こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『無能なナナ』第13話、最終回「リバイバル」を鑑賞しました。
これまで引っかかっていたミチルの浮かない顔の疑問も解け。
友情育む二人にホッコリしたのも束の間。
『無能なナナ』は、友情物語ではない(涙)。
ナナに訪れる辛い現実は、自業自得か、因果応報か。
ナナのこれからが気になる最終回!
今話の原作
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレはありません。
アニメ鑑賞後の感想
+
原作コミックを読み
知り得た情報を加味して「解説・考察」
私は原作コミック未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって・・・次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
作品レビュー 一覧
話数 | サブタイトル | 原作 |
第1話 | 無能力 | 1巻 |
第2話 | 時間遡行 | |
第3話 | 能力者VS.無能力者 | |
第4話 | ヒーリング | 2巻 |
第5話 | 能力者VS.無能力者 PART2 | |
第6話 | ネクロマンサー | |
3巻 | ||
第7話 | ネクロマンサー PART2 | |
第8話 | 能力者VS.無能力者 PART3 | |
第9話 | 適者生存 | |
第10話 | 見えざる刃 | 4巻 |
第11話 | 見えざる刃 PART2 | |
第12話 | 見えざる刃 PART3 | |
第13話 | リバイバル |
※話数:リンクは各話レビューへ
今回のあらすじ
ミチルは、ナナの過去話を聞いてから、ずっと考えていた。
両親が殺されたのはナナのせいではないのでは?
ナナはトラウマを乗り越え、ミチルと真の友達に。
一方、石井を殺した犯人が、ミチルを狙っていた・・・
ナナが語った両親最後の日。
ミチルには、引っかかることがあった──
ナナを慕っているから、ミチルは怒る。
ミチルを守りたいから、ナナは嘘をつく。
ようやくできた、真の友達。
ナナに能力者への考え方を変えさせたかもしれない存在。
けれども、彼女はもういない。
前話から今話への展開、サブタイトル「リバイバル」。
イヤな予感はしていました。
『無能なナナ』がただの友情話で終わるわけがない。
が、まさかここまでの展開になるとは。
感動の最終回。
ナナはどこへ向かうのか・・・
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&解説レビュー 第13話「リバイバル」
寮 ナナの部屋 (ナナ/ミチル)
ナナの過去話を聞き、ずっと考え続けていたミチル。
ミチルはナナに、ある仮説をぶつける。
将棋の駒を踏んだのは伏線
ここのところ、ずっと考えてたことがありまして。
ナナしゃんに聞きたいことがあります。by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
前話終盤、将棋の駒を踏んだのは伏線でした。
ミチルが頑張る理由。
ヒトミの話を聞いて、呆然としたナナ。
それでも、将棋の駒を踏んだときは、足下を気に掛けた。
ボーッとしていても、将棋の駒を踏めば気付くもの。
両親が亡くなった日の前日。
散らかしていたのを憶えていたのなら、朝きれいに片付けられていたかも憶えているでしょう。
不思議なのは、なぜミチルが「親が片付けたのでは?」と考えたのか?
ミチルの父が寝顔をよく見ていた
ミチルは、なぜ両親がナナの部屋を片付けた可能性に気付いたのでしょうか?
アニメではカットされていますが、原作にはそのヒントが──
わたしも小さいころはよく、お父さんが寝顔を見にきてくれてたんです。
だから、変だなーって、ずっと気になってたんです。※アニメではカット
by 犬飼ミチル『無能なナナ』コミック4巻
ミチルが「変だ」と思っていたのは、恐らく、優しい両親が放っておくわけがないこと。
ナナは過去話で、こう言ってました──
親にもよく言われてたんです。
お部屋を片づけなさい、戸締まりを確認してから寝なさいって。by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ10話
回想シーンでは、こんなことも──
ちゃんと鍵をかけたか確認してから寝なさいって・・・
パパにいつも怒られてたんですが・・・by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ10話
親がよく注意をしていたのは、ナナが「窓の鍵を開けて寝ている」のを知っていたからではないでしょうか。
ナナの両親は、ナナに優しかった。
そんな両親が、窓の鍵を開けている”可能性”があるのを知っていて放っておく訳がない。
ミチルは自分の幼少時代に照らし合わせ。
ナナが寝た後に、両親が片づけや戸締まりをしていたのではないかと考えたのです。
その日の窓の鍵は、恐らく強盗によって開けられたから親が閉めたかは確認できず。
部屋の片付けを思い出してもらって、推測が正しいか検証したのです。
やった!
やっぱりナナしゃんのせいじゃないです!by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ミチルの狙いはナナに違う可能性を見せたこと
たとえ、両親がナナの部屋を片付けていたとしても、警察曰く──
犯人は、子供部屋の窓から侵入したと見て間違いないですね。
by 警察『無能なナナ』TVアニメ10話
と結論づけたのは、ナナの証言だけではないはず。
警察の現場調査で、子供部屋の窓の鍵が開いていたか、犯人が侵入した痕跡があったということ。
ミチルの推測通り、両親が窓の鍵を閉めたとしたら・・・
では犯人はどうやって鍵を開けたのかという謎は残る。
が、ミチルが言いたいのは、そこではない。
ナナが鍵をかけてなくても、両親が鍵をかけた可能性はある。
「ナナが鍵を掛け忘れたから、犯人が侵入した」のが全てではない。
ナナのだらしなさが「原因の全て」だと決めつけることはできない。
ましてや、両親を殺害したのはナナではなく、犯人。
だから、ミチルは言い切れたのです。
それでも、ナナしゃんのせいじゃないです!
by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ナナが責任の全てを背負うことのないよう「逃げ道」・・・
いや、「拠り所」を示したのです。
もう苦しまないでください。
苦しまなくていいんです。わたしは、なにがあってもナナしゃんの味方です。
お友達ですっ
by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ナナは、ずっと「両親が殺されたのはナナのせい」と言われ続けていた。
警察、親戚、そして──
お前のせいだ。
お前が殺したんだ、認めろ。by 鶴岡『無能なナナ』TVアニメ13話
初めて言われた「ナナのせいではない」という言葉。
それがどれだけ、嬉しかったか。
ナナがミチルに気付かされた新たな可能性。
もたらしてくれたのは、「人類の敵」だと憎んでいた能力者であり、自分を怪しんでいるのではないかと疑っていた人物。
「ナナを助けたい」
ミチルの純粋な気持ちがストレートにナナに伝わり、本当の意味でミチルを受け入れる。
ナナがずっと抱えていた「咎」からの解放。
同時に、初めての友達ができたのです。
学校 校庭 バザー
本土から定期便がやってきた。
学校の校庭でバザーが開かれていた。
キョウヤ鋭い!
ミチルの真っ直ぐな気持ち。
初めてできた友達にデレるナナ──
なんだ、お前さん、好きな男でもできたのか?
by 小野寺キョウヤ『無能なナナ』TVアニメ13話
ナナは好きな男ができたような顔をしていたのです!
キョウヤ鋭い!
でも、相手は男ではなく、女子ですけどね!(笑)
浮気性が動機!?
当初は、石井の浮気性が殺人の動機だと思っていたが、聞き込みを続けているうちにどうもそれだけじゃないとわかった。
by 小野寺キョウヤ『無能なナナ』TVアニメ13話
キョウヤのこのセリフ。
「浮気性が動機」になるのは恋人である空野。
後に、血が付いた空野のジャージを証拠として見つけたシーン。
「浮気性が動機」で殺人が起きるのは、他には「女を取られた男の仕返し」が考えられます。
が、石井の場合なさそうです。
キョウヤは空野が犯人だと思っているのか?
それとも、ヤツが犯人だと分かっていて、空野も事件に関係していると言う事か。
「浮気性が殺人の動機」「それだけじゃない」
終盤、真犯人を捕まえたが、この事件にはまだ何かありそうです。
殺人犯がいるのはナナにとって都合がいい
少し先のシーンになってしまい申し訳ないですが・・・
後半、真犯人が分かった時、ナナが言っていた──
最初は犯人が空野フウコでもいいとは思っていました。
でも他にも注意すべき人物はいたんです。
そちらが犯人だった場合、動機が意味不明なだけに、もっと警戒するべきでした・・・by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
「犯人が空野フウコでもいいと思っていました」とは、誰が犯人であろうとナナは気にしてなかったという証拠。
ナナにとり、生徒の中に殺人犯がいて、能力者同士殺し合ってくれれば手間が省け都合がいいのです。
だからナナは、真犯人を探すことに本腰を入れてなかった。
それどころか、ナナはこのどさくさに紛れて、別の能力者を抹殺しようと考えていたのです。
その結果、真犯人を野放しにしてしまい、次の犠牲者が。
犠牲者が出るのは気にしないが、ミチルに危険が及ぶとは考えてもいなかった・・・
違いますね。
今まで友達や仲間がいなかったので、ナナには他の人を守るという考えが最初からないのです。
ナナの使命と友達は、別次元の出来事。
ナナは切り離して考えていた。
だから、ナナは──
ごめんなさい。
ミチルちゃん。
ミチルちゃんがこんな目に遭っているのは全部わたしのせいなんです。by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
と言ったのです。
ナナはミチルを、自分の友達と認めた。
が、能力者抹殺の使命を忘れたわけではない。
「抹殺=全員の処分」
もちろん、ミチルも対象。
が、まだその矛盾に気付いてない、考えようとしていない。
ナナが初めてできた友達に浮かれている隙を突いた、見事な展開です。
証拠を要求したのは、できるだけ泳がせたいから
ナナにとってはできるだけ長い期間、犯人を泳がせた方が好都合。
キョウヤに犯人を追い詰めるために協力してくれと頼まれても、できるだけのらりくらりとかわして、引き延ばす。
とにかく、証拠をお願いします。
犯人を下手に刺激したら、大惨事になるかもしれません。by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
だから、キョウヤに決定的な証拠が見つかるまで手を出さないようクギを刺したのです。
初めての友達ができ浮かれていても使命を忘れてはいない。
ナナは流石というか、真面目ですね。
ここでキョウヤに協力して、すぐにでも犯人を追い詰めていたら・・・
もしかすると、次の悲劇は起きなかったのかもしれない。
そう考えると、なんという皮肉。
ナナの因果応報、自業自得とも言えますね・・・
寮 ナナの部屋 (ナナ/橘)
橘がやってきて、ミチルが一人海岸へ向かったという。
橘が落ち着いているのはまだ間に合うから
こんな時間なのに、さきほど海岸へ向かう小道を一人で歩いているのを見かけてね。
by 橘ジン『無能なナナ』TVアニメ13話
ミチルが石井殺しの犯人に呼び出されたかもしれない。
なのに、橘は呑気に窓を叩き、靴を脱ぎ部屋の中で落ち着いてから話す。
ミチルの身に危機が迫っているなら、窓を開けた瞬間話せよ!
と思ってました(苦笑)。
橘は、本当にミチルの身を案じているのか、そうではないのか・・・
ただ、原作では少しフォローが──
(ミチルちゃんは道がわからないのか、足取りは緩やかだった)
急げば間に合うかもしれない。※()内はアニメではカット
by 橘ジン『無能なナナ』TVアニメ13話
ミチルの足取りはゆっくりだったので、橘もまだ間に合うという。
それにしても、今から寮を出るのでは時間がかかる。
橘はミチルを”本気で”心配しているとは思えない。
単に、ナナの信頼を得るために、ミチルの危機を利用しているだけだ。
橘はやはり信用ならない。
なぜ、ミチルは一言伝えなかった?
こういう時は、すぐに携帯に連絡すればよいのだが、ちゃんと布石が打たれている。
早い者勝ち携帯電話はゲットできませんでしたね。
by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ナナは端末を持っているが、ミチルが持っていなければどうしようもない。
ただ、気になるのはナナと交わしたミチルの言葉──
なんでも話して下さい。
わたしも話します。by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ミチル側から「なんでも話す」と言っておきながら、夜中にだまって一人で出かける甘さ。
人を信じやすい優しいミチルだから仕方なかったのか・・・
それとも「他人の秘密を守る」のを大事にしているが故か・・・
森 (ナナ/鶴岡)
ミチルの元へと向かうナナ。
道中、ナナの端末に着信が入った──
ナナの端末、着信はOKなのか
突如かかってきた端末への着信。
端末への着信は初めて!?
相手は上官の鶴岡。
ナナが、一瞬で直立不動になり、90度の最敬礼。
これらの動作から、関係性が明白。
ナナの端末は、こちらからかけることはできないが、着信はOKなのか。
#登録された連絡先が無意味だったのは橘が調査済(12話 )
それとも、鶴岡とは連絡が取れるのか?
・・・否。
アニメではカットされていますが。
原作では、鶴岡からの着信時、端末表示には「非通知」の文字が。
「非通知」だったから、ナナは誰からの電話か分からず、普通に出たのです。
「非通知」では相手の電話番号は分からず、こちらからかけることはできない。
つまり委員会側が望むときだけ、ナナの端末に連絡が取れるのでしょう。
海岸 (ミチル/鶴見川/ナナ)
ミチルは、石井殺しの犯人に襲われる。
窮地を救ったのは──
石井を襲った動機は?
みんながキレイでかわいいっていうものって、汚してみたくなるじゃないですか。
-中略-
みんながキレイっていうことを馬鹿にしたり踏みにじってみたりすると、自分に個性が感じられるんです。
表現している感じがするんです。
by 鶴見川レンタロウ『無能なナナ』TVアニメ13話
石井殺しの犯人はモグオの子分、鶴見川レンタロウだった。
#ここで初めて名前が分かるとは(苦笑)
動機は、キレイなもの、かわいいものを馬鹿にして汚したいという衝動がエスカレートしたもの。
石井殺しの動機は語られていません。
石井は、モテてはいましたが美男子ではない。
ただ、憧れていたようだから、対象は見た目だけではないのかも。
空野のジャージの件もあるので、もう一捻りありそうですね。
鶴見川はいつも追いかけていた
鶴見川がミチルを追いかけるシーン。
アニメではカットされてますが、どうやら鶴見川はいつも対象を追いかけていたようです──
おいかけっこは楽しいですねぇ。
(いつもこうやるんです)
人間も動物も追い詰められれば、おしっこ漏らして逃げるんです。キレイなものにも汚いところがあるんです。
※()内はアニメではカット
by 鶴見川レンタロウ『無能なナナ』コミック4巻
鶴見川が獲物を狙うとき。
“いつも”追いかけ回し、逃げる姿、恐怖する姿を見るのを楽しんでいたのです。
#異常ですね・・・
動物を追いかけ、追い詰めていたのなら、幽体の速度は相当早い。
人間なんて逃げ切れず。
ミチルやナナはすぐに追いつかれてしまうでしょう。
鶴見川の姿は見えてない?
ナナは、ミチルを逃がすため、鶴見川を挑発し隙を作る。
いいからやってみろ。
弱い者の首を切るのが好きなんだろう?by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
やれるものなら、やってみろと挑発。
「首を切るのが好きなんだろう?」と首を意識させ、攻撃箇所を誘導。
首を狙って攻撃してくると分かっていれば、受け止められるという作戦。
ん?
幽体離脱した鶴見川の姿はうっすら見えているのだと思ってました。
もしかすると、鶴見川の姿が描かれているのは「演出」?
#原作コミックでも、うっすら描かれてます
ナナやミチルの目には、鶴見川の姿は全く見えてない!?
姿は見えなくても、ナイフは実体なのだから、ナイフの動きに注意していればいいのでは?と考えてました。
が、月明かりの夜に、ナイフが単独で浮かんでいるのを見つけるのは困難ということでしょう。
ナイフの位置から鶴見川を把握できたとして、仮に体当たりしてもすり抜けてしまう。
ナイフを持っている手を掴んでも同様。
実体であるナイフを掴まなくては止めることができない。
だから、ミチルを守るには、ああして覆い被さるしかなく。
攻撃を止めるには、ナイフを掴むしかなかったのです。
寮 廊下 (ナナ/キョウヤ)
すんでの所で、キョウヤが鶴見川の実体を見つけた。
キョウヤに頼んだのはなぜ?
柊の頼みなら聞いてくれるとも思うが・・・
まぁ、焦っているんだな。by 小野寺キョウヤ『無能なナナ』TVアニメ13話
キョウヤを頼ったのは、状況把握と理解が早いから。
確かに他にも頼って良かったのでは?
ナナが言うなら、クラスの皆も信じてくれたでしょう。
が、今回の容疑者は、鶴見川レンタロウ。
鶴見川レンタロウは、モグオの子分。
モグオや他の子分が、すぐに同意してくれるとは限らない。
今回の事件に首を突っ込んでない人は関わりたくないのだから、説得に時間がかかる。
その時間が惜しかった。
唯一、空野を誘えば良かったと思うのですが、空野の能力は鶴見川の能力と相性が悪い。
空野の攻撃は、面ではなく線。
幽体に攻撃が効かなければ、ナイフを狙うという高難度。
仮に攻撃が有効なら、石井を殺された恨みで、鶴見川を殺してしまいかねない。
#あ、でもそれはナナにとっては好都合か(苦笑)
まあ、時間もないし焦っていたのでしょう。
海岸 (ミチル/ナナ)
鶴見川はキョウヤに捕らえられたが、ナナは瀕死状態。
薄れゆく意識の中で、ミチルの力を感じる──
好きだから、守るためにウソをつく
早くしろ、この馬鹿犬っ!!!
何がお友達だっ!
わたしはずっとお前を見下してた!ずっと便利な犬だと思ってた!
今までだって何度も利用していたんだぞ!わかったか!?
わたしは、こいつと同類なんだ!お前みたいな偽善者はだいっきらいだっ!!
by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
ナナは知っている──
ミチルが優しく、自分よりも他人の命を大切にすることを。
ミチルが、ナナを置いて逃げ出すことなどできないことを。
それでも、ミチルを生かしたい。
ミチルは生きる価値のある人間。
ナナがミチルにぶつけた言葉──
ミチルを逃がすためについたウソのように聞こえますが、殆ど本心。
これまでずっと、ナナがミチルを思っていた本心。
今話冒頭、ミチルに友達と言われても、自分に友達がいていいのか、自ら問うていた。
ミチルを友達にする資格など自分にはない。
本心をここで吐露したのです。
ミチルに嫌われようと、ミチルを救うためにぶつけたのです。
ナナがついたウソは一つだけ──
「だいきらい」だけですね。
ナナは最後の最後に、ミチルを逃がすため、本心を明らかにしたのです。
トドメにちょっとだけウソを交えて・・・
戻ってきたミチル
ナナに強い想いを投げかけられたにも関わらず、ミチルは戻ってきた。
冷静に考えれば、ナナの本音はミチルにも思い当たっただろう。
だけどそれ以上にナナを慕っていた、憧れていた、大切に想っていた。
ナナはミチルを「見下していた」と言ったが。
羽生やカオリのように、イジメたり、からかったりは、一切していない。
ミチルを利用していたかもしれないが、人として対等に付き合っていた。
友達とは、別に優しくするだけでも、甘やかすだけではない。
ミチルにとって、馬鹿にせず自分にキチンと向き合ってくれ、気を許せた友達は、ヒトミ以外ナナが初めてだったのではないか。
そんなミチルが、ナナを放っておけるわけがない・・・
大切な人だから、生きて欲しい
絶対に助けるんだ。
ナナしゃんは、いい人なんだからっ!ヒトミしゃん、力を貸して下さいっ
一人じゃ怖いです・・・怖い・・・ですけどっ
もうちょっと、もうちょっとだからっ・・・!ナナしゃんを返してくださいーっ!!!
by 犬飼ミチル『無能なナナ』TVアニメ13話
ミチル曰く「ナナしゃんは、いい人」
ナナは言う「わたしは、いい人なんかじゃない」
どちらが正しいのか・・・
私は両方正しいと思ってます。
まずは、ナナ。
ナナは両親の言いつけを守らず強盗殺人を招いてしまった(と想っていた)。
「人類の敵」と称して能力者を騙し、欺き、殺害してきた。
決して、いい人、善人などではない。
ナナは、自分がやっていることが正義ではないと自覚しているのです。
ナナはこれまで能力者を抹殺してきたのは使命であり、人類のため。
つまり正義。
なのに、「いい人なんかじゃない」と振り返ったということは、ミチルと触れ合い「能力者=抹殺対象」の考えを改めたのか。
私がしてきたことを考えれば・・・お似合いの死にざまか・・・
by 柊ナナ『無能なナナ』TVアニメ13話
このセリフも、罪悪感を感じているからこそ出る言葉。
一方、ミチル。
ミチルが言う「ナナは、いい人」。
これは、ナナの心のことを言っているのではないでしょうか。
ナナは、猫の命も助ける優しい子。
本来、暗殺をするような性格ではない。
両親の死に責任を感じ、罪悪感からねじ曲がった正義感を擦り込まれた少女。
ミチルは、ナナの人間性を見ていたのではないでしょうか。
もう、ミチルの本心を聞くことはできません・・・
ミチルのお陰で、推定殺害人数はデタラメで、能力者の全てが「人類の敵」などという考えは間違っていたのに気付いたはず。
ミチルから命を授かったナナが、今後どのように行動するのか。
この先がメチャクチャ気になる所で、アニメは終了。
ぜひ、続きもアニメで見たいですね!
アニメと原作との違い
アニメ13話は、原作 4巻26話~28話(108ページ)をアニメ化。
これまで一番多かったのは7話の94ページ。
最終話にて新記録!?
OPはカットして、ED映像を使って尺一杯で映像化。
何ヶ所か少しセリフがカットされていましたが、ストーリーに影響はなし。
贅沢を言うと、アニメ最終回らしく締めて欲しかったですが・・・
逆に言うと、完全に原作通り。
アニメラストが原作4巻ラストにあたります。
原作はまだ連載中なので致し方なし。
むしろ、続編が作れる状態で終わったので期待したいですね!
原作コミックは現在7巻まで発刊。(2021年2月時点)
今年中には8巻が出て、アニメ1クール分のストックができます。
原作未読なので区切りが良いのかは分かりませんが・・・
おわりに (『無能なナナ』13話とは)
原作はまだ連載中。
アニメ最終回は、アニメオリジナルでまとめたりせず、原作通り忠実にアニメ化。
アニメだけ見ていると、謎が残った状態で終了。
委員会の目的、鶴岡の存在、島の事件でも鶴見川レンタロウが犯人なのは良いが、尊敬していた石井を殺した動機は?空野のジャージが血だらけだったのは?
だけど、そんなの関係ないほど、ナナとミチルの二人に心を奪われました。
衝撃の1話から始まり。
能力者相手の知略サスペンスミステリを楽しむエンタメを繰り広げる。
ラストは、衝撃&感動へ展開していく過程と構成がお見事!
殺人を犯し、褒められた主人公ではないが、ミチル同様、すっかり魅了されてしまいました。
ぜひ、続きをアニメで見たい。
2期製作を心待ちにしたいと思います。
以上、TVアニメ『無能なナナ』第13話の感想&解説レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
続編があればレビューで取り上げたいと思います。
最新情報はTwitter(@toki23_a)にて!
ではでは。
ミチルの顔が幸せそうに見えるのは気のせいでしょうか…