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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第9話「自殺か他殺か」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
1巻 25話「酒」~26話「自他」
- コミック
-
2巻 9話「下女の死」中盤~終盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第1話 | 猫猫 | 1巻 | 1巻 |
第2話 | 無愛想な薬師 | ||
第3話 | 幽霊騒動 | ||
第4話 | 恫喝 | ||
第5話 | 暗躍 | 2巻 | |
第6話 | 園遊会 | ||
第7話 | 里帰り | ||
第8話 | 麦稈 | ||
第9話 | 自殺か他殺か | ||
第10話 | 3巻 | ||
第11話 | |||
第12話 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
ある武官が酒を飲み過ぎて亡くなった?
武官をよく知る壬氏は納得できず、猫猫にどう思うか尋ねる。
猫猫は武官が口にした同じ酒を飲み、あることに気付く・・・。
その後、下女の溺死体が見つかる。
自殺と思われたが、猫猫は不自然な点があると指摘する。
当人の意思とは関係なく、死は突然やって来る。
自分の事だけではなく、身近な人の死もしかり。
武官は、事故か意図的か。
死を受け入れられない人には、不注意による事故では済まされない。
下女は、自殺か他殺か。
自殺にしても追い込まれたか・・・。
扱う事件が段々キナ臭くなってきた。
下女の死は園遊会の毒混入事件に絡むのは当然として、武官の事件に絡むのか?
猫猫が自分の死に方を伝えたのは、(平民は)死を身近に感じているからでしょうか・・・。
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第9話「自殺か他殺か」
酒
激務に追われる壬氏の元に、ある武官の訃報が届く。死因は仲間うちでの宴会で酒を飲みすぎたこと。だが武官のことをよく知る壬氏は納得できず、酒による死について猫猫に尋ねる。
誤解は解けた?
あの日、笑い転げる玉葉妃から事の詳細を聞くのに苦労した。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
「あの日」とは、猫猫が里帰りから帰って来た日のこと。(8話 )
「笑い転げる玉葉妃」ということは、猫猫と壬氏のやり取りがあった後に聞いたのでしょう。
壬氏:勘違い・・・。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
高順:身元引き受けの見返りとはスターとの面会だったという。娘にそんなツテがあったとは・・・。
要は壬氏の誤解は解けたのです。
壬氏がずっと拗ねてる展開だったらウザいなと思ってた(苦笑)
あーね!
ラブコメでよくあるやつ(苦笑)
アニメは原作準拠です。
原作も、これ(高順のセリフ)で里帰りの件を締めています。
ですが、コミックは少~しだけ(コミックオリジナル)エピローグが♪
あ、逢い引きですか?
私と李白さまが?- 中略 -
笑い転げる玉葉さまから詳細を聞き、壬氏様の妙な態度の謎が解けた頃──
by 猫猫『薬屋のひとりごと』コミック2巻
壬氏だけでなく、猫猫も何が起きてあんなことになったのか聞いたのです。
上記コミックで描かれたシーンは、アニメでも描かれていないし(現時点では)原作にもありません。
なので、アニメで猫猫が事の詳細を聞いたのかは分かりません。
ですが、前話の壬氏の明らかに意味不明な態度。
猫猫は侍女頭・紅娘に頭をはたかれたのですから、理由くらい説明されていても不思議ではないですね。
だとしたら──
猫猫は、壬氏が誤解した理由を知った。
猫猫は、壬氏が自分の事を気に掛けているのを知った可能性があるのです。
頭の隅くらいには入れておきましょう♪
法案の可否
もう少し頭をひねればよいものを。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
多くの官僚は自分の利益に繋がる法案を通そうとする。
そんな下らない法案のために、仕事が増えるのは哀れに思う。
官僚が申請した法案の実現可否を判断する壬氏。
ってか、壬氏の本業は法案の可否!?
法治国家における法律は、誰もが従う一番上位な存在。
日本のような民主主義では、法案は原則国会や議会を通さなくては可決されません。
作品内の時代もあるのでしょう。
事務方で吟味もせず、壬氏1人の判断に委ねる仕組みは原始的なやり方ではあるものの、法律が遵守されている証拠でもあります。
法治国家だから法律変えないと新しいことができないんだよ
おお!なるほど!
いずれにせよ、壬氏の役割は国の根幹を成す重要な仕事である事は確かです。
ああ!
だから、猫猫のソバカス化粧の理由を聞いた時 ──
悪いな、管理が行き届いてなくて。
- 中略 -
── でも壬氏様のせいではありません。(猫猫)
申し訳なかった。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話
壬氏は、法律を司る立場だから責任を感じていたのです。
だけど、そのことを明かせない。
自分を責めない猫猫に対して逃げているようで歯痒さを感じたでしょうね・・・。
浩然の死因
酒好きの人間なら飲み過ぎは毒であると分かっているはずです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
原作によると、場所を翡翠宮から詰め所に移したようです。
以前、李白を呼び出した場所ですね。
亡くなった浩然は武官。
宦官ではない男は後宮には入れないので、浩然がいた宴席はもちろん後宮の外です。
後宮の外で起きた事件の調査。
宴席にあった酒等を用意するために、後宮内で一番外に近い詰め所に移って猫猫達は話をしていたのです。
死んだ男の名は浩然。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
酒をかまごと飲み干す豪快な武人で、人柄も良かったという。
酒をかまごと!?飲み干す豪快な武人。
だけど、浩然は酒に強いので、酒では死なないと壬氏は言うのです。
原作では──
「だが、いつもの半分の量だった」
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
壬氏が言った。なにが、といえば酒の量だろう。
壬氏は、いつもの半分の量しか飲んでいないので、死ぬわけがないと言っているのです。
猫猫が浩然が飲んでいた酒を飲むと──
甘さとしょっぱさが混在している。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
もともと甘みのある酒に塩味をつけているような・・・。
甘みのある酒にわざわざ塩を入れて塩味をつけている。
これが猫猫が注目した点。
後日、浩然の生活習慣を調べた結果と、実際に浩然が飲んでいた酒瓶のカケラが。
そこには塩が・・・。
塩は人体に不可欠なものですが、取り過ぎると毒になります。
── つまり死因は・・・。
飲んだ酒の量と溶け込んだ塩の量を考えれば、これが原因であってもおかしくはないでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
浩然の死因は、塩の大量摂取。
嫌がらせか何かで甘党の浩然の酒に塩を混ぜたのです。
だけど、浩然は塩味が分からない病気。
気にせず酒を飲む浩然に苛立ったのか、更に塩を入れていく・・・。
結果、塩を大量に取り込んだことで亡くなったのでは、と猫猫は推理したのです。
浩然の酒に塩を入れた者は、殺意があったのでしょうか?
そうとは限らないし、猫猫もそこまでは言っていません。
むしろ、塩を大量摂取すると危険な事を知らなかったのではないでしょうか。
単に嫌がらせ、もしくは酒による悪ふざけで塩を混入していった。
それが、死に繋がったのです。
これもまた「無知は罪」なのです。
面倒事は御免被る
壬氏:高順。
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
高順:御意。
恐らく、壬氏は高順に塩を入れた者を探し出すよう指示したのでしょう。
殺意はなかったとしても、嫌がらせをしたのは事実。
何なりと罰することはできるのです。
卑怯だよな。
ここまできっかけを与えたなら、犯人を教えたのも同然なのに・・・。私は誰かが罰せられる直接の原因になりたくない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
犯人が誰かまで特定したのではないので「犯人を教えたのも同然」は言い過ぎな気がしますが、自身の責任ではなく他殺(故意でなければ事故)の可能性を示したのは猫猫。
真犯人からしてみれば、猫猫は余計なことをした存在なのです。
猫猫が常々「面倒事には関わりたくない」と言っている事から、犯人を指摘するような表舞台には立ちたくないと考えているのかもしれないですね。
確かに、これだけ陰謀や嫉妬が渦巻く後宮では探偵役は危険過ぎます・・・。
園遊会で里樹妃の毒味役が器を入れ替えた事件。
毒味役を庇ったのは、脅しは充分したし、毒を飲ませてくれた感謝の気持ち(笑)もあったからだと思っていました。(7話 )
実は、自分が誰かの犯罪を暴くのを避けているのかもしれないですね。
誰だって嫌な役はやりたくないよな…
ならば、なぜ梨花妃の侍女にはあれほど堂々指摘したのでしょうか?
むしろあの恫喝以降、侍女達に怖がられたので、猫猫は反省したのかもしれないですね・・・。
人間味ある壬氏
そんなに立派な方だったのですか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
──ああ。小さい頃、世話になった。
普通の青年のようだ。
この人も一応人間なんだな。
なんだか、とても失礼なことを言っている猫猫(苦笑)。
原作では、もっとヒドいことを考えています(苦笑)。
猫猫は、壬氏と浩然の関係を聞いてみたい気もしたがやめておいた。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
(間違っても変な関係があったら困るし)
どこでどんなただれた関係があるかわかったものではない。
代わりに無難な質問をしてみた。
「そんなに立派なかただったのですか?」
壬氏と武官の変な関係を聞かされるのが嫌なので、関係性を聞きたかったが「そんなに立派な方だったのか」と無難な質問にしたのです(笑)。
他にもヒドいことを考えてますね。
しおらしい。
無茶なことを言っているのは承知の上か。いつもどおり、無駄にキラキラしてればいいのに。
ここ最近の壬氏様は、以前よりもずっと子供のように見えて仕方ない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
猫猫さん、それは壬氏様があなたの前では演技せずに素でいるからでは?
高順の前でしか見せなかった地を、猫猫にも見せるようになったのです。
まあ、前話は猫猫が自分以外の男と里帰りしたことで動揺。
今話は、世話になった浩然が亡くなったショックからでしょうが・・・。
さて、話を戻しましょう。
黒曜石の房飾り。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
喪に服しているのか。
原作では ──
よく見ると、壬氏の帯に小さな黒曜石のついた黒い房飾りがついていた。官服の色が黒なのでまったく気が付かなかった。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
(喪に服している?)
目立たぬようにしているのはわざとだろうか。
壬氏は目立たぬようにして喪に服しているのです。
浩然は犯罪者ではありません。
壬氏は世話になったと言い切っています。
宦官も夜の遅い時間にも関わらず報告に来たのをみると浩然と壬氏の関係は(壬氏の本当の身分を知る者にとっては)公然たる事実なのでしょう。
それなのに、目立たないようにしているのはなぜでしょうか?
分かりますよね。
暇人壬氏が隠している、本来の身分で小さい頃お世話になった方なのでしょう。
武人だから剣の指南役か何かかな?
浩然との関係性が分かると、壬氏の素性が判明してしまうのではないでしょうか。
猫猫が聞いても浩然との関係性ははぐらかされたかもしれないですね・・・。
壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
酒にも強い猫猫
おおっ酒!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
酒に目を輝かせる猫猫。
園遊会で見せた毒味の時の妖艶な表情とも違い、こんなにキラキラした表情をしたのは初めてでは!?(笑)
毒と違い、猫猫は普段から酒は口にしています。
猫猫はまた酒を注ぐ。まだ飲むのかという視線は気にしない。毒見以外で酒が飲める滅多にない機会なのだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
猫猫は、瓢箪の最後の一滴まで飲み干す。ぷはっと大きく息を吐きたいところだが、貴人の前なので我慢する。
毒味で酒も確認しているのです。
しかし、毒味は毒味。
量も少なければ、味を楽しむものでもない。(きっと楽しんでいるでしょうが(笑))
これだけの量を飲めるのは滅多にないのでしょう。
甘口の塩味でも酒は酒!
関係ないのです!
それにしても、毒に強けりゃ、酒にも強い!?
猫猫の酒を飲む姿は、完全に酒飲みです(爆)。
猫猫の酒の強さは、原作では媚薬作りの時に明かされています。
「酒や刺激物に慣れていると、効き目はそれほどありません」
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
実験に使った毒蛇を酒に漬けて飲んでいたので、猫猫は酒豪だった。
酒は薬の一つだと猫猫は分類する。薬とは刺激に弱い人間ほどよく効く。ここで媚薬として効能を示すこの麺麭も、材料の種子が育った地域ではそれほど効くとは思えない。
なるほど。
猫猫にとっては、酒も薬の一種。
子供の頃から、薬の研究がてら酒を飲んでいたのです。
そういや・・・
酒を見た時の歓喜は、薬草見つけた時の喜びと一緒だ
ホントだ!
お酒は20歳になってから
それよりも真面目にお仕事なさってください。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
(この反応はサボってるな)
ため込まないうちに終わらせては?
ようやくいつもの壬氏に戻ったと思ったら、早速2人の牽制が始まります(笑)。
毒味役以外はろくに仕事をしていない自分の事を棚に上げ、壬氏の痛いところを突く猫猫。
しかし、壬氏も負けてはいません!
年若い者が酒に溺れるのを防ぐために年齢制限をつけるべきだと。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
酒は20歳になるまで禁止せよ、と。
とびっきりのキラキラ笑顔で、攻めに転じる壬氏!
思ったより応えた様子の猫猫。
珍しく、壬氏にすがりつく猫猫なのでした(笑)。
ああ。
壬氏は、この法案絶対に(少なくとも猫猫が20歳になるまで)通さないでしょうね・・・。
そういや、猫猫は幾つなのでしょうか。
今回のやり取りで10代であることが判明しましたね。
自他
堀から下女の水死体が上がった。猫猫は1人で身投げは無理だと言う。
後宮で起きた事は後宮内で処理
外の堀に浮いていた。
格好から後宮の下女に間違いないだろう。── なるほど、それでおっちゃんに・・・。
by 宦官『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
外の堀で発見された水死体。
後宮の外側なら、後宮ではなく宮中の管轄です。
なのに、なぜ後宮で対応しているのでしょうか?
原作には、理由が述べられていました。
恰好からどう見ても後宮内の女官だ。後宮内で起きたことは、外で処理することはままならず、こうしてやぶ医者が呼ばれたのであるが。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
後宮内で起きた事は、後宮で対応しなくてはならない決まりのようです。
水死体の女性は、格好から後宮の下女であるのは明らか。
ならば、たとえ見つかったのが後宮の外でも、後宮で処理しなくてならないのです。
後宮より宮中の医官がどれだけ優れていようとも(笑)、管轄は管轄なのです。
死体には触れない?
やぶ医者:嬢ちゃん、代わりに見てくれないかい?
by 『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
猫猫:ダメです。死体には触るなと言われているので。
死体は見慣れているが、検死を拒否する猫猫。
理由は、師匠であるオヤジに固く禁止されているから ──
── 人間も薬の材料になるからです。
好奇心旺盛なお前のことだ。
一度でも手を出したら、墓荒らしくらいするだろう。絶対に一線を越えるな。
by 羅門『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
人間も薬の材料になる・・・。
これは真実です。
今でこそ科学が発展し人体から取らなくても作り出すことができるようになりました。
が、昔は科学的根拠は分からないが治療に効くとのことで(人間を含む)動植物は使われていたようです。
薬草や珍しい薬を見つけると嬉々とする猫猫です。
人間が薬の原料になると知れば・・・。
毒や薬を自らの体内に入れて試す猫猫です。
それが”元”人体であっても薬となれば・・・。
え・・・
末はサイコパスかマッドサイエンティストか~~
はい。
どれだけ猫猫が変人奇人であろうとも、今のところ人です。
人の一線は越えさせてはならないのです!(笑)
猫猫の(人としての)評価を下げてしまったので、フォローもしておきましょう(笑)。
水の中は冷たかっただろうな。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
原作では、このセリフの後 ──
(冷たかっただろうな)
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
猫猫は、やぶ医者が検死を終えると、筵を丁寧にかぶせてやった。
今さらやっても意味のないことであるが。
季節は真冬。
堀の水はさぞ冷たかったでしょう。
辛かっただろうと思った猫猫は、寒さをしのげるようムシロをかけてあげたのです。
それも「丁寧に」。
下女は亡くなっているので、寒さなんて感じません。
それでも、そうせずにはいられなかった。
猫猫の行為から二つのことが推測できます。
一つは ──
猫猫は、死体であろうと人として大切に扱う。
猫猫は、この後宮に於いて差別をしていません。
たとえライバルの上級妃・梨花妃であっても、侍女に嫌がらせをされようとも、治療に一切手を抜きませんでした。
薬や毒に興味があるだけではなく。
死に面している人に対して、真摯に取り組むのが猫猫なのです。
もう一つは ──
この時点で、下女は単純な自殺ではない、かつ生きたまま身を投げたのを見抜いていた。
自ら自死を選んで身投げしたのなら「冷たかっただろうな」と同情しませんよね。
他殺。
殺されてから放り込まれたのなら、冷たさを感じることはないので、これも同情しません。
堀に突き落とされた他殺。
自分から飛び込んだとしても、追い込まれて仕方なく、あるいは無理矢理・・・。
高い塀です。
てん足では1人で登れないことを推理。
他に人がいた状況で飛び込んだことから、自ら望んだ自殺ではないと考えたかも・・・。
だから同情したのではないでしょうか。
尚食の下女
娘は尚食の下女で昨日まで普通に働いていた。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
※尚食:食事係のこと
やぶ医者に検死頼んでも、見解は猫猫に聞く壬氏(笑)
あーね。
やぶだから仕方ない的な?
原作によると、話している場所は ──
猫猫が連れてこられたのは、中央門の詰所である。宮官長の部屋は、今日も慌ただしかったためだろう。ここへ来たのは、翡翠宮で死体の話をするのを避けたかったからだ。赤子のいる場にふさわしくない。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
Aパートでも使っていた詰め所。
#はっきりと書かれていませんが、宮官長の部屋云々言っていることから同じ詰め所だと思われます
玉葉妃と鈴麗公主に気を遣って、翡翠宮を避けたのです。
殺風景なのは詰め所だからです。
こう何度も詰め所を使うのなら ──
(いっそ、自室を作ればいいのに)
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
とまで考えています(笑)。
尚食とは、後宮では皇帝や妃の食事の係。
だから ──
その後、風の噂に聞いたのは、死んだ下女が園遊会の毒殺騒ぎの場にいたことだった。
それらしい遺書も見つかり、自殺ということで事件は幕を閉じた。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
この下女は、園遊会で、妃の食事に毒を混入できる立場にいたのです。
確かに、尚食の下女なら園遊会で妃の食事に毒を混入できたかもしれません。
でも、彼女が犯人ならば、なぜ投身自殺を選んだのでしょう?
死ぬ方法は他にいくらでもあります。
この寒い時期に、なぜ冷たい堀に飛び込んだのでしょうか?
なぜ、ただでさえ登るのも困難な塀を最後の場に選んだのでしょうか?
園遊会で、食事に毒を盛ったのです。
ならば、なぜ同じ毒で自殺しなかったのでしょうか?
下女はそれらしい遺書を残したと言います。
毒を使って自殺した方が犯人だと示せますよね。
寒い季節に堀への投身なんて、まるで拷問に見えますね・・・。
自殺として片が付いた水死体は、何かと不可解なのです・・・。
塀の登り方
自殺かどうかは分かりませんが、少なくとも1人では無理だと思います。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
── どういうことだ?
壁にハシゴはなく、傍らに登るための道具もなかったからです。
後宮の城壁は私の身長の4倍ほどあります。
自殺か他殺かは分かりません。
が、自殺にしても1人では無理だと断言する猫猫。
高い城壁、それも普通の人がハシゴも道具もなしで登れるわけがないと言うのです。
ごもっとも!
ただ、道具が何もなくても城壁を登る方法が一つあったのです。
城壁を丹念に調べて回りました。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
そこで職人が利用したと思われる突起を見つけたのです。
壁には突起があったのです。
原作によると、この突起は城壁の角の部分にあったようです。
見つけたのは、外壁四隅にそれぞれある突起である。わざと壁から煉瓦が飛び出しており、それに足をかけると登れないこともない。舞踏が得意な芙蓉姫ならなんなく登っていたことだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
おそらく、城壁を作る際に職人が利用していたものと推測される。
それと、舞踊の得意な(今で言うところの運動神経が良い)芙蓉妃なら登れただろうと見立てています。
ここで、幽霊騒動の芙蓉妃が出てくるとは!
毎夜毎夜、城壁の上で踊っていた月下の芙蓉こと芙蓉妃。(3話 )
猫猫の4倍もある城壁を、どうやって登っていたのか不思議でした。
なるほど、職人用の突起を使ってロッククライミングのように登っていたのです。
ただ、今話の下女はそれでは説明できない点が・・・。
ですが大抵の女性は難しいでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
ましてや、あの下女のようなてん足の者は・・・。
てん足とは、実際に中国であった風習です。
この下女がそうかは分かりませんが──
てん足をしていた女性の中には、普通に歩くこともできない者もいたそうです。
普通に歩くことも難しくなる、てん足。
そんな下女が、壁の突起を使って登ったとは考えられません。
だから、もう一人いたのではないかと推測したのです。
尚食とはいえ下女は普通に仕事をしていました。
なので、この下女は歩けないということではないと思います。
仕事や歩くことに不都合はなかったが、壁を突起を使って登るのはさすがに難しい、ということでしょう。
堀で見つかった水死体の下女は、他殺か自殺か?
こじらせ女子
── 何を考えている?
死ぬならどんな毒にしようかと。- 中略 -
もし私を処刑する場合、毒殺にして頂けませんか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
猫猫は、なぜこんな突拍子もないことを言い出したのでしょうか?
まずは、最初の「死ぬならどんな毒にしようかと」について ──
── 何を考えている?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
死ぬならどんな毒にしようかと。
私は文学的な深い考察はできないので、こういう時はシンプルに考えます。
私なら自分から命を絶とうとは絶対に思わない。
他人から殺されるのもまっぴらだ。
死んでしまえば薬も毒も試せない。でも・・・もし自分が死ぬとするなら・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
決して、猫猫は死にたいと考えているのではありません。
むしろ逆、死にたくないと考えています。
が、死にたくて死ぬ人は少数派。
死にたくないのに、死んでしまうのが大多数。
Aパートの浩然も、Bパートの尚食の下女も、(恐らく)自分の意思とは関係なく死んでしまった。
それで、もし自分が死ぬならと考え、考え中に壬氏に質問されたから素直に答えただけでしょう。
原作でも──
「なにを考えていた?」
by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
「ええ。死ぬならどんな毒にしようかと」
猫猫が正直に答えると、壬氏の眉が歪んだ。
「死ぬ気か?」
深い考えは何もなく「正直に答える」とだけの記載です。
まあ、死にたくない理由が、薬も毒も試せないから死にたくない、というのが猫猫らしいですが(爆)。
逆に言うと、薬も毒も試してはダメ!となれば、猫猫にとっては死と同義ということですね・・・(苦笑)。
ちなみにこの時、猫猫が見ている植物は「南天」。
毒にも薬にもなる植物です。
ミニアニメ「猫猫のひとりごと」でも紹介されていました。
続いて「もし私を処刑する場合、毒殺にして頂けませんか?」──
もし私を処刑する場合、毒殺にして頂けませんか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
死ぬならどんな毒で死のうかと考えていた猫猫。
死ぬシチュエーションを考えても不思議ではありません。
猫猫は自死など絶対にしないと言い切っています。
それなら死ぬ可能性は、他者に殺されるか、事故か処刑。
選択が可能なのは処刑方法。
それも、処刑を執行する高官が目の前にいるのです。
となれば、処刑方法をあらかじめ頼んでおくのは、とても猫猫らしいと言えばらしいかも(笑)。
まるで、自分が死んだら灰を海に撒いて欲しい的なノリですが(笑)。
マッドサイエンティストと呼ばれるほど、毒を飲んだり自分の体で試している猫猫。
花街は、一歩裏道へ入れば無法地帯で身の危険を感じるほど。
他の人より死に近い猫猫だからこそ考える死生観なのかもしれませんね・・・。
困惑する壬氏。
── いや、だからなんでそうなる。
私が平民だからです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
些細な失敗で簡単に吹き飛ぶ命です。
── そんなことはしない!
するしないではなく、できるできないですから。
「死ぬなら何の毒で」
「(決定権を持つ)壬氏に自身への処罰は毒殺と頼む」
「困らせたと察し、毒殺でなくても良いと訂正」
「そんなことはしないと否定されても、権限を持っている事を突く」
売り言葉に買い言葉ではありませんが、壬氏の質問に対し、自分の考えを正直に述べているだけなのです。
まあ、正直に言いすぎですけどね(苦笑)。
ここのところ、猫猫の周囲では事件続きでした。
死が身近に感じられる。
それも身分の低い平民の命は、誰かの一存で吹き飛んでしまいます。
壬氏が誰かを処罰したかどうかは置いといて、高位な方に対して、嫌味の一つでも言いたくなったのかもしれません。
もしかすると、今回の事件も、上位の者と下位の者との格差が裏にあると考えているのかもしれないですね。
いずれにせよ・・・。
拗らせ女子、ここに極まれり!ですかね(苦笑)。
木簡の女官
先日の報告がようやく届きました。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
先日の報告とは、調査のこと。
恐らく暗号として使っている色つきの木簡。
その持ち主を探せと、壬氏は高順に指示しました。
ここ最近、腕にヤケドを負った者を探せ。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第5話
それがようやく見つかったのです。
意外と大物でした。
柘榴宮、風明
淑妃阿多妃の侍女頭です。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第9話
粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
上級妃の侍女頭が里樹妃を暗殺しようと目論んでいた!?
もしそうなら、今話Bパートの尚食の下女はスケープゴート(身代わり)?
さて、ヤケドがあるだけで色つき木簡を使っていたと断定できるのでしょうか。
そして、暗号通信をしていた者が、里樹妃の暗殺を目論んでいたのでしょうか。
いずれにしても、園遊会、里樹妃暗殺未遂事件はまだ終わっていないのです。
おわりに (『薬屋のひとりごと』9話とは)
Aパートの武官・浩然のエピソードはコミックには未収録。
恐らく、園遊会やBパートの下女の死とは関係ないのでカットされたのでしょう。
24.1.21 追記
「Aパートの武官・浩然のエピソードはコミックには未収録」と書きましたが、少し先の4巻に収録されていました。
2巻に収録しなかったのは、テンポが悪くなってしまうからでしょう。
アニメは、原作準拠で丁寧にアニメ化。
壬氏の大切な人が亡くなったエピソードを描くことで、終盤の壬氏の死に対する距離に説得力が出ていましたね。
ミステリー物として見ると、武官・浩然の事故も他の事件と関連があるのではないかと疑ってしまいますが(苦笑)、恐らく独立したエピソードでしょう。
よって酒に塩を入れた犯人は今後も明かされないでしょう。
ですが、後半は重要です。
水死体の下女は、遺書が本物なら、この下女は園遊会での毒混入事件に絡んでいたことになります。
事件に絡んでいないとなると、逆に真犯人が身代わりにした可能性も。
つまり、巻き込まれたのかもしれないのです。
『薬屋のひとりごと』は、始まりこそ御子の死でしたが、段々猫猫の周囲で起きる事件は大きくなってきました。
猫猫はまるで死を恐れていないように見えますが、決してそんなことはなく。
むしろ死を身近に感じているからこそ、死について深く考えているようです。
20歳に満たない少女が、なぜこのような死生観になったのか興味が湧きますが。
まずは、目の前の事件ですね。
大物も登場。
いや、四夫人の残り一人・阿多妃にようやくフォーカスが当たるのです。
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第9話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
10話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 09-02 堀で見つかった水死体の下女は、他殺か自殺か?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 06-03 園遊会で狙われたのは徳妃・里樹妃?
- 疑問 06-04 園遊会で毒を仕込んだのは誰?
- 疑問 07-01 壬氏の本当の身分とは?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 07-03 オヤジの言う「後宮とは因果だね」とは?
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 9話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) December 6, 2023
当人意思は関係なく死は突然やってくる
自分の事だけでなく身近な人の死も然り
自殺or他殺 自殺にしても追い込まれたか
扱う事件が段々キナ臭く。下女の死は園遊会絡みは当然として武官の事件も絡むのか?
猫猫が自分の死に方を述べたのは(平民は)死を間近に感じてるからか🤔
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