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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第1話「猫猫」を鑑賞しました。
ほほう。
こういう内容でしたか~~。
10月も下旬。
大量に放送開始された秋アニメの取捨選択に追われ、ようやく視聴継続作品が固まりつつある頃合い。
満を持して放送開始された『薬屋のひとりごと』。
他作品は既に3話まで放送されているのに、遅れて始めて大丈夫なのかと要らぬ心配をしていました・・・。
一気に3話放送!?
一瞬で他作品の進捗に追いつきました。
なるほどそんな作戦もあるのか(笑)。
え!?
そんな狙いで3話一挙放送したの!?
3話一挙放送だから放送開始を3週間遅らせたのはあるんじゃないかな。知らんけど
3話まで鑑賞して、少し気になる細々としたところ。
原作物なら、原作をチェックしたくなるのが人情というもの。(えっ?私だけ?)
『薬屋のひとりごと』には、原作ライトノベル以外に、コミカライズも。
しかもコミカライズは、別作者の漫画が2作品あります。
コミカライズ2作品をまずチェック。(この時、Amazonで期間限定無料公開中)
ほほう、アニメで描かれてない情報もある・・・。
ならばと、原作ライトノベルをポチッとな。
あとは、いつものパターンです(笑)。
レビューを書かずにはいられない!(笑)
殺人の起きないミステリーか、身の回りの謎を解明していくライト系か。
今後どのように進むのかまだ分かりませんが、期待を込めて取り上げます!
本レビューの方針 (次話以降のネタバレなし)
本作品の各話レビューは、次のように作成していきます。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
私は、ライトノベル・コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
1巻 1話「猫猫」~5話「部屋付」
- コミック
-
1巻 1話「猫猫と呪い」
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
全24話 各話リスト
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
時代は中世、舞台は架空の中華風帝国。
花街で薬屋を生業としそれなりの暮らしをしていた猫猫は、人さらいに攫われ後宮に売られてしまう。
後宮で下女として働いていた猫猫は、帝の御子の死の症状を聞き、毒ではないかと疑いを持つ。
能ある鷹は爪を隠すが、独り言は隠せない。
触らぬ神に祟りなしでも、放っておけないのは優しさか単なる好奇心か・・・。
面倒事を嫌い、平穏に好きなことだけしていたいと考える、少し達観した感がある主人公・猫猫。
後宮に売られてしまった状況を冷静に分析し、2年間穏便に過ごせば帰れると判断。
ならば、余計な知識はひけらかさず、面倒事にも関わらないのが得策。
だけど、薬や毒に関することとなれば、好奇心と知識欲が止められない・・・。
一方、壬氏も切れ者で、僅かな手がかりから猫猫を見つけ出す。
さて、彼女を侍女にした目的は?
猫猫の平穏な生活は壊され、嫉妬や陰謀蠢く後宮の中枢に。
これから一体何が起きるのか。
猫猫はこの後宮で何を目指すのか。
今後の展開が非常に楽しみな1話でした。
原作未読。
これが「なろう」とは・・・素直に驚きました。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第1話「猫猫」
猫猫
花街で薬屋を営む猫猫は、人さらいに攫われ後宮に売られ、下女として働くことになった。
薬屋・猫猫
猫猫、緑青館に薬を届けてくれないか。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
緑青館とは、花街にある妓楼の一つでしょうか。
薬部屋があるのが不思議ですが、妓楼ともなれば病気も多い。
となれば、薬の需要も多いのでしょう。
この辺、もっと知りたいですね~
最近、女狩りが多いから気を付けて行くんだよ。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
おやじさん、随分、物騒なことを言ってます(苦笑)。
人さらい、それも女を狙っているのです。
この時代だと、普通、女を狙った人さらいと言えば、女郎に売られるのが相場ですが、猫猫の場合は違ったようです。
つまり──
女郎よりも、後宮に売り飛ばした方が金になる、ということですね。
『薬屋のひとりごと』は、そういう世界なのです。
花街・緑青館
すっごい華やか~~
原作・コミック共に花街の描写はありません。
街に入った瞬間、別世界のような煌びやかな空間。
色とりどりの装飾が、平和と繁栄と現しています。
あれが緑青館の誇る三姫の一人、売れっ子の白鈴か。
by 客『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
この様子だと、花街は勿論、緑青館はかなり盛況ですね。
薬を常備しているのも納得です。
何せ、体が資本の仕事ですからね。
また傷、増えてるじゃないの。
by 白鈴『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
ちゃんとご飯食べてる?
女達の態度から想像するに、猫猫は人気者のようですね。
いや、薬屋だから、信頼されているという感じでしょうか。
後宮でも、(一応医者である)やぶ医者を差し置いて才能の一端を見せたのです。
きっと、花街・緑青館でも、猫猫は活躍していたのでしょう。
その辺もいつか知りたいですね・・・。
ん?
だとすると、猫猫がさらわれたのに、なぜ探さないのでしょうか。
やり手婆は、お金にはうるさそうですが猫猫の才能は買っていそうです。
女達は、猫猫を妹のように可愛がっている様子。
ならば、なぜ捜索しないのでしょうか。
権力を恐れる人達でもなさそうですし・・・。
家は金がなさそうだったから無理だとしても(苦笑)。
緑青館ならなんらかの手が打てたと思うのですが・・・。
よくあるのは、権力に屈せず救出するって展開に(笑)
ありそう・・・(苦笑)
ああ、逆ですかね。
緑青館でも・・・いや、緑青館ごときでは後宮に手を出すことはできないのではないでしょうか。
それほど、後宮は入ったら最後。
正規ルート(猫猫の場合2年のお勤め)でしか出られないのです。
人さらい
まさか、人さらい?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
あ~あ、おやじ、心配するだろうな。
いきなり拉致されたのに、落ち着いた様子の猫猫。
随分、肝の据わった、もしくは感情のない子だな~~と思いました(苦笑)。
が、それはアニメだけ。
実は、人さらいの瞬間が描かれているのは、アニメとコミックのみ。
原作ではその瞬間は描かれていません。
コミックでは、さらわれた瞬間はさすがに慌てています。
誘拐?私を?身代金なんて出ないぞ!?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック1巻
殺される・・・?
まさか、貞操の危機!?
ちゃんと普通の女子の反応をしていたのです。
原作の始まりは、その3ヶ月後──
まったく強大で迷惑極まりない結婚活動、略して婚活、宮廷の女狩りである。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
時が経ったので、すっかり気持ちは落ち着いていたのです。
後宮の下女
できれば後宮なんて一生関わりたくなかったが・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
まあ、来てしまったものは仕方ない。
猫猫の落ち着きぶり。
何度も、給金が出ると言っていることから──
どうやら、後宮の下女はきちんとした仕事のようです。
猫猫は無理矢理さらわれてきましたが、普通は就職先として来るような職場。
原作では、後宮をこのように表現しています。
まあ、給金はもらえるし、二年ほど働けば市井に戻れなくもないので、就職先としては悪くないのだが、それは個人の意思で来た場合である。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
市井とは、街や村のこと。
ここでは「後宮の外」を意味しているのでしょう。
2年ほど働けば後宮の外に出られて、あとは自由なので家まで戻ればよいという事。
ただ、「戻れなくもない」という描写が引っかかりますが・・・。
大事な事は──
決して、後宮は村から女子をさらって下女を集めているのではない、ということです。
悪いのは人さらいであって、後宮ではないのです。
まあ、人さらいかどうかを確かめないのは、後宮に落ち度もありそうですが・・・。
身売りがありそうな雰囲気なので、本人が主張しても信じてもらえないのでしょうね。
あるいは、後宮は後宮で人手不足で、身元確認などできない(やってられない)。
手間をかけていたら2,000人なんて人数集められないのです。
原作には、こんな一文が──
猫猫はその中で最下層の下女であり、官職すらもらっていない。特に後ろ盾もなく、さらわれて数合わせにされた娘にはそれが妥当なところだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
後宮は、必要な数の下女を集めなければならない。
ならば、あまり厳しくしては集まるものも集まらない。
それが、年端もいかぬ女子を買い取ってくれる市場となり、人さらいという犯罪の温床となってしまったのではないでしょうか。
結果、人さらいにさらわれた女の子や、識字率も低い質の悪い女子が集まってしまったのです。
あるいは、猫猫は逆らっても仕方ないと悟って大人しく従っているのかもしれません。
何せ後宮に入るのを拒んで、金にならないとなれば、人さらいに殺される可能性もありますから。
だったら、2年間(目立たぬよう)真面目に働いて、解放されるのを狙った方が良いのです。
賢い選択、というかクールな考え方ですね(笑)。
二人の妃
猫猫が後宮に来てから3ヶ月が経過。ある日、“帝の御子の連続死は「呪い」のせい”という噂を聞く。
帝の跡継ぎ優先
申し訳ないのですが、医官は今、東宮の処置にかかりきりでして。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
今、帝の寵愛を一番に受けているのは、赤い髪に翡翠の目を持つ玉葉妃。
なのに、なぜ医官は玉葉妃の子を診ないのでしょうか。
先に生まれたのは、玉葉妃の子。
次に生まれたのは、梨花妃の子。(アニメで出産時が描かれましたね)
ただ、玉葉妃の子は、女の子。
梨花妃の子は、男の子。
(帝の配偶者である)后のいない今、帝の血を引く男の子が帝候補。
梨花妃の子が、次期帝の候補なのです。
だから「東宮」と呼ばれているのです。
どれだけ子の母親が帝の寵愛を受けていようとも、この国にとって重要なのは世継ぎなのです。
宦官は男ではない
ねえねえ聞いた?
中央にものすご~くキレイな宦官がいるんだって。ここんとこ、皆その話で持ちきりなんだよ。
by 小蘭『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
美形宦官・壬氏を噂する小蘭。
だけど、猫猫は興味がなさそう。
猫猫は、薬にしか興味がないのでしょうか?
というか、人に対してあまり興味ない!?
ヒドーーい
だって、とても冷めてるんだもん・・・
男に対して興味があるかどうかはともかく。
壬氏に興味を持たない理由はコミック、原作にありました。
丸みを帯びた身体。
声は高く、髭も薄い。男の象徴たるものを切り取った男──それが宦官だ。
男子禁制の後宮に入れるのは、皇帝その人と宦官のみ。
女ばかりの環境だと宦官もそういう対象になるんだろうか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック1巻
分からん。
猫猫は宦官を男として見ていないのです。
合理的に考える猫猫のことです。
男性に興味を持つのは、恋愛対象(ゆくゆくは結婚相手)となる男だけ。
ならば、宦官である男は(子供が作れないので?)対象外。
よって、興味対象外、アウトオブ眼中なのです。
原作では、もっと突っ込んで──
色恋の刺激の少ないここでは、すでに男でない宦官ですら刺激の対象になるらしい。女官をやめた後、宦官の妻になるという話もちらほら聞く。女色に比べればまだ健全なのだろうが、やはり猫猫は首を傾げてしまう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
女性同士で色恋沙汰になるよりかは、元男である宦官の方が健全だとまで言っているのです(笑)。
呪いではないが毒殺でもない
まだ3ヶ月と半年だっけ?
by 下女『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
そうそう、東宮と鈴麗公主のお二人ともよ
「3ヶ月と半年」とは、生後3ヶ月の東宮と、生後半年の鈴麗公主のことです。
今、後宮内はこの噂で持ちきりなんだよ。
後宮で生まれるお世継ぎの連続死。今までの帝の御子が3人とも、生まれてからだんだん弱って亡くなったんだって。
by 小蘭『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
おかしいと思わない?
後宮内の騒がせている、呪いの噂。
猫猫は、呪いなど信じてないので、何か理由があると考えます。
頭痛、腹痛、吐き気、考えられるのは毒殺か・・・。
いや、皇位争いなら公主が狙われる理由はない、毒を盛られた可能性は少ないだろう。疑うとすれば病気か、もしかして血筋だろうか・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
症状から、猫猫はすぐに毒殺だと疑います。
だけど、毒殺にしてはおかしな事だらけ。
皇位争いなら東宮を狙えば良いのであって、その母・梨花妃を狙う必要はありません。
ましてや、皇位継承権のない女児である玉葉妃の子・公主を狙う意味もありません。
私は、東宮だけを狙ってはバレバレなので、公主はカモフラージュ(巻き添い)だろうと考えてました。
が、原作によると──
(毒殺ではなかろうか?)
白湯を含みながら猫猫は考えるがそれは違うという結論に至る。
三人の子どものうち、二人は公主だったからだ。男子のみ皇位継承権が与えられる中で、姫君を殺す理由などほとんどない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
今回だけでなく、以前の3人の中にも女の子がいたのです。
男女関係なく全員亡くなっているのです。
そうなると、疑わしいのは病気。
父親側の帝の病気か、血筋を疑ったのです。
でも、これもおかしな話であって──
病気なら、女児の母・玉葉妃はなぜ無事なのか?
血筋なら、東宮の母・梨花妃がなぜ病気になるのか?
病気や血筋を理由にするにも無理があるのです。
呪いと疑われる連続死。
症状は完全に毒なのに、毒を盛る理由が分からない。
ならば、病か・・・。
この辺の葛藤は、コミックで描写されています。
呪い。毒。病──
ああ、ダメだ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック1巻
後宮に連れてこられて3ヶ月。
すっかり飢えていたのかもしれない ── “薬屋”の好奇心をくすぐるものに。
3ヶ月間、薬に触れておらず、欲求不満が溜まっていた?
いいえ。
薬とは、病を治す治療薬。
いわば、病という謎を解明する探偵役。
猫猫は、薬に興味があるだけでなく、薬で病を治すことに好奇心をそそられるのです。
原) 用事がなければ作ればいい
ちいとばかし行ってみるか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
興味が湧いたからと言って、下女が簡単に上級妃の宮に行けるわけではありません。
アニメ鑑賞時、猫猫はどうやってそのエリアに行ったのか不思議でした(笑)。
その答えはコミック・原作にありました。
見に行くにも口実がないと妃のいる宮には行けないけど──
あ、小蘭だっけ、洗い物ってまだ残ってる?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック1巻
決して禁止エリアに許可無く入ったのではありません。
上級妃の宮へ行く用事を自ら作った(選んだ)のです。
だから、向かう時は洗濯カゴを持っていて、梨花妃と玉葉妃がもめている時には手ぶらだったのです。
先に洗濯カゴを届け、帰りに少~しだけ寄り道したわけですね(笑)。
つまり、洗濯カゴを持っていた時点で、上級妃エリアに行くつもりだったのです。
アニメは少し経緯を省略していたのです。
尺もあるでしょうから、仕方ないですね(苦笑)。
証拠は全て揃った
あの真ん中のオロオロしてる宦官が医官か?
バカだろ、あのヤブ。あれだけ妃二人の傍にいて、本当に気付いてないのか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
いや、それ以前に知らないのか?
妃二人を一目見て原因を確信した猫猫。
一体何に気付いたのでしょうか?
1話を最後まで見た方なら、「おしろい」が原因なのでお分かりですよね。
はい。
梨花妃の肌が異様に白いのです。
それで、猫猫は「おしろい」が原因と確信したのです。
アニメ鑑賞時、症状が進み顔色が悪いのだと思ってました・・・
私も・・・
壬氏
しばらくして東宮が亡くなった。宦官の壬氏は、亡くなった東宮と持ち直した玉葉妃の子の違いを探っていた。
謎は全て解けた!
やはり、これは呪いでも何でもない。
問題はどう伝えるかだ。何か書けるものさえがあれば・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
タイトル『薬屋のひとりごと』を1話で回収!
この独り言が、猫猫の計画、いや人生を変えてしまったのです。
独り言は単にクセでしょう。
問題は、なぜ壬氏が、こんな細かい事を覚えていたのでしょう・・・。
それは、壬氏が優秀だから?
アニメだから、気付かないと先へ進まない?
ダメですよ、思考停止しては(笑)。
私はこう考えました。
猫猫が、(美形の)壬氏に気付かなかった理由はお分かりですね。
猫猫は、どうやって妃二人に伝えようか集中して考えていたので、他のことは目に入ってこなかったのです。
まあ、そもそも猫猫は後宮にいる男(=宦官)に興味ないのは先に書いたとおり。
では、逆に──
壬氏は、なぜ(失礼ですが)外見は目立ちもしない猫猫を覚えていたのでしょうか。
壬氏は下女どころか、後宮の女性に大人気です。
姿を見せれば女性陣の注目の的。
でも一人だけ、妃二人の争いはともかく(笑)、壬氏にも目を向けることなく通り過ぎていった下女がいたのです。
これが逆に、壬氏の印象に残ったのではないでしょうか。
原作ではこう記載されています。
壬氏が人だかりをかき分けようとする中、一人だけ我関せずという雰囲気で歩いてくる者がいる。
小柄な下女で鼻から頬にかけてそばかすが密集している。他は目立った風貌ではないものの、自分に目もくれず、なにかひとりごとを言う姿が壬氏の印象に残った。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
こんなことは、壬氏にとっては珍しいことなのです。
文の主の目星
── この文一体だれが・・・。
それを探して頂きたいのです。
by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
鈴麗公主の命を救った文の主を探すよう、玉葉妃から依頼される壬氏。
そう言えば、あの時・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
壬氏は、布きれに書かれた文を見て、あの日「何か書けるものさえがあれば」と言っていた下女を思い出す。
壬氏の推理(連想)がお見事でした。
猫猫に繋がる壬氏の連想、コミックでは(原作にはない)独自の解釈がされていました。
布の切れ端に草の汁、書くものさえ用意できない者が一体・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』コミック1巻
紙も筆も使わずに書いたと思われる文。
このことが逆に、対象範囲が書くものが用意できない下女に絞られ、下女と言えば ── あの時「何か書けるものさえがあれば」と呟いていた女に繋がったのです。
お見事!
天女の笑み
宦官の壬氏は、玉葉妃に助言を与えた文の主を探し始める。
ソバカスしか覚えてなかった!?
ダメじゃないか。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
君は居残りだよね?黙ってついてこい。
猫猫はまんまと嵌められ、壬氏は見事に文の主を突き止めたシーン。
私は、最初──
てっきり、下女を片っ端から集めて、文字を見せたのだと思ってました(苦笑)。
え!?
私もそう思ってた!違うの!?
考えてみれば、小蘭は呼ばれず、猫猫だけ呼ばれています。
こんな所にいた。
by 宦官『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
今すぐ、宮官長の部屋に来るようにとのことだ。
小蘭も返事をしているので、小蘭も呼ばれたのだと思ってました。
というか下女全員が対象かと。
でも、その後、小蘭の姿は描かれていません。
もし小蘭があの場にいたら、壬氏を見て騒ぐでしょう(笑)。
猫猫だけが居残らされた時、小蘭が猫猫に声を掛けないわけがありません。
あっ!言われてみればそうかも!
小蘭は対象外、対象は猫猫だけ。
では、どういった下女を呼び出したのでしょうか?
私はてっきり猫猫に似た、背格好、髪色の下女が集められたのだと思ってました。
確かに、背格好は似通ってましたが、髪色はバラバラでしたね(苦笑)。
いや、壬氏は、数多くいる下女の中からどう絞っていったのでしょうか。
その答えは原作にありました──
部屋を出る下女たちが皆小柄で、そばかすの目立つ容貌をしていることにようやく猫猫は気が付いた。彼女たちが書き物を見てもなんの反応も示さなかったのは、それが読めないからだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
宮官長に集められたのは、「小柄のソバカス女」だったのです。
アニメをよ~く見ると、確かに皆ソバカスがあるように見えます。
前面に出さなかったのは、何かの配慮でしょうか・・・。
壬氏が覚えていた猫猫の印象は、背格好とソバカスだったのです。
そりゃそうです。
会話したわけでも、じっくり観察したわけでもない。
3,000人もいる後宮内で目立った特徴もない(失礼)女の子に、一瞬すれ違っただけなのです。
ソバカスだけでも覚えていたのは大したもの。
そこのソバカス女、お前は居残りだ。
by 宦官『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
つまり、この文章は、あの場にいる女子全員に当てはまる文章だったのです。
字が読める人は自分の事を指しているのだと思ってしまう、そんな文章になっていたのです。
それに唯一反応してしまった猫猫。
壬氏の策に、まんまとしてやられたのです。
猫猫のスカートの裾の縫い合わせた跡が、部屋に入る前に見つかってしまうのは、アニメオリジナルです。
原作の猫猫は、もっと抜け目がないです。
見えない箇所、スカートの内側に縫い目があり、外からは分からないようにしています。
大体、スカートの縫い目が分かるのなら、「ソバカス女」×「スカートの縫い目」の下女を集めれば良いだけのこと。
外見上は「ソバカス女」しか手がかりがなかったので、集めて文字を見せるしかなかったのです。
まあ、アニメでスカートの縫い目を事前に確認し、ダメ押しするように文字を見せたのは、ソバカスを前面に出せない理由があったのでしょうね。
ソバカスを前面に出さないと、猫猫を特定する根拠が弱くなってしまいます。
だから、スカートの縫い目を表に出したのではないかと推測します。
そもそも──
壬氏は、なぜこんなまどろっこしいことをしたのでしょうか?
下女は命令に絶対服従です。
この文はお前が書いたのか?と問えば良いものを・・・。
壬氏は、人をからかうのを楽しんでいる?
まあ、そんな側面もあるでしょう(笑)。
でも、本質は違いますね。
「おしろい」のことを直接伝えず、文に託した。
文が布と草の汁で書かれている事から、書くものが近くにない下女。
つまり、文の主は、読み書きできることを隠していると推測できます。
ならば、正面切って問い詰めても白をきられるだけ。
だから、文字が読めることを言い逃れできないようにするしかなかったのです。
部屋付き
文の主と突き止められた猫猫は、玉葉妃の元へ案内される。
心配していた
あ、よかった・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
今置かれている自分の状況を忘れ、鈴麗公主の元気な姿を見て、本音を漏らす猫猫。
猫猫は病気の原因を突き止め文に託しましたが、読まれたかどうかを確かめる術はありませんでした。
東宮が亡くなったことは分かったが、鈴麗公主の症状が分からず心配をしていたのです。
元気な姿を見て、猫猫は思わず安堵の「ひとりごと」が出てしまったのです。
はっきりとは描かれていませんが・・・。
我が子の無事を心の底から安堵してくれている猫猫を見て、玉葉妃は、彼女が命の恩人だと確信したのではないでしょうか。
猫猫の内にある掛け値なしの優しさを見抜き、侍女にするなんて発想になったのかもしれないですね。
私は、このシーン大好きです。
実は、猫猫のこの一言、原作やコミックにはありません。
アニメオリジナルです。
「ひとりごと」で文の主の正体を感付かれ、「ひとりごと」で本心を描写する。
まさに『薬屋のひとりごと』に相応しいアニメオリジナルですね!
素晴らしい!
下女の仕事着
これは下女の仕事着に使われる布だと知っているか?
── そういえば似てますね。
ああ、尚服に関わる下女用のものらしいな。
たとえば、君のような洗濯係とか。もしかしてスカートの裾でも裂いたのだろうか?
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
※尚服:衣服に関わる仕事 (ビッグガンガン版コミックより)
壬氏は、文が書かれた布からも、服に関わる仕事をしている下女だと目星を付けていたのです。
猫猫は、そこまで見抜かれているのなら仕方ないと、腹をくくったのです。
前々項で、原作ではスカートの縫い目は内側だと書きました。
では、原作では、スカートの部分でどのようにして猫猫を追い詰めたのでしょうか。
猫猫の生成りの裳は、壬氏の持っている布と同じ色をしている。 裳の内側、ひだでうまく隠れている部分に、奇妙な縫い目があることも調べればわかるだろう。
つまり、証拠はその場にあるということだ。
壬氏が玉葉妃の前で無礼な真似をするとは思わないが、しないとも限らない。恥をかく前に覚悟を決めるしかなかった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
壬氏の追求は止まらないと確信した猫猫は、スカートの内側まで調べられる前に諦めたのです。
物的証拠に気付かれてしまったのが、決定打になってしまったのです。
おしろい
原因はおしろいだと。
私の育った花街でも、高級おしろいを使っている妓女は多くいました。そして殆どが、おしろいに含まれる毒に体を蝕まれ、命を落としました。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
おしろいには、鉛白という鉛が含まれていました。
鉛は人体に有毒で、それが中毒症状を起こしていたのです。
ミニアニメ「猫猫のひとりごと」でも紹介されています。
鉛中毒は、作品内だけでなく現実世界でも起きています。
無知は怖いですね。
今や、ベースメイクと言えばファンデーションですが。
ファンデーションが普及する前は「おしろい」が一般的に使われていました。
おしろい全てに鉛白が使われていたのではなく、塩化水銀が使われていたおしろいもありました。
が、鉛白を使ったおしろいの方が安価でのびが良く、美しく見えることもあり愛用されていました。
鉛が人体に悪いことが分かり、日本では鉛入りのおしろいの製造は1934年に中止。
今も、おしろいは売られていますが、現在は鉛は使われていないのでご安心を。
大出世
それでは、今日から私の侍女になってもらいます。
by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
「玉葉妃の侍女」とは、玉葉妃のお世話をする係。
そして、玉葉妃は帝の寵愛を受けている女性。
そんな方の侍女なんて、とんでもない大出世。
原作では、洗濯係の下女を猫猫はこう評しています──
先帝の花の園には到底及ばないものの、妃、女官合わせて二千人、宦官を加えると三千人の大所帯だ。
猫猫はその中で最下層の下女であり、官職すらもらっていない。特に後ろ盾もなく、さらわれて数合わせにされた娘にはそれが妥当なところだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
洗濯係は、下女の中でも最下層。
いや、文字の読み書きを隠してわざと最下層の洗濯係にいたのです。
それが、トップクラスの女官に!
命の恩人に報いたいのか、それとも読み書きができ薬の知識がある猫猫を買ったのでしょうか。
だとしても、即決過ぎる気がします(笑)。
さて、玉葉妃と壬氏は、猫猫を侍女にして何を企んでいる?のでしょうか。
おわりに (『薬屋のひとりごと』1話とは)
すみません、私はすっかり勘違いしていました。
(本作に限らず)私は、アニメ鑑賞時、全くと言っていいほど事前情報を入れません。
『薬屋のひとりごと』を観ると決めたのもPVを”軽く”見た瞬間。
本編で楽しみたいので、”観る”と決めたらPVもその先は見ません(笑)
「薬の知識で事件を解決していく物語」的な捉え方でした。
なので・・・。
すみません、なぜか転生物だと思い込んでいました!
現世の薬学の知識を持って転生して無双する物語だと(爆)。
無知は罪ですね。 (←違うっ)
「なろう原作」ならば転生と思う条件反射。 (←それも失礼っ!)
舞台は架空の中国ではあるものの。
内容はとても真っ直ぐで真剣。
嬉しい誤算で驚きました。
さて、ある意味平和ではありますが、閉ざされた特殊な空間・後宮で、一体どんな事件(謎)が待ち受けているのでしょうか。
毎週が楽しみになる作品になりそうです。
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第1話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
2話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 1話
— 時文@ここアニ(シャンフロ・アンファルレビュー中) (@toki23_a) October 26, 2023
能ある鷹は爪隠すが独り言は隠せない🤣
触らぬ神に祟りなしでも
放っておけなかったのは優しさか
他方、目星付けていたが文字見せて確認したわけね
侍女に出世させた目的は?な1話
原作未読。これが「なろう」とは素直に驚き😆
人攫いは問題にならないのね😓
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