アニメ【幼女戦記】8話感想&考察 守っているのは民か国か命令か…超合理主義が狂気に映る

幼女戦記 8話

【文字数(本文):約9千文字(目安15分)

こんばんは。時文ときふみ(@toki23_a)です。
TVアニメ『幼女戦記』第8話「火の試練」を鑑賞しました。

本レビューでは、アニメの感想に加えて原作を読んだ際の気付き、個人的な解説や考察をお届けします。

時文

次話以降のネタバレはありません
ご安心ください!

皆さんの理解の助けとなり、作品をより楽しんでいただければ幸いです。

今話の原作

今回アニメ化されたのは──

原作ノベル

2巻 第六章「火の試練」

コミカライズ

13巻35話-14巻38話

今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)

本レビューの方針

本レビューは、次話以降のネタバレなし

アニメ『幼女戦記』は、カルロ・ゼン先生によるライトノベルが原作です。

私は2017年放送時に最終話まで鑑賞済み。当時、原作・コミカライズは未読でした。

2026年7月の2期放送開始に向け、1期を改めて視聴中。各話のレビュー作成時に、その話分のアニメ化済み部分のみを読んでいます。

原作全体は未読なので、2期以降のネタバレは物理的に不可能です視聴済みの1期部分も含め、次話以降のネタバレは書かないので、ご安心ください

アニメ鑑賞

原作ノベル・コミカライズを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」

なお、原作の情報については「原作情報」として区別して記載します。

原作(or コミカライズ)情報
ココア

緑系の色を目印にしてね!

時文

ちなみに、考察や解説はオレンジ系です

考察(or 解説)

補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際の目安にしてください。

補足

各話リスト

幼女戦記 (全12話+閑話)
話数サブタイトルコミカライズ原作ノベル
第1話ラインの悪魔1・2巻1巻
第2話プロローグ1巻
第3話神がそれを望まれる
第4話キャンパス・ライフ2・3巻
第5話はじまりの大隊4巻
5巻2巻
第6話狂気の幕開け
6巻
第7話フィヨルドの攻防
7巻
第8話火の試練13・14巻
第9話前進準備
第10話勝利への道
第11話抵抗者
第12話勝利の使い方
閑話砂漠のパスタ大作戦

※話数:リンクは各話レビューへ

目次

はじめに

TVアニメ『幼女戦記』 第8話「火の試練」予告
今話あらすじ

西方方面の補給路であるアレーヌ市でパルチザンが蜂起。ターニャの大隊に特命が下るが、実態は民兵と非戦闘員の区別が困難な市街地掃討戦だった ──

守っているのは、民か、国か、命令か・・・
悪いのは、ターニャか、組織か、戦争か・・・

パルチザン、市民、帝国軍、ターニャ。それぞれが守ろうとしているのは自分が考える正しさ。なのに、それでも地獄になるのが戦争・・・。

徹底した合理主義は、時に狂気として映る

ターニャが恐ろしいのは合理性ではなく、感情抜きで実行できることか・・・。

では、今話を振り返っていきましょう。

感想&考察レビュー『幼女戦記』8話「火の試練」

アバンタイトル

あらすじ

統一暦1925年、ターニャ率いる第203航空魔導大隊は、ライン戦線へ転属。共和国との激戦が続いていた。

ライン戦線

統一歴1925年4月 ライン戦線

by 『幼女戦記』TVアニメ第8話

前話から時は流れ、4ヶ月後 ── 今話から舞台は、西方です。

原作情報

原作エピソードが大幅カットされました。
ボリュームは原作ノベルで2章分。コミカライズだと12話分、なんと約5冊分カットされました・・・(涙)

前話レビューで、協商連合アンソン・スー大佐が娘メアリーと別れるシーンや短機関銃をプレゼントされるシーン、ターニャとの直接対決は原作にはないと記載しましたが、この飛ばされた部分で描かれていました。

カットされたエピソードには、北方方面での休暇や、海上戦、ライン戦線に配属されてからも幾つか作戦があります。いつか描かれるのでしょうか・・・。

Aパート

あらすじ

第203航空魔導大隊は、西方方面補給路上にある元共和国領アレーヌ市でのパルチザン蜂起を鎮圧する特命を受ける。指令部は市内の敵を「共和国軍」と位置づけるが、実際には市街地戦において民兵と非戦闘員を識別することは極めて困難な状況と思われた。

蜂起

── アレーヌ市でパルチザンの蜂起であります
アレーヌ市は元共和国領火種はくすぶっていたわけか・・・

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第8話

パルチザンとは、武装した一般人によって組織された非正規の先頭集団のこと。

考察

なぜパルチザンは蜂起したのでしょうか?

帝国の圧政か、それとも単に祖国である共和国を忘れられなかったのか・・・。この辺は、帝国の政府が出てこないし、占領したアレーヌ市の生活状況も描かれていないので不明です。

原作も同様です。

帝国が西方で共和国と開戦してから、およそ2年

今回の戦争で占領下にしたのかは不明ですが、ターニャが言うとおり、元共和国領であるアレーヌ市には、帝国への火種がくすぶっていたのでしょう。

蜂起を見落とした憲兵の落ち度ですね・・・。

ライン戦線後方

後方地域が遮断された?
── はい。アレーヌ市でパルチザンの蜂起であります。

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第8話

重要なのは、西方方面と中央軍を結ぶ補給路が押さえられたことです。これによりライン戦線の補給が断たれてしまうのです。

原作情報

原作によると ──

 だが、この程度の難癖は許容されてしかるべきほどにアレーヌ失陥は都合が悪すぎるそこを通る鉄道が一日麻痺するだけで、前線に何万トンという砲弾と糧食を送り届ける兵站線が物理的に途絶されるのだ

– 中略 –

そして、ダメ押しとばかりに代替線が走っていない

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

前線への砲弾と食料の輸送手段は鉄道。その要がアレーヌ市。ほんの数日でも補給が途絶えると急速に戦力を失うのです。

だから、アレーヌ市を占領した共和国セヴラン・ビアント中佐は ──

橋頭堡を確保し、長期戦に備えよ!1日でも戦闘を長引かせ、帝国の首を締め上げるぞ!

by セヴラン・ビアント中佐(共和国)『幼女戦記』TVアニメ第8話

と意気込んでいたのです。

考察

逆に、帝国から見ると、1日でも早く解決しなければ西方方面戦線に影響が出てしまう。

だから、無理筋でも早期解決策を採らなくてはならないのです。

補給線攻撃

前線ではなく敵の後方を攻撃し補給路を押さえるあとは、兵糧攻めにするか、前方と後方から挟撃する ──

この状況、どこかで見覚えありませんか?

はい、前話で帝国軍参謀本部がターニャ達に奇襲させた、オース・フィヨルド上陸作戦と狙いは同じですね。

幼女戦記 7話
『幼女戦記』公式HP「Story 第7話」より引用

帝国が協商連合にやった作戦を、今度は共和国に仕掛けられたのです

原作情報

それどころか、どうやら共和国は帝国の作戦を真似たようです。考案者が、今回アレーヌ市に魔導部隊で出撃してきたセヴラン・ビアント中佐のようです。

空挺降下です共和国軍が空挺作戦を。敵魔導師が反徒と合流する模様。

by 憲兵『幼女戦記』TVアニメ第8話

この手法も、前話でターニャ達が航空機で近づき降下した作戦を真似ています。

考察

明示されてはいませんが、今回のパルチザン蜂起は共和国軍が手引き、あるいは利用したのでしょう

だから、ビアント中佐は即アレーヌ市に乗り込めたのです

ビアント中佐は、本作戦だけでなく、第203航空魔導大隊の戦い方を研究して、自軍に取り組んでいます。アニメではカットされたライン戦線でのエピソードで描かれているので、興味ある方はコミカライズ・原作ノベルをお読みください。

ちなみに、セヴラン・ビアント中佐は1話から登場しています。時折、共和国が描かれますが、その時、ピエール・ミシェル=ド・ルーゴ将軍に報告しているのがビアント中佐です。

排除命令

これよりアレーヌ市に避難勧告が出される勧告以降、市内に残っているものは国際法的にすべて共和国軍部隊と見なされるだろう。上からは、市内に残った敵すべてを排除しろとの命令だ。敵魔導部隊を排除後、砲兵隊による砲撃を行う。

by モーリッツ=ポール・フォン・ハンス司令官『幼女戦記』TVアニメ第8話
考察

戦争といえども、近代は国際法に則らなければなりません。戦場でも、一般市民や非戦闘員に向けての攻撃は、国際法で禁止されています。なので、市民がいる市街地での戦闘には気を使わなくてはなりません。

そんな中、アレーヌ市で共和国軍+パルチザンを排除しなくてはならないのです。

通常、このような場合は即刻砲撃などできず、手間と時間をかけて攻略していきます。しかし、今回は補給路を断たれてしまったので、時間をかけるわけにはいきません。(逆に共和国は、帝国の攻略に時間をかけさせることが狙いです)

そこで考え出された対策が、法の目をかいくぐる今回の作戦です。

避難勧告を行い、一般人や非戦闘員は避難してもらいます。実際は避難できていようといまいと関係ありません。何度か避難勧告を実施し、捕虜がいないと判断できれば、残っているのは全て共和国軍だという理屈です。

最後の一兵まで戦うぞ!的なことを言わせれば、なお良くて、武器を持っていようといまいと関係なく戦う意思のある組織と定義づけができ、国際法的には戦闘員にできるという無理矢理な解釈です

ココア

“とんち”みたい…

時文

ホントに、そうだね

グランツ少尉

本当にいいんでしょうか。市内の敵すべてを排除するってことは、つまり・・・

by グランツ少尉『幼女戦記』TVアニメ第8話

グランツ少尉の発言は、一見、普通の感覚を見せていますが、ちょっと違和感がありますね(苦笑)。正直何を今さら・・・、という感じです。

なぜそう思ったのか2点理由があるのですが ──

原作情報

1点目は、原作を読んで解決しました。

原作では、グランツ少尉はこの辺から登場します
グランツ少尉は士官学校上がりで、新兵訓練として第203航空魔導大隊で実戦訓練を受けています。そんな折、1名補充が必要になったので、グランツ少尉に白羽の矢が立ちます。

なので、グランツ少尉は実際に敵兵を殺したのもまだ最近、心の整理ができていない状態でこの作戦に参加することになったのです。

ココア

そりゃあ、辛いかも…

アニメでは、大隊編成再教育時からグランツは登場しています。

幼女戦記 5話
『幼女戦記』公式HP「Story 第5話」より引用

雪山での訓練で雪崩が起きた時、大声を出していたのがグランツです。(5話 )

ベテラン軍人ではなくごく普通の感覚を描くために、登場させたのでしょう。

虐○行為

勧告を行ったところで、素直に応じるとは思えませんし、聞くところでは砲撃まで行うと・・・
代替民兵と非戦闘員の区別など不可能です下手すれば虐 ──

── それ以上は、言うな。

by グランツ少尉『幼女戦記』TVアニメ第8話

釈然としないのはグランツ少尉だけではなく、ヴァイス中尉もです。

違和感2点目 ── 何を今さら②・・・

考察

私からしてみれば、第203航空魔導大隊は、非戦闘員への攻撃も、大量虐殺も既にやっています

5話で、ダキア公国の首都を襲撃したことです。(5話 )

狙ったのは兵器工場で、ちゃんと避難勧告もしている?

幼女戦記 5話
『幼女戦記』公式HP「Story 第6.5話」より引用

宣誓!僕たち、私たちは国際法にのっとり、正々堂々、戦争することを誓います。
警告します。帝国軍はこれより軍事施設を攻撃します。

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第5話

はい、確かに国際法上には乗っ取っています。今話よりずっと常識的です。私が指摘しているのは、敵の非戦闘員や一般人の命に関して、隊員達はまるで心配していないということです

避難勧告をしたのは、ターニャが咎めたからです。

── 私達には好機です襲撃を!

少尉、我々は戦時国際法を無視する野蛮な集団ではないのだぞ。人道主義者が定めた法律通り、敵の工廠だけを破壊し、避難勧告も出さねばならん。

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第5話

部下達は、これを好機だと捉え(工場だけではなく)全滅させる勢いで主張しています。それをターニャが咎め、避難勧告をして工場のみ攻撃するよう指示しています。

ですが結果的に、ターニャの幼い声で子供のイタズラと思わせ誰も避難をさせず、躊躇うどころか喜々として攻撃しています。

兵器工場とはいえ工員は非戦闘員です。確かに、攻撃時に工場内にいる場合は止むなしとされていますが、だからこそ、事前に避難させることが人道的とされています。(だから国際法上避難勧告が必須)

ターニャのエレニウム九五式を使った術式に、隊員達の統制射撃。ターニャが「たーまやー」と叫ぶほどの爆発が起きました。被害は工場だけに留まらないでしょう。

はい、隊員達は、敵の非戦闘員や一般人の命を奪うことには何の悪気もないのです。それどころか積極的に実行しているようにすら見えます。

時文

ま、顔が見えてないからだと思いたいけど…

ココア

そだね…

では、そんな彼らが、なぜ今回の作戦に動揺するのか。それは、アレーヌ市にいる一般人は帝国臣民だからですね。

彼らに自国か、国籍か、人種による思想を見るのは、深読みしすぎでしょうか・・・。

念のため書いておきますが、今回の件、元はと言えば、悪いのは、このような作戦を仕掛けてきた共和国です。

Bパート

あらすじ

特命を受けた第203航空魔導大隊は、アレーヌ市へ向かう。共和国魔導部隊を撤退させ、砲撃隊による攻撃が始まる。

共和国の状況

わずか数時間で飛んでくるとは、よほど事態を深刻に受け止めているらしいな

by セヴラン・ビアント中佐(共和国)『幼女戦記』TVアニメ第8話
原作情報

原作によると、ビアント中佐も今回の作戦に気乗りしていません。コミカライズでは「邪道」と今回の作戦を評しています。

ただ、邪道でもいいから何とかしないといけないのが、今の共和国の実態のようです。

 やや追い詰められつつある共和国。期待していたダキアの参戦は完全な裏目となり、協商連合の場合は艦隊で揚陸部隊を阻止しようとして間に合わずに彼らが崩壊していくのを歯嚙みしながら眺める羽目になった。じりじりと疲弊していくであろう悪夢。

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

なんと、前話の協商連合へのオース・フィヨルド奇襲時、共和国は参戦しようとしていたのです。結果、間に合わず、協商連合の崩壊を見ているしかなかった。

帝国に三方面戦争を目論んでいたのに、いつの間にか西方一方面に。現状だと連合王国も遅かれ早かれ参戦してくる。

共和国は追い詰められていたのです

連合王国参戦前にできるだけ、押し戻しておきたいそんな政略搦みの意向からビアント中佐にしてみれば狂気の沙汰としか形容しがたい後方浸透作戦が敢行されてしまっている

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

だから、このような「人間の盾」を使うような作戦を実行せざるを得ないのです。

成功?

ラインの悪魔だと?連中、大物を引っ張り出してきたな

by セヴラン・ビアント中佐(共和国)『幼女戦記』TVアニメ第8話

補給路を押さえられたのだから、帝国も最優先で対応せねばならず、共和国の狙いが当たったとも言えます。

原作情報

原作では ──

 機動防御すら可能なこの部隊を前線から引きはがすことができたのは、単に大隊規模の魔導師を前線から引きはがす以上の意味がある。ベテランのネームドを有し、こちらの肝心のところに突っ込んでくる連中を引き剝がせるというのは数字では読み取れないほど重大な効果が戦場にはあるものだ。

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

第203航空魔導大隊を後方に回したことに成果の実感を得ています。

なるほど。
補給路を断ち帝国軍前線を干上がらせるだけでなく、前線の戦力を後方へ割かなければいけない状況も作戦の狙い。

そこへ、大物「ラインの悪魔」が釣れたのです。

どんな困難な任務でもこなし、「ラインの悪魔」と畏れられている第203航空魔導大隊を前線から引き離したことは、確かに大きな成果です。

 どちらにせよ交通の起点であるアレーヌを押さえてしまえば帝国の補給線は数日で干上がるはずなのだそうである以上、数日だけでも敵増援を阻止できれば戦果は確実その間に前線で大反攻とやらが成功してくれることを願うばかりだ

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

上記心情描写から読み取れるのは、共和国ビアント中佐は、ここでずっとアレーヌ市を押さえておこうなんて考えていません。

数日押さえられれば、前線の戦況が変わると目論んでいたのです

だから、中隊規模で乗り込んできたのです。

原作によると、二個中隊です。

ただ誤算だったのは、この後描かれるいわゆる「人間の盾」が全く機能せず、大規模砲撃が行われたことだったのです・・・。

被弾

幼女戦記 8話
『幼女戦記』公式HP「Story 第8話」より引用

グランツ少尉、すまないが妙に疲れた強壮剤をもらえないか

── はい・・・。ヴァイス中尉殿、被弾されています!

by ヴァイス中尉『幼女戦記』TVアニメ第8話
原作情報

「強壮剤」って何だろう?と思ったら、どうやらアルコールのようです(笑)。

ヴァイスが被弾したと知りターニャがすぐに駆けつけたのは、ヴァイスの会話は無線を通じて行われていたからです。

被弾をしても気付かないとは、部下はどんなバーサーカーなのだと少しヘコんでいます(笑)。

ヴァイス中尉、さっさと下がれ

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第8話
原作情報

ヴァイス中尉への対応は冷たいですが、ターニャはヴァイスは失ってはならないと考えています。長期的目線で、万が一のことを考え早々に引き揚げさせたのです。

直接関与回避

── 敵魔導士が後退中、建物内に引きこもるようです
仕方ない。突入は中止だそのまま押し込んどけ
── よろしいのですか?
市街地外部の砲兵隊に手出しできなくすれば、目的は達成されたも同然。その後のことまでは預かり知らんよ。

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第8話

敵魔導師を押し込んでおけば、目的は達成?パルチザンの制圧は良いのでしょうか?

考察

この作戦が恐ろしいのは・・・いや、この場合、敢えて”上手い”と言っておきましょうか。直接関与を減らしていることです。

第203航空魔導大隊に課せられた任務は、街の外に控えている砲兵隊を攻撃できない一まで敵”魔導師”を排除すること

だから、建物内に押し込めれば目的は達成。

パルチザンや、戦闘員か非戦闘員かを区別するようなことはさせず、ましてや敵魔導師を完全排除とも言わない。

次の作戦へ移行するための準備を命じただけだったのです

(原作情報) 原作では、ターニャ達は次に何が起きるか分かっており、直接手を下さなくて良かったと安堵する雰囲気すらあります。

掃討戦

司令部より作戦参加の全部隊へ。これより掃討戦へ移行するアレーヌ市内の共和国軍を排除せよ

by 通信兵『幼女戦記』TVアニメ第8話

市街地からの砲撃は、敵が引きこもった建物や、パルチザンが待機している建物でもありません。狙う素振りすらありませんでした。そんな無作為な砲撃で”共和国軍を排除”できるのでしょうか・・・。

原作情報

原作を読むと、アニメはこれでも表現を押さえたのだと分かります(苦笑)。本作戦の肝はここです。

都市を全て焼き払うという極めて、単純かつ明快な方法です

– 中略 –

「魔導師による火攻はかくあるべきだとの一つの到達点に至った模様です」
「理論はともかく、実践は?」
陸軍演習場で試行した結果、想定に近い現象まで至りました複数地点から調整して火攻を行えば、十分に実現し得ます

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

ピンポイントで狙うのではなく、火災を起こせば良い。街の周囲から大火災を起こせば、逃げ道はありません。街全てを焼き払う作戦だったのです。

グランツ少尉も戦場の匂いは嗅ぎ慣れています。嘔吐したのは、焼きたての死体の匂いで吐いたのです。

部下に作戦を告げる際、ターニャ言いました ──

当然ではあるが、非戦闘員への発砲は厳しく禁じる。ただし、市街戦につき物的破損については破壊許可が出ている

by ターニャ・デグレチャフ少佐『幼女戦記』TVアニメ第8話

だから、物的破損を許可していたのです。どういう意味か?原作では、その理由がターニャの心情描写で描かれています。

 なにしろ計画案では、榴弾や爆裂式で石造りの建造物をできるだけ破損させるときている軍事的には大正解で、そうすることで、建造物内部の可燃物を露呈させるのだ

by 『幼女戦記』原作ノベル2巻

より効果的に延焼が起きるよう、事前に壁となる構造物を破壊していたのです・・・。

ココア

えっ、コワッ!

さて、帝国が今回何を行ったのか、理解できたでしょうか。共和国にとっても褒められた作戦とは言えませんが、帝国を西方戦線を打破するための苦肉で起死回生の策。帝国は一体どう出てくるか?

時間は味方。少しでも長引かせれば共和国に有利に働く。何せ、強行突破すれば人道にも劣る。そんなことは帝国にだってできないはず・・・。

ところが、帝国は僅か数時間でエース・オブ・エースのラインの悪魔を派遣し、躊躇うことなく市民共々アレーヌ市全体を焼き払ったのです

目算が狂ったどころか、何が起こっているのか理解すら追いつかない。だから共和国軍ビアント中佐は ──

な、何なのだ・・・。何なのだ、これは!

by セヴラン・ビアント中佐(共和国)『幼女戦記』TVアニメ第8話

憤る以前に、混乱していたのです。

悪魔の計画書

昨年夏、軍大学の第17研究所に提出された論文です論文の要旨は、“いかにして市街戦そのものを合法化するか”について、国際法を解釈し直すことで、都市砲撃の制限を回避する旨が記されています
閣下はこれを参考に、今回の作戦を立案されたのでしょうか。

by レルゲン中佐(作戦参謀次官)『幼女戦記』TVアニメ第8話

なんと、今回の帝国の作戦は、軍大学時代のターニャが考案していたのです。

原作情報

原作では、軍大学時代、ターニャが何をどう考え、今回の案を提示したかが描かれています。興味ある方は原作をお読みください。

私個人の解釈ですが ──
ターニャは、課題を出されたから答えた。軍大学の講義なのだから、分かりきった回答では議論にならない。だったら、一石を投じるような法解釈という切り口で答えた。

実際に実行するのは人道的に問題だと認識しており、あくまで机上の空論。国際法のいち解釈。

むしろ、ここは大学、実行するわけではないのだから好き勝手に考えられる。思考実験的な議論をしているように過ぎないと感じました

幼女戦記 8話
『幼女戦記』公式HP「Story 第8話」より引用

貴官の言う通り、少佐は極めて優れた軍人のようだあれほどの優秀な人材を活用しない手はないデグレチャフ少佐に共和国との戦争終結に向けての大役を任せる

by ゼートゥーア准将(戦務参謀次官)『幼女戦記』TVアニメ第8話

作戦立案はあくまで立案、実行するのとはまた別の話。それどころか大学での講義は頭の体操の部類です。それを実行に移すのが、帝国の恐ろしさか、はたまた戦争が招く狂気ということでしょうか・・・。

おわりに (『幼女戦記』8話とは)

鉄道輸送の要所であるアレーヌ市を1日でも抑えられると、前線の物資は痩せ細り、帝国軍は共和国に押し込まれてしまいます。悠長なことをやってはいられません。

ターニャが命令を守り、第203魔導大隊が任務を完遂。アレーヌ市を奪還することによりライン戦線への補給線が復旧し帝国軍前線兵士が生き残り、共和国の侵略から国土を守り、帝国国民を守る。そうして、自分たちの大切な人を守るのです。

また、北方の協商連合が落ち着いた今、帝国軍の主力は西方に集中しています。その主力を失うことは帝国の敗北を意味します。(道理に反するものの)アレーヌ市民と国の存亡を天秤にかけると今回の選択は必然だったとも言えるのです。

今回帝国が突きつけられたのは、西方戦線の崩壊(=帝国の敗北)とアレーヌ市の天秤。

だから、帝国軍参謀本部は、合理的に今回の作戦を選んだのでしょう。

なんて言うんでしょう。ターニャの合理性が帝国の最適解と合致し過ぎ。帝国は一見合理主義な気がしますが、ターニャの戦略や大隊によって狂気へと変貌していくような・・・。そんな気になる8話でした。

もちろん、だからと言って、帝国の判断は正しいとは言いません。仕掛けた共和国も屈辱の策だと自戒しています。明確な悪人はおらず、それぞれが何かを守って選択しているに過ぎないのです。

これが戦争の狂気。本作は戦争の恐ろしさを冷徹に描いているのです。

以上、TVアニメ『幼女戦記』第8話の感想&考察レビューでした。長文にもかかわらず、最後までお読みいただきありがとうございました。

次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越しください。
最新情報はX(@toki23_a)にて!

ではでは。

きょうのひとことえっと・・・
そんなに砲撃したら、鉄道網も壊滅的なような…

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よろしくお願い致します。

ココア

これで毎日ケーキ食べられるかな!?

時文

(君のケーキの為にサポートお願いしているんじゃないだけどね…) 皆に応援してもらえるよう頑張ろう!

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