【文字数(本文):約1万文字(目安16分)】
こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第8話「麦稈」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
1巻 23話「麦稈」24話「誤解」
- コミック
-
2巻 8話「里帰り」中盤~9話「下女の死」序盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第1話 | 猫猫 | 1巻 | 1巻 |
第2話 | 無愛想な薬師 | ||
第3話 | 幽霊騒動 | ||
第4話 | 恫喝 | ||
第5話 | 暗躍 | 2巻 | |
第6話 | 園遊会 | ||
第7話 | 里帰り | ||
第8話 | 麦稈 | ||
第9話 | |||
第10話 | 3巻 | ||
第11話 | |||
第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
10ヶ月ぶりに里帰りできた猫猫。
家で目を覚ますと、禿が扉を叩く。
禿に連れられてある娼館へと向かうと、そこには妓女と男が倒れていた・・・。
猫猫がいる所に事件あり!?
これは名探偵の宿命か。
事件読めても自分に対する恋心は読めない?
これも名探偵の鉄板か(笑)。
生まれ育った花街が一番と思っていたが、男と女の事件は後宮も花街も変わらない。
口は災いの元。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
薬師の役目は命助けること、それ以上の深入りは・・・。
だが、説明不足も時に誤解を生む。
それが、自分を慕ってくれている人であれば、尚のこと・・・。
そのバランスが上手い!
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第8話「麦稈」
麦稈
久しぶりに実家に泊まった翌日、猫猫は慌てた様子で薬師を呼びに来た禿に連れられて、ある娼館へ向かう。そこには毒を飲んだ妓女と男が倒れていた。
里帰り
帰ってきたんだ。
ベタつく。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
オヤジは・・・畑か。
前話に続いて寝起きから始まった第8話。
オヤジは畑で薬草を育てているだけではなく、家の周りでも薬草を植えています。
猫猫がつまんでいたのも薬草ですね。
妓女見習い
ん?見ない顔だな。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
よその禿か。
禿とは見習いの少女のこと。
前話、猫猫の語りでも述べられていましたね。
禿と呼ばれる妓女見習いですら、売れる保証はない世界だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第7話
上記セリフの際、掃き掃除をしている少女が描かれます。
この子が今話の禿でしょうか。
ただ、猫猫の知っている禿ではないので、緑青館ではなく別の店だと推測します。
後に、この禿が男を恨んでいたことが分かります。
禿がこの男を殺す計画に加担していたとして考察してみましょう。
よく見ると、猫猫に声を掛けられた禿は困った顔をしていますね。
今日はたまたま私が家に帰っていたが、いつも買い物をしている子なら、オヤジのいない時間くらい知っていたかもしれない。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
いないはずの薬屋に人がいたのです。
これでは計画が狂ってします。
禿は猫猫が薬師かどうかの確認もせずに来るように言います。
(アニメでは)この禿は猫猫と初対面。
禿は、猫猫を薬師ではない、あるいは自分と同じように見習いだと思ったのかもしれませんね。
慌てていたので確認もせずに連れてきてしまった、という状況にしたのです。
オヤジを連れてきたときは、ゆっくり。
猫猫を連れてきたのは、駆け足。
この辻褄も合いますね。
オヤジには及ばないものの、猫猫が優秀だったことが禿の誤算だったのです。
この禿、末恐ろしい子です・・・。
事件勃発
姐さん!
by 禿『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
薬屋連れてきた。
男女が倒れている状況を見て、目を覚ます猫猫。
息のない男の方を猫猫が処置し、女の方は妓女が猫猫の真似をする。
女の方は息があったこともあり、簡単に吐き出してくれた。
男の方は簡単にはいかず──
吐かせては息を入れ、胸を何度も押し返すことを何回やっただろうか。ごぼっと胃液が口からあふれたかと思うと、男はようやく息を吹き返した。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
人工呼吸を何度も繰り返してやっとの思いで息を吹き返してくれたのです。
朝から一体なんなんだよ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
水で口をゆすいだのは、口に入った毒を洗い流すため。(さすがに飲まないのね(笑))
窓から外へ吐き出したのでしょう。
だから、窓に寄りかかっていたのです。
気遣い?それとも・・・
猫猫:遅かったな、オヤジ。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
羅門:この子が足を気遣ってくれたんだ。
遅かったとはどれ位だったのでしょうか?
それは、原作に記載がありました。
足の悪い老人が禿に連れられやってきたのは四半時後のことだ。ずいぶん時間がかかったな、と猫猫は思いながら、丁寧につぶした炭をおやじに見せた。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
「四半時」=30分。
連れてくるのに30分かかったのです。
行って帰ってくるのに30分は、それほど遅いとは感じませんが・・・。
思っているより近いのかもしれないですね外壁にある畑や家は。
禿がオヤジの足を気遣ってゆっくり歩いてきたので、時間がかかったと言うのです。
男を憎む禿からしてみれば ──
(助けたい)女の方は、毒を吐き出し一命を取り留めた。
(殺したい)男の方は、息を吹き返したが意識を取り戻さない。
男への治療を遅らせることが男への復讐に繋がるのです。
オヤジの足を気遣うことで少しでも時間を稼いだのでしょう。
猫猫が落ち着いているということは、一刻を争うような危険な状態を脱したとは分からずに・・・。
炭の吸着力
猫猫:炭は潰しておいた。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
羅門:ああ、すぐに薬草に混ぜて飲ませよう。
炭を何に使うのかと思いきや・・・。
なんと、飲ませるのです!
その理由は、ミニアニメで説明がありました。
炭には毒素を吸着する性質があります。
なので、炭をすり潰して飲ませることで、毒素を吸収して体外に排出させるのです。
そういや、炭には消臭効果もあるな
炭スゴッ!
師匠
オヤジは1の情報から2も3も知ることができる人間だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
猫猫の薬と毒の知識は、師匠であるオヤジから教わった事は想定していました。
が、なんと、推理力もオヤジに鍛えられていたのです。
原作ではもっと踏み込んだ記載が──
猫猫が周りを観察する癖があるのは、このおやじの癖がうつったといってもいい。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
猫猫の観察眼は、好奇心から来たのだと思っていました。
が、これもオヤジを真似ている内に身についたのです。
オヤジは、薬師の師匠だけでなく探偵の師匠でもあったのです。
原作ではこんなことまで言っています──
まるで子どもに教えるように丁寧におやじは言う。猫猫がまだ自分が薬師として一人前でないと思うのは、おやじがいるからだろう。やぶ医者が見た目以上にやぶに見えるのも、おやじという存在をずっと見てきたからかもしれない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
猫猫はこれだけ優秀なのに、後宮で知識をひけらかさないのは、オヤジという存在があるから。
医者や薬師を見ても、オヤジと比較してしまうのです。
なるほど。
猫猫が早く家に帰りたがっていたのは、オヤジの体を心配しているだけでなく、まだまだオヤジから学びたいと思っているからなのです。
そりゃあ、こんな師匠と比べたらやぶ医者は…
人はいいんだけどね…
麦わら
なるほど、器に紅が移らないように使うのか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
今話のサブタイトルにもなっている「麦稈」。
お茶に添えられたのは(筒状の)麦の茎。
口紅が器に付かないようにする配慮だったのです。
今でいうとストローですね。
客用の茶菓子を用意したので、女性である猫猫にだけ麦わらが用意されたのです。
でもなぜ猫猫は麦わらストローを知らなかったのでしょうか。
どう見ても、この娼館より緑青館の方が格上です。
この気遣いが、緑青館でされていないわけがありません。
その疑問は、原作に回答がありました。
麦の茎は中が空洞になっており、これを筒にして茶を飲めということらしい。ここの娼館では器に紅がうつることを嫌い、麦稈で茶を飲む習慣があるようだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
麦わらストローを使う習慣は、この娼館ならではだったのです。
だから物知り猫猫も知らず、トリックに気付くのに少し時間がかかったのです。
そこでしか使われていない物をトリックに使うのはミステリの定番だね
そんな、身も蓋もない…
タバコの葉
タバコの葉は猛毒だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
心中で使うなら、これだと思う。
タバコの葉は猛毒。
火を付けて煙を吸う分には(健康に害はあっても)問題ありませんが、直接体内に入れると量によっては重篤になります。
(猫猫が最初考えたように)タバコの葉を直接飲ませても、体内に取り入れられるのは時間がかかります。
最初から酒に溶かしておけば、体内への吸収率が上がります。
麦わらストロートリックを使うためか、殺傷力を上げるためかは分かりません。
ですが──
結果的に、酒に溶かしておくことで毒の殺傷能力が高まったのです。
水あるいは酒に溶かして飲んだのなら、水を飲ませて胃の中の毒成分を薄めることが効果的だったのです。
男女が吐いた嘔吐物にタバコの葉がないことからこの事実に気付かないといけない、とオヤジは猫猫に教えたのです。
謎は全て解けた?
これは心中じゃない、殺人だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
裕福で軽薄な男が無理心中する可能性は低い。
ならば、男を道連れにした女の無理心中?
だけど何度も殺されかけた男は自分が恨まれていると知っているから慎重なはず。
ポイントは、警戒心を持った男にどうやって毒を飲ませたか。
猫猫が注目したのは ──
2種類の酒と1つの器、そしてストローですね。
酒は2種類、器は一つ。
このことから、二人が一つの器で飲み回していると仮定して、女が毒味することで男の警戒心を解いたと推理したのです。
酒は中身が違えば濃さや重さが違う。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
液体はそれぞれ重さ(比重)が違います。
お酒も同様です。
この妓女は、カクテルを楽しむように、酒で層を作り男に振る舞っていたのです。
片方は毒酒であることを知らず・・・。
妓女は、麦わらストローを使い毒の入ってない下の層の酒を飲んで毒味をクリアしたのです。
お見事。
男に毒を飲ませたあと ──
タバコの葉を散りばめたのは、タバコの葉を飲み心中を図ったと思わせるため。
器を落としたのは、二つの層を作ったトリックが見つからないようにするため。
ならば、酒瓶まで落としたのは、酒に毒が入っているのを隠すためか・・・。
いや、完全に中身がなくなったわけではないので、調べられれば分かりますね。
だとしたら、捜査攪乱目的か・・・。
あるいは、これが近くにいる協力者へのサインだったかもしれないですね。
器や酒瓶が落ちた音がしたら計画スタートだと。
妓女は毒を飲んだ後、すぐに処置してもらわないと助かりません。
少量しか飲んでないとは言え、時間が経ってしまうと間に合いません。
器が割れたり酒瓶が落ちる音がしたら、異常を感じて部屋を覗いても怪しまれません。
ちょうど良い連絡手段になるのです。
あくまで私個人の考察ですが──
もしそうだとしたら、その後の禿の動きといい、本当に綿密に練られた殺人計画ですね。
一点、今回の事件と直接関係ありませんが、原作に興味深い描写がありました。
猫猫が園遊会の場で口にした毒のように、遅行性のものもあるだろうが、今回の毒はおそらく煙草だ。あれは、口にすると刺激があり、すぐ吐き出してしまうものである。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
なんと園遊会で猫猫が飲んだ毒は「遅効性」だったのです。
- 遅効性の毒なのに猫猫は見抜いた
- 遅効性の毒なのに大臣は(すぐに?)倒れた
私は、毒味役がいるのに毒を仕込んだって無駄だと書きました。(6話 )
でも遅効性なら話は別です。
毒味をすり抜けられるのです。
もし、器が入れ替えられなかったら・・・。
毒味役は勿論、里樹妃も危なかったのです。
薬屋のひとりごと
もう終わったことだよ。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
猫猫は薬師であり探偵ではない。
仕事は薬屋であり正義の味方ではない。
事件の真相を解明したかに見えた猫猫も、それを口にすることはなし。
ずっと帰りたかった花街も、本質は後宮と変わらない。
花園であり鳥籠だ。
みんな閉じこもった空気に毒されていく。妓女も周りの毒を食らうことで、甘い毒へと変わっていく。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
アニメ鑑賞時、猫猫のこのセリフを聞いたとき ──
私はてっきり、後宮でも花街でも男と女のトラブルは付き物的な話をしているのかと思っていました。
後半の方が重要ですね。
花街も後宮も、花園であり鳥籠。
異質な閉鎖空間で何かを求める女達。
今の状況を変えたい。
今いる場所を抜け出したい。
願いを叶えるために一線を越えてしまう。
あるいは、他の方法が考えられなくなってしまう。
男を助けたことで、その男は妓女に仕返しをするかもしれない。
逆手に取って、娼館が男を脅すかもしれない。
だけど──
そんなことをいちいち考えていては、この街で生きていけない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
猫猫は薬屋。
「生きたいと願う人を救う」のが仕事。
それ以外は、薬屋の領分ではないのです。
如何に真実を見抜こうと、心に納めておく。
真実を知りたいのは好奇心ゆえ抑えられない。
でも見つけた真実は口外しない。
「薬屋のひとりごと」は、この街で生きていく知恵なのです。
ア) 皆心配していた
猫猫が急に行方不明になって、みんな心配してたのよ。
白鈴も女華もおばばも。── え?そんなこと、一言も・・・。
いつも通りだったでしょう?
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
あんたが帰ってきたからよ。
10ヶ月ぶりに帰ってきたのに、感動の再会シーンもなく肩透かしだった前話。
皆一様に心配をしていたが、猫猫が無事に帰ってきたのでいつも通りに接してくれたのです。
子供扱いではなく、一人の人間として見ている証拠ですね。
ア) 離れ
猫猫、離れには行ったの?
by 梅梅『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
原作は梅梅との入浴シーンがないので、当然上記セリフもありません。
それどころか、離れに行くシーンも原作にはありません。
気前がいい婆から報酬を受け取る際 ──
── いや、そんなに・・・
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
おやじ、今月やり手婆に家賃払えるのか?
この時、猫猫言っていた家賃は、この離れのことでしょう。
オヤジと猫猫は、家賃を払って、緑青館に誰かを住まわしてもらっているのです。
見た目は痩せ細った女性。
猫猫の家族でしょうか。
会話がないことから、寝たきりなのかもしれませんね。
前話ラストにオヤジが言っていた ──
後宮とは、因果だねえ。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第7話
後宮云々と関連してきそうですね。
オヤジの言う「後宮とは因果だね」とは?
緑青館の離れにいるのは誰?
基本は真面目
── もう後宮に戻るの?
年季がまだ1年残ってるし。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
仕事を放棄したら迷惑がかかる。
3日間の里帰り。
猫猫は、拉致されて後宮に入れられたのです。
本来なら、2年の後宮勤めも特別な計らいがあっても良いはず・・・。
でも、猫猫は皆に期待をされて働いています。
それに毒味役は猫猫にとっては天職であり、それ以外の仕事をほぼ免除されているのでホワイト職場。
それでも、オヤジの健康は気になるし、離れにも・・・。
一日でも早く花街に戻りたい気持ちは変わらないでしょう。
それと、約束通り3日で帰るのは、身元引受人である李白に迷惑がかかるから。
原作には湯浴みのシーンはありませんが、このセリフに関する描写はあります。
懐かしい顔ぶれに会い、このままいたい気持ちも強かったが、後宮の仕事を放棄するわけにもいかない。また、身元引受人の李白に迷惑がかかるので帰らないわけにいかない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
期限内に侍女を後宮に戻さないと、きっと李白が責められるのでしょう。
基本、猫猫は基本真面目なのです。
そういや、この3日間玉葉妃の毒味は誰がやってるんだろ?
あ!?
誤解
3日間の短い里帰りは終わり、李白と共に後宮へ戻る猫猫。翡翠宮では剣呑とした空気を纏った壬氏が待っていた・・・。
借金まみれ!?
白鈴:もう帰っちゃうなんて残念だわ。ねえ李白様。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
李白:やは~~実に残念だ。
猫猫:いい夢、見れたみたいだな。
え!?
猫猫の里帰りは3日間・・・。
李白は三日三晩、白鈴と一緒にいたの!?
いい夢見れたみたいだな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
一度、天上の甘露を知れば、地上には戻れない。
きっと生かさず殺さず搾り取られることだろう。
猫猫、恩人に何てことを・・・。
李白は完全に破滅の道を進んでいるのでは?
いや、破滅ではなく廃人か骨抜きか・・・。
まあ・・・幸せそうだからいいか(爆)。
とはいえ前払いで足りなかった銀を補うのは私だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
── 帰ってくるときは、連絡しな。
おかげで次の身売り先が決定である。
緑青館は「一晩で(武官の)1年分の給金が吹っ飛ぶ高級妓楼」。
しかも三姫の一人・白鈴を3日間独占したのです。
一体、いくら支払わなくてはならないのか・・・。
猫猫が後宮で働いた10ヶ月分の給金の半分で「お茶」代を払えるかどうか程度。
残り1年少し働き全額をつぎ込んだとしても返せないのです・・・。
だから「次の身売り先が決定」。
つまり、後宮のお勤めが終わったら、緑青館で妓女になる路線が濃厚になったのです(苦笑)。
「なろう」に似つかわしくない苦労人生ですね
無双なのに将来は妓女!?
原作では、やり手婆が手ぐすね引いています(笑)。
懐かしい顔ぶれに会い、このままいたい気持ちも強かったが、後宮の仕事を放棄するわけにもいかない。また、身元引受人の李白に迷惑がかかるので帰らないわけにいかない。
なにより、どんな嗜虐趣味を猫猫の初売りに出そうか考えているやり手婆に背中を押されたこととなる。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
※ルビは原作通り
三姫のような色気も大きな果物も持たない猫猫。
やり手婆は、それはそれで売り出す算段があるようです(苦笑)。
三者三様
なぜだろう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
やたらこっちを睨んでいる・・・。
3日間の里帰りを終え、翡翠宮に戻った猫猫。
なぜかそこには壬氏も・・・。
猫猫が帰るのを壬氏はわざわざ待っていたの!?
いや、待ちきれなかったのでしょうね(苦笑)。
このシーン、壬氏に注目してしまいますが、他の方々の表情をよ~く見て下さい。
色んな表情をしています。
私が解説するより、原作引用した方がいいでしょう(笑)。
「応接室で待っているぞ」
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
耳元に蜂蜜のような声が流れる。蜜は蜜でも、鳥兜の蜜である。毒が含まれている。
後ろで、あきらめろと目で語る高順がいる。
困ったようでいて、目を輝かせている玉葉妃がいる。
なぜだか猫猫を責めるような目で見る紅娘がいる。
侍女三人娘も心配より好奇心が上回っている。後で根掘り葉掘り聞かれることだろう。
(一体、なにがどうしたと?)
可能ならもう一度アニメをご覧下さい。
アニメは実に的確に描写されています。
猫猫の里帰りの実態を知る者と知らない者。
壬氏の気持ちに気付いている者と気付いていない者。
小騒ぎを祭の如き楽しむ者と諫める者。
三者三様、いや7人いるからもはや十人十色か(笑)。
一つの状況を理解度、立場、性格の違いでここまで違う感情を交わらせるとは、お見事!
誤解が誤解を生む
失礼致します。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
いつものキラキラ感はなく、横柄な態度。
自分の事を「俺」呼ばわりして、完全にいつもと違う壬氏。
猫猫は、その理由に全く気付くことなく、質問に答えていく。
壬氏の発言と態度から、ようやく不機嫌な理由に思い至る ──
要するに自分に話が来なかったのが気に食わないのか。
不思議なものだ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
面倒事には関わらない方が楽に決まっているのに。
猫猫さん全然違います!
目の前で起きた事件は見抜けても。
自分に向けられた好意には超鈍感、いや気付いていてもドライな猫猫はヤキモキする気持ちは分からないか・・・(苦笑)
猫猫の間違った解釈が、更に誤解を生んでいく・・・。
申し訳ありません。
壬氏様にご満足頂ける対価など、思いつかなかったもので。── 対価って何だ? お前、それを李白って奴に払ったのか?
ええ!
一夜の夢に喜んでおりました。── 一夜・・・。
大変ご満足いただけたようで。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
こちらとしても頑張った甲斐がありました。
猫猫さん、言い方!
諸々省略しすぎです。
事情を知っている人でないと正しく理解できません。
先のセリフに原作の心情描写を要約して追加してみました。
申し訳ありません。
壬氏様にご満足頂ける対価など、思いつかなかったもので。
(宦官を妓楼に誘うなど失礼/なにより壬氏を紹介すると妓女が拐かされやり手婆に叱られる)── 対価って何だ? お前、それを李白って奴に払ったのか?
ええ!
一夜の夢に喜んでおりました。
(勇ましい武人も白鈴にしてみれば猫の子同然)── 一夜・・・。
大変ご満足いただけたようで。
こちらとしても頑張った甲斐がありました。
(給金前借りした甲斐があった/新規顧客探しも頑張らないと)※括弧内は原作の心情描写を要約
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第8話
こうして並べてみると、猫猫は聞かれたことを正直に話しているだけ。
ただ全てではなく、一部しか話していないのです。
事情を知っている玉葉妃は、猫猫が言っていることを理解できるし、壬氏が誤解するのも分かってます。
玉葉妃:まったく。可哀想なのはあの子だわ。本当に面白い。あの子どんな顔するのかしら・・・。
紅娘:これは、またひと悶着ありそうですね・・・。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第7話
玉葉妃の期待した通り、誤解が誤解を生む事態が起きたのです(笑)。
紅娘も事情を知っているので、猫猫が言っていることは理解しています。
叩いたのは「もう少しキチンと説明しなさい」という意味でしょう。
いや・・・もはや猫猫がわざとやっていると思ったのかもしれないですね(笑)。
それにしても壬氏様。
段々、地が出て来ましたね(笑)。
おわりに (『薬屋のひとりごと』8話とは)
前話に続いて今話も薬の出番はなし。
ですが ──
前話、粉の使い方。
今話、麦わらや炭といった小道具の使い方が面白いですね。
炭はある意味、薬と言えますね
それにしても、まさかもう後宮へ戻るとは思いませんでした。
事件があったので、実質里帰りと言えるシーンは僅か。
そんな中でも際立ったのはオヤジのただ者じゃない感!
まあ、それを表現するために事件を入れたのでしょう
なるほど~
これは確かに、他の薬屋や医者は頼りなく見えてしまうでしょう。
ましてや後宮のやぶ医者なんて・・・。
薬師としてのだけではなく探偵としての師匠。
いいえ、この世界での生き方を指南する良き師匠と言えそうですね。
ちょっと人が良すぎて、後宮や花街のような弱肉強食の世界では食い物にされてしまいそうですが(笑)。
猫猫の「面倒事には関わらない」考えも師匠の教えによるものでしょう。
ただ猫猫の場合、好奇心が止められないので色々首を突っ込んでしまうのです・・・。
さて「後宮とは因果だね」。
猫猫が誰かと同じ道を辿っていないか心配です。
ただ、現状と変わらない状況で花街に戻ってくると、緑青館の妓女就任が確定してしまうので、これまた悩ましいことに・・・。
頑張れ猫猫!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第8話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
9話のレビューも書く予定です。
良かったらまたお越し下さい。
最新情報はX(旧Twitter)(@toki23_a)にて!
ではでは。
いや感想を聞きたかったな~~
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 03-03 芙蓉妃は、どうやって城壁に登ったのか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 06-03 園遊会で狙われたのは徳妃・里樹妃?
- 疑問 06-04 園遊会で毒を仕込んだのは誰?
- 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 07-03 オヤジの言う「後宮とは因果だね」とは?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 8話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) November 29, 2023
事件読めても異性の心読めぬは名探偵の宿命か🤣
生まれ育った花街が一番と思いきや
周囲で起きる事はさほど変わらない
どこの世界も男はバカで単純
過ぎたるは及ばざるがごとし
命助けるまでは役目だがそれ以上は..
が、説明不足も誤解生む🤣塩梅が上手い
で腕はなんだったの!?
関連記事
アニメ『薬屋のひとりごと』第9話のレビューはこちら!