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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『幼女戦記Ⅱ』第8話「雷撃」を鑑賞しました。
本レビューでは、アニメの感想に加えて原作ノベルを読んだ際の気付き、個人的な解説や考察をお届けします。
時文次話以降のネタバレはありません
ご安心ください!
皆さんの理解の助けとなり、作品をより楽しんでいただければ幸いです。
今話の原作
今回アニメ化されたのは──
- 原作ノベル
-
8巻 第三章「必要は発明の母」-第四章「海底から愛を込めて」
- コミカライズ
-
未収録 ※アニメの方が先行
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- (原作) 招集命令、ヴィーシャが起こしにきたのはなぜ?
- (原作) 南方大陸から撤退するのは、なぜ?
- サラマンダー戦闘団は何してるの?
- バルバロイとは?
- (原作) ロメール閣下とは?
- V-2のモデルは?
- 魚雷当たってないのに、なぜ爆発した?
- (原作) 連合王国海軍は、即対処していた!?
- 論語の言い回し何だったの?
- 派手な入港は何のため?
※「(原作)」は、原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『幼女戦記』は、カルロ・ゼン先生によるライトノベルが原作です。
私は原作ノベル・コミカライズ共に未読です。アニメ鑑賞後に、アニメ化済み部分のみを読んでレビューを作成しています。
そのため、次話以降のネタバレは書けないので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作ノベル・コミカライズを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
なお、原作の情報については「原作情報」として区別して記載します。
ココア緑系の色を目印にしてね!
時文ちなみに、考察や解説はオレンジ系です
補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際の目安にしてください。
各話リスト
劇場版
| コミカライズ | 原作ノベル | |
| 劇場版 | 21 – 32巻 | 3・4巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
| 話数 | サブタイトル | コミカライズ | 原作ノベル |
| 第1話 | サラマンダー戦闘団 | - | 5巻 |
| 第2話 | 奇妙な友情 | - | |
| 第3話 | 善意の仲介人 | - | 6巻 |
| 7巻 | |||
| 第4話 | 鉄槌作戦 | - | |
| 第5話 | 貧乏籤 | - | 8巻 |
| 第6話 | 囮 | - | |
| 第7話 | 煉獄 | - | |
| 9巻 | |||
| 第8話 | 雷撃 | - | |
| 第9話 | |||
| 第10話 | |||
| 第11話 | |||
| 第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
はじめに
帝国は南方大陸からの撤退を決定。だが、同盟国であるはずのイルドア王国は撤退支援を拒否。帝国軍は連合王国海軍が待ち構える内海を、単独で突破せざるを得なくなった ──
そうだ、帝国にはドクトルがいるじゃないか!(笑)
困ったときの技術廠頼み!?
当たらないなら、魔導師に操縦させればいい!?
溺れる者は藁をもつかむ。否、狂気の策でも頼らざるを得ないのか・・・。存在Xの仕業? 否、他人事だと思い、口を滑らせた報いですね(苦笑)。
それでも、やれと言われりゃやらねばならぬ。存在Xやイルドア王国を見返したい・・・。結果、人間魚雷で艦隊を沈め、ド派手な入港でイルドアも沈める。まさに雷撃!
それにしても ── 帝国はじり貧なのにまた勝ってしまいました。終わりの始まりは、いまだ終わりが見えず?
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー『幼女戦記Ⅱ』8話「雷撃」
アバンタイトル
戦没者式典で帝国の現状を知り、眠れぬ夜を過ごしていたターニャに、休暇中の深夜にもかかわらず、参謀本部から召喚命令が下る。
後味
ターニャが回想しているのは、前話の戦没者式典です。珍しく、前の出来事を引きずっていますね。
原作によると、参謀本部に呼び出されたのは戦没者式典の翌日です。ただ、式典の光景がこれだけ鮮明に残っているので、当日の深夜だった可能性も残ります。
その夜のターニャは、こう描かれています ──
その名も睡眠。
by 『幼女戦記』原作ノベル9巻
もしくは、この場合の別名ふて寝である。昨日覗き込んでしまった帝国の現状は不愉快極まりなし。その視察を踏まえた結論として、ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐は自身の精神安静のため睡眠時間を確保する道を選んだのである。
式典で見た帝国の現状が不愉快すぎて、ふて寝を決め込み、早めにベッドへ潜り込んでいたのです。
アニメでは、まだ眠っていないところへ召喚がかかります。原作ノベルでは、すっかり寝入った頃に電話で叩き起こされます。
招集命令
── 中佐殿、参謀本部より招集命令です!
こんな時間に休暇中の呼び出しとなれば、ただ事ではない。ああ、妙に喉が渇いて仕方ないな・・・。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
休暇中の深夜に呼び出される。ただ事ではない、とターニャは覚悟します。だから喉が渇いたのです。
Aパート
帝国は南方大陸からの撤退を決定。だが、同盟国であるはずのイルドア王国は撤退支援を拒否。第203航空魔導大隊に、列強随一の連合王国海軍を退けるよう命令が下る。
戦線縮小
泥沼化する東部戦線、激化する西方航空戦。帝国は少しでも消耗を抑えんと、長引く自由共和国との戦いを切り上げ、南方大陸からの撤退を決定。
by ナレーション『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
2期に入ってから、アニメの舞台は東部戦線だけですが、帝国は今、三正面で戦争をしています。西は連合王国、東は連邦、南は共和国残党の自由共和国がいる南方大陸です。
そのうち、南方大陸から撤退するのはなぜなのでしょうか?
連邦と講和できなかった帝国は、かなりギリギリの状態です。それでも最高統帥府は、参謀本部に”勝利”を求めます。
勝利どころか、戦線維持も危うい状況です。ルーデルドルフ中将は、東部はゼートゥーア閣下がいるので持ちこたえられると踏んでいます。危ないのは西方です。
西方の連合王国への対処で物資の生産が落ち、物動も間に合いませんでした。先のアンドロメダ計画が頓挫したのは、このためです。西方が破られれば、帝国は戦えません。
だからルーデルドルフ中将は、西方を任せられる将を南方から回すため、南方大陸からの撤退を決めたのです。
時文そういえば、自由共和国のド・ルーゴ将軍やビアント中佐はどうなったのかな?
ココアホントだ、どうなったの??
サラマンダー戦闘団
諸君、戦闘団の大多数は休暇を兼ねた再編中だが・・・。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
サラマンダー戦闘団は休暇中です。前話、レルゲン大佐の計らいで保養所が割り当てられました。帝国軍人たるもの、緊急事態に休暇は関係ないと思っていましたが・・・(苦笑)。
再編中?
戦闘団とは、任務に応じて構成を変える部隊です。
前話、東部戦線から帝都へ戻ったのは、休暇が目的ではありません。戦闘団の再編があり、そのタイミングで休暇になったのです。次の任務地は、東部戦線とは限りません。
再編中の部隊に、作戦は命じられません。原作でも、ルーデルドルフ中将はこう言っています ──
「再編中のレルゲン戦闘団に無茶は命じぬ。ゼートゥーア中将ほどではないが、私とて物事に限界があるということは承知している」
by ルーデルドルフ中将(帝国参謀本部)『幼女戦記』原作ノベル9巻
再編中の戦闘団に無茶は命じない、と。一方で ──
「レルゲン戦闘団には無茶をさせられん。これは遺憾ながら、現状を踏まえれば揺るがしがたい。しかし、基幹戦力たる一個魔導大隊ならば貴官共々に健在ときた」
by ルーデルドルフ中将(帝国参謀本部)『幼女戦記』原作ノベル9巻
引用のレルゲン戦闘団は、サラマンダー戦闘団のことです。核である第203航空魔導大隊は、編成が変わりません。戦闘団から切り離して動かせるのです。
はっ!参謀本部直属の遊撃屋、我が第203航空魔導大隊は例外であります!
by ヴァイス少佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
ヴァイス少佐の言うとおり、第203航空魔導大隊は参謀本部直属です。悲しいかな、休暇などお構いなしなのです(苦笑)。
バルバロイ
作戦名は「バルバロイ」。任務概要は、旅行代理店の真似事だ。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
バルバロイは、もともとは意味の分からない言葉を話す人、という意味です。古代ギリシア人が、自国以外の異民族を蔑んでこう呼んでいました。辞書でも、差別的な蔑称とあります。
今話の帝国から見れば、内海で待ち構える連合王国も、支援を拒否したイルドア王国も、卑怯者に見える。その侮蔑を、作戦名に載せたのでしょう。
ロメール閣下
連合王国艦隊を内海より退場させ、南方大陸派遣軍を、ロメール閣下たちをご帰国させる。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
ロメール閣下は、アニメでは初出です。原作ノベルとコミカライズでは、南方大陸の自由共和国戦で既に登場しています。

『劇場版 幼女戦記』では、南方大陸の戦いは冒頭の5分ほどで終わってしまいました。コミカライズでは、4冊にわたって泥臭い戦いが描かれています。(劇場版 幼女戦記 )
その戦いの中心にいるのが、ロメール閣下です。グランツ中尉も、閣下と親交を深めています。今話で閣下の帰国を聞き、グランツ中尉が真っ先に「戦友らのお迎えですか!」と答えたのは、このためです。
ココアお~、そういうことか!
大陸国家
友邦があてにならぬ以上、諸問題を独力で解決せねばならん。風見鶏の目の前で、連合王国のクソどもを地獄に叩き落とすぞ!
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
これから無茶な作戦をさせられるとつゆ知らず、いつも通り、部下のテンションを爆上げさせる我らがデグレチャフ中佐殿。
原作ノベルを読むと、まったく違う顔が見えてきます・・・。
ターニャ曰く ──
「厄介なことに、というべきかな。認めるべき事実がある。我々、第二〇三航空魔導大隊は洋上戦闘が苦手だ」
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記』原作ノベル9巻
第203航空魔導大隊の弱点は洋上戦闘です。
帝国自体が大陸国家です。地上戦が多く、洋上での戦いは機会が少なく、経験も足りません。第203航空魔導大隊もご多分に洩れないのです。
珍しくヴァイス少佐は反論します。アニメではカットされていますが、原作ノベルとコミカライズでは、第203航空魔導大隊は洋上でも勝利を挙げています。ただ、それでもターニャに言わせると、赤点ギリギリのきわどい勝ちです。
相手は海洋国家です ──
「グランツ中尉、単刀直入に言っておこう。彼我の海軍戦力の格差は絶望的だ」
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記』原作ノベル9巻
海洋国家VS大陸国家。
重点を陸に置かざるを得ない大陸国家をして、海洋国家の艦隊戦力に挑むなど費用対効果からして不可能というものだ。
帝国海軍が南方へ投入できる艦艇は、皆無に近い。とてもじゃないが、列強随一の連合王国海軍とまともに戦争することなど望めないのです。
連合王国が余裕を見せ、イルドア王国が支援を拒否したのも、このためです。建前はまだ同盟です。本音では、帝国を見限ったのでしょう。
ココアお~、そういうことか
この時点のターニャには、任務の打開策がありません。なぜ第203航空魔導大隊へ任務が下りたのかも、分かっていません。
だから、レルゲン大佐とシューゲル主任技師から人間魚雷を命じられても、代替案がなく反論すらできなかったのです・・・。
ココアあっ、そういうことか…
シューゲル主任技師
ドクトル!?
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
帝国軍の天才科学者、シューゲル主任技師が久しぶりに登場です!
そうだ、帝国にはまだシューゲル主任技師がいるじゃないですか!(笑)
今のターニャがあるのも、ある意味ドクトルのおかげです♪
始まりは、ターニャにしか扱えない、宝珠を4つ同時に動かせる演算宝珠エレニウム九五式です。第203航空魔導大隊が他国を圧倒できるのも、宝珠核を2つ搭載したエレニウム九七式のおかげです。どちらもドクトルの開発です。

西方戦線、1期9話では、ドクトルが開発した秘匿呼称V-1もお目見えしました。これで、共和国の前線司令部を叩いています。

ターニャは、使用者のことを考えていない狂気の兵器だとよく言います。
その一方で、1期11話、南方大陸へ逃げる共和国残党を攻撃するときもV-1を使おうとしました。2期4話の鉄槌作戦では、(原作ノベルによると)V-1があれば敵司令部を叩けた、と軽口を叩いています(苦笑)。(2期4話 )
時文実は怖いのは最初だけだったりして(苦笑)
ココアそういうものなの!?
人を人と思っていない。作りたいものを作るマッドサイエンティストです。それでもターニャは、その有用性を認めているのです(苦笑)。
人間魚雷”V-2″

使い方はV-1と同じだ。諸君はこれを敵にぶつけるだけでいい。
by シューゲル主任技師(帝国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
ああ、直前の離脱も忘れないようにな。たっぷりと積載された火薬が困難を吹き飛ばすさまを間近で目にすることができる。
ドクトルが次に創り出したのは、人間魚雷”V-2″です!
見た目は、第二次世界大戦でイタリアが使った人間魚雷、マイアーレそのものです(笑)。
Photo: Myrabella / Wikimedia Commons
ココアお~~、そっくり!
作品が真似た、ということではありません。ターニャが前世の知識を伝えた。魚雷に人が乗る場所を付ければ形はこうなる、ということです(苦笑)。
開発したのがイタリア、作中のイルドア王国だというのも、皮肉が効いています♪
ココアあっ、イタリアなんだ!
面白い!
実際、第二次世界大戦では、イタリアがイギリスの戦艦を撃破しています。イギリスは、作中の連合王国です。
ココアお~、しかも相手はイギリスなんだ!
操縦者は死んではいません。ただ、全員が敵の捕虜になりました・・・。
ココアあー、やっぱり逃げられないよね…
帝国海軍兵器の現状
── V-2は、貴官の提案と提言をきっかけに開発したのだ。いうなれば信仰者同士の信仰による合作。まさに、貴官と私の子供だな。
以前、私は現場将校の一人として技術者に招へいされていた。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
V-2は、シューゲル主任技師とターニャの子供!? 一体何があったのでしょうか。
アニメでは1分ほどで描かれています。原作ではたっぷり描かれています。ちと長くなりますが、解説します。
結局のところ主力艦の砲門を揃えぬことには、海上覇権はおろか、敵のそれに挑戦することもおぼつきません。
by 技術者『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
当時の帝国海軍は、大きな艦体に巨大で威力の高い主砲を搭載して敵艦隊を打ち破ることを是とする、大艦巨砲主義です。前世で第二次世界大戦の主役を知るターニャにとっては、もはや古い考えです。我慢ができず、口を出してしまいます。
長期的には正解だとしても、今現在、無策で戦えば、それは単なる浪費でしかありません。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── 理屈だけは立派なことだ。それで?短期的解決策があるのかね?
ございます。水雷 ── 特に航空雷撃は極めて有望かと。
「水雷」とは、魚雷や機雷のことです。
「航空雷撃」とは、航空機から魚雷を投下して攻撃する戦法です。航空機が海面ギリギリを飛び、艦体に近づいたところで魚雷を切り離します。
ターニャは当たり前だと思って述べたのです。(原作では)技術者から、思わぬ答えが返ってきます。
「我が軍には対艦攻撃に使える雷撃隊は存在しない」
by 『幼女戦記』原作ノベル9巻
迂闊にも魔導師として航空機事情に疎いが故の誤解。
帝国には、雷撃ができる攻撃隊がなかったのです。帝国軍は典型的な陸軍国家です。戦線拡大で海軍は増強されています。空軍は、陸軍の対地支援が中心だったのです。
帝国でも開発は進めています。ですが、完成まで1~2年はかかり、実戦投入はさらに先です。
艦艇用魚雷も、困難を極めていました。
理想的なポジション、艦首前方を確保し至近距離から雷撃できるかどうかはほとんど僥倖次第。
by 『幼女戦記』原作ノベル9巻
目標の進路や識別といった初歩的な要素ですら、熟達した士官とても判別に困難を覚えるのである。魚雷の航行コースの計算に必要な的速・照準距離測定・方位角の算出に加えて魚雷の信管・深度を選ばねばならない。
海は広く、潜水艦は足が遅いです。戦艦よりずっと遅い。先廻りして、戦艦の真正面に出て、まっすぐ打つことはまずありません。ほぼ、斜め横からの攻撃になります。
魚雷を艦体に当てるには、緻密な計算が要ります。その精度が、まだまだなのです。
アニメでは、この辺りが次のセリフに凝縮されています。
艦艇用魚雷ですら技術的にままならないのに、ましてや航空魚雷など・・・。
by 技術者『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── では、運用の改善はいかがでしょうか。潜水艦による漸減は・・・。
低速の潜水艦で主力艦を狙えるかね?
連合王国が、帝国恐るるに足らずと安心していたのも、このためでしょう。
時文数でも各々の規模でも勝る艦隊を撃沈する手段などないと思っていたんだね
ココアおお、そういうことか!
V-2誕生秘話
魚雷はあります。命中率は低い。数で押すにも、運ぶ潜水艦は限られています。物資も足りません。
ターニャがここまでに出した意見は、技術者にとって、すでに議論され尽くしたことばかりです。検討に検討を重ね、別の案を探しているからこそ、最前線のターニャが呼ばれたのです。部外者に期待したのが失敗だったか、という空気になってきた時 ──
でしたら、いっそ、魚雷に魔導師でも載せてはいかがですか?
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── 何?
魔導師に魚雷を敵艦まで誘導させ、直前で離脱。確実に命中させるのです。魔導師なら命中後の攻撃も可能です。
ターニャの思わぬ一言が、議論の風向きを変えます。
ターニャの思わぬ一言が風向きを変えます。
原作でも、会話の弾みだった、と書かれています。
ターニャは前世の記憶で、イタリアのマイアーレも、日本の回天も知っています。回天は片道の特攻兵器です。実績があり、生還できるマイアーレを参考にして意見したのです。
帝国の魚雷の技術レベルを踏まえ、今ある技術の組み合わせで、いちばん効く案を出した。それだけです。技術面も人道面も、検討は専門家に任せるつもりでした。実用化したのは技術廠、実戦投入したのは参謀本部でしょう。
事実、原作ノベルでは、技術者は技術的には可能だ、と見ます。「兵を軽々しく摩耗させる」案には賛同しかねる。研究に留める、と結論しています。
それを、どこかのマッドサイエンティストが形にしたのでしょうね・・・。
誰だって自分で使う気がなければ、無責任に「いいアイデア」を現場に投げられるものだな・・・。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
これも存在Xの嫌がらせか・・・。そうだろうな、因果すぎる!
魔導師を持ち出した時点で、自分が使用者になる可能性に気付くべきです。存在Xの導きではありません。自業自得ですね(苦笑)。
大学でゼートゥーア閣下に即応魔導大隊を提案したこと。アレーヌ市での市街戦の合法化。東部戦線、ソルディム528陣地の囮。ターニャは、同じ失敗を繰り返しているのです。

時文もはや、『幼女戦記』の鉄板だね
ココア確かに…
Bパート
ターニャ達は、シューゲル主任技師が開発した人間魚雷”V-2″を使い、たった12人で連合王国艦隊を撃破することになる。
日没
── 前菜に大型巡洋艦、メインは空母に戦艦ですか?
by バルヒェット艦長(帝国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
ですが、あいにく日没前です。V-2ではなくウナギという手も・・・。
ウナギとは、魚雷のことです。
発射管へスムーズに装填するため、魚雷には潤滑油が塗られていました。細長く、油まみれでヌルヌル滑る感触まで似ているので、ウナギと呼ばれていたようです。
V-2も魚雷です。ここでのウナギは、通常の魚雷を指します。艦長は、通常の魚雷の方がよいのでは、と言ったのです。
もうすぐ日没です。海中は、日が沈むと暗闇になります。
V-2は、魔導師が魚雷を誘導します。バルヒェット艦長は、視界がなければ操縦できないと思ったのです。
そのための我々です。決心せねばならぬのですよ。
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── 友軍の撤退がかかっている、と?
それに、イルドアのお友達も見ているはずです。結局、現場で帳尻を合わせるしかなし。
ターニャには、魔導師の索敵能力を使えば日没後でも問題ない、という算段があったのでしょう。
潜水艦は戦艦よりかなり遅いです。先回りは以ての外、発見した艦隊に付き従い続けることもできません。今の遭遇を逃せないのです。日没でも、決心せねばなりません。
原作では、ターニャはこうも考えています。
ああ、とそこでターニャは一つ思考に付け足す。『イルドア』に見せつけろというオーダーがあったな、と。
by 『幼女戦記』原作ノベル9巻
暴力は問題を生み出すというが、時と場合によりけりな部分があるのも事実だ。交戦国が舐められるよりは、恐怖される方がマシ。マキャベリズムの神髄だろう。
ルーデルドルフ中将から、イルドア王国に帝国を舐めるとどうなるか見せつけてやれ、との指示を受けていたのです。
誰もが負けると思っている劣勢でも、帝国は勝つと示さなければならない。通常の魚雷より、V-2の方がずっと効きますね。
ましてや、これだけ奇抜な作戦。夜間の方が効果が際立つのです。
磁気信管
今っ!
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
アニメ鑑賞時、V-2は戦艦の下側を通ったので外れたと思いました(苦笑)。
ココアうん、思った!
ですが、戦艦の真下で爆発します!
これは、命中しなくても一定距離まで近づけば爆発する近接信管です。
磁気信管とは、磁気の変化を捉え、船体の真下で爆発させる仕組みです。近接信管の一種です。
戦艦の弱点は竜骨です。船底の中心を這う、背骨にあたる部分です。水面より上をいくら叩いても、簡単には沈みません。船底に穴を開けられる、竜骨を折られる、となると話は別です。魚雷が効くのは、その背骨を壊せるからです。
横腹に当てるより、真下で爆発させた方が竜骨に効きます。精度の高い磁気信管が有効なのは、このためです。
ココアお~、そういうことか~~!!
アニメでは、背骨どころか一発で船体をへし折っていましたけどね・・・。シューゲル主任技師の自慢の逸品です。破壊力は格別なんでしょう(笑)。
反対に ── それだけの破壊力がある魚雷に、魔導師たちをまたがらせていたのです。磁気信管なら、衝撃がなくても、磁気の乱れで爆発します・・・。
ココアコワッ!!
原) 回避行動
マイティ・フッドが・・・。アーク・ロイヤルが・・・。
by 水兵(連合王国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
もうダメだ・・・。
アニメでは、連合王国の水兵は何が起きたか把握すらできず、右往左往するばかりです。原作を読むと、そうではありません。
油断していたとはいえ、列強随一の海軍です。即座に動いていました。
同時に、それでも最精鋭と謳われし彼らは悲嘆にくれつつも為すべきことを猛然と推し進める。フッドの被雷を知るや咄嗟に艦隊は陣形を解いて回避行動を選択。
by 『幼女戦記』原作ノベル9巻
練度・反応共に望みうる最良の水準でそれは行われていた。
迅速極まりない判断、望みうる限り最速の反応、そして隊列を解く瞬間すら連携を乱すことのない統制された動き。
フッドの被雷を知るや、陣形を解いて回避行動を取っていたのです。
ただ、直前まで魔導師が操縦していたV-2からは、逃げ切れません。人間魚雷だったからこそ、捉えられたのです。
連合王国は、海中からの攻撃を防ぐため、爆発物を海へ打ち込む準備を整えます。そこへ、海から帝国魔導師が浮上します。甲板に野ざらしだった爆発物へ、爆裂術式を打ち込まれたのです・・・。
ココアおお~~!
時文ここはアニメでも見たかった!
完勝
U-091艦長のオットー・フォン・エルム少佐です。お見事でした、中佐殿。
すでに連合王国の艦隊主力は撤退。南方派遣軍は愉快な船旅に・・・。いや、同期のバルヒェットも大騒ぎでしたよ。
by オットー・フォン・エルム艦長(帝国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
往路の艦長はバルヒェット艦長です。帰りは、別の潜水艦に乗り込みます。
潜水艦は足が遅いです。作戦のあとは、こうして別の潜水艦に拾ってもらいます。
V-2がそれだけ長い距離を進んだか、発射した潜水艦が先に離脱したか。どちらにせよ、往路の艦では帰れない、ということです。
連合王国の主力艦隊は撤退し、南方大陸派遣軍の撤退も完了します。国内でも不安視されていた作戦は、成功したのです。
海上で絶対的な強さを誇る連合王国主力艦隊相手に、数でも質でも劣る帝国が、技術と(狂気ともいえる)創意工夫で乗り越えたのです。
たった12人の魔導師が、やり遂げたのです。
外交
── 友あり、遠方より来たる、また楽しからずや。ですな。
by カランドロ大佐(イルドア王国)×レルゲン大佐(帝国参謀本部)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── 人知らずしてうらみず、また楽しからずや。と返しても?
カランドロ大佐とレルゲン大佐が使ったのは、論語の一文です。
カランドロ大佐の「友あり、遠方より来たる、また楽しからずや」は ── 同じ志をもつ友が、遠くからでもやってきて一緒に学ぶ。なんと楽しいことだろう、という意味です。
レルゲン大佐の返しは「人知らずしてうらみず、また楽しからずや」です。論語を、少しアレンジしています。
原文は「人知らずしてうらみず、また君子ならずや」です。他人が認めてくれなくても恨まない。それこそ君子ではないか、という意味です。レルゲン大佐は、後半を「また楽しからずや」に差し替えました。
実力も努力も認めてもらえなくても、恨まない。むしろ痛快だ、と。カランドロ大佐の「また楽しからずや」を、そのまま突き返したのです。
だからカランドロ大佐は、こう返したのでしょう。
何を仰いますか。同盟国としてよく理解しておりますと。
by カランドロ大佐(イルドア王国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
帝国は、はらわたが煮えかえっています。それでも、これ以上の敵国は増やせません。イルドア王国は、帝国を見放したつもりでした。なのに、まだ健在だと示された。戦争の当事国にはなりたくない。
互いにこんな心情だから、腹芸が成り立ってしまうのです(苦笑)。
一を聞いて十を知る
イルドアもまったく面の皮が厚い。王国がお灸の一つも、となるわけだ。受け入れるのは部隊じゃない。単なる12人の表敬訪問。イルドアがそう言い張ったところで、あれは魔導中隊だ。いい踏み絵なわけで・・・。
by レルゲン大佐(帝国参謀本部)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
12人の表敬訪問。帝国参謀本部は、イルドア王国の厳正中立を逆手に取っています。
イルドア王国は、帝国軍の入国は拒否する、寄港も24時間以内、と公言していました。参謀本部は、軍隊とは言えない少数で、軍の移動ではなく表敬訪問だ、として入国の許可を求めたのです。
実態は、12人とはいえ立派な魔導中隊です。つい先ほど、連合王国の艦隊を落とした中隊でもあります。実質、軍を受け入れたのと同じです。断れば、もう敵国だぞ、と。帝国は、イルドア王国に踏み絵を踏ませたのです。
イルドアはイルドアで、国内外から刺されないよう、できるだけ静かに12人を通したい。レルゲン大佐とカランドロ大佐の心情が、交互に描かれます。
── せっかくだ檜舞台にしてやりたいのですが・・・。
by レルゲン大佐(帝国参謀本部)×カランドロ大佐(イルドア王国)『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
── いや、全くですな。急なことで接遇の予算や場所に事欠き申し訳ない。
── やれやれ、どこまでも茶番劇だな。完全に裏口。とにかく人目を避けての友好親善とは・・・。
── とはいえ、潜水艦をこっそり受け入れるだけ。騒がなければ・・・。
双方、穏便に済ませようとしていたのです。そこへ ──
これはこれは!イルドアの皆様!お出迎えありがたく!
by ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐『幼女戦記Ⅱ』TVアニメ第8話
第203魔導中隊12人が搭乗した潜水艦が入港。
甲板には、帝国とイルドア王国の国旗がはためきます・・・。先頭に立っているのは、見た目だけは見目麗しい銀翼保持者。否が応でも目立ちます。
さすが銀翼デグレチャフ中佐。一を聞いて十を知る。潜水艦で受け取った命令書だけで、参謀本部の意図をきちんと汲み取り、イルドア王国が実質、帝国軍を受け入れた事実を、国内外に知らしめたのです!
要求された以上で応えるのが、ターニャ・フォン・デグレチャフ中佐なのです!
ここまでやるとは思っていなかったレルゲン大佐は、胃が痛くなったようですが・・・(爆)。
おわりに (『幼女戦記Ⅱ』8話とは)
今話は、笑いあり、涙あり(笑)、戦闘あり、政治ありの話でした。
南方からの撤退を、たった12人の魔導師が人間魚雷でこじ開けた。舐めた態度を取ったイルドア王国には、表敬訪問という名の踏み絵を踏ませ、帝国がまだ健在だと示したのです。
今話に限ったことではありませんが、原作では、ターニャは考えた末に言葉を口にしています。その思考が、事細かに描かれています。アニメ鑑賞のあと原作を読むと、本当によく分かります。
アニメは、枝葉を切り落として主軸に絞り、分かりやすくしています。映像ならではの描写も楽しいです。今話で言うと、人間魚雷”V-2″の動きも、魔導師が魚雷を誘導する様子も、艦隊攻撃もお見事です!
私は、アニメ鑑賞後に原作を読んでいます。アニメで概略を掴み、原作で詳細を知る形になります。今話は、その順番がよくはまりました♪
原作ノベルでこれは!と思った点を、本レビューで紹介しています。ただ、感覚ですが、半分も取り上げていません(笑)。もっと知りたい方は、ぜひ原作を手に取ってください。読み応えありますよ~~。
以上、TVアニメ『幼女戦記Ⅱ』第8話の感想&考察レビューでした。長文にもかかわらず、最後までお読みいただきありがとうございました。
次話のレビューも書く予定です。
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— 時文@(幼女戦記レビュー中)ここアニ管理人 (@toki23_a) August 29, 2026
そうだ、帝国にはドクトルがいるじゃないか!
溺れる者は狂気をも頼る🤣
誘導できなければ魔導師を乗せれば良いのでは?
魚雷で艦隊沈め、ド派手な入港で中立沈める
じり貧なのにまた勝利
終わりの始まりは終わらない
存在Xの仕業?
否、他人事だと思い、口を滑らせた報いですね🤣
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