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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第19話「偶然か必然か」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
2巻 11話「偶然か必然か」・12話「中祀」
- コミック
-
5巻 22話「偶然か、必然か」中盤 ~ 6巻 23話「中祀」
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
- 倉庫番は、なぜキセルを受け取らなかった?
原) その後、倉庫番は・・・ - 結局、李白は何しに来た?
- 猫猫は、翠苓を売ったのか?
- 犯人は、なぜこんなまどろっこしいやり方をする?
- 原) 文書は猫猫が見ても問題ない?それとも高順の手配?
書庫の男は、なぜ猫猫に親切? - 猫猫は、武官を挑発して何を狙った?
- (考察) 羅漢は、なぜ猫猫が殴られる前に出てこなかった?
- 原) 猫猫は、なぜそこまでして・・・
- 原) 湯浴みするのに、なぜ高順に頼む?
- 原) 猫猫は、なぜやんごとない方を押し倒した?
- 猫猫は、気を失う前に何をしようとした?
- (考察) 壬氏は、なぜ顔を隠さず出ていった?
- (考察) 羅漢は、一連の事件に関与しているのか?
- (考察) 羅漢は、なぜあんな表情を?
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第13話 | 外廷勤務 | 4巻 | 2巻 |
第14話 | 新しい淑妃 | ||
第15話 | 鱠 | ||
5巻 | |||
第16話 | 鉛 | ||
第17話 | 街歩き | ||
第18話 | 羅漢 | ||
第19話 | 偶然か必然か | ||
6巻 | |||
第20話 | |||
第21話 | |||
第22話 | 7巻 | ||
第23話 | |||
第24話 | |||
8巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
李白から先日のボヤ騒ぎに乗じて祭具が盗まれたと聞いた猫猫は、一連の事故に誰かの意図を感じる。
浩然の事件も関連していることから壬氏にあらましを話すと、猫猫は調査を命じられる。
馬にニンジン、猫に牛黄。
最初は飴欲しさで調査着手も、微かに見えた事件事故の裏に潜む真の目的。
他人頼み、運頼りの計画が、密かに王手をかけていた!?
猫猫は、人の死に無感情。
だけど、現在進行形の命の危機は全力で阻止。
無礼も武官も何のその、手練手管で切り抜ける。
辿り着いた聖域で、次の手を探るも、命の危険とあらば体が動く・・・。
お見事!
そこまでする猫猫の原動力は一体何なの!?
と思いながら原作を読むと驚愕の事実が・・・。(後述)
とりあえず、早く止血してあげて!(涙)
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第19話「偶然か必然か」
偶然か必然か
軍師・羅漢が猫猫の父親であると知り、思い悩む壬氏。一方、猫猫は先日の小火騒ぎに乗じて祭具が盗まれたことを李白から聞く。
盗まれた祭具
前に倉庫で小火があったろ。
同じ日に別の倉庫で盗みがあったみたいなんだ。あの時の騒ぎに乗じたとしか考えられない。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
小火とは14話後半 にあった粉塵爆発事故のこと。
同じ日に、別の倉庫から祭具が盗まれたというのです。
火事場泥棒ですか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
「火事場泥棒」とは、火事や災害の混乱で人がいないのをいいことに、盗みを働くこと。
小火騒ぎで警備が手薄になった隙を狙った衝動的な犯罪だと、聞いた瞬間は考えたのです。
ところが ──
小火と同時に起きた窃盗。
倉庫の管理者は、同じ時期に食中毒で不在。偶然にしては不可解だ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
倉庫の管理者が運悪く病気で不在。
それどころか ──
以前、壬氏様から聞いた甘党の堅物高官。
塩の過剰摂取で死んだ男だ。これがすべて偶然の重なり?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
偶然が2つどころか、3つも重なったのです。
いや、小火騒ぎ、祭具の窃盗、管理者の食中毒、前管理者の死、と考えると4つですね。
これだけ重なると、祭具の窃盗は「火事場泥棒」ではなく。
祭具を盗みやすい状況を意図的に作った可能性があるのです。
「祭具の管理者不在」は同時に品質管理にも影響、一石二鳥を狙ったかも…
皆さん、もうお分かりでしょうが、念のため復習しておきます。
倉庫の前管理者と、現管理者の事故(事件)には、裏で動いていた人物がいます。
亡くなった前管理者とは、9話前半で描かれた、甘党の酒飲み浩然のこと。
浩然の死因は塩分の大量摂取。
大量摂取したのは、誰かが酒に塩を混入したからです。(9話 )
そう言えば、壬氏は高順に、塩を入れた人物を調査するよう指示していましたが、どうなったのだろう?
食中毒で不在の現管理者とは、15話で描かれた、鱠料理に毒が混入されて昏睡状態の官僚のこと。
犯人は弟でしたが ──
裏には、正しい毒抜きをしていない海藻は危険だと入れ知恵した男がいます。(15話 )
同じ海藻でも下ごしらえによっては毒が残ると、悪知恵を与えたのは誰か?
この男が、一連の事件の黒幕、あるいは手先(実行犯)なのです。
9話、15話にチラッと写っていた男が主犯!?
相当手の込んだ大きな陰謀だから、下っ端かもね
小火騒ぎは祭具を盗むための囮・・・。
それが、猫猫の次のセリフに繋がるのです。
小火を起こして、警備が薄くなった隙に、別の倉庫に忍び込む。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
初めからそれを狙って官女が倉庫番にキセルを渡したとしたら・・・。
キセルを渡して小火(粉塵爆発)を引き起こすなど、なんて運任せな・・・。
倉庫番はヘビースモーカーでしょうか(笑)。
高級キセル
嬢ちゃんから預かってたこれなんだけどよ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
── ああ、小火の時の。
まずはホッとしました。
あのキセル、てっきり猫猫が自分の懐に入れたと思っていました(苦笑)。
失礼しましたーー!
猫猫をそんな風に思っていたなんて!
だって・・・。
売ればそれなりの金になりそうだ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第14話
なんて言ってましたからね(苦笑)。
でも、その後 ──
というか倉庫番が持つには立派過ぎる。
もしかしたら、大切なものかな。磨いて返してやるか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第14話
と言っていたので、大丈夫だと思っていましたが・・・。
返すシーンが描かれないので忘れているのでは?と(苦笑)。
祭具が盗まれたと聞いて、一瞬…一瞬だけキセルのことでは!?と思ってしまった(苦笑)
原作では ──
李白がごそごそと懐からなにかを取り出す。見てみると、以前、猫猫が焼けた倉庫で拾った象牙の煙管だった。綺麗に洗い、作り直したものを先日李白に預けていた。そのうち、倉庫番に返してくれると言っていたが。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
磨いて返すどころか、作り直していたのです。
猫猫偉い!
どの口が・・・
受け取り拒否
嬢ちゃんから預かってたこれなんだけどよ。
── ああ、小火の時の。返そうとしたら、持ち主に突き返されちまってよ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
いらないってさ。
随分と高級そうなキセルなのに、受け取りを拒んだ倉庫番。
少し小火で煤けたかもしれませんが、見る限り猫猫がキレイに掃除した様子。
なのに、受け取りを拒否していたのです。
なぜでしょうか?
原作やコミックにその答えはありません。
ですが、理由を想像できるヒントが原作に書かれていました。
倉庫番は小火の責任を取らされて解雇されたという。高価なものじゃなかったのかと思ったが、どうやら貰いものらしい。ずいぶん気前がいい話だ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
倉庫番は、先日の小火で解雇されていたのです。
ならば、小火の原因となったキセルは二度と見たくないかもしれないですね・・・。
その世界を知る者に聞くのが一番?
それで私に何かご用ですか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
結局、李白は何をしに猫猫の所に来たのでしょうか?
知恵を借りてはいますが、それが主目的ではなさそうです。
それだ!本題。
嬢ちゃんから預かってたこれなんだけどよ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
── ああ、小火の時の。
猫猫から、返すよう預かっていたキセル。
倉庫番が受け取ってくれなかったことの報告でしょうか?
違いますね。
その後に言った言葉に、わざわざ猫猫の所にまで来た理由があったのです。
女にしては上背があって、何か薬の匂いがしたそうだ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
身長からしてお前じゃないのは分かってるんだが、心当たりはないか?
薬の匂いがする女に、思い当たる人がいないか確認に来たのです。
薬師である猫猫なら、薬師繋がりで知っているかもしれないと考えたのでしょう。
いつの間に、李白は猫猫が薬師だと知ったのか、少し疑問だけど…
猫猫は園遊会で毒味をしていたので、毒味役だとは知っています。
その後、白鈴目当てに緑青館近辺に行っていたので、猫猫が薬師であることも聞いたのでしょう。
いや・・・。
もしかすると、翠苓同様、猫猫も薬の匂いがするのかもしれないですね(笑)。
だから「薬の匂いがする女」と聞いて李白の頭に猫猫が浮かんだのかも。
(でも背が低いので、すぐに違うと気付いた)
なにせ猫猫は、四六時中薬漬けですからね。
言い方!
推測で告げたりはしない
薬の匂い、長身の官女・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
薬の匂いがする長身の官女・・・。
猫猫に思い当たる人は一人しかいません。
でも、それだけで決めつけてはいけません。
なにせ、外廷の官女と全員会っているわけではないのですから。
ただ、この官女には、単にお礼としてキセルを渡したのではなく、何からの意図が透けて見えます。
言ってみれば、この倉庫番を利用し、嵌めたのです。
顔を隠していたのも、見つかりたくないから。
怪しさ満点の、この官女 ──
昨年の浩然死亡から始まる一連の事件で、数少ない容疑者とも言えるのです。
オヤジの教え「憶測で物を言っちゃいけないよ」を思い出しながらも、全く伝えないのもマズいと猫猫は考えたのです。
そこで猫猫は別のアプローチ方法を提案します。
原作では ──
ここで素直に口にしてしまったほうがいいかもしれない。その一方で、おやじの口癖を思い出す。憶測で物ごとを言っちゃいけないと。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
猫猫はどうするかと考えた挙句、妥協案を口にした。
翠苓のことを李白に伝えて、早く調査してもらった方が良いとも考えています。
が、その程度当てはまるだけで決めつけてはいけないと思い留まるのです。
偶然がいくつも重なって、やがて必然になった時、ここにその長身の官女に似た人物がいたらどうでしょうか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
小火騒ぎだけでなく、これまでの事件事故も含め切っ掛けとなった人を探り、共通する人物がいれば、そいつが怪しいと伝えたのです。
そこに背の高い官女、翠苓が現れても、猫猫が告げ口したことにはなりませんね。
でも、これまでの事件を振り返ると、共通するのは背の高い官女ではなく ──
浩然の酒に塩を入れた男と、海藻の毒を教えた男です。
二つの事件で描かれる男は、とてもよく似ています。(15話 )
翠苓ではなく、この男の方が重要参考人な気がしますが・・・。
そういや、小火騒ぎでは姿見せてませんね。
まさか女装!?
!?
いや、さすがに声でバレるでしょ~~
そうだよねー
私は○○しただけ
一つの事件を確実にというより、いくつか罠を仕掛けてどれかが成功すれば良い。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
という具合にも見えます。
今話終盤で、浩然の死亡、食中毒の官僚、小火からの祭具盗難事件が、やんごとない方の命を狙ったものだと分かります。
が、犯人は、なぜこんなまどろっこしいやり方をするのでしょうか?
理由は、分かりますよね。
犯人は、やんごとない方の命を誰が狙ったのか分からぬよう、不幸が重なった単なる事故に見せかけようとしているのです。
『薬屋のひとりごと』では、身分の高い貴人の命を狙うと重い罪が科せられます。
本人だけでなく、親族も全て罰せられます。
里樹妃殺害を目論んだ、柘榴宮侍女頭・風明は処刑。
風明の親族も財産を没収され、すべて肉刑に処されました。(12話 )
上級妃の命を狙っただけで、これだけの罰。
やんごとない方、(恐らく)現帝の弟君である壬氏様の命を狙ったとあれば、その罪の重さは推して知るべし。
決して誰がやったかバレてはいけないのです。
そう考えていくと ──
- 浩然死亡事件は、酒に塩を入れただけ
⇒ 嫌がらせをしただけ、塩の摂り過ぎで死ぬとは思わなかった - 食中毒事件では、海藻の毒を教えただけ
⇒ 酒場で荒れていたから冗談で教えただけ、まさか本当にやるとは… - 倉庫番には、キセルをあげただけ
⇒ お礼にキセルをあげただけで他意はない
と、全て言い逃れができるようにしているのです。
心の中は確認することができません。
現在の日本の法律なら、上記のように主張されれば立証できないでしょう。
ましてやその先にある、やんごとない方の暗殺計画なんて到底結び付きません。
あまりに他人頼り運頼み過ぎて、成功は偶然に見える、策とも言えない計画。
実に巧妙で嫌らしいやり方なのです。
馬に人参、猫に牛黄!?
先日、交易商人のところを回った時、面白いものが出ていると聞いてな ──
こういう名だったんだが・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
事件に興味なさげな猫猫に、薬の最高級品をチラつかせる壬氏。
思った以上に、猫猫には刺さったようで・・・。
牛黄とは、薬の一種であり牛の胆石。
千いるうちの一頭しかないとされる薬の最高級品!もしかして、それをくれると言うのか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
本当か?
ウソじゃないだろうな?
牛黄が手に入ると聞き、興奮する猫猫。
壬氏様への礼儀も言葉遣いも忘れて、机によじ登り顔に触れんばかりに身を乗り出してしまいます。
猫猫興奮しすぎ~!
高順に注意され、我に返る瞬間も良き!
猫猫が牛黄をどれだけ欲しているかは、ミニアニメでも描かれています。
牛黄について聞かれた猫猫は、語り出したら止まりません(笑)。
万能薬のようなので、もしかすると離れで伏せている女にも効くのかもしれないですね。
「不老長寿」と言っているので・・・。
まさか「よみがえりの薬」にも繋がっていく??
中祀
祭具の管理者の死亡、海藻の毒に倒れた官僚、小火騒ぎに乗じた盗難、一連の事件に偶然とは言い切れない妙な繋がりを感じた猫猫は、壬氏に相談して、事件の再調査に乗り出す。
書庫の文官
何か分からない事があれば、いつでも聞いてくれ。
by 文官『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
この手の展開でよくあるのは、どこの馬の骨とも分からない下女が書庫で調べ物をしてもぞんざいに扱われるパターン(笑)。
ある意味、蒼穹壇の武官の態度の方が大多数
確かに(苦笑)
なのに ──
妙に親切な文官。
見たい文書を何でも見せてもらえる!?
蒼穹壇にいた武官とは大違いですね!
猫猫は壬氏様の部屋付きの下女だからか。
それとも、高順辺りが気を利かして文官に頼んだのでしょうか。
とアニメ鑑賞時は思っていたのですが・・・。
原作を読むと、違う理由でした(苦笑)。
まず、文書を見る権限については ──
上等な紙で作られた巻き物を広げる。そこには、ここ数年宮廷内で起きた事故や事件が箇条書きで書かれてあった。別に機密文書というわけじゃなく、頼めば見せてくれる類の公的な文書だ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
見せてもらっていたのは機密文書ではなく公的文書。
見たければ、誰でも見せてもらえるのです。
次に、文官が優しいのは ──
暇そうな文官は、面倒臭いというよりも仕事ができたと案外喜んでいた。好きでこんな場所で暇を潰しているわけじゃないらしい。猫猫が調べていることにも多少興味があるらしく、ちらちらと見ている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
この文官は、元々礼部勤め。
書庫の管理という(本作では)閑職に飛ばされ、暇を持て余していたのです。
そこへ、調べ物をしたいと下女が現れ、祭事に興味を持っているようなので口を出し始めたのです。
小さな事件や事故を誘発して偶然を必然に変えていく真犯人は、運頼りに計画を進めています。
今話ラスト暗殺を阻止した猫猫もまた、運に助けられ真実に辿り着いたのです。
はい。
書庫の文官の存在が、今回猫猫の力となったのです。
今話、一番の功労者は、書庫の文官だと私は思っています。
確かに。
盗まれた祭具
しかし、一体どの祭具が盗まれたんだ?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
こんな重要な祭具がなくなれば必ず作り直すはず・・・。
盗むのが目的ではなく、作り直させるのが目的!
祭具と言えば、彫金細工。
アニメでその時バックに描かれたのは、16話の彫金細工師エピソード。
祭具を作り直させるのが目的なら ──
引き継いだばかりの息子の未熟な腕で作られた祭具が壊れることを狙った!?
いや、未熟とは言え欠陥品を作ったりはしないでしょう・・・。
そう言えば、16話で羅漢はこんなことを言っていました ──
最後に先代が作った細工は素晴らしかった。
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第16話
あれは単なる金具でしたが、祭具にあの細工を使うと映えるでしょうな。
もし先代の細工が残っていたとしたら・・・。
祭具が盗まれ、急ぎ代わりが必要になった。
中祀の日が迫っており、如何に優秀な息子でも製作は間に合わない。
そういえば、先代が残した最後の作品がちょうどその金具として使える。
これを使えば万事解決ではないか・・・。
このようにして代替品として使われた細工に ──
例の秘術、ハンダより低温で溶ける新素材が使われていたら。
一見強度は問題なさそうに見えるが、熱で溶けるとしたら。
原作では ──
(強度)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
近くには火を焚く釜がある。ふと、どの祭具がなくなったのか、その疑問に行き着いた。
近くに火があると語られています。
アニメでは近くに釜があるというより、真下にロウソクがありましたね。
祭事で火を焚くのは本番でしか実施しないとしたら。
時限爆弾のように、祭事の最中に金具を壊す仕掛けができるのです。
彫金細工師の先代が生きていたら、最後の細工は(火を使う)祭事では使えないと進言できたでしょう。
でも、先代が生きている間に秘術は息子達に語られませんでした。
ならば、最後の作品に秘術が使われている事を知らないし、気付いていないかもしれません。
このように考えていくと ──
彫金細工師の先代の死も仕組まれたのかもしれないですね・・・。
盗まれた祭具は、どこの部分の祭具?
また、何の為?
騒ぎを起こせば・・・
お前のような下女が祭事に口を出す気か?
by 武官『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
悪者のように描かれる武官。
ですが、武官がやっていることも言っていることも正論です。
祭事が執り行われているのです。
この武官の仕事は外部から不審者の侵入を阻むこと。
どこの馬の骨か分からない下女の戯言を信じて通すわけにはいかないのです。
中に入れないことは予想できたので、壬氏か高順を探した方が良いと思っていました。
原作では、猫猫もその可能性を探っています。
猫猫は舌打ちをする。それでも早く行かないと間に合わない。壬氏や高順を探せばいいのだろうが、彼らは今日一日出かけている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
出かけているのを知っていたから、二人を頼る選択肢はなかったのです。
でも、それは猫猫も分かっていました。
もっともだ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
こちらはただの下女で何の権力も持たない。
ならばなぜ、煽ったのでしょうか?
こんな小娘にあんな物言いをされたら、腹が立つだろう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
わざとそう仕向けたのだから仕方ない。
なぜ、わざわざ殴られるように挑発したのでしょうか?
騒いでもダメか。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
こんな小さな騒ぎでは、祭事は止まらない。
「こんな小さな騒ぎでは祭事は止まらない」
そうです。
猫猫は、暴力騒ぎを起こして祭事を止めようとしたのです。
では何をもって「止まらない」と判断できたのでしょうか?
それは、原作に答えがありました ──
(騒いでもだめか)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
ちょっとした騒ぎになっているだけで、祭事はそのまま行われているのだろう。祭壇のほうから、音楽が聞こえてくる。
祭壇の方から音楽が聞こえていたので、祭事が続いていることが分かったのです。
絶妙のタイミング
── お前のような小娘の言葉を信じろと言うのか。
では、私の言葉ならどうだい?
by 羅漢『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
助け船を出したのは、壬氏や高順でもない。
他の猫猫がよくしてもらっている人でもありませんでした。
最も頼りたくない人物 ── ここで羅漢が接触してくるのです!
誰がいるのか見たくもない。
こんな謀ったようなタイミングで・・・。いや、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
そうです。
こんな謀ったような絶妙なタイミングで現れたのは何故でしょうか?
殴られる前に止めろよ!とお思いでしょうか。
羅漢は、猫猫を気に入っているからこそ手に入れたいと思っています。
ならば、尚のこと殴られる前に止めるべきではないか?
私もそう思っていましたが、よくよく考えると、それではダメなのです。
羅漢は最高のタイミングで出てきたのです。
どういうこと!?
羅漢は、猫猫が自分を避けていることに気付いているでしょう。
だから、あの手この手で猫猫にアプローチし、前話では壬氏ルートから近づこうとしたのです。
そんな羅漢が考えるのは猫猫の外堀を埋めることではないでしょうか。
つまり、猫猫に(自分に会わなくてはならない)状況を作ること。
挑発して武官が切れて手を上げるのは明らかでした。
だけど、何の考えもなしに猫猫は武官相手に挑発したりしません。
猫猫の人となりを知っていれば、わざとやっていると分かるのです。
猫猫が策を弄している時に助け船を出しても「自分でできるのに」と思われかねません。
猫猫が万策尽きたと思いかけている時に助け船を出してこそ、「貸し」になるのです。
はい。
羅漢は自分の都合の良いように事を運ぶために、娘が殴られるのを黙って見過ごしたのです。
ひどっ!!
実の父親が、そんなことを考えるのでしょうか?
この考察は、ラストに続きます。
薬か好奇心か誰かの命を守るためか…
祭事を中断しろとは言いません。
私を見逃してください。偶然ネズミが入ったとでも言って・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
それなら、飛ぶのは私の首だけで済むでしょう!
自分で挑発したとは言え、あんな鉄の棒で殴られれば下手しなくても死にます。
立っているのもやっとだろうに・・・。
猫猫は、なぜここまで体を張れるのでしょうか。
壬氏様を助けるため?
違いますよね。
(視聴者である)私達は、祭事をしているのが壬氏様だと薄々感付いています。
なので勘違いしてしまいますが・・・。
猫猫は、壬氏様は位の高い方だと気付いていますが、今回の中祀を執り行っているとは思っていません。
だから ──
どうして壬氏様がここにいるんだろう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
と不思議がったのです。
つまり猫猫は ──
(やんごとない方ではあるが)誰か知りもしない人の為に、命を賭けていたのです。
なぜそこまで・・・。
これまでも目の前で苦しんでいる人がいれば誰であろうと放っておかなかったように。
危険が及んでいると知れば放っておけないのでしょうか。
人を治癒する薬師としての血が騒ぐのでしょうか・・・。
そう思い、いや、そう確信して原作を読んでいたら、とんでもない心情描写が ──
ことが起きたあとでは遅い。それではなにもかもだめだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
そうなったら。
(牛黄が貰えない!)
頭がぐらぐらするし、視界もまだ白い。それでも、立ち上がらなくてはならない理由があるのだ。
え!?
原作では「いかつい六角棒」と表記されている、武官が持っている武器。
屈強な武官にあんないかつい六角棒で力一杯顔面を殴られたのに、その立ち上がる時に考えていたのが──
「牛黄がもらえない!」
え!?
え!?だよね(苦笑)
猫猫は、牛黄が欲しいが為に、武官を挑発して、殴られても立ち上がって通せと言い続けていたのです・・・。
いやいやいや、あり得ないでしょう(笑)。
あっ・・・。
だから、壬氏様の顔を見るなり ──
壬氏様、牛黄を頂けますか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
あんな状態でも牛黄を気にしていたのです。
確かに、猫猫は冬虫夏草を見れば身を売りました(笑)。(12話 )
ならば、最高級の薬である牛黄なら命も賭ける?
そういえば普段は両手を組んで上へ掲げ、頭を下げて了承するのに・・・。
今回は牛黄を見た瞬間 ──
心臓を捧げよ!
by 脳内変換『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
と命を捧げるポーズをしていた!
って、違う!
それは進撃の・・・
壬氏様の思うままに!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
と、まで言っていたのです。
猫猫を上手く乗せるやり方を学んできたと思った壬氏様。
馬にニンジンとは言いますが。
あまりに珍しいモノをぶら下げると、猫猫は命さえ捨てかねないのです(爆)。
真面目な話、例え薬を手に入れても、死んでしまっては元も子もありません。
でも、今回、猫猫は死を覚悟しているようにも見えます。
それなら、飛ぶのは私の首だけで済むでしょう!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
原作には、この後の心情描写があります。
もちろん猫猫とて、首を斬られるわけにはいかない。なんとか、壬氏に頼み込んでみよう。だめなら、せめて毒殺にと。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
死ぬ覚悟はありますが、一応壬氏に頼み込めば何とかなるとも思っているのです。
そして、死罪を免れなかったら、せめて待望の?毒殺を願い出る所存。
ただでは転ばない女なのです(笑)。
それでも、やはり費用対効果が悪すぎます。
猫猫はとても合理的です。
無駄なことや厄介事はしないタイプだと思っていますが・・・。
時折、無謀なことをするんですよね・・・。
もしかすると牛黄は本当に喉から手が出るほど欲しい。
自分が死んでもオヤジに渡れば・・・。
的な事を考えていたのかもしれません。
あとは、アニメや原作の心情描写でも、他人に無関心を装っていますが、奥底には熱いモノがあるのではないでしょうか。
猫猫は、自分では自覚なしに人の命に関心を持っている。
我らが主人公ですから、そんな人格であっても不思議ではないですよね。
湯浴みは簡単ではない?
ひどい格好だろうな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
高順様にでも頼んで、全て終わったらゆっくり湯浴みをさせてもらおう。
最大の難関を切り抜けたからか、それほどボロボロになったせいか。
目的地を目の前にして湯浴みをしたいと考える猫猫。
アニメ鑑賞時、なぜ湯浴みをするのに高順に頼まなくてはならないのか分かりませんでした(笑)。
それも侍女・水蓮ではなく高順でないといけない!?
私も不思議だった!
原作にもズバリの答えはありませんでしたが、ヒントがありました。
ことが終わったらゆっくり湯浴みさせてもらおうと猫猫は思う。壬氏の部屋の湯殿を使うのはおこがましいので、高順あたりに頼もう。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
問題はその前に、首をはねられないかだ。
「壬氏の部屋の湯殿」と言っている事から推測するに ──
外廷には下女の猫猫が使える風呂場はないのでしょう。
壬氏様の湯殿を使うなら、壬氏様本人にお願いするか、まずは侍女・水蓮に伺えばいいはずです。
でも「壬氏の部屋の湯殿を使うのおこがましい」 ──
貴人の湯殿を使うのは畏れ多い。
「高順あたりに頼もう」とは ──
高順に頼んで下女でも湯浴みできるところを都合してもらおうと考えているのではないでしょうか。
なるほど!
第六感?
その前に、首をはねられないようにしないと。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
さて、表の武官をなんとかくぐり抜けたとして。
一体どうやって祭事を止めるのか?あるいは安全を確認するのか疑問でした。
が、突然やんごとない方にタックルをかます猫猫。
直後、柱が落ちてきたから良かったものの ──
もし何も起きなかったら、落ちていたのは猫猫の首です・・・。
上手いこと言うね!座布団1枚!
大喜利はさておき(笑)。
なぜ、猫猫は飛び込んだのでしょうか?
飛び込んだ理由は、原作の心情描写にありました。
男の前には火を焚いた大きな釜がある。そして、頭上にはひれをぶら下げた巨大な柱がある。そして、それを固定するのは──。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
ぎちぎちと耳触りな音が聞こえた気がした。
気のせいかもしれない、こんな遠くで聞こえるわけがない。でも、猫猫は動いていた。毛氈を蹴り、ただ前にいる男の元へと走る。
固定している金具からギチギチと音が聞こえたというのです。
確かに!アニメでも音がしてる!
もしかしたら気のせいかもしれません。
大体、あれだけ距離が離れていたら聞こえるわけもありません。
だけど、気が付いたら体が動いていたのです。
これは直前でも言っている言葉、猫猫の考え方に影響しているのでしょう。
でも何か起こったあとでは遅い。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
取り返しのつかないことはいつもそうだ。
何かあった後では遅い。
危険だと思ったら、その瞬間動かなければ取り返しのつかないことになる。
猫猫は、経験上、そう考えているのです。
金具が怪しいと思っているから、普通の音が怪しい音に聞こえたかもしれません。
だとしても ──
五感で危険を感じたら、動かずにはいられなかったのではないでしょうか。
それが我らが主人公・猫猫なのです。
なぜ祭具は壊れた?
「何か起こったあとでは遅い」
猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
足のケガ
縫わなきゃ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
間一髪、やんごとない方を助けた猫猫。
柱が落ちた弾みで支えていたワイヤーが当たったのか、足を切ってしまいます。
原作では ──
それと同時に、鼓膜が破れるような大きな音が聞こえる。足に急激な熱を感じ、そっと視線を後ろにやる。大きな金属柱が猫猫の足を削っていた。皮膚がえぐれるように切れている。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
(縫わなきゃ)
金属柱が足を削ったと描写されています。
痛そう・・・
やんごとない方を助けたはずが、目の前にいるのは壬氏様。
なぜ壬氏様がここにいるのか不思議に思いながらも、まずは治療が優先と考えます ──
こんな状況でも治療優先とは猫猫らしい
すみません、先に足を縫わせ・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
ここで、気を失ってしまいますが、猫猫は何をしようとしたのでしょうか。
足の治療のために、医局にでも行くつもりだったのでしょうか?
その答えは原作にありました。
猫猫はごそごそと胸元を広げる。いつも懐には、薬と簡単な医療器具を入れてある。そんな猫猫の手を角ばった手が掴んだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
懐には薬と医療器具が・・・医療器具!?
なんと、猫猫はこの場で足の傷を縫おうとしたのです!
それも自分で!!
凄いけど、ダメ!
早く病院!救急車!!
(救急車はないと思うけど…)ホントそんな気分だよね
凱旋か決意か弔いか
気を失った猫猫を抱きかかえ、顔を隠すこともせず歩いていく壬氏。
祭事をしていたやんごとない方は、壬氏様。
壬氏が高い身分なのは、これまで何度も仄めかされていました。
その正体を知っている人はどれだけいたのでしょうか。
壬氏がどの立場で祭事を執り行っていたのか明らかにされていません。
が、仮に帝の弟君としてやっていたとしましょう。
園遊会では、皆の前で姿を見せていたようです。(6話 )
だけど、皆の普段の壬氏に対する態度を見ると、壬氏様の正体を知らないのでしょう。
とは言え、中祀の壬氏は顔を隠してはいませんでした。
それとも、冠の数珠で顔は見えないという設定でしょうか。
(顔が見えているのはアニメ的表現)
もしかすると、原作やコミックでは顔は見えない設定ですが、アニメはある程度の人には顔バレしている設定なのかもしれないですね。
ずっと閉じこもっているのならともかく。
祭事に出席しているのなら、顔を完全に隠し通すのは難しいですからね。
てっきり、マスクでも被ってると思ってた
とは言え、少なくとも羅漢には正体を見せていません。
羅漢には隠しているからこそ ──
── あなた様に逆らえる者など、片手の指ほども存在しない。
やはり俺の正体に気付いている。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
「俺の正体に気付いている」と言う言葉が出て来たのです。
なのに、顔をさらして出ていったのはなぜでしょうか?
いくつか考えられますね。
- 猫猫のケガが心配で、顔を隠すのを忘れていた
- 一人の少女が命を賭けたことを受け、自分も何か決意した
- 今回の暗殺未遂が起きた事で、顔を隠している理由がなくなった
- 命を狙った者に対しての宣戦布告
- 猫猫を守るために、彼女は自分の大切な人だと示した
等々、いくらでも出てきます。
(根拠となる情報が少ないので、想像できるという意味)
結論。
現時点では、顔を出した理由は分かりません。
ただ、その効果はなんとなく分かります。
お前らではなく、この下女が命を救ったのだと言わんばかりの凱旋。
命を賭けて守ってくれた者に対しての敬意。
死んだ(ように気を失っている)猫猫の弔い。
よく見ると、(猫猫が殴られた)場所で頭を下げている宦官は、冷や汗をかいています。
猫猫死んでないから!(予告見ると(笑))
宦官達にはそう見えるって言う意味ね
真犯人か無関係か
それにしても、羅漢はなぜあれほど唖然とした表情をしていたのでしょうか。
と、その前に ──
羅漢は、今回の一連の事件に関わっているのでしょうか?
そこから詰めていかないと、羅漢の心情は読めないですね。
色んな意味で怪しさ満点、猫猫から拒否されている羅漢は、完全に悪役ポジションです。
ですが、今回の事件に関わっているかどうかは、現時点どちらとも取れます。
羅漢は、犯人(黒幕)にも見えるし、関係ないとも取れるのです。
折角読んで頂いているのに、どっちとも取れる書き方はつまらないですよね(苦笑)。
私は、羅漢は犯人側ではないと思っています。
判断する根拠が少ないので、あくまで私個人の想像も含めた考えだと思ってください
大前提として、羅漢に現体制(皇帝)への恨みはないと考えています。
(実は密かに恨みが…なんて考え出すと収拾つかないので)
仮にも軍師ですからね、国には尽くす。
壬氏に絡んでいるのは、猫猫絡み。
となると、壬氏を狙うのは猫猫関係?
もう、この時点で費用対効果が悪すぎて羅漢犯人説は却下・・。
つまり、羅漢に、猫猫関係で壬氏に恨みはあれど、暗殺を目論むような大ごとまでは考えないだろう、と解釈しています。
その上で、羅漢が犯人ではないと思う根拠は3つ。
- 浩然の死亡は昨年
- 猫猫に調査をさせた
- 小火騒ぎでの行動
➊ 浩然の死亡は昨年
祭事の前責任者・浩然の死亡は昨年。
猫猫が壬氏の部屋付きの下女になったのは今年です。
浩然が亡くなった頃(9話)は、猫猫は後宮で玉葉妃の侍女として働いていました。
猫猫と壬氏の関係は、後宮管理者と上級妃の侍女。
この時点で、壬氏を排除する理由は親バカ羅漢にはないはずです。
まあ、猫猫とは関係なく、皇帝やその家族を狙っていたとなると別ですが・・・(苦笑)。
➋ 猫猫に調査をさせた
もし羅漢が犯人側だとすると、猫猫に事件の捜査をさせたりはしません。
計画を邪魔するような要素は排除したい、と考えるのが普通です。
ここまで羅漢の行動は ──
排除どころか、まるで何かが起きるのを予感して壬氏を通じて猫猫にヒントを与えているように見えます。
むしろ被害を抑えたい、と考えているとも取れますね。
まあ、自分の計画に自信があり、名探偵にわざと挑戦させる奴もいますし、羅漢も相当捻くれているので、本当の所は分かりませんが(苦笑)。
➌ 小火騒ぎでの行動
小火騒ぎの調査の際、羅漢は現場でキセルを見つめていました。
ここで何かに気付いた様子。
もし羅漢が黒幕なら、自分達が仕込んだモノに興味を持たないですよね。
じつは、この3つ目が、羅漢は一連の犯行には無関係だと思った一番の根拠です。
誤算か敗北感か喪失か
羅漢が黒幕ではないとしたら、なぜ猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、あんな表情をしたのでしょうか。
壬氏の正体に驚いたのでしょうか?
いや、羅漢は気付いている様子だったので、今更あれほど驚かないでしょう。
これも幾つか思い浮かびますね。
- 壬氏に驚いた
- 壬氏が顔を隠さずに出てきたことに驚いた
顔よりも猫猫の身を優先したのか・・・
それほどまでに猫猫を思っているのかと・・・
- 壬氏が顔を隠さずに出てきたことに驚いた
- 猫猫に驚いた
- (気を失った)猫猫を見て死んだと思った
- 自分ではなく壬氏が抱きかかえている姿に敗北感を感じた
- 事件に驚いた
- 本当に事故が起きるとは思っていなかった
- (自分が気付けなかったのに)猫猫が突き止めた事に驚いた
羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
羅漢が一覧の事件の黒幕ではないにしても、ある程度は事件を見抜いていたと思われます。
(セリフあり)初登場シーンである、小火騒ぎ辺りから羅漢は気付いていたと見るべきでしょうか。
真相が分からないからか、猫猫の実力を測るためか、単に自分のテリトリーに引き込むためかは分かりませんが・・・。
その後に起きた、鱠による食中毒事件から、羅漢は猫猫に事件に絡ませたのです。
だとしたら、なぜ羅漢自ら事件を解決しようとしないのか?
この辺が、まだ分からないんですよね~~。
羅漢の目的が分かりません・・・。
事件解決よりも、娘を手に入れることが優先!?
国の一大事が起きているのに、娘が自分に振り向くような工作に利用!?
一国の軍師がそんな私的なことで動くでしょうか?
普通ならあり得ませんよね・・・。
でも、本作では、そんな考えをする人が羅漢以外にもいるのを私は知っています。
えっ誰!?
欲しい物のためなら、何でもする。
手に入れる為なら、自分の体や、下手すりゃ命すら惜しくない。
たとえ屈強な武官に六角棒(鉄の棒)で殴られる恐れがあっても突き進む女性を・・・。
あっ!
はい。
気に入ったモノを手に入れる為なら、多少の犠牲は厭わない。
羅漢と猫猫は、好きなモノに対して異常な執着心を示してます。
まさに二人は、同じ遺伝子を持っているのです。
おわりに (『薬屋のひとりごと』19話とは)
浩然の死亡事故、小火騒ぎ、食中毒事件だけでなく、彫金細工師エピソードと ──
猫猫が外廷で絡んだ事件が全て繋がっていた驚愕の展開。
事故が起きるよう、その周辺に幾つもの火種を詰めていく。
火種一つ一つは大した威力ではないが、それが重なり大きな事故を起こすとしたら。
偶然に賭けてはいますが、幾つか起きた事故や事件は、いずれやんごとない方へ刃を向ける。
途方もない計画が裏で蠢いていたのです。
自分に火の粉がかからないよう事故を誘引するやり方は、感心すると同時に異様な執念を感じます。
中祀の事故に至るまで、一体どれほど仕込みをしてきたのか・・・。
気の遠くなるような計画ですね。
そして、それをギリギリのところで阻止するヒロイン(ヒーロー?)の姿が素晴らしい。
これまでの謎解きで、猫猫は安楽椅子タイプかと思っていましたが、とんでもない!
思い立ったら走り出し。
疑問があると確かめないと気が済まない。
体を張ってでも目的を達成する。
ただの謎解きだけではない。
猫猫の必死な行動に胸を打たれました。
たとえ目的が(薬目当ての)欲だとしても(笑)。
牛黄のために体を張るとは驚きで、人道的な目的でないのは唖然としましたが、それも猫猫らしいと言えばらしい(笑)
心の底では正義感が溢れていると信じてます!
そうだよ、そうだよ、絶対そう!
兎にも角にも、何をおいても猫猫の体の回復を祈ってます!
普通なら即死だよ…あんなモノで頭殴られたら…
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第19話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
20話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
ハリセン!?
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 19-01 盗まれた祭具は、どこの部分の祭具?また、何の為?
- 疑問 19-02 なぜ祭具は壊れた?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 13-02 契約書を見た時、羅門(オヤジ)が表情を曇らせたのはなぜ?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 15-02 同じ海藻でも下ごしらえによっては毒があると、悪知恵を与えたのは誰か?
- 疑問 15-03 羅漢が馴染みのある緑青館の妓女とは?
- 疑問 16-01 羅漢は三男が一番の腕前だと知っていて、なぜ猫猫に調べさせた?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-01 羅漢は、価値を下げた妓女をなぜ身請けしていない?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 18-03 「芋の粉」は、誰の何のための薬?
- 疑問 18-04 翠苓は、なぜ薬草を植えている?
- 疑問 18-05 翠苓の言う「朝顔」とは?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 19話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) February 20, 2024
馬に人参猫に牛黄🤣
飴欲しさで調査着手も微かに見えた真の目的
運に頼った計画が密かに王手をかけていた!?
死に無感情も現在進行形の危機は全力で阻止
無礼も武官も何のその手練手管で切り抜ける
辿り着いたその先で命の危険あらば体が動く
お見事👏でも早く止血してあげて😭
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アニメ『薬屋のひとりごと』第20話のレビューはこちら!