【文字数(本文):約9千文字(目安15分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『小市民シリーズ』第15話「うたがわしい夏(後編)」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 小市民シリーズ第3弾『秋期限定栗きんとん事件』
-
(下巻)第四章「うたがわしい夏」の後半部分と第五章「真夏の夜」の序盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『小市民シリーズ』の原作は、米澤穂信先生の小市民シリーズ第1弾『春期限定いちごタルト事件』、第2弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』。
私は、2作とも未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作小説を読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
原作小説の情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
これは、推理の連鎖で片がつく。
by 小説『春期限定いちごタルト事件』
ちなみに、考察や解説、疑問はオレンジ系 ──
それ以外は、補足や余談、参考情報はブルー系 ──
読む際の目安にして下さい。
全10話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作小説 |
第11話 | あたたかな冬(前編) | S3 (上) |
第12話 | あたたかな冬(後編) | |
第13話 | とまどう春 | |
第14話 | うたがわしい夏(前編) | S3 (下) |
第15話 | うたがわしい夏(後編) | |
第16話 | ||
第17話 | ||
第18話 | ||
第19話 | ||
第20話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作小説:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
※原作小説:S3(シリーズ第3弾)「秋期限定栗きんとん事件」
はじめに
連続放火犯の犯行予定日時と地域を特定しながらも、犯人を捕まえることができなかった瓜野は、次こそはと、より入念な準備を進めていた。
一方、小鳩は連続放火事件に対して何やら着々と手を打っている様子。しかし、仲丸との関係はすっかり冷え込んでしまっていた・・・。
いつも笑っている男。
いつも無表情な女。
変えたかったが変わらない・・・。(片方は戦線離脱!?)
毎月発行している「月報船戸」。
毎月発生している連続放火。
12分署に12ヶ月、開始から1年後にあたる次の秋に何がある?
小佐内さんの暗躍、新聞部に潜り込ませたスパイ、瓜野の確信など。
各々思惑入り混じるが・・・。

次話早う!

うん、ついに決着!?って感じだよね!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第15話「うたがわしい夏(後編)」
6月
瓜野の見つけた法則どおりに起きる連続放火事件は、次第にその規模をエスカレートさせていた。
ファイヤーマン
現場の痕跡は、この事件もまたあの放火魔、ファイヤーマンの仕業であると物語っていた。
by 『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
「月報船戸」6月号のコラムで、瓜野は連続放火犯に「ファイヤーマン」という名前を付けました。
ファイヤーマン・・・。
火をつける男だからファイヤーマン?
子供向けヒーロー物に出てくる悪役の名前のようで、ちょっと安直な気がしますが(苦笑)。
瓜野だから・・・失礼、高校生だから仕方ないかと思いきや ──
放火犯をファイヤーマンと呼んだのは、ちょっと安直だったかな?
── ああ、ダブル・ミーニングだよね、炎と消防士の。
そうなんだよ。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
うちの部員もそのくらい察してくれればなぁ。
瓜野は、ちゃんと消防士の意味も込めてネーミングしたようです。
“ちゃんと”とは、どういう意味かと言いますと・・・。
前話レビューで、私は6年前の防災計画をわざわざ持ち出してくるなんて、偶然か、防災計画にこだわりがある関係者だと推測しました。(14話 )
防災計画に関係しているのは、市役所、消防、消防団員に所属している人達ですね。
瓜野はそのうちの1つである消防士を意味する「ファイヤーマン」という単語を、犯人に当てはめたのです。
果たして、瓜野は犯人は消防士だと思っているのでしょうか?
ハンマーの痕跡
お前が見つけたハンマーの痕跡な。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
前話で明らかになった、連続放火犯の犯行の共通点。(14話 )

前話レビューで、叩いたか引っ掻いた跡だと表現しましたが ──
なんと、ハンマーで叩いた(引っ掻いた?)跡だったのです。
原作には、もっと詳しく説明されています。
ファイヤーマンが火をつけた現場には、ある痕跡が共通して残されている。事件現場には、必ず、打ち壊されたものがあった。いや、「壊された」と一口に言っては語弊がある。もう少し正確に言うと、ハンマーのようなものが振り下ろされた跡が、残っていたのだ。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
叩いた引っ掻いたではなく、ハンマーのようなものが振り下ろされた痕跡がサインだったのです。
ハンマーと言えば・・・。
事件聞き取りの際、こんな話がありましたね。
これは生徒指導部も知らないんだけど・・・。
あの日、なくなった物があるんだよね。学校から持っていった金槌。
by 里村『小市民シリーズ』TVアニメ第11話
結局、みんなでお金出し合って弁償したけど・・・。

あっ、あった!!
さて、犯人は盗んだ学校の金槌を使っているのでしょうか。
コラムの変化
そう言えば、読んだよ今月の「月報船戸」。
名調子は相変わらずだけど、ちょっと書き方が変わってたね。- 中略 -
記事のスタイルというか、書き方というか・・・。
by 氷谷優人『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
氷谷が言う「月報船戸」の書き方が変わった、とは何を指しているのでしょうか?
話は続いていませんが ──
新聞部は、連続放火の法則を伏せて、ファイヤーマンと模倣犯を区別できるようにしておかなきゃいけない。
そうすることで、次の現場を予測しつつ、模倣犯を防ごうとしてたと主張できるんだ。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
このことを言っているのでしょうか?
今月号のコラムで ──
現場の痕跡は、この事件もまたあの放火魔、ファイヤーマンの仕業であると物語っていた。
by 『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
と書かれています。
記事には明示していませんが、こちらは連続放火犯だと区別できるサインを知っているのだぞ、とメッセージを込めたのです。
この含みのある書き方が、氷谷にスタイルが変わったと印象付けたのでしょうか?
それとも・・・。
小鳩の指示で、五日市がコラムの内容を修正したのでしょうか?
原作を読んでも ──
瓜野自身は、以前のコラムから変わったとは認識していません。
5ヶ月書いてきたから変わったかも、と考える程度です。
それどころか、この後のシーンで小佐内さんに間違いを指摘されますが、自分がどう書いたか覚えていない始末。
原作の一人称視点(=瓜野の心情描写)から推測すると ──
瓜野は自分が書いた記事の細かい内容をあまり覚えていない、あるいは、あまり気にしていないのではないでしょうか。
よって、もしかすると五日市が微修正しても瓜野本人は気付かない可能性があります。
そうなると、「月報船戸」に何かを仕込むことは可能なのかもしれませんね。
さて、氷谷が気付いた違いとは、一体何なのでしょうか?
氷谷が言う、記事のスタイルが変わったとは?
小佐内接近
本日、計画中止
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
誰かいるのかと思いきや・・・部室にいたのは小佐内さん!?
13日の金曜日に台風接近!?
ではなくて、小佐内ゆき接近!?

言い方!
でも、確かにちょっと怖いかも…

でしょーー
その上 ──

金曜日で思い出した。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
こないだの月報船戸読んだよ、頑張ったのね。
月報船戸が発行されたのは6月2日。
この日は6月13日。
この二人、付き合っているのに2週間もやりとりしていない!?
それに、台風接近なのに互いを心配して連絡を取り合っていない!?
まあ2つ目はスマホの電池が切れたからのようですが・・・。

にしても、小佐内さんスマホ、よく電池切れるな…
その後の会話は、(内容は置いといて)一見恋人っぽい会話ですが、上っ面だけとも言えます。
小鳩仲丸ペアは解消されましたが、この二人も危険・・・いや、進展していないですね・・・。
一応フォローしておきます。
原作によると ──
いつかの放課後、つい手を伸ばしてしまった一件以来。小佐内に対してはそれまで以上に、強く出られないでいる。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
13話で、小佐内さんの肩を掴んで無理矢理キス(未遂)したことを気にしているようです。
だから、小佐内さんに対して踏み込めないのでしょう。
と同時に、別の視点でも考えてみましょう。
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
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今話ラスト、瓜野はこう言い放ちます ──
今月で終わりだ、来月はない。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
なぜなら俺は、放火犯が誰なのか、知っているからだ。
瓜野が「知っている」と断言したということは ──
単なる市役所職員や消防士といった職業ではなく、個人的に知り合いであることを示唆しています。
瓜野は、小佐内さんを疑っているのではないでしょうか?
瓜野の視点で見ると、小佐内さんの行動には放火犯として疑わしい点がいくつもあります。
- 月報船戸のコラムで連続不審火を取り上げた際、少し驚いていた
- 月報船戸で連続放火の記事掲載に反対していた
- 5月の放火日時を正確に予想していた
- 5月の放火発生直前の通話で、電車の音が聞こえた
などなど。
小鳩や視聴者の私たちは、小佐内さんがそんな直接的な犯罪をするはずがないと考えますが、瓜野は彼女の本性を知りません。
だからこそ、単純に小佐内さんを疑っているのではないでしょうか?
その疑念から、5月の第二金曜日以降、少し距離を取るようになってしまったのかもしれません。
そして今回、突然新聞部室に現れたこと(=資料を自由に閲覧できた)や、張り込みの配置状況を確認したことから、その疑いをますます強めてしまった・・・。
瓜野が机の上の資料を隠そうとしたのも、そんな疑念があったからではないでしょうか。

でも、もしそうだとしたら、なぜファイヤーマンにしたんだろう…
金曜?
「放火犯が、5月10日の土曜日に高架下で自転車を焼き払った」ってところ。
本当は金曜日なのに。── 確認しておくよ。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
放火があったのは、金曜日?
小佐内さん、おかしなことを言っていますね・・・。
日付が変わって土曜日に放火が起きたことは、瓜野自身が目撃しています。
それに、小佐内さんから電話が来たときには既に日付は変わっていたのに・・・。
考えられるのは ──
1年生部員・本田が見つけたのは0時以降でしたが、実際は土曜日中に放火された?

小佐内さんは、あの時現場にいたようなので放火現場を見ていたのでしょうか?
それとも自分で・・・いや、訂正するのは自分でやったと白状しているに等しいですね・・・。
もう一つ考えられるのは ──
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
小佐内さんは、確かに放火現場を目撃したのかもしれません。
瓜野と電話を切った直後に。
ところが、時間を確認しようにも、瓜野に電話をしようにもできませんでした・・・。
なぜなら、スマホの電池が切れていたからです。(14話 )

あっ!
急いで瓜野がいたと思われる場所を探して公園に辿り着きました。
それが、前話で公園に小佐内さんの影が映ったシーンです。
瓜野はもうその場にいませんでしたが、公園には時計がありました。
壊れているのか、11時47分を指す時計が・・・。
そこで、小佐内さんは、まだ0時を回っていない土曜日だと思ったのではないでしょうか。

お~~!
確かに辻褄が合う!

その後、家に帰ったら時間差がありすぎて気付くとは思うけどね…
小佐内さんは、なぜ放火が金曜夜だと思った?
下見?
三界堂書店
北浦店
お買い上げありがとうございます2025/06/12(木) 23:51
by 『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
珍しく忘れ物をする小佐内さん。
よほど慌てていたのか、焦っていたのでしょうか・・・。
忘れていった本には、またしても憎き伝票が。
というのは置いといて(笑)。
こんな夜中に出歩いているのです!
でもなくて・・・。
次の放火予想地域である北浦に、それも放火が起きるであろう時間帯に訪れているのです。
これは一体何を意味するのでしょうか?
小佐内さんは、なぜ次の放火現場に行った?
7月
6月の第二金曜は台風接近による豪雨で放火はなかった。7月の第二金曜は天気に問題なく、新聞部は張り込みの事前打ち合わせを実施。堂島と小鳩は五日市の報告を待っていた。
原) 機嫌が悪いのは…
機嫌が悪そうだな。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
あれからまた1ヶ月が経過。
小鳩が五日市を呼び出して取り込んでから1ヶ月半が経過しています。
事件解決に全く進捗がないので、小鳩は機嫌が悪いのでしょうか?
アニメを観ている時はそう思っていました。
が、原作を読むと全く違いました・・・。
どうやら小鳩は本当に、今日が放火予想の日だと忘れていたようです(苦笑)。

えっ、そうなんだ
待ち焦がれていたと思ってた

だよね
謎好き小鳩だからね
うだる暑さの中で、ぼくはあることを思い出していた。この街に、〈ジェフベック〉というケーキ屋がある。小さな店で店員の愛想もいいとは言えないが、この店が夏になると、特製のシャルロットを売り出す。シャルロットとはケーキの名前で、なんでも帽子に由来するらしい。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
あまりに暑いので、1年前に食べたスイーツを思い出していたのです。
シャルロットと言えば ──

<小佐内スイーツセレクション・夏>第一弾 ──

第10位「ジェフベック」の夏特製のシャルロット!
甘い物がそれほど好きではない小鳩が、小佐内さんの(結果的に)目を盗んで食べてしまうほどの絶品!
この日はとても暑かったので、1年前に食べたシャルロットを思い出し、帰りに買っていこうと考えていたのに、堂島から呼び出しをされたのです。
では、なぜ小鳩はあんなことを言ったのでしょうか?
気に入らない理由
── こういう話になると、上機嫌で乗ってくるのに珍しい。
酷いな。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
でもまあ、色々気に入らないね。
前項で紹介したように、原作によると小鳩が機嫌が悪かったのは、暑いので早く帰ってシャルロットを手に入れたかったから(笑)。
ではなぜ、「色々気に入らないね」などと言ったのでしょうか?
原作によると ──
そう言う健吾が、気に入らないことだらけのように苦りきっている。本当は、暑いし早く帰りたいという理由で不機嫌なのだけど、それもなんだか恰好が悪いので、理由をつけてみることにした。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
そのまま答えるのは格好が悪いので、単に適当に理由を付けたようです(爆)。
(アニメではセリフはカットされていますが)原作では、そこで ──
「そうだね。気に入らない。三つほど、気に入らないね」
三つもあるかな?- 中略 -
二つより三つの方が区切りがいいからついそんなことを言ってしまったけど、どうしようかな。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
と言って、アニメでも述べている気に入らない理由を挙げたのです。
候補を3つあげる。
これって、聞き覚えがありますよね?

ん?
直前の新聞部室での小佐内さんと瓜野のシーン ──
で、3つ目は?
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
── 3つ目?
最初に話が3つあるって・・・。
── 話すことは2つだけ。
小佐内さんと瓜野の奇妙なやりとり。
これが何を意味しているのか分かりませんでした。

お~、確かに同じかも
ですが、直後の小鳩一人称で描かれた原作部分を読むと ──
特に事前に準備をしていなかったが、質問されたのでとりあえず3つと答えたのではないか、という可能性が出てきますね。
つまり、小佐内さんが瓜野にした2つの話は本論(目的)ではない・・・。

つまり、適当に返した、と…

そういうことになるね
この読みが正しければ、だけど
小佐内さんが新聞部室にいたのは、瓜野に2つの話があったからではなく、別の目的があったのではないでしょうか。
被害を見逃す!?
小佐内さんがどう絡んでるのか、まだよく分からないけど、こんな下らない事件をとにかく終わらせたい。
それなのに僕は・・・。
1回は被害を見逃そうとしてる。これは、下策だよ。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
1回は被害を見逃そうとしている!?
これは一体どういう意味でしょうか?

うん、よく分からなかった…
展開が早いので、時系列を理解した上で見ないと分かりにくいですよね。
五日市くん?
── ああ、問題ないそうだ。それは何より。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
── 罠にかかると思うか?
ダメなら次の策を練るだけだよ。
小鳩は、五日市を通して、(恐らく)瓜野に対して罠を仕掛けたのです。
この日は、7月の第二金曜日。
つまり、新聞部が張り込みの時に何かを仕掛けたのです。
その結果が ──
作戦は成功。新聞部は失敗
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第15話

えっ、新聞部が失敗するような罠を張ったの?

いや、そうとは限らないね
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
続きを読む (クリックして下さい)
小鳩と堂島は、別に新聞部の邪魔をしようとしているわけではありません。
小鳩は、小佐内さんが絡んでいるのであれば、止めなくてはならない。
堂島は、新聞部が被害に遭うというのなら止めたい。
と考えているのだと思います。
ならば、ここで小鳩が仕掛けたのは、犯人を炙り出すための罠ではないでしょうか?
それによって、犯人を絞り込む、あるいは小佐内さんかそうでないか判断する。
その次の8月は、(本当に止める気で)現場を押さえようと、今話ラストで堂島と小鳩も待機していたのではないでしょうか。
だから、今回は(何かを特定するために)連続放火を実行してもらわなくてはならなかった。
それで「1回は被害を見逃そうとしている」と言ったのではないでしょうか。

お~~~、そういうことか!
そう考えていくと ──
もし6月の第二金曜に大雨が降らず放火が実行されていれば、もう1ヶ月早く解決した可能性があるのです。
だから ──
でもまあ、色々気に入らないね。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
6月に雨が降ったことも、こうして待ちの姿勢になっていることも。
と言ったのでしょう。
小鳩の恋愛観?
ねえ、小鳩ちゃん。
冗談で始まっても、形だけしかないとしても、恋は恋だよ。
体温が上がるもん、あたしそれが好き。でも、小鳩ちゃんは違ったんだね・・・。
君、何?
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
あたし小鳩ちゃんのこと全然分かんない。
冷たい人ってこと、それとも人のこと根本的に舐めてるの?
一方的に小鳩を責め立てる仲丸さん。
アニメで小鳩をずっと見てきて、原作で小鳩視点の心情描写を読んできた私としては、そんなことはないだろうと反発しながらも、言っていることはご尤もだとも思った仲丸さんの言葉。
アニメでは、小鳩はほとんど言葉を発しなかったので、早く(心情描写がある)原作を読みたいと思っていました。
この時、小鳩は何を考えていたのだろうと。
結論から言うと、小鳩は何も考えていません。
いや、仲丸さんの言葉に対して事実確認をして分析し、(脳内で)訂正したり、回答を考えています。
問題はその内容。
動揺も戸惑いもなく、ここまで言われても怒りや、否定しようとする感情も起きていない、と言った方が正しいでしょうか。
小鳩は、何も感じていないのです。
つまり ──
あたしのこと信じてるから、吉口なんかの噂、相手にしないんだって。
だから辛かった。
だとしたら、あたし最低だもんね。でも、違ったよね。
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
気にしなかったんだよね。
どうでも良かったから平気な顔してたんだ。
仲丸さんの理解は正しいのです。
仲丸さんの二股+本命の話を聞いても、小鳩は確認も動揺もしなかったのは、本当に気にしていなかったのです。

そういや小佐内さん、小鳩とは痴話喧嘩もできないと言ってたな…
ただ、一つだけ否定しています。
小鳩ちゃんには、わかってもらえないと思うけど。あたし、つきあってた子と別れるとき、いつもちょっとだけ悔しいんだ。あたしと別れた後、この人は別の子とつきあって違う顔するんだろうなって思うと、悔しかった。でも、いまはそう思わない。小鳩ちゃん、誰とつきあっても絶対変わんないから。前の彼女とも、同じ感じだったんでしょ?」
的外れだよ。それは違う。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
さて、小鳩は何に対して「それは違う」と言ったのでしょうか・・・。
仲丸さん関連で、ネタバレになってしまうと思い原作の引用を止めた箇所があります。
でも、もう二人は別れたのでアニメで取り上げられないでしょうから、ここで紹介します。
仲丸さんは、聞きました。(12話 )
── よく知らない私の告白、どうしてOKしたわけ?
間近に見ていい子だって思ったからだよ。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第12話
適当な返しをした小鳩。
実はこの時、原作では、小鳩は脳内で理由を答えています ──
「いい加減なこと言うよね、小鳩ちゃん」
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
確かにいい加減だった。しかし正確に言おうとすれば、たぶん「断る理由がなかったから」ということになってしまう。さすがにそう言うわけにもいかない。嘘が多くなるなあ、どうしても。
これが普通の作品で小鳩が普通の男子高校生なら ──
小佐内さんと別れた穴を埋めるようにこの頃の自分は付き合うのは誰でも良かった、的なことになるのでしょうが・・・。
これは『小市民シリーズ』です。
小市民たるもの彼女の1人でもいなければ、とまるで流行っているからという理由で身に付ける物を選んだり、SNSや動画を見たりするような感じでしょうか・・・。
つまり、小鳩は付き合う相手は誰でも良かったのではないでしょうか。
確かに、小鳩は(男女関係において)最悪なのです・・・。
8月
張り込みをしたにもかかわらず、2度とも空振りに終わった新聞部。今夜こそはと気合いを入れる。
新入部員+援軍
今日こそ決戦です。
by 一畑『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
新聞部は5月、7月と放火現場をいち早く発見しながら、犯人には逃げられてきました。
日付は8月8日、つまり8月の第二金曜日。
夏休み中に集まっているのです。
7月の放火は、新聞部はもちろん誰も連続放火を止めることはできず。
それから、また1ヶ月が経過したのです。
部員の他に援軍も加わって、今夜は14人体制で見張ります。
by 一畑『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
前話では5人体制だったのが、今回は14人体制!?
援軍って何!?
一体どうやって増やしたのでしょうか?
その答えは原作にありました。
八月八日。その暑い校舎に、新聞部員を集めた。一年生の一畑、原口、江藤。それに、新聞部の奮闘に感銘を受けたとかで、棚田と溝渕という新入部員が加わった。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
二年生はおれと五日市。そして、部員たちが交友関係を生かしてかき集めた援軍が、あわせて七人。合計十四人が、その日の新聞部の全兵力だった。全員が男子だ。
新たに入部したのが2人。
これで、新聞部は7人でしょうか。
そして、新聞部以外に、部員の友達として7人が協力してくれていたのです。
合計、14人。
それも、夏休みに集まっていたのです。

盛り上がってる証拠だね

14人は、確かに凄い!

ちょっと危ないノリな気もするけどね…
犯人は…
今日で終わりだ、次はない。
なぜならば・・・。なぜなら俺は、犯人が誰なのか知っているからだ。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
部員たちが「今日こそ決戦」と言っていたのは、今日こそ捕まえるぞ!という意味です。
でも瓜野は違いました。
犯人を知っている!?
興味深い言い方ですね。
「犯人が誰か分かった」ではなく「犯人が誰なのか知っている」と言ったのです。
確信のある言い方なだけでしょうか。
それとも、何かを知り、あるいは気付き、犯人を突き止めたのでしょうか・・・。
(先にも書きましたが)少なくとも、犯人は消防士や市職員など複数を指すのではなく、個人を指しているようです。
それも、瓜野が知っている人物のようです。
一方、名探偵(役の)小鳩は ──
今回ばかりは、面白くないことになるかもしれないよ。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
彼も犯人に目星が付いている様子。
「面白くないこと」とは、思わぬ人が犯人、あるいはその動機でしょうか。
そして ──
── なあ常悟朗、今夜が最後だろうな?
そうだね。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
今夜は会ってしまうかもしれない・・・小佐内さんに。
やはり、ここで小佐内さんの名が出てくるのです。
気をつけないといけないのは ──
小鳩は、小佐内さんが犯人とは言っていないこと。
小佐内さんは、復讐はすれど、その手段は巧妙です。
自分で直接は実行しません。(あくまでこれまでは・・・)
なら、今回の連続放火事件、小佐内さんはどんな立ち位置なのでしょうか・・・。
いや~~盛り上がってきました。
犯人を見つける、あるいは捕まえるのは、新聞部か小鳩&堂島か。
警察もパトロールを強化しているでしょう。
小佐内さんも、まさか・・・。
いや、一先ず三つ巴の戦いと言っていいでしょう。
今夜が最後。
ぜひとも、ここで決着をつけて欲しい。
勝利の美酒は誰の手に?
決着や如何に!
おわりに (『小市民シリーズ』15話とは)
部活に恋に人間関係。
こうして単語を並べると、みんな高校生活を満喫して、青春しているなと思いますが差にあらず(苦笑)。
いや、それは(全てを見ている)視聴者側だから、そう思うのであって ──
(作品内の登場人物)当人たちは必死に何かを追いかけているのが眩しくもあり、それが悪い結果に結び付く予感があるからこその不安が堪りません・・・。
事件の解決や事件そのものよりも、個々人の考えや成長が気になってしまう、何とも独特な作品だと今さらながら再確認させられます。
さて、いよいよ次話は犯人と対決!?
一体、誰が勝つ(笑)のでしょうか!
以上、TVアニメ『小市民シリーズ』第15話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 15-01 氷谷が言う、記事のスタイルが変わったとは?
- 疑問 15-02 小佐内さんは、なぜ放火が金曜夜だと思った?
- 疑問 15-03 小佐内さんは、なぜ次の放火予想現場に行った?
残っている疑問
- 疑問 04-01 小佐内は、なぜ警察と関わりたくない?
- 疑問 09-01 中学生時代、小佐内は石和と何があった?
- 疑問 10-01 小佐内さんが石和を怖がっていたのは本当?
- 疑問 10-02 小佐内さん、中学時代の宿題はまだ残っている?
- 疑問 11-01 小佐内さんの応援とは?
- 疑問 12-01 五日市のコラム新設提案は、誰か仕組んだ?
- 疑問 12-02 なぜ、あのライトバンが燃やされた?
- 疑問 12-03 生徒指導教師・新田高義は、なぜこのタイミングで異動になった?
- 疑問 14-01 瓜野がパトロール中、小佐内さんはどこにいた?
- 疑問 14-02 犯人は、なぜ現場に自分の証跡を残している?
- 疑問 14-03 犯人は、なぜ6年前の防災計画資料を使っている?
今週のX感想ポスト
#小市民シリーズ #小市民 15話
— 時文@ここアニ(『薬屋』『小市民』レビュー中) (@toki23_a) May 5, 2025
いつも笑ってる男
いつも無表情な女
変えたかったが変わらない(片方戦線離脱!?😢)
毎月発行月報船戸
毎月発生連続放火
12分署に12ヶ月、次の秋に何がある?
暗躍、スパイ、確信等、各々思惑入り混じるが…次話どうなる!😆
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