こんばんは。時文です。
『Re:ゼロから始める異世界生活』1巻の感想レビュー(1/3)です。
『Re:ゼロから始める異世界生活』面白いですよね~~
私はTVアニメ1期を見てすっかりハマってしまいました。
今年は2期が放送!
2期を見る前に、1期の各話レビューを書いて、原作小説にも挑戦。
アニメとの違いを紹介します。
ここでは1巻を取り上げます。
原作1巻は、TVアニメ1~3話に相当。
本レビューではアニメ1話に相当する部分を対象とします。
次話以降のネタバレは「なし」なので、ご安心を。
アニメ化された部分の感想はアニメ各話レビューをご覧下さい。
第一章 「怒濤の一日目」(オススメ度 B+)
2016年版 | 新編集版 | 各話感想 | 原作巻数 | 原作感想 |
第1話 | 1話 | 1話R | 第1巻 | 1巻R① |
第2話 | 2話 | 2話R | 1巻R② | |
第3話 | 3話R | 1巻R③ |

Contents
- はじめに
- 原作感想レビュー (TVアニメ第1話 相当分)
- ア) コンビニシーンは全てアニオリ
- 原) 異世界では黒髪が珍しい
- ア) 楽しい?情報収集はアニメオリジナル
- 原) スバルはイメージトレーニングもしていた
- 原) スバルのウザいセリフは無意識?
- 原) 徽章絡みの事件は、ただの事件ではない!?
- 原) スバルは勿論、少女も土地勘がなかった
- 原) 召喚されたと言わないのは信じてもらえないから
- 原) スバルの推理で次のステップへ
- 原) 偽名なのは気付いていない?
- ア) 「いい名前だ」はアニメオリジナル
- 原) 王都の人口は30万人!?
- 原) 人海戦術は取れない?
- 原) 貧民街ではスバルの好感度が高い
- 原) 盗品蔵にスバルが一人で入った理由
- 原) 初めてサテラと呼ぶ
- 原) スバルは約束を守らなかったことを悔やむ
- 原) 携帯との物々交換は損すると分かっている?!
- 原) スバルは携帯電話の次も想定していた
- 原) ロム爺がスバルに感謝!?
- 原) エルザの依頼主は手に入れることにこだわってない
- 原) スバルはフェルトを逃がそうとしていた
- 原) 原作はもっと生々しい・・・
- おわりに (原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』1巻とは)
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はじめに
本レビューは「アニメ」⇒「原作小説」の順で見た「原作の感想レビュー」です。
アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』はかなり原作小説に忠実で、再現度、クオリティ共に高いです。
が、原作の全てがアニメ化されているわけではありません。
原作を読むことにより、作品をより理解することができました。
原作情報を全て伝えることはできませんが、魅力を少しでも伝えられれば。
もっと知りたいと思った方は、ぜひ原作をお読みください。
ストーリーが分かっているのでスイスイ読めるし、新情報もありアニメ鑑賞後でも楽しめます。
では、原作小説の内容順に紹介をしていきます。
- アニメでカットされた原作部分
- アニメオリジナルシーン
- 原作を読んで分かったこと
見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。
- ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
- 原):アニメではカットされたシーンに言及
原作感想レビュー (TVアニメ第1話 相当分)
ア) コンビニシーンは全てアニオリ

スバルはコンビニからの帰り道、突然異世界へ転送される・・・
なんと、アニメ冒頭のコンビニシーンは原作には全くなく、アニメオリジナルでした。
原作小説は「プロローグ」から始まります。
内容は、アニメ1話冒頭にも流れた、1話中盤でエルザにやられるカットの一部。
このプロローグが、アニメでは、リアル世界でのスバルの行動とシンクロするように構成されているのです。
つまり原作では、スバルが現実世界にいた時の様子は一切描かれずに、既に異世界召喚された後から始まります。
それと、アニメでは、現実世界のスバルがエルザにやられた映像を見ているようにも解釈できる演出がされてます。
が、原作は明らかに別れた記述になっているので、スバルに未来を見る能力があるわけではなく、誰かがスバルに見せたということもなさそうなことが分かります。
また原作では、コンビニ帰りに異世界召喚されたことは、スバルの心情描写と持ち物により説明されます。
原) 異世界では黒髪が珍しい
ファンタジー異世界に召喚されたスバル。
亜人の割合が多く、人間が少ない気もするが、決していないわけではない。
アニメ観賞時、スバルが珍しい格好と言われていたのは「ジャージ」と「髪型」のことだと思ってた。
が、原作を読んで分かったのは、どうやらこの世界では「黒髪」が珍しいようなのです。
群衆に紛れれば一瞬で見失いそうな凡庸な見た目──が、そんな彼を横目にする人々の視線には『珍奇』なものでも見るような色が濃い。当然といえば当然の話。なにせ少年を眺める彼らの中には一人として、『黒髪』のものも『ジャージ姿』のものもいない。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
アニメのキャラクターの髪の毛は様々な色をしているので、最近は髪の毛の色なんて私は全然気にしていませんでした(笑)。
#アニメ見過ぎ!?
『リゼロ』世界では「黒髪」は少ない = 目立つ。
これは覚えておきましょう。
ア) 楽しい?情報収集はアニメオリジナル
異世界の賑やかな街を楽しげに散策するスバル。
ところが言葉は通じるが、それ以外は・・・
異世界召喚をすぐに受け入れたスバルは、街を散策。
魔法が使えるかもと試したり、女子トイレに間違えて入ったり、亜人専門店に入って注意され川に落ちる。
これら、全てアニメオリジナルシーンでした。
原作での心情描写を、アニメでは楽しく(おかしく?)映像化。
これは上手いですね。
驚いたのは、果物屋との最初のやりとりも原作にはなく、スバルの心情描写で振り返っているだけでした。
異世界ものと言えば、初めて体験する未知の世界での主人公のワクワク感が最初の盛り上がりだと思うのですが、原作小説はそんなこと関係ないとばかりに、本論を進める!
ただ原作では、スバルは頭の中で、状況を整理。
これまでに触れてきた異世界作品と照らし合わせて、今の状況を分析する。
その結果が、次のセリフに繋がるのです。
もうちょっと福利厚生充実してないと、俺みたいなゆとりは納得できないよ。
by ナツキ・スバル『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ1話
原) スバルはイメージトレーニングもしていた
チンピラ3人組に絡まれるシーン。
アニメ初見時、引きこもり設定のスバルがなかなか良いパンチを打つものだと思ってました。
筋トレをしているのはアニメでも話していましたが、それと人をなぐったり蹴ったりするのは別だろうと・・・
原作では説明がありました。
── 初めて人を殴った!思ったよりこっちも痛い。
シミュレーションに余念はなかったが、実践は初めてだ。殴られた男は地面に倒れ込む。そのまま勢いに任せてスバルは驚いている別の男にも躍りかかった。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
引きこもりの有り余る時間で筋トレをして、なんのためかは分かりませんがシミュレーションもしていたようです。
どおりで、体の動きがキレイなはずです。
威力は別にして(笑)。
妙に体の動きが良かったので、違和感を感じてたのですが、少しスッキリしました。
原) スバルのウザいセリフは無意識?
さっき通り過ぎた女の子を追いかけてきたとみられる銀髪の女の子が現れ、チンピラ3人にボコボコにされたスバルを助ける。

引きこもり設定の割に、憶せずよく喋るスバル。
むしろ次から次へと言葉を紡ぐのは凄い能力だと感心するほど。
ただ、内容については意味不明なことも多く、急ぎの時、スバルのような物言いをされるとカチンと来るのも確か。
原作では少し説明がありました。
「なに?言っておくけど、これ以上は私もちょっとしか付き合ってあげられないから」
「若干甘さ見えてるけど!?それより大切な物なんだろ?俺にも手伝わせてくれ」スバルの申し出に、少女は驚いた様子で目を瞬かせる。
「でも、あなたは何も知らないって……」
「確かに、盗んだ奴の名前も素姓もどこ中かも知らねぇけど、少なくとも姿かたちぐらいはわかる!八重歯が目立つ金髪の子猫ちゃん!身長は君より低くて胸もぺちゃってたから二つ三つ年下!そんなとこでいかがでしょ!」てんぱると早口で自分でもなに言ってるのかわからなくなるのがスバルの悪癖だった。
今回もそれが全力で発揮され、自分で自分の発言にどん引きである。by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
テンパると、深く考えずしゃべってしまうクセがあるようだ。
それなら少し黙って、一呼吸置いてから話せば良いのに、口を閉じていられないのです。
原) 徽章絡みの事件は、ただの事件ではない!?
お人好しな少女に恩返しがしたいと、スバルは徽章探しを手伝うことに。
銀髪少女の探し物をスバルが手伝うシーン。
アニメでも、スバルに手伝ってもらった方が良い理由は述べられてますが、原作ではもっと述べられてます。
「悪意は感じないし、素直に受け入れてもいいと思うよ?(まったく手掛かりなしで探すなんて、王都の広さからしたら無謀でしかないし)」
「(でも、こんなことに巻き込んだりしたら・・・)」
-中略-
子猫はふいに表情を消すと真剣な声で、
「それに、(もう日も傾き始める頃だからね。夜になったらボクは手を貸せなくなっちゃう。)暴漢ぐらいが相手なら心配しないけど・・・弾除けは多い方がいいよ」※()内がアニメではカット
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
徽章を盗んだ少女の顔を見たのはスバルのみ。
広い王都を探すには、少しでも手掛かりがある方が良いと、パック。
が、銀髪少女は「こんなことに巻き込んだりしたら・・・」と言う。
この時点では明らかにされてませんが、徽章絡みはどうやら重要な問題のような含みが。
続けて、パックも真剣に言うのです。
「弾除けは多い方がいいよ」
このセリフ、あながち冗談ではないのかも。
パックとしては、本気で彼女を守る最善の策を考えていたのかもしれません。
徽章絡みの事件は、単純な盗難話ではない。
だから、銀髪少女は、スバルに手伝ってもらうのを躊躇っているようにも見えますね。
それとアニメでは貧民街へ行ってからですが、原作ではここで、パックの9時5時話が出ます。
原) スバルは勿論、少女も土地勘がなかった
最初は全く手掛かりが見つからないが、アニメではやさしい少女。
原作では、手伝うと申し出たスバルが、まるで役立ってないので、彼女は冷たい視線をスバルに浴びせます。
異世界で初めての友好的な交流──そんな心温まるやり取りを経て、約1時間。
「──ちょっと、どういうことなの」
捜査は順調に滞っていた。
少女の冷たい視線を浴びながら、スバルは気まずさをごまかすように頭を掻く。-中略-
発覚したいくつかの問題点が事態を難航させているのだ。
まず土地勘がない。
これに関しては、異世界召喚されたばかりなので許してほしいとしか言えない。どうやら少女もこのあたりの地理には疎いらしく、揃って相手が詳しいに違いないと信じて10分ほど時間を無駄にしたのも笑い話だ。スバルを見る少女の目は笑ってないけど。
そして第二に、そこら中に記されている文字──それがまったく読めないのだ。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
文字が読めないのはアニメでも描写されてますね。
原作を読み新たに分かったのは、銀髪少女も王都の土地勘がなかったこと。
だから、少女側にも誰かに頼りたかった気持ちもあったのかもしれないですね。

なお原作では、手掛かりが全くないので、ここで微精霊を呼び出します。
が、スバルが邪魔をして、手掛かりを聞く前に、微精霊は消えてしまいます・・・
原) 召喚されたと言わないのは信じてもらえないから
スバルと銀髪少女の自己紹介シーン。
少女がスバルのことを「いい家柄の出」と推測するのはアニメは原作通り。
が、原作では、その後自然な流れで、推測し、質問を続ける。
どうやら、黒髪黒瞳は南方の特徴らしい。
少女はスバルの出身を推測する。
もちろん、その推測は誤りで、スバルは異世界から来たのであるが・・・
素直に「異世界召喚された穀潰しッス」と発言してもいいのだが、この手の召喚ものでその発言をするのは、『頭おかしい人』認定される登竜門のようなものだ。
ここまでの自分の発言を振り返り、スバルは正直に話すリスクに頭を悩ませる。
「そんなに考え込まなくてもいいのに。言えないなら詮索なんてしないから」
口ごもるスバルに対し、彼女の方が先に自分を納得させて追及の手を緩めてくれた。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
これまで散々おかしな発言をしてきたスバル。
彼女のことだ「異世界召喚された」と言っても、信じないか、スバルを憐れむだけでしょう(笑)。
異世界召喚のことを言わなかったのは正解かもしれませんが、隠し事をしている態度が、彼女にサテラと偽名を名乗らせた理由なのかも。
原) スバルの推理で次のステップへ
アニメでは、あてもなく聞き込みを続ける流れになりますが、原作では、スバルがある推測をします。
「そんなでかい都市で、スリやって生計立ててるような女の子がいる。服装からしていい暮らしをできてないのは間違いない・・・当然だけど、そういう連中が住む場所があるはず」
「・・・・・」
「治安が悪い場所か、もしくはスラム街みたいなもんがあるか・・・?盗んだもんを金に換えるってのはツテがねぇと厳しいだろうし、可能性は十分だよな」-中略-
「ちょっと驚いてたの。スバルって、すごーく頭が回るのね」
-中略-
頭を掻いて照れ臭さを誤魔化そうとするスバルを余所に、少女は何度も頷いて、
「その線で考えてみましょう。それなら通りに出て、詳しそうな人に話を聞かないと」by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
フェルトが着ていた服を見て、暮らしぶりを推測。
その線で、聞き込みを再開したのです。
ま、結果はアニメと変わらないので、カットされたのでしょう(笑)。
原) 偽名なのは気付いていない?
前項の流れで、スバルは少女の名前を聞く。
彼女が名乗ったのは偽名。
いい感じで会話が進んでいたのに、なぜ彼女は本当の名を教えなかったのか・・・
「そういえば、飼い猫の名前は聞いたけど、君の名前は聞いてなかったなーなんて」
気勢を削ぐ覚悟の発言に、しかし少女はかすかに驚いたように目を見開いた。それから少女は瞑目し、ほんの数秒の沈黙のあとで、
「──サテラ」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
少女は偽名を名乗る前に、かすかだが”驚いている”。
それは、スバルとパックが自己紹介したのに、自分が名乗らなかったことに、今更気付いたのか?
それとも、彼女は実は有名人で自分の名を知らないことに驚いたのか・・・
#でも、周囲の反応を見ても、名が知れ渡る有名人ではなさそう
ここでの驚きの理由が分かれば、偽名を使った理由も分かるかもしれないのだが・・・
流れから推測すると、見ず知らずのスバルを”何か”に巻き込ませたくないという想いが伺える。
徽章を探すのを手伝ってくれるのはありがたいが、その後の関係は断ちたい。
だから、本名は教えない。
さて、この先、この時の真意が判明するのだろうか・・・
もし分かったら、追記しますね。
そんな二人のやり取りを眺めながら、銀髪にもぐり込むパックがふと一言、
「──趣味が悪いよ」
とだけ呟いたのは、スバルはおろか少女にすら届かなかった。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
アニメ観賞時に感じた違和感。
「サテラ」と名乗った少女に「趣味が悪い」と言っているのが解れば、スバルもなんとなく察しが付くものだが、まるっと信じ込んでいた。
原作を読んでスッキリ!
スバルには全く聞こえてなかったのです。
ア) 「いい名前だ」はアニメオリジナル
そうか、サテラか。いい名前だ。
by ナツキ・スバル『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ1話
少女の名前を聞いて、反復するスバル。
スバルの素直な性格を表し、引きこもりのくせに(失礼)、こんなことをサラリと言えるなんて!
と思っていたら、このシーンはアニメオリジナルでした。
原作でのスバルは、自分でも認めるヘタレでした(笑)。
できれば呼びやすい家名を教えてほしかったスバルは、はっきりとその名を呼ぶこともできずに押し黙る。とりあえずは二人称で呼んでいこう、とヘタレな決断。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
原作では、この時、名前を口にしてません。
それどころか、恥ずかしくて、その後も名前で呼びません。
ついに口に出したのが、盗品蔵へ入る直前だったのです。
だから、少女はあの時驚いたのです。(後述)
原) 王都の人口は30万人!?
今まで見てきた異世界ものや中世ヨーロッパという設定から、人口は多くても数万人規模だと思ってましたが、なんともっと大規模でした。
「しっかし、さっきの迷子事件で痛感したけど、この町って探し物するには広すぎね?」
「ルグニカ王国の王都だもん。一番大きくて、一番人が住んでる場所よ。えっと、住んでる人は確か・・・30万人くらいいて、人の出入りも激しい場所なんだから」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
中世ファンタジー世界の都市としてはかなり大規模だとスバルも認めてます。
そんな中で、たった二人で人捜しをしていたのです。
さらに言うと、二人は王都の土地勘がないのです・・・
そりゃあ、見つからないはずです・・・
原) 人海戦術は取れない?
王都は広く、人口も多い。
盗品が持ち込まれると噂の貧民街まで突き止めたが、貧民街と言っても広いようだ。
やはり、衛兵にでも協力を仰いだ方が良いのではないかとスバルは言う。
「今さらだけど、人呼んだ方が確実じゃないか?警察・・・こっちだと衛兵か?そういう人たちに頼んで捜索してもらうとか。人海戦術が使えれば一発だぞ?」
「ダメなの」
しかし、スバルの提案はぴしゃりと切って捨てられる。その断言ぶりにスバルは目を白黒させる。
「ごめんなさい。でも、ダメなの。こんな小さな盗品に衛兵が動いてくれると思えないし・・・そもそも、衛兵には頼れない事情があるから」
きゅっと唇を結び、サテラは「理由は言えないけど」とすがるようにスバルを見た。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
衛兵には頼れない事情。
それは、徽章が原因なのか、そもそも少女自身に事情があるのか。
スバルに偽名を使った理由も、根源は同じかもしれないですね。
この理由はいずれ判明するでしょう。
原) 貧民街ではスバルの好感度が高い
アニメでは、貧民街へ入ってからは、割とすんなり盗品蔵へたどり着いた気もしましたが、原作を読むと、かなり時間がかかってました。
また、思わぬ所で、スバルが役に立ってます。
同病相憐れむというやつだ。貧民街でのスバル好感度が思わぬ形で高いのは収穫だが、逆にサテラ好感度は思いの他低い。その原因もまた、彼女の身なりにあるのだろう。
-中略-
「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・・」
「あぁ?綺麗なおべべ着てこんなところうろついてんじゃねえよ」
今もまた、声かけをすげなく切り捨てられるサテラ。その成功率の低さは容姿×服装で二倍どころか二乗だ。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
サテラの容姿と服装で、貧民街の人々は、言葉すら交わしてくれないのです。
ここでようやくスバルの存在意義があるとばかりに張り切ります。
それでも、有力情報にぶつかったのはパックが消え、二人で捜索を始めてから小一時間経過。
そこで、スバルが声をかけたシーンが、アニメでもあった「よお、兄弟」の場面です。
アニメ観賞時、スバルのコミュニケーション能力高いなーと思っていたのですが、原作によると、小一時間聞き込みを続けた結果なのでした。
納得。
原) 盗品蔵にスバルが一人で入った理由
二人は、村はずれの盗品蔵へ到着。
交渉で取り返さないといけないと知り、スバルは一人で蔵へ入っていく・・・
アニメ鑑賞時、不思議に思ったこと。
盗品蔵に入るとき、なぜスバルが一人で入ったか。
また、サテラ(偽名)は、なぜ一人で行くことを許したのか。
少女は魔法が使え、暴漢くらいであれば、全く寄せつけないほどの強さ。
なのに、如何にも怪しい盗品蔵にスバル一人を行かせた。
原作を読んで分かりました。
「返事がないけど、俺が先に入るから君は外見張っててもらっていい?」
「大丈夫?私が中に入った方がいいんじゃ・・・」「万が一、奇襲でもされたときに君が真っ先にやられると全滅確定。俺がやられる分には回復も反撃も君なら自由。理に適った役割分担。頼まれてお願いプリーズ」
-中略-
「-中略- 誰もいなくても、誰かいても呼んでね」
「わかってる。パックにも言われたし、慎重にだろ。-中略-」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
スバルはきっと少女の役に立ちたいと考えていた。
そして、少女を危険な目に合わすまいと考えていた。
だから、少女と役割分担をした。
何かあったら、大声を出せば聞こえる範囲。
奇襲されたら全滅というスバルの意見も一理ある。
だから少女もスバル一人で入ることを了承したのでしょう。
そのかわり、「何かあったらすぐに呼ぶこと」。
建物の中と外なら、目と鼻の先なのだから。
原) 初めてサテラと呼ぶ
「ういうい。サテラも、俺が声かけるまで入ったらダメだぜ?」
中に踏み込むための勇気が、わずかに背を押して彼女の名前をスバルに呼ばせた。
ここまで、気恥ずかしさが足踏みさせて声に出せなかったサテラの名前。さらっとそれを音にできたことに拳を握り、ちらとサテラの顔をうかがう。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
アニメでは、「サテラ」と自己紹介された時にスバルは口に出してましたが、原作では、(いわゆる)下の名前は、気恥ずかしさで口に出せなかった。
原作では、盗品蔵へ踏み込む時に、初めて口にしたのです。
銀髪少女も初めて「サテラ」と呼ばれてしまい固まったのです。
これまで「サテラ」と呼ばれなかったから、少女も否定するタイミングがなかった。
もしくは、彼女は「サテラ」は偽名だとスバルが気付いていると考えてたかもしれないですね。
だから、ここまで否定をしなかった。
本名を教えられない、なんらかの事情があるのだと、スバルが汲んでくれているのだと。
原) スバルは約束を守らなかったことを悔やむ
スバルは気付くと、人通りの多い王都に戻っていた。
時間もさっきまで夜だったのに昼になっている。
状況は理解できないが、少女を助けに貧民街へ戻る。
王都の果物屋の前に戻ったスバル。
サテラ(偽名)のことを気にかける。
原作では、この時のスバルの心情描写がしっかり描かれてます。
子猫と交わした約束、それは決して軽い言葉ではなかった。それなのにスバルは、再三の忠告にもかかわらず、その機を単なる見落としによって逃した。
サテラの言いつけ──何かあれば声を上げること。そんな指示すら怠った。
-中略-
二人とも死んでいるかもしれない。そんな想像をスバルは頭を振って追い払う。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
アニメのセリフでは「サテラを頼むと言われた」ことしか言ってません。
が、パックと交わした約束はもちろん、盗品蔵の外で待っていたサテラの、簡単な言いつけさえ守れなかった。
血を見た瞬間、声を上げるか、引き返せば良かった。
何か起きたと分かれば、少女はもっと慎重に入ってきたかもしれない。
スバルが何らかの行動を起こしていれば、展開が変わったかもしれないのだ。
スバルは悔やみ、だから必死に盗品蔵へ戻り、彼女を探す。
アニメの1話ラスト、ようやく見つけたサテラ(偽名)に対し、真っ先に謝り言い訳をするのは、ここでの反省があるのです。
これは原作の心情描写を読まないと分かりませんでした。
アニメでのパックとの会話、サテラとの会話は、終始軽い感じに見えたので、そこまでスバルに重要だったとは思いもよりませんでした。
原) 携帯との物々交換は損すると分かっている?!
急いで貧民街へ戻り盗品蔵へ。
そこにいたのは、死んだと思っていたロム爺だった・・・
スバルは徽章を取り戻すために交渉を始める。
徽章を取り戻すために、スバルは携帯電話と交換しようとする。
アニメ鑑賞時、確かに他に手段がないとは言え、一番貴重な携帯を手放す決心をよくしたものだと感心してました。
原作では、ロム爺も釣り合わせない交渉に疑問を持ち、スバルに投げかけます。
「なんでそこまでする?この『ミーティア』より値が張るのか?それとも、金に換えられん価値があるとでも言い出すつもりか?」
呆れ気味なロム爺の言葉。スバルも第三者なら、老人と同じ判断をしただろうなと自分で思う。
「んにゃ。ぶっちゃけ俺はその現物を見たこともない。金に換えてもこの携帯電話より高いってことはないだろうし、俺の大損は間違いなしだぜ」
「そこまでわかっとるんなら、なんでそんなことをする?」
「決まってんだろ。──俺は損をしてぇんだよ」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
スバルは徽章を取り戻すために必死になっているだけではありませんでした。
スバルも携帯電話の方がずっと価値があるだろうことは分かっているのです。
彼女に恩を返すため、彼女のために”大損”をしたいと考えているのです。
気持ちの良い男ですね、スバルは!
ロム爺も、そんなスバルを見て、すっかり心を許してます。
アニメではスバルとロム爺はアッと言う間に距離を詰めてますが、アニメ化されてないこんな会話があったのです。
1巻には他にもアニメ化されてないロム爺とスバルの会話があります。
なかなか良いシーンになっているので、興味ある方は原作をお読みください。
原) スバルは携帯電話の次も想定していた
スバルの携帯電話が聖金貨20枚以上の価値があると聞き、フェルトは依頼主にも吹っかけると言い出す。
依頼主が聖金貨20枚以上持っていたら、どうなっていたのか?
スバルは次の策も考えてました。
交渉のカードとして最大の威力を持つ携帯電話というカードは切った。が、スバルの手元にはまだいくつか、この世界で価値を持つだろうものが残っている。最悪、見せ札の携帯電話以外にもいくつか切る腹積もりはあったが──。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
おお!
なかなかやりますねースバル!
携帯の次に何を出すつもりだったのか?
現実世界の価値観で考えると、携帯電話以外はさほど価値のあるモノはなさそうでしたが(笑)。
携帯電話のカメラ機能を、時間を切り取り閉じ込めると表現するスバル。
一体、何を使って、なんとアピールするつもりだったのか。
ちょっと知りたかったですね。
原) ロム爺がスバルに感謝!?
フェルトが徽章を盗んだのは依頼主がいたからだった。
スバルは依頼主・エルザと競うことに。
盗品蔵にエルザが到着し、フェルトが迎えに行き、スバルがロム爺と二人きりで話す場面。
先ほども触れましたが、アニメではカットされてますが、原作ではスバルとロム爺がかなり会話しています。
中でも興味深いのがロム爺がスバルに感謝していること。
「『ミーティア』を持っとることもそうじゃし、服装と中身の小奇麗さもそうじゃ。・・・お前さん、本当はけっこういい身分じゃろ?」
「いや、そんなことないけど・・・」
「隠さんでもいいわい。徽章がフェルトに盗られたことは、表沙汰にできんことなんじゃろ。穏便に収めようとしてくれとるだけでも、ありがたい」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
なんと、スバルの変わった身なりと、損を覚悟で徽章を取り戻そうとする態度を見て、穏便に徽章を取り戻そうとしているのだと勘違いしているのです。
エルザが聖金貨20枚しか持ってないと分かると、ロム爺が早々に決着を宣告したのは、裏にこういう気持ちがあったからなのかもしれないですね。
原) エルザの依頼主は手に入れることにこだわってない
交渉はスバルの勝利。
エルザはあっさりと手を引く。
その後、戦闘になったので分かりませんが、スバルが「持ち主に返す」と言わなかったら、エルザは大人しく帰ったのか?
これがアニメ鑑賞時の疑問でした。
原作には判断材料となるセリフがありました。
「別に何も言ってねーだろ。存分にはしゃげよ。アタシは儲かればそれでいーし」
「私の雇い主も、その徽章が手元にある必要はないから、食い下がることはないの」
赤面するスバルに対して、フェルトとエルザの態度は淡々としていた。
ただ、交渉敗北の負け台詞を期待するほど性格が悪いわけではないが、依頼を果たせなかったのに気にした風でもないエルザの態度が気にかかった。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
原作ではエルザははっきりと「徽章が手元にある必要はない」と言っているのです。
つまり、徽章を盗むよう依頼したのは、「徽章を手に入れる」のが目的ではなく「銀髪少女が徽章を失う」ことが目的。
だから”持ち主以外であれば”誰が手に入れても、エルザにとって問題はないのです。
が・・・スバルは本当の目的に気付くことなく、エルザの質問に「持ち主に返す」と答えてしまったのです。
大失態ですね・・・
よって、ここの回答をうまくしていれば、戦闘になることもなく、生き延びた可能性があるのです。
まあ、なんとなく、エルザは見逃さない気がしますが・・・
原) スバルはフェルトを逃がそうとしていた
エルザはスバルが徽章の持ち主の関係者だと知り、皆殺しにしようとする。
巨人族のロム爺は棍棒を振りかざし立ち向かうが・・・
ロム爺がエルザにやられ、フェルトが向かって行く時。
アニメでは完全にカットされてますが、原作にはスバルの心情描写が描かれてます。
声を出すべきだ、とスバルの脳は結論を出していた。少しでもエルザの注意をこちらへ引きつけ、フェルトの逃走時間を稼がなくてはならない。
フェルトが誰かを呼ぶ時間を、あるいはフェルトだけでも逃がす時間を作らなければ。
そう意識は結論を出しているのに、スバルの体はただカタカタと震えるだけだった。
「・・・悪かったな、巻き込んじまって」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
スバルは、恐怖で、最後の一人になるまで動けませんでしたが、意識の中ではフェルトだけでも助けなければと考えていたのです。
それなのに、逆にフェルトに謝られたのです・・・
なんとも辛いですね・・・
原) 原作はもっと生々しい・・・
一人残ったスバルは、勝てる見込みはないが、意地でエルザに向かっていく。
アニメの1話終盤。
スバルの命が尽きるまでの描写は痛々しいですが、原作には彼の心情描写も描かれもっと生々しいです。
最初の攻撃で、鼻と前歯にダメージを受け、あばら骨も数本折れた感覚が。
興奮状態で痛みが麻痺していたので、気にせず再び向かっていく。
二回目の攻撃で肩を砕かれ、悲鳴を上げそうになったら、エルザにアゴを蹴り上げられる。
これにより片腕は動かず、まともに喋ることもできない・・・
正に満身創痍。
最後の攻防の後の描写も、開かれたお腹の描写まであり、痛々しい。
スバルの死に至る、痛みと恐怖がありありと伝わってくる。
再び王都の果物屋へ戻るが、スバルは恐怖と痛みと苦しみは鮮明に覚えているのです。
アニメでは描写されてませんが、スバルは痛みはなくても吐き気を催しています。
それも仕方のないこと。
スバルは何も思い出したくない、何も考えたくないと考えているときに、サテラ(偽名)の姿を見つけたのです。
探し続けていた少女を・・・
おわりに (原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』1巻とは)
原作小説の形態は概ねスバルの一人称。
時折、スバル自身のことやその時の状況を説明する三人称に。
スバルの心情描写がより描かれ、何を考えていたのかが分かるのがうれしい。
アニメ1話相当分の原作を読んで分かったのは、スバルが銀髪少女にどんどん惹かれていく様子。
彼女と一緒にいた時間はパックが消えるまでが2時間。
その後、二人で貧民街で聞き込みをして盗品蔵へ着いたのが1時間弱。
合計3時間程度。
その間、アニメよりもずっと彼女のことをおもんばかり、言葉や行動の本音を読む。
スバルを通して、銀髪少女の本心を読むことで、彼女の人の良さが分かるという構図。
これにより、スバルがなんとしても彼女を助けたいという想いを補強しているのです。
上手いですね。
次回も楽しみです!
以上、『Re:ゼロから始める異世界生活』原作小説1巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
原作小説1巻の続き部分のレビューも書いてます。
良かったらご覧下さい。
ではでは。
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