こんばんは。時文です。
『Re:ゼロから始める異世界生活』1巻の感想レビュー(3/3)です。
『Re:ゼロから始める異世界生活』面白いですよね~~
私はTVアニメ1期を見てすっかりハマってしまいました。
今年は2期が放送!
2期を見る前に、1期の各話レビューを書いて、原作小説にも挑戦。
アニメとの違いを紹介します。
ここでは1巻を取り上げます。
原作1巻は、TVアニメ1~3話に相当。
本レビューではアニメ3話に相当する部分を対象とします。
次話以降のネタバレは「なし」なので、ご安心を。
アニメ化された部分の感想はアニメ各話レビューをご覧下さい。
第一章 「怒濤の一日目」
2016年版 | 新編集版 | 各話感想 | 原作巻数 | 原作感想 |
第1話 | 1話 | 1話R | 第1巻 | 1巻R① |
第2話 | 2話 | 2話R | 1巻R② | |
第3話 | 3話R | 1巻R③ (本レビュー) |
Contents
はじめに
本レビューは「アニメ」⇒「原作小説」の順で見た「原作の感想レビュー」です。
アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』はかなり原作小説に忠実で、再現度、クオリティ共に高いです。
が、原作の全てがアニメ化されているわけではありません。
原作を読むことにより、作品をより理解することができました。
原作情報を全て伝えることはできませんが、魅力を少しでも伝えられれば。
もっと知りたいと思った方は、ぜひ原作をお読みください。
ストーリーが分かっているのでスイスイ読めるし、新情報もありアニメ鑑賞後でも楽しめます。
では、原作小説の内容順に紹介をしていきます。
- アニメでカットされた原作部分
- アニメオリジナルシーン
- 原作を読んで分かったこと
見出しの頭にアニメオリジナル、原作のみの記号を記載したのでご参考に。
- ア):アニメオリジナルシーンに関する記述
- 原):アニメではカットされたシーンに言及
原作感想レビュー (TVアニメ第3話 相当分)
原) 早く着いたのは妨害工作がなかったから
スバルが徽章を取り戻すためにフェルトと交渉中。
そこへ現れたのは、まだ来るはずのないサテラ(偽名)だった・・・
アニメ鑑賞時、疑問だった。
どうして4ターン目は、サテラ(偽名)が盗品蔵へ早くたどり着いたのか?
アニメでは、スバルが「自分がいなければこんなに早く着いたのか」と嘆く。
だけどそれは変。
なぜなら、2ターン目でも、スバルはサテラ(偽名)と会ってません。
にも関わらず、サテラ(偽名)は日が暮れる前に盗品蔵へたどり着けなかったのです。
では、4ターン目、サテラ(偽名)が盗品蔵へ早く辿り着いた理由なんなのか?
原作を読んで、分かりました。
「持ち主に返す、とかおかしなこと言いやがるから怪しいとは思ってたんだ。路地の連中に横ヤリ入れさせなかったのも作戦だろ? グルだったんじゃねーか」
怨嗟すら込められたフェルトの追求に、スバルは誤解が生じていると気付く。
だがその一方で、偽サテラがこの短時間で盗品蔵まで辿り着けた背景が見えた。やはり本来、偽サテラがこの時間にここに到着することはありえないのだ。本来ならばフェルトに雇われた貧民街の面々の邪魔があり、偽サテラの到着は遅れるはずだった。
フェルトを急かしたスバルの行動で足止めが発生せず、偽サテラは真っ直ぐここまで辿り着けたのだ。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
アニメではカットされた、フェルトの妨害工作があったのです。
4ターン目では、その妨害工作をスバルが知り、邪魔させなかったことにより、想定より早くサテラ(偽名)は盗品蔵へ着くことができたのです。
スッキリ!
原) 花飾りを見るまで大人しかったのは・・・
徽章を取り戻すことが最優先とは言え、ようやく会えたサテラ(偽名)に対し臆していたスバル・・・
ようやくサテラ(偽名)に会えたスバル。
スバルのことだろうから、すぐに意味不明なことを言いながら馴れ馴れしく声をかけるのだろうと思っていたら、意外と大人しい?
さすがに出会うタイミングが最悪で、エルザが来ると思っていたから戸惑いが先に来たのだろうと解釈してました。
が、原作を読んで、全然違うと分かりました(苦笑)。
原作には、スバルの心情描写が書かれていて、この時の感情がよく分かりました。
乱暴に金髪を掻いて舌打ちするフェルトと、その乙女っぽさ皆無の態度に眉を寄せる偽サテラ。微妙なすれ違いと険悪な空気にスバルは息を呑み、視線をさまよわせる。
そして、スバルは気付いた。──偽サテラの左胸に、赤い花飾りが揺れていることに。
-中略-
偽サテラの激しい表情と態度に、スバルは拒絶された前回のループを思い出して尻込みをしていた。だが、偽サテラの心根は世界を幾度繰り返しても変わっていない。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
3ターン目で、サテラ(偽名)に激しく拒絶されたことが、スバルの中に残っていたので、臆していたのです。
そりゃあ、そうです。
「死に戻り」をして、これまでの出来事も記憶もサテラ(偽名)にはない、と頭では分かっていても、スバルが冷たくされたのはほんの数時間前の出来事。
スバルにとっては全てリアルな現実、実際に起きたこと。
無理もないです。
そんな時に、迷子の少女を助けた印の花飾りを見つけ、やさしいサテラ(偽名)を思い出したのです。
それが、アニメで描かれた、スバルの逡巡から笑みへの正体です。
何だよてめえ!
何、笑ってんだ!by フェルト『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
ちなみに、このセリフはアニメオリジナル。
フェルトにとっては、この時のスバルの笑いは意味不明。
いらだっていたフェルトの感情を表す、良いアニオリセリフです!
ア) 「強く生きている」はアニオリセリフ
エルザは、徽章の持ち主まで連れてきたフェルトに対し、罵倒し、皆殺しにすると宣言する・・・
エルザとフェルトのやり取りを聞き、スバルは怒りを爆発させる。
フェルトの表情が苦痛に歪む。ただそれは、恐怖ではない別の感情に見えた。
エルザの言葉がいかなる彼女の琴線に触れたのかはわからない。わからなかったが、
「てめぇ、ふざけんなよーー!!」
実力差も忘れて怒鳴りかかるくらい、スバルを怒らせる原因にはなった。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
原作では、エルザの言葉のどこにフェルトが傷ついたのかスバルは気付いてません。
アニメでは、スバルはしっかり気付き、フェルトの代わりに反論。
フェルトだって、精いっぱい強く生きてんだよ!
by フェルト『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
アニメでは、このセリフが追加。
他のセリフは原作通りです。
#「チャンネルはそのままで」まで原作にあるとは思わなかった(笑)
スバルのセリフの後、パックが魔法を放つため、彼のセリフは、時間稼ぎのように見えます。
時間稼ぎの意図もあったのでしょうが、決してそれだけではなく、本当に怒りが爆発したのです。
そして、フェルトに代わりスバルが言い返したことで、フェルトの心が動き、後の行動に繋がっていくのです。
#後ほど詳細を。
アニメオリジナルのこのセリフがなくても、スバルが高飛車で威圧的な”あの”エルザに刃向かったことに対して、フェルトは感謝しているように見えます。
が、このセリフの追加で、フェルトの気持ちをより代弁しています。
とても大切なセリフだと思います。
アニメオリジナルセリフ、グッジョブです!
原) エルザの備えはコートにあった!
スバルの言動で、時間稼ぎと注意を反らしたことにより、パックが魔法攻撃の準備を整えた。
直後、パックの砲撃がエルザの全身に叩き付けられていた──
アニメだと、順に描写するので、随分時間がかかった(ように見える)不意打ち(苦笑)。
あれだけ時間があれば、超人的な身体能力を持つエルザであれば、簡単に避けれるだろうに、と思ってました。
原作を読むと、スバルの馬鹿馬鹿しい発言に、すっかり呆れ果てたエルザの不意を突く攻撃だったようです。
だから、あれほど素早いエルザでも避けることができず、全弾命中したようです。
#アニメ表現によくある「実際の時間は一瞬」という描写ですね
そこで、あのセリフ。
備えはしておくものね。
by エルザ『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
むしろ、私がアニメ鑑賞時気になっていたのは、このセリフ。
「備え」って何!?攻撃を防がれたの!?
どうやってエルザは防いだのか、アニメだけでは分かりませんでした。
原作を読んで分かりました。
「──備えはしておくものね。重くて嫌いだったけれど、着てきて正解」
白煙を切り裂くようにして、黒髪を踊らせてエルザが飛び出してきた。
ククリナイフを振りかぶり、身軽にステップを踏む体に負傷は見えない。羽織っていた黒の外套を脱ぎ棄て、その下の肌にフィットした黒装束だけになっている以外、先ほどまでと違いは見られなかった。
「まさか、コート自体が重くて、脱ぐことで身軽になる感じの展開!?」
「それも面白いのだけれど、事実はもっと単純なこと。──私の外套は一度だけ、魔を払うことのできる術式が編まれていたの。命拾いしてしまったわね」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
決して、攻撃までに数秒時間があったから、スバルがパックの攻撃を促すようなことを言ったから、エルザに対処する時間を与えたのではありません。
パックの攻撃は、不意を突き、エルザは避けることができず確かにパックの攻撃を食らっていたのです。
エルザは避けることもできなかったのです。
ところが、着ていたコートに防御魔法がかかっていたのです。
改めてアニメを見直すと、確かに外套らしき幕が消えるような描写がありました。
「備え」とはこのことだったのです。
スッキリしました!
原) 精霊使いの強さの秘密
ロム爺も警戒した精霊使い。
アニメ鑑賞時、精霊使いの何がどう凄いのかよく分かりませんでした(苦笑)。
原作には、ロム爺の解説がありました♪
「攻撃と防御の役割分担──実質、2対1の状況だ」
「アレが精霊使いの厄介なところじゃ。片方が攻撃して、片方が防御。場合によっちゃ片方が簡単な魔法で時間を稼いで、もう片方が大技をぶっ放す・・・なんてのもできる。『精霊使いに出会ったら、武器と財布を投げて逃げろ』ってのが戦場のお約束じゃな」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
確かに、”あの”エルザと対等に渡り合っているサテラ(偽名)を見て驚きました。
見た目によらず強いのだと。
が、パックが強いのだと思ってました。
だからパックが消えてから劣勢になったのだと。
精霊使いの強さは、精霊使いと精霊の連携にあるのです。
だから、パックが消え、単独攻撃になってしまうと、半分以下の攻撃能力になってしまったのです。
それでも、サテラ(偽名)がエルザに対抗できていたのは、エルザも足を負傷し、機動力が落ちていたからです。
ア) 「生ある限りは・・・」の使い所はアニメオリジナル
こうなりゃ、もう一回、死に戻ってやり直すか?
いや、もうあんな苦しい思いはしたくねえ。
死にたくねえ!結局は、生ある限りは精いっぱい、あがくしかないってことか。
by ナツキ・スバル『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
二度も殺され、自分よりずっと強い者達でも歯が立たず、恐怖で震えていたスバル。
その気持ちを奮い立たせ、あがく決心をするスバルの印象的なシーン。
この場面でのセリフは、アニメオリジナルです。
原作では、4ターン目の序盤。
果物屋への聞き込みで、すでにサテラ(偽名)の徽章が盗られたと分かった時の心情描写で、この決心をします。
スバルは、「死に戻り」ができるなら、4ターン目は「情報収集」に徹しようかとも考えます。
が、死ぬのは痛く苦しい。
さらに──
付け加えれば、やはり『死に戻り』の詳細がわからない不安がある。捨てる判断をして全てを見過ごし、死んでみてそこで残り回数ゼロでしたでは笑い話にもならない。
「結局は、生ある限りは精いっぱいに足掻くしかない。当たり前だけどな」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
原作では、「死に戻り」が”永遠に使える”などと言えるのか?と慎重さを示してます。
アニメのように、痛く苦しいだけの理由で「死にたくない」わけではないのです。
原) フェルトを助けたのは恩返し!?
向かってくるエルザに、動くことができないフェルト。
紙一重でフェルトを助けたのは、スバルだった。
アニメ鑑賞時、先のアニメオリジナルセリフにあるように、スバルはあがく決意をした結果、フェルトを助けたのだと解釈。
では、決意がなかった原作ではどうして動き出したのか──
どうやら咄嗟に体が動いてしまったようです。
──っつか、どうして」
「知らねぇよ! 体が勝手に動いたんだよ!しいて言うならお前は知らねぇだろうけど、これで貸し借りはなしだかんな! 覚えとけ!」
フェルトを解放し、スバルは拳を握り締める。
二度目の世界でエルザの凶刃からスバルを守ってくれたフェルト。この世界では意味のない記憶だが、その借りを返すことができた。
──受けた恩義は消えてなくならない。そして、やるべきことも。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
つまり、4ターン目では事実も記憶もなくても、スバルにとってフェルトは命の恩人。
今回、フェルトにスバルが助けられる機会はなかったが、きっと逆の立場なら同じ行動をしたはず。
それは、何度繰り返しても、その人に備わった信念。
だから、恐くても、ブルっていても借りは返す。
いや、見過ごすことなどできないのだ。
この辺は、やっぱり主人公なんですよねーー
ヘタレだし、変な事ばかり言っているし、強くはないし、頭が飛びっ切り良いわけでもない(苦笑)。
だけど、主人公たる要素を持っているのです。
情に熱く、無償の精神が。
原) スバルは彼女の笑顔を見たくてここにいる!
アニメ鑑賞時の疑問点。
今、俺は何も見なかった。
今のやり取りは全部なしだ!全部なし!
何で俺がここにいるのか、やっと思い出した。
やってやるぜ、クソだらあ!切り札なんざ、ぜってえ切らせねえ!
てめえ、ぶっ飛ばして・・・ハッピーエンドだ!
by ナツキ・スバル『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
「何も見なかった」とはどういう意味か?
すいません、私にはなんのことか分かりませんでした・・・
原作を読んで理解しました。
「使ったりしないわよ。まだこんなに一生懸命、あなたが頑張ってるのに。足掻いて足掻いて足搔き抜くの。──親のスネをかじるのは最後の手段なんだから」
仕方なさそうに、そう語る偽サテラの表情を見て、スバルの中でふいに火がついた。
諦めてしまいそうな顔だった。弱さを受け入れてしまいそうな顔だった。
スバルの中で偽サテラは、自分がどんな苦境にあっても下を向かない少女だった。そんな少女だからこそ、スバルはその微笑む顔が見たいと思って頑張ったのだ。
何度となく命を落として、それでもスバルは偽サテラを助けるためにここまできた。ここまでの道のりは、こんな少女の弱々しい顔を見るためじゃない。
「今、俺は何も見なかった」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
スバルがここまで頑張ってきたのは、徽章を取り戻すためでも、サテラ(偽名)に会うためでも、一緒にいるためでもない。
彼女の笑顔を見たい = 笑顔にさせたい、と思ってきたから。
なのに、逆に困らせてしまっている。
この苦境はスバルのせいではないにしろ、自分の事では一切弱った顔をしなかった彼女を、困惑させている。
だから、「俺は何も見なかった」「今のやり取りは全部なし」とスバルは言ったのです。
この辺も主人公してますねーー
胸アツです!
ちなみに、せっかく啖呵を切ったのに、アニメではすぐにエルザに足を捕まえられます。
原作では、もう少し足掻きます。
スバルが強くなったわけではなく、エルザはサテラ(偽名)の攻撃を気にしながら、スバルの相手をしているから。
もっと言うと、精霊が復活しないかに注意を取られながらスバルの対処をしているので、均衡しているように見えるだけ。
まさに足掻いているのです!
原) スバルの行動がフェルトを動かしていた・・・
盗品蔵から逃げ出すことに成功したフェルトは、必死に助けを呼びながら走っていた・・・
フェルトの叫びに、誰も反応しない貧民街。
アニメ鑑賞時、フェルトが貧民街の連中をバカにしていた報いだと思ってました。
よくよく考えると、貧民街の人々は、この対応が普通。
他人のことに構っていられる余裕もなければ義理もない。
むしろ、一銭の得にもならないことはしないフェルトこそ、そういう考え”だった”。
フェルトが助けを呼ぶこと自体が、変化だったのです。
アニメではカットされてますが、原作にはフェルトの心情描写が。
世間知らずがちょっとばかりの義侠心で、身の程知らずの真似をしでかしたのだと、無謀さをせせら笑ってやればいい。
スバルだって勝手にかっこつけて自分を逃がしたのだから、逃げ切ってもらった方が浮かばれるに決まっている。決まっているのに──、
「──誰か、誰かいねーのかよ!」
-中略-
おかしな感情だった。フェルトは涙目になりそうな自分のまぶたを必死で擦る。ロム爺ならいざ知らず、あんな出会ったばかりの少年が死んだところで何が悪い。
でも、彼はフェルトの代わりにエルザの言葉に怒ってくれたし、今もこうして自分を生かすために捨石にすらなってくれている。
わけのわからない感覚だ。しかし、フェルトの心はそれがあるから走るのを求める。
少年の行動に、何かを感じてしまった自分がいるのだ。それがあるから、それが熱を求めてやまないから、叫び出したい激情を抱えたままフェルトは走った。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
フェルトは貧民街で生き延びるために、盗人という悪事に身を置いていた。
が、2ターン目で、エルザから、身を挺してスバルを助けたことから分かるように、根は優しい子。
今回は、出会ったばかりのスバルにエルザに対し反論してもらい、そのスバルに逃がしてもらう。
そんな彼を見捨てるわけにはいかないと、以前のフェルトからは想像できないような助けを呼ぶ行為に走らせたのです。
その必死な行為が、ラインハルトに繋がったのです。
フェルトの印象が変わるような感情的なシーン。
原作にはもっと描写されているので、興味ある方はぜひ原作をどうぞ!
ここは、アニメでも描写して欲しかった!
原) サテラがふらついていたのはラインハルトの本気のせい
ラインハルトが本当の力を発揮し、エルザとの戦いは一撃で決着が着いた。
サテラ(偽名)のロム爺の治療が終わり、ラインハルトが本当の力を出し、一瞬で決着が着いた。
決着後、サテラ(偽名)がふらついて、スバルに助けられていました。
アニメ鑑賞時、エルザとの戦いと、ロム爺の治療で、彼女のマナも尽きたのだと思ってました。
その後、スバルの治療をしていたので、なんだか矛盾しているなーーと思ってました(笑)。
すいません、私の読み取り不足でした。
ラインハルトが本当に戦うつもりになれば、大気中のマナは私にそっぽを向くもの・・・
by サテラ(偽名)『Re:ゼロから始める異世界生活』アニメ3話
これは、アニメでも言われていたセリフ。
「大気中のマナがそっぽを向く」ということは、サテラ(偽名)の中のマナも異常な状態になってしまうということ。
だから、サテラ(偽名)も力をなくしたのです。
原作にはしっかり描写がありました。
「ごめんなさい・・・ちょっと、肩を貸して」
-中略-
小刻みに浅い息を繰り返し、苦しげな少女。まるで高熱を発した病人だ。
「どうした、急に体調でも悪く・・・」
「違うの。マナが・・・わかるでしょ?」by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
ラインハルトが本気モードになると同時に、彼女の体調が悪くなった。
エルザとの決着が着き、ラインハルトが本気モードを解除。
するとサテラ(偽名)の体調も徐々に回復。
サテラ(偽名)のマナの状態が少しずつ正常に戻ってきた瞬間だけが、アニメで描かれたのです。
原) スバルが求めていた笑顔
エルザが逃げ、今度こそ、ようやく平穏に。
スバルは、銀髪少女の名前と笑顔を手に入れる。
これがスバルが求めていた、本当の笑顔。
原作では、スバルの心情描写で盛り上げてくれます。
「──君の名前を教えてほしい」
-中略-
それは諦めた笑みでもなく、儚げな微笑でもなく、覚悟を決めた悲壮なものでもない。ただ純粋に、楽しいから笑った。それだけの微笑みだ。
「──エミリア」
-中略-
──助けてくれてありがとう。
そう言いたいのは彼女だけではない、スバルの方だった。スバルの方が先に彼女に恩を受けていたのだ。だからこれは、それがようやく返せただけのこと。
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
スバルが求めていた、笑顔と本当の名前。
命を懸けるには割に合わなさすぎる報酬。
だけど、スバルは満足そうに笑う。
スバルは彼女のために、損をしてでも借りを返したかった。
いや、スバルが大損するほどの、恩を返したかった。
それだけ、この世界で最初に助けてもらった彼女に恩義を感じていたのです。
スバルの男気が清々しい!
原) エミリアとラインハルトの立場の違い
エルザの最後の一撃で腹を切り裂かれたスバル。
エミリアの治癒魔法により、スバルは峠を越えた。
アニメでは、エミリアとラインハルトの関係は、気さくで良い関係に見えました。
が、原作ではエミリアとラインハルトの微妙な関係が描かれます。
満足げなエミリアに足早に歩み寄り、ラインハルトはその足下に膝をついて頭を垂れる。所作一つ一つによどみのない、完璧に礼式に則った姿勢だ。
「此度は自分の至らなさにより、エミリア様に多大な心労をおかけいたしました。この失態に対する罰はいかようにもお受けいたします」
立てた膝の前に腰に預けていた剣を置き、ラインハルトは己の失態を謝罪する。
騎士として、最大の謝意の示し方だ。この上でいかな沙汰が下されようと、甘んじて受け入れる覚悟がラインハルトにはあった。だが、立てた指を振って、どこか不満げに銀髪の少女は唇を尖らせる。
「そういうところ、よくわからないのよね、あなたたちって」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
徽章を盗まれたのはエミリアの不注意であって、ラインハルトは関係ない。
徽章探しに衛兵を頼らなかったのもエミリアの判断。
ましてや非番のラインハルトが、このように詫びる必要などないはずなのだが・・・
それほど、エミリアは高貴な存在なのか?
にしては、エミリアの行動は無防備過ぎる。
エミリアとラインハルトの関係がまだ分からないですね。
今後、明らかになっていくことでしょう。
原) ラインハルトが盗品蔵へたどり着いたのは?
アニメを見ただけでも、想像はついてましたが・・・
ラインハルトが貧民街へ来ていたのは、スバルから「盗品蔵」と聞いたから。
そして、フェルトの助けに応え、駆けつけた。
原作には、何も知らないエミリアが疑問をぶつけていました。
・・・どうやってここに?」
「きょうは休日で、目的もなく王都を散策していたんです。-中略-・・・彼に会いまして」
エミリアの疑問に答えながら、ラインハルトは眠るスバルをそっと視線で示した。
ラインハルトがこの場に間に合った経緯は、スバルとの出会いの場面までさかのぼる。
路地裏での語らいの中、スバルが口にした探し人の特徴と『盗品蔵』という名称。既知と未知の情報が重なり、それを追ううちにラインハルトもまた貧民街へ足を踏み入れ、
「途中で彼女と出会い、今に至るというところです」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
ラインハルトは、やはりスバルがエミリアを探していることを疑問に思い、盗品蔵という言葉を頼りに貧民街へ来ていたのです。
そこで、フェルトに出会った。
フェルトはスバルによりエルザから逃げ出し、スバルのために助けを呼んだ──
結局、ラインハルトが盗品蔵へたどり着くのが間に合ったのは──
スバルがラインハルトにエミリアのことを尋ね、フェルトを体を張って逃がし、エルザと相対しても勝ち目がないのに足掻いていたから掴んだチャンス。
内面だけでなく、結果も主人公しているのです、スバルは!
上手い展開です!
原) スバルの不思議な言動に思い当たる節が!?
スバルの必死な行動が、ギリギリだったとは言え、結果的にエミリアの命を助け、徽章を取り戻すこともできた。
だけど、それは、ずっとアニメを見ている視聴者の立場だからスバルの貢献度は分かるだけ。
エミリアから見たら「行きずり?」としか言えないほどの、スバルとの関係。
なのに、なぜ、スバルを受け入れたのか。
スバルにすっかり感情移入している私に取っては、ありがたい解釈。
それもこれもエミリアの優しさ故か。
でも、1ターン目では、偽名を言う程、スバルと距離を取ろうとしたのではないか?
その心変わりはなんなのか?
原作にはそれらしきセリフがありました。
「ですが、彼はあなたを探してました。渡したいものがあると。事実、こうしてこの場にいることですし、それに・・・」
身を挺してエミリアを守った、と言いかけて、ラインハルトは口ごもる。
声高にそう主張することが、彼の行動の気高さを貶めるように思えたからだ。「だから不思議なのよね。・・・今はちょっと、あの変態が何かしら関わってるんじゃないかって疑ってるんだけど」
「ロズワール辺境伯のことを、あまり悪く言われませんよう。あの方は立派なお方です。多少、変わり者であることは事実ですが・・・」
-中略-
「彼の身柄はどうしましょうか。よろしければ、当家の方で客人として扱いますが」
「・・・ううん、こっちで連れ帰ります。その方が事情もはっきりするし、仮に変態の関係者じゃなくても、私を助けてくれたことには変わりないもの」
by 『Re:ゼロから始める異世界生活』小説1巻
なんとエミリアは、会ったこともないスバルが、体を張って自分を守ってくれたことに対して、誰かが関与している可能性を考えていたのです。
スバルの不思議な行動の事情を知りたいこともあったけど、だからと言って受け入れるほど信じて良いかは不明。
何か別の企み、単に誰かから聞いて、別の目的で近づいたのかもしれない。
だけど、顔見知りが関与していたのなら、話は別。
むしろ状況を把握しておかなくてはならないのです。
ロズワール辺境伯は初出。原作でも、このシーンで名前が出るだけです。
今後、登場すると思われます。
そして、最後のセリフ「私を助けてくれたことには変わりない」に、放っておけないエミリアの優しさがにじみ出ています。
危なっかしい感じが心配ですが、最後は自分の事より困っている人を優先する彼女らしい判断ですね。
おわりに (原作小説『Re:ゼロから始める異世界生活』1巻とは)
アニメはかなり完成度も高く、アニメだけで充分よく分かり面白いです。
ただ、原作は、アニメ以上に詳細な描写があり、アニメだけでは分からなかった情報が。
アニメだけでは、正確には理解できてないけど、”なんとなく”分かったようになっているセリフや行動が、原作小説ではキチンと説明されてます。
#アニメが物足りないと言っているわけではないですよ。
#尺の関係上、心情描写が省略され絵で表現することは仕方ないのです。
アニメ鑑賞後、原作を読むと、大きな問題はないけど後回しにしていた小さな疑問が、パズルをピシッとはめるように、理解の補足をしてくれるのが心地よい。
今回は、スバルの主人公らしい内面がよく分かりました。
アニメ鑑賞時は、偶然だとか、結果的に、うまくいったのだと思ってましたが。
が、実際はスバルの考えた末の、思いがあった上での行動の結果なのです。
決して、スバルは先を見据えて行動したわけではない。
だけど、その瞬間瞬間で、良いと思ったこと、やりたいと思った事を、諦めずに実行した結果の積み重ねが結果に繋がった。
そのことが原作を読んでよく理解できました。
もちろんアニメはアニメで、良さは十二分にあり。
アクションシーンは動きが見えるアニメの方が楽しめます。
エルザの動きは、文字で読んでも訳が分からない(笑)。
アニメで見て、超人的な身体能力が分かるというもの。
アニメと原作、両方で楽しめる贅沢な作品なのです♪
以上、『Re:ゼロから始める異世界生活』原作小説1巻のレビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
原作小説2巻のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はTwitterにて!
ではでは。
ラインハルトがなぜ屋根を突き破ってきたのかは分からなかった・・・
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