レビュー

【Re:ゼロから始める異世界生活】感想コラム#003 エルザからエミリアを守ったのは誰?

Re:ゼロから始める異世界生活

こんばんは。時文です。
アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』面白いですよね!

「感想コラム」では、各話/原作レビューには書けなかったけど、感想レビューにするほどでもないネタを取り上げます。

テーマやネタを一つに絞り、短く評論
サクッと読めることを目指します。

本感想コラムには、TVアニメ3話、原作小説1巻までのネタバレがあるのでご注意を
第二章、4話以降のネタバレは「なし」なので、ご安心を。

感想コラム #003

エルザからエミリアを守ったのは誰?

Contents

感想コラム

第一章(3話)、結局エミリアを助けたのは誰?

Re:ゼロから始める異世界生活 3話

『Re:ゼロから始める異世界生活』第一章ラスト(3話)。
エルザの脅威が去り、スバルはようやく目的を達成。

俺ってば、今、まさに君を凶刃から守り抜いた命の恩人!

-中略-

命の恩人。レスキュー俺。
そして、それに助けられたヒロインが君。

そんなら、相応の礼があってもいいんじゃないか?ないかな?

by ナツキ・スバル『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話

確かに、瓦礫の中から出てきたエルザの”最後の一太刀“からエミリアを救ったのはスバル

だけど、エルザを倒し、退けたのは剣聖ラインハルト。
ラインハルトがいなければ、スバルはもう一度「死に戻り」したことでしょう。

一番の功労者はラインハルト。

Re:ゼロから始める異世界生活 3話

かくゆう私もアニメを初めて見たとき、結局ラインハルトが来てくれたから助かったんじゃん!
と思って見てました(苦笑)。

スバルはエミリアを助けたのでしょうか?
本当の意味で。

ラインハルトを連れてきたのはフェルト

まず、ラインハルトが盗品蔵へ来た経緯を振り返りましょう。
というかご視聴になられた皆さんならご承知ですね。

アニメより原作小説の方が詳しく書かれているので引用します。

・・・どうやってここに?」

「きょうは休日で、目的もなく王都を散策していたんです。-中略-・・・彼に会いまして」

エミリアの疑問に答えながら、ラインハルトは眠るスバルをそっと視線で示した。

ラインハルトがこの場に間に合った経緯は、スバルとの出会いの場面までさかのぼる。

路地裏での語らいの中、スバルが口にした探し人の特徴と『盗品蔵』という名称既知と未知の情報が重なり、それを追ううちにラインハルトもまた貧民街へ足を踏み入れ

「途中で彼女と出会い、今に至るというところです」

by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻

ラインハルトは路地裏でスバルと出会い、スバルの口からエミリアらしき人の特徴と「盗品蔵」「探し物」というワードから、エミリアに何かが起きていると予感

情報を追っている内に、貧民街に入り、そこで助けを呼ぶフェルトに出会ったのです。

フェルトが必死で助けを呼んだのは・・・

では、フェルトが必死に助けを呼んだのは偶然か?
フェルトの”らしくない””必死さ”にスバル達は助けられたのか?

ここがアニメ鑑賞時のミッシングリンク

フェルトが(彼女の意思で)必死に助けを探したからラインハルトを見つけることができた。

だから、スバルのおかげと言い切るにははばかられるし、偶然と片付けるのもちょっと・・・

フェルトが走った方向、行動が、いい方向へ転がり、ラインハルトへ繋がっていった。
アニメ鑑賞時、このように解釈してました。

が、原作を読むと、この解釈は一変!
次に原作から引用するのは、フェルトが助けを呼んでいる時の彼女自身の心情描写です。

Re:ゼロから始める異世界生活 3話

世間知らずがちょっとばかりの義侠心で、身の程知らずの真似をしでかしたのだと、無謀さをせせら笑ってやればいい

スバルだって勝手にかっこつけて自分を逃がしたのだから、逃げ切ってもらった方が浮かばれるに決まっている。決まっているのに──、

「──誰か、誰かいねーのかよ!」

-中略-

おかしな感情だった。フェルトは涙目になりそうな自分のまぶたを必死で擦る。ロム爺ならいざ知らず、あんな出会ったばかりの少年が死んだところで何が悪い

でも、彼はフェルトの代わりにエルザの言葉に怒ってくれたし、今もこうして自分を生かすために捨石にすらなってくれている

わけのわからない感覚だしかし、フェルトの心はそれがあるから走るのを求める

少年の行動に、何かを感じてしまった自分がいるのだそれがあるから、それが熱を求めてやまないから、叫び出したい激情を抱えたままフェルトは走った。

by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻

フェルトはスバルの言動に突き動かされ、必死に助けを求めたのです

引用した箇所以外にも──
逃げるのが目的なら”細い道”に入った方が見つかりにくい。
が、(助けを求めるのを優先し)大通りを走っている。

つまり、フェルトの必死な行動は、スバルの行動と言動が影響していたのです。

(原作情報)原作では、このシーンはもちろん、この前後のシーンのセリフの裏側についても語られています。
詳しくは原作、もしくは原作レビューをどうぞ。

エミリアを助けることができたのはスバルの行動の結果

ラインハルトが貧民街へ足を踏み入れたのはスバルの言葉がキッカケ。
ラインハルトに繋がるフェルトの必死な助けはスバルの言動の影響。

スバルはこれらを狙ってやったわけではありません。
その時、良かれと思って取った行動と、自分の信念に基づいた行動により、周囲に影響を与え、その人の考え方や行動を変えていったのです

そして、エルザとの戦いでも──
動ける人がエミリアとスバルだけになり勝てる見込みがなくても、諦めずに足掻いたことが、ラインハルト到着までの時間稼ぎになったのです。

つまり、エミリアやフェルト、ロム爺をエルザから守ったのは、直接的にはラインハルトかもしれませんが、全てスバルの行動が起点になっているのです。

結果、スバルがこの異世界に登場したことにより、エミリアを救ったと言っても過言ではないのです。

ご都合主義ではない

それじゃあ都合が良すぎる、ご都合主義だと言われるかもしれません。

私は、ご都合主義とは思いません。

なぜなら、スバルは、ここまでに3回失敗して(死んで)いるのです

スバルは、3回同じ時間を生きてきた経験を元にして──
チンピラ対処に衛兵を呼びラインハルトと出会う。
フェルトの妨害工作を止めてエミリアの到着を早め、エルザに複数で対処。
それでも勝てないと踏んでフェルトを逃がす。

(原作情報)フェルトが追いかけてくるエミリアに対し妨害工作したことはアニメではカット。
詳しくは原作レビューをどうぞ。

その結果が、4ターン目の結果に繋がったのです。

むしろ損をしている主人公

だけども、そのことを知っているのは視聴者(+読者)のみ。

スバル本人すら自分の行動が影響を与えたことに気付いていません。
むしろスバルは、ラインハルトと助けを呼んだフェルトに感謝しているほど。

ラインハルトは自分がこの場に来れたのはスバルのおかげだと思ってます。
が、スバルが「死に戻り」で時間を繰り返している事は知らないし、フェルトの心情も知らないから、スバルの真の苦労は知らないでしょう。

せめて、エミリアが理解してくれていると嬉しいのですが、全く状況を把握してない(涙)。

スバルも、明白な事実である、エルザの最後の一撃のことだけをエミリアへの貸しとしています。

でも、得意の口八丁で、せめてエミリアのために徽章を取り戻そうとして盗品蔵まで来たことでもアピールすれば良いのに。
ましてや、見返りが「名前」だけなんて・・・

その心は、スバルは異世界召喚され、初めて親切にされたエミリアに対し、借りを返したかった──

自分が目一杯”損”をするほどのお返しを──

「なんでそこまでする?この『ミーティア』より値が張るのか?それとも、金に換えられん価値があるとでも言い出すつもりか?」

呆れ気味なロム爺の言葉。スバルも第三者なら、老人と同じ判断をしただろうなと自分で思う。

「んにゃ。ぶっちゃけ俺はその現物を見たこともない。金に換えてもこの携帯電話より高いってことはないだろうし、俺の大損は間違いなしだぜ」

「そこまでわかっとるんなら、なんでそんなことをする?」

「決まってんだろ。──俺は損をしてぇんだよ

by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻

アニメではカットされましたが、これは2ターン目でのロム爺との交渉時の会話。

徽章を取り戻すために、希少価値のある携帯を手放そうとしたり、今回の報酬が「名前」だけというのも、エミリアに対して「大損」をしたい。

つまり、エミリアにとびっきりの恩返しをしたいのです。

それは、エミリアに恩義を感じて欲しいと思っているのではない。
自分が納得するために・・・

それだけ、異世界での最初の助けに、スバルは救われたのです。

ここまで大変な恩返しになるとは思っていなかったでしょうが・・・

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