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こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第20話「曼荼羅華」を鑑賞しました。
本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。
皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。
今回アニメ化されたのは──
- 原作
-
2巻 13話「曼荼羅華」~ 15話「後宮ふたたび」
- コミック
-
6巻 23話「中祀」中盤 ~ 25話「後宮ふたたび」中盤
今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)
今話で解決しなかった疑問
最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載
本レビューの方針
本レビューは、次話以降のネタバレなし
『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載。
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります。
私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。
アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください。
アニメ鑑賞
+
コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」
本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。
- 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
- 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
緑系の色を目印にしてね!
コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。
- 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」
- 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」
両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多い➋を選択しました。
「コミック」として紹介する情報は基本➋です。
が、今後も両方読んでいくので、➊にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。
同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・
その方が、理解が深まるんだよ
全24話 各話リスト
話数 | サブタイトル | コミック | 原作 |
第13話 | 外廷勤務 | 4巻 | 2巻 |
第14話 | 新しい淑妃 | ||
第15話 | 鱠 | ||
5巻 | |||
第16話 | 鉛 | ||
第17話 | 街歩き | ||
第18話 | 羅漢 | ||
第19話 | 偶然か必然か | ||
6巻 | |||
第20話 | 曼荼羅華 | ||
第21話 | |||
第22話 | 7巻 | ||
第23話 | |||
第24話 | |||
8巻 |
※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク
はじめに
大ケガを負いながらも、すんでのところで壬氏を救った猫猫は、祭事が狙われるに至った一連の事件について、壬氏らに説明する。
後の調査で翠苓に辿り着くも、彼女は自害していた・・・。
関係者は翠苓1人!?
ならば酒場のあの男は・・・。(続きは本文にて)
事件事故を誘発した知識と頭脳。
人の心を操り、思い通りにする人心術。
目的のためなら、他人を巻き込むことを厭わず。
潮時だと判断すると、自らの命を賭けた博打に出る強かさ。
猫猫にはないモノを持つ女、翠苓。
相手にとって不足なし!?
となると、18話ラスト ──
あなた、薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしら?
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
薬草畑での、この言葉は ──
猫猫に対しての挑戦状だった?
いや、宣戦布告か!?
好敵手現るも、後宮では妊娠兆候が見受けられる!?
不穏な空気漂わせながらも次の舞台は後宮へ!
と思いきや・・・緑青館の身請け!?
TVアニメは、今話を入れて残り5話。
主軸が動き出し、面白くなってきました!
では、今話を振り返っていきましょう!
感想&考察レビュー 第20話「曼荼羅華」
曼陀羅華
祭事に乱入し、大怪我を負うも壬氏を救った猫猫は、これまでに起きた祭具の盗難事件や、祭具の管理者の死亡など、祭事にまつわる一連の事件の繋がりを推理する。
壬氏の寝室
白檀の香り・・・壬氏様の寝室・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
前話、死んでもおかしくない大ケガを負った猫猫。
どうやら無事だったようです。
良かった~~!!
まあ、予告で無事なのは分かっていたけどね
なぜ壬氏様の部屋だと分かったのでしょうか?
白檀の香りがしたから?
それもあるかもしれませんが ──
猫猫は壬氏様の部屋付き下女として、寝室を掃除をしているので、寝かされている場所がどこだかすぐに分かったのです。
原作にもハッキリと書かれています ──
(どこだろう、ここは)
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
ゆっくりと目を開けると豪奢な天蓋があった。毎日、 拭き掃除をしていて見覚えがある。
猫猫は、壬氏様の寝室を毎日拭き掃除していたのです。
そりゃあ、すぐに気付くはずです。
ちなみに ──
蒼穹壇で猫猫が気を失った後、壬氏様に抱きかかえて運び出されたことは、猫猫自身は気付いているのでしょうか?
原作では、こんな風に描写されていました ──
ゆらゆらと、心地よい感覚が身体を揺らす。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
ほんのり上品な香が鼻腔をくすぐる。駕篭に揺られているような感覚はほんの短い間で、柔らかいなにかに寝かされた気がした。
それからどれくらい 経ったのかわからない。
上品な香に、カゴに揺られているような感覚。
これは、壬氏様に抱きかかえられている時のことではないでしょうか。
運び出されている感覚を、微かに感じていたのです。
壬氏様にお姫様抱っこされて、大勢の宦官の前を凱旋された猫猫。
猫猫は、この事実をいつ知り、その時どんな反応をするのでしょうか(笑)。
鬼か悪魔か…
無理しちゃダメよ、15針も縫ったんだから。
- 中略 -
起きたところで悪いけど、着替えられる?
by 水蓮『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
皆さんを連れてくるわ。
起きられるのは ──
上掛けをめくると猫猫の左足に包帯が巻かれている。痛みが鈍いところをみると、麻酔かなにかがかかっているのだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
左足には麻酔がかけられていたのです。
「無理しちゃダメ」と言いながら・・・。
着替えさせ、壬氏達を連れてくるという水蓮。
あなた達は鬼か悪魔か・・・。
あんな物で殴られたら、しばらくは絶対安静。
起こしちゃダメでしょ(苦笑)。
でも、猫猫も問題ない様子。
猫猫は毒も効かなきゃ、体も丈夫!?
外廷の医局はしっかりしているようです。
その医局が帰宅を許可したのだから、命に危険はないのでしょう。
猫猫は、薬だけでなく医術にも詳しいはずです。
その辺から判断したのかもしれないですね。
となると ──
武官に殴られた描写は、アニメ的ケレン味描写なのでしょう。
見た目よりか大したことないということ? ならいいけどぉ…
妙にリアルで生々しい描写だったけどね(苦笑)
お門違いも甚だしい
一体どういうことだ!
by 馬閃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
いやいやいや、なぜ猫猫に怒鳴る?
馬閃よ、お前の態度こそ、どういうことだ!(笑)
怒鳴る前に、猫猫の体を心配しろ。
説明求める前に、(主人を助けてもらった)礼が先だろう。
下女を一段も二段も下に見ているのか、下女が主人を助けるのは当然と考えているのか・・・。
主人を救った命の恩人に対して、第一声がこれとは。
自分達は全く気付きもしなかったのに、反省すら見せないとは・・・青いですね。
ただ、我らが猫猫さんは冷静(苦笑) ──
そりゃ、主人が危険にさらされればね。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
だからとて、怒鳴られる筋合いは、ないのだが。
怒鳴られる筋合いはないと、心の中で突っ込みを入れておきながら口には出さず。
感謝も礼も求めず、「無作法ですみません」と主人に頭を下げる猫猫。
猫猫自身、貸しを作ったわけでも、ましてや命を救ったとも思っていないのでしょう。
はい。
猫猫は、壬氏様に指示されたとおり事件を未然に防いだだけ、その程度に考えているのではないでしょうか。
えーなんか納得できない。猫猫かわいそう!
猫猫は、聡い子です。
自分が、壬氏様の寝室に寝かされていること。
そのことに対して、水蓮始め、誰も文句を言っていないこと。
下女の身分でありながら、最大級の対処をしてくれていることで、十分気持ちを察しているのではないでしょうか。
だから、礼を言われなくても。
すぐさま、説明を求められても。(← こちらは緊急性を理解しているから)
馬閃の態度が悪くても。
気にしていないのではないでしょうか。
猫猫なら、あり得そう・・・かな
大体、猫猫のことです。
礼を言われても・・・。
「私は(牛黄のために)壬氏様の指示に従っただけです」
などと、答えるだけでしょう(笑)。
あっ・・・確かに・・・
事故ではなく事件
あれは偶然が重なり合った事故です。
しかし、まるで意図的に偶然が引き寄せられたようでした。そういう意味では、事故ではなく事件と言えるでしょう。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
一連の事件は事故は偶然ではなく、意図的に起こされた事件。
その狙いは、やんごとない方の事故死を狙った暗殺計画だったのです。
どれも成功確率は高くはない。
かなり、偶然や運に頼った暗殺計画です。
浩然殺害は、塩を中毒死するほど大量摂取させる。
鱠食中毒は、弟がその気にならなければ実行すらされない。
小火なんて、倉庫番が倉庫の中で火を付けないと起きようもない。
恐らく、これらの事件は成功した事例であって、裏には不発に終わった策がいくつもあるのかもしれないですね。
なるほど…
でも、小火と同時に窃盗したのは、偶然にしてはできすぎてるような…
そうですね。
ボヤが起きなければ警備の目を逸らせません。
窃盗だけは小火の直後にやらないと意味がないのです。
恐らく、窃盗は直接手を下しているね
そうか!
タイミングや盗む祭具は偶然に頼れないもんね!
肝心要の窃盗は、失敗するわけにはいかないので自分達で手を下していると思われます。
小火騒ぎは、窃盗が確実に成功するための誘導策。
倉庫番がキセルを吸う事に賭けるのは少しリスキーですね。
リスクを減らすには大きく二つ考えられます。
- 成功するまで窃盗の実行は待機
- その日に成功するよう、キセル以外にも仕込んでいた
今回上手くいったのが小火であって、他にも仕込んでいた。
どの仕込みでもいいから上手くいって警備が手薄になったのを見計らって、窃盗に入ったと考えられます。
こうして偶然の事故の発生確率を上げていって、必然にしていったのではないでしょうか。
と言う風に、狙いと方針が分かれば、色んなことが想像できます。
同時に、偶然に賭けてはいますが、意図的な意思が明確。
よって、事故ではなく、事件と言えるのです。
気が遠くなる・・・
でも、自分に疑いの目が向かないようにするには必要なんだよ
そっかぁ、確かに・・・
彫金細工師も殺された!?
盗まれた金具は彫金細工師によって作り直されたのです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
もし、この金具が熱で壊れるようになっていたとしたら。
3つの事件だけではなく、彫金細工師の事件も絡んでいました。
前話 ──
しかし、一体どの祭具が盗まれたんだ?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
こんな重要な祭具がなくなれば必ず作り直すはず・・・。
猫猫の独り言で、彫金細工師の秘術が絡んでいるとは思っていました。(19話 )
ですが、祭具で使う金具に低温で溶ける材料を使うわけがない・・・。
これが引っかかっていました。
── 彫金細工師もこの計画を立てた一味ということか。
いえ、恐らく何も知らず。
依頼されたとおりに金具を作ったのだと思います。「これと同じ物を、あの特殊な金属で作ってくれ」とでも頼まれて。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
なんと、低い温度で溶ける素材で、祭具を意図的に作らせたと言うのです。
恐らく職人は、実際に祭具で使うとは思っていなかったのでしょう。
息子達にも話していない秘術。
誰とも会話できない秘術について、素晴らしさを説かれたりしたら受けてしまうかもしれないですね・・・。
それにしても・・・
犯人は、なぜ秘術のことを知ってたんだ?
犯人は、なぜ彫金細工師の秘術を知っていた?
しかし、祭事で事故が起きれば、職人も不審に思います。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
その前に消してしまえば、依頼人の名も低温で溶ける金属の技術も闇に葬られ、とても都合が良かったでしょう。
彫金細工師の親父は、秘術を息子達に教えていませんでした。
父親しか知らない低温で溶ける素材で祭具を作らせ、口を封じて完全犯罪にしようとしたのです。
必要なモノが手に入れば、後は用済み。
情報が漏れないよう殺してしまう・・・。
彫金細工師は犯人が求める祭具を作ったから、殺されたとも言えるのです・・・。
ヒドい・・・
原作では、職人の殺害方法まで猫猫は推理しています。
職人が死んだ理由について、猫猫はあらかた想像がついている。鉛による中毒死だ。これは、職業病と言われればそうなのだが、そうでない可能性も出てくる。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
これもまた、意図的に起こされたと考えられなくもない。貢物と称して、葡萄酒と鉛製の杯を渡して弱るのを待てばいい。これは一例であり、ほかにも方法はある。
鉛中毒で殺害するのは、「おしろい」以外にも方法はあるのです。
ってか、鉛製の器で鉛中毒になるんだ…
壬氏様がなぜあの場に?
それにしても、まさかあの場に壬氏様がいるとは。
あのまま祭事が続いていたら・・・。何者なんだよ、こいつ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
あのまま祭事が続いていたら・・・。
柱は壬氏様の真上にあったので、即死していた可能性があります。
猫猫は、壬氏様の命を救ったのです。
でも、猫猫のこのセリフ ──
祭事をやっていた。やんごとない方が壬氏様だったとは微塵も思っていなかった様子。
壬氏様とは知らず、ある意味、命を賭けて祭事に乱入したのです。
猫猫、凄い!偉い!
牛黄目当てだった説もあるけどね。(19話 )
こんな大がかりな事件で命を狙われるに値する人物。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
知ったところで面倒なだけだ。
壬氏様が、なぜあの場にいたのか?
そのことを問わない猫猫。
この辺が、猫猫の性格であり、本作の個性でもあります。
普通の作品なら、素直に聞きますよね(笑)。
言い逃れもできない決定的な場面を目撃したのですから。
でも、猫猫は問いません。
「知ったところで面倒なだけ」?
何が面倒なのでしょうか?
教えてくれないから、ではなく「知ってしまうと面倒だから」が理由なのが面白いですね。
これまで、口外してはいけない事を猫猫は教えてもらいました。
猫猫はそれだけ信頼されている証しでしょう。
壬氏とは身内同然に過ごしているのです。
その上、今回は祭事をやっている姿を目撃したのです。
壬氏の正体も、聞けば教えてくれる気もします(笑)。
ですが、猫猫は聞きません。
なぜでしょうか?
壬氏が相当高い身分であることと、隠していることに気付いているからではないでしょうか。
上級妃に対しても臆することがない。
後宮の宦官管理者なのに、外廷の仕事までしている。
この国の立法にまで絡んでいるらしい。(9話 )
半月に一度、禊ぎをして祭祀をしている節がある。(18話 )
それらを行うような身分は明かされていない。
(猫猫が聞いていないだけかもしれませんが(苦笑))
明かしていないのは、公にできない理由があるのでしょう。
前話の中祀 ──
猫猫は、見てはいけないものを見てしまった可能性があります。
壬氏の正体を知ってしまったら、一般人が知っていてはいけないことを分かってしまうかも。
そんなことになれば、面倒事に巻き込まれかねません。
だから、猫猫は聞かないのではないでしょうか。
原作では、面倒事以外の理由も記されています。
それに言及するほど、猫猫は自分の立場が偉いとは思わないので黙っておく。知ったところで、面倒ごとに巻き込まれるだけだ。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
下女が触れてはいけない領域だと、猫猫は認識しているのです。
確かに、壬氏様は教える気があっても、馬閃辺りがイキりそうですね(苦笑)。
あーー、あり得そう(苦笑)
猫猫は、疑問を持ちつつも、それ以上は踏み込みませんでした。
ですが、Bパートでは、壬氏自身の口から(正しくは心情描写で)ヒントが語られ、かなり狭まってきましたね。(詳細は後述)
壬氏の本当の身分とは?
翠苓にはあれほど前のめりだったのに、なぜ壬氏の正体には興味ないの?
ああ、それは壬氏の正体の先には薬の匂いがしないからじゃない?
そんな、身も蓋もない…でもそうなんだろうね(苦笑)
全ての仕込みを1人で!?
例の事件、翠苓という官女が関係していたんだが、死体で見つかったよ。
by 李白『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
翠苓が死んだ!?
これは驚きました!
え、ホント!?って感じっ!
最初は、トカゲの尻尾切りで消されたのかと思いました。
が、下っ端ではなかったのです。(後述)
それよりも、ここで気になるのは ──
他の関係者は?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
── 他にはいない、翠苓1人だけだ。
罪人として上がったのが翠苓1人だと言うこと。
猫猫が壬氏らに話した一連の事件の推理を、李白にどこまで話したのか分かりません。
なので、李白の言う「翠苓1人だけ」というのは、小火騒ぎの事件だけと捉えることもできます。
でもそれなら、猫猫は質問するでしょう。
前話 ──
偶然がいくつも重なって、やがて必然になった時、ここにその長身の官女に似た人物がいたらどうでしょうか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第19話
猫猫は李白に、複数の不思議な事件事故の関係者として、同じ人物が上がってきたら、それは偶然ではないと伝えたのです。
その調査結果を持って来たので、一連の事件事故の裏にいたのが翠苓1人だったのでしょう。
それに、Bパートの壬氏も、翠苓1人を罪人として扱っていますね。
ここは、一連の事件は、翠苓1人が仕込んでいたと解釈すべきでしょう。
他の関係者は?
── 他にはいない、翠苓1人だけだ。あれほど、細々としたことを全部1人で?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
となると、凄い事です。
浩然の酒に塩を大量に入れ。(9話 )
食中毒の管理者の弟に入れ知恵し。(15話 )
倉庫番に案内させ、キセルを渡す。(19話 )
これらが全て翠苓1人の仕業だというのです。
いやいやいや、おかしいですよね。
塩を大量に入れたのも、弟に入れ知恵したのも、アニメで描かれたように男です。
少なくとももう一人いるはず・・・。
と思いながらBパートを見ていると ──
別の死体が入った棺桶を代わりに起き、業者の格好に変装して出ていった。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
この時、描かれた翠苓は、男装していました。
そうです。
背の高い翠苓は、長い髪をしまえば見た目は男性に変装できるのです。
え!? もしかして・・・
私は、犯人は以前からチラチラ出ていた男で、倉庫番にキセルを渡した官女は、その男が変装したのだと推測していました。(19話 )
逆だったのです。
翠苓が男装していたのです!
棺桶業者と共に、死体起き場から出ていく姿が、翠苓なのは確実でしょう。
その姿と ──
9話冒頭、浩然の酒に塩を入れた男。
14話ラスト、弟に近寄る男。
そして、今話Aパート、彫金細工師に祭具の製作を依頼する男。
特徴ある目と眉。
確かに同じ男で、翠苓に似ている気がします。
ただ、いくら男装しても声でバレる気がするのですが・・・。
壬氏の声を変えてみせた猫猫。(17話 )
翠苓も何らかの方法を使って、野太い声に変えたのかもしれないですね。
ちょっと引っかかるのは ──
9話冒頭、浩然の酒に塩を入れている手が、明らかに男の手なんですよねーー
あっ本当だ!
さすがに手をごつくする変装まで、この時代の技術ではできないでしょう。
これはまあ、誰かが想像した回想シーンという事で(笑)。
このように考えていくと、浩然殺害も鱠食中毒もバックにいたのは翠苓かもしれません。
ですが、協力者は他にもいるはず。
なにせ ──
浩然殺害は、味覚障害があることを知っていた。
鱠食中毒は、兄が珍味好きで弟が兄を恨んでいることを知っていた。
小火騒ぎは、倉庫番がキセルを吸う、仕事中に吸うくらいです・・・もしかすると相当のヘビースモーカーだと知っていた。
極めつけは ──
彫金細工師が、低温で溶ける金属を持ち、それを他者には秘匿していたことも知っていた。
張り巡らした策も特異ですが、情報収集能力がズバ抜けています。
翠苓1人で全てをやったとは到底思えません。
少なくとも、棺桶業者のフリをして手助けした者達はいるわけですしね。
死体起き場
何も壬氏様まで中に入らなくても。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
「死体起き場」という不吉な場所に壬氏様が入ることに不満な高順(笑)。
原作では ──
その場には壬氏も高順もいる。高順は、壬氏が死体置き場にいることが気になるようだが、壬氏が行きたいと言えば止められないだろう。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
高順は、気になるものの、壬氏が望めば止められないのです。
いや、壬氏だけではありません。
猫猫も、足をケガしているのだから、わざわざこんな所にまで来なくても・・・。
猫猫は、死体起き場まで来て何を確認したかったのでしょうか?
一つは、翠苓の自殺が信じられないからでしょう。
自殺をするようなタイプではなかった。
思い出すのは、猫猫を試すような口ぶり。
「朝顔」「よみがえりの薬」・・・。
これらを繋げると、猫猫には一つの仮説が思い浮かんだのです。
憶測じゃダメだ、断言できない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
猫猫の頭に浮かんだのは、あまりに大胆で、無謀な賭け。
だから憶測では話せない?
いいえ。
こんな大胆不敵な作戦。
本当にやったのか、自分の目で直に確かめたくなったのではないでしょうか。
はい、好奇心に負けたのです(笑)。
医官を疑っていた?
猫猫が、死体起き場まで来た理由について、真面目な話も少ししておきましょう(笑)。
親しげに話していた官女が死んで、なおかつ罪人扱いされたのだから、やつれもするだろう。
でも、それだけだろうか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
この「でも、それだけだろうか?」とはどういう意味でしょうか?
一度死んで生き返るなど、あまりに大胆でリスキーな作戦です。
猫猫は、可能性の一つとして、医官もグルの可能性を考えていたのではないでしょうか。
それを確認するために、死体起き場へ赴いたのです。
やはり、この医官が検視を。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
「やはり」とは、医官に目星を付けていたということ。
この医官は ──
18話、お遣いで医局へ行ったとき、翠苓と親しげに話す・・・。
いや、翠苓に好意を寄せている医官です。
好意を持っている者の心を利用すれば、翠苓の作戦の成功確率は上がります。
翠苓を検視したのは、医局で見かけた医官なのか。
確認するには、検視した医官を直接見るのが一番。
だから、検視した医官と話したいとお願いしたのです。
次に、医官が翠苓と仲間かどうかの確認。
それが、目の前で棺桶を開けることだったのではないでしょうか。
入れ替わった遺体を見て、心底驚いていました。
医官としての職務怠慢が露呈しましたが、同時に犯人の仲間ではないと証明されたのです。
これが、猫猫の ──
でも、それだけだろうか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
疑問のアンサーになるのではないでしょうか。
原作では ──
医官が膝をつき、棺の中を見る。彼は動転しており、棺にかけた手が震えていた。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
(これが演技だって言うなら、どんだけ狐だろうか)
見る限り、医官は翠苓が死んだものだと信じていたようだ。そこに、その遺体がないことに心底驚いている。
演技ではない、と100%確定したわけではありませんが、見た限り入れ替わりを知らなかった、つまりグルではないと判断したのです。
逆に言うと ──
医官を仲間にせず、必要は薬を手に入れ「よみがえりの薬」を作ったのです。
よみがえりの薬
人を死んだように見せる薬があります。
- 中略 -
人を一度殺し、しばらくの後、よみがえらせるそうです。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
18話、翠苓が言っていた「よみがえりの薬」は冗談ではなかったのです。
ただ、どんな死人でも甦らせる薬ではなく「死んで生き返る薬」。
つまり「よみがえりの薬」とは、一時的に仮死状態にする薬のことだったのです。
猫猫がそのことに気付いたのは ──
もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
詳しくは分かりませんが、材料に曼陀羅華とフグを使うと聞きました。
- 中略 -
曼陀羅華は白い朝顔の花に似ている。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
「曼陀羅華は白い朝顔の花に似ている」
翠苓が言っていた朝顔から曼陀羅華を連想して、「よみがえりの薬」に気付いたのです。
18話、翠苓は ──
もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
朝顔をもう少し先に植えると言っていました。
つまり、朝顔(曼陀羅華)をまだ採っていないどころか、植えていない可能性すらあります。
実は原作では ──
「ここに朝顔を毎年植えるわ。もう少し先の話だけど」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
毎年朝顔を植えていたのです。
つまり、いつでも逃げられる準備を備えていた可能性があります。
偶然に頼っているとは言え、これだけ精緻な暗殺計画を企てておきながら。
一方で、バレた時に備え逃走計画も準備しておく。
相当強かで、手強いですね(苦笑)。
猫猫同様、ニヤニヤしてしまいます!
悪人の活躍を喜ぶなんて、猫猫と同類だ…
ヒントか挑戦状か?
── 何を植えているのですか?
よみがえりの薬・・・。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
18話、「よみがえりの薬」と口走っただけであれば、思わず言ってしまったのかもしれません。
ですが、その後 ──
もう少し先の話だけど、ここに朝顔を植えるわ。
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
曼陀羅華を連想させる朝顔について触れています。
翠苓は、猫猫にヒントを与えたと考えるのは早計でしょうか。
いや、ヒントではありませんね。
でも、あの時の試すような口ぶり・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
確かに、猫猫を試すような口ぶりでした。
一連の事件事故を起こすため、翠苓らは高い情報収集能力を持っていました。
当然、その結果も確認しているでしょう。
そこで、どこかの下女が真相に辿り着いていると知れば・・・。
それが一つや二つではなく、ことごとく事件の真相を暴いていたとしたら・・・。
実は、18話、翠苓に薬師と言われて、なぜ猫猫が薬師だと知っているのだろうと不思議でした。
原作では、猫猫自身も不思議がっています。
「あなた薬師って聞いたけど」
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
どこで知ったのだろうかと猫猫は思いながら頷いた。
犯人グループであれば、真相を暴いている猫猫に気付いていてもおかしくはないですね。
もし、翠苓らが、自分達が仕掛けた事件事故の真相を、猫猫が次々暴いていると知っていたなら・・・。
あなた、薬師って聞いたけど、どれほどの腕前なのかしら?
by 翠苓『薬屋のひとりごと』TVアニメ第18話
このセリフは薬師としてではなく──
探偵役としての猫猫に対しての挑戦状ではないでしょうか。
いや、もうここまで核心に触れた情報を与えるのは、宣戦布告に近い!?
解けるものなら解いてみろ、止められるものなら止めてみろ!?
何も言わなければ完全犯罪できたのに(苦笑)。
猫猫が、翠苓を好敵手と思ったように ──
翠苓も好敵手を探しているのかもしれないですね!
えっ、どういうこと?
偶然に頼った事件事故が、簡単に上手く運び。
誰も真相に辿り着けない。
無気力な顔、なげやりな態度は、先がないと分かっていたからか?
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
「無気力な顔」「なげやりな態度」は ──
こんなヌルゲーな世界、面白くないと思っていたのかもしれません(苦笑)。
えっ、そうなの?
まあ、妄想だから話1/10で聞いておいて(笑)
大それた作戦で、やんごとない方の命を狙ったのです。
翠苓は、現政府に深い恨みがあるのでしょう。
無気力でなげやりな態度の根源は、その辺にあると思います。
が、一方で復讐を生き甲斐にせず暗いのは、なんなく作戦が成功するので虚しいのかなと思ったりもしました。
でも、死にたいと思っているより”翠苓らしい”と思わない?
確かに・・・。
翠苓は、なぜやんごとない方の命を狙ったのか?
完全勝利目前
ここに遺体がないということは、翠苓は賭けに勝ったということです。
代わりの死体が燃やされたあとなら、完全勝利だったはずですが・・・。そんな真似はさせない。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
一連の事件を翠苓1人で全部やったこと然り。
「よみがえりの薬」の存在然り。
にわかには信じられないし。
正直、翠苓がそんな怪盗のような大犯罪者には見えません。
ですが、一度死んで甦った。
この事実が、翠苓が犯人であることを裏付けているのです。
裏に黒幕がいて翠苓が実行犯であれば、切り捨てた方が簡単です。
命を賭けたリスキーな作戦で脱出したのは ──
翠苓は主犯、少なくとも重要な人物である可能性が高いと考えられます。
何人もの死者が出ているにもかかわらず。
頭が切れるだけなく大胆不敵な作戦を実行した翠苓に対して ──
生きていたら会いたいですね。
捕まえるためじゃない、数々の事件を事故に見せかけた知識。
それをやってのける度胸。何より自分の命を賭けの代償にしてまで、皆をだまそうとした強かさ。
こんな人物がささとくたばっては、面白くないだろう。
よみがえりの妙薬、絶対に作り方を教えてもらう!
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
一体、どこまでが心情描写で、どこまでが(人にも聞こえる)ひとりごとなのでしょう。
う~~ん。
原作を読むと、全部口をついて出ているようですね(苦笑)。
その時の心情描写だけ紹介します。
こんな人物がさっさとくたばっては面白くないと思うのは、猫猫だけだろうか。死人が出ているのに、それ以上に湧き出る感情を抑えられない。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
(よみがえりの妙薬。作り方を絶対教えてもらう!)
おっと、「よみがえりの妙薬。作り方を絶対教えてもらう!」だけは心情描写のようです。
それ以外は、口に出しているようですね。
十分「怪しい人物」発言ですね(苦笑)。
不謹慎だと思いながらも、湧き出る感情を抑えられない猫猫。
それだけ、猫猫は、翠苓を好敵手と見ているのです。
猫猫は、翠苓に興味を持ったのでしょうか。
それとも、「よみがえりの薬」の製法を知りたいだけでしょうか(爆)。
猫猫が「よみがえりの薬」の薬を知っていたのは ──
猫猫が曼荼羅華と河豚が材料であることを知ったのも、おやじの蔵書をこっそり読んだからだ。おやじは、遠い異国の文字で書かれているそれを猫猫が読めるとは思わなかったらしい。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
油断したようだが、猫猫の毒に対する執着は半端なかった。たまに来る異国の客に頼み込み、文字を教えてもらって少しずつ解読していった。途中で気付かれて、おやじに焚書されてしまったが。
オヤジの蔵書である異国の本を読んで知っていたのです。
異国の文字で書かれていたので、解読に時間がかかり、途中でオヤジに気付かれ本を焼き捨てられたので製法までは知らなかったのです。
高順
一連の事件の真相は分かるも、翠苓には逃げられてしまい行方は分からず。壬氏は、明日の後宮訪問に備え準備をする。
エピローグ
結局、翠苓のことは秘密裏に終わらせた。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
自分に好意を寄せている医官まで利用した翠苓の脱出劇。
完全犯罪はなりませんでしたが、まんまと逃げられていまいました。
医官に聞いても翠苓の素性はよく分からず、行き先も不明。
翠苓との決着は、まだ先になりそうですね。
そうなんだ、もう出てこないの?
全24話で残り4話。それじゃあ描けないだろうからね
そんな、メタ的な…
それにしても、なぜ秘密裏に終わらせたのでしょうか?
その答えは、そのものズバリではありませんが、原作で触れられていました。
あの死体置き場の一件のあと、翠苓のことは秘密裡に終わらせた。そのほうが好都合だからだ。翠苓の棺が置いてあった期間中に棺を納品した業者をあたったが、妙なことにその業者はそんな依頼は受けていないという。
by 『薬屋のひとりごと』原作2巻
翠苓の件は、秘密裏に終わらせた方が好都合だというのです。
後に続く描写から想像するに ──
翠苓のことは、あまりに不明確な点が多すぎる、ということでしょうか。
調査をしても何も判明しない。
かえって不安が助長する、あるいは官の無能を晒してしまう。
もしくは、翠苓側に、上手く隠し通せたと思わせた方が都合良いのでしょうか。
なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
不能にする薬?
── 問題ないかと、いつもと同じです。
すなわち、微妙な味だと。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
高順が毒味をして、壬氏に薬を与えます。
この薬は、猫猫が医局にお遣いで取ってきた薬、芋の粉ですね。(18話 )
根拠は、ミニアニメで猫猫自身が明かしているからです(苦笑)。
猫猫は最初、「芋の粉」は美容に役立つので、壬氏様は努力しているのだと解釈していましたが・・・。
そう言えば、異国に男性の性欲を抑える芋があるとか・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』ミニアニメ「猫猫のひとりごと」第20話
と、種明かしされています。
これを飲み続けると本当に不能になってしまうというのです(苦笑)。
壬氏様の正体
壬氏の正体はぼやかし続けられていましたが、ついに根幹に迫ってきました!
えっそうなの!?
よく分からなかったんだけど…
そのうち、本当に不能になりますよ。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
「本当に不能になる」とは、今は不能ではない、という意味ですね。
うん。
なんとなく壬氏様はただの宦官ではないと思っていたけど…
後宮に入れるのは、女性と、男性機能を失った宦官のみ。
男性機能を持った宦官は、ほんの一部に限られています。
1話で、猫猫が説明していますね。
後宮は、帝の子を成すための女の園だ。
入れるのは、国で最も高貴な方と、その血縁。あとは大切なモノを失った元男性である宦官だけ。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話
あっ、本当だ!
「国で最も高貴な方」とは帝のことですね。
そして、その血縁しか入れないのです。
それ以外は、宦官。
男性機能を失った男しか入れません。
つまり、男性機能を持って(後宮に)いる壬氏様は、帝の血縁ということですね。
帝の血縁とは、この後壬氏自ら説明しているとおり、男性は帝の弟しか生きていません。
前帝は亡くなり、前帝の兄弟にしては、年が違い過ぎます。
現在の帝に御子はいますが、男子は全員亡くなっています。
故に、壬氏が帝の弟である、と明かされたに等しいのです。
なので、ここから問題なのは ──
なぜ身分を隠し、壬氏という仮の姿で過ごしているのか?
ということになりますね。
壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
ちょっと引っかかるのは、壬氏は上記の理由で男性機能が残っているのは理解できますが・・・。
高順まで、なぜ免除されるのでしょうか?
お付きだからでしょうか?
早く孫を抱かせてください。
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
孫とは、高順の孫のことでしょう。
なぜ、抱けないのでしょうか?
仕事がそんなに忙しい?
もしかすると壬氏のお付きは、壬氏様から一時たりとも離れられないのかもしれないですね。
それとも、高順は、宦官壬氏設定時の、(壬氏様の)父親設定なのでしょうか?
壬氏の年齢
ええ、あなた様と同じ19です。
── 宦官壬氏は24だが?
by 高順『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
壬氏の本当の年齢は19歳。
これまで何本も『薬屋のひとりごと』各話レビューを書いてきましたが、壬氏の正体を推測でも書けなかったのは年齢が理由です。
実は、原作では(あれ?コミックだったかな?記憶が…すみません)、壬氏の年は早い段階で24歳と明かされています。
帝の弟だと(阿多妃の子だとしても)、年齢が合いません。
ただ、時折出てくる「子どもっぽく」見える、猫猫の壬氏評。
最初は、このシーンでしたかね。(6話 )
今なら年相応の青年に・・・。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第6話
というか、だいぶ幼く見える。
24歳と謳っていたから、幼く見えると猫猫は評していたのです。
その後も何度か、子どもっぽいと言っていたのも、24歳ではなく素が出ていたからですね。
今回、ようやく本当の年が明かされたのです。
実は、猫猫と一つしか違わないのです。
(猫猫は現在18歳、いつ18歳になったかは後ほど)
猫猫と一つしか違わないんだ!
意外だけど、なんだか嬉しい!
5年前から壬氏を演じているということは…年齢の割に凄い仕事任されているよね
でも、19歳だとしたら帝の弟の年齢に合わないような…
そうだよね、次はそこんところ掘り下げよう
年齢の謎
少女の頃に今の皇帝を生んだ皇太后は、その十数年後にもう1人子を産んでいる。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
帝の弟が生まれたのは、阿多妃の子と同じ年。
17年前、今の帝がまだ東宮だった。
by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第10話
阿多妃との間に、男児を1人もうけている。
17年前なのに、19歳とはこれ如何に!?
この差異は、分かれば簡単。
14話レビュー でも紹介しましたが ──
『薬屋のひとりごと』の年齢は「数え年」です。
「数え年」
年齢表現の一つ。
生まれた時を1歳として、元旦を迎えると年を取ります。
年号と同じ考え方ですね。
令和は1年から始まり、元旦を迎えると(1年経過していなくても)令和2年になります。
私達に馴染みがあるのは満年齢です。
その違いで差があるように感じてしまうのです。
数え年は、生まれた時に1歳で、正月を迎えると2歳。
満年齢は、生まれた時は0歳で、次の年の誕生日に1歳。
よって、満年齢と数え年の差は、正月から誕生日までは+2歳。
誕生日から大晦日までは+1歳の差があるのです。
さて、話を戻しましょう。
皇帝の弟が生まれたのは、17年前。
数え年だと、19歳になるのです。
おーー!ぴったり!
壬氏は誰の子?
年齢の謎が解けると、壬氏様が帝の弟だと分かります。
でも、次に引っかかるのは、阿多妃に子と取り替えられた件でしょうか。(11話 )
そうそう!
まるで死んだ風に言ってた!
結果、阿多妃は子宮を失い、今の皇帝の初めての皇子も、まもなく亡くなった。
もしその時の子が今生きていれば・・・。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
壬氏は阿多妃の子どもではないのでしょうか?
それとも、壬氏が知らないだけでしょうか?
どちらも違うと思います。(私の推測です)
壬氏は阿多妃の子でしょう。
だから、二人はそっくりだし、後宮を去るとき密かに会っていたのでしょう。
もしかすると、容姿を見せると血の繋がりが分かってしまうので、顔を隠しているのかもしれませんね。
どういうこと?
顔が阿多妃と似てるから?
顔だけでなく、髪の色、目の色
この辺からも血のつながりが推測できるよね
壬氏として姿を見せていますが、年齢を24歳とすることで疑いを逸らしているのでしょう。
それでは、なぜ壬氏は「もしその時の子が今生きていれば」なんて考えるのでしょうか?
「その時の子」とは、阿多妃の子、つまり自分の事。
壬氏は生きているので、なぜ「生きていれば」なんて言うのでしょうか?
それは、入れ替わった子 ──
本当の帝の弟が亡くなったのを悔いているのではないでしょうか。
理由はなぜか?
ここからは完全な想像です
壬氏は、正しい立場。
阿多妃の子であり、帝の長男に戻りたいのではないでしょうか。
本物の帝の子が幼くして亡くなり、戻れなくなってしまったのです。
気付いた頃には、死んだのは帝の弟で、子は生きていましたとは言えない状況になったのではないでしょうか。
そうなると ──
さっさと次の東宮をこしらえてしまえばいい。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
このセリフは少し危険に聞こえます。
この先ずっと弟として生きるなら、帝に東宮(=子ども)ができてもできなくても関係ありません。
次の帝を、その子どもに任せたいと思っているのでしょうか。
いや、その場合、壬氏の存在は・・・。
なんだか嫌な予感がするのは私だけでしょうか・・・。
謎多き妃
おっ、久しぶりの登場です。
謎多き妃・楼蘭妃。
波乱を呼ぶかもしれないと思われていましたが、穏便に過ごしている様子。
と思っていたら、別の意味で混乱を招いていました(苦笑)。
楼蘭妃はかなりの洒落者で、髪も化粧もコロコロ変わる。
by 壬氏『薬屋のひとりごと』TVアニメ第20話
訪れる度に、妃が誰か分からなくなり、混乱するそうだ。
ミステリー好きの私としては、こんな描写をされると、複数人説しか思い浮かびません(笑)。
だって ──
登場した時から、同じ顔が一杯!と思っていましたから(爆)。
ミステリー脳?
いや、オッサン脳!?
てっきり美女は同じ顔に見えるアニメ現象だと思ってた(苦笑)
楼蘭妃は、なぜ訪れる度に雰囲気が変わる?
おわりに (『薬屋のひとりごと』20話とは)
さて、今話を見て確信したことがあります。
本作はやはり小説原作なのです。
ん? どういう意味?
原作小説『薬屋のひとりごと』は、基本的に猫猫の一人称で描かれます。
(時折、壬氏等の一人称で描かれます)
つまり、その人の主観で描かれます。
主観だと、その人が興味を持ったことしか描かれないし、興味がないことはスルーされます。
それが、文体や行間、そして描かれるシーンに現れているのです。
言っている事は分かるけど、何を言いたいのか分からない…
何を言いたいのかと言うと ──
猫猫が興味ないことには文字は割かれていないのです。
冒頭で大ケガするほどの大活躍したのに、誰も褒めてくれないどころか礼すら言われないけど、気にもしない。
久しぶりに後宮に戻ったのだから、きっと玉葉妃や侍女達に歓迎されただろうけど、一切描かれない。
これらは、猫猫があまり重視していることではないので、シーンすら描かれることもなく淡々と話が進む。
文体、いや作品自体が猫猫の性格を現しているのです。
それをそのままのテイストでアニメ化しているので、他のアニメと一線を画す味になっているように思えてなりません。
おーーなるほど。
確かに描くポイントが、渋いというか猫猫っぽいかもぉ
こういう描き方自体が、何かの仕掛けになっていたりして…
さてアニメ『薬屋のひとりごと』は全24話なので、残り4話!?
原作は続いているので、全て決着着くとは思えませんが・・・。
一連の事件の決着は着いたものの、主犯(実行犯?)は行方知れず。
というか、翠苓関連は終わりそうにない、いや簡単に終わらせて欲しくない!?(笑)
となると、残り4話は羅漢や楼蘭妃関連でしょうか。
玉葉妃の懐妊の兆候もなんだか少し引っかかる描き方・・・。
悲劇は見たくありませんが、何も起こらないわけもない(苦笑)。
今後の展開が不安ですが楽しみです!
以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第20話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
21話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。
ではでは。
疑問点 まとめ(Q&A一覧)
この章では、疑問点をまとめていきます。
- 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
- 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ - 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
※推測が入る場合は、断りを入れる
⇒ 解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
今話で新たに発生し、解決しなかった疑問
- 疑問 20-01 犯人は、なぜ彫金細工師の秘術を知っていた?
- 疑問 20-02 翠苓は、なぜやんごとない方の命を狙ったのか?
- 疑問 20-03 なぜ翠苓のことを秘密裏に終わらせた?
- 疑問 20-04 壬氏は、なぜ身分を隠し、後宮管理者として生活している?
- 疑問 20-05 楼蘭妃は、なぜ訪れる度に雰囲気が変わる?
残っている疑問
- 疑問 02-01 壬氏は、後宮管理者なのに、なぜ後宮の外まで判断を求められている?
- 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
- 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
- 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
- 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
- 疑問 05-01 粉を染み込ませた木簡は、誰が何に使っているのか?
- 疑問 05-01 簪(かんざし)を渡す意味は?
- 疑問 06-01 園遊会で、なぜ壬氏は違うカンザシを挿し、襟が乱れていたのか?
- 疑問 07-02 腕の筋肉の意味は?
- 疑問 08-01 緑青館の離れにいるのは誰?
- 疑問 09-01 壬氏と亡くなった武人・浩然との関係は?
- 疑問 10-01 後宮内の事件に最終判断を下しているのは誰?
- 疑問 10-03 現帝の東宮時代、妃はなぜ一人しかいなかったのか?
- 疑問 11-01 阿多妃を南の離宮に住ませるのは、帝の愛着か、それとも・・・
- 疑問 11-02 阿多妃の子は生きているのか?
- 疑問 12-01 やり手婆は、なぜ猫猫を妓女にしたい?
- 疑問 13-01 壬氏は、帝に何を頼まれたのか?
- 疑問 13-02 契約書を見た時、羅門(オヤジ)が表情を曇らせたのはなぜ?
- 疑問 14-02 爆発現場にあった上等なキセルは、倉庫番のもの?
- 疑問 15-01 馬閃は、なぜ猫猫を嫌っている?
- 疑問 15-03 羅漢が馴染みのある緑青館の妓女とは?
- 疑問 16-01 羅漢は三男が一番の腕前だと知っていて、なぜ猫猫に調べさせた?
- 疑問 17-01 壬氏は、なぜ変装しなくてはならない?
- 疑問 17-02 壬氏は宦官なのに、なぜ武官のような野営を知っている?
- 疑問 18-01 羅漢は、価値を下げた妓女をなぜ身請けしていない?
- 疑問 18-02 使い物にならない妓女を、やり手婆はなぜ離れに住まわせている?
- 疑問 19-03 「何か起こったあとでは遅い」猫猫は、過去にどんな経験をしたのか?
- 疑問 19-04 羅漢は、猫猫を抱きかかえる壬氏を見て、なぜあれほど驚いた?
今週の感想ツイート
#薬屋のひとりごと 20話
— 時文@ここアニ(薬屋のひとりごとレビュー中) (@toki23_a) February 25, 2024
関係者は彼女1人!? ならば酒場の男はまさか…
事故誘発の知識と頭脳に人を操る人心術
他人を巻き込み自らの命も賭ける強かさ
猫猫にない物を持つ女 相手にとって不足なし!?
となると「どれだけの腕前~」は挑戦状?🤔
不穏な空気漂わせ次は後宮と思いきや…身請け"作戦"!?
関連記事
アニメ『薬屋のひとりごと』第21話のレビューはこちら!