【文字数(本文):約1万2千文字(目安20分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『不滅のあなたへ Season3』第11話「かれらのいえ」を鑑賞しました。
本レビューでは、アニメの感想に加えて原作を読んだ際の気付き、個人的な解説や考察をお届けします。
時文次話以降のネタバレはありません
ご安心ください!
皆さんの理解の助けとなり、作品をより楽しんでいただければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
原作コミック 16巻 #140「ひとのふり」から#142「かけていくゆめ」まで。
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- フシ、イズミノッカーの居場所がなぜ分かった?
- ミズハは、母親が別人だと分かっていた!?
- 母イズミは殺されたのに、なぜ母みやびは殺されなかったか
- (原作) 「ぜんぎょうたい」ってどんな漢字?
- (考察) ノッカーはフシの体で何するつもり?
- 母イズミは、次期当主ではない!?
- (考察) ノッカーはなぜミズハを完全に乗っ取らない?
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『不滅のあなたへ』は、「週刊少年マガジン」に連載された大今良時先生による漫画作品が原作です。
私は原作漫画は未読で、アニメ鑑賞後にアニメ化済み部分のみを読んでレビューを作成しています。そのため、次話以降のネタバレはありませんので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
なお、原作コミックの情報については「原作情報」として区別して記載します。
ココア緑系の色を目印にしてね!
時文ちなみに、考察や疑問はオレンジ系です
補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際の目安にしてください。
全22話 各話リスト
| 話数 | サブタイトル | 原作巻数 |
| 第1話 | 穏やかなる世 | 13巻 |
| 第2話 | こころのむすびめ | |
| 第3話 | みずは | |
| 第4話 | いなくなったひと | 14巻 |
| 第5話 | とどかぬことば | |
| 第6話 | へいわのしょうめい | |
| 第7話 | しゅうげき | 15巻 |
| 第8話 | やっかいごと | |
| 第9話 | こばむいのち | |
| 第10話 | ひとのふり | |
| 16巻 | ||
| 第11話 | かれらのいえ | |
| 第12話 | ||
| 第13話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
フシはイズミノッカーを始末しようと行動に移すが、ミズハの必死の訴えに心が揺らぐ。ミズハの思いに向き合った母イズミは、自らの過去を打ち明ける。
娘ミズハの選択は致し方なしか、運命か・・・。
母イズミの方針は仕方なしか、自業自得か・・・。
ラストシーンを見る限り、ミズハは完全に守護団側へ闇堕ち。
母イズミは守護団が嫌で家を抜け出したはずなのに、一族の血からは逃げられない・・・。その上、ミズハへの厳格な教育が、皮肉にも娘を守護団に導いてしまう。
もしかして、母イズミの抵抗も、娘ミズハの葛藤も、全て守護団の掌の上!?
だとしたら、確かに母イズミは完敗。
『不滅のあなたへ Season3』は全22話。
3期前半は次期当主誕生エピソードだったのです。
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 11話「かれらのいえ」
#140 「ひとのふり」
フシは、ノッカーは悪だと決めつけイズミノッカーを追い詰める。しかし、ミズハの必死の訴えが、フシの決意を揺るがせる。
サーチ
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
人間ごっこはもう終わりだ。
by フシ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第10話
前話ラストから今話冒頭、続々ミズハの元に集まる面々。イズミノッカー、フシだけではありません。母イズミ(霊体)、ボンシェンまで・・・。
皆、なぜミズハの居場所が分かったのでしょうか?
ココアあっ、言われてみれば…
フシは何となく分かるけど他は何で?
では、フシからいきましょう。
フシは、ミズハが行方不明になった3期3話時点ではまだ覚えていませんでしたが、今はもう地上に張り巡らした根から得る感覚で、ミズハの居場所が分かります。
アニメではカットされていますが、3期4話、廃墟となった神社で待ち合わせていた時、フシはミズハの前に突然現れます。
フシ:ミズハ!
ミズハ:わっ、よくわかったね!
フシ:ああ、君の足を感じて・・・。
ミズハ:なんか変態っぽい・・・。– 中略 –
ミズハ:聞いて、ママが生きてたの。
※前半部分は、アニメではカット
by 『不滅のあなたへ』コミック14巻
ココアセリフだけ聞くと確かに変態っぽい…
時文だからカットされた!?
でも、アニメでも聞きたかったな…
ただ、フシが探しているのはミズハではなく、イズミノッカーです。
ミズハの感触を探り、そこへ向かう別の感覚を察知。近づいているのはイズミノッカーだと判断し、駆けつけたのではないでしょうか。
── ママ・・・。何で、ここにいるって分かったの?
だって、ミズハのママだもん。
by イズミノッカー『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
そもそも、前話終盤 ──
イズミノッカーは、なぜミズハの居場所が分かったのでしょうか。
母親だったら娘の位置が分かるなら、3期3話でミズハが行方不明になった時、苦労しません(苦笑)。
イズミノッカーがミズハの位置を把握できたのは ──
ノッカーは離れていてもノッカー同士で連絡が取れます。
ココアおお、そういえばそうだった!
イズミノッカーは、ミズハの中にいるノッカーと連絡を取って居場所を把握したのではないでしょうか。
前話、ミズハの父イツキがイズミノッカーにスマホを渡すシーンをわざわざ描いて見せたのは ── ノッカーはスマホなしで連絡が取れるからスマホは不要、ということを示唆しているのでしょう。
ココアおおっ、そういうことか~~
よく分からないのは、母イズミ(霊体)とボンシェンです。
特に母イズミ。
しばらく姿を見せなかったのに、なぜこのタイミングで現れたのでしょうか・・・。
時文あっ、そういうことか!
ココアおっ、分かった?
ミズハですね!
母イズミは、前話でミズハノッカーがフシに正体を明かした時そばにいたことが、この後のシーンで明かされました。

知らなかった。あそこで話を聞くまでは。
by 母イズミ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
この時、ミズハはフシに嫌われたと思い絶望していました。だから帰らず、雨の中一人で落ち込んでいたのでしょう。
イズミは、ミズハが心配で後をずっと追いかけていたのではないでしょうか。いや、もしかすると姿が見えない間ずっと、ミズハの近くにいたのかもしれませんね・・・。
時文だから前話の場面にも居合わせた…
もし、そうだとしたら・・・何のことはない、イズミは、ちゃんとミズハの母親をしていたのです。
ココアそういうことじゃん!
時文不器用なんだろうね
心は開いてなくても、娘を大事にする気持ちはきっとあるんだよ…
となると、ボンシェンがあの場にいたのは、フェンかニクソンが伝えたのでしょう。フシというより、イズミの居場所を・・・。
その場へ行くと、偶然フシがイズミノッカーを追い込んでいる場面に出くわしたのではないでしょうか。
揺さぶり
そいつの体に根を入れた。
– 中略 –
あとは溶けた鉄を作り出せば、体の内側から全て焼き尽くすことができる。
by フシ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
ノッカーは簡単には倒せません。倒すには、コアが入っている頭部を燃やす必要があることが、前話で分かりました。
最初、フシは剣で戦おうとしていたので、どうするつもりだと思いましたが・・・なるほど!
フシの根を伸ばしてイズミノッカーの体に突き刺し、脳まで侵入。そこから溶けた鉄、つまり1,000度以上で液体となった鉄を出せば、人間の肉などノッカーごとアッと言う間に焼却できるのです。
う~~ん。
やはりフシはアホ・・・。失礼、お人好しですね。
こんな技が使えるなら、姿を見せず遠隔でやればいいのです。
ココアあっ!そうじゃん!
時文誰がやったか分からず、完全犯罪成立です
ココアそっち!?
冗談はさておき(笑)。
では、なぜフシはわざわざ説明などするのでしょうか? そんなことをするから、ミズハに懇願される時間を与え、決意がブレてしまうのです。
これは、フシもまだ迷っている証拠ですね。
フシは、ノッカーを殲滅すると決意したように見えますが、実は迷っているのでしょう。
他のノッカーと比べるとよく分かります。
みもりノッカーは、分かりやすい悪役の本性をさらけ出してくれました。
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
俺はいつだって死ぬ方に賛成だぜ!!
by みもりノッカー『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第9話
ミズハノッカーも、母イズミとフウナを殺したので悪ですね。
でも、イズミノッカーは違います。何も悪いことをしていません。
ココアあっ、そっか…
母イズミを殺したのは、ミズハ(ミズハノッカー)です。
母イズミの体を無断で乗っ取ったのは、死への冒涜ですが・・・。フシも似たようなことをしているとも言えます(苦笑)。
ココアえっ!? あ、確かに…
本物と入れ替わった偽物の母親は、ミズハに優しいどころか、完璧とまで言われています。そして、ミズハは確かにそのあと幸せそうで、明るく前向きになったのです。
こんな状況を見せつけられて、フシのようなお人好しが、イズミノッカーを無条件で処分できるでしょうか・・・。
ココアうーーん…
つまりフシは、イズミノッカーを倒す大義名分を得たかったので、脅して挑発して本性を暴こうとしたのです。
ミズハに偽物の正体をバラし、命を取ると宣言する。そうすれば、死を目前にしたイズミノッカーは、ミズハの前で本性を現し、フシは躊躇なく手を下せるという算段です。
ココアおぉ、そういうことか~~
逆に言うと ──
みもりノッカーのように悪意を確認できないと、フシは手を下せない。
以前のノッカーならいざ知らず。人の姿をしたノッカーにはどうしてもフシの決意は鈍るのです。
織り込み済み?
なぜ応戦しない?
by フシ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
君も、そいつも、ノッカーの力で暴れるくらいできるはずだ。
フシの言うとおりです。
ノッカーが2体いるのです。フシを倒すことはできなくても、逃げる目的なら抵抗して隙くらい作れそうです。
ノッカーは殺されるのを大人しく受け入れる種族ではないはずです・・・。
ココアミズハに正体知られたくないんじゃ…
時文だとしても変だね
ミズハに正体を隠しておきたいのだとしても、おかしな話ですね。なぜなら、フシが母親は偽物だと明かしています。既にバレています。
正体を隠しておきたいのなら、ノッカーが表に出ている間は記憶に残らない仕組みを利用して、ミズハノッカーが表に出てくれば良いのです。
抵抗もしない。フシを知らないフリして驚きもしない。殺されそうなのに慌てもしない・・・。
そうなってくると、考えられる可能性は ──
ノッカーは、フシの性格上、抵抗しないノッカーには手を出さないことを見抜いていたのだと推測できます。
時文これが、みもりノッカーをフシにけしかけた目的だったりして…
つまり、ノッカーにとって、フシの挑発は想定の範囲内だった・・・。
以降の展開から推測すると ──
むしろ、体を張って娘を守るイズミノッカーの姿をミズハに見せることで、ノッカーはミズハの味方だと信じ込ませるための仕込みではないか・・・。
などと、捻くれた私は考えてしまいます(笑)。
詳細は後ほど書きますが、母イズミは守護団を抜け出したつもりが、しっかり監視され、良き18代目継承者を作るために利用されていました。
何のことはない。
母イズミだけでなく、フシも利用されたのです。
フシは、ノッカーを野蛮で悪だと思い込んでいました。ところが、イズミノッカーは(少なくとも今回は)違ったのです・・・。
新しいママ
フシのもう一つの誤算が ──
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
新しいママは、私をトロフィーなんかにしない!
あれやれ、これやれって言わない。怖い顔して私を追い詰めて、自分のために私の時間を使ったりしない。つらい日常を変えるだけの力が、この人にあった。おかげで友達ができて毎日が、幸せだった・・・。どっちが母親にふさわしいか分かるでしょ?
by ミズハ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
私のことが心配なら、私の大切な人を傷つけないで・・・。
ミズハが必死で訴えてきたことです。
「新しいママ」・・・。
「新しいママ」の対義語は、「古いママ」あるいは「前のママ」。
つまり、ミズハは母親が別人になっていることを認識していたのです。
新しいママは、厳しく指示することなく、完璧さを強要せず、ミズハ自身の意思を尊重してくれます・・・。
今話後半の母イズミの回想から想像するに ──
ミズハが、こんなに自由に生活できたのは、生まれて初めてだったのではないでしょうか。
前話でも、イズミノッカーは究極のフォローをしました ──
もぉーやだぁ、ミズハは完璧な女の子なのよ。大切なのは、その子を好きって気持ちだけ。後は、なーんもいらない!
悲しみはママにぶつけて。明日から笑顔に戻らなきゃ、だよ?
by イズミノッカー『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第10話
せっかくのかわいい顔が台無しなんだから。
こんな風に言われたら、ミズハでなくても、母親でなくても、誰だって頼りたくなってしまいますよね・・・。
ココアうん、凄すぎる…
ちょっと反則かも
ミズハは、まだ中学生。14歳という多感な時期に、初めて体感した「幸せ」。
その根幹を支えたのは、新しいママ。
それを手放すことは、ミズハにとって死に等しい喪失です。たとえその正体が人間ではなくノッカーだったとしても・・・。
イズミとみやびの違い
新しいママは、私をトロフィーなんかにしない!
– 中略 –
どっちが母親にふさわしいか分かるでしょ?
私のことが心配なら、私の大切な人を傷つけないで・・・。– 中略 –
私の大切な存在を理解してくれてありがとう。
by ミズハ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
なるほど。
このシーンで一つ疑問が解消しました。
前話レビューで、私はノッカーの基準に矛盾があると書きました。(3期10話 )
母イズミはミズハにストレスを与えているから、殺した。
みもりに無関心だった母みやびには、何もしなかった。
ミズハとみもり、同じように母親との関係で悩みを抱えていたのに、対応がダブルスタンダードだったので、私は矛盾と指摘しました。
間違えていました。訂正します。
今話を見て分かりました。ノッカーは矛盾していません。
ココアどゆこと?
ミズハは、母イズミの教育方針、全てにおいて指図されることを窮屈に感じていました。それでも、母親の期待に応えたいと我慢していたのです。
一方、みもりは母親の注意を引きたいとずっと考えていました。
簡単に言うと ──
ミズハは、母イズミを嫌っていた。
みもりは、母みやびを好いていた。
ミズハとみもり、共に体の中にノッカーがいました。
つまり、対応が違ったのは ──
母イズミは嫌っていたので殺し、母みやびは好いていたので殺さなかった、ということではないでしょうか。
とてもシンプルな考えですが、怖い側面もあります ──
体に入り込んだノッカーは、そこまで深く心情を理解しているのです・・・。
#141 「かれらのいえ」
しばらく姿を見せなかった母イズミ、フェン、ニクソンの霊体が戻ってきた。彼らが、みもりノッカーの後を追い、見たものとは・・・。
人間以上に人間
痛みを感じ、涙を流す。娘を庇い、ウソをつく。
by フシ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
本当に、人間と同じじゃないか・・・。
イズミノッカーは、まるで人間のよう・・・。
たとえノッカーであっても、痛みを感じ、誰かを守ろうと必死で体を張っている人を、フシは殺すことなどできません。
それに、無意識か意識的かは分かりませんが、フシはもっと肝心なところに触れていませんね・・・。
もういいわ、ミズハ。ありがとう。愛してる。
by イズミノッカー『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
痛みや涙だけではありません。ノッカーが、愛を語ったのです。
フシに抵抗する力を持ちながらそれを使わず、娘ミズハを守るために全く抵抗しない。
その姿はさながら子どもを守る母親のよう・・・。
そうです。
ノッカーが「愛」を理解しているのです。
── 人間とノッカーの違いって・・・。
愛さ!
by アオキユーキ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第6話
ノッカーにはきっと愛がないんだ。
人間であるユーキに教えてもらった人間とノッカーの違いは愛だと思っていたのに、イズミノッカーは既に愛を理解しているようなのです。
フシは、絶賛、愛を勉強中。そんなフシより先に、ノッカーが愛を知っていたのです・・・。
時文これって、フシよりノッカーの方が人間ってことじゃ…
ココアえっ、そういうことなの!?
人間の定義の正解は分かりません。
ですが、フシとイズミノッカーを見比べて、どちらが人間らしいかというと・・・。
ココアイズミノッカーの方が人間っぽかった…
時文うん、今話に限ってだけどね…
はい。
今話を見る限り、フシよりノッカーの方が人間に近いのです・・・。
そして、母イズミより、イズミノッカーの方が母親らしいのです。
だから、母イズミも落胆したのでしょう。
それにしても、何ともフシの性格を突いた作戦ですね。
イズミノッカーは、みもりノッカーのような凶暴性を一切出していません。
いや、逆か!?
ノッカーが凶暴だとみもりノッカーで示されたからこそ、イズミノッカーが人間よりも人間らしく見えてしまうのです。
ココアえっ、ノッカーそこまで計算してたってこと!?
時文分からないけど、もしそうだとしたら恐ろしいね…
ここまで来ると、ノッカーだからといって問答無用で処分するわけにはいきませんね・・・。
一応、補足しておきますが ──
ノッカーが悪ではない、と言っているのではありません。
ノッカーは母イズミ、みもりの体を無断で乗っ取りました。この一点だけで、ノッカーか人間かにかかわらず悪です。
みもりは自殺したため、その体を譲り受けたとノッカーは言っていました。しかし、無断で使ったのは奪ったのと同じです。
もっと悪いのは、母イズミやフウナを殺したことです。
前話レビューでも書きましたが、守護団を含めたノッカー達は、自分たちの理想を実現するために都合の良い解釈をしているのです。
ノッカーであるかどうかに関わらず、こういう悪事を働く輩は許してはならないのです。
原) 殽体
我々が命名したのだが、体内に侵入したノッカーは人間にどう影響し、どう動くかいくつかのパターンがある。
通常ノッカーは眠っていて、人間は自らの意思で行動する。それは我々と何ら変わりない存在。
だが、時として、覚醒したノッカーが意識を奪い、体を動かす。ノッカーと人間が共存する個体。これが半殽体。
そして人間の魂が完全に抜け去り、ノッカーが支配した状態。その人に成り代わって生きている個体。それが ──
── 全殽体だね。
by ボンシェン『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
「ぜんぎょうたい」「はんぎょうたい」は、原作コミックによると、次のような漢字で書くようです。
半/全殽体
見たこともない漢字が出てきました(苦笑)。
- 保有体:体に入っているが、ノッカーは眠った状態
- 半殽体:ノッカーは時々覚醒。覚醒時、その体の意識を奪う
- 全殽体:ノッカーが全てを乗っ取った個体
この状態からすると、数は「保有体>半殽体>全殽体」の順になります。
観察者こと少年サトルは、違和感でノッカーに寄生された人を察知できます。街で何気なく聞いてみると、簡単に見つかった全殽体。
だとすると、ノッカーに侵入された保有体以上の人はどれくらいいるのでしょうか・・・。
守護団18代目継承者

みもりノッカーが言ってた”あの人”ってのは、やっぱりミズハのことだったな。
守護団18代目継承者。
by フシ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
「やっぱり」という表現は、フシは既にミズハに何らかの疑いを持っていたことを示しています。
原作では ──
カンが当たったようだね。
by ボンシェン『不滅のあなたへ』コミック16巻
とまで言っています。
フシは、ミズハと出会った時、彼女がカハクの生まれ変わりだと気づきました。
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
母親を刺した4話以降、フシがミズハに優しくしていたのは、てっきりミズハがカハクの生まれ変わりだから心配している、と思っていました。
ノッカーがまだ残っていると知った頃から、ミズハには何かあると疑いをかけていたのかもしれませんね。
ココアだからミズハを気に掛けていたんだ
時文そういうことになるね
そこへ、みもりノッカーの「あの人」発言と、フシの抜け殻を欲しがる特性が加わると、フシでなくても、ハヤセ一族の血を引きカハクの生まれ変わりでもあるミズハを疑いたくなりますね。
ココア確かに…
でも、そんなことを知らないミズハから見ると ── フシが心配してくれている、自分に気があるのではないか・・・などと、ほんの少し期待させてしまったのです。
ココアあ~~、ありえそう
用途
みもりノッカーが抱えていたフシの身体は、学校屋上での戦いで手に入れたものです。
また来ていい? 楽しいの大好き。
あの人も喜んでくれる。これもらうねー
by みもりノッカー『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第7話
抜け殻を”あの人”に献上して、何をするつもりなのでしょうか?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧ください。
続きを読む (クリックしてください)
少し事実を整理しましょう。
ノッカーは、人の体を自在に操ることができます。ですが、フシのように体を作り出す能力はなく、ノッカー自身が人として活動するには誰かから奪わなければなりません。
一方、フシが瞬間移動後に元の場所に残した体は、生命活動を持たない物体です。
つまり、フシの抜け殻(死体同然の物体)をノッカーの器として利用すれば、ノッカーが新たな人間として活動できるようになるのです。
ココアえっ、二人同時はできないんじゃ!?
時文おっ、よく覚えているね!
その通り。
フシは、生きている人に変身するのは不可能です。亡くなった人を生き返らせる時も、体ができあがった瞬間にその者が戻ってくるので、コピーの作成はできません。
時文同時に複数作ったらどうなるんだろ…
要するに、フシの力では、生きている人のコピーは不可能です。
一方、ノッカーは人の体へ物理的に侵入して操作します。つまり、フシの抜け殻のような”空いている器”があれば、使えるのではないでしょうか。
ココアそれって、ノッカーがフシの力使えるってこと!? ヤバくない!?
時文いや、少年の体を使われるだけで、フシの能力は別だね
ココアあっ、そうか!
それにしても、フシの抜け殻を抱きかかえ、顔を上げたミズハノッカー ──
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
視線は、一見みもりノッカーの方を向いているようですが、上方(入り口上部)を向いているように見えます・・・。
そこには出入り口があるだけで、他には何も見当たりません。
もしかして、ミズハノッカーにはフェンとニクソンが見えているのでしょうか・・・。
もしそうであれば、母イズミやみもりの霊体も見えていることになります。
二人とも確かに「死にたい」と考えたかもしれません。ですが、楽園へ行かずこの世に残っているのです。そんな様子を見て、人の体を奪ったノッカーは何も思わないのでしょうか・・・。
隔世継承
もっと経典を読みなさい!
by ミズハの祖父『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
次期当主を育てるのは、君なんだぞ!
サラッと流されていますが、ここ重要です。
ココアえっ、そうなの!?
イズミは父親から、次期当主ではなく「次期当主を育てるのは君」と言われています。
つまり、次期当主はイズミの娘であるミズハであり、イズミは次期当主ではないのです。
ココアあっ、そうか!
でも、どういうこと??
時文分かりにくいよね…
結論を先に述べておきましょう。
守護団当主は、一世代置きに継承されます。つまり、祖母の次は娘ではなく、孫です。
これは、守護団が生まれ変わりを信じているからだと思われます。
「不滅のあなたへ/alu.jp」より引用
私はハヤセの生まれ変わりなのです。
by ヒサメ『不滅のあなたへ Season2』TVアニメ第1話
祖母は生前、私の母の腹に自分が宿ると言っていたそうです。
初代継承者・ヒサメによると、祖母であるハヤセは生前、娘のお腹の子に自分が宿ると言っていたそうです。
自分の子どもに自分が宿るのは、同時に二人の当主が存在する矛盾が生じます。そのため、生まれ変わりは最短でも一世代飛ばして孫にするのが最適なのです。
つまり、守護団は始祖であるハヤセの言葉を守り、一世代置きに次期当主を受け継いでいるのです。
カハクは6代目継承者
守護団にとって大事なのは一族の血。特に継承者は最重要です。
当主になる資格を生まれ変わりとするなら、同時期に二人は存在できません。そうなると、現当主が亡くなるまで、生まれ変わりは待たねばなりません。
だから ──
何言ってるのお父さん・・・お母さんが死んだばかりなのよ?
by イズミ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
母親(現当主)が亡くなり、生まれ変われる条件が整ったため、父親は急に子どもを産むよう言い出したのではないでしょうか。
ココアひえっ!
そういうことか…
さあ、ここまで書けば、皆さんもうお分かりですよね。
守護団(父)が真に大事にしているのは次期当主。つまりイズミではなく、イズミの子ども。
イズミは、次期継承者を産むためだけの存在だったのです。
ココアえっ、そんなことはないんじゃ…
少し言い過ぎましたか?(苦笑)
そうですね。イズミは良き子どもを産み育てるための環境は与えられていました。また、当主交代の空白期間には、守護団を統率する役割も担わされていました。

イズミ、よくできたわ。
by イズミの母『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
教団をひっぱる素質、十分あるわね。
でも、それもこれも守護団のため、良き当主を育てるためだとしたら・・・。
重要なのは次期当主であって、その母親であるイズミは重要ではない。だからこそ、父親も、夫も、イズミの体をあっさりノッカーに受け渡すようなことを受け入れたのではないでしょうか。
ココアあっ・・・
ミズハが18代継承者だとすると、ハヤセから数えて何世代経っているのでしょうか?
継承者は一世代置きなので、36世代。ハヤセを1世代目とすると、ミズハは37世代目になります。
#142 「かけていくゆめ」
敵との戦いに悩むフシに対して、イズミは守護団の当主一族として育てられた自分の人生を明かす。
分岐点
自慢の子だね。18代目としての素質は十分だね。
by イツキ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
なんと、守護団と縁を切るために家を飛び出したのに、結婚した夫が教団の人間だったのです。
ミズハを出産し退院した時、祖父が駆けつけたはずです。教団と繋がっている夫から祖父に、イズミの状況は逐一報告されていたのでしょう。
── 死にたい。
どうしたら、ママ、死にたくなくなる?
by ミズハ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
この時のミズハはママが大好き。母親を救うために、完璧な娘になろうと決意したのでしょう。
ミズハが一番を目指すようになったのは、この時の約束が元になっているのでしょう。ミズハの成長は母親との約束が元になっているのです。
もし、ミズハがこの時のことを覚えていたなら。
もし、イズミが完璧を求め続けなければ。
もし、二人のこの時の関係が続いていたなら・・・。
心に決めた。
この子を誰よりも立派に育て、父を教団を見返してやる。私の選択は間違ってない。意地でもそれを証明したかった。– 中略 –
娘の人生は私の人生だった。
by イズミ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
決して、イズミは娘のことを愛していないわけではありません。むしろ存在全てを愛おしいと思っていたでしょう。
ただ、その愛情が、完璧さと優秀性を求めるという偏った方向になってしまった。
ほんのちょっと、ほんの少しだけ、父に守護団に対抗したい気持ちが強かっただけ。
意地っ張りで頑固。
私はどこまでいっても毒親なのよ。そんな親に子どもを救えると思う?
by イズミ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
イズミは、自分の子育ての失敗と毒親ぶりを認め、ノッカーに敗北宣言したのです。
共に生きる
私のノッカー・・・。
by ミズハ『不滅のあなたへ Season3』TVアニメ第11話
これは、ミズハが自身の中にいるノッカーを認めた、ということでしょう。つまり、自分が次期当主として生きていくことを認めたのです。
通常なら ──
14歳の乙女です。母親の正体を知ったり、体内にノッカーがいることが分かったら、ショックを受ける展開です。
イズミは教団を知れば知るほど嫌気が差し、反抗しました。
ミズハはイズミとは逆に、教団に触れることで希望を見出してしまったのです。
そうなってくると、考えたくなるのは ── これは偶然か、運命か、それとも・・・。
私は、レビュー冒頭で「娘ミズハの選択は致し方なしか、運命か」と掲げました。そこにもう一つ加えましょう。
ミズハの状況は、偶然の産物か、守護団によって作られたものか。
さあ、あなたはどう思いますか?
と、こう書くと、守護団によって作られたものだと考えてしまいますよね(苦笑)。
もう少し深く考えてみましょう。
イズミに対しては、ある意味、教団の干渉は最小限。イズミの自由意志を尊重してきたようにも見えます。
ミズハが本物の母親ではなくノッカーを選んだのは、イズミの毒親要素が大きく、ノッカーへ救いを求める形に追い込んでしまったのです。
大体、もしミズハを完全に支配したいのなら、ノッカーや守護団にはもっと簡単な方法があります。
ココアえっ、何?
それは、ミズハ自身を殺して、ミズハノッカーが完全に乗っ取ることです。
ココアコワッ!
でも、確かに…
守護団、いや、ミズハノッカーはなぜそれをしないのでしょうか・・・。
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧ください。
おわりに (『不滅のあなたへ Season3』11話とは)
前話レビューで、元左腕のノッカーが全てを仕切っていたかのように書きました。それが真実かどうかはまだ分かりません。
ただ、今話で言えることは ──
やはり3期はミズハがキーパーソンだということ。
オープニングや存在感から、ミズハが3期の鍵であることは薄々感じていました。ですが、ミズハはノッカーのことも、守護団のことも、まだほとんど知らず、フシへの想いに惑う少女というポジションに収まっているように見えていました。
ですが、それはミズハという14歳の少女を紹介する序章部分でした。どん底から覚醒へ ── フシからノッカーへ。どうやら、守護団当主となってフシの前に立ちはだかる存在になりそうです。
『不滅のあなたへ Season3』は全22話。今話11話でちょうど半分。3期前半は、守護団の18代目当主誕生を描いた序章だったのです。
才色兼備な少女が、守護団当主となってフシの前に立ちはだかる。
でも、フシのことです・・・。ミズハが守護団に墜ちてしまってもなお、フシはミズハを救いたいと葛藤するでしょう。ミズハは、フシの敵となるのか、フシに守られるヒロインとなるのか~~。
ようやく3期の全容が見えてきました!
以上、TVアニメ『不滅のあなたへ Season3』第11話の感想&考察レビューでした。長文にもかかわらず、最後までお読みいただきありがとうございました。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越しください。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
応援(投げ銭)
本レビューを面白いと思って下さった方、気に入って下さった方、サポートして頂けるとブログ作成の励みとなります。
Amazonギフト券の贈り方
次の4点(金額、受取人)を記入願います。
- 金額:一番右に自由記入欄があるので、1記事100円を目安に、お好きな金額ご記入下さい。もちろん100円以上でも大歓迎です♪
- 「宛先」or「受取人」:メールアドレス「gift2toki23@gmail.com」
- 贈り主:ご自身のお名前をご記入下さい(匿名でも可)
- メッセージ:好きなメッセージをご記入下さい(デフォルトでもOK)。
全て記入終えましたら、「カートに入れる」or「今すぐ購入」を押して決済に進んで下さい。(ここからは、普段お使いのAmazonでの商品購入時と同様です。)
よろしくお願い致します。
ココアこれで毎日ケーキ食べられるかな!?
時文(君のケーキの為にサポートお願いしているんじゃないだけどね…) 皆に応援してもらえるよう頑張ろう!
音声解説
GoogleのAIリサーチツール「NotebookLM」を使って、本レビューの概要を作成しました。
※考察内の”(当たっているとネタバレになってしまう)隠している部分”は対象にしていません。その部分は、本文で確認願います。
概要とはいうものの、客観的な視点もあり別コンテンツとしても楽しめます。
ココアこれが自動でできるの!?
しかも、何気に持ち上げてくれている(笑) スゴッ!
時文いや、冗談抜きで凄いよAI…
今週のX感想ポスト
#不滅のあなたへ S3 11話
— 時文@(『不滅』レビュー中)ここアニ管理人 (@toki23_a) December 18, 2025
娘の選択は致し方なしか、運命か
母の方針は仕方なしか、やぶ蛇か
出てきたのに逃れられない一族の血。娘への教育熱心さが逆に守護団へ心を開くパスとなる..全ては守護団の掌の上!?😱
これは確かにイズミ完敗
3期は全22話-前半は18代目誕生プロローグだった!?#アニメ不滅3
関連記事
アニメ『不滅のあなたへ Season3』次話のレビューはこちら!
Coming Soon
