vivy

アニメ【Vivy】6話 感想&考察 グレイスは救えなかったのか?いつから意識はなかったのか?

Vivy 6話

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』第6話、鑑賞しました。

本サイトでは、原作ありアニメを原作情報の紹介と共に解説してきました。

Vivy』は原作なし。
#正確に言うと原案はあります

解説はできないので、あくまで個人的な解釈を含めた考察になります。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。

今話の疑問点 (リンクは該当箇所へ)

  • どこまでが正史で、どこからが修正史? 
  • グレイスは正史でも犠牲になったのか? 
  • なぜ島のAIは暴走したのか? 
  • マツモトは、なぜ暴走を事前に気付けなかった? 
  • グレイスのデータ救出はなぜ不可能? 
  • グレイスの意識は既になかったのでは? 
  • 冴木博士の最後の言葉「歌がグレイス」の意味は? 

Vivy(全13話)各話リスト

話数 サブタイトル 任務
第1話 My Code -歌でみんなを幸せにするために- Mission 1
第2話 Quarter Note -百年の旅の始まり-
第3話 A Tender Moon Tempo -星たちとの歓談- Mission 2
第4話 Ensemble for Polaris -私たちの約束-
第5話 Sing My Pleasure -あなたを笑顔に- Mission 3
本レビュー Sing My Pleasure -あなたを愛する-
第7話 Galaxy Anthem -歌でみんなを幸せにするために- Mission 4
第8話 Elegy Dedicated With Love -たった一人の大切なパートナー-
第9話 Harmony of One’s Heart -私の使命、あなたの未来-
第10話 Vivy Score -心を込めて歌うということ-
第11話 World’s End Modulation -西暦2161年4月11日-
第12話 Refrain -私の使命-
第13話 Fluorite Eye’s Song

※リンクは各話レビューへ

ここまでの任務概要

任務 概要 経過年数 残り年数
Mission1 相川議員暗殺の阻止 Start 100年
Mission2 宇宙ホテル・サンライズ落下の阻止 15年 75年
Mission3 無人プラント・メタルフロート機能停止 20年 70年

今回のあらすじ

あらすじ

海上無人プラントメタルフロート」のマザーAIは冴木博士と結婚する予定のグレイスだった。
冴木博士は、グレイスを取り戻すために島の機能を止めようとしていたのだ。

しかし、停止プログラムは効かず施設のAIは暴走。
一体なぜ!?

「全てはグレイスを救うため」
トァクもヴィヴィも、冴木博士の目論見にまんまと乗せられた

冴木博士の「AIの急激な発展は危険」だと言う主張は建前
冴木の目的はグレイスを取り戻すこと

ところが、冴木自身も想定できなかった暴走が起きてしまう

いや~~いつも濃密ですが、今回は特に濃密でしたね。
書く手が止まりませんでした。

後半、ヴィヴィの熱い展開に興奮したのはもちろん
考察し甲斐のある観点が、いくつも提示されました

中でも興味深かったのは──

一つ──、冴木博士にとってのAI、グレイスの存在とは
一つ──、グレイスのデータを、なぜ救出できないのか
一つ──、グレイスはいつの時点から意識がなかったか

まるで、人間のように描かれるAI
だけど、やはりAIだと気付かされる

この辺りを理解すると、より楽しめる・・・
いや、余計に悩んでしまうかもしれません。

それもまた『Vivy』の楽しみ方と言うことで(笑)。

では、今話を振り返っていきましょう。

オリジナルテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」第6話予告
アニプレックス

感想&考察レビュー 第6話「Sing My Pleasure」

冴木博士の過去(少年時代)

冴木達也博士の少年時代。
入院していた少年の傍らには、看護AIグレイスがいた。
母親は少年を置いて、国外へ行き新しい家族と暮らしていたのだ。

グレイスがAIに対する態度を改めさせたか

答えてよ、AIだろ!

僕が!
人間が聞いてるんだ!

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

冴木少年が、母親の事を介護AIグレイスに問いただす。
今の冴木博士からは想像できない、AIに対して”無礼な”物言い

小さい頃の冴木博士は「AIは人間の言う事を聞けば良い」との考え

そんな冴木が、どのようにしてAIを結婚相手に選ぶほど心境が変化したのでしょうか。

描かれた過去から推測するに...
この時、大好きだった母親に裏切られ、人間不信になったのかもしれないですね。
一方で、乱暴な口を利いてもどこまでも優しいAIグレイスに救われ、惹かれたのではないでしょうか。

この少年時代、冴木のAIに対する印象が変わったのではないでしょうか

それどころか・・・
私は、冴木博士にとってグレイスは、”初恋の相手”だと解釈しました

冴木博士はAIを愛していて、グレイスを結婚相手に選んだのではない。
グレイスを好きになり、次第にAIに共感していったのではないでしょうか。

AIへの興味が研究者の道へと繋がったのなら・・・
冴木博士にとり、グレイスは正に人生を変えた存在なのです。

そんな人に成人になって再会
そりゃあ運命を感じずにはいられません(笑)。

Vivy 6話

トァク・垣谷ユウゴとの再会

ヴィヴィはトァクの生存者を救助、応急手当を施していた。

ヴィヴィとマツモトが乗ってきた船へ救助

前話ラストに救助したトァクの面々を乗せている船は、ヴィヴィとマツモトが島へ来るときに乗っていた船。

海上無人プラント「メタルフロート」は完全自動化で無人。
電子制御機器は全てマザーコンピュータの支配下にあり、今暴走しています

島にある物は基本的に当てにはできない。

冴木博士に真意を問いただしに。
あなた方は逃げて下さい。

by ヴィヴィ『vivy』TVアニメ6話

この船を使って逃げろ、ということですね。

ヴィヴィが離れた後、船内のモニタの前にいる垣谷が一瞬写りました。
船を拠点にして何かできそうな雰囲気のモニタ等が搭載された、近未来的な船。

てっきり、遠隔でヴィヴィのサポートをするのかと思いました(苦笑)。

それにしても、垣谷が目覚めた時、ヴィヴィが覆い被さる。
20年前と同じ構図にするのが憎いですね(笑)。

エリザベスが出来損ない?

きさまもエリザベスと同じか。
命令に従わない出来損ないか。

by 垣谷ユウゴ『vivy』TVアニメ6話

こいつ、どうしようもないッスね・・・

20年前、天井が崩壊し下敷きになるのをヴィヴィに助けられ。
5年前、サンライズに残り犠牲者になる計画だったのをエリザベスに助けられ。

二度もAIに命を助けられておいて「出来損ない」と解釈しています・・・

AIは人の役に立つために作られています。
ヴィヴィもエリザベスも、使命に忠実に人の命を最優先にする。
例え人を殺めるのに繋がる「指示」を与えられたとしても、どこかで使命である人の命を優先している。

普通ならそれは優しさに見えるはずなのに、テロリスト垣谷は”命令に従わない出来損ない”と解釈。

マスターである垣谷に、一途だったエリザベスが救われないですね・・・

疑問

正史では、垣谷の計画は成功し、サンライズ落下で犠牲者が出る。
修正史と同じ計画だとすると、その犠牲者は垣谷を含むトァクの連中。

修正史で垣谷らトァクを脱出させたのは、”ヴィヴィは絡んでなく”エリザベスの独断
では、エリザベスはなぜ正史とは違う行動をしたのか?

この時の正史と修正史の違いは2つ。(詳細は4話レビューをどうぞ)

  • 宇宙ホテル・サンライズにヴィヴィとマツモトが乗船
  • 15年前にヴィヴィと接触した垣谷ユウゴ

今回の垣谷の態度を見る限り、15年前にヴィヴィと出会い、心境が変わったようには思えません。

よって、1つ目が原因なのでしょうか?

その結果、「サンライズでヴィヴィを見た垣谷の態度に、エリザベスは嫉妬し暴走した」・・・

ちょっとすっきりしないですね・・・
まだ、情報か私の”演算処理”が足りてないのだと思われます(笑)。

垣谷も過去、AIと何かあったか?

私の使命は歌で人を幸せにすることです。
だからこそ、あなたには生きていて欲しいんです。

by ヴィヴィ『vivy』TVアニメ6話

ヴィヴィの使命は「歌で人を幸せにすること」。
生きてもらわなければ、歌を聴かせることもできない。

そのために、歌姫であってもヴィヴィは戦う・・・

この世界のAIは、一つの使命を持ち、一つの仕事する
だからといって一つのことをだけをやり続ける単純な”ロボットではない”

使命達成に必要とあらば、直接的なことでなくてもやる、それも”自発的に”

ヴィヴィだけではありません。

グレイスも、前エピソードのエステラ、エリザベスも同様です。
皆、使命達成に向けて、人間で言う”探究心”を持ち、常に”努力”しているのです。

この行動原理が、普通の人にはAIが心を持っているように思わせ。
反面、垣谷のような反AI思想を持つ者には、命令を聞かない出来損ないに見える。

ヴィヴィのセリフを聞き、垣谷によぎる映像、首にぶらさげたプレート。

一瞬写った映像には、垣谷らしき少年と、ピアノを弾いている者。
ピアノを弾いている手をよく見ると、ロボットのような手です

恐らくこのAIと、垣谷の間に何かあったのでしょう。
それが、垣谷をここまでAIを憎ませてしまった原因なのでしょうか。

それとも・・・

冴木博士の告白

Vivy 3話

エステラが献身的な行動でサンライズ地上落下を防いだことにより、シスターズの評価が上昇。

そこで、人類の未来を担う一大プロジェクト、海上無人プラント・メタルフロートの管理AIがグレイスに委ねられた。

冴木博士は、島を機能停止した後、グレイスのデータを吸い出す予定だったのだ。

歴史転換点

冒頭の冴木博士の少年時代。
屋上でのグレイスとの再会シーン。
そして、プロポーズのシーン。

これらは全て正史の出来事。
いや、事実なので修正史とも言えるか・・・

要は、ヴィヴィとマツモトの影響を受けず、正史と同じ歴史を辿ったという意味です

『Vivy』では、画面の上下に黒帯が入る横長のシネマスコープサイズで描かれるシーンは「正史」を表しています

今回のように正史と同じ歴史を辿っているときも、使われています。

サンライズが・・・
あの日、僕の人生で最も幸せだった瞬間は、一瞬で崩れ去ったんだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

プロポーズ直後に、冴木にかかってきた電話。
この瞬間、正史を示すシネマスコープサイズが、通常のビスタサイズに戻ります。

この電話を受けた瞬間、正史が改変。

サンライズ地上落下をエステラが防いだことにより、冴木博士の人生に影響が出たことを示しています

グレイスは既にいなかった

Vivy 5話

彼女はグレイスじゃない。
これは、グレイスの似姿だ。

本物のグレイスは、メタルフロートのコア。
管理AIとしてここにいるんだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

冴木博士と一緒にいたのは本物のグレイスではなかった。
グレイスと同じボディを使って、似せていただけ。

彼女の本当の名前は「K5」、グレイスと呼んでいただけ。

AIにとり呼び方は、前話でM00205もMと呼ばれることを許容しています。
AIにとって問題ないのでしょう。

本物のグレイスは島の管理AI、Mたちがマザーと呼んでいたのがグレイスだったのです

なるほど、ようやく全てが繋がりました。

プロポーズは5年前

謹んでお受けします。
末永くよろしくお願いします。

by 看護AIグレイス『vivy』TVアニメ6話

今から5年前、冴木博士は既にグレイスにプロポーズしていたのです
その後、グレイスが島の管理AIにされ、離ればなれに。

だから、冴木博士だけ指輪をしていたのですね。(5話)

前話で確認できた冴木博士の左手薬指にある指輪。
結婚相手だと思われたグレイスの手には指輪がなかった。

グレイスの前で、一人だけ結婚指輪をしている。

正史とは違い、グレイスを結婚相手とまでしなかったのか?
だとしても、冴木博士の結婚相手は誰かなのかと疑問でした。

むしろ、離ればなれになったグレイスを、今でも思っている証しだったのです

なぜグレイスが・・・

Vivy 6話

シスターズの期待は一気に高まり、メタルフロートという人類の未来を担うプロジェクトの管理がシスターズが委ねられた。

その白羽の矢が立ったのが、シスターズの中でも特に評価が高かったグレイスだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

上手い作りになっているので、作品を理解していると不思議に思わないでしょうが──

  1. 同じ性能のはずなのに、グレイスがトップ?
  2. そもそも、管理AI用の新作を作れば良くね?

以上、2つの疑問には触れずにサラリと進めています。

二つとも、前エピソードの双子AI・エステラ&エリザベスを理解してなくては意味不明。

エステラとエリザベスは、同じ部品とプログラムで組まれた”完全”同型機。

それにもかかわらず、生まれてから得た経験で、人格どころか性格まで変わってしまう。(エリザベスはトァクにいた間に攻撃的な性格に)

エステラ&エリザベスのエピソード(3・4話)で示したのは──
自律型AIのシスターズは、(人間のように)生まれた後に受けた経験で、性格・人格が変わってくる

その結果、元々は同じ製品でも次第に評価に優劣が出てくるのです。
これがの解。

逆に、生まれたばかりのAIは未成熟
看護AIと言っても、最初はぎこちない。

冒頭の、冴木博士の少年時代。
十数年前のグレイスはぎこちなかったですよね。

「正に白衣の天使」と評されていたグレイスですら、生まれた直後はそうではなかった。
15年も様々な経験を積み、評価されるようになったのです。

これがの手段を取れない理由。

ここまで考えると、一つ大きな疑問が出てきます・・・

正史では誰が管理AIに?

今回、僕が目覚めた原因と言っていいでしょう。
本来なら、正史であの島が建設されるのは今からおよそ20年後なんですよ。

by マツモト『vivy』TVアニメ5話

では、正史では一体、”誰が”メタルフロートの管理AIに?

推測

何も語られないので推測するしかありません。

マツモトのセリフには、冴木博士とグレイスの結婚後情報はなし。

もし仮に「正史でもグレイスが管理AI」になっていたとしたら・・・

マツモトはもっと早くメタルフロートの管理AIがグレイスだと気付いたのではないでしょうか?

グレイスの破壊に悩むヴィヴィに対して、マツモトは「遅かれ早かれ同じ運命を辿るのです。まあ20年近く一緒に暮らせたのは人間にとっては大きいのでしょうが」とでも言ったはず(苦笑)。

そもそもメタルフロートの機能停止が任務なら・・・

ニュースにもなっていた「グレイス氏、メタルフロートの管理AIに任命される」もチェックしていろよ!というツッコミは置いといて(笑)。

こういう点からも、マツモトは自身で目覚めるタイミングは選べないと、考えています。(詳細は5話レビューをどうぞ)

下手すると任務すら分かってない状態で目覚めているのかも・・・

逆に言うと、正史ではグレイスは管理AIに採用されてないから、マツモトは何も言わなかったし、今回の事も予想できなかった。

と私は踏んでいます。

正史で、メタルフロートが建設されるのは、およそ20年後の話。

その頃には、グレイス以外にも優秀なAIがいたのでしょう。

いや、その頃には、グレイスも稼働して40年近くになります。
新たな使命を任せるには、経過し過ぎているのかもしれません。

もしくは”既婚者”は対象外かも(笑)。
AI人権法がありますし。

あるいは、現用AIを管理AIにする必要はないのかもしれません
#この可能性が一番高いと踏んでます

ましてや、シスターズを転用する必要性は・・・

グレイスが管理AIに採用されたのは、早急なAI発展が生んだ悲劇とも言えるのです

今の時代には、過ぎた島なんだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ5話

雑談) ヴィヴィに人気がなかったのはまさか!?

その白羽の矢が立ったのが、シスターズの中でも特に評価が高かったグレイスだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

このセリフを聞き、気付きました。
全然本編とは関係ないのですが・・・

推測

見た目の良いヴィヴィが、ニーアランドで今一つ人気者に描かれなかったのは、これが理由ですね!

ヴィヴィもシスターズシリーズ。

5年前の時点で、ヴィヴィが歌姫として人気がありコミュニケーション能力が高ければ、メタルフロートの管理AIにされていたかもしれないのです(笑)

シナリオ上、5年前の時点では、シスターズの中で最も優秀なのはグレイスにする必要があったのです!!

だから3話までは小劇場、グレイスが管理AIになった後の5話でようやく中劇場になったのです。

とまあ、本編とは関係のない、メタ的な事を思いついたので書き殴りました。

まあ、骨休みということで(笑)。
失礼しました。

AIはなぜ暴走したのか?

本来なら島を停止させ、AI達を無力化してからデータを救出するつもりだったんだ。

恐らく、島を存続させるというグレイスの現在の使命と停止プログラムがコンフリクトを起こしたんだ

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

AIの暴走は、冴木博士の意図ではなかった。
冴木博士は停止させるつもりで作ったが、うまくいかなかったのだ。

コンフリクト

ITの世界では、競合、衝突という意味で使われます。
複数の装置やプログラムが、同じ資源(メモリやHDDの記録領域)を使おうとして利用できなくなる状態。

冴木博士が作った停止プログラムは、データ削除のような単純なものではなく、順次シャットダウンさせるようなイメージのようです。

例で説明した方が早いですね。
エレベーターで違いを説明しましょう。

エレベータを例にすると──

  1. 落雷等で電源が切れた場合
     急停止 (何もできない)
  2. 地震等感知で安全装置による緊急停止
     最寄り階に止まり、扉が開く

今回の停止プログラムは、てっきりウイルスのようなイメージで、リブートしても正常起動しない破壊行為だと思ってました。

確かに、ハード的にもソフト的にも壊さずに、しかもいつか再開させるつもりなら、正式な手順で終了させなくてはなりません。
結果、のようなプログラムになります。

正式な手順で終了させるとは、外部から終了プログラムを強制実行させる形になります

その際──

新たな使命が与えられたんだ。
それが「人類のためにメタルフロートを存続させる」という使命だった。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

グレイスが持つ今の使命「メタルフロートを存続させる」は、メタルフロートを「稼働させ続ける」と同義

「稼働させ続ける」と「強制終了させる」命令が競合し、暴走したのです。

マツモトはなぜ暴走を事前に気付けなかった?

停止プログラムであることは念入りに確認したんですが。

by マツモト『vivy』TVアニメ6話

マツモトは、冴木博士の停止プログラムを確認しました。
なのに、なぜメタルフロートが暴走するのを予見できなかったのでしょうか?

結論を先に言うと、無理です。
今回の状況では、不可能と言ってもいいでしょう。

島はスタンドアローン。
マツモトがどれだけハッキング能力に優れていたとしても、ネットワークに繋がっていなければ見ることが出来ません。

島の管理AIの情報が一切なし。
これが一番の要因。

送信先の作りが分からずに、停止プログラムを送信して正常に動くかどうかなんて分からないのです

なので、私はウイルスプログラムのように、根幹部分に影響を及ぼす類だと想像していました。

もう一度、マツモトのセリフを見て下さい──

停止プログラムであることは念入りに確認したんですが。

by マツモト『vivy』TVアニメ6話

マツモトは、停止プログラムが正常に動くかどうかを確認したのでは”ありません”

冴木博士が作ったプログラムが”停止させるもの”かを確認したのです
このプログラムで、停止させられるかどうかは、マツモトは確認していないし、確認できないのです

では、なぜ冴木博士は作れたのか?

それは、冴木博士がメタルフロートの建設に携わった研究者。
管理AI等の中身を知っていたと推測できます。

が、本番環境でテストをしないと、絶対とは言えません。

トァク内で停止プログラムを開発していたようなので、同じ環境を作ったかもしれません。

が、相手はAI。
日々、成長しているのです。

結果、想定外の暴走が起きてしまったと解釈できます。

以上、Q.E.D.(笑)。

グレイスのデータ救出はなぜ不可能なのか

不可能ですよ。
これだけの規模の施設管理をたった一体でこなすなんて、ボディやデータの癒着程度ですむはずがない。

もはや、この島にいる一体一体のAIがグレイスそのものだ。
それらを全て回収などできません。

by 『vivy』TVアニメ6話

仕組みは分かりませんが、マツモトのセリフから論理立てていくと──

『Vivy』世界でのAIは、個々が完全に独立しているのではない

特に、これだけの規模の施設を管理するには、一体のAIでは不可能
他のAIと融合して稼働しなくてはならない

結果、島にいるAIに、グレイスのコアな部分、人間で言うところの意識が他のAIと入り交じっているようです。

確かに前話、M経由で停止プログラムを送信したとき、グレイスに記憶されていた冴木との出会いのシーンがヴィヴィに流れてきました。

これは、Mの中にグレイスの記憶があったという意味だったのです。

となると、M達が人を歓迎してサプライズをしたのは、マザーに指示されたからではなく、M自身にグレイスの意識があり、自発的にやったのかもしれないですね。

ちょっと切ないですね・・・

そもそものAIが孤立してない部分が腑に落ちませんが、自律人型AIでないAIを管理すると、そうなるのでしょうか?

まあ設定と言うことで良しとしましょう(笑)。
問題はそこではないので。

大事なのは、グレイスそのものが、物理的にグレイスの中だけでは収まってないということ

よって、データを回収するには──

  1. 全てのAIから”グレイスに関する部分のみ”を回収する
  2. 全AIを一つのAIと見なし、全てを回収する

これは、どちらも不可能です・・・

プログラムとAIの一番の違い

プログラムは外部の者が書いた物。
AIは最初は外部の者が作るが、その後は、独自で経験し形作っていく。

経験部分を含めて取り出さないと、AIは今の状態を再現できないのです。

かつ、そのAIの経験は製作者が見ても分かりません。
これをAIのブラックボックス問題と言います。

これに対抗してホワイトボックス型AIが注目されていますが、『Vivy』ではブラックボックス型で進めているようなので割愛します。

グレイスが既に多数のAIと融合しているのであれば、経験データも入り交じり、共有されています。

例えば、Mの経験もグレイスの経験になっている可能性があるのです。

そんな状態で、グレイスの経験データだけを回収するのは不可能。()

では、全てをグレイスと見なし回収すると・・・
そもそも、大量のデータで似姿に入れられるか分かりません・・・
が、仮に入ったとしても、他のAIも混じることになり複数の人格を持ったAIとなってしまいます。()

これではグレイスとは言えません。

では発想を変えて、グレイス本体に残っているデータだけ取り出せばどうなるのでしょう?
それは、グレイスであって、グレイスではありません。

前エピソードのエステラとエリザベスの実験で示されたように、AIの基本となる部分だけでは同じ個性にならず、その後の経験を含めて個性が作られます。

全てを持ってこないと、再現できないのです。
だから、グレイスを回収するのは不可能だとマツモトは言ったのです。

それどころか、そもそも、グレイスはすでに・・・(次項へ)

推測

ただ、疑問に思うのは、この世界にはバックアップはないのか?ということ

グレイスが優秀なAIであれば、壊してしまっては大損害。
普通なら、使命を書き換える前に、バックアップを取ります。

バックアップを回収すれば、以前の使命のグレイスが復活するはずです・・・

でも、この方法が議論されないのは、AI人権法が絡んでいると推測されます

AI人権法は、AIに人間のような人権を与える。

つまり、AIの経験データ、バックアップ、コピー行為は、人間で言うとプライバシー保護、クローン作成に繋がり厳禁なのではないでしょうか

グレイスの意識が破壊されたのは・・・

本当に今の彼女に意識があると思いますか?
あなたにはこれが歌に聞こえますか?

by マツモト『vivy』TVアニメ6話

これが歌に聞こえるか?

1話からの一貫しての積み重ねがここで活きてきます。
ヴィヴィが考える人を幸せにする歌は「心を込めた歌」

ヴィヴィがグレイスが歌っているシーンを知っているのは、停止プログラムを送信した際、Mに記録されていた記録が流れ込んできたのだと思われます。

グレイスの歌、Mの歌は、心が込められていた。
スマホから流れるグレイスの声は、歌ではなくただ音階をなぞっているだけ・・・

心も込められていない。
それはもう、グレイスに意識がないということ

意識がないグレイスは、ボットとまでは言いませんが、プラントを動かすためだけのAIになっていたのです

では、それは暴走の結果なのか?
冴木博士自ら、グレイスの意識を破壊してしまったのか?

否。
違うと思います、いや思いたい・・・

この歌声は録音じゃない、リアルタイムで電波に乗り、メタルフロートができたその瞬間から流れ続けている

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

グレイスの歌声は、メタルフロートができた瞬間から流れ続けていると、冴木は語る。
その時から、このような音階をなぞるだけのような歌声だったかは描かれてません。

が、メタルフロートができた瞬間から流れているということは・・・
この時に、グレイスの意識はなくなったのではないでしょうか・・・

グレイスに新たな使命「人類のためにメタルフロートを存続させる」に書き換えられ、”稼働させられた瞬間”に、意識が破壊されてしまったのではないでしょうか

二つの使命はAIには相容れない。
経験データは使命達成に向けて紐付いている。

AIに対してタブーを犯したが故に、優しく優秀な看護AIとしてのグレイスは死んだのです。

それでも、この巨大なメタルフロートの管理AIとして使命を全うする。

これまでの看護AIとしての経験の全てを犠牲にしてでも、新たな使命を忠実に。
誠実に使命をこなすグレイスだからこそ、巨大メタルフロートを一体で管理することができたのではないでしょうか。

全然、論理的ではありませんが・・・
そのような状態だったと、私は解釈しました。

冴木博士の作戦はそもそも手遅れだったのです・・・

AIを滅ぼすAI ヴィヴィ

停止プログラムが通用しない以上、暴走を止めるにはグレイスを物理的に破壊するしかなかった・・・

今の私はディーヴァではない

今の私はディーヴァではありません。

私の名前は、ヴィヴィ。
ヴィヴィは滅びの未来を変えるための、AIを滅ぼすAIです

by ヴィヴィ『vivy』TVアニメ6話

ついに決意したヴィヴィ。

ヴィヴィの使命は「歌でみんなを幸せにする」
これは歌姫である”ディーヴァ”としての使命

ヴィヴィの使命は「滅びの未来を変えるための、AIを滅ぼすAI」だと宣言したのです

二つの使命を持つことになるような気もしますが・・・

「みんなを幸せにする」という共通部分があります
ここがグレイスとは違います。

了解です、ヴィヴィ。

by マツモト『vivy』TVアニメ6話

マツモトの返答を聞き、表情を変えるヴィヴィ。

これまでマツモトは、ヴィヴィのことを「ディーヴァ」と呼んでました。
「ヴィヴィ」という名前は、偽名等の説明の中で使っていましたが、呼びかけでマツモトが使ったのは初めて

AIを滅ぼすAIと宣言した、ヴィヴィの決意に、マツモトが応えたのです。

かっこいい!!
でも次のシーンでは笑ってしまいました(笑)。

こんなんできました

こんなんできました。

by マツモト『vivy』TVアニメ6話

メインタワーへ行くために、マツモトはメタルフロートの設備をハッキング。
自らのコピーを作る。

ボディを組み合わせ、ヴィヴィを乗せられる飛行形態に。

おいおい!
確かに、この時代になってマツモトの正式ボディが現実となりました。(5話)
だから、材料等がメタルフロートにあってもおかしくはない。

ただ、これまで侵入できなかった島のシステムに、随分簡単にハッキングしましたね(笑)。

近づけばハッキングできるのであれば、ロボットも止められる?扉の開閉も自在なような・・・

まあ、生産ラインはAIではないのでしょう(苦笑)。
だから、ハッキングして操作できたのです。

合体して、様々な形になるために、マツモトはキューブ型だったのですね!
マツモトがどうとか言うのではなく、元々の機器にそのような機能があるのかな?

教会

グレイスを破壊したヴィヴィが冴木博士の元へ戻ると、博士は教会にいた。

グレイスに意識はあったのか

グレイスは最後に何か言っていたかい?

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

グレイスを破壊したヴィヴィ。
グレイスは最後まで、何も発しなかった。

この手のパターンなら、よく最後のひと言を発します。

が、『Vivy』では重要な箇所は、きちんと”AI”として描いています
死の間際だからと言って、かつてのグレイスが復活するのは論理的ではありません

最後、何も言わなかったのは──
グレイスは既に、看護AIどころか意識と呼べるものがなかった、と私は解釈しました

推測

意識がないから「死」とか「壊れた」という意味ではありません。

メタルフロートの管理AIとしては支障なく機能していました

巨大過ぎる施設を管理するために、全機能、全資源を島の施設管理に仕向けた。

施設を管理する立場で、かつ完全無人化。
グレイス自身が人と接する役目ではないので、意識などは必要なくなり、ただひたすらプラントを動かすことに全力を注いだのではないか。

ヴィヴィの歌、冴木との映像は、過去の記録。
データとして残っている状態。

データは残っているが、処理をする部分が変わってしまったのではないでしょうか

その状態を概念的に言うと、「意識がなくなった」と言えそうです。

冴木博士も、グレイスに意識がないことは分かっていたのだと思います

でも、万が一のことがある、奇跡を信じたい。
あるいはどんな形でもグレイスを取り戻したい。

一縷の望みにかけていたのではないか。

だが一方で、暴走を止めなくてはこのままでは被害が広がってしまう。
優しいグレイスにこれ以上、以前の使命に反することをさせたくない。

止める方法は、ヴィヴィが言うように、グレイスを破壊するしかない。
だから、最後の最後ヴィヴィにメッセージを送り、コアの位置情報を知らせたのでしょう。

破壊しようと言ったのはヴィヴィです
でも、暴走させてしまったのは冴木博士自身です

トァクに入り停止プログラムを完成させたが、島を破壊するというから抜けた。
停止させるだけで十分だというヴィヴィを利用したが、結局破壊を選択させてしまう。

一体、自分は何をやってきたのだと悔やんだでしょうね。
苦渋の選択ですね・・・

グレイスは不幸だったのか

AIにとって、魂とも言える使命を書き換えられたんだ。
グレイスはそれを受け入れるしかなかった。
でも、本心は違うはずなんだ。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

使命を書き換えられ、無理やりメタルフロートの管理AIをさせられるのは不幸。
これは、冴木博士の考え、感じたことです。

グレイスは一言も発してません。
グレイスがどう思っていたのかは分かりません。

冷たい言い方をすれば、AIは使命に生きるので、新たな使命を与えられればその使命に従順に従います

二つ目の使命に尽くしていた。
それは冴木博士が言うように不幸なのか?それとも・・・
そもそもAIに幸不幸の感情があるのか・・・

そこは視聴者に委ねられているのでしょう。

私がどう思ったか?
その前に・・・

皆さん、もう一度、最後のシーンを見て下さい

グレイスは最後の瞬間、苦悩の表情ではなく、笑顔でした
そして、グレイスの目から青い液体が、まるで涙のようにこぼれています・・・

私は・・・込み上げるものがありましたよ。

冴木博士、最後の言葉の意味は・・・

君にとって、歌で人を幸せにするという使命に、何か”代わり”はあるのかい?
僕にとっては、君の歌がグレイスだった。

by 冴木達也博士『vivy』TVアニメ6話

正直、最初は「代わり」を「変わり」だと思っていたので、何を言っているのか分かりませんでした(苦笑)。

“代わり”と言ったのです。

つまり、ヴィヴィに対し「使命の代わりになるものがあるのか?」と聞いたのです

当然、ヴィヴィは答えられません。
AIに与えられるのは一つの使命、使命に代わりなどないからです。

AIにとっての使命は魂そのもの。
だから、自分の身(命)をかけてでも追及する。

ヴィヴィもそうですし、エステラもそうでした。

冴木博士は、AIの魂とも言える使命、自分に取ってそれはグレイスだと言っているのです。

ヴィヴィの「幸せになって下さい」という問いかけに、魂の代わりになるものがあるのかと問い返したのです。

それだけ、冴木博士にとってグレイスは、唯一無二の何にも変えられない存在だったのです・・・

使命と結果の矛盾

私の使命は歌でみんなを幸せにすること。

by ヴィヴィ『vivy』TVアニメ6話

ヴィヴィの使命は「歌で人を幸せにすること」。
歌姫でありながら、マツモトのミッションをこなしていたのは、人類の生命を守るため。

人を守らなければ、そもそも歌で人を幸せにすることなどできない。

それなのに、人間を守る行動が、冴木博士を死に追いやった。

よりにもよって、AIを愛してくれる人を。

自分の判断は間違っていたのか?

・・・人間の心は演算処理できない・・・

おわりに (『vivy』6話とは)

人類を救うためにAIを潰す役を全うするヴィヴィ。
一方で、5年前のサンライズ落下が冴木の人生を狂わせた。

初めての人間の犠牲。
それもAIをこれだけ愛している人が。

前エピソードに続き、AIは人間が製造した作り物なのに、同じ個体は作れないことを追及しています。

この世に多数のAIあれど、冴木にとっての大切なAIはグレイス一人。
冴木の運命の人であり、全てだったのです。

AIグレイスは、冴木博士の”初恋”の人であり、唯一愛した人として描かれます。

AI相手に何を・・・と笑う事なかれ。

冴木博士が愛したのはAIだからではありません。
愛した人が、たまたまAIだったのです。

結局、その人にとって何が幸せなのか。
誰と一緒にいるのが幸せなのか・・・

ヴィヴィを含め、この世界でのAIは、向上心、探究心が尽きない。

疑うことなく使命を全うし、そのために努力し続ける姿勢が純粋で心を打つ。
冴木博士のように心を奪われる人が出てくるのは当然だと思います。

それを悲劇に繋げるのが、辛いですが巧い展開です。

以上、TVアニメ『vivy』第6話の感想&考察レビューでした。
超長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。

7話のレビューも書いてます。
良かったらご覧下さい。

ではでは。

きょうのひとこと

サプライズだけでなく運命の出会いにも弱いよね
こんな出会いをすれば・・・

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POSTED COMMENT

  1. 匿名 より:

    ”本当に今の彼女に意識があると思いますか?
    あなたにはこれが歌に聞こえますか?”
    マツモトのやさしさだったのかもしれません。
    姉妹ともいえるグレイスを破壊する。
    辛すぎる決断を求めなくてはいけないことに対するせめてもの慰め。
    そこにあるのはAIでもないただのマシンに過ぎないという。
    だからこそ、VIVYはそれを理解し、”これはただの音階データだ”と述べた後、意を決した鬼女のような表情になったのではないでしょうか

    • 時文 より:

      コメントありがとうございます。

      なるほど!興味深い解釈ですね!
      マツモトは、ヴィヴィの決断を後押し、ヴィヴィ一人で決断したのではなくマツモトと二人で重荷を分担したわけですね。

      となると余計に、その後ヴィヴィがフリーズしてしまったのが悔やまれますね。ヴィヴィとマツモトがお互いを認め合い、相手を思いやる関係性にまでなったのに、リセットされてしまうという・・・

  2. ちくわ より:

    修正史でも同じAIが暴走するという結果になってしまったことが何たる皮肉だと思いました笑
    こうなってしまうとやっぱりエステラやグレイスやオフィーリアが死ぬ必要はあったのかと考えてしまいます笑
    そこがvivyの最大の面白さだと思いますけどね!

    • 時文 より:

      コメントありがとうございます!

      「AIが暴走」とは終盤の話ですね(汗)。

      6話までで考えると、エステラはサンライズ落下で被害をなくすためには犠牲となる必要があった。

      グレイスは正史では管理AIになっていなかったと私は考えています。正史ではグレイスと冴木博士は結婚しているわけですしね。となるとグレイスはシンギュラリティ計画の犠牲者と言えますね。だからこそヴィヴィは責任を感じたのかもしれないですね。

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