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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『小市民シリーズ』第16話「真夏の夜」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 小市民シリーズ第3弾『秋期限定栗きんとん事件』
-
(下巻)第五章「真夏の夜」の中盤部分
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- 「今夜が最後」「明日からお互い話もしない」とは?
- 放火が起きた時間、これまでと違うのでは?
- (原作) 火事が起きてるのに、なぜ住民や近所の人は気付かない?
- 小佐内さん、なぜ五日市に相談させた?
- 連続放火犯ファイヤーマンは誰?
小佐内さんは何をした?
※「(原作)」は原作情報を根拠の中心にして考察しているトピック
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
アニメ『小市民シリーズ』の原作は、米澤穂信先生の小市民シリーズ第1弾『春期限定いちごタルト事件』、第2弾『夏期限定トロピカルパフェ事件』。
私は、2作とも未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成しています。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
原作小説を読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
原作小説の情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。

こんな感じです
緑系の色を目印にしてね!
引用部分も次のように緑系をワンポイントに ──
これは、推理の連鎖で片がつく。
by 小説『春期限定いちごタルト事件』
ちなみに、考察や解説、疑問はオレンジ系 ──
それ以外は、補足や余談、参考情報はブルー系 ──
読む際の目安にして下さい。
全10話 各話リスト
話数 | サブタイトル | 原作小説 |
第11話 | あたたかな冬(前編) | S3 (上) |
第12話 | あたたかな冬(後編) | |
第13話 | とまどう春 | |
第14話 | うたがわしい夏(前編) | S3 (下) |
第15話 | うたがわしい夏(後編) | |
第16話 | 真夏の夜 | |
第17話 | ||
第18話 | ||
第19話 | ||
第20話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル、原作小説:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
※原作小説:S3(シリーズ第3弾)「秋期限定栗きんとん事件」
はじめに
8月の第二金曜日の夜。
放火が予想される町に、瓜野部長率いる新聞部と小鳩&堂島が張り込んでいた。
堂島から放火の連絡を受け、駆けつけた小鳩が見つけた人物とは・・・。
愚者(小市民)は多く語り、賢者は語らずとも理解する。
「私、瓜野くんを応援したい」
小佐内さんは最初から答えを言っていた・・・。
犯罪か、捕食か、傍観か。
仕掛けたのは(付き合えるかどうかの)試験か、囚人のジレンマか、ただの戯れか・・・。
一体、瓜野の何が小佐内さんにそうさせた?
一方、元互恵関係の二人は息ピッタリ。
二人とも、そこで笑ったら怪しさ満点だから!

ホント、それ!

で、ファイヤーマンは誰なの??

そうだよ、忘れてた!
では、今話を振り返っていきましょう。
感想&考察レビュー 第16話「真夏の夜」
小鳩&小佐内
犯人を知っていると宣言した瓜野は、新聞部員と共に夜の町へ。小鳩と堂島も放火予想地点で待機していた。
仲が良い、わけではない
明日からまたお互い話もしないだろう。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
今夜言っておかないと腹に溜まりそうだ。
小鳩と堂島は、親友でも遊び友達でもありません。
普段は会話もない間柄です。
二人は何かあるとすぐに助け合っているように見えますが、実際は違います。
アニメは小鳩と堂島の日常全てではなく、特別な出来事が起きた時だけを切り取って見せています。
二人は本当に困った時以外、お互いを頼りません。
普段は自分一人で解決するか、周りの知人友人で事足ります。
本当にどうしようもない時だけ、お互いの存在を思い出す関係なのです。

性格も考え方も全く違うため、普段はほとんど会話もありません。
アニメで描かれている場面が、二人の接点のほぼ全てと言えるでしょう。
つまり、二人は1年に数回しか話さない関係なのです。

えっ、そんななんだ!

まあ、その1回が濃いんだけどね(苦笑)

あーー、ね…
よって、今回の事件が決着すれば、二人は会話する必要がありません。
堂島もそれが分かっているのです。
そこで、まず(前話で) ──
── なあ常悟朗、今夜が最後だろうな?
そうだね。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
堂島は小鳩に、今夜、連続放火事件の決着が着くのか確認したのです。
小鳩は即答。
小鳩が言うなら間違いない、堂島はそう考えたのでしょう。
そこで冒頭のセリフ ──
明日からまたお互い話もしないだろう。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
今夜言っておかないと腹に溜まりそうだ。
原作のセリフはもう少し長めです。
『俺は別に、お前に改めてほしいと思ってるわけじゃない。そんな義理もないしな。ただ、つくづく思うことがあるんだ。明日からはまた、話もしないだろう。そのまま受験して卒業すれば、考えてみればもう一生、話なんかしないかもしれない。今夜言っておかないと、なんだか腹に溜まりそうだ』
※太字部分はアニメではカット
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
高校3年生の夏休み。
今夜事件が終わったら受験勉強に集中し、二人は話すこともなくなるでしょう。
一緒の大学に行く可能性は低いのでしょう。
別の大学に行けば、あるいは県外に引っ越せば、もう一生話すことはないかもしれません。
堂島はそこまで考え、今言っておこうと電話したのです。
小市民になれない小鳩
なあ常悟朗、お前は結局、小市民じゃないんだよ。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
堂島に言われなくても小鳩は分かっています。
たとえ小市民になりたいと思っていても、なれていないことに・・・。
1期10話 、小佐内さんは言いました ──

私がやったことがウソだと言うのなら、それは怖い人から逃げるためのウソだった・・・。
でも、そのウソを小鳩くんは絶対に分かってくれない。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第10話
なぜなら、小鳩くんは考える事ができるだけだから。
小鳩は問題や謎を解くのは得意で、人よりズバ抜けています。
ですが、考えることができるだけで、他人の気持ちは理解していません。
小鳩は、共感力に欠けているのです。
それでも、相手に合わせて共感力があるように振る舞ってきました。
なのに、前話 、仲丸さんから ──
君、何?
by 仲丸十希子『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
あたし小鳩ちゃんのこと全然分かんない。
冷たい人ってこと、それとも人のこと根本的に舐めてるの?
1年付き合っても、小鳩が全然分からないと言われたのです。
小鳩は、他人に共感できないだけで、傷つかないわけではないのですけどね・・・。
原作には、とても大事な小鳩の心情描写があるので、紹介しておきます。
そうだね。
何をいまさら。
だからこそ、どれだけ図星を衝かれても、その度にひどくむなしい気持ちに襲われても、堂島健吾と決定的に縁を切ることができずにいるんじゃないか。誰の名前を忘れても、ケータイのメモリーがほとんど空っぽでも。まず出てくる名前が堂島健吾なんじゃないか。※太字部分はアニメではカット
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
小鳩は誰にも本性を明かせず本音で話せないどころか、普通の付き合いすらできないのです・・・。
時間のズレ
── 何時だっけ?今。
9時半だ、まだ早い。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
これまで放火された時間帯は、第二金曜日の深夜から翌土曜日にかけてでした。
随分早い時間から張り込みを始めたものですね(笑)。
これは、新聞部に見つからないようにするためでもあるのでしょう。
何せ、堂島は新聞部の前部長ですから。
前話ラスト、五日市は新聞部員に対して ──
再集合の時間は今夜11時。
by 五日市公也『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
と言っていました。
再集合、つまり新聞部張り込み開始時間は午後11時。
新聞部による見張りは5月、7月に続いて3度目です。
これまでの放火が深夜から翌日にかかる時間帯に起きているので、そこをターゲットにしたのでしょう。
現在は9時半。
まだ新聞部は現場に到着していないはずです。
なのに、今回放火が起きたのは9時半過ぎ。
なぜ8月は、こんなに早い時間に放火されたのでしょうか?
犯人の気紛れ、あるいは捕まらないための対策でしょうか。
新聞部は、見誤ったのでしょうか。
そして、小鳩と堂島が早い時間帯から見張っていたのは、(新聞部とかち合わないよう早めに来た)偶然でしょうか。
それとも・・・。
小鳩は、五日市を使って何か策を講じています。
これは、時間に関することなのでしょうか?
8月は、なぜ早い時間帯に放火された?
小鳩は、五日市を使って何を仕掛けた?
原) 留守
火事です。
- 中略 -
民家の隣の倉庫が燃えています。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
結構な勢いで燃えています。
民家の隣の倉庫が燃えているため、今のところ人命に危険は及んでいないようです。
だとしても、この家の住人はどうしているのでしょうか?
この後、小鳩と小佐内さんがハンマーを使って倉庫を破ります。
こんなに大きな音を立てる前に、倉庫の持ち主に知らせるのが先だと思ったのは私だけではないはず(苦笑)。

それは確かに思った

でないと犯罪者だと思われるよね…
仮に家の住人がいないのなら、近隣住民に知らせなくては。
何せ火が燃え移る可能性があるのですから。
その辺の懸念は、まるっと全部お見通しのようで、原作には記載されていました(笑)。
倉庫が燃え上がれば、車庫も類焼する。放っておけば、民家も燃える。家の人はいないのか? ぼくは気づいた。車庫に車がない。ということは留守なのか。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
なるほど。
小鳩は、車庫に車がないことから、住人は留守だと判断していたのです。
近隣についても ──
この家の住人には悪いけど、針見町で良かったと思わざるを得ない。この家の左右は農地で、隣の家まで優に五十メートルは離れている。これなら最悪の場合でも、家から家へと燃え移りはしない。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
いまのところ、それら離れた家から、誰か顔を出したりはしていない。この火に誰も気づいていないのか。あるいは、焚き火だとでも思っているのかもしれない。こういう開けた場所では、よく家のごみを燃やしている人がいるから。
隣の家と50mも離れていたのです。
それに火事に気付いた様子もないので、自分一人で対処するしかないと考えたのでしょう。
小佐内さんとハンマー
鍵のかかった倉庫の中には、火気厳禁のポリタンクが・・・。
小鳩が蹴飛ばしてもビクともしなかった扉を開けるには道具が必要です。
そんな時に現れたのは、消防でも正義の味方でもなく・・・小佐内さん!?
── 便利なもの持ってたね。
こんなこともあるかと思って、持って来たの。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話

こんなことってどんなこと!?

思った!
絶対おかしいよね!
小佐内さんは犯人ではなく、瓜野同様犯人を見つけようとしていたなら・・・。
火事の現場に出くわすだろうから、こんな時に備えてハンマーを用意していた!?
いやいや、おかしいですね。
被害を抑えるのに備えていたなら、消火器や水など、火を消す手段を準備しておくべきです。

あっ、確かに!
にもかかわらず、用意していたのはハンマー!?

後半、小佐内さんの供述と共に考察します
小佐内さんは、なぜハンマーを持っていた?
この時点で言えることは ──
小鳩には、小佐内さんがハンマーを持っている理由が分かっている、あるいはおおよその推測ができている、ということでしょう。
だから ──
で、なんでこんなことしたの?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
と問うたのでしょう。
小鳩は、ハンマーのことを言っているのではありません。
「こんなこと」とは ──
小佐内さんが、連続放火事件に対してしていること、あるいは瓜野に対してしていることを指しているのでしょう。
小鳩の言う「こんなこと」とは何なのか?
小佐内さんは、なぜ「こんなこと」をしたのでしょうか?

会話が曖昧すぎて疑問点すら特定できない…
瓜野vs小佐内
放火現場にいた小佐内を見た瓜野は、連続放火犯ファイヤーマンは小佐内だと問い詰めるが・・・。
犯人はお前だ!
お前が火をつけた。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
一連の放火事件、やったのはお前だ。
遂に言いました。
瓜野は、小佐内さんを犯人と断定。
前話ラスト、瓜野は連続放火犯が誰なのか知っている、と言っていました。(15話 )
その犯人とは、小佐内さんのことだったのです。
原作によると ──
おれは考え事をしていたのだ。この八月八日、決戦の日だけではない。ずっと考え込んでいた。……一ヶ月近く、考え事ばかりをしていた。
- 中略 -
──ファイヤーマンは何者か。
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
瓜野は、台風の日から、ずっと考えていたようです。
そして、今回の結論に至ったのです。
レシートの謎
楽しみにしてた本があるの。
文庫本で出ててね、前の巻がいいところで終わってたから早く続きを読みたかった。新刊の発売日は、6月13日。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
前日には入荷するって言うから待ってたの。
6月12日深夜の本屋のレシートを持っていたのは、欲しかった本を北浦の本屋でバイトしている友達に頼んだから!?
作り話だとしたら・・・何て上手い言い訳を考えるのでしょうか(笑)。
まあでも、本当かどうか怪しいですね。
少なくとも今その場で考えたわけではないでしょう。
友達とのやり取りを確認しなかったのも甘いですが、そんな都合よくその日に本が発売して、都合よく北浦の本屋でバイトしている友達がいるとは信じられません。
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
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恐らく逆でしょう。
北浦の本屋でバイトしている友達がいたから、放火予告の前日に発売する本を見つけ、そのようなことをしたのではないでしょうか。
よって、レシートを準備したときから計画していたと考えられます。瓜野はまんまと引っかかったのです。
一番指摘すべきところは ──
それだけ読みたかった本で苦労して手に入れたのに、小佐内さんが新聞部室に忘れていったことです。

あっ!
早く読みたかったのであれば、昼休みや放課後も読んでいたかもしれません。
もしかすると読み切ったかもしれません・・・。
いや、それはないでしょう。
なぜなら、新聞部室で見かけた時、まだ読みかけでしたね。


お~~確かに!
それだけ気になっていた本を忘れていった。
いや、忘れることはあったとしても取りに戻った形跡がありません。
この日は台風で、家で本を読むのに絶好の日なのに・・・。
まあ、小佐内さんなら ──
「一度完走したけど、気になる箇所を読み返していただけよ」「読み始めると思ったほど面白くなかったの」とか言いそうですが・・・。

ああ、言いそう(苦笑)
まあ、何が言いたいかというと ──
小佐内さんは、瓜野が自分を犯人だと疑うよう仕向けているのです。
一体、なぜ小佐内さんはそんなことをするのでしょうか?
他校の制服
この服は、従姉妹の、あきお姉ちゃんから借りたの。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
どう?
そう考えていくと、他校の制服を着ていたのも、瓜野の疑惑を深めるためでしょうか。
実際、(原作によると)瓜野は、小佐内さんが着ている制服の色を見て、闇夜に見つかりにくくしているのではないかと犯人に結びつけて考えています。
そもそも小佐内さんは ──
なぜ他校の制服を持っているのかには答えていますが、なぜ他校の制服を着て外を出歩いているのかという質問には答えていません。

あっ・・・確かに!
瓜野は、やはり脇が甘いですね。
小佐内さんは、なぜ他校の制服を着ていた?
ハンマーの謎
このハンマーは、去年の10月に船高園芸部から盗まれたものではありません。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
はい。
確かに、園芸部の里村さんが言っていたのは金槌。
それがいつの間にかハンマーになっていたのは気付いていました。(15話 )
まさか、その呼び方が伏線だったとは・・・。
呼び方が本質ではないですね。
金槌とハンマーは別物なのが気にしなくてはならないことです。
原作にはその辺、丁寧に描かれています。
「園芸部はハンマーを、看板を片づけるために持って行ったのよ。ばらしてまとめて積んでおいた、って書いてあった。ハンマーでめちゃくちゃに叩いて壊したなんてわけはないよね。もちろん園芸部は、看板を引き抜いて、釘を抜いてばらばらにして、片づけたのよ。そもそも園芸部の里村さんは、ハンマーなんて言ってなかった。あのファイルが正確なら、盗まれたのは金槌だと言ったんでしょう? それをハンマーと言い換えたのは、瓜野くん。どうして? その方が恰好いいから?
by 小説『秋期限定栗きんとん事件(下)』
(原作によると)園芸部はあの日、ただで借りているお礼として草刈りを手伝いました。
その時に、看板を片付けて欲しいと頼まれ金槌を持っていったのです。
となると、小佐内さんが持っているようなハンマーでは看板は撤去できません。
看板が打ち付けてある釘を抜いてバラさなくてはいけません。
だから釘抜きがある金槌なのです。
打つだけのハンマーでは、作業できないのです。
恐らく、小佐内さんは園芸部で盗まれた金槌の釘抜きを使ったものだと把握し、わざと釘抜きのないハンマーを準備したのでしょう。
これもまた、瓜野をミスリードさせる小道具だったのです。
じゃあ、それは何のために持って来たんだ?
- 中略 -
── 見たとおり8月の現場にもいた。そういう人はどんな人?
それは俺だ、新聞部だ。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
あっ、お前も・・・放火犯を追っていた?
そしてここでもまた、ハンマーを持っていた理由を聞かずに、別の話題に気を逸らされているのです・・・。
使えるものは…
言うつもりはなかったけど、今夜が最後だから教えてあげる。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
「今夜が最後」とは別れを意味するのでしょうか。
嫌気がさしたのか、それとも三下り半なのか。
でも、先に「今夜が最後」と言ったのは瓜野でした。
もう終わったんだ、今さら逃げるな。
by 瓜野高彦『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
いや、注目すべきはそこではありません。
ここから小佐内さんの反撃が始まるのです。

言うつもりはなかったけど、今夜が最後だから教えてあげる。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
私、瓜野くんのことを陰ながらお手伝いしてきた。
ついに、小佐内さんが裏で何をしていたのかが明らかになります。
チャリティーバザーの宣伝に悩んでる子がいたから、五日市くんに頼むといいよって教えたの。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
小佐内さんは、堂島とは交流があり、門地とも繋がっていました。
しかし、小佐内さんと五日市の関係は不明確でした。
なるほど。
五日市とは直接ではなく、悩んでいる子に五日市に頼むと良いとアドバイスしていたのです。
そういえば前々話、堂島が言っていましたね。
気は小さいが素直な奴なんだ。
頼まれれば嫌と言えない性格が気の毒なくらいだ。だから常悟朗。
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
あんまり引っかけるようなことはしてくれるなよ。
五日市のことを「頼まれれば嫌と言えない性格」だと。
小佐内さんは、五日市がそんな性格だと知っていたからこそ、悩んでいる子を差し向けたのでしょう。
そうすれば、五日市が「月報船戸」でコラムを新設したいと提案するだろう、と。

小佐内さん、すごっ!
狼正体現す
棚からぼた餅みたいに思えた?
言うつもりはなかったの、本当よ。だって瓜野くんのプライドを傷付けてしまうもの・・・。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
最初から言うつもりだったのか、本当に言うつもりがなかったのでしょうか・・・。
言うつもりがなかったのなら、なぜ話したのでしょう?
自分を疑ったことに対する反撃か、それとも、付き合うからには一定の水準が欲しいと瓜野を試す試験だったのでしょうか・・・。
昨年の夏、小鳩と互恵関係を解消し、瓜野と付き合い始めました。
小佐内さんが小鳩と別れたのは ──
小鳩と一緒だと止めてもらえると安心し、欲求のまま行動してしまうからではなかったのでしょうか。
今話、小佐内さんが瓜野にしたことは ──
相手に考えていることを全て話させ、それもドヤ顔上等、自信満々に語らせた後、完膚なきにまで叩きのめす・・・。
小鳩と一緒にいたときより、たがが外れたように好き勝手しているように見えるのは気のせいでしょうか・・・。
お手伝いしながらずっと思ってた。
by 小佐内ゆき『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
この子は、聡明さが足りないなって。
それと狡猾さも。
確かに瓜野には、浅はかなところがありました。
ですが、小佐内さんの本性を知らなければ、これだけ状況証拠を見せられると彼女が犯人だと考えてしまいます。
二人は敵対しているのではありません。
付き合っているのです。
放火現場にいたなら、いたと言えば良い。
電車の音が聞こえたなら、理由を説明すれば良い。
小佐内さんは、なぜ瓜野を引っかけるような行動をしたのでしょうか・・・。

小佐内さんは、付き合う相手に何を求めているのだろう?

おお、確かに!
まるで復讐の協力者を探してるみたい…

そだよね
「狡猾さ」「秘密を暴く人」
求めてる観点が恋人探しじゃないよね
連続放火犯ファイヤーマン
放火犯が捕まりました
by 五日市公也『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
さて、最後に犯人について触れておきましょう。
正直、誰が犯人かは全く分かりません。
怪しいと思う人はいますが、それは勘に過ぎず、証拠も根拠も思い当たりません。
現場にいた小佐内さんは犯人を分かっていたのでしょうか?
小鳩は犯人を知っていたからこそ現場を押さえられたのでしょうか?
当たっているとネタバレになってしまうので隠しておきます。気にならない方だけご覧下さい。
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小佐内さんについては、よく分かりません。
小鳩については、何かを掴んでいる、あるいは犯人を絞り込んでいる様子が見られます。
そこで小鳩の言動から犯人を絞り込んでみましょう。
とりあえず成果が出るまで1ヶ月。
その後、そうだな・・・もう一度吉口さんの力が借りられれば万全だね。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
作戦は成功。新聞部は失敗
by 堂島健吾『小市民シリーズ』TVアニメ第14話
ヒントになるのは、この辺りでしょうか。
共通点は、小鳩が船戸高校内で何かしているということ。
これは、連続放火犯が船戸高校にいるということでしょう。
だからこそ、校内情報屋・吉口さんの力が役に立つのです。

それも、堂島が知っている人である可能性もあるのではないでしょうか。
なので ──
今回ばかりは、面白くないことになるかもしれないよ。
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第15話
小鳩は、堂島にとって面白くないことになると言ったのでしょう。
となると、五日市を通じて「月報船戸」のコラムに何か仕込んだことになります。

前々話レビュー でコラムの放火予想を書き換えても意味ないって言ってたじゃん!
確かに、そう書きました。
ですが、それは前々話の時点の情報からです。
今話までで新たな情報を得たので、違う見方ができます。

えっ、そうなの!?

はい。
でも、かなり突飛なことを言うよ
こんな考察は、普通の作品ではしません。
明らかに常識外れです。
でも、小佐内さんならあり得るかもと考えてしまいます・・・。

えっ、何々??
聞きたいような聞きたくないような・・・
そうですね。
当たっていると次話の面白みを削いでしまうので、読まない方が良いかもしれません。

忠告しましたよ!

予防線(苦笑)
気になったのは、小佐内さんが持っていたハンマーです。
なぜ小佐内さんはハンマーを持っているのだろう?と。

えっ、さっき瓜野くんを引っかけるためだって言ってたじゃん…

そうなんだけど、それだけじゃない気が…
小佐内さんがハンマーを持っていたのは、瓜野を引っかけるためだけではないとしたら・・・。
ハンマーは、今回確かに役立ちました。
でも、さすがの小佐内さんでも火気厳禁のポリタンクを取り出すために壁を突き破ることを想定などしていなかったでしょう。
もし被害を抑えるなら、消火する道具を持っていた方が効果的です。
私が思いついたのは・・・。
小佐内さんは、瓜野がコラムに書いた連続放火犯ファイヤーマンの予想が当たるような後始末をしたのではないでしょうか?

ん?どゆこと?
つまり、連続放火犯の痕跡だと思っていた金槌で殴った跡は、一部小佐内さんが付けたのではないかということです。

・・・えっ!?
えっ~~~~!!

驚くよね、私もそんなことはないと思ってます(苦笑)
でも、そう考えると現場に駆けつけ、ハンマーを持っていた理由になるのです。
最初に見つけた証跡は、犯人がつけたのではなく偶然。
瓜野は、それを真犯人のサインだと思い込んでしまった。
小佐内さんは、それをリカバリー。
瓜野のコラムが正しいと後付けで事実を加えていったのではないでしょうか。
これが、小佐内さんの言う、瓜野を「応援したい」の今も続いている意味ではないでしょうか・・・。

え~~流石に信じられない…

だよね、書いててあり得ないと思ってる(苦笑)

なんだ自信あるわけじゃないんだ

そうだよ、小市民にはそんなことは分かりません
ただ、小佐内さんの思考は予想よりずっと斜め上を行きます。
それを見越して考えました。
だから、小鳩も ──
で、なんでこんなことしたの?
by 小鳩常悟朗『小市民シリーズ』TVアニメ第16話
理解できなかったのではないでしょうか。
さあ、色々書きましたが、ハッキリしていることは ──
放火は現行犯でないと捕まえるのは難しいです。
そもそも私人逮捕は現行犯でないとできません。
そこで、小鳩は五日市を使って何か仕込んだのです。
その策が功を奏したのか、犯人を捕らえることができたのでしょう。
大体、早い時間から待機していたのも不思議です。

そういえば、小佐内さんも早めに着いていたことになるな…
放火現場も分かっていたかのように見張っていました。
だから二人の張り込みで見つけられたのでしょう。
一体全体、小鳩は何を仕掛けたのでしょうか?
小鳩と堂島は、なぜ一番に放火現場を見つけられた?
おわりに (『小市民シリーズ』16話とは)
さて、以前からこのレビューで書いているように、原作小説は一人称視点で心情描写がたっぷりと描かれています。
今話に相当する原作部分は、前半が小鳩視点、後半が瓜野視点となっています。
小鳩は久しぶりの現場に興奮しているのか、アニメよりずっとハイテンションな様子。
瓜野視点では ──
瓜野は自信たっぷりに追いかけておきながら、いざ小佐内さんと対峙すると自信が揺らいでいます。
反面、小佐内さんを責めている最中は、少し高揚して満足感を得ている心情描写もあります。
今まで(スイーツ以外では見られなかった)小佐内さんの笑顔を印象的に分析する場面も。
ところが、一転自分の見誤りを指摘されると・・・。
この部分に限らず、登場人物の思考がダダ漏れの原作をぜひ読んで頂きたいです。
さて、原作の残りの分量から見ても、次話が『秋期限定栗きんとん事件』の決着となりそうです。
2期が始まってから、ずっと続いていた連続放火事件と、小佐内さんの暗躍は何だったのか?
そして、小鳩と小佐内さんの関係に変化はあるのか。
次話が楽しみです!
以上、TVアニメ『小市民シリーズ』第16話の感想&考察レビューでした。
長文にもかかわらず、最後まで読んで頂きありがとうございます。
次話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(@toki23_a)にて!
ではでは。
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疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 16-01 8月は、なぜ早い時間帯に放火された?
- 疑問 16-02 小佐内さんは、なぜハンマーを持っていた?
- 疑問 16-03 小佐内さんは、なぜ他校の制服を着ていた?
- 疑問 16-04 小鳩と堂島は、なぜ一番に放火現場を見つけられた?
残っている疑問
- 疑問 04-01 小佐内は、なぜ警察と関わりたくない?
- 疑問 09-01 中学生時代、小佐内は石和と何があった?
- 疑問 10-01 小佐内さんが石和を怖がっていたのは本当?
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今週のX感想ポスト
#小市民シリーズ #小市民 16話
— 時文@ここアニ(『薬屋』『小市民』レビュー中) (@toki23_a) May 12, 2025
応援するね彼女は最初から答え言っていた
愚者は多く語り賢者は語らずとも理解する
犯罪か捕食か傍観か
目的は(付き合えるかどうかの)試験か、ただの戯れか…一体彼の何が彼女をそうさせた?
2人共そこ笑う所じゃないから😓
で、ファイヤーマンは誰なの!?😆
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