【文字数(本文):約1万6千文字(目安26分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『小市民シリーズ』第6話「シャルロットだけはぼくのもの」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 小市民シリーズ第2弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』
-
序章「まるで綿菓子のよう」
第一章「シャルロットだけはぼくのもの」
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- 原) 小鳩は一人で夏祭りに来た?
原) 今は夏休み?夏休み前? - 原) 狐面を付けていたのに、なぜ小佐内さんだと分かった?
原) 縁日、二人は約束していたのか? - 原) 小鳩は、なぜ「顔を合わせたくない人がいる」と分かった?
- 原) 「その格好で…」とは?
- なぜ小鳩に同行を求める?
- 原) 約束の時間、小鳩はどこへ向かってた?
- 原) なぜシャルロットを3つしか買えなかった事を事前に連絡しない?
- 原) 小鳩は、小佐内さんの家には何度も来ている?
- 小鳩は、なぜ先に食べた?
- 原) 小鳩はシャルロットを食べたかっただけではない?
- 原) 小佐内さんは、なぜ「シャルロットは3つ」と断定した?
- 原) 「ハンカチを出せなくする」のはババロアだけ!?
※「原」は原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『小市民シリーズ』の原作は、米澤穂信先生の小市民シリーズ第1弾『春期限定いちごタルト事件』、第2弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』。
私は、2作とも未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作小説を読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
原作小説の情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
これは、推理の連鎖で片がつく。
by 小説『春期限定いちごタルト事件』
ちなみに、考察や解説、疑問はオレンジ系 ──
それ以外は、補足や余談、参考情報はブルー系 ──
読む際の目安にして下さい。
全10話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作小説 |
第1話 | 羊の着ぐるみ | S1 |
第2話 | おいしいココアの作り方 | |
第3話 | ハンプティ・ダンプティ | |
第4話 | 狐狼の心 | |
第5話 | 巴里マカロンの謎 | 短編集 |
第6話 | シャルロットだけはぼくのもの | S2 |
第7話 | ||
第8話 | ||
第9話 | ||
第10話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作小説:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
※原作小説:S1(シリーズ第1弾)「春期限定いちごタルト事件」
短編集「巴里マカロンの謎」
S2「夏期限定トロピカルパフェ事件」
はじめに
夏休みの予定は特にないと答えた小鳩の家に小佐内がやってくる。
小佐内は夏休み中に街のスイーツを制覇する計画を立て、小鳩に同行して欲しいと言う・・・。
<小佐内スイーツセレクション・夏> 開幕。
オオカミがキツネに敵わないのは自然の摂理。
だけど、知恵比べなら・・・。
ようやく小鳩もスイーツと挑戦心に目覚めたか!?
トリガーは美味しすぎるシャルロットか、2つ残っていたからか、それともイタズラ心か・・・。
遂に小鳩が犯罪に手を染めてしまう!?
頭の良さが有効なのは謎解きだけではない。
対するは甘いもの関連に敏感で目端の利く狼、相手にとって不足なし?
完全犯罪目指して小鳩の飽くなき挑戦。
首筋這う汗は、暑いからか冷や汗か・・・。
小鳩一人称視点で描かれる小説を読むのが楽しみです!(現時点、まだ未読)
それにしても・・・。
この子たち、お金の精算はしていないのかな?
お金の精算してるなら、単価確認でレシート見せた時点でバレると思いますが・・・。
あっ、確かに
小佐内さんのことだから、値段も知ってるとか?
なんだか、(今回は)小鳩持ちな気がする…
自分で支払ってるなら多く食べても良い気がするけど
夏祭りに二人で歩き、スイーツ店巡り(計画)して、互いの家へ行く。
誰がどう見ても二人は付き合っているようにしか見えませんが・・・。
二人の関係も含め謎かけのよう。
<小佐内スイーツセレクション・夏>開幕と共に始まる ──
ちっちゃい子の夏の大冒険?
なぜ小鳩をスイーツ店巡りのパートナーに選んだのか?
もしかして・・・小鳩を洋菓子派にすることが目的!?
おお!
今回ヒットしたもんね!
二人の関係は進むのか。
小鳩の好みは変わるのか(笑)。
そして、どんな事件が起きる・・・いや、巻き込まれるのか(苦笑)。
もしかして既に起きている?
『小市民シリーズ』後半エピソード。
「夏期限定トロピカルパフェ事件」編スタートです!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第6話「シャルロットだけはぼくのもの」
夏祭り
夏祭りの縁日、当てもなく歩いていた小鳩は、お面の少女に出会う。
ブラ小鳩
縁日の屋台に来た小鳩。
「小市民を目指す=トラブルを避ける」ことを最優先する小鳩なら、祭りなんてものにはてっきり近づかないのだと思っていました。
誰かと約束したのなら仕方ありません。
が、そうでもなさそう。
一体、何を目的に来ているのでしょうか?
原作によると ── 今はテスト準備期間中。
つまり、夏休み前の1学期末考査前の、テスト前夜です。
ぼくの通う船戸高校は現在テスト準備期間中。学校からは、「学業に専念すべき時期に、祭だからといって夜遊びにふけることのないように」とお達しが出ている。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
学校からは夜遊びしないようにと、お達しが出ているようです。
小市民を目指す小鳩は ──
ここで「禁止されたのだから行かないのが小市民的」と考えるようではまだまだ甘い。真に小市民的というのは、「ルールは破るためにあるのさ」などと嘯いて夜祭に出かけ、そのくせ教員や補導員の姿を見るとこそこそと逃げ隠れするような行動を言うのだ。そんなわけで、ぼくは夜店の間をぶらついている。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
小鳩曰く ──
学校のルールは見つからないようこっそり破るのが真の小市民。
だから、祭りを一人ぶらぶらしているのです。
どうやら、誰かと約束したでもなく祭りの縁日をブラブラ楽しむ小鳩。
原作によると ──
小鳩には、学校内で声を掛ける知り合いはいても、学校外では声を掛け合うような間柄は一人しかいないようです。
一人とは・・・小佐内さんだと思いましたが違いました(笑)。
えっ、違うの!?
堂島健吾のことのようです。
まあ、堂島の場合は、学校内外関係なく声を掛けてくる奴だと評価してますが(苦笑)。
では、小佐内さんは?
女王様か小悪魔か
蹴りが強すぎるよ、小佐内さん。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
どうやら、約束したわけではなさそうな二人。
では、なぜキツネの面をかぶった少女が小佐内さんだと分かったのでしょうか?
まあ、すぐに分かったけどね…
うん、誰がどう見ても小佐内さん
それに、こんなことするの小佐内さんくらいしかいない
はい、小鳩も同じような事を考えていました(苦笑)。
狐の面で顔を覆っているのになぜそうとわかったか。種を明かせば仕掛けは簡単。そんなトライバルなお面をつけて人の襟首をいきなり引っ張るような女性を、ぼくは小佐内さんの他には知らない。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
さすが小鳩くん。
襟首を引っ張られたときに既に気付いていたのです。
気付いていたのに「迷子呼ばわり」。
小佐内さんだと分かっているのに、そんなこと言うから小佐内さん怒ったのかもしれないですね・・・。
お~、だから蹴ったのか!
と思ったあなたは小佐内さんの術中にはまっています(笑)。
小鳩はちゃんと見抜いているようです。
「でも、わたし、小鳩くんの言葉にとっても傷ついたの……。だから、許してくれるよね?」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
「そりゃあもう」
「よかった」
柔らかに笑う。ははは、白々しい。小佐内さんがあのぐらいで傷つくものか。小佐内さんが傷つくというのは、もっと、その。……大変なことなのだ。
え~~、全然違うじゃん!?
小佐内さんは正体はオオカミと形容されるほど。
甘い物を食べている時は幸せそうな顔をしますが、それ以上に喜びを感じるのは復讐をする時・・・。
どうも、見た目や所作、纏う雰囲気に引っ張られてしまいますが、小鳩評によると小佐内さんは相当強かで強靱な精神の持ち主のよう。
アニメ(の小佐内さん)を見ているとすっかり騙されてしまいますね(苦笑)。
え~~、そんな風には見えないけど…
だよね
でも原作読んで、そう確信してるよ私は
そして最も重要なのは、お互い恋愛感情を抱いていない、ということ。
このことを念頭に置いておかなければミスリードされてしまいそうです。
では、次のセリフはどう捉えれば良いのでしょうか?
一緒に歩く理由は…
浴衣姿を褒めるでもなく、また褒められたいわけでもない。
リアルなキツネ面について会話する二人。
── 一緒に歩こ。
えっ!?顔を合わせたくない人が、この先にいるんだね?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
小佐内さんのような可愛い子から「一緒に歩こ」なんて言われたら ──
普通の高校生男子なら舞い上がるシーン!
でも、小鳩常悟朗は違います。
全然小市民じゃないじゃん
あっ、確かに
1話、春期限定いちごタルトを買いに行くのに「一緒に行ってくれる?」と言われても、裏にある真意を見抜いた小鳩。(1話 )
では、今回は裏に何があったのでしょうか?
なぜ、一緒に歩くことが”顔を合わせたくない人がいる”ことに繋がるのでしょうか?
まず最初に ──
学校外で声を掛けてくるのは堂島一人であって、小佐内さんを外している件について。
小佐内さんとは小市民を目指すための互恵関係であって、それ以上でもそれ以下でもないと断言しています。
つまり、学外で小佐内さんが話しかけてくるのは目的がある時だけです。
なので、上記セリフを聞いた際、小鳩はこう考えています。
その小佐内さんが、ぼくと夜祭の目抜き通りを一緒に歩きたいとは、いったいどんな魂胆があって。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
小佐内さんが一緒に歩きたいなんて、どんな魂胆があるのか?とまで考えているのです。
そこまで!?
だからこそ、小鳩は浮かれることなく冷静に頭を巡らせます。
意味ありげに右側に並ぶ小佐内さんを見て、すぐさま気付くのです ──
「顔を合わせたくない人が、この先にいるんだね」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
頭の右側に括りつけた狐の面は、小佐内さんの横顔を多少なりとも隠してくれる。そして左側にはぼくが立つ。ついでに下駄の鼻緒を見つめるように 俯き気味に歩けば、小佐内さんは正面から見られない限り彼女とは見抜かれないだろう。まして、こうかっちりと純和風で雰囲気を固めていればなおさらだ。
ぼくの予想を裏づけるように、小佐内さんはもう下を向き、答えるときも顔を上げなかった。
「うん」
小佐内さんは、左側を小鳩の身体で、右側をキツネのお面で、うつむき加減で歩けば正面からも顔の確認は難しくなる。
なんと、小佐内さんは小鳩(の身体)を隠れ蓑にしたのです。
嘘を付いてまで…
だったら、戻ればいいじゃない。
── 自転車、この先に置いてるの。へえ、その格好で・・・。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
そこまでして顔を合わせたくないのであれば、小鳩の言うとおり戻れば良いのです。
ってか、別の道を行けば良いのです。
小佐内さんの回答は、この先に自転車があるから、と言う。
でも、小鳩も不思議がるように、浴衣姿では自転車は運転し辛そう。
浴衣が、はだけてしまう~~
(私と同様)小鳩も良からぬ事を考えているのかと思いきや(苦笑)。
先と同じで、小佐内さんをどこまでも普通の女子と見ていません(爆)。
原作では ──
ちなみに、この先に自転車が置いてあるから顔を見られたくない相手がいても行かなくてはならない、という小佐内さんの発言は、まず嘘だ。小佐内さんは浴衣。自転車を漕ぐには裾をからげなくてはいけない。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
小鳩は、自転車は嘘だと断言しています。
その根拠は浴衣だから?
では、ありませんでした ──
まあ、裾をからげるといっても見えるのはせいぜいふくらはぎぐらいまで。それなら制服のスカートと大差ないという合理的な考えもあろうけれど、小佐内さんの履物は下駄なのだ。浴衣でサドルに跨ることはあっても、下駄でペダルは踏みづらい。和風で揃えたいなら草履でもよかったのにわざわざ下駄を履いているということは、小佐内さんは十中八九、自転車では来ていない。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
浴衣ではなく下駄。
下駄でペダルはこぎづらい。
下駄で来たなら、自転車ではないだろうと推測したのです。
つまり、下駄で小鳩を蹴ったのは、自転車も乗りづらい下駄を履いてますよという伏線だったのです。
お見事!
さて、そうなると疑問は ──
自転車で来ていないのであれば、違う道を行けばよいのです。
小佐内さんは、なぜ顔を合わせたくない人がいるところをわざわざ歩くのでしょうか・・・。
当たっているとネタバレになってしまうかもしれないので隠しておきます。
続きを読む (クリックして下さい)
小佐内さんの狙いは、逆ですね。
顔を合わせたくない、のではなく、何かを確認したいのでしょう。
もっと正確言うと ──
自分の姿は見られたくないが、相手を見たいのです。
原作では、小鳩も同じ結末に至ってます ──
それなのに顔を隠してこっちに来たということは、何のことはない、「相手には見られたくないけど、こっちは見たい」ということに他ならない。そんな相手の顔なら、ぼくも拝んでおきたかった。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
小鳩は、キツネのお面を被ってこっちに来た事から、ここへ来るまでも誰かの顔を確認したかったのだと踏んでいます。
つまり、まだその誰かを見つけられていない、ということですね。
もしかすると、既に何度も歩いていたのかもしれません。
そこでようやく見つかった小鳩。
何せ、あのお面では視界が狭そうです(苦笑)。
小鳩を隠れ蓑にすれば、(うつむき加減ですが)視界は良好。
これで、ターゲットを探しやすくなる?
綿菓子を買って、しばらくすると帰る二人。
小佐内さんは、目的を達成したのではないでしょうか。
ところで小鳩くん、夏休み、何か予定ある?
── 特にないね。小佐内さんは?私ね。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
何だか素敵な予感がしてるの!
さて、夏休みに期待するのは、ちっちゃい子なら当然です(笑)。
小佐内さんが何か良からぬ事を考えていると思うのは、深読みし過ぎでしょうか?
だって、小佐内さんが楽しげな顔を見せるのはスイーツと○○の時だけ。(4話 )
えっ、小佐内スイーツセレクション・夏があるからじゃ?
確かにそうです。
では、なぜ甘い物に興味ない小鳩を誘ったのでしょうか?
えっ、えっ
二人で行った方が楽しいから??
小佐内さんが、そんなタマではないのは、ここまで書いてきた通り。
さてさて、巻き込まれ体質は一体誰でしょうか?
あくまで私の(半分妄想の)推測です。
信じるか信じないかはアナタ次第。
当たるも八卦当たらぬも八卦!
出た!
ちなみに ──
原作によると、小鳩が小佐内さんと街を歩くのは1年以上ぶり。
2話、商店街で見かけた時以来だそうです。(2話 )
正確には、「他にもあったように思うけど」とも書いています。
が、それだけ学校外では二人は共に行動していない、ということですね。
しょっちゅう会ってると思ってた
だよね
二人は当然のように会話するから、そう思っちゃうね
そんな関係の小佐内さんが、スイーツ店巡りに小鳩を誘ったのです・・・。
小佐内スイーツセレクション・夏
夏休みに入ると、突然小鳩の家にやってきた小佐内から街のスイーツ店を記した地図を渡される。
運命を左右?
私のこの夏の運命を左右する ──
小佐内スイーツセレクション・夏
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
小学校の自由研究でしょうか(笑)。
手書きでここまで作るとは・・・恐ろしい程気合いが入っています。
小鳩がドアを閉めた気持ち分かります
むっちゃ笑った!
(これまでのレビューで何度も書いていますが)
小鳩は、小佐内さんと付き合っているわけでも、好きでもありません。
(本性を隠して)小市民になるために、互いを利用する互恵関係。
それ以上でもそれ以下でもありません。
なので小鳩は小佐内さんの自由研究・・・じゃなくて趣味に興味もありません。
それでも、小佐内さんは諦めず ──
受け取ってくれないの?
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
小動物のような目で訴えかける小佐内さん。
まあ、地図を受け取るくらいなら・・・。
── じゃあ、もらうね。
よかった。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
じゃ、明日お店に行こうね。
悪徳商法も真っ青!?
地図を受け取ったら、一緒に行くことに同意したことになるの!?
小悪魔だ…
あー、ね
なぜ小鳩を誘う?
ぼくが?小佐内さんと?
どうしたの?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
何か理由でもあるの?
ここでも小鳩は、普通の作品とはまるで違う反応を見せます。
よくあるラブコメ作品なら、夏休み初日に小佐内さんのような子に誘われたら舞い上がります。
少なくとも、自分に好意があるのではないかと勘繰ります。
が、『小市民シリーズ』は違います。
学校ではカモフラージュのために二人でいることはあっても、休みに連れ立ってどこかへ行くことはありません。
だから小佐内さんからの誘いに驚き、小鳩は理由を聞いたのです。
今年の夏の計画を完遂するには、どうしても小鳩くんみたいな人がいて欲しいの。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
全く意味が分かりません。
小鳩くん、もっと深掘りして欲しいところですが(苦笑)。
原作によると、小鳩はこんな風に考えていたようです。
スイーツコンプリート計画にどうしてぼくがいてほしいのか、さっぱり見当がつかない。そして、見当がつかないことを見当がつかないままに辞退するのは、何と言うか、非常につらい。欲求不満を、ぼくは多分表情に滲ませていただろう。小佐内さんが相手だと、憚ることなく考えたがりの癖が出てしまってよくない。いったい何を企んでいるのか問いただしたくなる気持ちを持て余していると、小佐内さんがぼくを見上げながら、少し首を傾けて、消え入りそうな声でこう言った。
「行きたくないの?」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
なんと理由が分からないから、それを知るために断らなかった、というのです。
なんとも面倒な性格ですね。
知りたがりの小鳩くんは・・・。
ならば小佐内さんにもっと突っ込んで聞けば良いのに、と思ってしまいますよね。
でもそこは「推理しない」約束を破ったことになってしまう。
と考え、躊躇したのではないかと私は解釈しています。
いや、考える時間を与えず、すぐさま「行きたくないの?」と次の質問を与えたとも言えますね(苦笑)。
まるで、小佐内さんが仕込んだみたい…
ですです。
小佐内さんが、小鳩が興味を持つように、わざと曖昧なことしか言わなかったと考えられるのです・・・。
深読みしすぎかな?
<小佐内スイーツセレクション・夏>に、なぜ小鳩を誘った?
ベスト10
続いて、小鳩の思考を遮るには十分な、規格外の攻撃が繰り出されます。
じゃあ、明日1時にね。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
と言って手渡された紙には、<小佐内スイーツセレクション・夏>のベスト10および選外の詳細が!!
これ全部行くのかな?
ベスト10は行くつもりみたいだね
翌日に行ったのは10位だから、下から順に上っていくのでしょうか?
そして、栄えある1位は ──
<< 小佐内スイーツセレクション・夏 >>
ベスト10!!
1.セシリア 夏期限定トロピカルパフェ
by 『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
原作小説タイトル『夏期限定トロピカルパフェ事件』にもなっている「夏期限定トロピカルパフェ」が!
本作は(日常系)ミステリ作品です。
1位の夏期限定トロピカルパフェで何か起きるのでしょうか?
それとも、1位に辿り着く前に何か起きてしまうのでしょうか。
1年前の『春期限定いちごタルト事件』では、春期限定いちごタルトを食べられませんでした。
今年は食べたかな?
作品タイトルになっているスイーツは食べられない。
小佐内さんは、そんな運命だと決めつけるには(まだ1エピソードだけなので)早いでしょうか(笑)。
何にしても、ミステリ作品だから何か起きるのでしょうね(苦笑)。
同行が御使いに
ごめんなさい 家を離れられなくなりました
第10位のお店でマンゴープリン2つとシャルロットのグレープフルーツのせを4つ買ってわたしの家まで来てください
ごめんなさい
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
翌日、急遽お店に行けなくなった小佐内さん。
小鳩は御使いを頼まれます。
えっと・・・。
1話、堂島は小佐内さんに ──
どうも小佐内さん。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ 第1話
常悟朗の友だちなら、きっと我慢強いんだろう。
と言いました。
これ反対ではないでしょうか?
小鳩の友達よりも、小佐内さんの友達の方がずっと我慢強さが必要な気がします(苦笑)。
確かに
それにしても、少し不自然ですね。
小佐内さんは、なぜ家を離れられなかったのでしょうか?
なぜ前日に分からなかったのでしょうか。
そして、なぜその理由を言わないのでしょうか。
小佐内さんは、なぜ家を離れられなかった?
電子機器に弱い?
ケーキ買ったよ
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
── ありがとう 楽しみ
マンゴープリン2つと、シャルロット4つ頼まれましたが、シャルロットは3つしか買えなかった小鳩。
なぜ、小佐内さんに確認しないのでしょうか?
なぜ、3つしか買えなかったと連絡しなかったのでしょうか?
原作によると ──
小佐内さんに確認しなかったのは、ないものを買えとは言わないだろうと思っていたから。
確かに頼まれはしましたが、小鳩は小佐内さんのパシリではないですしね。
メールを打ったときに数を書かなかったのは ──
ケーキの数がご注文よりも少なかったことを書かなかったのは、単にぼくがメールを打つのが遅いからだ。どうせすぐ会うんだし、口で言えばいい。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
単にメールを打つのが遅かったからのようです(苦笑)。
3話、学校にスマホを忘れても、小鳩は指摘されるまで全然気付いていませんでした。(3話 )
もしかすると、小鳩はこの手のものに疎いのかもしれませんね。
ちなみに、原作は20年近く前の作品なので、スマホではなく携帯。
小鳩は、その中でも古い機種を使っています。
まあここで数を伝えてしまうと、事件も起きず物語にならないですけどね(苦笑)。
ケーキ食べるだけ?
ごめんね、お買い物してもらって。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
暑かったでしょ。
家には彼女だけしかいないようで、淡々とケーキを食べる準備をする小佐内さん。
じゃあ、食べようか。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
この時、原作では小鳩は面白い反応をしています。
「じゃあ、ケーキ、食べようか」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
ということは、本当にぼくと小佐内さんとでケーキを食べるために呼び出されたわけだ。
まだ小鳩は小佐内さんに誘われた理由を考えていたのです。
おおっ、ある意味すごい
まあ、ずっと考えてたってわけじゃないだろうけどね
というか、逆なのかもしれないですね。
逆?
小鳩は、甘い物にも、小佐内さんにも興味がないのです。
興味があるのは、謎や、分からない事。
なぜ小佐内さんは<小佐内スイーツセレクション・夏>に小鳩を誘ったのか?その理由を知りたい一心で、今回は付き合っているのです。
えっ、変なの…
だよね、夏休みだからちょっとは青春すれば良いのにね…
シャルロットだけはぼくのもの
頼まれたスイーツを買って小佐内家に。二人でいざ食べようとすると、着信があり小佐内さんは部屋へ行ってしまう。一人残された小鳩は・・・。
シャルロット
先に頂くか。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
記念すべき<小佐内スイーツセレクション・夏>第一弾なのに、先に食べてしまう小鳩。
小鳩くん、そういうとこだよ(苦笑)。
う~ん
怒るほどではないけど、確かにないかも
まあ、その手のことを気にしないけどね、この二人は(笑)
一応原作では、小鳩をフォローしています。
まあ、考えてみれば、何も小佐内さんと仲良く差し向かいで食べる必要はないわけだ。別に望んだわけでもないのにどうして食べることになってしまったのかはわからないけれど、目の前にケーキとコーヒーがあれば、すべきことは一つだ。それに、甘いものがそんなに好きではないとはいえ、実はぼくは今朝から何も食べていなかった。あまりの暑さに食欲が削られていたからだけど、こうして食べ物を前にすると、ちょっと空腹感が湧いてきた。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
「……先に頂くか」
お腹が鳴ったのは朝から何も食べてないから。
美味しそうなシャルロットを目の前にして、我慢できなくなったのです。
これほど美味しそうにスイーツを食べた小鳩は初出。
どうせなら、小佐内さんに見てもらいたかったんですけどね~~。
悪魔の誘惑
シャルロットはあと2つ。
小佐内さんにこう思い込ませるのだ。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
シャルロットは最初から2つしかなかった。
それほど美味しかったのかシャルロット。
あろうことか、スイーツ大魔王のシャルロットに手を出す小鳩。
原作では、一応我慢しています(苦笑)。
小佐内さん……。
「まだ、電話してるのかな」
戻ってくる気配は、全然ない。
少し待ってみたけれど、物音一つしない。- 中略 -
あと一分、いや、三十秒待とう。その間に小佐内さんが戻ってきたら、ぼくは笑顔で彼女を迎え、<ジェフベック>のシャルロットを絶賛し、小佐内さんがそれを二つ平らげるのを黙って見ていよう。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
一応待っていたのです。
いや、30秒じゃん!
そだね
もう食べたくて仕方なかったんだろうね
原作では ──
戸惑いながら、しかしぼくは自分の欲望に気づいてしまっていた。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
小佐内さんのケーキを横取りする。……それは何て邪悪で、甘美なたくらみだろう!
小佐内さんのシャルロットに食べたい以外の感情を感じています。
小鳩は、小佐内さんのスイーツを奪うことに誘惑されたのです。
イギリスの登山家は言いました。
── なぜエベレストに登るのか?
「そこに(エベレストが)あるからさ(Because it’s there.)」
誰も登頂したことない山があるのだから、登山家として上りたくなるのは当然。
相手は、小鳩に負けないくらいの推理力を持つ少女。
彼女相手なら、隠している推理を存分にできる。
ちょうど、彼女を騙す良い機会がやってきた。
シャルロットを食べたいのは切っ掛けに過ぎず。
目の前に絶好の機会がやってきたので、小鳩は、小佐内さんと知恵比べしたくなったのです。
最初から2つしかなかった
テレビのリモコン、エアコンのリモコン。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
BOXティッシュ、未開封。
マンゴープリン2つ、手付かず。
シャルロット2つ、手付かず・・・絶品。
やるなら徹底的に・・・これは小鳩の性格か(笑)。
シャルロットが3つあったと疑われる証拠を消そうとします。
レシートとシャルロットのフィルムと紙皿はポケットにしまい。
(ジェフベックの箱の内側にある)滑り止めから3つあったと分からないようにする・・・。
小佐内さんがいつ電話を終えて戻ってくるか分かりません。
どの方法が一番時間かからず実行できるか、頭を巡らせる小鳩。
この辺が本作らしいね~
うん
おいしいココアの作り方思い出した!
コーヒーにまで対処するなんて、思いも寄りませんでした(笑)。
臨機応変
── ごめんね、長電話で。待ってた間どうしたの?
ああ、うん。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
涼んでた。
小鳩くん、動揺しすぎです(笑)。
目も合わせられないし・・・。
可哀想に、これでは折角手に入れたシャルロットの味も分からないのでは・・・。
2枚あった・・・こっちは何枚ある?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
もし3枚だったら・・・。
小佐内さんが紙ナプキンを使ったことで、小鳩は手抜かりに気付きます。
2つ購入したマンゴープリンの箱には2枚の紙ナプキン。
3つ購入したシャルロットには3枚の紙ナプキンがあるのではないか?と。
枚数の違いから、小佐内さんにシャルロットは3つあったとバレるかもしれない。
そこで、取った行動は ──
あっ、ごめん。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
コーヒーをわざとこぼしたのです。
こぼしたコーヒーを拭くために、紙ナプキンを全部使ってゴミ箱に捨て証拠隠滅したのです。
見抜かれた偽装工作
シャルロットは3つだったんだよね。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
さっきまでハンカチを使って汗を拭いていたのに、小佐内さんが戻ってきてからは使わなくなった。
小佐内さんはそこから推理しましたが ──
小鳩は明らかに挙動がおかしかったですよね(笑)。
原作では、あくまで動揺しているのは心の中で行動には影響していません。
ティッシュで汗を拭くときは、ハンカチに手を伸ばしてすらいません。
アニメでは、小鳩は何度も動揺していました。
どうやら、アニメはかなり分かりやすく作っているようです。
まあ、心情描写が少ないアニメは、表情等で表現しなくてはならないのでしょう・・・。
だとしても、分からない事があります。
ハンカチを使わなかったことから、何かを拭いて使えなくなったと推理するのは理解できます。
ですが ──
なぜシャルロットを一つ食べたとバレたのでしょうか?
もう少し詳しく説明すると ──
シャルロットは3つだったんだよね。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
- 食べたのが、なぜマンゴープリンではなくシャルロットだと?
- シャルロットが4つではなく、なぜ3つだと?
あっ、確かに!
これは後に種明かししていたハンカチからは分かりません。
一体、なぜ「シャルロットは3つ」と小佐内さんは断定したのでしょうか?
原作では、小佐内さんのセリフでハッキリと述べられています。
「シャルロットは、三つだったんだよね」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
「三つしか売ってなかったんだ。売り切れってのは、丸っきりの嘘でもなかった」
「うん。マンゴープリンを三つ買うことはないし、シャルロットを小鳩くんが三つも食べるなんて思ってない。やっぱり、三つだったんだよね」
マンゴープリンを2つ、シャルロットを4つ頼んだのだから ──
それ以上買うことはない。
ならば、マンゴープリンは目の前に2つあるので手付かず。
シャルロットを注文通り4つ購入したなら、小鳩は2つ食べて3つ目に口を付けたことになります。
小鳩が甘い物をそれほど食べないと知っているので、3つも食べるとは思えない。
だから、3つしかなかったと結論付けたのです。
流石です。
小鳩の性格と好みをよく理解しています(笑)。
ハンカチから分かる事情
ハンカチが使えなくなっちゃったってことは、汗以外の物を拭いちゃって取り出せなくなったんだろうなって。
拭いてハンカチを出せないくらいにしちゃうもの。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
そんなの、あの部屋にはババロア以外にないから。
ハンカチを使わなかったことから、小鳩の犯行を見抜いた小佐内さん。
お見事でしたが、少し飛躍しすぎだと思いませんでしたか?
そう?
私だけ?
とくに最後。
ハンカチを出せないくらいにしてしまうのはババロア以外にない、という件。
ハンカチを出せない、つまり汗を拭くのに使えないようにしてしまうものなんて、ババロア以外にもありますよね。
コーヒーだって、麦茶だってそうです。
それこそコーヒーが半分以下になっていたのを、こぼしたと言えば良かったのです。
あっ、確かに!
でも、そんな疑問は原作を読んで解消しました。
「ハンカチは何かを拭くのに使う。で、それが使えなくなっちゃったってことは、汗以外のものを拭いちゃって、取り出せなくなったんだろうなって。で、それは拭いたことをわたしに知られたくないものなの。そうでなかったら、ハンカチを使えなくなるほど汚す前に紙ナプキンを使うと思うし、いくら小鳩くんが遠慮深くてもボックスティッシュを開けるぐらいはするだろうし。拭いたことをわたしに知られたくなくて、ハンカチを出せないぐらいにしちゃうもの、そんなのあの部屋には、ババロア以外にないから」
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
テーブルの上には、紙ナプキンもBOXティッシュもありました。
それらを使わずにハンカチを使ったこと自体が、小佐内さんに知られたくないものを拭いた証拠だと言っているのです。
コーヒーや麦茶をこぼしたのなら、コーヒーを拭いたように紙ナプキンを使えば良い。
なんだったら、流石にBOXティッシュのフタを開けて使えば良い。
それをしなかったこと自体が、小佐内さんに隠したいことでハンカチを使った証拠になってしまったのです。
そうまでして、拭いたことを隠したい物・・・。
確かにシャルロット(ババロア)しかありませんね。
お見事!
シャルロットではなく知恵試し
どうして、こんなこと考えたの?
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
尻尾を掴んだ小佐内さん。
小鳩を追い詰めます。
それにしても、妙な回答をしましたね、小鳩くん。
小佐内さんと二人きりだったから。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
てっきり ──
シャルロットがあまりにも美味しかったから。
朝から何も食べてなくて、空腹に堪えきれなくて。
あと、せいぜい、小佐内さんがあまりに遅いから、程度を予想していました。
が、「小佐内さんと二人きりだったから」!?
でも、その答えに意味不明とも意外とも思わずに小佐内さんは続けます ──
つまり・・・。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ 第6話
私と二人だけだったら、知恵試しを思う存分できると思ったから?
私を欺ければ楽しいかなって思ったの?
小佐内さんの答えを小鳩は否定しません。
つまり、正解なのです。
なるほど。
二人はこういう関係なのです。
今まで書いてきた通り、小鳩は小佐内さんが可愛いから優しくしているわけでも、恋愛感情をもっているのでもありません。
むしろ対等のパートナーだと思っているのではないでしょうか。
そんな相手に使いっ走りのように使われた今回。
少し鼻を明かしたくなったのではないでしょうか。
というのは、私のアニメ鑑賞後(原作未読時)の推測。
真実はどうかというと、原作には次の描写がありました。
原作では、序盤から匂わせていました。
第一章「シャルロットだけはぼくのもの」冒頭 ──
信頼を裏切るのは、とてもとてもつらいことだ。小佐内さんには本当に悪いと思う。……だけど、ぼくがそのことに興奮していることも、間違いない。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
そして、ラスト小佐内さんに真相を暴かれた際には ──
ぼくと小佐内さんとは互恵関係にあるけれど依存関係にはないので、夏休みに会う必要はなかった。それを、ろくに説明もせずに地図を押しつけて、土壇場で予定をキャンセルするとぼくを炎天下にお使いに走らせた小佐内さんに、ぼくは貸しを作ったような気分になった。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
その貸しを、シャルロットを題材にした知恵試しの相手を務めてもらうことで返してもらおうとした、というのがぼくの心理の大体の説明になる。小市民道を歩むぼくたちは、他者の前で知恵を働かせたりはしない。だけど、同志と二人きりなら、リミッターは外れやすい。
小鳩は、決して小佐内さんに対して怒っていたのではありませんでした。
<小佐内スイーツセレクション・夏>に半ば強制参加させられて、自分はドタキャン。
結果、炎天下で一人御使い。
小佐内さんには貸しがあるので、知恵試しの相手してもらうくらいは問題ない、と考えたのです。
キッカケはシャルロットでなくても良かったのです。
現に、原作でも ──
……途中から、ケーキの味なんてどうでもよくなっていた。川中島の合戦は、戦闘の意味にではなく両雄がぶつかりあったことにこそ知られるだけの価値がある。小佐内さんと知恵比べできるなら、題材は別にシャルロットでなくてもよかった。
by 小説『夏期限定トロピカルパフェ事件』
推理を解禁できる唯一の相手、小佐内さんと知恵比べができるなら何でも良い。
まさに、目の前に題材があったから使っただけだったのです。
私は ──
折角の高校2年生の夏休み。
(好意がなくても)可愛い子とデートできるのだから青春すれば良いのにと思っていました(笑)。
おっさんの発想だ
そんなことより、知恵比べ。
なるほど。
これが小鳩くんなりの楽しみ、いやストレス発散?
つまり青春なのかもしれないですね(笑)。
おわりに (『小市民シリーズ』6話とは)
前話から始まると思っていた『夏期限定トロピカルパフェ事件』が始まりました!
『小市民シリーズ』は全10話。
既に折り返し地点で、残り(今話を入れて)5話。
前半の『春期限定いちごタルト事件』は4話で描かれ、原作の1エピソードが丸々カットされました(涙)。
シリーズ第一弾『春期限定いちごタルト事件』は225ページ。
シリーズ第二弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』は214ページ。
※両方ともKindleのページ数
春期限定とほぼ変わらないボリュームが、後半5話で描かれるのです。
きっと事件もカットされずに全て描かれることでしょう。
春期限定のように1話で大きな事件は起きませんでしたが、その分小佐内さんの大っきな計画が!
甘い物を探求する<小佐内スイーツセレクション・夏>。
ちっちゃい子の夏の大冒険が始まるのか~~
『小市民シリーズ』後半戦スタートです!
それにしても、ようやく『小市民シリーズ』の見方(読み方)が分かってきました(笑)。
アニメ鑑賞時、3話鑑賞後に見方を変えたと書きました。(3話「おわりに」 )
その後アニメ鑑賞後に原作読むことを繰り返し、原作『春期限定いちごタルト事件』読了、前話で『巴里マカロンの謎』の1篇読了。
大分、小鳩と小佐内さんのキャラクターが分かってきました。
この二人マトモじゃないですね(笑)。
決して異常者という意味ではありません。
普通の人ではないのです。
感情の起伏に乏しく、頭の回転が異常に速く、目端が利く。
それでいて、何かに異常な執着心を見せる。
かと言って決して悪人ではなく、それが良くない結果に繋がると自分の悪い所だと反省する純粋な面も持ち合わせている。
そんな高校生離れした二人が、普通の子供たちに交じって普通の高校生生活を送る。
その辺を理解して本作を見る(読む)と、必死に取り繕っている姿にほくそ笑み、時折顔を出す本性にニヤリとしてしまう。
今話なんて、真相が分かるとまるで別の話に見えてきましたよ。
真実隠して(はた目には)普通の生活を送る二人。
今話ラスト、小佐内さんは小鳩に<小佐内スイーツセレクション・夏>制覇に付き合わせる約束を取りつけました。
こんなオチですら、何か策略めいたことを感じてしまうのは、私は『小市民シリーズ』にハマっているのかもしれません。
(作品内での)夏休み、何だか素敵な予感がします(笑)。
以上、TVアニメ『小市民シリーズ』第6話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
7話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
そうじゃん!
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 06-01 <小佐内スイーツセレクション・夏>に、なぜ小鳩を誘った?
残っている疑問
- 疑問 04-01 小佐内は、なぜ警察と関わりたくない?
今週の感想ツイート
#小市民シリーズ #小市民 6話
— 時文@ここアニ(小市民シリーズレビュー中) (@toki23_a) August 18, 2024
狐が狼に敵わないのは道理だが 知恵比べなら…
遂に目覚めたスイーツと挑戦心!?
引き金はシャルロットか悪戯心か…目端利く狼相手にハンカチ王子は完全犯罪できるか!?
ちっちゃい子の夏の大冒険が始まる新章スタート
にしても、これでも付き合ってないと言うのか?🤣
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