴らの集まりだ。
ローランは、そんな思いすら想定して作戦を立てる。
お互いへの信頼と距離感がクセになってきました!
次回の舞台はロンドン。
ロンドンと言えば6話。
シンシアがセクハラ経営者から巻き上げた金を解雇された女性クリスにプレゼントしたときのメッセージ。
![](https://img.gifmagazine.net/gifmagazine/images/4428447/original.gif)
Happy Birthday! Chris!
from your old friend in London.
by 『GREAT PRETENDER』アニメ6話
次回は、シンシアの過去が絡んでくる物語になるのでしょう。
シンシアとクリスの関係は?
なぜ「friend」じゃなくて「old friend」なの?
表舞台でも充分一流になれそうなシンシア。
なぜコンフィデンスウーマンに?
うーーん、楽しみです!
以上、TVアニメ『GREAT PRETENDER』6~10話の感想でした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
CASE3(11~14話)のレビューも書いているので良かったらご覧下さい。
ではでは。
南国が、作風に似合うなぁー
関連レビュー
アニメ『GREAT PRETENDER』CASE3(11~14話)のレビューはこちら!
![](https://anime.toki23.com/wp-content/uploads/2020/06/greatpretender.jpg)