【文字数(本文):約1万文字(目安16分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『小市民シリーズ』第14話「うたがわしい夏(前編)」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 小市民シリーズ第3弾『秋期限定栗きんとん事件』
-
(下巻)第四章「うたがわしい夏」の前半部分
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『小市民シリーズ』の原作は、米澤穂信先生の小市民シリーズ第1弾『春期限定いちごタルト事件』、第2弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』。
私は、2作とも未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作小説を読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
原作小説の情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
これは、推理の連鎖で片がつく。
by 小説『春期限定いちごタルト事件』
ちなみに、考察や解説、疑問はオレンジ系 ──
それ以外は、補足や余談、参考情報はブルー系 ──
読む際の目安にして下さい。
全10話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作小説 |
第11話 | あたたかな冬(前編) | S3 (上) |
第12話 | あたたかな冬(後編) | |
第13話 | とまどう春 | |
第14話 | うたがわしい夏(前編) | S3 (下) |
第15話 | ||
第16話 | ||
第17話 | ||
第18話 | ||
第19話 | ||
第20話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作小説:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
※原作小説:S3(シリーズ第3弾)「秋期限定栗きんとん事件」
はじめに
新聞部では瓜野が部長に就任し、新入部員も5人加わり7人体制となった。
5月の編集会議で、部員たちを前に瓜野は連続放火犯を捕まえると宣言する。
目には目を、情報操作には・・・何をした?
批判、暴走、何のその、有名人に俺はなる!
二股三股何のその、小市民に俺はなる!?
狼に踊らされる男と、狼の行動がが気になる男。
二人とも、もう少し自分を見つめ直さないといけない気がするが・・・。
自滅するか破滅するのが目に見えるが、結末や如何に!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第14話「うたがわしい夏(前編)」
瓜野高彦
新聞部部長になった瓜野は、次の放火が予想される地域の張り込みを新入部員たちとともに計画する。
新体制
月報船戸
by 『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
6月号 編集会議
前話ラストから数週間が経過し、5月を迎えました。
5月になったので、次号である「月報船戸」6月号の編集会議が行われています。
瓜野のコラムの影響かどうかは定かではありませんが、新入部員が5人加入。
新体制となった新聞部は、合計7人体制となりました。

スゴイじゃん!

そんなに増やしたかったんだ(苦笑)
前話レビューでも触れたように、門地と真木島は退部しています。(13話 )
3年生が全員退部し、すっかり新聞部は様変わりしてしまったのです。

あの頃の新聞部が既に懐かしい…


あー、ね
(遠い目してる…)
原) 全データ公開
ここに、俺がずっと集めていたデータがある。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
原作によると ──
「これが、おれの手の内の全てだ」
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
瓜野はこれまで集めたデータを全て公開したようです。
その中身は ──
ファイルに含まれているのは、『月報船戸』のバックナンバー。現場写真と、現場を見た雑感。証言もあるが、証人はいまのところ、園芸部の里村しかいない。新聞の地域面や社会面で事件がどう報じられたかも、全部ファイリングしてある。そしてもちろん、犯人の行動指針たる『防災計画』も、必要な部分をコピーしてある。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
堂島部長時代には、一切見せなかった自分の調査資料を、入ってきたばかりの新入部員たちに惜しげもなく見せたのです。
瓜野は変わったのでしょうか?
いや・・・。
原作によると、どうやら ──
しかし、事情は変わった。新聞部員たちには、いわばおれの手足になってもらわなければならない。情報は隠さない。もっとも、そこに隠された関連までは書いていない。それらは、一年生たちが自分で気づくべきものだ。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
瓜野は、部員を自分の手足として使うために見せたのです。
これまでは一人で(実際は時々氷谷に手伝ってもらって)追ってきたネタを、新聞部全員で追いかける方針に転換したのです。
これは、成長と言えるのでしょうか?
何でもかんでも一人でやっていたことを、人に頼るのは普通なら成長と言えるかもしれませんが、この場合は・・・。

自分のため?

瓜野の場合、そんな感じだね…
前途多難!?
ところが、早速・・・。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
新入部員が1人脱落だ。
瓜野の勢いに耐えられなかったのか、早速1人が退部。
それが、もう1人、家が厳しいとかで脱落・・・。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
5人になった。
正直、本当の理由かどうかは分かりませんが・・・。
もう1人、深夜の張り込みを家に許可されなかったため、(退部はしないが)張り込みはできないと申し出た1年生がいたようです。

まあ、無理矢理「来い」と言わなかったのは良き

あーー、ね
結局、張り込み体制は5人に。
5人で、足りるのでしょうか?
前話で瓜野が明かしたように、連続放火は市の防災計画の分署リストの逆順に発生しています。(13話 )
つまり、次の放火場所の予想と言っても分署単位。
消防の1分署が管轄するエリアが予測範囲となるのです。
市全体に比べれば限定されてはいるものの、とても高校生5人やそこらでカバーできる広さではないのです・・・。
全てお見通し?
上ノ町でパトロール中。
── 何で分かった!?多分、今夜そうするんじゃないかって。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
瓜野は小佐内さんには今夜のパトロールの件は何も言っていないのに、居場所を当てられてしまいます。
瓜野の性格を知っていて、「月報船戸」のコラムを読んでいれば簡単に予想できますよね。
今話冒頭、コラムに ──
“しかしこの連続放火はどうすれば止まるというのだろう?“
“上ノ町一丁目ないし二丁目が狙われると思われる。”
by 『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
と書いていました。
狙われる場所が分かっていれば、現場を押さえたくなるのは当然です。
何せ新聞部ですからね。
むしろ遅いくらいです。

新聞記者はスクープ大好き!

確かに・・・
それに、前話で瓜野は小佐内さんに ──
俺は犯人を追うつもりでいる。
放火犯の行動パターンは掴んでるんだ。
犯行現場を撮って、警察に渡して逮捕させる。もしできるなら、この手で捕まえてもいい。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第13話
とまで言っています。
日時については、(コラムの左端にある)これまでの経緯を見れば、毎月第二金曜深夜に起きていることが分かります。
今夜、瓜野が上ノ町をパトロールすることは予測可能ですね。
小佐内さんクラスなら簡単なことでしょう。
現に、原作でも ──
後で手柄を教えてびっくりさせようと思って、張り込みのことは小佐内には話していない。……しかし新聞部で放火魔を捕らえるつもりだとは、言ったことがある。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
放火魔が出るのが第二金曜日深夜だということは、『月報船戸』にも書いていない。だが、どうやら小佐内は自力でそれに辿り着いたらしい。記事をちゃんと読み込めば、わかる範囲のことではあるけれど。
行動を読まれて少しびっくりしたが、考えてみればひとつひとつ説明がつく。別に不思議なことじゃない。
と瓜野も考えています。
だから、瓜野も、それ以上は小佐内さんを追求しなかったのでしょう。
ただ、同時に疑問も湧いてきます。
これまで小佐内さんは新聞部の情報を門地から手に入れていました。
今は、どうしているのでしょうか?
考えてみれば ──
コラムを導入することになった五日市の提案は、小佐内さん入れ知恵だと小鳩は推測していました。
小佐内さんは、今も五日市と繋がっているんじゃ・・・。
だとしたら、今夜のパトロール情報も五日市から聞いたのかもしれませんね。

えっ、じゃあ小鳩が五日市に話したこともバレてるんじゃ…

そうなんだよね…でも小鳩がそんなミスするとも思えないし…
小佐内さんの夜
充電切れそう。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
電車の音!?
電車の音が入ったせいか、逃げるように電話を切る小佐内さん。
こんな夜中に女性一人、しかも私服だと中学生に見えるような小佐内さんが、一体どこにいるのでしょうか?
そういえば、ライトバンが燃え上がった時も、小佐内さんがコンビニにいるような描写がありました。(11話 )
小佐内さんとの電話の直後、自転車が放火されました。
瓜野が駆けつけ、放火現場が視界に入った際、目の前を電車が通過しました。
つまり、放火現場は線路のすぐ近く・・・。
まるで、小佐内さんがパトロール中の瓜野の居場所を確認してから火をつけたかのようなタイミングですね。

えっ!?
あっ、確かに!
でも、パトロールしていたのは瓜野だけではありません。
瓜野一人を警戒しても危険ですが・・・。
新聞部全員でパトロールしているとは思わず、瓜野1人でパトロールしていると認識していれば辻褄は合います。
アニメでは、その後、先ほど瓜野がいた公園に小佐内さんらしき人影が・・・。

でも、時計の針が全く進んでないんだよな…
少なくとも、小佐内さんも家ではなく、外にいたことが示唆されています。
小佐内さんは、不審火に関わっているのでしょうか?
一方で、逆の見方もできます。
小佐内さんは、ただ単に瓜野を応援しているだけ、という見方です。
この夜は、小佐内さんは瓜野がパトロールしていると予想。
驚かせるために自分も内緒でパトロールを手伝う、あるいは瓜野を励ましに行く。
でも、なかなか見つからないから瓜野に電話。
せっかく驚かせようと思ったのに、電車の音で外にいることがバレてしまう。
だから急いで電話を切った・・・。
もしかすると、本当にスマホの電池が切れたかもしれません。
その後も瓜野を探し回り、偶然か何らかの方法で分かったか、しばらくしてから瓜野がいた公園に辿り着いた・・・。
これでも、辻褄は合いますね。

おお~~確かに!
一体、小佐内さんは何をしているのでしょう?
瓜野がパトロール中、小佐内さんはどこにいた?
空振り?

先輩!高架下でやられました。
by 本田『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
放火です!
燃やされたのは、またもや自転車!?
でも、今回は1台ではなく、十数台も!?
確かに、犯行はエスカレートしていますね。
犯人はどうした?
- 中略 -
すぐに全員を集めて周辺を・・・。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
瓜野の今回の目的は、放火現場を見つけることではありません。
犯人が放火する瞬間を押さえることです。
だから、部員全員を集めて周辺を捜索させようとしたのですが・・・。
消防車のサイレンが聞こえてきたので、諦めて解散することにしたのでしょう・・・。
共通点
どこだ・・・。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
部員には帰るよう指示して、自分は何かを探す瓜野・・・。
一体何を探しているのでしょうか?
どうやら瓜野だけが知っている、連続放火犯の共通点を探しているようです。
「関係者以外 立ち入り禁止」の看板には、右下に叩いたような跡が、左上には引っ掻いたような跡を見つける瓜野。

?
これは、最初の放火現場 ──
これ、もしかして関係あるかな?
by 氷谷優人『小市民シリーズ』TVアニメ第11話
放火現場の電柱にあった傷と似ていますね。(11話 )

あっ!
これが、前話で瓜野が隠していた ──
不審火があった曜日や内容のエスカレート、防災計画。
お前が気付いた共通点は、これで全部か?お前の切り札を追求するつもりはない。
あるならあると、それだけ言え。── 実は、あります。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第13話
この傷跡が、今回の連続放火犯の共通点、そして瓜野の切り札でしょう。
例え、曜日や防災計画に則って、内容をエスカレートさせて放火をしても、傷の有無で本物か模倣犯か区別がつけられたのです。
犯人は、まさに現場に爪痕を残していたのです。

瓜野と爪痕、字が似ているのは気のせいだよね?
共通点を見つけた瓜野は、今回の犯行も連続放火犯だと確信。
最低限のことを確認できたので ──
おい!逃げるぞ!
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
撤退することにしたのです。
犯人は、なぜ現場に自分の証跡を残している?
小鳩常悟朗
連続放火事件と小佐内さんの動向が気になる小鳩は、新聞部の五日市を呼び出し、ある提案をする・・・。
誰も仕事していない!?
瓜野くんって、最近ちゃんと仕事してるかな?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
アニメ鑑賞時 ──
小鳩のこのセリフと五日市の反応を見て、「最近ちゃんと仕事してるかな?」というのは、連続不審火を追いかけて警察まがいの仕事ばかりしていて、新聞部としての本来の仕事をしていないのでは?という意味だと思いました。
が、原作を読むと、違う意味だったようです。
原作では、(五日市退席後)小鳩と堂島でこんなやり取りが ──
「そのままだよ。瓜野くんがどのぐらい頑張って『月報船戸』の仕事をしているかは、きわめて重要なファクターなんだ」
- 中略 -
「健吾。籠絡や懐柔はぼくの分野じゃない。ついでに、地道に資料を調べるのも、どっちかというと苦手な方なんだ。だからこれは、できれば健吾にやってほしかった」
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
わざとまわりくどい言い方をしてみる。
案の定、健吾は眉をひそめた。
「なんだ。俺が何か、やらなかったってのか」
「そうだね。やらなかった。健吾だけじゃないけどね」
ここで言う「仕事をしてない」というのは、防災計画の文書リストの裏取りのことを指していたのです。
新聞部は、記事を書く時に情報の正確性を何よりも大切にしなくてはいけないはずです。
それなのに、瓜野が持ってきた資料を誰も確認せずにそのまま信じ込んでいたことを、小鳩は指摘しているのです。
つまり、仕事をしていないと問うたのは瓜野だけでなく、部長である堂島含む新聞部員全員に対して(情報の裏取りという)本来の仕事をしていない、と言ったのです。
6年前の防災計画
つまり、6年前に発行された防災計画を見た者だけが、例の分署の配列と管轄区域を知ることができた、ということになるね。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
今回の放火が起こっている順番通りのリストは、6年前の防災計画のもの。
つまり、この連続放火事件は ──
市の防災計画を手に入れれば誰でもできる犯行かと思いきや、実は6年前の防災計画を知らないとできない、少し奇妙な事件だったのです。
── 分かってる。分かってるが、どういうことなんだ・・・。
つまり、瓜野くんの家にあった防災計画が、たまたまた6年前のものだった。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
それだけだよ。
「瓜野の家にあった防災計画が、たまたま6年前のものだった」
「それだけだよ」??
これは一体どういうことなのでしょうか?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
6年前の防災計画であっても、市の防災計画であれば作成に大勢が関わり、多数発行されているので、多くの人が目にしているはずです。
でも、6年も前の物をわざわざ持ち出してくるのは珍しいことではないでしょうか。
考えられるとすれば ──
6年前の防災計画に何か特別な意味があった。
管轄区域が書かれなくなったことに対して怒りを覚えた?
だとしても、何の意味もないですよね?
6年前のリスト通り犯行が行われたからといって、6年前の形式に戻そうなんて話にはなりません。
単に、犯人は6年前の防災計画しか知らない。
たまたま家にあった防災計画が6年前のもので、最近の防災計画が変わっていることなど知らない、という人ではないでしょうか。
それが、小鳩の「それだけだよ」という言葉の意味でしょう。
まあ、そんな人は大勢いるでしょう。
でも、偶然、複数の人が同じように6年前の防災計画しか知らないというのは考えにくいです。(ないとは言いません)
そうなると、真っ先に疑わないといけないのは、家に6年前の防災計画の資料があった瓜野家 ──
まずは、消防士である瓜野の兄や家族を疑わなくてはいけないのではないでしょうか。
また、消防士である瓜野の兄が犯人なら、市の防災計画は毎年更新されていることを知っており、目を通しているでしょう。
逆に、6年前しかなかった分署リストなど誰も分からないだろう・・・だから採用したとも考えられますね。
犯人は、なぜ6年前の防災計画資料を使っている?
探り?牽制?
前話ラスト、彼女の二股三股疑惑を聞いたのに、何もなかったかのように仲丸さんと接する小鳩。
だけどさ、あたしたちが付き合ってること知らない奴も結構いるよね。
でもさ、そういうことに詳しい奴もいるよね。── そういうこと?
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
だから、小鳩ちゃんもそういう奴、知ってるんじゃない?
なんかもう、どうしてそこまで知ってるの?ってタイプ。
これは、情報屋の吉口さんのことを指しているのでしょう。

うん、絶対そう!
仲丸さんの二股(三股?)を小鳩が吉口さんから聞いたことを、仲丸さんは知っているということです。
原作によると ──
小鳩は、仲丸さんが自分に探りを入れていることを分かっています。
吉口さんのことと、吉口さんから聞いたことを探っているのだろう、と。
しかし、仲丸さんがあまりにも分かりやすく聞きづらそうな態度なので、小鳩はわざと話題をそらしているのです。
つまり、小鳩なりに優しさを見せて、気付かないフリをしているのでしょう・・・。
何を見ている?
あたし別にトマト嫌いじゃないし。
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
さて、このトマトのやり取りにはどんな意味があるのでしょうか?
『小市民シリーズ』2期では、小佐内&瓜野パートが中心に描かれていますが、原作では小鳩&仲丸パートも描かれています。
割合にすると2対1くらいで、アニメ同様小佐内&瓜野パートが多いです。
ですが、それだけ少ない小鳩&仲丸パートにも拘わらず、ここまで(11~13話)のアニメではその部分が大幅にカットされてきました。

今話になって、ようやく小鳩&仲丸さんパートが原作通りに描かれるようになりました。
これまでカットされたのは、本筋に関係ないからでしょうか・・・。
もしそうだとすると ──
ざっくり言うと、カットされた小鳩&仲丸パートのシーンは、このトマトのようなやりとりばかりと言ってもいいくらいです。
つまり、ちょっと小鳩の仲丸さんに対する付き合い方がズレているのです・・・。
原作は小鳩の一人称で描かれています。
小鳩の心情描写が赤裸々に描かれています。
要は、小鳩は、仲丸さんとのデート中も常に謎解きに没頭しています。
バスに乗ればどこの席が空くか、仲丸さんの話を聞いている時はどんなオチになるか予想しています。

そういや、大学生の兄の話なんてのもあったな…
常に先回りしている、と言えば聞こえは良いですが・・・。
どちらかというと、目の前の人ではなく謎を追いかけているような感じです。
小鳩の心が自分に向いていない。
仲丸さんは、そんな印象を受けたのではないでしょうか。
だから ──
ねえ、小鳩ちゃんてさ、あたしの何が好きで付き合ってるの?
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
などと言う質問をぶつけたのではないでしょうか・・・。

小鳩、事件追ってる場合じゃないと思うけど…

ホント、それ!
でも、そういうところが小鳩くんなんだよね…

確かに…
五日市公也
── 印刷は、明日1年に・・・。
いや、やっとくよ。── ああ、そうか。いつも悪いな。
by 五日市公也『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
(恐らく)次号のコラムを書き上げた瓜野に対し、印刷を引き受ける五日市。
意味ありげな五日市の表情。
小鳩が言うには「とりあえず成果が出るまで1ヶ月」。
単純に考えると、五日市に次の「月報船戸」に何かするよう仕向けたように見えますが・・・。
それは違うでしょう。

えっ、違うの!?

多分ね

てっきり、予想を違うのに入れ替えて引っかけるんだと思った!

ああ、なるほど
でも、それはありえないね

瓜野くんにバレるから?

いいや、すぐにはバレない方法はあると思うけど…というより、そんなことしても意味ないからだよ

どゆこと?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
「入れ替え」というのは、次に放火される地域を違うのに入れ替えて、コラムを見て放火している人を炙り出そうって作戦だよね?

そうそう!
でも、バレるか…
いや、すぐにはバレない方法はありますよ。
「月報船戸」は、生徒の机の上に直接配布しています。
瓜野の席だけ、あるいは瓜野のクラスだけ元の記事のままにしておいて、他のクラス、あるいは学年を別の予想に変えたらすぐにはバレですね。
しかも、クラス毎に予想地域を変えて、次に放火した場所から犯人がどのクラスにいるか導き出したりするなんてこともできそうです。

おおっ、スゴイ!
その案で良いじゃん!
いや、だから、そんなことしてもそもそも意味がないのです・・・。
なぜなら、連続不審火が始まったのは去年の10月。
瓜野がコラムで取り上げたのは今年の「月報船戸」2月号から。
瓜野が連続不審火が市の防災計画に則っていると気付き、コラムに次の予想を書いたときには既に4件の連続不審火が起きた後です。
つまり、犯人は(6年前の)防災計画を(瓜野より早く)持っているのです。
わざわざコラムの予想地域を見て、犯行を計画しているのではありません。
逆に、コラムで予想地域を変えると、犯人にバレてしまいます。
だから、予想地域に関しては犯人にトラップを仕掛けられないのです。

そうか・・・
まあ、模倣犯なら引っかかるかもしれませんが・・・。
先にも書いたとおり、連続放火犯は(自分がやったと言う)痕跡を残しています。
よって、現時点では模倣犯はいないと見るべきでしょう。
では、小鳩は一体何を頼んだのでしょうか?
五日市を使って「月報船戸」を何を仕込んだのでしょうか?

そうそう、それ!
じゃあ、月報船戸で何をしようとしてるの?
・・・と、思わせるのが(作品の)情報操作ですね(笑)。

えっ・・・!?
次号の「月報船戸」に何か仕掛けたというのはミスリードではないでしょうか。
「月報船戸」に何か仕込んだと思ったのは ──
意味ありげな五日市の表情。
小鳩のセリフ「とりあえず成果が出るまで1ヶ月」。
でしたよね。
意味ありげなのは(ミスリード)演出として、根拠として弱いです。
やはり、大きいのは「とりあえず成果が出るまで1ヶ月」という小鳩のセリフですね。
では、小鳩のこのセリフは「月報船戸」を指しているのでしょうか?
まず「月報船戸」について、少し整理しましょう。
「月報船戸」は、毎月いつ配布されているのでしょうか?
11話、小佐内さんさんに見せている「月報船戸」11月号の発行日は11月1日。

13話、新年度最初の月報船戸4月号の発行日は4月8日。

4月8日は、春休み後の新学期。
つまり、「月報船戸」は月初に出しているのではないでしょうか。
そして、連続不審火が起きているのは毎月第二金曜深夜(正確には土曜)。
勘のいい方なら、もうお分かりですよね。
- 5月1日(木):「月報船戸」5月号発行 ※発行日はアニメで確認できなかったので想定
- 5月9日(金):深夜にパトロール、連続放火発生
- 6月2日(月):「月報船戸」6月号発行
小鳩が五日市を呼び出したのは、➋連続放火があった後。
制服を着ているので平日です。
つまり、(早くても)翌月曜日の5月12日。
次に発行される「月報船戸」は6月2日です。
もし「月報船戸」6月号に何か仕掛けるなら ──
5月12日に、6月2日に発行されるものに対して「とりあえず成果が出るまで1ヶ月」などと言うでしょうか?
堂島は、小鳩が五日市に何をさせようとしているのか気になっている状況で多めの期間を言うでしょうか。

まあ、小鳩なら言いそうだけど…
私なら「3週間後」・・・。
いや「とりあえず成果が出るのは来月」と言いますね。
にもかかわらず、小鳩は「成果が出るまで1ヶ月」と言いました。
「1ヶ月」という言葉が指しているのは・・・。
5月12日から1ヶ月後 ── 6月13日(金)~16日(月)辺りを言っているのではないでしょうか。
これは、第二金曜日、次に連続放火が起きる日ですね。

あっ!!
あ~~~!!!
はい。
小鳩くんは、「月報船戸」ではなく、次の連続放火が起きる時に五日市を使って何か仕掛けるつもりではないでしょうか。
おわりに (『小市民シリーズ』14話とは)
テンポ良くどんどん進んでいくのかと思いきや、正直あまり進捗がなかった今話。
1期は『春期限定いちごタルト事件』と『夏期限定トロピカルパフェ事件』の2冊をメインにアニメ化されました。
2期は、『秋期限定栗きんとん事件』と『冬期限定ボンボンショコラ事件』がアニメ化されると公表されています。
ですが、実は『秋期限定栗きんとん事件』は上下巻の2冊構成です。
今までで一番長いエピソードのようです。
そして、1期では2冊の原作だったのが、2期は3冊・・・。
てっきり私は『秋期限定栗きんとん事件』はもっと早いペースでアニメ化されるのだと勝手に思っていました(苦笑)。
ですが、今話は、かなり丁寧にアニメ化されています。
今話から原作は『秋期限定栗きんとん事件』の下巻に入り、仕切り直しのような立ち上がりの導入部分がアニメ化されたのみで、下巻の1/4程度しか進みませんでした。
これは、決着まであと3話あるということでしょうか??
いや、私はアニメ化された部分しか読んでいないので、これから一気に進むのかもしれませんが・・・。

アクションシーン満載になってサクサク進むとか?

いや、それはないでしょ!
兎にも角にも、『秋期限定栗きんとん事件』は、まだしばらく続く、とみた方が良いですね。
事件と恋の行方を見守りましょう!
以上、TVアニメ『小市民シリーズ』第14話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 14-01 瓜野がパトロール中、小佐内さんはどこにいた?
- 疑問 14-02 犯人は、なぜ現場に自分の証跡を残している?
- 疑問 14-03 犯人は、なぜ6年前の防災計画資料を使っている?
残っている疑問
- 疑問 04-01 小佐内は、なぜ警察と関わりたくない?
- 疑問 09-01 中学生時代、小佐内は石和と何があった?
- 疑問 10-01 小佐内さんが石和を怖がっていたのは本当?
- 疑問 10-02 小佐内さん、中学時代の宿題はまだ残っている?
- 疑問 11-01 小佐内さんの応援とは?
- 疑問 12-01 五日市のコラム新設提案は、誰か仕組んだ?
- 疑問 12-02 なぜ、あのライトバンが燃やされた?
- 疑問 12-03 生徒指導教師・新田高義は、なぜこのタイミングで異動になった?
今週のX感想ポスト
#小市民シリーズ #小市民 14話
— 時文@ここアニ(『薬屋』『小市民』レビュー中) (@toki23_a) April 30, 2025
目には目を情報操作には…何をした?
批判暴走何のその有名人に俺はなる!
二股三股何のその小市民に俺はなる!?
狼に踊らされる男と狼が気になる男
二人とも、もう少し自分見つめ直さないとね😓
自滅破綻するのが目に見えるが結末や如何に😆
関連記事
アニメ『小市民シリーズ』次話のレビューはこちら!
