【文字数(本文):約9千文字(目安15分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第46話「禁軍」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
4巻 18話「飛発」中盤 ~ 20話「奇襲作成」まで
- コミック
-
18巻 74話「子翠」 ~ 19巻 77話「再会」まで
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
よって、次話以降のネタバレはなしなのでご安心ください。
なお、原作ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう記載します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
宦官が驚いた表情で猫猫を見るが、そんなの関係なかった。
引出しの見出しを眺め、珍しい薬を見つけるなり踊るような奇妙な動きをしてしまう。喜びがあふれ出て、頭の中に納まりきれなかった。
「なんかの呪いか、なにかか?」四半時、そんなことを繰り返したところだった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
いつのまにか現れた壬氏が奇異の目で踊る猫猫を見ていた。
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読んでいますが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。

同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・

その方が、理解が深まるんだよ
ちなみに、考察や疑問はオレンジ系。
補足や余談、参考情報はブルー系に色分けしているので、読む際に目安にして下さい。
2期 全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第37話 | 湯殿 | 14巻 | 4巻 |
第38話 | 踊る幽霊 | ||
第39話 | 氷菓 | ||
15巻 | |||
第40話 | 巣食う悪意 | ||
第41話 | 狐の里 | ||
16巻 | |||
第42話 | 鬼灯 | ||
第43話 | 祭り | ||
17巻 | |||
第44話 | 砦 | ||
第45話 | 蟇盆 | ||
18巻 | |||
第46話 | 禁軍 | ||
19巻 | |||
第47話 | |||
第48話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
猫猫が子翠を引き止めようとしたものの、子翠の決意は揺るがなかった。
その頃、帝直属の禁軍が壬氏を指揮官として砦へと迫っていた。
声なき人形、沈黙の殻を破る。
虫は冬を越せずとも、命の灯火掲げて舞い上がる。
やがて尽きるその瞬間、子一族最後の輝き放てるか・・・。
猫猫は子供たちを託され、簪には子翠への想いが込められ、作戦には砦攻略の成否がかかっている。
為すべきことを為す。
それぞれが覚悟を決め、自分の役割を全うする姿が印象的。
猫猫と壬氏の再会、もっと感動的な展開を期待していたが・・・。
意外とあっさり、薬屋らしい軽快さか(笑)。
ところで、猫猫が行方不明になってから何日経過?

数ヶ月くらい?

冬を越してないから、そんなもんだろうね
猫猫拉致事件&子昌謀反も、いよいよクライマックス。
残り2話!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第46話「禁軍」
子翠
子翠が火薬工房に火を放ち、砦は炎に包まれかけていた。猫猫は子翠と再会し、彼女が背負ってきた過去や心の内を聞く。
母親
お父様は、お母様は昔はあんな人じゃなかったって言うけど、どうなのかしら・・・。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
子昌によれば、神美は昔はあんなのじゃなかったようです。
それが本当なら、何が神美を変えてしまったのか。
そして、誰にも止められなかったのでしょうか。
私には、生まれた時からあんな女だった。
– 中略 –
私は、お母様みたいになりたくない。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
子翠が堕胎剤を飲んでいたのは、子どもを産みたくないのではなく、母親になりたくなかったからだったのです。
神美の娘だからといって、必ず神美のようになるとは限りません。
子翠は神美のコピーではなく、父・子昌の血も受け継いでいます。
それでも、子翠は、母親になれば神美のようになってしまう、と強く恐れていたのでしょう。
これは、神美の行動がどうしても許せなかった。
子翠にとって「母親=神美」というイメージがあまりにも強烈だったのだと思います。
神美は姉の翠苓をいじめ、父親を軽んじ、実の娘である子翠の顔すら覚えていない。
友人を堕落させ、その子どもたちも不幸にした・・・。
こんな母親像、子翠が受け入れられるはずがありません。
だから、母親になること自体に強い嫌悪感を抱いていたのでしょう。
せめて姉だけでも
きっと姉様も、私の姉様じゃないんだわ。
お父様はタヌキだから、皇帝の血を引く姉様を手元に置くことで何か企んでいたんじゃないかしら。
だから、姉様は子の一族とは関係ない。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
何を今さら、翠苓は姉ではないと言い張るのでしょうか・・・。
お分かりですよね。
今回の謀反で、子一族は全員処刑されるでしょう。
翠苓は首謀者ではありませんが、実行犯として深く関わっています。
ただ、先帝の血を引いているので、簡単に処刑とはいかないはず。
少しでも罪を軽くするため、子一族とは無関係という立場を作ろうとしたのでしょう。
内部事情を知ると、確かに翠苓はどちらかと言えば被害者に見えます。
でも、反対したり、密告したりすることはできたはず。
(神美を恐れていたのは分かりますが)何も行動しなかった翠苓にも責任はあるのです。
これが ──
そんな理屈は通じない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
翠苓は、これまでの事件に関わりすぎている。
猫猫の言葉の真意でしょう。
冬を越す虫
この子たちが虫であれば、冬を越せたのにね。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
「虫であれば冬を越せた」
一体どういう意味でしょうか。
そして、猫猫に何を伝えたかったのでしょうか・・・。
虫は冬を越せずに死んでしまうけれど、卵を残します。
ここでいう「冬」は、今回の謀反の罰や一族の滅亡を指しているのでしょう。
虫なら自分は死んでも子孫を残す。
でも人間はそう簡単にはいかない。
だから子翠は「虫だったら」と口にしたのだと思います。
親が子どもを守らないなら、自分が守るしかない。
そんな思いで子どもたちに毒(薬?)を飲ませたのでしょうか・・・。

え~~生きてるんだよね??
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
それはまだ分かりません。
ただ、私は子供たちに蘇りの薬が使われたと考えています。
蘇りの薬で仮死状態にし、子供たちを処刑対象から外す。
生き返った後のことは猫猫に託す。
そんな計画だったのでしょう。
だからこそ ──
あとは頼んだから。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
子翠も「あとは頼んだ」と猫猫に言ったのではないでしょうか。
仮死状態は1~2日程度。
戦が長引けば決着がつく前に子どもが目を覚まし、子翠の計画は台無しになってしまいます。
子翠が火薬工房を爆破したのは、早く決着をつけるためでもあったのかもしれません。
意地
どうして、手を伸ばさずにいられないのだろう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
猫猫は、自分の感情をうまく理解できていません。
なぜこんな気持ちになるのか、自分でも分からないのでしょう。
ここは、私の拙い解釈よりも、まず原作を紹介した方が良いですね(苦笑)。
自分に政治のことはわからない。そんなもの興味ない。薬のことをたくさん勉強して、研究して、いろんな薬を作りたいだけだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
それだけでいい。
それだけでよかったはずだ。
他人のことなんてどうでもいい。自分が一番大切だ。ここに連れてこられてどんな目にあったと思っている。
でも、猫猫は手を伸ばす。
猫猫は、興味のないことには最低限しか関わらず、残りの時間や情熱はすべて自分の好きなことに注いできました。
今も、それが自分の本性だと思っているはず。
今回、後宮から連れ出され、多くの自由を奪われました。
恨みはあっても、助ける義理なんて本来ありません。
むしろ、下手に手を貸せば子一族に加担したと見なされるリスクもあります。
それでも、死を覚悟した子翠を見捨てることはできなかったのです。
ここで子翠を逃がしても、追手をかわす策もなければ、権力もない。
自分には何もできないし、(謀反を起こした子一族に)関わってはいけないと頭では分かっているのに、どうしても手を伸ばしてしまう。
猫猫の中に、これまで感じたことのない感情が芽生えています。
素性や罪がどうであれ、子翠という友達を救いたいという思いが抑えきれないのです。
でも、子翠は「止めないで」と言う・・・。

私には、私の役目があるの。
── 意味はあるの?
意地だよ、私の。── そんなもの捨ててしまえばいい。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
猫猫も、子翠が逃げられないことは分かっているはず。
それでも、黙って見過ごすことはできないのでしょう。
一族のことや他の事情は気にしなくていい。
子翠と翠苓だけなら、何とかなるかもしれない。
今ここで止めなければ、もう二度と子翠には会えない。
子翠はもう戻ってこない。
いや、会えなくてもいい。
少しでも長く生きていてほしい。
猫猫らしくない、感情が先走っているのです。

いや、時々感情のまま動いてるか…

確かに(苦笑)

こういう感情が先走るところ、あのおっさんに似てるんだよなぁ(苦笑)
猫猫は、目の前に未知の毒があって、飲む機会が1度しかないと言われたら、どうする?
── 飲み干す。あっ・・・。
でしょ?
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
猫猫には薬師として譲れないものがある。
子翠にも子一族の次の世代を担う立場として譲れないものがあるのです。
そう考えていくと、あるセリフを思い出します ──
前話、子翠が猫猫の閉じ込められている部屋の前まで来ました。(45話 )
そんな薬あるわけない、分かってはいるんだけど・・・。
私にも薬師としての矜持がある!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第45話
この言葉が、子翠の決意をより強くしたのかもしれませんね。
さて、猫猫の願掛けは届くのでしょうか・・・。

子翠~~~
行軍
帝直属の禁軍が砦へと迫る。紫紺の甲冑をまとった壬氏が軍を率いている。いよいよ子の一族を制圧する戦いが始まろうとしていた。
原) 移動式住居
時は少し前にさかのぼる。
by ナレーション『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
戦の前線で大将が待機する場所といえば、普通はテントですよね。
でも、さすが壬氏さま・・・いや華瑞月様々。
スケールが桁違いです(苦笑)。


何これ!
まるで家じゃん!

えっと・・・これ、馬車らしいよ

これが馬車なわけ・・・
あっ、車輪付いてる!?
原作によると ──
壬氏は馬車に揺られながら、苦手な相手と向かい合っていた。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
馬車というが、馬を十頭つなげたそれは、車というより移動式住居に近い。床に獣の毛皮が敷き詰められ、中央に円卓が置かれている。
呼び方は「馬車」ですが・・・。
車輪が6つもあって(←これはアニメから)、馬10頭で引かせているので、馬車というより移動式住居ですね(苦笑)。
それから ──
「馬車に揺られながら」とある通り、原作では移動中に作戦会議を開いています。
アニメでは砦付近に到着してから作戦を練っていますが、原作だと移動時間を有効活用していたのです。
つまり、作戦が終わったら、移動中の馬車から降りなくてはなりません。
そう言って羅漢はふっと鼻を鳴らし、幕の外へと出る。そして、ゆっくりとはいえ進む馬車から飛び降りる。着地の瞬間、ごきっと羅漢の体が歪んだ気がしたが、大丈夫だろうか。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
羅漢は、動いている馬車から飛び降りたせいで腰を痛めてしまったのです・・・。

なるほど、そういうことだったんだ
てっきり砦まで突っ込んでいくつもりで駆けだしたのかと思った(苦笑)
原) 雪国
砲を使えないように、まず火薬の保管庫を落とす。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
羅漢の作戦は、砲そのものではなく火薬の保管庫を先に落とすことでした。
なぜ砲ではなく、保管庫を狙うのでしょう?
原作でその理由が明かされています。
砲に使う火薬は、とても湿気やすい。常時、砲のそばに置いておくだけの火薬があるとしても、普段は湿気ないように武器庫に保管しているだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
砦は高地にあり、この日は雪も降っていました。
火薬は湿気に弱いので、砲のそばに置いてある分は少なく、ほとんどは武器庫(保管庫)にしまわれていたのです。
だから、まず保管庫(武器庫)を狙い、火薬の供給を断ったのです。
ちなみに、子翠が爆破したのは火薬工房です。

偶然にも、火薬工房と火薬保管庫の両方を先に潰した形になったのです。

偶然・・・だよね?
男娼遊び
やっと登場した子一族の長・子昌。
というか、子昌も砦にいたのですね(苦笑)。
わざわざ私に聞こえる場所で享楽にふけっている。
by 子昌『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
一族の中から貞淑な妻や子を育てた母ばかり集め、男娼相手に堕落していくのを見て楽しんでいるのだ。
神美と一緒にいた女性たちの相手は、なんと男娼だったのです。
てっきり、若い男女を集めて騒いでいるのかと思っていました(苦笑)。
実際は、一族の中でも特に真面目でそういった遊びに縁のない女性たちを集め、酒と男娼遊びを教え込んで堕落させていたのです。
神美は、それを見て楽しんでいた ──
正直、何が楽しいのか理解に苦しみますね・・・。
先帝の願い
お前に頼みがあるのだ。
私の娘を妻として迎えてほしい。大宝と不義を働いた医官の娘として宮中から追放し、あの子には長く苦労を強いてきた。
本来なら公主として、宮中で何不自由なく暮らしていたはずだったのに・・・。
by 先帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
なんと、子昌が大宝の娘と結婚したのは、先帝の頼みだったのです。
先帝のこの言葉から ──
先帝は、大宝の娘を自分の娘として認識していたことが分かります。
それなら、なぜ自分の娘だと公に認知しなかったのでしょうか?
男児なら後継者問題が絡むので分かりますが、女児なら問題ないはず。
なぜ認知しなかったのか、疑問が残ります。
それとも、後になって後悔し、気持ちが変わったのでしょうか・・・。
先帝は、なぜ大宝の娘を認知せず、子昌に任せた?
子昌、お前は私の忠臣だ。
by 先帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
引き受けてくれれば、お前の望みは何でも叶えてやろう。
子昌は元々、結婚する気はありませんでした。
ですが「望みを何でも叶える」と先帝に言われ、覚悟を決めたのです。
子昌は、どんな願いを抱いていたのでしょうか?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
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直後のセリフ ──
私には入内した婚約者がいた。
by 先帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
この言葉から推測すると、子昌の願いは入内した婚約者・神美を返してもらうことだったのでしょう。
つまり、先帝から神美を下賜されることを望んだのです。
だとすれば ──
子昌はそれほどまでに神美を愛していた。
なのに、取り戻した神美は、こんな風になってしまった・・・。
何ともやるせない結末が見えてきましたね。
大宝の娘と結婚する代わりに、子昌は先帝に何を願った?
そして、新たな疑問が出てきました。
子昌は、どこか悪そうな顔つきをしていたので ──

厄介なのは、何を考えているのか分からない目だ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
子昌、楼蘭妃の実父で女帝の寵愛を受けた男。
今なお、帝は頭が上がらない。
壬氏もこう考えていたので、てっきり子昌は狡猾なタヌキ爺(=悪人)だと思っていました(苦笑)。
でも、今回明らかになった意外な一面 ──
悪者どころか、先帝から信頼されていたのです。
ん?
だとすれば、なぜ今回謀反を起こしたのでしょうか。
現帝も子昌には頭が上がらないはずなのに、子昌は何に不満を感じているのでしょうか?
先帝には忠義を尽くしていたが、今の帝にはそうではない?
そういや、後半李白が ──
しかし、宮廷でもタヌキおやじと言われた子昌が、こんな場所に立て籠もるなんてバカな真似をするものかねえ・・・。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
なんて言ってましたね。
そもそも子昌は今回の事件に関わっていない!?
先帝時代忠臣だった子昌が、なぜ謀反を起こした?
嫌がらせ
── 何なの、さっきの音?
これから確かめるところだ。
by 子昌『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
アニメ鑑賞時、爆発音が響く緊急事態なのに、なぜわざわざ行きたくもない部屋に入ったのか不思議でした(苦笑)。
原作を読んで、理由が分かりました。
状況を確認するために外に出るには、妻のいる部屋を通る必要がある。それが、とてつもなく苦痛だった。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
なんと、神美と女たちがいる部屋を通らないと外に出られない構造だったのです。

うわー、悪趣味…
だから、子昌は外に出ることが少なかったのでしょうか・・・。
それと、隣の部屋の声が聞こえるようになっていたなら、翠苓が折檻されていたことにも気づくはず・・・。
神美が翠苓を疎んでいたのは知っていた。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
しかし、こんな折檻を日常的に・・・。
今さら何を白々しいことを言っているのでしょうか。
節穴どころか、完全に無能ですね。
お父様。
by 子翠『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
最後くらい責任を取ってください。
先帝の頼みがあったにせよ、どんな事情があったにせよ。
この状況を招いた、いや、ここまで放置してきた長・子昌の責任は重いです。
奇襲作戦
禁軍は本来、正々堂々と戦うことを重んじている。ただ、壬氏は被害を最小限に抑えるため、奇襲作戦を選択した。
禁軍の策
── 禁軍が攻めてくるまで時間がないぞ!
by 子側の私兵『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
── 敵襲だ~!
── 禁軍、いつの間に!?
どうやら奇襲は成功したようです。
でも、雪崩だけでこう上手くいくでしょうか・・・。
アニメはテンポが良すぎて、禁軍がどんな作戦を使ったのか分かりにくかったですよね。
原作も展開早いですが、もう少し詳しく説明されています。
白い外套は返り血を浴びると目立つ。本来、戦にふさわしくない装束だが──。
雪の白には溶け込む色だ。紛れ込むには、ちょうどいい。そして、月の出ない夜となればなおのこと目立たない。
李白たちは、松明も持たぬまま進軍した。– 中略 –
結果、どうなるかといえば、砦の見張りは夜になり後方の部隊が持つ灯りに気をとられ、先に近づいている部隊に気付かない。敵の到着がまだ先だと誤認する。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
奇襲攻撃の要は、雪崩だけではありませんでした。
禁軍は複数の作戦を組み合わせていたのです。
まず、今夜は新月で月明かりがなく、李白たちは白い外套を着用し雪景色に溶け込むことで、視認されにくい状態を作り出していました。
灯りも一切使わず、静かに接近しています。
加えて、後方部隊はしっかり灯りを灯し、見張りの注意をそちらに向けさせる工夫もありました。
これにより、先行部隊の接近を見張りが察知できなかったのです。
こうして、禁軍の奇襲が成功したのです。
また、原作では、壬氏様がなぜ先頭に立って進軍したのか、その理由がしっかり描かれていました。
しかし、体面上禁軍である以上、壬氏が前面に出る必要もある。奇襲めいた行動をしただけに、そこのところは譲れないのかもしれない。
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
禁軍を率いる立場として、壬氏様が自ら前に出るのは当然とも言えますよね。
しかも、今回は正面突破ではなく奇策を用いています。
だからこそ、トップ自らが先頭に立つ必要があったのです。
原) 雪崩注意
まったくどんな頭してんだか。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
こんな策を考えた奴も、策を採る御方も。
雪崩を利用した作戦には、しっかりとした根拠がありました。
「どういう頭してんだよ、この作戦考えた奴は」
by 『薬屋のひとりごと』原作4巻
この砦が放棄された理由の一つに以下のことがあげられる。
温泉地が近い場所には地震が多いと聞く。数十年前に大きな地震があり、その際、周辺の地形が変わったらしい。
山の斜面が崩れ、それから冬に雪崩が起こるようになった。規模こそ小さく、そう頻繁に起こるものではないが、場所が悪かった。
建物の真上に落ちてくるものだから、老朽化が進み、ちょうど軍を縮小しようという動きに乗っかったのだった。
その雪崩を今回、人工的に引き起こしたという。今年は例年よりも寒く、雪も深いことを踏まえてだ。
この砦は、もともと雪崩が発生しやすい地形に建てられていました。
温泉地が近く地震の多いエリアで、数十年前の大地震によって地形が変わり、冬になると雪崩が起きやすくなっていたのです。
それで、砦は放棄されることになりました。
今回の作戦は、この地形的な弱点を逆手に取り、雪崩を人工的に発生させたのです。
李白は、こうした背景を理解していたので「どんな頭してんだか」と感心していたのです。

おお~~そういうことか~~

これは、お見事!
再会
すみません、保護していただけますか、壬氏様。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
砦にいるのは、子一族の者たちです。
猫猫も、間違われれば(武器を持っていないので)切り捨てられることはなくても、捕らえられる可能性がある状況でした。
逃げ出すこともできません。
子翠から託されたことがあるため、部屋を離れるわけにもいかないのです。
もちろん、(間違って)捕まるわけにもいきません。
そうなると、子翠から託されたことを果たせないのです。
だから ──
せめて、話の通じる奴であってくれ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
と願ったのでしょう。
そんな中、一番に駆けつけてくれたのが壬氏様でした。
── ケガしているのか? 血が・・・。
問題ありません、返り血です。
── 問題あるだろ!
ヘビの血ですので・・・。
── ヘビ?何だか、この感じ、懐かしいな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
久しぶりの再会なのに、まるでいつも通りのやり取りをする二人。
禁軍を率いているということは、華瑞月として正体を明かしたということ。
もう仮の姿 ── 宦官の壬氏には戻れません。
だから、高順は「今後は、あの娘との接し方を変えねばなりませんよ」と忠告したのでしょう。
壬氏も理解しているはずですが ──
猫猫相手だと素に戻ってしまうのが、この二人らしい・・・。
いや、華瑞月が19歳の素の少年でいられる唯一の存在なのでしょう、猫猫は。
おい、それは・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
壬氏が気づいたのは、猫猫の顔についた傷でしょう。
これは、猫猫が神美に団扇で叩かれた痕です。(45話 )
壬氏は、猫猫に傷を付けたのは神美だと気づいて、仇をとってくれるでしょうか・・・。
二人は、いったい何ヶ月ぶりの再会なのでしょう。
積もる話もあるはずですが、まだすべてが終わったわけではないのです。
壬氏の正体
── 東宮!
今は、東宮ではない。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
玉葉妃が皇子をご出産された。
武官に「東宮」と呼ばれたことで、猫猫はようやく壬氏の本当の身分に気づきます。
東宮・・・。
それが壬氏様の正体か。
皇弟は19歳、25歳の壬氏様と年が合わないと思っていたが・・・。壬氏様、老けてるんですね。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
てっきり ──
壬氏が約束した通り、猫猫があの簪をつけているときに正体を明かす展開になると思っていました。

あっ、そうじゃん!
だから、簪を子翠に渡した時点で、このまま正体がバレないまま進むのか!?と思っていました(苦笑)。
ちょっとあっさりした種明かしですが、これも『薬屋のひとりごと』らしい・・・いや、この二人らしい展開ですよね。
それに、猫猫の救出はできましたが、子昌や元上級妃・楼蘭の問題はまだ決着していません。
今エピソードは、この後が本番なのです。
猫猫が託されたこと
私は、子翠から託されたことを全うする。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
李白の役目は、猫猫を無事に連れ出すこと。
壬氏も子翠も、それぞれ自分の役割を果たしに向かいました。
猫猫が果たすべきこととは何か・・・。
子翠から託されたものとは何か・・・。
勘の良い方なら、もうお分かりですよね。
ヒントは猫猫のこのセリフです。
すぐに禁軍が入ってくる。
ここにいる私も子の一族の人間だと思われかねない。だけど・・・。
── あとは頼んだから。逃げりゃいいのに、バカだよな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
子翠のこと言えたもんじゃない。
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
本来なら逃げるべき状況で、猫猫が部屋に残った理由。
それは、この部屋に子翠から託された何かがあるからです。
もう分かりますよね。
それは子供たちです。
猫猫が李白に問うたように、母親の近くに埋葬してほしかったのでしょうか?
違うでしょう。
子翠が飲ませたのは、薬。
蘇りの薬でしょう。
仮死状態から目覚める時、誰にも見つからず、猫猫がそばにいる必要があったのです。
だから猫猫は、確認したのでしょう。
処刑された者たちは、打ち捨てられるのでしょうか?
── いや、火葬した上で埋葬される。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
火葬されてしまうと蘇生できません。
だから「母親の近くに埋葬してほしい」と上申したのです。
李白は、それは俺の仕事じゃないと返します。
しかし、なぜか李白は子供たちの遺体を部屋から運び出す決断をします。
ここに放置するわけにもいかねえだろ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第46話
一緒に弔うことはできねえけど、こそっと墓地の近くに埋めるくらいならできる。
これは火葬せずに埋葬する、という意味ですよね。
遺体を傷つけずに砦から運び出したかった猫猫にとって、まさに願ってもない提案だったのです。
李白は、子供たちの遺体を見て、居たたまれなくなったのでしょうか。
それとも・・・。
おわりに (『薬屋のひとりごと』46話とは)
猫猫だけでなく、子一族それぞれの複雑な事情が浮き彫りになった今話。
誰もがこの結末を最初から望んでいたわけではないはず。
それでも、各々がその時々で最善と信じる選択を重ねてきた ── その積み重ねが、今の状況を生み出したのでしょう。
どこで道を違えたのか、どこで何を見落としたのか、あるいは決断を先送りにしたのか。
振り返れば悔いは尽きません。
ただ、過去も状況も今さら変えられない。
だからこそ、これから自分にできることをやるしかない。
後悔をこれ以上増やさないために。
残り2話。
みんなの決断と、その行く末をしっかり見届けましょう!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第46話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。

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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で発生し解決した疑問は、本文で解説して本章(ここ)でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章(ここ)でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 46-01 先帝は、なぜ大宝の娘を認知せず、子昌に任せた?
- 疑問 46-02 大宝の娘と結婚する代わりに、子昌は先帝に何を願った?
- 疑問 46-03 先帝時代忠臣だった子昌が、なぜ謀反を起こした?
残っている疑問 (クリックすると表示されます)
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
- 疑問 20-01 なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
- 疑問 20-02 壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
- 疑問 21-01 やぶ医者より先に後宮へ来た姉は、今どこにいる?
- 疑問 21-02 先の皇太后は、なぜ木の伐採に制限をかけた?
- 疑問 22-01 猫猫は、なぜ爪紅を流行らせた?
- 疑問 23-01 賭け対象にした「妓女の身請け」の狙いは?
- 疑問 23-02 羅漢に届いた文と巾着、誰が開いたのか?
- 疑問 26-02 キャラバンは、なぜ妊婦に影響のある香油と香辛料ばかり売っていた?
- 疑問 27-01 結局、玉葉妃に毒を盛ったのは誰?
- 疑問 28-01 異国の特使は、なぜ上級妃4人に鏡を献上した?
- 疑問 29-01 異国の特使は何を企んでいる?
- 疑問 30-01 杏に香油から堕胎剤の作り方を、誰が教えた?
- 疑問 31-02 先帝が壬氏に渡そうとした石は何?
- 疑問 31-03 国母が来たのはいつ頃?
- 疑問 31-04 帝は、なぜ”選択の廟”を解いておきたかった?
- 疑問 31-05 壬氏は、なぜ”選択の廟”で真剣な顔をしていた?
- 疑問 32-01 皇太后は、なぜ診療所に?
- 疑問 39-01 氷の代わりにアイスを献上して、楼蘭妃は問題なかったか?
- 疑問 40-01 帝の子を産み育てる、という点に於いての後宮の問題点とは?
- 疑問 40-02 深緑たちが恨む一番の対象は皇太后では?
- 疑問 41-01 壬氏は、子翠の名を聞いて何に気付いた?
- 疑問 41-02 翠苓は、なぜ後宮の外に繋がる抜け道を知っていた?
- 疑問 41-04 抜け道があるのに、なぜ翠苓は宦官のフリをして後宮に入ってきた?
- 疑問 42-01 翠苓は他の宦官と馴染まずにいたのに、なぜ子翠は猫猫、小蘭と親しくした?
- 疑問 42-02 子昌は、なぜ娘を後宮に入内させた?楼蘭は納得していた?
- 疑問 43-03 「虫は冬を越せない、ただ子を残すのみ」とは?
- 疑問 45-01 子翠は、なぜ火薬を爆発させた?
- 疑問 45-02 子翠は、残って何をするつもり?
- 疑問 45-03 神美は、なぜ戦をしようとしている?
今週のX感想ポスト
#薬屋のひとりごと 46話
— 時文@ここアニ(『薬屋』『小市民』レビュー中) (@toki23_a) June 15, 2025
声なき人形、沈黙の殻破る
虫は冬を越せずとも、命の灯火掲げて舞い上がる
やがて尽きるその瞬間、一族最後の輝き放てるか..
猫猫に託し簪に託し作戦に託す
各々覚悟決め為すべき事を為す
拉致も謀反も遂に佳境..残り2話😢
再会はもっと感動的なの期待したが..薬屋らしい?😓
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