アニメ【薬屋のひとりごと】4話感想&考察 無知は罪、独りよがりは百害あって一利なし

薬屋のひとりごと 第4話

【文字数(本文):約9千文字(目安15分)

こんばんは。時文(@toki23_a)です。
TVアニメ『薬屋のひとりごと』第4話「恫喝」を鑑賞しました。

本レビューではアニメ感想だけではなく、原作・コミカライズ情報も加え、個人的な解釈による解説・考察をしています。

皆さんの理解の助けになり、作品をより楽しんで頂ければ幸いです。

今話の原作

原作小説 1巻

コミック 1巻

今回アニメ化されたのは──

原作

1巻 12話「恫喝」13話「看病」

コミック

1巻 4話「勅命」~5話「看病」

今話の主なトピック (クリックすると該当項目へ)

今話で解決しなかった疑問

最下部「疑問点まとめ (Q&A一覧)」に記載

本レビューの方針

本レビューは、次話以降のネタバレなし

『薬屋のひとりごと』は、小説投稿サイト「小説家になろう」連載
ライトノベルと、月刊誌2誌で別の漫画家によるコミカライズ2作品があります

私は、ライトノベル、コミカライズ共に未読です。

アニメ鑑賞後、アニメ化済み時点までの部分を読み、レビューを作成します。
よって、次話以降のネタバレはなしなので、ご安心ください

アニメ鑑賞

コミカライズ、ライトノベルを読み
知り得た情報を加味して「感想・解説・考察」

原作情報

本レビューでは、ライトノベル、コミカライズの情報は、「原作情報」として区別できるよう表記します。

  • 「ヒーロー文庫」のライトノベルを ── 原作
  • 「月刊サンデーGX」連載のコミカライズを ── コミック
ココア

緑系の色を目印にしてね!

コミカライズは、別の漫画家による2作品が刊行されています。

  • 「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと
  • 「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜

両方読みましたが、本サイトでは、アニメの補完となると情報の多いを選択しました。

「コミック」として紹介する情報は基本です。
が、今後も両方読んでいくので、にしかない情報があれば、その時は注釈を付けて紹介します。

ココア

同じ内容なのに、2つも読むんだ・・・

時文

その方が、理解が深まるんだよ

全24話 各話リスト

薬屋のひとりごと (前半クール)各話リスト
話数サブタイトルコミック原作
第1話猫猫1巻1巻
第2話無愛想な薬師
第3話幽霊騒動
第4話恫喝
第5話2巻
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話3巻
第11話
第12話

※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク

後半クール (13~24話)
薬屋のひとりごと (後半クール)各話リスト
話数サブタイトルコミック原作
第13話4巻2巻
第14話
第15話
5巻
第16話
第17話
第18話
第19話
6巻
第20話
第21話
第22話7巻
第23話
第24話
8巻

※話数:リンクは各話レビューへ
※サブタイトル:ネタバレを避けるため次話以降はマスク

目次

はじめに

今話あらすじ

東宮を亡くした梨花妃は、いまだ容体は優れず伏せっていた。
猫猫は、から直々に梨花妃を診るよう命じられる。

生きたがるのは生き物の本能
死にたがるのは人の自尊心か

亡くなった御子も生きたがっていたはず。
それを死なせてしまったのは・・・。

無知は罪、独りよがりは害悪
子を亡くし自身の体で自覚する。

梨花リファ妃復活!
痩せても強みは健在!?
大きさ、張り、弾力は花街育ち猫猫マオマオのお墨付き。

立てば芍薬、座れば牡丹、夜は二つのメロンで奉仕する・・・。
なんのこっちゃ(爆)。

では、今話を振り返っていきましょう!

感想&考察レビュー 第4話「恫喝」

恫喝

あらすじ

梨花妃を治療せよと皇帝に命じられた猫猫。しかし妃のために用意した食事を与えようとするも侍女たちに邪魔されてしまい、妃はどんどん衰弱していく。

勅命

梨花妃の容体が悪い

by 皇帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

東宮が亡くなってからどれだけ経っているのか分かりませんが、梨花リファ妃の容体は回復してないようです。

一体、医官は何をしているのでしょう(苦笑)。

ココア

ホントだよ!

後宮にいる医官は1人。
あのやぶ医者です。

時文

前話のやぶ医者の様子だと全然気にしてなかったような(苦笑)

考察

消化の良い物を食べさせることや、毒と分かった「おしろい」を禁止させることは、さすがの”やぶ”医者でも指摘できるはず

となると考えられるのは・・・。

この時、医官は梨花リファ妃を診ていなかったのではないでしょうか
“診ることを許されなかった”と言った方が正解かもしれません。
少なくとも東宮が亡くなってからは。

根拠は ──
今話梨花リファ妃がいる水晶宮へ医官が一度も姿を現していないこと

猫猫マオマオ梨花リファ妃を2ヶ月看病していました。
(描かれていた映像を見る限り)その間、医官は訪れていません。

それに、医官が診ていないのなら、前話、やぶ医者がのほほんとしていたのも頷けます

薬屋のひとりごと 第3話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #3」より引用

では、なぜ後宮唯一の医官が、梨花リファ妃を診ないのか?

東宮を救えなかったことで役立たずと見做された?

でも誰に?
帝の命なら、そもそも後宮に残れませんね(苦笑)。
罰を受けた様子もなさそうですし・・・。

梨花リファ妃の侍女達が医官を頼ってない様子から、侍女達が医官を拒んだのかもしれないですね

東宮を死なせてしまい、原因も分からなかった。
侍女達は彼女らなりに、医官に三行半を下したのかもしれません・・・。

ココア

この侍女達ならありえそう・・・

時文

まあ、そもそも「おしろい」を見抜けなかった、やぶ医者が悪いんだけどね(苦笑)

侍女は、医官を信じてない。
ならば、何処の馬の骨か分からない下賎の女、しかも玉葉ギョクヨウ妃の侍女なんて信じられるわけがないかも・・・

梨花妃の容体が悪い。
しばらく診てくれないか

by 皇帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

帝は誰からどんな噂を聞いたのか・・・。
猫猫マオマオは帝から直々に勅命を言い渡される。

“診てくれ”
それはつまり”治せ”と同義だ。
帝の言葉は天上の言葉

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

帝の言葉は、天上の言葉。
身分の低い猫猫マオマオとしては、「御意」と答えるしかありません。

帝に寵愛されている玉葉ギョクヨウ妃も逆らうことはできないのです。

帝という生き物

それにしても、他の妃の前で言う話でもないのに・・・。
帝はやはりつくづく、帝という生き物なのだ。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

目の前に玉葉ギョクヨウ妃がいるのに、他の妃・梨花リファ妃の心配を口にする帝

前話、思い人と結ばれた芙蓉ふよう妃を羨ましいと言っていた玉葉ギョクヨウ
玉葉ギョクヨウ妃は、本当に帝お一人を愛しているのです。(3話 )

帝は妃の感情など気にもしていないのです

まさに、帝、天上人なのです。
帝はもちろん人間ですが、まるで別の、いや、特別な生き物だと猫猫マオマオは捉えたのです。

原作情報

原作では、もっと深い所まで切り込んでいます。

(それにしても、他の妃の前で言う話でもないのに)
 猫猫にそんな依頼をしておき、悠々と夜食を食べ、玉葉妃と仲睦まじきことを行った帝は、やはり帝という生き物なのだとつくづく思う。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

要は、これから玉葉ギョクヨウ妃と楽しい事をするのに、他の女の話をして気にする素振りも見せず事を済ませるなんて・・・普通の男なら最低だが帝なら許される、やはり帝は別世界の生き物という事ですね(苦笑)。

料理人は自由に使えた

仕方ない、もう一度作り直すか。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

帝の勅命を受けたのだから、最初から強引に行っても良いと思うのですが、そこまで帝の指示が届いていない?

いいえ。
確かに侍女を従える権限は与えられなかったようですが、原作によると──
梨花リファ妃の容体を診るにあたって、猫猫マオマオはある権限を与えられたようです。

 猫猫はよだれが出るのを抑えつつ、料理人に作り直しを命じる。勅命ということで、しがない侍女風情の猫猫にもそれなりの権限が持たされていた

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻
考察

梨花リファ様を診るにあたり始めたのが、食生活の改善だった。
まず体に残った毒を排出する。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

このセリフから、「おしろい」は既に使っていないことを前提に考えています。

梨花リファ妃の容体は毒の影響
治療は、体内に残っている毒を排出すれば良い。

そのためには、まずは食事の改善。

だから、妃の食事を作る料理人に指示できる権限をもらったのでしょう

その際、侍女に対しても指示できる権限ももらえばもっと楽に進められたでしょうに・・・。

でも、考えてみれば、侍女は帝の物ではなく梨花リファ妃の配下
たとえ帝でも、上司を無視して権限を与えられないのかもしれないですね。

ん?
なら、なぜ猫猫マオマオには勅命が!?

あっ!
だから、前話ラスト、玉葉ギョクヨウ妃に──

噂の薬師殿に頼みたいことがある

by 皇帝『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

と、断っていたのです。

もちろん、玉葉ギョクヨウ妃は了承したのです。
ってか、断れないですね(苦笑)。

帝は、事前に筋を通しているのです。
意外ときっちりしている??

ただ、梨花リファ妃の侍女に対しては、肝心の主人が伏せっているのです
命令したくてもできない。

時文

とは言え、侍女頭に命令すれば良い気もしますが(苦笑)

侍女は命令などしなくても、「帝の勅命」と聞けば従うだろうと考えたのではないでしょうか

おしろい

薬屋のひとりごと 第4話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #4」より引用

あなたみたいな、下賎な者がいるから、部屋の空気が悪いんだわ。

by 侍女『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

「部屋の空気が悪い」?
侍女は猫猫マオマオになぜこんなことを言ったのでしょうか?

アニメ鑑賞時、侍女が食事を与えて梨花リファ妃が咳き込んだからだと思いました。
咳き込んだのは、もちろん空気が悪いのではなく固形物を受け付けないからですよね。

「自分達は正しい」と考えている、バカな侍女らしい責任転嫁と思ってました(苦笑)。

ですが、原作は少し違いました。

 触診を行いたいところだが、 天蓋付きの寝台の周りには侍女がまとわりつき、恭しくもまったくなっていない看病を行っている。寝ているところにおしろいをはたけば、咳の一つも出るものなのに
 「空気が悪い。下賤の者がいるからだ」
 と、部屋を追い出されてしまった。手の出しようがない。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

侍女が梨花リファ妃に「おしろい」をはたいて(塗って)いたのです
その時、咳き込んだので「空気が悪い」と言ったのです。

補足

猫猫マオマオ梨花リファ妃に触れる前に化粧するのを見ていました。
が、このとき気付かなかったのは、まさか毒の入った”あの”おしろいを使っているとは思っていなかったのでしょう。

このことから「おしろい」には毒入りと、そうでない物があると推測できます。

梨花リファ妃の顔に触れ、「おしろい」の色が前と同じだと思い出し、あの「おしろい」を使っていると気付いたのです

妃に化粧をしているのは、お前か?

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

アニメ鑑賞時、猫猫マオマオが侍女に詰め寄ったシーンで、なぜあの侍女が化粧をしたと分かっていたのか少し不思議でした。

(原作によると)その前に、「おしろい」をはたいていたのを見ていたので、あれだけ侍女がいましたが、該当の侍女に詰め寄れたのです。

医学の知識もあり

せめて触診だけでも。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

「触診」とは、医者が手指で患者を触って診察すること
なんと、猫猫マオマオは薬の知識だけでなく、触診もできると言うのです。

原作情報

原作では、もっとハッキリと述べられています。

薬ほどではないが、医のつく類はそれなりに経験がある。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

知識ではなく「経験」と言っています。
それも「医のつく類」とまで言っています!

ココア

すごっ!

猫猫マオマオは、一体どんな過去を過ごしてきたのでしょう・・・。

壬氏ジンシが仲裁して、ようやく梨花リファ妃に近づけた猫猫マオマオ

原作情報

アニメでは、食事を与えていますが、原作では触診を始めます

 猫猫は、まぶたの奥を見るべく、顔に指をかける。
 さらりとした感覚が指を滑った。
 以前と変わらぬ、真っ白な肌だった。
(前と同じ肌色?)
 猫猫の表情がこわばり、侍女たちのほうを向く。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

触診するために顔に触れ、あの「おしろい」に気付いたのです。

無知は罪、独りよがりは害悪

薬屋のひとりごと 第4話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #4」より引用

そのうち全身に毒が回るだろう
よかったな、これでお前も綺麗になれるぞ。
お慕いする梨花様と同じだ。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

説明されていませんが、毒が入っていない「おしろい」もあるのでしょう。

補足

細かい話ですが、「おしろいは毒」、ではありません。
「おしろい」に含まれる鉛が体に毒です

「おしろい」には鉛を使ってないものもあります。
が、鉛を使った「おしろい」が一番白く(美しく)なれたので好まれたのです。

── そのおしろいは?

子供の乳母が使っていたものです。
他のおしろいに比べて白さが目立つと、好んで使っていました

by 玉葉妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第1話

他の物より「白さが目立つ」おしろいに鉛が入っていたのです。

この侍女は、梨花リファ妃を美しく見せる為に、注意も聞かず「(鉛を使った)おしろい」を隠し持ち、使い続けていたのです

「梨花様のお好きなものは、私達が一番よく存じている」
「まず病人には、十分な栄養が必要に決まっているでしょう
「梨花様のお好きなものを選びましたので、少しでも召し上がって下さい」
「梨花様には美しくあって欲しいもの。それが侍女の務めですからね。全部梨花様のため

看病どころか、侍女達は梨花リファ妃を死に向かわせていたのです

無知は罪。
独りよがりは百害あって一利なし。

こと毒や病気に関しては、正しい知識を持たなければ、より症状を悪化させてしまうのです

猫猫マオマオは自分が無下にされても、食事を粗末に扱っても怒りませんでした。
が ──

「なんで禁止されたかわかってんのか、毒だっつってんだろ!!」
 猫猫は怒っていた。侮蔑の目で自分を見られたことでも、持ってきた粥をひっくり返されたことでもなく、何も考えず自分が正しいとしか思っていない莫迦な侍女に怒っていた

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

人の話も聞かず、かと言って考えることもせず、自分達が正しいと思っている侍女に対して堪忍袋の緒が切れたのです

何せ、命に関わることですからね。

鞭打ちの刑

あの時の侍女は謹慎を言い渡されたと聞いた
おしろいは、梨花様のために隠し置いていたものだったらしい。

回収し損ねた宦官は、鞭打ちの刑になったそうだ

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

侍女は謹慎、宦官は鞭打ち・・・

ココア

ヒドい・・・
悪いのは隠していた侍女だよね?宦官は悪くないんじゃ・・・

恐らくですが、梨花リファ妃の侍女はそれなりの家の娘なのでしょう。

時文

だから、バカばかり集まるのはよくある話・・・

ここにも身分の違いが出ているのです。

原作情報

原作では、猫猫マオマオは言い切っています──

 猫猫に折檻を受けた侍女は謹慎を言い渡されたらしい。おしろいは買い置きを隠し持っていたものだった。かわいそうに、おしろいを回収しそこなった宦官は鞭打ちになったというのに。生まれで罰も左右される

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

生まれの良い侍女は謹慎処分。
対して宦官は鞭打ちの刑、つまり重罪です。

生まれで、罪の重さも違うのです。

考察

恐らく──

故意ではなく過失だとしても、仮にも、上級妃である梨花リファ妃の容体を悪化させていたのです。

今回の事故の責任を、誰かに取らせなくてはならない
身分のある侍女には問えないから、回収し損なったとして宦官が処罰されたのでしょう

完全に、とばっちりですね・・・。
だから(原作の)猫猫マオマオは「かわいそうに」と思っていたのではないでしょうか。

ココア

ひどっ!

時文

そういう世界なんだよ、ここ(後宮)は

こういう話を聞くと、治療が間に合ったから良いものの、もし梨花リファ妃が亡くなっていたら・・・。

猫猫マオマオも本当に処刑されていたかもしれないですね・・・。
ゾッとします(苦笑)。

看病

あらすじ

梨花妃には禁止されたはずの「おしろい」が使われていて、容体はかなり悪かった。

生きたがるのは生き物の本能

薬屋のひとりごと 第4話
TVアニメ『薬屋のひとりごと』本PVより引用

どうして・・・あのまま死なせてくれないのか。

by 梨花妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

やはり、梨花リファ妃は生きる気力を失っていたのでしょうか・・・。
だけど、猫猫マオマオは言い切ります──

ならば食事をとらねばいいことです。
かゆむということは、死にたくないからでしょう。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

生きたがるのは生き物の本能
死にたがるのは人間の・・・

死にたがるのは人間の我が儘とまでは言いませんが、人間だけが考えるので自尊心と言えるでしょうか。

失意の底にいた梨花リファ妃は、あのまま死にたいと考えていたのです

だけど、体は本能に正直で、かゆ嚥下えんげした(飲み込んだ)
生きる気があるなら、薬師である猫猫マオマオは治療せずにはいられないのです

原作情報

アニメはもちろん、原作にも(月刊サンデーGX版)コミックにもありませんが、「月刊ビッグガンガン」版コミカライズにのみあるセリフが粋なので紹介しましょう。

梨花様は生きたがっておられます。
生きたがっている者を支えるのが、薬屋の仕事ですから

by 猫猫『薬屋のひとりごと』原作1巻

「生きたがっている者を支えるのが薬屋の仕事」
これは「月刊ビッグガンガン」版コミカライズのオリジナルセリフです

名言頂きました!

アニメは、ここで御子(東宮)と一緒の時の映像が流れます。
梨花リファ妃は何を思っていたのでしょうか・・・。

考察

この点は、コミックでも原作でも触れられていないので推測するしかありません。

あくまで私の解釈と断りを入れた上で──

梨花リファ妃は本気で死にたいと思っていたのでしょう

だけど、猫猫マオマオに言われ、自分は生きたがっている。
これだけ失意の底にいるのに、自分の中に生きたい意思があると気付かされたのではないでしょうか

だから、直後に出てきた言葉が──

そうか・・・そうだな。

by 梨花妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

と、指摘され納得したような、セリフだったのです

赤ん坊の映像は、大切な御子を失っても自分(の体)は生きたいと願っているのかと、映像を交えて(視聴者に対して)再認識させたのではないでしょうか。

このシーンで大事な事は──
梨花リファ妃は、この時の猫猫マオマオとの会話で生きる気力を取り戻したのです

治療とは医師と患者の二人三脚
患者に生きる気力がなければ治療は進みません

ようやく本格的な治療が始まったのです。

妃に相応しい人格

自尊心はあるが高慢ではない。
東宮のあれこれで嫌なお嬢様を想像していたのだが、実際は妃に相応しい人格を持っていたようだ。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話
原作情報

原作によると、猫猫マオマオはその内、梨花リファ妃からののしられると思っていたようです(苦笑)。

ココア

そうなの!?

時文

侍女にあれだけ毛嫌いされていたらね~~

 意識がはっきりしてきたら、下賤の者などと罵られることを予想していたが、そうでもなかった
 自尊心はあるが高慢ではない。東宮のあれこれで、嫌なお嬢さまを想像していたのだが、実際は妃にふさわしい人格を持っていたようだ。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

「子は親の鏡」と言いますからね(苦笑)。
侍女を見れば仕えている妃の器も見えてくるもの。

でも、実際は違ったのです。

だとしても、侍女のレベルは低すぎると思いますが・・・。

侍女は相変わらずのようですが・・・(苦笑)。
梨花リファ妃だけは身分に関係なく猫猫マオマオを見ている気がします

猫猫マオマオが親身になって誰よりも誠心誠意治療してくれたことを理解しているのではないでしょうか。

帝の勅命とは言え、玉葉ギョクヨウ妃の侍女が梨花リファ妃を治療する。
後宮の常識からすると、腸が煮えくりかえることで素直には従えません。

でも、猫猫マオマオ玉葉ギョクヨウ妃の侍女としてではなく、薬屋として治療に励んだのです

梨花リファ妃は少しプライドが高いですが、聡明な方です。
恩を仇で返すような事はしないでしょうし、むしろ猫猫マオマオに感謝しているのでしょう

はい。
梨花リファ妃は、妃に相応しい品格と価値観を持っているのです

寝ている猫猫マオマオの頭を撫でる梨花リファ妃を見て、私はそう感じました。

原) 梨花妃は繋ぎ!?

帝の寵愛はついえたのに?

by 梨花妃『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

東宮を死なせてしまった責任からか、梨花リファ妃は帝の自分への愛情がなくなったと言う

猫猫マオマオも言っているように、梨花リファ妃の治療を頼んだのは帝。
そんなことはないと思うのですが・・・。

原作を読むと、とんでもないことが記載されていました・・・。
梨花リファ妃の心配は別の所にあったのです

原作情報

「帝の寵愛は潰えたのに?」
 彼女のいわんとすることはわからなくもなかった。
 もともと、東宮を身ごもったのは、寵妃である玉葉妃のつなぎで夜伽をしていたからだ
 公主ひめと東宮が三か月違いで生まれているのは、それを如実に物語っていた。

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

帝の寵愛は玉葉ギョクヨウ妃に向けられており、その玉葉ギョクヨウ妃が妊娠したのでその間夜とぎ相手をさせられていたと言うのです!

玉葉ギョクヨウ妃の子・公主ひめが生まれてからヶ月後に、梨花リファ妃の子・東宮が生まれたことが証拠!?

つまり、梨花リファ妃自身は愛されてはおらず、帝が夜とぎに来てくれたのは玉葉ギョクヨウ妃が妊娠していたから。

玉葉ギョクヨウ妃の出産して夜とぎができるようになったが、子がいれば(それも男子であれば世継ぎとなり)帝の寵愛を受け続けることができる

梨花リファ妃にとって御子は、単に跡継ぎの意味だけでなく帝と自身の繋がりとなる唯一の存在だったのです

だから、御子を亡くして失意の底にいたのです

猫猫マオマオは続けます。

「私に、ここに来るように命じたのは主上でございます。私が戻る以上、帝も梨花さまのもとにいらっしゃるのではないかと」
 それが政治的であれ、感情的であれ問題はない
 やることは一緒だ後宮という仕組みである以上、そこに恋や愛など関係ない

by 『薬屋のひとりごと』原作1巻

前半のセリフはアニメと一緒です。
でも後半の心情描写がとても興味深い。

皇帝(の跡継ぎ)の為に後宮があると考えると、猫猫マオマオはとてもドライに考えています。

そこに女性の感情、ましてや愛なんて関係ない。

後宮は、帝の恋愛相手を探す所ではありません
世継ぎを作るための場なのです

これが、帝を「別の生き物」たらしめてるシステム。

聡明な妃達です。
頭では理解しているのでしょう。
それでも、帝の寵愛を受けることを望んでいるのが人間らしくて良いですね。
梨花リファ妃はもちろん、玉葉ギョクヨウ妃にしても。

メロンの使い方

生きる気力を取り戻しても、今後に希望が持てない梨花リファ妃に、猫猫マオマオは置き土産をします。

それだけの大きさはもとより、張り、形は至宝かと。

by 猫猫『薬屋のひとりごと』TVアニメ第4話

顔を赤らめる梨花リファ妃。
さて、猫猫マオマオはどんな秘伝を伝えたのでしょう(笑)。

残念ながら、原作でもコミックでも内容について触れられていません。

アニメでは梨花リファ妃の顔はアップで描かれていませんが、コミックでは大きく描かれています。

「月刊サンデーGX」連載の「薬屋のひとりごと〜猫猫の後宮謎解き手帳〜」も「月刊ビッグガンガン」連載の「薬屋のひとりごと」でも梨花リファ妃の顔がアップで描かれ、どちらも乙女かよ!って突っ込みたくなるほどの可愛い顔をしています(笑)。

アニメでも見たかったですが、ちょっとアニメの梨花リファ妃のイメージとは違いますかね(笑)。

ぜひ、コミカライズをご覧下さい。

何にしても花街設定の使い方が上手いですな~~

おわりに (『薬屋のひとりごと』4話とは)

原作小説 1巻

コミック 1巻

皆さんお気付きですか。
梨花リファ妃の治療をしていますが、今話も猫猫マオマオは薬を使っていません。

妃の容体が悪かったのは体に毒が入っていたから。
その毒を出すのに薬は必要なかったのです。

食事をとり毒を排出する。
同時に食事で体力を付けていく。

これだけで猫猫マオマオは重症だった梨花リファ妃を治したのです。

難しい事はしていません。
猫猫マオマオは適切な処置を知っていただけ。

ただそれを根気よく愚直に実施したのです。

無知は罰なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なり

無知は罪。
知識を持っていても行動しなくては意味なし。
知識があって行動するものだけが英雄(優れた人)なのです。


それにしても、今話に限った話ではないですが・・・。
本作は、何気ないシーンの作画が良いですね。

毒味をする、お茶を飲む。
何気ないシーンの描写がとても丁寧に描かれており、猫猫マオマオの心労ぶりや悩みが絵を見ただけで感じ取れました。

実は、今話も原作はとても短いエピソードです。
一行で描かれた事柄が、新たな会話と共に映像化されています。

梨花リファ妃が猫猫マオマオの頭を撫でるシーン。
例の侍女が戻ってくるシーン。
これらは、完全にアニメオリジナルです。

とても丁寧なアニメ化で、今後もますます楽しみですね。

以上、TVアニメ『薬屋のひとりごと』第4話の感想&考察レビューでした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。

5話のレビューも書いています。
良かったらご覧ください。

ではでは。

きょうのひとこと侍女の名前がなかったと言うことは今後出番はなし!?

疑問点 まとめ(Q&A一覧)

この章では、疑問点をまとめていきます。

「疑問点まとめ(Q&A一覧)」運用ルール
  • 今話で生まれ解決した疑問は、本文で解説して本章でまとめ
  • 今話で解決しなかった疑問を、疑問XX-XX(話数-通し番号)として記録
    ⇒ 本章「疑問点まとめ(Q&A一覧)」でまとめ
  • 答えは、推測ではなくできるだけ(原作含む)作品内で明らかになった事実を記載
    ※推測が入る場合は、断りを入れる
    解決した疑問は、次話で削除
今話で解決した疑問 (クリックすると答えが表示されます)
猫猫は、なぜあの侍女が梨花妃に化粧したと分かった?

おしろいをはたいているのを見ていたから (原作より)

薬屋のひとりごと 第4話
『薬屋のひとりごと』公式サイト「EPISODE #4」より引用
猫猫は、薬屋なのに触診ができる?

猫猫は、医のつく類の経験がある (原作より)

なぜ侍女ではなく、回収し損ねた宦官がむち打ち?

身分の差

生まれの良い侍女は罰を免れたのだと思われる。
事故の責任は誰かに取らせないといけないので、回収し損ねたとして宦官が処罰されたのではないか。(推測)

猫猫に「死にたくないから」と言われ、梨花妃は何を思った?

御子を亡くし死にたいと思っていたのに、体は生きたがっているのだと気付かされた (推測)

薬屋のひとりごと 第4話
TVアニメ『薬屋のひとりごと』本PVより引用
梨花妃に子ができたのは、愛されていたのではなく繋ぎ!?

東宮を身籠もったのは、寵愛を受けていた玉葉妃が妊娠していた間の繋ぎ (原作より)

だから、玉葉妃の子の3ヶ月遅れで梨花妃の子が生まれた。

残っている疑問
  • 疑問 02-01 後宮管理者の壬氏が、なぜ後宮の外まで判断を求められる?
  • 疑問 02-02 水差しの弁償、仕送りから引いたのは期間限定?
  • 疑問 02-03 結局、秘薬は何の為だったの?
  • 疑問 03-01 西都の玉葉妃が、異国の姫とは?
  • 疑問 03-02 時折、猫猫が左手を見ているのはなぜか?
  • 疑問 03-03 芙蓉妃は、どうやって城壁に登ったのか?

今週の感想ツイート

関連記事

アニメ『薬屋のひとりごと』第5話のレビューはこちら!

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アニメ【薬屋のひとりごと】5話感想&考察 仕込み仕込まれ恋い焦がれ園遊会は戦場!?何も起きないわ... 第5話「暗躍」猫猫が医局にいると、宦官が呪いを解いて欲しいと駆け込んできた。呪いの正体をすぐに見抜いた猫猫だが、それを見ていた壬氏に呼び出され根掘り葉掘り聞かれる。
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